童貞魔女(♂)オーウェンはチンチラ奴隷を嫁にする 作:ケロリビドー
「がはごほげほ!!! げほげほ!! ごほ!!!」
咳き込むオーウェンのことを、ザジは骨をカリカリ齧りながら見ていた。酒精でぼんやりした頭が気持ちも舌も滑らかにしてしまっているのを感じる。
「オーウェン様のおちんぽ様、すごくたくましくて気持ちいいんですぅ、太くて長くて血管がぼこぼこ浮いてて、カリもびしっと張ってて、そこでザジの気持ちいいとこゴリゴリ抉ってくれるから、もうイキまくっちゃって……お尻であんなに気持ちいいんだから、こっちはもっと気持ちいいんだろうなぁ~♡」
椅子の上に三角座りをしてスカートの裾をちらっちらっとつまんではめくりしているザジの足の間に、薄い布で包まれたふっくりとした膨らみが息を整えるオーウェンの目に飛び込んでくる。
(うぐ……誘われている……明確に……っ)
オーウェンがそのまばゆく白い女の部分に興味がないといったら噓になる。見たことがないわけではないが、意識している可愛い娘のそれとなるとまた話は別なのだ。さらにそれを触っていいと? 触るだけに飽き足らず、そこに陰茎を挿入しても良いと……!?
「……駄目。スライムスキンも完璧じゃないから、もししくじったらアンタは好きでもない男の子供を一度に四人産む羽目になっちまうんだろ。そんなことはさせたくない。それは好きな男とするもんだ」
浮足立ちかけた心をぐっと抑えて、絞り出すようにオーウェンはそう言った。好きでもない男の子供を産んだ女の助産もしたし、堕胎も手伝った。その時に自分がそれを女にさせる側に行くのは嫌だと思ったから、ここでアホになるのは嫌だった。自分のヘソがあるあたりを見ながら言い放った後、ザジを見ると、彼女はオーウェンの顔を品定めするような目で見ながら何か考えているようだった。そして、口にくわえていた小骨をぷっと皿に吐き出して、グラスの淵を指でなぞりながら言葉を紡いだ。
「……オーウェン様はさっきからそればかり。自分のこと好きじゃないんだろうとか、好きな男とするもんだとか……。じゃあさ、オーウェン様はどうなの? 好きでもない女におちんぽおっきくして、ああだこうだいいながら出すもん出してさ……それともオーウェン様はザジのこと、好きなの?」
「んかっ……」
あまりのことにオーウェンは鼻と喉の奥から変な音が出た。確かにそうだ。スライムを肛門から引っ張り出したまでは必要な処置だが、そのあと起こったことは完全に余計。オーウェンが性欲に流されたうえでしてしまったことであることは言い逃れができない。自分はどうなのか。誘ってくる女が目の前にいるから、肛門だからノーカウントなどというガバガバな理論にこれ幸いと鼻の下を伸ばして乗っかって浅ましく腰を振ったのか。そこに好意は介在していたのか。
「どうなんですか? オーウェン様、ザジのこと、好き?」
どうなんだろう! わーっ! とオーウェンの頭の中でいろいろな言葉が嵐の海のように渦巻き、荒れた。しばらくへの字口を閉じたままザジの顔から眼を逸らせないでいたが、しばらくそのままでいた後、ふい、と目をそらして何もない床を見ながら、オーウェンはとても小さい声で言った。
「………………………………………ちょっと…………好き……かも……しんない……」
しんと静まり返った魔女の庵でぽかんと口を開けたチンチラ奴隷に顔を真っ赤にした童貞魔女は、初めて自分の気持ちを言語にして伝えた。それは児戯のような告白だったが、この男にしてみれば必死に考えた結果出た、今の気持ちであった。
「ぷ……ぷひ……」
「あ?」
「ふふゃはははは……」
「あっコラ!! 何笑ってんだい!!!」
「や、だって、ちょっと好きかもしんないって、何!? アカチャンか!! ひゃはは、ふへへ、ひゃへへへへ……」
「言うんじゃなかった!! くそ!! 馬鹿!! 最悪!! もう食わないのかい!! 片付けるよ!!!」
憮然とした顔でザジの食器を下げてしまおうと手を伸ばしたオーウェンの襟首を、その時、苔の花の中でそうしたようにザジの小さな手がぐっと掴んだ。
「えっ……」
「ん♡」
固く薄いオーウェンの唇を、ザジの小さく柔らかいばら色の唇が食んだ。驚いてすこし開いた前歯の合わせをぬるついた舌が乗り越えて侵入してくる。チキンとハーブ。さっき食べたお祝いのごちそうの味がした。
ちゅっ♡ ちゅる♡ むちゅ♡ ちゅくっ♡ ちゅぷ……♡
舌を絡め、上あごをくすぐり、お互いの唾液を流し込み合う、母と挨拶でするのとはわけが違う、大人同士の本気のキスだった。
「……はっ……」
「……オーウェン様。これはどうですか? これも『ちょっと好き』? じゃあ……このあとすることはどのくらい好きですか?」
「この後って……どうもこうも……なんなんだい、嫌だねえ……」
「いや? 嫌ですか? オーウェン様はザジに触りたくはないですか?」
ザジは、自分のはだけた肩を指でそっと撫でる。彼女の鼻の上に浮かんだのと同じ色のそばかすが散る肩は、小さく尖ってなだらかな曲線を描いている。
「オーウェン様、ザジに触ってください」
「……いいのかい。触っても」
「どうぞご自由に……♡」
オーウェンの骨ばった指が、ザジの肩をなぞっていく。すべすべと柔らかく、中にしっかりと骨がある。スライム騒動の時に触ったのがノーカウントという判断がまだ生きているのなら、それはオーウェンが初めて自分の感情を乗せた指で触った女の体の部分だった。そばかすをすり、と撫でると、ザジはくすぐったそうに身じろぎをする。
瞬間、オーウェンはあの『ズガン』が三度頭を揺らすのを感じた。
「は、はぐ……!!!」
「きゃあ!!!」
そのとき立ち昇ってきた衝動はまさに獣欲と言うべきものだった。オーウェンは矢も楯もたまらず、ザジのやさしい肩に歯を立てた。それは彼女を傷つける力を籠めたものではなく痛みを与えるほどの強さではなかったが、彼女をいますぐ味わいたいという欲望が乗った行動だった。
「ふっ……ふっ……ふっ……」
「ん……はあ……♡」
どくどくと、頭が血の詰まったかぶらのようになっていくのがわかる。オーウェンはザジの肩をしゃぶりながら、彼女のふわふわした髪に指を差し込んだ。しばらく手触りを楽しみながら、丸い頭を撫で続けていると耳のすぐ上の方から囁き声が降りて来た。
「お布団に行きませんか、オーウェン様。片付けなんかあとでいいじゃないですか……♡」
それから何をどうしたのだったか。手くらいは拭いたような気がする。鶏の油まみれだったし。いつものローブを脱ぎ捨て、寝慣れた自分のベッドに膝立ちになったオーウェンは、眼下で小さく横たわるザジのブラウスのボタンを震える手でぷちぷちと外していた。今まで色気もクソもなくぽいぽいと勝手にザジが裸になっていたものだから、改めて自分が自分の意思で女の服を脱がすとなるとこんなに緊張するものなんだとオーウェンは頭の隅で思った。ついでに酔いがさめて来たような気がする。オーウェンはボタンを外しながら口を開く。
「今日は……触るだけ。いいね?」
「オーウェン様がそれで我慢できるなら、お好きなように……」
「言うじゃないか。奴隷の癖に」
「おしおきしますか?」
「それでいい。アタシは奴隷が欲しいわけじゃなかったんだから」
肩に散ったそばかすは胸元まで続いている。それを目で追うと、やがてまろやかに隆起する乳房と、頂点にぽっちりと存在する可愛い乳首が目に入り、オーウェンはどきっとした。女性器は見たことのある彼だが、助産や堕胎に上半身の脱衣は必要ないので、こっちは見たことがなかったのである。
(男のと違う……いや知ってはいたけど、なんというか、違う……)
柔らかそうなその感触を知ろうと、オーウェンの指がザジの乳房に触れた。