『へえ〜、パンツ見せるとこまでやったんだ〜』
「うん、楽勝だったけど、ただの布に何でお金出すんだろうね?」
いつものカラオケで駄弁りながら報告をする。
『まあ、男なんてそんなもんだからね〜。でも、そのおかげで私らも楽して稼げてんじゃん?』
「それもそうだね〜」
パパ活もすっかり板についてきた。
下着を数分見せるだけでお小遣い稼ぎが出来るし、それをしている間だけは嫌な事を全て忘れる事が出来た。
『でも慣れてきた頃が一番危ないんだからね。マジで気を付けなよ?』
「大丈夫だって。心配しすぎだよ〜」
明日も放課後に1人と会う約束をしている。新規開拓は止めて既婚者で羽振りが良くて、見た目に清潔感のある40代ぐらいに絞って関係を続けている。
『やあ、綾華ちゃん。久しぶり』
「お久しぶり〜」
今日会った人もその条件に当てはまる1人で、イケおじという感じの見た目をしている。奥さんや私と同じぐらいの娘がいると言うのに、女の子を買っているのが不思議だった。
いつも通りカラオケで歌ったり雑談をしたところでパンツを見せる。悪い事をしているという実感はあるけれど、後ろめたさと羞恥心が癖になってくる。
『ねぇねぇ、綾華ちゃん。聞きたいことがあるんだけど』
「えぇ〜、何ですか?」
『オッパイって他の人に見せた事あるの?』
「ないない。見せられるほどの大きさじゃないし、恥ずかしいよ」
『そこを何とか!見せてくれないかなぁ?』
「えっー?私こんな身体でしょ?服を脱いだり、ブラを付け直すのも大変なんだよね」
これは本当だった。制服はファスナー式だからいいんだけど、いつまでもお母さんにブラを着けるのを手伝ってもらう訳にもいかないので、フロントホックに切り替えていた。
『お願い!今まで以上に弾むから、ね?』
「え、えっー?どうしよっかな」
『今まで会った女の子たちは見せてくれたよ?』
「えっ、本当に?」
『本当だって。ほら、写真撮らせてくれる子もいるし』
そう言って見せてきたスマホには確かに顔を隠しながらも胸を曝け出した子が写っている。
「しょうがないなぁ。ブラ着けたままでも良いなら見せても良いけど…」
『それでも良いよ!じゃあ、早速だけどお願いしてもいい?」
「はあ、仕方がないなぁ。でも撮影は禁止だからね!」
スカーフを解いてファスナーを上げ、制服を脱ぐ。
制服の下にはブラが透けるのを防ぐ為にキャミソールを着ていた。
(これを脱いだら見られちゃうなぁ)
片腕ではキャミソールを脱ぐのも一苦労だったが、ブラをおじさんに晒す。
「こんな小さな胸なんて見てもつまらないでしょ?」
『そんな事ないよ。ピンクのブラも可愛いし、綾華ちゃんぐらいの大きさが一番好きだなぁ』
「ふーん。男の人は巨乳好きばかりだと思ってた」
1分ぐらいは見られていただろうか、恥ずかしさに耐えられなくなって服を着直す。
『今日はありがとうね。お礼は弾むから』
そう言っておじさんは5万円を渡してきた。
「えっ?こんなにもらって良いの?」
『良いの良いの!綾華ちゃんの初めてをもらったんだから』
「もう、止めてよ〜。それじゃHしたみたいじゃん」
『ごめんごめん。でもまた頼むね〜』
「はーい」
(下着を見せるだけで6万円かぁ。身体を触られる訳じゃないし、悪くないかも)
片腕を失くした身体にも価値がある事を知り、満たされていくのを感じていた。
今日は朝からエリと会っていた。思えば放課後以外で会うのは初めてだった。
『久美子はさぁ、お小遣い何に使ってんの〜?』
お小遣いとはもちろんパパ活で稼いだお金の事だ。
「んー、特に欲しい物無いから下着代にしてるよ。可愛いの着けるだけでも沢山貰えるからねぇ」
『あぁ、それ分かるわぁ。白とかピンクの清楚系着けてるとウケが良いんだよね!』
「そうそう!色気が無いのを着ける事だってあるのにJKに夢見過ぎだよねぇ」
『下着を売ってくれなんて言う人も多いからドン引きだわぁ』
「えぇ…そんな人いるの」
1日穿いただけでも汚れが酷い時があるのに何が良いんだろう?
「そう言えばエリは何でパパ活してんの?あっ、答えたくないなら言わなくて良いからね!」
『あっはっは、そんなに気を使わなくても良いって。私と久美子の仲じゃん?私もね〜、元々は陸上部でエース扱いされるぐらいには成績良かったんだけど、脚を痛めちゃって復帰は難しいって言われてね。どうでも良くなって、自棄になって売りを始めたって訳よ』
エリは大した事でもないようにあっけらかんとしている。いつか私もこういう風になれるのだろうか?
『それに自分で言うのもなんだけど、私って見た目は清楚系じゃん?エロいお願いを聞いてあげると、ギャップに驚いて弾んでくれるんだよね』
「エロいお願いってどんな事頼まれるの?」
『まあ、口でしたりとか。あとはHした事もあるよ?』
「うわぁ、エリは進んでるなぁ。自分がそんな事してるのなんて想像出来ないや」
『やってみたら、こんなもんかって感じだったよ。初めては痛かったけどね〜』
「ちょっと待って…。初体験も売っちゃったの?」
『まあ、かなりタイプの人だったし、成り行きでね?でも凄く上手だったよ』
「そうなんだ…」
『もしHしたいってお願いされたら、久美子はどうする?』
「えーっ?考えた事もないよ。でもカッコよくて本当に上手な人だったら良いかも」
『久美子としたいって人ならいくらでもいそうだよね〜』
「そんな事ないよ〜。片腕が無いってだけで逃げる人もいたしさぁ」
『うわ、最悪。今の常連さんじゃ良さそうな人いないの?』
「うーん、歳は気にしないんだけど、太ってたり禿げてる人はちょっと…ね」
『それ、よく分かるわぁ。そういう人って大体臭いから勘弁してって感じ』
「やっぱそうだよね!お金持ってる人って清潔感にも気を遣ってるもんね!」
パパ活を始めたきっかけも同じだし、部活を辞めた理由も近しいものがあったので、エリと仲はどんどん深まっていった。
「あっ、今日は新規の人と会う約束してたんだった!」
『マジで?だったら早く行った方が良いよ。私も常連さんと会う約束してたし』
「じゃあ、用事が終わったらまた集合って事でどうかな?」
『良いねぇ。久美子がどんな事してきたか聞かせてよ』
「分かった〜。エリの事も聞かせてね」
そうして一度別れて、待ち合わせ場所に赴く。
現れたのは40ぐらいに見える人で、体型もスラっとしていて結構好みだった。
『もしかして綾華さん?』
「はい。田中さんですか?」
今まで逢ってきた人たちは最初からちゃん付けで馴れ馴れしく感じていたので、さん付けで呼んだ事には好感が持てた。
『綾華さんはいつもどんな事をしてるの?』
話をしながら駅前を歩く。家や学校の最寄駅から離れたところを選んでいるので同級生や親に見つかる可能性も低い。
「喫茶店で話し相手になったり、カラオケで歌ったりが多いですねぇ」
歳は離れているのに、こんな私にも丁寧な言葉を使うあたりに知性を感じたがどうしてこんな事をしているのかが不思議だった。
「田中さんは行きたいところありますか?カラオケとか漫喫だったら下着を見せるのもOKですよ」
『うーん、下着かぁ。見たいけど、初対面だし今日は甘い物でも食べに行かない?』
「私としては良いんですけど、本当に良いんですか?結構可愛い下着着けてますよ?」
『また逢うことがあった時で良いよ』
「…そうですか」
やっぱり今まで逢ってきた人とは全然違う。逢うなりすぐに、カラオケに行って下着を見せる事を要求する人ばかりだった。
初めて入るお洒落な喫茶店で私はプリンを頼み、田中さんはホットコーヒーを頼んだ。ブラックのまま美味しそうに飲む所作はかなり様になっている。
そこでは私の身の上話、特に吹奏楽部にいた事や事故で右腕を失くした事を話した。
田中さんは無理に言葉を挟むでもなく、適度に相槌を打ってくれるので今まで吐き出せなかった様々な感情が堰を切ったように溢れてきた。
気付いた時には涙が溢れて止まらなかったが田中さんがハンカチで拭いてくれる。
下手に慰めの言葉をかけられるよりも、そちらの方が嬉しかった。
「田中さんはお仕事は何をしてるんですか?」
気持ちも落ち着き、2杯目の紅茶を飲みながら話を続ける。
『精神科で患者さんの治療をしているよ』
「お医者さんだったんですね。だから一緒にいて安心感があったんだ」
『そう思ってくれたなら良かったよ』
やはり自分の事を多くは語らない人のようだった。私も同じような人間だから、女の子を買うようになった理由を聞き出すような事はしない。
『さて、今日は会ってくれてありがとう。どのぐらい出せば良いかな?』
田中さんは財布を取り出す。気付けば外は空は赤く燃え上がっていた。
「食事代を出してくれればいいですよ」
『そんなので良いのかい?言葉は悪いけどお金が欲しいんじゃないのかい?』
「私はちょっと違うんですよね。あの、また逢ってもらえますか?」
何となくだけど、他の男の人とは違って安心感を覚えた。
『自分なんかで良ければ』
「ありがとうございます。次逢った時は私がサービスしますね」
駅前でお別れして、エリにラインを送る。
エリも早く済ませて暇だったようで、カラオケで合流という事になった。
『ねえねえ、聞いてよ〜。さっきの人、いきなりフェラさせてきたんだけど!しかも飲まされたから最悪!』
エリはもっとお金を釣り上げれば良かったとご立腹だった。
「え〜?酷いね、その人」
『久美子の方はどうだったの?お金、沢山くれた?』
田中さんとの一部始終を話す。
『へー、珍しい人もいるもんだねぇ。JKと見れば鼻の下伸ばすのばっかりなのに』
「それ、すっごく分かる!『下着何色?』とか平気で聞いてくるからね!」
『それで?その人とはこれからどうするの?』
「うーん、逢うのはこの人だけにして、少し様子を見てみようと思うんだ」
『それが良いかもねぇ。盗撮して「タダでやらせろ」って言ってくるのもいるみたいだしね』
「えっ、マジで?じゃあ、私も気を付けないとなぁ」
『まあ何かヤバくなったら教えてよ。そっち系の人とも繋がりあるからさ』
「ありがとね〜」
それからは田中さんに限定して逢うようにしていた。
年齢関係なく、性欲剥き出しにしてくる人が大半で処女を買おうとしてくるが、そこは相手を吟味したいところだ。
その点では、田中さんは大分理想に近かった。
「ねぇねぇ、田中さんは私の下着見たいとか思わないの?」
週二ぐらいの感覚で逢っているが、今だに喫茶店で話すことが多い。
『それは見たいけどね?綾華さんが嫌だったらしたくないし』
「田中さんだったら見せても良いし、特別に安くしておくよ?」
逢う回数が増えた事で話し方もフランクなものになっていた。
『じゃあ、今度ホテルでも行ってみる?他の人の目がない方が良いでしょ?』
カラオケは外から覗けるようになっていたり、カメラで見られていると聞いた事があったので、ホテルの方が良いかもしれないと思った。純粋にどんな場所なのか興味もあったけど。
いつも通りに授業を終えて下校の準備をする。
明日は田中さんと逢う約束をしていた。
『ねえ、久美子。吹部に戻ってくる気はないの?』
麗奈が話しかけてきた。逃げ回っていたから話すのは久しぶりだった。
「え〜、またその話?もう未練もないし、いい加減しつこいよ?」
『久石さんや義井さんも気が入らなくなってるのよ。話だけでもしてあげてほしい』
「それは新部長の仕事でしょ〜。秀一と2人で上手くやってよ」
今の吹部の状態では、まともな演奏が出来るがどうかも怪しいという事は伝え聞いているが、私1人が退部したぐらいでそうなるなら、その程度のレベルだったと言う事なのだろう。
『塚本も滝先生と部員の板挟みにあって、個人へのフォローまで手が回っていないのよ』
「それを私に言っちゃうんだ?」
左手で右腕の裾をブラブラさせる。
『ごめん…』
「友達との待ち合わせがあるから帰るね。バイバーイ」
『待って、久美子!』
麗奈はまだ何か言いたそうだったが、聞こえないふりをしてその場を離れた。
田中さん以外とは逢わないつもりだったが、ムシャクシャしたので適当に相手を募る。
今回現れたのは20代の人だけど、チャラついた印象を受けた。
事実、入ったカラオケですぐに下着を見せる事を要求されたので、仕方なくスカートを捲り上げる。
匂いを嗅ぐまでなら許せたが、触ってこようとしたので、さっさと切り上げて部屋を出る。
後ろで何か言っているが、選ぶ相手を間違えたようだった。
(まあ、先払いでお金貰えたし良いか)
明日は田中さんと逢う日だ。
さっきのお金で新しい下着を買っておくのも悪くないと思い、可愛い下着を何着か見繕った。