来栖聖、十四歳。
白い襟のセーラー服の胸元には、小さな銀の十字架が揺れている。
それは幼いころ、母が亡くなる前に「あなたを守ってくれるから」と渡してくれた大切なものだ。
聖は、誰より信仰深い少女だった。
毎朝、登校前に聖堂で祈りを捧げ、日曜日には必ずミサを手伝う。
そして彼女を優しく導くのは、義父であり、教会の神父である来栖 真澄(ますみ)。
——その人を、聖は「お父さん」と呼ぶ。
けれど胸の奥では、もっと別の名前で呼んでしまいそうになる自分に怯えていた。
真澄は温和で静謐な人だった。
告解室で悩みを抱えた信徒の声に耳を傾け、苦しみを受け止める姿は、聖にとってまるで“神の祝福を代弁する存在”のように見えた。
だからこそ、聖は困惑していた。
祈りの最中にふと感じる胸の熱さ。
彼の声を聞くだけで脈が跳ねる自分。
義父を敬うべき“父”としてではなく、
神を愛するように、誰かを想う気持ちとして——愛してしまうことに。
「神様……私は、間違っているのでしょうか」
聖堂の冷たい空気の中で、聖はひとり祈る。
罪悪感と、抑えきれない憧れの狭間で、涙が光る。
けれど祈りの向こう側で、真澄はまだ知らない。
自分に向けられたこの純粋で危うい想いを——。
日曜の朝。ミサの後、教会は清らかな静けさに包まれていた。
「聖さん、おはようございます」
白い修道服の袖をそっと押さえて、舞浜真里亞が微笑んだ。
光に透けたヴェールが揺れ、その姿はまるで聖画の天使のようだ。
「おはようございます、真里亞さん」
聖は自然と声が硬くなる。
真里亞の微笑みはあまりに美しく、優しすぎて、胸の奥にちくりとした痛みが生まれる。
「今日は特に歌声が素敵でしたよ。真澄神父も褒めていました」
「……本当ですか」
頬が熱を帯びる。
真澄が褒めてくれた。それだけで、心臓が跳ねる。
「ええ、とても……」
真里亞が言い終えるより先に、
「真里亞、手伝いをありがとう。午後の準備を一緒に進めよう」
真澄神父が近づいてきた。
穏やかな声が聖の体を包む。
しかしその腕は、真里亞へと自然に伸びていた。
「はい、神父様」
真里亞が微笑むと、真澄の表情も一瞬やわらぐ。
その瞬間だった。
(……神父様は、真里亞さんといるとき、あんな顔をするんだ)
理由はわからない。
だけど胸の奥に、押し込めていた暗い感情が湧き上がる。
真澄の隣に立つ真里亞の姿が、あまりに“お似合い”に見えてしまったのだ。
「聖、どうかした?」
真澄が振り返る。
けれど聖は、喉がつまって答えられない。
「……なんでもないです。午後、課題があるので帰ります」
逃げるように教会を出ていく聖。
背後で、真澄と真里亞の静かな会話が続いている。
(どうして……どうしてあんなに胸が苦しいの?
私……罪を犯しているのは、やっぱり私のほうだ)
聖は涙を拭い、十字架をぎゅっと握りしめた。
家への道を歩きながら、聖は胸の奥がじりじりと焼けるような痛みに襲われていた。
(どうして……どうして真里亞さんと話しているだけで、こんなに苦しいの?
どうして神父様の笑顔を奪われたみたいに感じるの……?)
思考の奥底から、はっきりとした言葉が浮かぶ。
——私、神父様が好きなんだ。
その瞬間、聖は立ち止まり、息を呑んだ。
「父」としての愛でも、「信者」として尊敬する気持ちでもない。
もっと深く、もっと抑えきれない感情。
(ダメなのに……分かってるのに……)
胸が締めつけられる。
そのとき、制服のポケットに触れた指先に、紙の感触。
学校からの提出プリントを教会に置いてきたことに気づく。
「戻らなきゃ……」
夕暮れの教会へ向かって、聖は走り出した。
胸に渦巻く思いを振り払うように。
⸻
◆薄暗い聖堂の前で
教会の扉に手をかける。
ミサ後の教会は静かで、薄暗い光が残るだけ。
そっと開けようとした、その瞬間——
扉の隙間から人の気配がした。
「真澄神父……今日は、本当にお疲れさまです」
真里亞の声だ。
普段より少しだけ柔らかく、親密な響き。
「真里亞、君が支えてくれるから続けられるよ。いつも助かっている」
父——真澄の声が答える。
聖の心が、ざわりと揺れた。
次の瞬間だった。
真里亞が一歩、真澄に近づく。
白いヴェールがほのかに揺れ、
真澄の頬へ、そっと指が触れた。
「……神父様」
そのまま——
真里亞の唇が、真澄の唇に重なった。
一瞬の沈黙。
聖の時間が止まった。
真澄は驚いたようにわずかに体を硬くしたが、
拒む気配はなかった。
(やだ……嘘……)
扉の影に隠れたまま、
聖は声を上げることも、逃げることもできなかった。
胸の奥が焼けるように痛い。
涙が勝手にあふれて止まらない。
(神父様……どうして……
私、こんな気持ちになるの……?
どうして……どうしてこんなに苦しいの……)
祈りの言葉も浮かばない。
ただ、痛みだけが彼女を支配していた。
十字架のペンダントが震える指先で強く握られる。
——この瞬間、聖は自分の気持ちを完全に理解した。
彼女は、義父を愛している。
誰よりも深く、誰にも言えない形で。
そしてその愛は、
優しい修道女にあっさり奪われていくのだと、
残酷なほど鮮明に。
(扉の陰で崩れ落ちそうな聖)
(教会の冷たい床板が爪先に食い込む)
真里亞の唇がゆっくり離れると、二人の間にかすかな吐息が揺れた。
真澄神父の肩が微かに震えているのが、距離があってもわかる。
「こんなことは……許されない」
掠れた声。
しかし真里亞は、そんな言葉さえ包み込むように微笑んだ。
「誰も見ていないのに?」
白いヴェールを指先で持ち上げながら、彼女はそっと神父の首筋に頬を寄せる。
衣擦れの音。二人の影が淡く溶けていく。
(ああ……もうやめて……お願い……)
聖の心が叫ぶ。しかし喉は石のように塞がれたままだ。
聖堂の高い窓から差し込む西陽が、二人の姿を不気味なオレンジに染め上げる。
(これは夢だ。きっと悪い夢……)
真里亞の手が真澄神父の法衣の裾を探る。
布地が引き裂かれるような音。金具の落ちる金属音。
真澄はわずかに身を引いたが、真里亞の指が彼の腰骨を捕らえる。
「力を抜いて」
耳元で囁く声。その甘さに聖の胸が張り裂けそうになる。
真澄の背中が壁に押し付けられ、真里亞が正面から跨るように膝を乗せる。
法衣の隙間から覗く神父の肌は、汗ばんで光っていた。
「神父様……ずっとこうなりたかった」
真里亞の声が滲む。彼女のヴェールが垂れ下がり、二人の顔を隠す。
けれど重なる息遣いだけが聖の鼓膜を打つ。
(違う……真澄さんはそんなことしない……信じてたのに!)
真澄が呻くような声を漏らした。
それは抗議か、あるいは恍惚か。
真里亞は動きを止めず、腰をゆっくり沈めていく。
(やめて……やめてよ……真里亞さん……!)
聖の目に涙が溢れる。十字架を握りしめる手が痺れてくる。
(どうして私じゃないの……?)
喉の奥で詰まっていた言葉がこぼれる。
「……神父様ぁ……」
無意識に漏れた自分の声にハッとする。
壁の向こうで真里亞が小さく笑った気がした。
真澄の腕が真里亞の背に回る。
それが最後の一線を越えた証拠のように。
床を踏み鳴らす足音。荒い息。
聖の視界が霞んでいく。
(これが……私が欲しかったもの……?)
胸が引き裂かれそうなのに、身体のどこかが熱い。
義父の喘ぎと真里亞の嬌声が混ざり合う。
「神父様……もっと……!」
聖は唇を噛みしめた。血の味が広がる。
(私ならもっと綺麗にできる。私ならもっと優しく……)
妄想と嫉妬が絡み合い、彼女は自分の指先をスカートの中にねじ込んでいた。
見ている前で真里亞が弾むように腰を振っている。
聖も父親のペニスに自らの処女を貫かれることを想像してオナニーをした。14歳の少女にとって初めての自慰行為だった。
真里亞の嬌声が天井へ吸い込まれる。
彼女の背が弓なりに反り、髪が宙に散る。
「あ……あぁっ……!神父様……!」
その叫びは聖堂の隅々まで震わせた。
真澄の歯軋りが聞こえる。彼もまた限界だった。
「出すぞ……受け取れ……!」
男の咆哮と同時に、真里亞の体が痙攣する。
二人の影が一つになって揺れ、やがて静寂が訪れる。
真里亞が淫靡な喘ぎと共に絶頂に達する姿は、聖にとって衝撃だった。聖の父である神父・真澄が獣のような声をあげて果てる瞬間、聖は自分の中でも何かがはじけるのを感じた。
その瞬間だった。
聖の下腹部に灼熱の波が押し寄せた。
(ああ……わたしも……同じことを……)
指先が濡れた布地の上を行き交う。
自分でも制御できない衝動に飲み込まれ、聖は壁にもたれかかる。
涙が頬を伝いながらも、身体は裏腹に激しく昂ぶっていた。
「神父様ぁ……」
かすれた声が漏れる。
真澄の声が頭の中で何度も反響する。
『聖』
あの時と同じように呼ばれている気がした。
(あ……イク……イっちゃう……!)
股間から突き上げる衝撃。
腰が勝手に跳ね上がり、喉が乾いた悲鳴を抑える。
全身がバラバラになりそうなほどの快感の中で、聖は自らの指を噛み締めた。
血の味。
罪の味。
だがそれは確かに――彼女が味わった最初の快楽だった。
扉越しに聞こえる荒い呼吸。
真里亞が優しく囁いている。
「大丈夫ですよ……神父様」
「このことはわたしたちだけの秘密」
聖はふたりの会話を聞きながら、ゆっくりと床にへたり込んだ。
スカートに滴る雫を隠すこともできない。
指先を離せば糸が引いている。
(わたし……何を……)
十字架を握る手が震える。
自分が求めていたものを得たはずなのに、心は闇に落ちていくばかりだった。
罪の悦びと罰の予感が混ざり合って胸を締めつける。
(ごめんなさい……神様……)
聖は濡れた瞳で夜の闇を見上げた。
満月が雲間から覗き、教会の尖塔を照らしている。
その光景はまるで、祝福されているようにも断罪されているようにも見えた。
夜の教会。
ミサの灯りが落ち、静寂が降りていた。
聖は一度家に戻ったものの、眠れなかった。
胸の奥が焼けつくようで、涙が溢れても止まらない。
(このままじゃ、いけない……
隠していても、苦しいだけ。
神様にも、お父さんにも、嘘をついてる……)
震える手で十字架を握りしめ、
聖は深夜の教会へと戻った。
聖堂の中央で、真澄はまだ片付けをしていた。
彼女の姿を見ると、真澄は少し驚いたように歩み寄る。
「聖……? こんな時間にどうしたんだ。
顔が赤いし……泣いていたのか?」
その優しい声がまた胸を締めつけ、
聖は逃げられなくなった。
「……お父さん、あの……お願いがあります」
「なんでも言いなさい」
聖は顔を上げる。
涙で濡れた瞳が、まっすぐ真澄を見据える。
「……懺悔を聞いてください。
告解室じゃなくていい……。
“娘の私”としてじゃなく……“一人の信者”として……」
真澄は息を呑んだ。
ただならぬ気配を悟る。
「……分かった。聞こう」
二人は聖堂の椅子に向かい合って座る。
薄暗い灯りの下、聖は両手をぎゅっと握りしめた
◆告白——全てを失う覚悟
「……お父さん。
私……ずっと、自分でもどうしてか分からなかった気持ちが……今日、はっきり分かってしまいました」
声が震える。
だけど、逃げる気配はない。
(ここで言えば、きっと軽蔑される。
父としても……神父としても……許されるはずがない)
唇を噛みしめて、聖は続ける。
「……真里亞さんと、お父さんが……キスしているのを見ました」
真澄の表情が固まる。
聖の胸が痛む。
(やっぱり……言わなければよかった……)
でも、言わなければ前に進めない。
「そのとき、胸が……すごく苦しくなって……
嫌で……怖くて……悔しくて……
どうして私、こんな気持ちになるのか……ずっと考えて……」
涙がぽろぽろと溢れ出す。
「分かったんです……
私……お父さんのことが……好きなんです。
父親としてじゃなく……神様に祈る気持ちでもなく……」
顔を覆い、震える声で続ける。
「ひとりの……異性として……
お父さんを……好きなんですっ……!」
深く、深く息を吐き、
膝の上に置かれた小さな手が、涙で濡れる。
「軽蔑していいです……
怒っていい……
こんな気持ち、間違ってるって分かってます……
でも……どうしても止められないんです……!」
最後の言葉は、泣きながらの叫びだった。
聖はすべてを失う覚悟を決め、
顔を上げた。
涙に濡れたまま——
しかし逃げない瞳。
「お父さん……
どうか……軽蔑してください……
罰してください……
私は……罪を犯してしまったから……」
その真っ直ぐな言葉は、
真澄の胸を、鋭い刃のように貫いた。
目の前の少女は、
ただの“娘”ではない。
誰よりも純粋で、
誰よりも真剣に、
自分に想いを向けていた。
真澄は言葉を失う。
父としての正しさも、神父としての戒律も、
すべて崩れていく音がした。
告白を聞いた真澄は、長く、深い沈黙に沈んだ。
聖は震えながら、ただ彼の返答を待つしかなかった。
軽蔑されると思っていた。
拒絶されると思っていた。
けれど——
「……聖。こちらにおいで」
真澄の声は、思いがけないほど優しかった。
聖が戸惑って顔を上げると、
真澄はゆっくりと片膝をつき、
彼女の目線に合わせた。
「お前の気持ちを、軽蔑なんてしない。罰を与えたりなんかしない
むしろ……その正直さに、私は胸を打たれている」
「……お父さん……?」
聖は泣きそうな顔で彼を見る。
真澄はそっと、彼女の濡れた頬に指を添えた。
「聖書にはこう書かれている。
——“愛は忍耐強く、情け深い。
ねたまず、高ぶらず、礼を失せず。
全てを耐え、全てを信じ、全てを望み、全てに耐える”(コリント前書13章)」
真澄の言葉は静かで、どこか痛みを含んでいた。
「お前の気持ちは、罪ではない。
人を深く想う心は、どんな形であっても、神が与えたものだ。
ただ——」
聖は息を呑む。
「その愛をどう形にするかは、私たち人間が選ばねばならない。
壊す愛ではなく、救う愛として。」
そう言って、真澄はそっと聖を抱きしめた。
父として、守るべき子どもを抱きしめるように。
「聖……お前は私の大切な娘だ。
世界の誰よりも、尊い存在だ。
その心を責める必要はない。
苦しいのなら、私が抱きしめている。
泣いてもいい……聖」
その腕の中で、聖は堰を切ったように泣き崩れた。
「……すき……すき、なの……
でも……どうしたらいいか……分からない……っ」
「分からなくていい。今はただ、その気持ちを抱えて生きていけばいい。
私は必ずそばにいる」
聖の涙が真澄の肩を濡らす。
{
真澄は聖に優しく口づけをする。まるで聖書を教えるように娘の幼い体に性の手ほどきをしていく。その手はどこまでも告白を聞いた真澄は、長く、深い沈黙に沈んだ。
聖は震えながら、ただ彼の返答を待つしかなかった。
軽蔑されると思っていた。
拒絶されると思っていた。
けれど——
「……聖。こちらにおいで」
真澄の声は、思いがけないほど優しかった。
聖が戸惑って顔を上げると、
真澄はゆっくりと片膝をつき、
彼女の目線に合わせた。
「お前の気持ちを、軽蔑なんてしない。
むしろ……その正直さに、私は胸を打たれている」
「……お父さん……?」
聖は泣きそうな顔で彼を見る。
真澄はそっと、彼女の濡れた頬に指を添えた。
決して“愛する男”としてではない。
苦しむ少女を救おうとする、父と牧師の手だった。
「聖書にはこう書かれている。
——“愛は忍耐強く、情け深い。
ねたまず、高ぶらず、礼を失せず。
全てを耐え、全てを信じ、全てを望み、全てに耐える”(コリント前書13章)」
真澄の言葉は静かで、どこか痛みを含んでいた。
「お前の気持ちは、罪ではない。
人を深く想う心は、どんな形であっても、神が与えたものだ。
ただ——」
聖は息を呑む。
「その愛をどう形にするかは、
私たち人間が選ばねばならない。
壊す愛ではなく、救う愛として。」
そう言って、真澄はそっと聖を抱きしめた。
父として、守るべき子どもを抱きしめるように。
「聖……お前は私の大切な娘だ。
世界の誰よりも、尊い存在だ。
その心を責める必要はない。
苦しいのなら、私が抱きしめている。
泣いてもいい……聖」
その腕の中で、聖は堰を切ったように泣き崩れた。
「……すき……すき、なの……
でも……どうしたらいいか……分からない……っ」
「分からなくていい。
今はただ、その気持ちを抱えて生きていけばいい。
私は必ずそばにいる」
聖の涙が真澄の肩を濡らす。
真澄は聖の告白を受け止めると、長い沈黙の後、決然と席を立った。
「……聖。聖堂の奥にある小部屋を使おう。ここでは……誰かに見られてしまうかもしれない」
その声には普段の温厚さとは異なる、鋼のような意思が宿っていた。
聖は震える手で十字架を握りしめながら、黙って従った。
聖堂奥の小部屋
木製のドアが閉ざされると、外の風の音さえ遠のいた。
蝋燭一本だけが、二人の影を長く伸ばす。
「お父さん……?」
聖の声はか細く震えていた。恐怖と期待が入り混じる。
真澄は深く息をつき、跪いた。
「聖……今からすることは、許されることではない。だが——お前の苦しみを…父として…見過ごすことなどできない」
彼はそっと手を伸ばし、聖の頬に触れた。
「もし躊躇うなら、今すぐにやめよう。だが……お前が求めている限りは……私自身がそれを拒絶することもできない、」
聖は目を伏せ、涙を堪えたままうなずいた。
「やめないで……ほしいです……」
真澄はゆっくりと顔を近づけた。
唇と唇が触れ合う瞬間——それはまるで祈りのように静かで、しかし燃えるような熱を持っていた。
「んっ……ふぅ……」
聖の唇から吐息が漏れる。
真澄は一度離し、もう一度深く重ねた。
舌先がほんの僅かに触れる程度のキスだったが、聖の脳裏は炎のように熱くなった。
「お父さんの……くちびる……あったかい……」
彼女は呟くように言った。
「もっと……教えてほしいです。罪を知るために……聖書を読むみたいに……」
真澄はセーラー服のリボンを丁寧に解き、ブラウスのボタンをひとつずつ外していった。
その指先は厳粛さすら感じさせるほど慎重で、まるで貴重な聖遺物を扱うようだった。
「聖……あなたの体は美しい。それは神によって創られた祝福だ」
彼は胸元に顔を寄せ、そっと肌に口づけた。
聖の小さな膨らみを指先で包み込み、優しく撫でる。
「んっ……やぁっ……!」
思わず声が上がる。
「恥ずかしい……けど……嬉しいの……お父さんにさわってもらうの……」
真澄の唇が乳首に触れた瞬間、聖は弓なりに身体を反らせた。
「ひゃっ……!?」
「聖……これからお前の純潔を、私が貰う。これは贖罪ではない。愛の誓いだ、私はこれからいかなる時もお前を守り、お前を尊重するだろう。私の命はお前のものだ。」
真澄はスカートをたくし上げ、白いショーツに指をかけた。
聖は自ら腰を浮かせ、協力するようにする。
「……お父さん……私をもらってください……」
彼女は両足を大きく開き、まだ穢れを知らない秘所をさらけ出した。
真澄はその中心に掌を当て、じっくりと潤いを確かめる。
「濡れている……私のことを想って……?」
聖は頬を染めながらもしっかりと頷いた。
「はい……だって……ずっとお父さんのことしか考えられなかったから……」
真澄はズボンを下げ、自らの屹立した部分を露わにした。
聖は羞恥と憧憬が入り混じった眼差しでそれを見つめる。
「……おっきい……」
彼女はそっと手を伸ばし、触れる。
「これで……わたしの中に……入ってくるんですね……」
真澄は彼女の肩を抱きしめながら、ゆっくりと腰を沈めた。
「痛いかもしれない……耐えられるか?」
「……平気です……お父さんと繋がれるなら……痛くても……いいっ…貫いてください。私を、罪深い、私を断罪の槍の如くたくましいお父さんの、、で…!ん゛っ……!?」
鈍い圧迫感と共に、聖の体が硬直した。
亀頭が膣口を押し広げ、一気に奥へと押し入っていく。
「くぁっ……! ふっ……うぅぅっ……!!」
涙が滲む。
破瓜の痛みに身体が震えるが、それでも彼女は歯を食いしばって耐えた。
「おとうさ……っ…わたしっ……ひとつになれ……たの……?」
真澄は彼女の額に口づけを落とし、囁く。
「ああ……私たちは……いま一つになった。永遠に」
しばらくの静寂の後、真澄はゆっくりと腰を引き始めた。
内側が引っ張られる感覚に、聖は戸惑う。
「なに……これ……抜けるの……?」
再び押し入れられる。
「くぅっ……!」
引き抜かれ、挿し込まれるたびに、痛みの中に奇妙な疼きが芽生え始める。
「ん……変な感じ……体のなか……ゆすられて……」
次第に聖の息が速くなる。
「あっ……おとうさん……なんか……さっきとちがう……おなかのおく……じんじんする……!」
真澄は角度を変えながら更に抽送を繰り返す。
「どうだ…その未熟な体で、男のモノに貫かれて…気持ちよくなる感覚が分かるか……?」
「は……いっ……! きもちいい……かも……っ」
聖の声が次第に艶めかしくなり、内壁が真澄をぎゅっと締めつける。
「ふぅっ……ん…! おとうさんの……なかで……びくびくしてる……
聖の膣内が痙攣するように収縮し始める。
「あぁっ……あっ……あああっ……!!」
「聖……この感覚が絶頂だ。体が私を求めている証拠だ」
真澄は腰を打ち付ける速度を早める。
肉同士がぶつかり合う音が部屋に響く。
「こわい……変になっちゃう……! 体が勝手に……跳ねちゃう……!」
聖はシーツを掴みながら悶えた。
「安心していい、ちゃんと外に出すからね。き
「出して……いいです……わたしのなかに……ぜんぶ……!」
彼女は細い両足を父親の腰に絡めた。そして小さな体で思いっきり父親のたくましい体に抱きついた。
「くっ……出る……!」
真澄のペニスが膨れ上がり、聖の最奥で爆ぜる。たくましい大人の体が、細い小さな少女の体をぎゅっと抱きしめた。
「あぁぁっ……!!」
同時に聖の背が大きく弓なりになり、初めての絶頂を迎えた。
「んんぅ〜〜っ……!!」
子宮に放たれる熱い迸りを全身で受け止める。
涙と涎と汗が入り混じり、彼女の顔は恍惚の色に染まっていた。
「おとうさんの……おなかのなかで……どくどくしてる……すごい……あったかい……
射精を終えた真澄は静かに聖を抱きしめた。
「よく頑張ったな……聖」
「うん……しあわせ……おとうさんとつながって……しあわせ……」
彼女は裸のまま彼の胸に顔を埋める。
「でも……これで本当に……いいの……? おとうさん……神父様なのに……」
真澄は額に口づけし、答えた。
「愛とは時に規範を超える。だが……それはお互いを思いやる心があればこそ成り立つのだ」
彼はそっと聖の乱れた髪を撫でた。
「たとえ世間が認めなくても……お前と私は永遠に結ばれた。この記憶だけは……誰にも奪えない」
聖は結合部から流れ出る白濁液を見て微笑んだ。
「これ……赤ちゃんのもと……だよね?」
「そうだ。だが無責任に命を作ることは避けねばならない」
「……うん。でも……いつかは……ちゃんと産んでみたい……おとうさんの赤ちゃん……」
彼女は小悪魔のように目を細めた。
「ふふ……わたしたち……悪い子だね……神様に怒られちゃうかも……」
真澄は苦笑しながらも、彼女の唇に優しくキスを落とした。
「ならば共に罰を受けよう。ただし……お互いを愛することでしか償えないと信じて」
聖は衣服を整えながら、蝋燭の火を見つめた。
「今日のこと……絶対に忘れません。一生の宝物です」
「私もだ。お前を傷つけてしまったかもしれんが……同時に救われたようにも思う」
二人はドアの前で見つめ合い、互いの顔に浮かぶ覚悟を感じ取った。
聖堂を出る直前、二人は十字架に向き直り、祈りを捧げた。
それは懺悔ではなく、新たなる愛の誕生に対する感謝の祈りだった。
「神よ……どうか我々の過ちをお赦しください……
そして……この愛を守り給え……」
窓の外で空が白み始める。
罪深き祝福が二人を包み込みながら——新たな一日が始まろうとしていた。