大室彩芽 中学3年生
山の匂いって、こんなに濃いんだ……。
バスを降りた瞬間、ひんやりとした空気が肺の奥にすべり込んで、ちょっと咳き込んだ。夏休みなのに東京よりずっと涼しい。山肌にかかった霧が、白い息みたいにゆっくりと動いている。
「おーい、こっちだー!」
声のする方を見ると、少し曲がった腰に猟銃のケースを背負ったおじいちゃんが、でっかい手を振っていた。
祖父と会うのは何年ぶりだろう。子どもの頃に一度だけ来た記憶が、ぼんやりと蘇る。炭の匂いと、夜に聞いたフクロウの声。
「ずいぶん背が伸びたな。あやめ、か?」
「……うん」
ぎこちなく返事をすると、おじいちゃんは皺だらけの顔をくしゃっとさせて笑った。
その笑い方、テレビにも学校にもない、やさしい音がした気がした。
山道を軽トラで走る間、窓の外はずっと木々の緑だった。信号もコンビニも見当たらない。
山の空気は湿っていて、風が吹くたび葉っぱのこすれる音が、まるで生き物の息みたいに聞こえる。
「……ここ、ほんとに何にもないんだね」
ぼそっとこぼすと、おじいちゃんは「そうだなあ」と笑ってハンドルを切った。
「けど、よう聞いてみるといろんな音があるんだぞ。鳥の声、川のせせらぎ、風の音。夜になると、鹿の足音だって聞こえる」
わたしは「ふーん」と、そっけなく答える。
でも、本当はちょっとだけ心がほどけていた。
最近のわたしは、学校に行けなくなってからずっと、イヤホンで音楽を聴きながら天井ばっかり見てた。
でもここには、イヤホンをつけなくても音がある。
おじいちゃんの家は、木でできた古い平屋だった。
床がみしみし鳴る。窓を開けると、すぐ外に山がある。
携帯は圏外。Wi-Fiもない。……最悪、と思いながら、どこかホッとしている自分もいた。
「風呂は薪で沸かすぞ。ちょっと手伝ってもらわんと間に合わん」
「……薪?」
「そうそう。こういうやつ」
おじいちゃんが外の薪小屋を見せてくれる。太い丸太が積まれていて、木の香りが鼻をくすぐった。
ゴツゴツした木肌に触れると、なぜか、胸の奥のざわざわが少し静かになる気がした。
「東京じゃ、こんなことしねえだろ」
「うん……」
「ま、ここじゃみんなやってる。風呂も飯も、自分で火を起こしてこそだ」
そう言って、おじいちゃんは笑いながら斧を持ち上げた。
その背中は、小さく見えるのに、山そのものみたいに頼もしかった。
……わたしはこの夏、ここで暮らす。
スマホも、友達も、教室もない山の中で。
何が変わるかわからない。でも、風の音だけは、もうイヤホンでごまかせないくらい大きく心に入ってきていた。
朝の空気は、ちょっと冷たい。
山の光は都会の朝とはちがって、しんと静かに差し込んでくる。鳥の声がいくつも重なって、まるで小さな合唱団みたいだった。
「よし、今日は薪割り、やってみっか」
おじいちゃんは、朝ごはんを食べ終えるとすぐ外に出た。
薪小屋の横には、まるで大きな剣みたいな斧が立てかけてある。
わたしは正直、ちょっと怖かった。
こんな重たそうなもの、持てるのかな……。
「こうやって、真ん中に狙いをつけて、エイってやるんだ。力じゃねえ、タイミングだ」
おじいちゃんが、ぶんっと斧を振り下ろすと、丸太がパカッと真っ二つになった。
その音が、山の空気にコーンと響く。
……かっこいい。
「やってみろ」
手渡された斧は、思ったより重たくて、両手でやっと持てるくらいだった。
でも、おじいちゃんがじっと見守っているのを感じると、逃げるのはなんか嫌だった。
「……えい!」
全力で振り下ろしたけど、斧は丸太に刺さっただけで、割れなかった。
「ははっ、まあそんなもんだ。最初はな」
でも、何度か繰り返すうちに、カンッと気持ちいい音がして、丸太がぱかっと割れた。
「できた!」
胸の奥に、じんわりとあったかいものが広がる。
薪を積み終えると、おじいちゃんは庭の端にある大きな鉄の釜のフタを開けた。
「これが五右衛門風呂だ」
「ごえもん……ぶろ?」
「そうだ。ここに水をはって、下から薪で炊くんだ。湯気が出たら風呂の時間」
ゴトゴトと音を立てながら、薪の火がだんだん強くなっていく。
焚き火の匂いと、水があたたまっていく音が混ざって、なんだか心が落ち着く。
湯気が立ちのぼるのを見ていると、時間がゆっくり流れていくのがわかった。
夜になると、囲炉裏に火が入り、部屋の中はオレンジ色に照らされた。
「ほら、食ってみろ。鹿だ」
皿にのっていたのは、あたたかい肉料理。
やわらかく煮込まれて、しょうがと山椒の香りがふわっと鼻をくすぐる。
恐る恐る口に入れると──じんわりと肉汁の甘みが広がった。
「……おいしい」
「そりゃそうだ。おれが獲ってきたやつだからな」
おじいちゃんが照れくさそうに笑う。
火のはぜる音と、夜の山の虫の声が、静かに部屋を包んでいた。
「なあ、あやめ。都会は……そんなに嫌だったか」
囲炉裏の火を見つめながら、おじいちゃんがつぶやく。
その声は、叱るでも、責めるでもなかった。
ただ、聞いてくれる音だった。
「……うん。嫌っていうか、行けなくなった」
「ふむ」
おじいちゃんはそれ以上、何も言わなかった。
ただ火ばさみで炭を動かして、パチパチという音だけが響いた。
でもその沈黙は、都会で感じた沈黙とは違って、やさしかった。
わたしの胸の中で、何かがすこしずつ溶けていくような気がした。
その夜、外に出ると、星が空いっぱいに広がっていた。
風の音、虫の声、川のせせらぎ……。
何もないと思っていた山には、こんなにたくさんの“音”があったんだ。
「……なんか、悪くないかも」
つぶやいた言葉は、夜空に吸い込まれていった。
朝、まだ太陽が山の向こうから顔を出す前に、おじいちゃんはもう外に立っていた。
「おーい、あやめ。山、行くぞ」
「え……こんな早く?」
寝ぼけまなこのまま外に出ると、空は薄い青と桃色のあいだで、まるで水彩絵の具をにじませたみたいだった。空気は冷たくて、頬が少しピリッとする。
おじいちゃんは背中に古びたリュックを背負い、腰には熊鈴をつけていた。鈴の音が、しゃらん、しゃらんと小さく響く。
「山はな、人より早く起きるんだ。おれたちが来るのを待ってるわけじゃねえ」
言いながら、踏み固められた細い山道を、迷いもなく歩いていく。
その背中は小さいのに、不思議と山と一体になっているように見えた。
わたしは、息を切らしながらそのあとを追った。
道の両脇にはシダがしっとりと濡れ、足元の落ち葉がふかふかと音を立てる。ときどき鳥の声が響いて、頭上の木の枝が揺れた。
「この音、全部覚えとけよ。山に慣れるには、まず音を覚えることだ」
「音?」
「そうだ。鳥の声、風の音、獣の足音──な、聞こえるだろ。ほら、いまのカサッて音は……」
おじいちゃんは足を止め、指をさした。
草むらの向こうで、小さな茶色い影がぴょんと跳ねた。
「……うさぎ!」
「そう。気づけるようになったな」
おじいちゃんがうれしそうに笑った。
胸の奥が少しだけ、ぽっと明るくなる。
やがて道は沢に出た。水が岩のあいだからこぼれるように流れていて、太陽の光を反射してキラキラしている。
「ここの水はな、そのまま飲める」
おじいちゃんは手ですくって、ごくりと飲んだ。
わたしも真似して口をつける。冷たくて、まるで氷を溶かしたみたいに澄んでいた。
都会の水道の味とはまるでちがう。
胸の奥までスーッとしみこんでいく感じがした。
「ここは昔、おれの親父も通った道なんだ」
「ひいおじいちゃん?」
「ああ。山はな、人の時間とはちがう時間を生きてる。おれたちは、その時間を“分けてもらってる”だけだ」
おじいちゃんの声は、沢の音にまぎれるように静かだった。
でも、その言葉が、なぜか胸の奥に深くしみた。
しばらく歩くと、森の中にぽっかりと開けた草原に出た。
おじいちゃんはリュックから折り畳みの腰かけを取り出し、腰を下ろした。わたしもその隣に座る。
見上げると、木々の隙間から空が広がっていた。
「……あやめ」
「なに?」
「山はな、逃げても怒らねえ。泣いても笑っても、ただ、そこにあるだけだ。だから……疲れたときは、ここに戻ってくればいい」
わたしはうつむいて、草をちぎった。
おじいちゃんの言葉が、胸の奥の重たいところにすっと入り込んでいく。
学校の教室で言われる「がんばれ」とは、ぜんぜん違う音だった。
吹き抜ける風が、鈴の音をかすかに揺らした。
その音と、鳥のさえずりと、沢のせせらぎ。
それだけで、胸の中にあったガラスのかけらみたいな痛みが、少しずつ丸くなっていく気がした。
──この山の音、きっとずっと忘れない。そう思った。
山に来て1週間、私はふと思い立って散歩に出た
夕暮れの山は、朝とはまったくちがう顔をしていた。
あれほどまぶしかった緑が、紫と灰色に溶けていって、木々の影がどんどん長く伸びていく。
「……ちょっと、こわいな」
昼間、おじいちゃんと歩いた沢沿いの道。
もう一度ひとりで歩いてみようと思ったのは、ほんの気まぐれだった。しかし足を滑らせて沢に落ちた。少し流されただけで岸に上がったが。道を見失ってしまった。
でも、気づいたらあたりは薄暗くなっていて──
どこをどう来たのか、道がよくわからなくなっていた。
「え……ここ、さっきの道と違う」
足元の落ち葉を踏む音だけが響く。鳥の声はもう聞こえず、森全体が静まり返っている。
風が枝を揺らすたび、何かに見られているような気がして、心臓が早鐘を打ち始めた。
「おじいちゃん……!」
呼んでも返事はない。スマホは圏外。地図も出ない。
喉の奥がきゅっと締めつけられるように痛くなった。
沢で濡れた身体、夜風が寒くて体が冷える。このままでは凍え死んでしまいそうだ。
そのとき──
「おーい!」
山の奥から、低くて通る声がした。
「ここにいるのか!」
「おまえさん、孝蔵(こうぞう)じいさんの孫だろ? じいさんに頼まれて探したんだぞ。こんなとこでなにやってんだ」
「……み、迷っちゃって」
「まったく……夕暮れの山はな、すぐ道がわからなくなるんだ。動かねえでいてくれてよかった」
青年は手際よく周囲を見回し、「こっちだ」と言うと、わたしに背中を向けてしゃがんだ。
「おぶってく。足、疲れたろ」
「え、でも──」
「暗い山道は慣れてないと転ぶ。村まで降りるのは無理だで、炭焼き小屋に泊まる。大丈夫、」そう言って笑うと、迷いなくわたしを背中に乗せた。
20代のお兄さん、がっしりとした背中は温かくて、汗と山の匂いがした。
その瞬間、張りつめていたものがふっとほどけて、目の奥が熱くなる。
「なまえ、なんていうの?」
「葛城真吾(しんご)。村の猟師見習いだ。おれ、よく孝蔵じいさんに世話になってる」
「……あやめ」
「そっか。怖かったろ、あやめちゃん」
彼の声は、山の夜風よりもあたたかかった。
背中に揺られながら見上げた空は、群青色に染まり、木々の隙間から星がのぞいていた。
不安だった森の音が、いつのまにか心地よい“子守唄”みたいに聞こえてくる。
やがて、小さな炭焼き小屋が見えてきた。
「今、火さ起こすから待ってろなぁ。あやめちゃん」
外では虫が鳴き、薪がパチパチと音を立てて燃えていた。「あやめちゃん濡れた服を脱いで俺の膝の上においで、そのままじゃ風邪をひいてしまう。」真吾さんは大きな膝の上に毛布を広げて、私を手招きした。
「大丈夫なの?」
下着一枚になって真吾の膝に腰を下ろす。裸足の足先が震えるのを見て、彼はそっと私の背中に毛布を掛けた。
「大丈夫だ。こうすりゃ温かいだろ」
彼の腕が優しく肩を包む。分厚い作業着越しに伝わる体温は、冷えきった身体に染み込むようだった。
「……ありがと」
薪の爆ぜる音と虫の声が混ざる夜。背後から伝わる鼓動が不思議と安心を呼ぶ。
「あやめちゃん、学校はどうしたんだ?」
突然の質問に肩が跳ねる。彼は背中をポンと叩き「悪いな。でも気になって……」と苦笑した。
毛布の中で握りしめた拳を開く。勇気を振り絞るように唇を噛み、目を閉じた。
「……中学は去年、行くの辞めた。高校は……今のとこ通えないと思ってる」
吐息とともに漏れた声は掠れている。
「学校の放課後、男子生徒に囲まれていじめられたの。裸にされて、大事なところを触られて写真、撮られて、私泣いたけど許してもらえなかった。」
「可哀想に」
真吾さんのため息混じりの呟きが耳朶に響く。私は震える喉から言葉を押し出した。
「男の子たちにおもちゃにされたって、、クラスの女子にも陰口言われて……毎日誰かの視線が怖かった」
胸の奥で疼く記憶が言葉になる度に心が軋む。
「どうしたらいいのかわからなくて。家族も心配してるのに……私は部屋で引きこもってばかりで……」
沈黙が落ちる。けれど彼の掌がそっと髪を撫でるのが分かる。乱暴な仕草ではない。傷を癒すような優しさで。
「大丈夫だ」
「え……?」
「俺も孝蔵じいさんもいる!あやめちゃんをいじめるような奴らは村には寄せ付けない」
その言葉に張り詰めていた糸が切れるように涙が溢れた。初めて他人に弱さを見せた夜だった。
炭火がパチリと爆ぜる音だけが残る。その音すらも今は慰めに聞こえる。
「……ありがとう」
小さな声で感謝を伝えれば彼は「礼なんかいい」と微笑んだ。
私は真吾さんの膝の上でうとうとと眠りについた。まるで親に抱っこされているヒヨコになったような気分だ。しかし、私のパンティーの布地に当たる硬い感触に気がついた。
私はその硬いものの感触で、真吾さんの膝の上で目を覚ました。焚き火の赤い光が壁に揺らめき、彼の輪郭を浮かび上がらせている。膝の上であの部分が勃起しているのだと思うと、顔が熱くなって目眩がした。
「……あやめちゃん?起きたか?」
私の気配に気づいた真吾さんが小声で呼びかける。振り返らないまま頷くと、彼の掌がそっと髪を撫でた。
「驚かせてすまない。生理現象だから気にしないでくれ」
そう言うと彼は腰を浮かせた。焚き火の薪がパキリと音を立てる。離れていく体温に私は思わず手を伸ばし、作業着の袖を掴んだ。
「どこ行くの?」
「外で寝る。お前さんは暖かくしてここにいろ。こんな状態でお前の近くにいたら申し訳ない」
小屋の戸に向かう背中に必死に追いすがる。
「待って!」
振り返った真吾さんの瞳に焚き火がちらつく。困り果てたような表情だ。
「真吾さん……」
言葉を続けるべきか迷った。でもこの機会を逃したら二度と言えない気がした。震える息を飲み込み、私は自分のショーツの股間を押さえながら呟く。
「あたし……男の子に面白半分に玩具にされちゃった汚れた女の子だけど……それでも真吾さんが欲しいなら……」
男性の性的行為、ひたすら怖くて痛かった、あの日の悪夢が蘇る。しかし目の前の逞しい腕は私を脅かしていない。
「……いいよ。あやめを使って」
焚き火の音が止まるほどの静寂。真吾さんの息づかいだけが鮮明だ。
「馬鹿野郎!」
鋭い声にビクリとした瞬間、大きな掌で口を塞がれた。
「そういう言い方は止めろ。あやめちゃんの価値はそんなもんじゃない」
目尻に滲んだ涙を親指で拭われた。焚き火の炎がゆらゆらと彼の瞳を染める。
「本当にわかってるのか?この状況がどんな意味を持つか」
頷く私の顎を彼の手が優しく上げた。硬いものは依然として存在する。だがそれは獣のような衝動ではないことに気づいた。欲望を押し殺す理性が表面に現れたのだと。
「もし……あやめちゃんが本気で俺を受け入れるなら」
焚き火の灰が宙を舞う。
「何があっても俺がお前を守る。絶対に後悔はさせない」
それは誓いのような約束だった。私は唾を飲み込む。
「お願い……真吾さん」
焚き火の光が小屋の梁に複雑な模様を刻む中、彼の顔がゆっくりと近づいてきた。
焚き火の煙が天井に絡みつく狭い小屋の中。私の息が荒いのは薪が弾ける音に紛れて消えてほしいと願った。真吾さんの硬い手のひらが、剥き出しの肩を撫でるたび、電流のような痺れが背筋を這い上がる。
「怖かったら言えよ、俺は絶対にあやめちゃんを傷つけないから」
低い声が耳朶に触れる。私は首を横に振る。彼の大きな体が覆いかぶさると、古びた毛布の匂いと汗の匂いが混ざり合った。男の子たちに弄ばれた時と同じように肌が粟立つ。でも今胸を満たすのは恐怖じゃない。
彼にぎゅっと抱きしめられてキスをされる。私の幼い乳房は、彼の大きな手のひらの中にあった。彼の舌は荒々しいようで実は優しかった。男の子たちが乱暴にむしゃぶりついた乳首を柔らかく吸いながら舌で転がしてくれた。身体の奥底で眠っていた何かが目を覚ました。
「……はぁ……真吾さん」
名前を呼ぶと彼の動きが止まった。そして再び唇を重ねてくれる。キスの合間にも熱いものが腹の奥で蠢き続けた。やがて下腹部へ移動していく感触。指先が割れ目に触れた時、私は息を詰まらせた。
「辛いなら止めるぞ」
真吾さんの問いに私は懸命に首を振る。
「続けて……お願い」
喘ぎながら懇願した。彼の長い指が慎重に中へ侵入してきた瞬間、過去の痛みが蘇る。しかし真吾さんの指使いは全く別物だった。まるで内側を探るように丁寧に動き回る。やがて奥に何かが触れた途端、全身に快感が走った。
「ここか?」「あひっ、いい、、」
問いかけに答えられないほど意識が飛びそうになる。涙と涎で顔がぐしゃぐしゃになりながら私は何度も頷いた。焚き火の明かりに照らされた彼の表情はとても真剣で美しかった。
「あやめちゃんのココ綺麗だよ。」そして突然彼は私の股間に顔を埋めた。そして彼の舌が私の敏感な部分を舐め始める。
割れ目を下から上になぞりあげられ、尖塔の周りを円を描くように舐め上げてくる。
「ああん♡」私は腰を浮かせた。こんな感覚は知らない。今まで味わったことがない強烈な快感だ。真吾さんの舌が尖塔に近づくにつれて期待感が高まり、ついには強く吸い付かれた。「ああっ真吾さん♡」私は思わず叫んでしまった。
真吾さんの舌はさらに激しく尖塔を舐め回す。そして同時に指でも愛撫してくれる。私はもう我慢できなくなっていた。
「挿れるぞ……力を抜けよ」
入口に圧倒的な質量が押し当てられる。冷たい汗が額を伝う。次の瞬間、雷に打たれたような衝撃が全身を貫いた。苦痛と悦びが同時に襲ってくる。あまりの刺激に悲鳴にも似た声をあげそうになるが、すぐに唇を塞がれた。そのまま深い口づけと共に律動が始まった。
初めは歯を食いしばっていた私も徐々に余裕ができ始める。真吾さんが私の反応を見逃さずタイミングを合わせてくるからだ。摩擦で焼けるように熱い肉壺は次第に潤み始め滑らかに彼を迎え入れた。
「もっと……もっと強く突いて」
気づけば淫猥な言葉が零れ落ちていた。真吾さんは応えるように動きを速める。汗で濡れた肌同士がぶつかり合う音が小屋中に響く。絶頂の波に飲み込まれそうになる直前で私は叫んだ。
「真吾さぁん!」
すると彼は突如抽送を止めてしまった。「ダメだ……出てしまう」と呟きながら引き抜こうとする。慌てて脚で胴体をホールドした。
「出して!全部中に欲しい!真吾さん……精液…欲しい」彼はすぐに応じてくれた。
「あやめちゃん 射精るっ!」どぴゅどぴゅとそれはまるで噴水のように、私の中で弾けた!
あまりの量の多さに私は仰け反るほどだった。
射精の余韻に浸りながら互いの荒い呼吸だけが小屋に満ちていた。私は汗で額に貼りついた髪を掻き上げながら微笑むと、真吾さんは優しく額にキスしてくれた。心の中で何かが解放されていくようだった。
誰もいない山の炭焼き小屋で、私たちは強くだきあった。下半身はまだつながったままだ。いつしか彼のものは再びたくましさを取り戻していた。まるで大型犬のように物欲しそうな彼のかおに私は思わず微笑んでしまった。
「真吾さん、好きなだけしていいよ 」私は自分から彼にキスをした。
「あやめちゃんはかわいいな 」彼が再び動き始める。長らくつながっていたためか、私の割れ目はもう彼の形を覚えていた。下半身が溶けるような快楽が私を襲う。
彼が私に覆い被さって突いている間も私は彼の背中に腕をまわし指に力をこめた。
「真吾さん……私幸せだよ……」
「俺も幸せだ……あやめちゃん 」彼が激しく突いてくれるたびに私の口からは喘ぎ声がもれる。彼が動くたびに結合部分から精液が滴り落ちるのがわかる。しかしそんなことはもう気にならなかった。今はただ彼と一つになりたいと思ったからだ。
「もっと……もっと激しくしてぇ!」私は涙を流しながら懇願した。するとそれに答えるかのように抽送速度が加速していく。「あやめちゃん……すごい締まる!」興奮した様子で彼が吼える。その声を聞くだけでゾクッとした感覚が背筋を駆け巡った。
「あやめちゃん♡」真吾さんが再び射精をする。「アアア、イっイク!」その瞬間私もまた果ててしまった。二人の体液が混ざり合い一つとなっていく感覚。これ以上ない幸福感を感じていた。
「もう一回いいよね?今度はバックからしたい」そう言って彼は私の体を裏返す。四つん這いにされた私は恥ずかしさと期待感からドキドキしていた。真吾さんは私の背後に回ると改めて硬くなっている剛直を押し当ててきた。
「入れるぞ」一気に貫かれてしまい思わず声が出てしまった。その後も容赦なくピストン運動が始まると激しく揺さぶられる度に甘い悲鳴が上がりっぱなしになってしまうのであった。「真吾さぁん……だめぇ……おかしくなるぅ〜〜〜!!」涙と涎で顔面崩壊状態になりながら叫ぶことしかできない私に対して彼は腰使いを緩めることなくむしろ加速させる一方であったのだ。
真吾のモノが私の中に出たり入ったりするたびに肌と肌がぶつかる音が響き渡る。それに合わせて結合部からはグチュッグチャッといういやらしい音が聞こえてくる。その音にますます興奮してしまう自分がいた。
「あああぁぁん♡」
「あやめちゃん可愛いなぁ」耳元で囁かれるたびにゾクッとした快感が背中を駆け巡っていくのであった。「ああぁん♡そこダメェッ」弱点を見つけられてしまったことで更なる快楽地獄へと堕ちていくしかないのであった。
真吾さんのモノで突かれるたびに私の膣内は喜んでいるかのように収縮を繰り返していた。彼の形に馴染んだ内部は異物を受け入れた時の拒絶反応など微塵も感じられないほどになっていたのである。
「あやめちゃんの中すごいよ」褒められることによって快感は増幅されていった。「真吾さんも素敵だよ……」素直な気持ちを伝えることで愛情を確かめ合うことができるのである。そんなやり取りをしているうちに私は三度目の絶頂を迎えようとしていた。
「あやめちゃん一緒にイこう!」そう言った瞬間彼の動きが激しくなり一気に限界まで上り詰めたところで大量の精子を流し込んできたのである。
その刺激により私も同時に頂点へ達してしまい二人とも放心状態となってしまったのである。
しばらく余韻に浸った後私達は親についていた五右衛門風呂沸かした。ー
小屋の外に作られた屋外の五右衛門風呂、月光が水面に砕けて銀の粒子が漂う。わたしと真吾さんはそのお風呂で裸になって向かい合った。
「あやめちゃんの肌きれいだな……」
彼の指がわたしの鎖骨のくぼみを辿り、肋骨の谷を抜ける。触れられた場所は全部熱を持っていく。あの時は痛くて怖くて終わるのを待つだけだったのに。今は触れるたびに奥の方が疼いてたまらない。
「真吾さんのほうが素敵」
そう言って彼の分厚い胸板に手を這わせる。鍛え上げられた筋肉は柔らかく弾力があって、触れてるだけで気持ちいい。わたしのお腹のなかにはまだ彼の精液が残っていて、それが熱源みたいに体の芯を温めている。
「んっ……」
乳房を揉まれて思わず声が出る。真吾さんの掌は大きくて温かい。あの時男子たちの手はただ荒っぽくて乱暴だったのに……。彼の指先が乳首を転がすたびに喉の奥から勝手に甘い吐息が漏れる。
「やわらけぇな……」
「真吾さんは、やだ。また硬く大きくなってるじゃん。…」
彼のモノがまた硬度を増してそそりたつ。
「あやめちゃんが可愛すぎるんだよ」
そう言って彼は私の足をM字開脚にする。私は抗わない。もう恥ずかしさより好奇心と快感が勝っていた。割れ目に熱い剛直が当てられると、ぬるりと滑った感覚がした。
「入れるぞ」
ゆっくりと侵入してくる肉棒を受け入れながら私は深く息を吐いた。内臓を押し広げる圧迫感はあるけど苦痛じゃない。むしろ求めていたものを与えられたような充足感さえあった。
「あっ……おっきぃ……」
ズブズブと根元まで挿入されると私の体は弓なりに反った。真吾さんのものが全部収まった状態で数秒間じっとしていると、まるで私たち二人が一体化したような錯覚に陥る。
「動くぞ」
「うん」
彼が腰を引いてから突き入れるたびに私の粘膜が擦れる感触がありありとわかった。パンッパンッと皮膚同士がぶつかる乾いた音とジュプッヌチュッと淫靡な水音が混ざり合って鼓膜を刺激する。
「あんっ! んぅ♡」
次第にスピードが上がり私の喘ぎ声も高くなる。結合部から溢れる液体は湯船に波紋を作りながら広がっていく。
「あやめちゃん最高だ」
「真吾さん好きぃ」
お互いの名前を呼び合いながら求め合う行為はもはやセックスという枠を超えていた。
「出すぞ!」
「中に出してぇ!」
絶頂を迎えた瞬間私は大きく痙攣し子宮口に叩きつけられるように大量の精子を受け入れた。ドクンドクンと脈打つ感覚と共に私の体内に注ぎ込まれていく生命の源を感じることができる。それは痛みではなく幸福感に満ちていた。
しばらく余韻に浸った後二人で湯船に浸かり星空を見上げる。月明かりの下で交わる姿はまるで幻想世界の住人みたいだった。
「綺麗だな」
「うん」
何も言わなくても伝わるこの感覚。今まで知らなかった新しい自分を発見できたような気がした。
翌朝、山小屋の外は靄がかかっていた。鳥のさえずりと川のせせらぎが織りなす自然界のメロディーが心地良い目覚まし時計代わりとなってくれた。
昨晩の出来事を思い出すと頬が熱くなる。しかし後悔はないどころか充実感すら覚えていた。
「おはようあやめちゃん」
起きた時にはすでに真吾さんが朝食の準備をしてくれていた。焚き火で温められた鍋からは食欲をそそる香りが漂ってくる。
「ありがとう真吾さん」
「どういたしまして」
二人で食卓を囲みながら他愛もない話をした。その時間がとても幸せだと感じるようになった。そして帰り道もまた手を繋ぎながら歩いた。その手の温もりはずっと忘れたくない宝物となった。
エピローグ
結局、私は中学に戻ることもなく、高校に進学することもなかった、なぜなら、あの日の翌日、真吾くんは村長と村の神社の神主さんを連れて私に求婚しに来たのだ。おじいちゃんは当然驚いた。
まさかあやめに突然村の若者がプロポーズしに来るなんて、、しかしその相手が、おじいちゃんの愛弟子の真吾君だ。
「おじいちゃん、私この村でずっと暮らしたい。真吾君のお嫁さんになりたい。」
「真吾!まさかお前がこのわしの孫になるとはなぁ。あやめにふさわしい男になれるように、徹底的に鍛えてやるからな。」
おじいちゃんは困ったような嬉しそうなような顔していた。