高尾椿は中学二年生だった。
商店街の外れにある小さな定食屋「たかお食堂」の看板娘である。
朝五時半。
まだ空が薄暗いうちから椿は起きる。
制服に着替える前にエプロンを身につけ、店の掃除を始めるのが日課だった。
「おじいちゃん、おはよう!」
「おう、椿。今日も早いな」
厨房では白髪の老人、高尾源蔵が味噌汁の仕込みをしていた。
源蔵は椿の祖父だ。
十年前、この店を妻と共に始めた。
そして五年前。
椿の両親は交通事故で帰らぬ人となった。
休日に家族旅行へ向かう途中だった。
突然の事故だった。
椿はまだ小学三年生。
泣きじゃくる椿を抱きしめたのは源蔵だった。
「大丈夫だ。お前は爺ちゃんが守る」
あの日から二人暮らしが始まった。
最初の頃は毎晩泣いていた椿も、今では立派に店を支える存在になっている。
店が開く午前十一時。
商店街の人々が次々とやってくる。
「おう、椿ちゃん!」
魚屋の佐々木が手を振る。
「こんにちは!」
椿は満面の笑みで返した。
「今日も可愛いなあ」
「もう、おじさん!」
顔を赤くして頬を膨らませる。
すると店内の常連客たちから笑い声が上がった。
たかお食堂には不思議な空気があった。
みんな椿を孫のように可愛がっていた。
学校帰りの高校生。
仕事帰りの会社員。
商店街のお年寄り。
誰もが椿の成長を見守っていた。
「椿ちゃん、勉強はどうだい?」
「数学が難しくて……」
「ははは、俺も苦手だったな」
そんな何気ない会話が毎日交わされる。
ある冬の日だった。
閉店後、椿は帳簿をつけながら大きなため息をついた。
「どうした?」
源蔵が尋ねる。
「なんでもないよ」
そう言ったものの、顔は暗い。
その日の帰り道。
商店街の街灯の下で立ち止まった。
店の前に飾られている家族写真が目に入る。
若い父と母。
その間で笑う小さな自分。
胸が少し痛くなった。
本当は今でも寂しい。
運動会も。
授業参観も。
進路相談も。
友達が当たり前のように話す家族の話を聞くたびに、心のどこかが少しだけ疼く。
ぽろりと涙がこぼれた。
その時だった。
「椿ちゃん?」
振り返ると商店街の花屋の奥さんがいた。
「どうしたの?」
椿は慌てて涙を拭く。
「なんでもないです」
だが奥さんは優しく頭を撫でた。
「無理しなくていいのよ」
その一言で涙が溢れた。
翌日。
なぜか店にはいつも以上に客が集まった。
魚屋が新鮮なアジを持ってきた。
八百屋がおまけの野菜を山ほど置いていく。
パン屋のおじさんは焼きたてのメロンパンを差し入れた。
「みんな、どうしたんですか?」
椿が首を傾げる。
すると常連客の一人が笑った。
「椿ちゃんが元気ないと商店街も元気なくなるからな」
「え?」
「みんな心配してるんだよ」
店内の全員が頷いた。
椿は言葉を失った。
自分は一人じゃなかった。
両親はいない。
けれど見守ってくれる人はたくさんいる。
源蔵が不器用に咳払いした。
「ほら椿。注文だ」
「うん!」
椿は大きく返事をした。
そして笑顔で客席へ向かう。
「お待たせしました! 唐揚げ定食です!」
店内に拍手が起きる。
「そんなの恥ずかしいよ!」
椿は真っ赤になった。
笑い声が広がる。
夕暮れのたかお食堂。
温かな灯りの中で、人々は今日も食事を楽しんでいる。
椿は忙しそうに店内を走り回る。
その姿を見ながら源蔵は静かに呟いた。
「お前の父ちゃんも母ちゃんも、きっと誇りに思ってるぞ」
椿は少しだけ空を見上げた。
夕焼けの向こうにいる二人へ。
――私、頑張ってるよ。
そう心の中で語りかけながら、少女は今日も笑顔で働き続けるのだった。
歪む夕暮れ
中学二年生の冬、高尾椿の世界は音を立てて歪み始めた。
きっかけは祖父・源蔵の倒れだった。
いつものように味噌汁の仕込みをしていた朝、源蔵は突然厨房の床に崩れ落ちた。救急車のサイレンの音が、椿の平穏な日常を引き裂いた。
脳梗塞。命に別状はなかったが、源蔵の右半身はもう動かない。長い入院とリハビリの日々。そして「たかお食堂」は無期限の休業を余儀なくされた。
「私が店をやる」
椿は言った。源蔵が泣きそうな顔で止めたが、椿は聞かなかった。今まで店を支えてくれた商店街の人々に恩返しをしたかった。両親の代わりに自分を育ててくれた祖父の居場所を守りたかった。
だが、十四歳の少女に店の切り盛りは重すぎた。
仕入れ、調理、接客、皿洗い。慣れない作業に追われ、学校へ行くのもおろそかになる。深夜まで店の片付けをし、翌朝はまた仕込み。睡眠時間は削られ、頬はこけ、目の下には隈ができた。
「椿ちゃん、無理しなくていいんだよ」
魚屋の佐々木が心配そうに声をかける。
「大丈夫です」と椿は笑う。だがその笑顔は、以前のような満面のものではなく、どこか引きつった、作り物めいたものになっていた。
そんな椿に手を差し伸べたのは、源蔵の見舞いに来ていた彼だった。
桐生蓮司。二十歳。近くの大学に通う源蔵の遠縁の親戚。
「手伝いましょうか」と彼は言った。整った顔立ち、物腰は柔らかだが、その瞳の奥には温度のない冷たい光が宿っている。源蔵は迷ったが、椿の疲労を見て承諾した。
蓮司は有能だった。手際よく厨房を仕切り、接客もこなす。椿の負担は劇的に減った。しかし、彼が来てから店の空気は変わった。
蓮司は客の前では愛想が良かったが、椿と二人きりになると、ふと仮面を外したような顔を見せた。
「ねえ、椿ちゃん。なんでそこまで頑張るの?」
閉店後、帳簿をつける椿に、蓮司は缶ビールを傾けながら言った。
「お爺ちゃんのためだもん」
「お爺ちゃんは病院で生きてる。この店がなくても死なないよ」
「……そんなこと言わないで」
「誰かのために自分を壊すなんて、馬鹿みたいだと思わない?」
椿は言葉に詰まった。蓮司の言葉は棘のように心に刺さる。否定したかったが、疲れ切った体と心は、その棘を拒絶できなかった。
蓮司は少しずつ、椿の心の土台を削っていった。
「商店街の人たちも、結局は自分たちのために椿ちゃんを使ってるだけだよ」
「お爺ちゃんだって、君の人生を縛り付けてるだけじゃないか」
「優しさなんて、見返りを求めるただのエゴだよ」
彼の言葉は毒だった。けれど、追い詰められた椿にとって、その毒は甘美な麻薬のように響いた。自分は犠牲になっている。自分は搾取されている。そう思うことで、今の苦痛が少しだけ正当化されたから。
次第に椿は変わっていった。
学校を休みがちになった。友人からの連絡を無視するようになった。店に来る客への挨拶もぞんざいになり、「可愛いね」とからかう佐々木には「うるさい」と吐き捨てるようになった。
商店街の人々は困惑し、そして悲しんだ。しかし、誰も椿の心に届かなかった。彼女は蓮司の作り出した歪んだ世界に閉じこもり、外を拒絶していた。
ある雪の降る夜のことだった。
閉店後、源蔵の見舞いに行く気力もなく、店の奥の部屋でぼんやりとしていた椿に、蓮司が近づいてきた。
「疲れてるね」と彼は言い、椿の肩を抱いた。
以前の椿なら振りほどいただろう。でも今の彼女には、それをする気力も、それが不適切だという感覚も麻痺していた。
「お爺ちゃんの代わりじゃなくて、自分のために生きなよ」
蓮司の顔が近づく。タバコと安いアルコールの匂い。椿は目を閉じた。
「寂しいだろう。俺が慰めてやるぜ。」
蓮司の唇が、逃げ場を失った椿のそれを塞いだ。
冷たい感触。タバコの苦い味が口腔内に侵入してくる。
「……っ!」
椿は一瞬、息を呑み、反射的に身体を硬直させた。遅れてやってきた嫌悪感に突き動かされ、胸を押し退けようと両手を突き出す。だが、十四歳の少女の細腕など、二十歳の男の力の前では赤子同然だった。
「んぅ……っ、いや……!」
声にならない拒絶が、蓮司の口の中に吸い込まれていく。もがけばもがくほど、蓮司の腕は椿の身体を強く拘束した。まるで獲物を逃がさない捕食者のように。
唇が離れた瞬間、椿は激しく咳き込んだ。酸素を求めて喘ぐ間も与えられない。
「何を……するの……」
潤んだ瞳で見上げる椿に、蓮司は冷ややかな笑みを浮かべた。その目には、哀れみも情欲もない。ただ、手に入れた獲物を試すような、無機質な光があった。
「自分のために生きるって、教えてあげただけだよ」
彼の手が、椿の肩を強く押した。
よろめく脚。背中が、冷え切った畳に打ち付けられる。鈍い衝撃が背骨を駆け上がり、一瞬呼吸が止まった。
「いたっ……」
見下ろす蓮司の影が、天井の薄暗い照明に黒く伸びて、椿の上に落ちる。圧倒的な質量。逃げられないという恐怖が、心臓を鷲掴みにした。
「離れて……お願い……」
椿は這うように後退ろうとしたが、蓮司は逃がさないとばかりに膝を割り込み、椿の身体を自身の下に封じ込めた。
「お爺ちゃんのために、商店街のためにって、自分を犠牲にしてる自分に酔ってたんだろ? でも、それもう終わり」
蓮司の指先が、椿の制服の襟元にかかる。ブラウスの第一ボタン。冷たい指先が首筋にかすかに触れ、椿の肌に鳥肌が立った。
「やめて……!」
椿は再び抵抗しようと腕を振り上げたが、蓮司は片手でその両手首を難なく掴み上げ、頭上にねじ伏せた。自由を奪われた無力感。ただでさえ疲労困憊していた体は、万全の状態でも抗えないことを無慈悲に突きつけられる。
パチリ。
静かな部屋に、小さな音が響いた。第一ボタンが外された音。
「いやぁ……っ!」
椿は首を振り、涙を散らした。恐怖と屈辱で全身が震える。心の奥底で「間違っている」と警鐘が鳴り響くのに、身体は鉛のように重く、蓮司の支配下から抜け出すことができない。
パチリ。パチリ。
無慈悲な音が、規則的に続く。蓮司の手つきは淡々としていた。剥ぐというよりは、梱包を解く作業のような事務的な冷たさ。ブラウスの前が開かれ、十四歳の未成熟な肌が、冬の冷気と男の視線に晒される。
「綺麗だね、椿ちゃん。誰にも見せたことない顔も、身体も、全部俺のものだ」
蓮司の視線が舐めるように肌の上を這う。その目光は、椿がこれまで感じてきた商店街の人々の温かな眼差しとはあまりにも違っていた。所有と支配。搾取と破壊。
椿はただ、声も出せずに涙を流すことしかできなかった。自分の世界が、音を立てて崩れ去っていくのを感じながら。
冷え切った畳の上、無惨に前が開かれたブラウスの下で、椿の肌は粟立っていた。寒さのせいではない。見下ろす蓮司の瞳に、自分が「人間」ではなく「物」として映っているという直感的な恐怖が、全身を駆け巡っていた。
「んぅ……っ!」
蓮司が再び顔を近づけ、椿の唇を塞いだ。前回の掠めるような接触とは違う、蹂躙するような深い口づけだった。椿は必死に唇を引き結び、顔を背けようとした。だが、蓮司は顎を強引に掴み、固定する。鼻を摘まれ、呼吸ができなくなり、苦悶に唇が緩んだ瞬間、濡れた舌が強引に歯列を割って侵入してきた。
粘着質な蠢き。タバコの苦味と酒の酸味が、口腔という聖域を侵略し、味蕾を汚染していく。椿は喉の奥から嗚咽を漏らし、逃げ場を探して舌を捩ったが、それすらも蓮司の舌に絡め取られ、蠢く臓器のように弄ばれた。自分の唾液ではない、異物の体温が粘膜を焼くような錯覚。嘔吐感が込み上げるが、唇を塞がれたままでは吐き出すことすら許されない。
「っぁ、ふ……ぅぐっ!」
酸素を求めて鼻から息を吸い上げるたびに、蓮司の吐息と唾液がさらに深く送り込まれる。拒絶の声は、すべて甘い水音に変わって部屋に響いた。長く、執拗な口づけに、椿の肺が悲鳴を上げ、視界が白く明滅し始めた頃、ようやく蓮司は唇を離した。
銀色の糸が引く。椿は激しく咳き込み、酸素を貪るように喘いだ。涙でぐしゃぐしゃになった顔。逃げようとする意識とは裏腹に、唇は熱を持ち、腫れたように充血していた。
「……い、や……っ」
掠れた声で拒絶の言葉を紡ごうとするが、蓮司は聞く耳を持たなかった。彼の視線は、露わになった椿の胸元に釘付けになっていた。まだ発育途上の、丸みを帯び始めたばかりの小さな膨らみ。寒さと恐怖で色を失い、震えている。
蓮司の無骨な指先が、その脆弱な曲線に触れた。慄く小動物を追い詰めるような、ぞっとするほど緩慢な動作だった。
「っ!?」
指先が、淡い桜色の突起に触れた瞬間、電流が走ったような衝撃が椿の背骨を駆け上がった。痛いほどに冷たい指先が、最も敏感な蕾を無慈悲に摘み上げた。
「あぐ……っ! や、やめ……!」
爪が食い込む。肉を引き千切られるような激痛に、椿は背を反らし、縛られた手首を振り回して抵抗した。だが、蓮司は容赦なくその指先に力を込め、乳首を捏ね回した。
「ひぃっ、ああっ……! いたい、痛いゥッ……!」
未熟な器官は過剰な刺激に耐えきれず、焼けるような痛みと、痺れるような感覚を同時に信号として脳へ送り続ける。潤滑油も労りもない、ただの暴力としての愛撫。皮膚が擦れ、内側の神経が露出してしまうような残酷な責め苦。
蓮司はもう片方の手で、今度は反対側の乳首を親指と人指し指で挟み込み、強く吸い出すように捻り上げた。
「いやぁっ! ひっ、ぐぅ……っ! やだ、やだやだやだッ!」
椿は畳の上で身をよじり、逃れようと足をバタつかせた。しかし、蓮司の体重がのしかかった膝がそれを封じ込める。痛みに耐えきれず、涙がとめどなく溢れ、頬を伝って畳に吸い込まれていく。胸の上で指が踊るたびに、椿の口からは言葉にならない悲鳴が漏れ出した。
「ほら、こんなに硬くなって」蓮司が耳元で囁く。低く、楽しんでいるような声。
事実、過剰な刺激に晒された乳首は、抗えない生理現象として硬く尖り、充血して赤みを帯びていた。自分の意思に反して身体だけが反応し、追い詰められていく事実が、椿の心を絶望の底へと突き落とす。自分の体が、自分のものではなくなっていく感覚。
「いや……っ、ほんとに、やめて……おねが、い……」
泣きじゃくり、懇願する椿の顔を冷ややかに見下ろしながら、蓮司は乳首を爪で弾いた。ピン、と乾いた音が響くたびに、椿の身体は跳ね、喉の奥から短い悲鳴を絞り出した。
肉の蠢きが止む気配はない。むしろ、その惨めな抵抗を楽しむかのように、蓮司の指は執拗さを増していた。先ほどまでのキスの湿り気を残す唇が、今度は赤く腫れた乳首に寄せられた。
「っ!? んぅぅぅっ!!」
温かい口腔に包まれた瞬間、痛みと異質な快感が混ざり合い、椿の脳髄を焼き尽くした。舌が荒っぽく乳首を舐め回し、歯が軽く噛みつく。吸い上げられるたびに、子宮の奥が鉛のように重く疼き、足の間に痺れるような熱が滲んだ。
「あ、あぁっ……だめ、そこ……っ! ひぁっ、あぅ……!」
拒絶の言葉とは裏腹に、声は甘く歪み、息が上がっていく。自分の発している声が信じられない。まるで別の生き物が喉の奥に住み着き、嬌声を上げているようだ。屈辱が胃の底から込み上げ、涙がさらに溢れた。
蓮司は満足げに顔を離し、唾液で光る乳首を指先でツンと突いた。びくんっ、と椿の身体が反応する。
「体は正直だね、椿ちゃん」
残酷な宣告。椿は目を固く閉じ、首を横に振った。違う、違う、違う。自分はそんな風に感じているわけではない。これは痛みだ。これは暴力だ。そう叫びたいが、喉は痙攣し、まともな言葉を出せない。
蓮司の視線が、さらに下へと移動する。ブレザーとスカート、その境界線。無防備に露出した太ももは、恐怖と冷気で震えていた。
「次は、ここだね」
蓮司の手が、スカートの裾から太ももへと滑り込んだ。ざらついた手のひらが、内側の柔らかな肌を撫で上げる。その感触に、椿は激しい悪寒を覚えた。
「いやっ! 触らないで! 下、汚い……っ!」
椿は必死に膝を閉じようとした。最後の聖域を守ろうとする、本能的な抵抗だった。しかし、蓮司はその細い膝を、片手で無造作にこじ開けた。大人の男の力は絶対的で、十四歳の少女の筋力など紙屑同然だった。
「やだっ! やだぁっ! 開かないで! お願い、お願いします……っ!」
スカートがめくれ上がる。黒の制服、その下の白い下着。蓮司の冷たい指先が、その布地の上から、割れ目をなぞるように押し当てられた。
「ひっ!?」
布一枚を隔てた感触。そこだけが、別の温度を持っているかのように熱く、そして湿っていることに気づき、椿は絶望した。乳首への責め苦で無意識に滲み出ていた体液。
拒絶しているはずなのに、体だけが快楽の兆しを見せているという事実が、椿を生かしたまま殺していった。
「ほら、濡れてる」
蓮司の指が、下着の上から陰唇を挟み込み、上下に擦り上げた。濡れた布が肌に張り付き、摩擦が直接神経を刺激する。
「あぁっ……! うぅっ、やぁ……! そこ、触るな……っ!」
椿は腰を浮かせて逃げようとしたが、蓮司のもう片方の手が腹部を押さえつけ、釘付けにした。指は容赦なく動き続ける。布地を通して、敏感な豆のような硬さを探し当て、そこを執拗に弾いた。
「ひぃっ! あっ、あっ、あっ……! んんぅぅっ!!」
背中が畳に押し付けられ、腰が勝手に跳ねる。頭の奥が真っ白になり、理解できない感覚の奔流に飲み込まれていく。爪先が痙攣し、縛られた手が虚空を掻いた。
「んっ、あっ、だめ……っ! なんか、くる……っ! おかしく、なるぅっ!」
恐怖と嫌悪のはずなのに、身体の芯が熱く溶け出し、痙攣を始めている。逃げ場のない快楽の波。自分が崩壊していく感覚に、椿は悲鳴を上げた。
「あぁぁっ! やだ、やだやだ! いっちゃ、やぁぁっ!!」
ビクンッ、ビクンッ! と、椿の身体が大きく跳ねた。下着の上からでもわかるほど、秘所が激しく収縮し、愛液を溢れさせる。椿は目を見開き、口を大きく開けて喘ぎながら、初めての絶頂に達した。それは快感などではなく、魂が引き裂かれるような恥辱の極致だった。
びくびくと痙攣する椿の身体。蓮司は荒い息をつく椿を見下ろし、冷ややかに笑った。そして、濡れて重くなった下着の横から、冷たい指を直接滑り込ませた。
「ひゃぅっ!!」
生の指先が、濡れそぼった秘裂に触れた。熱くとろける粘膜と、氷のように冷たい指の対比。異物感に、椿は再び激しく首を振った。
「いやっ! 入れないで! 直接は、やめ……っ! おじちゃん、助け……っ!」
蓮司は容赦なく、濡れた穴に中指をねじ込んだ。前触れもなく、準備も不足のまま、硬い指が狹い肉壁を無理やり押し広げて侵入してくる。
「あぐぅぅっ!! いたいっ! 痛いぃっ! 裂ける……っ! 裂けちゃうぅっ!!」
鋭い痛みが下腹部を貫く。拒絶する肉壁が指を締め付けるが、それすらも押し通す力で、指はさらに奥へと進んでいく。椿は足をばたつかせ、縛られた手で蓮司の腕を掻きむしろうとしたが、万力のような力で押さえつけられ、指は容赦なく内部を蹂躙した。
「くっ、きついね……。でも、すぐに慣れるよ」
蓮司は指を第二関節まで飲み込ませると、内部の壁を荒っぽく掻き回し始めた。出し入れするたびに、水音が卑猥に響く。ジュプ、ジュチュ、という濡れた音が、椿の拒絶の言葉をかき消した。
「あっ、あっ、うぅっ……! ひぃっ、やめっ、抜いて……! 異物が、変なのが入ってるぅっ!」
指が内壁の一点を強く擦り上げた。
「あぁぁっ!! そこっ、だめぇっ!!」
そこは、椿自身も知らなかった場所だった。乳首への責めとは比較にならない、鋭利な快楽の矢が脳髄を貫く。身体が弓なりに反り、目から涙が噴き出した。痛みと快楽の区別がつかない。ただ、指が動くたびに、自分の意思とは無関係に声が漏れ、腰が揺れる。
「いやっ! ほんとに、いやぁ……っ! あっ、あっ、んぅぅっ! ……っ、ああっ!」
椿はもう、何を叫んでいるのかもわからなかった。「嫌だ」と拒みながら、その声は甘く裏返り、喘ぎと変わっていく。指が奥を突くたびに、子宮が降りてくるような重苦しい感覚に襲われ、足の指が丸まった。
蓮司はもう片方の手で、硬く尖った乳首を再び摘み、強く捻った。
「ひぃっ!! ああっ、あっ、あっ……! だめっ、ふたつ同時っ……! 壊れちゃうぅっ!!」
上下からの同時責め。感覚のキャパシティを超えた刺激が、理性の堤防を崩壊させていく。自分の身体の中で、見知らぬ怪物が暴れ回っているような感覚。指が動くたびに、何かが剥がれ落ちていく。
「いやっ、いやっ、いやぁぁっ!! ……っ、あっ、あぁ……っ、んんっ…イク…!」
椿の口から、明確な拒絶の言葉が消えた。ただ、甘く、切ない嬌声だけが、冷たい部屋に響き渡る。畳の目に刻み込まれるように、少女の尊厳が音を立てて砕け散っていく。
「ガキのくせに、ぐちょぐちょじゃねーかよ。大人しそうな顔してすけべなガキだぜ!今から俺が大人の階段を登らせせてやるよ」
!さあ逝け!ガキ!逝って俺物になれ!」
蓮司の指は容赦なく加速し、最も敏感な前壁を連打し、親指で腫れたクリトリスを強く圧迫した。
「あああああああああっ!!」
椿の背が畳から浮き上がり、全身が痙攣した。声にならない絶叫が喉の奥で引きつり、白濁した視界の中で、自分が完全に壊れてしまったことを悟った。
びちゃびちゃっと潮が噴き出した音が響いた。
畳の上で椿は藻搔いた。 体の中を暴れまわる未知の波から逃れたくて、けれど縛られた腕は虚しく宙を掻くだけで――。 「……や……っ…………!」
拒絶の言葉は嗚咽に潰れて消えた。 蓮司の指が最奥で一度止まり、ゆっくりと引き抜かれていく。 「……あッ―――」
喪失感すら快感に変わっている気がして、椿は自分を殴りつけたくなった。 指が抜けた後も身体は痙攣を繰り返し、足の間からは生暖かい液体が糸を引いて滴り続けた。 (こんなの……わたしじゃない……)
それでも涙腺は壊れた蛇口のようにとめどなく雫を垂れ流す。
「……おいおいマジかよ……」 蓮司の嘲笑。 「これで二度目だぜ?……まだまだ序ノ口だってのに」
下着はすでに役割を果たしておらず――湿った音を立てて足から引き摺りおろされる。 裸の下半身を隠すこともできず、ただ椿は小さく膝を抱えた。
「……見んなっ……」
掠れ声での拒絶。 だが蓮司は構わず顔を近づける。
「へぇ……綺麗じゃねぇかよ」
太ももの内側、膝の裏、脛と――愛液と汗が混じって光る肌を舐めるように見つめる。
「……ッ!……来るな……っ!」 椿はさらに強く自分を抱きしめた。 無駄だと知りつつも。 しかし蓮司の手は執拗に膝を割り開いた。 痙攣の余韻で力の入らない脚はいとも容易く開かされ、再び秘所が露わになる。
「いやっ……お願い……もう許して……」
抵抗の言葉は先ほどと同じだが、声に力はない。 絶頂の余韻と恐怖で心身ともに疲弊し切っていた。 蓮司はベルトのバックルに手をかけ、ズボンを下ろした。 ズボンの下に存在感を主張していたものが露出する。
「……ッ!?」
椿は目を見開いた。 これから何が起きるのか理解できず、ただ圧倒的な絶望感に息を呑む。
「や……入らない……そんなの……」 指一本でさえ痛みを伴っていたのだ。
あんなものが入るわけがない。
「ああ、入るさ。お前の体はもう受け入れる準備ができてる」 蓮司は硬く猛った男根を、椿の濡れた秘所に押し当てた。 熱い。 鉄のように硬く、脈打つ塊。 亀頭が割れ目に沿って上下に滑るたびに、敏感な粘膜がビクビクと反応し、無意識に愛液が滲み出す。
「やだ……やだやだやだ! おじいちゃん……助けて……!」
名を呼ぶが、声は届かない。 源蔵は遠い病院にいる。 この部屋には、歪んだ関係を結んだ二人だけだ。
「ほら、自分から腰を振って食べに来いよ」 蓮司が挑発するように言う。 椿は首を横に振り続けた。
「いや……そんなこと……できない……」
「できないか? できんだろ、この淫乱ガキが」 蓮司は太ももの内側を爪で強く抓った。
「あぐっ!」
痛みに身をよじらせた瞬間、亀頭がわずかに肉壁を押し広げた。
「いっ……!」
圧迫感。 異物が身体の中心をこじ開けようとする恐怖。 本能的な拒絶が働き、椿は必死に身体を強張らせた。
「力抜けよ。 締め付けられると余計に痛いぞ」 蓮司は容赦なく腰を押し進めた。
「あぐぅぅっ!! 痛い! 痛いよぉっ! 裂けるっ! お腹が裂けちゃうぅっ!!」
狹い膣道を無理やりこじ開ける男根。 指とは比べ物にならない質量と太さ。 摩擦の痛みが脳を焼き尽くす。 椿は身体をのけぞらせ、拘束された手で蓮司の腕を掻きむしろうとした。 しかし、万力のような力で腰を掴まれ、逃げることは許されない。
「いやぁっ! 抜いて! お願い! 抜いてぇっ!」
悲鳴を上げる椿に、蓮司は冷酷に告げた。
「まだ先っぽだぜ」
「え……?」
言葉の意味を理解するよりも早く、蓮司は一気に腰を沈めた。
「あぁぁぁぁっ!!!!」
乙女の証が裂ける音など聞こえない。 ただ、肉が引き裂かれるような激痛が下腹部を貫き、椿の目から涙が噴き出した。 息が止まり、視界が白く明滅する。 身体の中に、自分の一部ではない巨大な異物が侵入してきた喪失感。 自分が壊されてしまったという絶望。
「……っ…あ……」
声が出ない。 口を大きく開け、喉を引きつらせながら、椿はただ震えていた。
「い……た…い……」
掠れた声で訴えるが、蓮司は動かない。 奥深くまで埋め込まれた男根が、子宮口を圧迫している。 臓器を押し上げられるような不快感と、内側から暴かれるような屈辱。
「ほら、全部入ったぞ」 蓮司は耳元で囁いた。 「これでお前は俺のものだ」
「……嘘…嘘だ……こんなの……」 椿は首を振った。 「……私…おじいちゃんの……お店の……看板娘……だから……」
必死に自分を繋ぎ止めようとする言葉。 だが、蓮司はその言葉ごと打ち砕くように、腰を動かし始めた。
「んぐっ! あっ! あぐっ! い……たい……っ!」
ピストン運動。 抽挿のたびに、肉壁が引きずられ、摩擦熱が粘膜を焼く。
痛みがすべてだった。 快楽の欠片もない暴力。
「ああっ! あっ! あぁっ! やめっ! おねがっ……やめ……っ!」
椿の悲鳴がリズムを刻む。 畳の上で、少女の尊厳が踏みにじられていく。
蓮司は椿の脚を大きく開かせ、深く貫いた。
「見ろよ。 俺のモノがお前の中に入ってるの、丸見えだぞ」
「見ないっ! 見ないもん! ……あっ! ああっ!」
椿は目を固く閉じた。 見たくない。 認めたくない。 自分が犯されている事実も、それを犯しているのが、源蔵の親戚である男だという事実も。
「……お前の親父も母親も、事故で死んだんだろ? 残されたお前を守るって言った爺さんも、今はただの半身不随の穀潰しだ」
蓮司の言葉が、傷口に塩を塗る。
「やめ……言わないで……!」
「今までお前が笑っていられたのは、周りがチョロかったからだ。 俺がお前のスペアになっただけだ。 そうだろ?」
「違う……! 違うもん……! ……あっ! あぐぅっ!」
言葉による精神攻撃と、身体への責め苦。 二重の暴力に、椿の心は限界を迎えていた。
「お前は俺のモノだ。 たかお食堂の看板娘でも、爺ちゃんの孫でもない。 俺の肉便器だ」
「……いや……だ…」
椿の抵抗は、すでに言葉として形を成さなかった。 ただ、涙が溢れ、身体が痛みと快楽の混乱に翻弄されるままだった。 蓮司の指が再び腫れた乳首を捏ね回し、同時に腰の動きを加速させた。
「ほら! 名乗れよ! お前は何だ!」
「……っ! ああっ! あああっ!!」
強烈な突き上げ。 子宮を打ち抜かれ、椿は背をのけぞらせた。 快楽と苦痛の境界線が完全に崩壊し、脳が真っ白に染まる。
「……れん……じ…の……」
「聞こえねぇな!」
「れんじのっ……肉便器……です……ッ!」
声に出した瞬間、決定的な何かが壊れた。 唇が歪み、嗚泣が快楽の喘ぎへと変わる。
「あぁっ……ああっ……れんじの……びんきょぅ……です……っ!」
自分の口から出た言葉が信じられない。 だが、一度壊れた堰はもう止まらなかった。 身体の芯が熱く溶け出し、蓮司に貫かれている部分だけが、焼けるような感覚に支配されていく。
「そうだ。 いい子だ」 蓮司は満足げに耳を舐めた。
「あっ……んっ……あぁっ……!」
椿の声は甘く歪み、痙攣するように腰を揺らした。 もう、拒絶の言葉は出なかった。 ただ、犯される快楽に溺れ、自ら蓮司の首に縛られた手を回そうとした。
「……もっと……もっと……おかしく……して……」
十四歳の少女は、冬の夜に壊れた。
「ほら、俺の精子で孕めよ」 蓮司は最奥まで叩き込み、精液を放った。
「あぁぁぁっ!!」
子宮口に直接注がれる大量の白濁。
熱烈な飛沫が内臓を蹂躙し、椿は白目を剥いて絶頂した。
びくびくと痙攣する身体。 膣壁が男根を締め上げ、一滴残らず精液を受け入れようと蠕動する。
「……あ…あぁ……」
椿は虚ろな目で天井を見つめた。
意識が遠のいていく。
暗転する視界の隅で、家族写真に写る幼い自分が笑っているのが見えた気がした。
――お父さん、お母さん。
助けてなんて言えなかった。 ただ涙が溢れた。
歪んだ夕暮れは、永遠に続く悪夢の夜へと変わっていった。
翌日。
閉店後の「たかお食堂」に、男たちの下卑た笑い声が響いていた。
「へぇ、ここが例の食堂か。いい雰囲気じゃん」
「蓮司、お前の話本当だったんだな。こんな可愛い子が一人で店番してるなんて、危険すぎるぜ」
蓮司が連れてきたのは、大学のサークル仲間である佐伯と徳永だった。大柄で粗野な佐伯、細身だが陰湿な印象の徳永。二人は店の中を見回すと、興味深げに奥の部屋へと目を向けた。
「おい椿、客人だぞ」
蓮司に呼ばれ、椿がのろのろと奥から出てきた。
昨日の蹂躙の痕跡は、制服の下に隠されていた。だが、心身の疲労は隠しきれず、顔色は土気色で、目は焦点が定まっていなかった。千切れたブラウスのボタンは安全ピンで留められ、スカートの裾は微かに震えていた。
「……こんにちは」
絞り出した声は、昨日の悲鳴で嗄れていた。
「うわ、マジだ。超タイプ」佐伯が舌なめずりをした。「なんか、壊れちゃってる感じがそそるな」
「胸もそこそこありそうだし、俺は嫌いじゃないよ」徳永が眼鏡の奥で目を細めた。
椿は彼らの視線に晒され、本能的に身を縮めた。逃げなければ。そう思ったが、脚が鉛のように重く、動かなかった。昨日の絶望が、心に深い穴を開けていた。
「椿ちゃん、お前のこと、二人に自慢してたんだよ」蓮司が椿の背中を押し、カウンターの前へと突き出した。「俺の言うこと聞くいい子だってさ」
「や……」椿は首を振った。「知らない人を、店に入れないで……」
「知らない人?」蓮司は耳元で囁いた。「お前の恩人だろ? 爺ちゃんが倒れて、店を回せなくなった時、助けてやったのは誰だ?」
椿の肩がビクリと跳ねた。源蔵の倒れた顔がフラッシュバックする。店を守らなければという強迫観念。それが、椿の抵抗を封じ込めていた。
「……たすけてくれた……ひと……」
「そう。お前は俺に感謝しなきゃならない。そして、俺の友達にも」
蓮司の冷たい手が、椿の制服の上から胸を掴んだ。
「いっ……!」
「ほら、佐伯。お前、乳首責め好きだろ? こいつの、すげえ感じるぜ」
「マジかよ! やったぜ!」佐伯が喜色満面で近づいてきた。「なあ、ボタン外させてくれよ」
「やめて……!」椿は佐伯の手から逃れようと身を捩った。しかし、蓮司が後ろから両腕を掴み、がっちりと固定した。
「大人しくしてろよ。お前の為だろ?」
「いやぁっ! 離して! 蓮司くん、お願い……!」
佐伯の太い指が、安全ピンで留められたブラウスを乱暴に引き裂いた。チリッという小さな音と共にピンが床に落ち、布が悲鳴を上げて裂ける。
「すっげ! 昨日より腫れてね? 可愛い〜」佐伯は露わになった乳房に顔を埋め、赤く腫れた乳首を口に含んだ。
「あぐっ! 痛いっ! 噛まないでっ!」
佐伯は乳首を歯で軽く噛みながら、強く吸い上げた。
同時に、太い指で反対側の乳首を根元から摘み、爪を立てて捏ね回す。
「ひぃっ! ああっ! いやっ、やめてぇっ!」
強烈な刺激に、椿の背が反った。佐伯の責め方は蓮司よりもさらに粗暴で、容赦がなかった。快感ではなく、ただの暴力としての痛みが乳房を苛む。
「徳永、お前は下の世話頼むわ」蓮司が顎で示した。
「了解」徳永がニヤリと笑い、スカートのウエストに手をかけた。「おい、足開けよ」
「やだ……そこは……」椿は必死に膝を閉じた。
「無駄だって」徳永は力任せに椿の脚をこじ開けた。「おっ、昨日の精液まだ出てんじゃん。ねっとり」
徳永の指が、下着の横から濡れた秘所へと侵入した。汁で濡れた粘膜は抵抗もできず、あっけなく指を飲み込む。
「あっ……! うぅっ……!」椿は唇を噛みしめ、嗚咽を漏らした。
「けっこう締まるじゃん。期待以上かも」徳永は指を二本に増やし、内壁を激しく掻き回した。
「ああっ! あっ! いやっ! 出てっ! 異物が……!」
佐伯が乳首を吸い上げながら、さらに強く指で捏ねる。上下からの同時責め。感覚が混乱し、拒絶の声が甘い喘ぎに変わっていく。
「へへ、声出してんじゃねーかよ。感じてんの?」佐伯が口を離し、乳首を指で弾いた。
「ひぃっ!! だめっ! そこ……っ!」
「あー、俺もそろそろ入れてーぞ」佐伯がベルトを外した。「おい、四つん這いになれよ」
「え……?」椿は涙で潤んだ目で佐伯を見上げた。
「聞こえなかったのか? 四つん這いだよ。犬みたいに尻上げて、俺のを待つんだよ」佐伯が怒鳴った。
椿はビクリと震え、震える手で床についた。逆らえない。逆らったら、もっとひどいことをされる。恐怖が椿を支配していた。膝を畳につけ、尻を突き出すような無様な姿勢をとらされた。
「お、素直じゃん」佐伯が後ろからスカートをめくり上げ、下着を膝まで引き下ろした。「ほら、俺のを咥えろよ」
佐伯の男根が、濡れた秘所に押し当てられた。
「いや……入らない……そんなの……」椿は首を振ったが、佐伯は聞く耳を持たず、一気に腰を沈めた。
「あぐぅぅっ!!」
指よりもずっと太い異物が、狹い膣道を無理やり押し広げる。摩擦の激痛に、椿の目から涙が溢れた。
「きつっ! でも、けっこういいぞ!」佐伯は奥まで突き上げると、容赦なくピストン運動を開始した。
「あっ! あっ! ああっ! やめっ! 痛いっ! お腹っ! お腹が壊れちゃうぅっ!」
激しい抽挿に、椿の身体は前へのめりそうになるのを、蓮司が頭を掴んで支えた。
「ほら、こっちは口が空いてるぜ」蓮司がズボンの前を開き、硬くなった男根を椿の口元に突きつけた。「咥えろよ」
「んぅ……っ!」椿は顔を背けたが、蓮司は髪を掴んで無理やり顔を向けさせた。「噛んだら殺すぞ」
脅しに、椿は震えながら口を開いた。蓮司の男根が口腔に侵入し、喉の奥まで突き刺さる。
「んぐっ! うぅっ!」
嘔吐感に襲われながら、椿は必死に呼吸を整えた。前からと後ろから、同時に犯される。身体が二つに引き裂かれそうだった。
「俺も入れてーぞ」徳永が椿の前にしゃがみ込み、口から蓮司の男根を引き抜かせると、自分の男根を咥えさせた。「こっちも硬くなってんだよ、責任取れよな」
「んんっ! んぐっ!」
徳永の男根は蓮司よりも太く、口腔を押し広げる圧迫感が強かった。口端から唾液が垂れ、顎を伝って床に落ちる。
三人の男に囲まれ、椿は為す術もなく蹂躙された。佐伯は後ろから激しく腰を打ち付け、徳永は口の中を犯し、蓮司は髪を掴んで交代を促した。
「あっ! ああっ! んんっ! いやっ! いやぁっ!」
言葉にならない拒絶が、濡れた音と混ざり合って響く。佐伯が子宮を打ち抜くたびに、身体が跳ね、目から涙が飛び散った。痛みと恐怖、そして身体の奥底から湧き上がる得体の知れない感覚に、椿は混乱した。
「おい、乳首弄ってやれよ」蓮司が言った。
佐伯が背後から手を回し、赤く腫れた乳首を強く摘んだ。
「ひぃっ!! ああっ! だめっ! そこっ! そこはぁっ!」
乳首への刺激と、秘所への責めが同時に襲い、椿の身体は痙攣した。
「へへ、すげえ反応。面白れーな」佐伯がさらに激しく腰を動かした。
「んんぅぅっ! んぐっ! んんっ!」
徳永が口の中を激しく犯し、喉の奥へと精液を放った。
「うぐっ! うぅっ!」
苦い液体が喉を通る感覚に、椿は顔を歪めた。飲み込むしかなかった。口から男根が引き抜かれると、咳き込みながら喘いだ。
「あっ……あぁ……っ…」
「次は俺だ」蓮司が佐伯と場所を代わった。佐伯が引き抜いた後、白濁した液が秘所から溢れ出した。
「や……もう……無理……」椿は畳に崩れ落ちた。
「無理じゃねーだろ。ほら、尻上げろよ」蓮司が尻を平手で打った。
「ひぃっ!」
乾いた音が響き、白い肌に赤い手形が浮いた。椿は震えながら再び尻を突き出した。
蓮司の男根が、精液で滑った秘所に侵入した。
「あぐぅっ!!」
佐伯のよりもさらに深く、子宮口を直接突き上げられた。
「ああっ! あっ! あぁっ! そこっ! だめぇっ!」
蓮司は全体重をかけ、激しく腰を振った。椿の身体は揺さぶられ、畳の上で波のように揺れた。
「俺ももう一回」徳永が口元に近づいた。「ほら、咥えろ」
「んんっ……んぐっ……」
再び口を犯される。前も後ろも、三人の男に使い放題にされた。意識が遠のきそうになるたびに、乳首への刺激や激しい抽挿で無理やり引き戻された。
「あっ! ああっ! いやっ! いくっ! いっちゃうぅっ!!」
佐伯が乳首を捻り上げ、蓮司が子宮を打ち抜いた瞬間、椿の身体は激しく痙攣し、白目を剥いて絶頂した。
「へへ、逝ったかよ。すげー顔」佐伯が笑った。
「俺も出すぜ」蓮司が最奥まで突き入れ、大量の精液を放った。
「あぁぁっ!!」
子宮を直接叩かれる感覚に、椿は短い悲鳴を上げて気を失った。
気がつくと、椿は冷たい畳の上に横たわっていた。身体は鉛のように重く、全身が痛んだ。特に下半身は熱を持って脈打ち、少し動かすだけで激痛が走った。
ふと気配を感じて目を開けると、男たちが服を着ながら楽しそうに話していた。
「お、起きたかよ」佐伯が椿の顔を覗き込んだ。「いい声で鳴いてたぜ。また来週も来るからな」
「待ってろよ、肉便器」徳永が眼鏡を直しながら言った。
蓮司が椿の顎を掴み、無理やり顔を上げさせた。
「おい、なんて言うんだ?」
椿は虚ろな目で蓮司を見つめた。唇が震え、掠れた声で紡ぎ出した言葉。
「……あり……がと……ござい……ます……」
壊れた人形のような感謝。自分の意志はもうそこになかった。
男たちが店を出て行くと、静寂が戻ってきた。だが、その静けさは安らぎではなく、絶望的な空虚だった。
椿は動けなかった。ただ天井を見つめながら、流れ落ちる涙を拭うこともしなかった。
(おじいちゃん……ごめんね……)
心の中で謝っても、もう声には出なかった。
⭐️円光
閉店後の「たかお食堂」に、重苦しいほどに甘い香水の匂いが漂った。
「よお、椿ちゃん。今日は客を連れてきたぞ」
蓮司がニヒルな笑みを浮かべながら入り口の暖簾をくぐった。その後ろから、黒塗りの高級車から降りてきたであろう恰幅の良い男たちが二人、ぬっと顔を出した一瞬、店内の空気が凍りついた。
一見して普通の客ではない。一人は太った肉屋のような風体の男で、高価そうなブルゾンを着崩している。もう一人は細身で銀縁眼鏡をかけ、仕立ての良いスーツに身を包んだ男だ。二人とも五十路を超えているだろう彼らの視線は、挨拶よりも先にカウンターの中にいる椿の全身を舐めるように這い回った。
「へぇ〜、これが例の子かい? 中学生だって聞いてたけど、想像以上だねぇ」太った男――山崎が下卑た笑い声を立てた。
「可愛いねぇ。この清楚な制服姿がまたそそるねぇ」眼鏡の男――田村が眼鏡の奥の目を爛々と輝かせた。
椿は直感的に危険を察知し、後ずさりした。掃除の手が止まり、エプローの裾を強く握りしめる。
「……蓮司くん、この人は……?」
「ああ、この店の借金のカタだよ」蓮司はあっけらかんと言って、山崎から分厚い封筒を受け取った。中には束になった一万円札がぎっしりと詰まっているのが見えた。蓮司はその厚みを親指でパラパラとめくり、満足げに懐へねじ込んだ。
「え……?」椿は呆然とその封筒を見つめた。「借金……? おじいちゃんが……?」
「爺ちゃんの入院費、嵩んでるだろ? まあ俺がうまくやっといたから安心しな。その代わりってことでさ」
蓮司は椿に近づき、耳元で冷ややかに囁いた。
「お前の体で支払ってやれって」
「なっ……!」椿は息を呑み、顔面蒼白になった。「嫌だ! やだ! わたしはそんなこと……!」
背を向け逃げようとした椿の腕を、蓮司が万力のような力で掴み止めた。
「嫌じゃないだろ? 爺ちゃんの命を救うんだぞ? それとも何か? 爺ちゃんを病院から追い出して、この店も潰したいのかよ?」
「そ、そんなこと……!」源蔵の衰弱した顔が脳裏をよぎる。店を守る。それだけが椿を支える唯一の柱だった。だがその柱は今、自分の身体と引き換えにしなければならない重圧となって頭上から降ってきた。
「さあ、山崎社長、田村社長。どうぞお好きに」
蓮司に背中を押され、椿はよろめきながらカウンターから出た。
「いやぁ〜、実物は最高だねぇ」山崎が涎が出そうな勢いで迫ってきた。「ねぇちゃん、こっち来なよ」
太い腕に抱き寄せられ、山崎特有の脂汗とタバコの臭いが鼻をついた。四十歳以上も年の離れた男の体温に、鳥肌が立つ。
「やめて……ください……離して……」
「硬いねぇ、まあいいさ。そのうち溶かしてやるよ」山崎はいやらしく舌を出し、椿の首筋に顔を埋めた。「ん〜、いい匂いだ。若い子の匂いはたまんねぇな」
べちゃっとした唇が首筋を這い回り、湿った舌が耳の裏を舐め上げる。
「ひっ……! うぅ……!」生理的な嫌悪感に吐き気がした。必死に身をよじって逃れようとするが、山崎の力は圧倒的だった。
「おいおい山崎ばっかりずるいぞ。俺も混ぜてくれよ」田村が背後から近づき、椿のスカートに手をかけた。
「きゃっ!?」スカートがまくり上げられ、白い下着が露わになる。「見ないで! やめて!」
田村の細長い指が下着越しに尻肉をまさぐり、割れ目に沿って指を滑らせる。
「ほほう……これが中学生のかわいいアレかね。触り心地も申し分ない」田村は恍惚とした表情で指先に力を込めた。「んっ……! そこ……!」
前後から二人の中年男に挟まれ、椿は身動きが取れなくなっていた。山崎は制服のブラウスのボタンを一つずつ外し始め、田村は下着の中に直接手を差し込んできた。
「いやぁっ! おじさんたちやめてぇっ! 汚いっ! 汚らわしいっ!」
暴れる椿をよそに、男たちの手は執拗だった。ブラウスがはだけ、小さな胸が露出する。山崎は目を血走らせてそれを見つめ、荒々しく吸い付いた。
「んぐっ! 痛いっ! おっぱい噛まないでっ!」
「すげぇな! 俺のものであるってマークさせてもらうよ」山崎は乳首を歯で軽く噛みながら、反対側の手で太ももの内側をまさぐった。
田村の方も下着の中で指を蠢かせていた。「おやおや、もう濡れてきてるじゃないか。感じやすい子だねぇ」
「ちがっ……! んんっ……! ひぃっ……!」
太い指が秘所に入り込み、掻き回される。大人の男たちの手によって弄ばれる屈辱と恐怖で、椿は涙を流した。
「さあてと」山崎がズボンのチャックを下ろし、すでに硬くなった自身を露出させた。「まずは口でいかせてもらおうか」
「え……?」椿は目を見開いた。
「わかんだろ? くわえろよ」山崎は椿の頭を掴み、自身を押し付けた。「ほら、舌出して舐めろってんだよ」
強烈な男臭さと先走りの匂いが鼻腔を直撃する。「うぇっ……! 無理……! そんなことできない……!」
顔を背ける椿に、田村が冷ややかに言った。「借金のカタなんだろ? だったら誠意を見せなよ。そうしないと爺さんがどうなるか……」
その言葉に刃物のように心臓を抉られた。源蔵のため。お店のため。そう自分に言い聞かせながら、椿は震える手で山崎の男根を持ち上げた。
「……ぅ…」目を閉じ、先端に舌先を触れさせる。しょっぱい味とぬめりが広がる。「んっ……ぺろ……」
「おおっ! いいぞもっと!」山崎が腰を突き出した。「全部口に入れろ!」
口一杯に広げられ、奥までねじ込まれる。「んぐっ! うぅっ……!」呼吸困難になりながら必死に舌を動かす。顎が外れそうだった。
「俺の方も忘れないでもらおうかな」田村が椿の背後に回り込み、スカートと下着を一気に引き下ろした。「うわっ!?」冷たい空気が素肌に当たる。
「なんて無防備な尻なんだ」田村はズボンから自身を出し、濡れた秘所に押し当てた。
「じっくり味わわせてもらうよ」
「ひぃっ! 入れないで! お願い! 太いのは無理だからぁっ!」
懇願も空しく、田村は容赦なく腰を沈めた。「ぐぬぅっ! きついねぇ……でも入ってくる……!」ズブズブと音を立てて男根が侵入してくる。
「あぐぅぅっ!! 痛いっ! 裂けるぅっ! お腹壊れちゃうぅっ!!」
前には山崎の男根が口の中を掻き回し、後ろからは田村のが内臓を蹂躙する。二人の中年男に前後から夹まれ、椿は為す術もなく犯されていた。
「んんっ! んぐっ! あぐっ! あぁっ!」
前後からの激しい抽挙に身体を揺さぶられる。山崎は椿の頭を掴んで激しく腰を振り、「ほらほら! 俺のもので味付けしてやるよ!」と叫びながら喉奥まで突き上げた。
田村も腰を掴んで深く突き上げ、「名器だねぇ……最高だよ……!」と独り言のように呟いた。
二人の汗臭い男たちに挟まれ、臭いと熱気で窒息しそうだった。彼らの荒い息遣いと卑猥な言葉が耳元で響き渡る。
「可愛いねぇ……もっと啼いておくれよ」
「お爺ちゃんに見せてやりてぇなぁ。孫娘が俺たちに犯されてる姿をよ」
その言葉に心が引き裂かれた。(おじいちゃん……ごめんなさい……ごめんなさい……)
涙でぐしゃぐしゃになりながらも、「あっ……あぁっ……んんっ……!」と喘ぎ声を漏らしてしまう自分が憎かった。
山崎が先に限界を迎えた。「くっ……出るぞ!」椿の口から男根を抜き放ち、顔にかけて射精した。
「うぐっ……!」白濁した液体が顔中に降りかかる。目や鼻に入り込み、臭いと粘つきに顔を歪める。
続いて田村も奥深くで果てた。「ううっ……!」子宮に直接注がれる精液の熱さに身体が震えた。
二人が離れるとドサリと畳に崩れ落ちた。顔と下半身に精液まみれになりながら虚ろな目で天井を見つめるしかなかった。
「はぁ……満足満足」山崎がハンカチで自身を拭きながら満足げに言った。「また来てもいいかね?」
「ええいくらでも」田村も服を整えながらニヤリとした。「今度は制服以外のも見てみたいもんだねぇ」
蓮司は封筒のお礼をする 二人を見送ると再び椿の方を向いた。
「よかったじゃん。これからもよろしくね」
椿は動けなかった。身体中の痛みと汚れと羞恥で何も考えられなかった。
しかし、突然鍵を開ける音がして扉が開いた。そこには源蔵が立っていた。
夕暮れが近づく商店街に、一際強い北風が吹き荒れた。
「たかお食堂」の前で、一人の老人が震える手で店の鍵を取り出した。車椅子を押す訪問看護師に支えられながら、源蔵は三月ぶりに自らの店の前に立っていた。
「爺ちゃん、本当に大丈夫?まだ退院したばかりなんだから」
「大丈夫だ。どうしても、今日、帰らなきゃならねえ気がしてな」
源蔵の胸には、言い知れぬ不安が渦巻いていた。リハビリの末、ようやく言葉も少しずつ取り戻し、杖をつけば歩けるまでに回復した。しかし、病院で見る見舞いの椿の顔は、訪れるたびにやつれ、無理に作った笑顔の奥に深い闇を感じていた。
そして今日、胸を締め付けるような胸騒ぎがして、無理を押して退院を早めたのだ。
店の前に立つと、中から漏れ聞こえる複数の男の荒い息遣いと、かすかなすすり泣き。源蔵は唇を噛みしめ、震える手で引き戸を開けた。
「……な、なにをしとるかぁっ!!」
源蔵の怒号が店内に響き渡った。
目の前に広がる光景。床に崩れ落ち、顔や服に白濁した液体を浴びた孫娘。その周りに立つ、見知らぬ中年の男たち。そして、ズボンを上げながら驚いた顔で振り返った蓮司。
「お、お爺ちゃん……?」蓮司が愕然とした声を上げた。「なぜここに……」
「てめぇ……蓮司……! わしの……わしの孫に……!」
源蔵は杖を振り上げ、怒りに任せて蓮司に殴りかかった。リハビリで弱った腕では大した打撃にはならなかったが、その気迫に蓮司はたじろいだ。
「なんだこのジジイ!?」山崎が慌ててズボンを上げた。
「まずい、逃げるぞ!」田村が出口に向かおうとした。
しかし、その時だった。
「動くんじゃねえ!!」
怒鳴り声と共に、店の戸が勢いよく開け放たれた。
そこには、商店街の面々がずらりと立ちはだかっていた。
先頭に立つのは、八百屋の佐々木だ。いつもの陽気な笑顔は消え、青筋を立てて怒りに震えている。その後ろには魚屋の坂口、乾物屋の松田、花屋の恵子、コロッケ屋の矢崎、そして食堂の常連たち。手にはそれぞれ包丁やバット、警棒や縄を持っている。
「てめぇら、椿ちゃんに何しやがった!!」
佐々木が怒声を張り上げた。その声は、普段の「看板娘〜」とからかう時の優しい口調とはまるで違う、獣のような咆哮だった。
「蓮司ってガキだな!? 聞いたぜ、源蔵さんの親戚だって騙しやがったんだろ!?」
魚屋の坂口が包丁を突きつける。
「ま、待てよ! 俺は何も……」
蓮司が言い訳しようとした瞬間、佐々木の拳が炸裂した。
ゴッ、という鈍い音と共に蓮司の身体が吹き飛び、カウンターに激突する。
「てめぇ……! 椿ちゃんがどれだけ頑張ってたか……どれだけ一人で耐えてたか……知りもしねぇで……!」
佐々木は泣いていた。大の大人が、涙を流しながら蓮司に馬乗りになり、拳を振り上げる。
「そうだ! この数ヶ月、椿ちゃんがどんどん暗くなってくのを、俺たちはずっと見てきたんだ!」コロッケ屋の矢崎が声を震わせた。「なんで気づいてやれなかったんだって、悔しくてたまらなかったんだ!」
「今日、源蔵さんから連絡をもらってな」花屋の恵子は涙を拭いながら言った。「椿ちゃんを助けてくれって。そしたら、こんな……!」
恵子の言葉に、全員が椿の姿を見た。床に座り込み、虚ろな目でぼんやりと天井を見つめる椿。顔や制服に付着した精液。乱れた衣服。誰の目にも、何が行われていたかは一目瞭然だった。
「ひでぇ……」坂口が震える声で呟いた。「よくも、よくもこんな……! まだ十四の子に……!」
「おじさんたち……!」山崎が青ざめて後ずさりした。「わ、私は何も……金を払っただけで……」
「金ぇ!?」乾物屋の松田が激昂した。「この子を売買したってのか!? てめぇら、人間のクズだな!!」
松田の怒号に、山崎と田村は縮み上がった。
「と、とにかく警察だ! 警察を呼べ!」佐々木が叫び、恵子が携帯電話で一一〇番通報を始めた。
その間も、源蔵は床に座り込む椿に歩み寄り、震える手でその肩を抱いた。
「椿……すまん……すまんのう……」
源蔵の皺くちゃの目から、涙がとめどなく溢れた。
「わしが……わしがもっと早う気づいてやれば……! お前ばかりに、こんな……こんな思いをさせて……!」
「……おじい……ちゃ……ん?」
椿の虚ろだった瞳が、かすかに焦点を取り戻した。源蔵の顔を認めると、その目から一筋の涙がこぼれ落ちた。
「おじいちゃん……? ほんと……に、おじいちゃん……?」
「そうじゃ……わしじゃ……椿…」
「……おじいちゃんっ!!」
堰を切ったように、椿は源蔵の胸に飛び込んだ。身体中を震わせ、子供のように、いや、まさに十四歳の少女として、声を上げて泣きじゃくった。
「ごめんなさいっ! ごめんなさぁいっ! 私、私……お店も守れなかったし……体も汚れちゃったし……! おじいちゃんに申し訳なくて……!」
「違う! 椿は悪くない! 椿は何も悪くないんじゃ!」源蔵も泣きじゃくりながら、椿の背中を何度も何度も撫でた。「悪いのはあのクソガキと、その仲間のクズどもじゃ! お前は……お前はよう頑張った……! 一人で……よう頑張ったのう……!」
「寂しかった……! 怖かった……! おじいちゃんがいなくて……! ずっと……ずっと嫌だったのに……!」
椿の口から、初めて本音が溢れ出た。蓮司に言えなかった言葉。友達に隠していた気持ち。弱音を吐くまいと押し殺してきた、本当の心の叫びだった。
「嫌だったよぉ……! 触られるのも……されるのも……みんな嫌だった……! 痛くて……辛くて……苦しくて……! でも……でも私が我慢すれば、お店もおじいちゃんも……!」
「もうええ! もう我慢せんでええんじゃ!」源蔵は叫んだ。「お前は一人じゃない! ほら、周りを見てみい!」
椿が涙で歪んだ視界を上げると、そこには商店街の仲間たちが、皆一様に泣きながら立っていた。
佐々木は蓮司を押さえつけながらも、顔をくしゃくしゃにして泣いている。坂口は包丁を置き、エプロンの端で目を拭いている。恵子は携帯を握りしめながら、声を詰まらせて警察と話している。コロッケ屋の矢崎は、あまりのことに膝をついて震えている。
「椿ちゃん……ごめんな……おじさんたち、気づいてやれなくて……」佐々木が嗚咽交じりに言った。「可愛い看板娘だなんてからかって……でも本当は、本当はな、みんなお前のことが大事で大事で仕方なかったんだ……!」
「そうだよ!」坂口が声を上げた。「椿ちゃんが学校も休みがちで、挨拶も暗くなって……けど、どう声かけていいかわからなくて……! 俺たち、情けねぇ大人だ……!」
「違う……違うの……!」椿は首を振った。「私が……私が勝手に一人で抱え込んで……! みんなを信用してなかったのは私の方で……!」
「そんなこと言うな!」恵子がスマホを切り、椿のそばに駆け寄った。「椿ちゃんは十四歳の子供なんだよ! 重荷を背負うのが当たり前なんて、そんなの間違ってる! 辛い時は辛いって、泣きたい時は泣いていいんだよ!」
恵子もまた、椿を抱きしめて泣いた。
「私たち、もっと早くこうすればよかった……! 無理に笑わなくていいって、言ってやればよかった……! ごめんね、椿ちゃん……!」
店内は、大人たちの嗚咽と謝罪で溢れた。
警察が到着したのは、それから間もなくだった。
蓮司は佐々木の拳で顔を腫らし、山崎と田村も商店街の男たちに取り押さえられ、為す術もなく逮捕された。
未成年者略取、監禁、強制性交等、売春防止法違反。余罪も含め、蓮司には長い刑期が待っているだろう。
山崎と田村も、その社会的地位を完全に失うことになる。社長という肩書きも、金の力も、この商店街の「正義」の前では無力だった。
すべてが終わり、夜が更けた。
パトカーが去り、商店街の人々も涙を拭いながらそれぞれの店へと戻っていった。
「また明日、顔を見に来るからな」と約束して。
「たかお食堂」の奥の部屋では、椿が源蔵の膝を枕にして横たわっていた。泣き疲れて、浅い眠りについている。その寝顔は、この数ヶ月で一番安らかだった。
源蔵は、孫娘の頭を優しく撫でながら、静かに呟いた。
「もう大丈夫じゃ……わしがついとる……みんながついとる……」
温かい涙が、皺を伝って落ちる。
「今度はわしが、お前を守る番じゃ……」
窓の外では、粉雪が静かに降り積もり、商店街の街灯をぼんやりと照らしていた。
どんなに冷たく暗い冬でも、必ず春は訪れる。
そう信じさせるだけの温かさが、この小さな食堂には、確かにあった。
翌朝、まだ薄暗い時間に、椿は目を覚ました。台所からは、味噌汁の香りが漂っている。
「あら、椿ちゃん、起きた?」
声の主は恵子だった。エプロンをつけ、手際よく包丁を動かしている。横では、佐々木が野菜を洗い、坂口が魚を焼いている。
「おはよう、椿ちゃん。今朝は俺たちが朝食を作ったんだ。ゆっくりしてな」
椿は呆然とその光景を見つめた。
「どうして、みんな……」
「どうしても何も」佐々木はニカッと笑った。その目は泣き腫らして赤いが、いつもの陽気な笑顔だった。「看板娘が一人で頑張ったんだ。たまには俺たちにも、この店を手伝わせてくれよ」
「そうそう」坂口も笑った。「それに、椿ちゃんにはこれからいっぱい休んでもらわなきゃ。店は俺たちが回すからさ」
恵子が椿に近づき、そっと肩を抱いた。
「椿ちゃん、一人じゃないんだよ。辛いことがあったら、今度はちゃんと私たちに言うんだよ。いいね?」
椿の目から、再び涙が溢れた。しかし、それは昨夜のような苦しみの涙ではなかった。
「……はい」
小さく頷いた椿の顔には、数ヶ月ぶりの、心からの笑みが浮かんでいた。
源蔵が奥から杖をついて出てきて、その光景を目にし、静かに微笑んだ。
「さあ、みんなで朝飯にしようや」
こうして「たかお食堂」には、当たり前の日常が戻ってきた。
傷はきっと深い。これからも辛い記憶に苛まれる夜もあるだろう。
しかし、それを温かく包み込む人々が、今、この店には溢れている。
温かな湯気に包まれた店内は、笑い声と食器の音でいっぱいだった。
外では、一晩中降り積もった雪が朝日に照らされ、キラキラと輝いていた。