※この作品はR-18です。

童貞魔女(♂)オーウェンはチンチラ奴隷を嫁にする   作:ケロリビドー

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魔女と奴隷と奴隷紋

「こりゃこりゃほんとにもうどうしょうもないね……大丈夫かい」

「ううえええ……部屋が回ってるう……」

 

 昨夜はあのまま汚れた服は適当に放り投げて裸のまま寝た。酒が入ってなかったらあの口淫だけで若い性欲が満足することはなく、一線を越えてしまったかもしれないな……とオーウェンは冷や汗を拭う。とりあえず丸出しの尻をこちらに向けてバケツにゲロゲロやっているこの奴隷娘を見ても今はぴくりとも反応しない己の陰茎の持つ節度を褒めてやろうと思った。

 目の前で前後不覚になっているこのかわいいかわいい鼠獣人が自分は好きだな、と昨日よりも今朝は実感として思える。こういう感情は少年時代に済ませておけば特に心に何のわだかまりもなく今そこにある膣に滑り込むことが出来るのだろうし、覚悟を持って四匹の子鼠の父親になる未来も視野に入れられるのかもしれないが、オーウェンにとってこれが初恋である。彼の頭の端で純粋な少年オーウェンがだめだめ開けちゃダメ! と扉を守っているイメージがよぎった。ほかならぬぼくがそういうんじゃ無理に開けるのもな……。オーウェンは沸かしたお湯をポットに注いでハーブ茶を淹れた。

 

「そんなに吐いてばっかりじゃカラカラに干からびちまうよ……二日酔いに効く茶、ポットごと置いとくから飲むんだよ。アタシは納品にでかけるが、もし起きて動けるようになったら昨日の服を洗濯してくれるとうれしいね」

「うああぁい……オ゛ッ、えるるるるッ」

「やれやれ……」

 

 今日は今淹れたようなハーブ茶などを雑貨屋に卸しに行く日だ。本当はそこにもザジを連れて行きたかったがこればっかりは昨日飲ませすぎた自分が悪い。そう自らを戒め、オーウェンは彼女を庵に置いて、いつも通り一人で出かけて行った。

 

「うええ……昨日のごちそう……もったいな……うっぷ……」

 

 ザジは彼女に割り当てられた部屋のベッドに寝巻だけを着せられて転がっていた。時々吐瀉物の満ちたバケツを引き寄せ、その中に胃液を吐く。頭はガンガンと痛み、昨日の自分を責め立てていた。酸と油で酷い味になった自分の口を冷め始めたハーブ茶でいったん濯いでバケツにベッと吐き、カップに残った茶をごくごくと飲んだ。

 

(……うう。自分の限界を読むの失敗したあ……。きもちわるい……。お肉もお酒もおいしかったから……)

 

 ハーブ茶を飲み、目を閉じて静かに呼吸をしていると少し楽になったような気がした。こうやって酒で失敗するたびに両親や弟妹たちも笑いながら介抱してくれたな……ともう戻れないだろう故郷を思って少し泣きそうになるザジだった。

 それにしても、この庵の主のオーウェンという男は一人でなんでもできる男だな、と今思い出しても吐き気を誘うだけになってしまうのが惜しい、昨日食べた料理の味を思い出してザジは涙を止めた。男でありながら魔女を名乗り、料理でもなんでもやってしまう。奴隷なんかいらないだろうあんな男が自分を買った。結果こうやっておいしい料理が食べられ、おさがりとは言えまともな衣類や部屋を与えられている……。

 

「ほんとの奥さんになっちゃうのも悪くないのかもしれない……」

 

 どうせ横恋慕の未練を断ち切って新しい恋を探そうと思っていたところだったのだ。もし今後、オーウェンの『ちょっと好き』が『いっぱい好き』になるようなことがあるのならそれに乗っかるのが一番今の自分の身分をマシなものにする近道なのではないか? だとしたら、ただ品のない誘い方をするだけでは下手なのかもしれない……。

 ぐるぐると回る頭でぼんやりと考えながら、ザジは枕の下に手を入れた。ひんやりとした気持ちよさを求めてのことだったが、指先に何か薄くて固いものが触った。なんだろうと引っ張り出してみると、それは綺麗な色の厚紙で作った本のしおりのようなもので、何か文字が書いてある。ザジはこちらに連れてこられてから今までに、かなりの速さでこちらの言葉を覚えた。それでもまだ文字を読むことはできなかったので、それに何が書いてあるのかはわからない。

 

「文字……お願いしたらオーウェン様、教えてくれるかな……」

 

 読めないので、とりあえずその謎のしおりはそこらに適当に置いておいた。昨夜のことを思いだそうとすると頭が痛むが、オーウェンの童貞にしては的確な指使いで絶頂に押し上げられたことはなんとなく覚えている。誰が相手でも何をされても喜んでしまうはしたない体に躾られてはいるが、自分を『ちょっとかもしれない』程度でも恋している男に乱れさせられるのはなかなか気分がよかった。

 

「オーウェン様……」

 

 名前を呼ぶと、下腹部がじんわりと熱く重くなったが、二日酔いの頭痛がまだ続いているので自分を慰めるのは今度にしよう。そう思いながらザジはまた目を閉じた。

 

「やっぱり年増女は世話を焼こうとする!!」

 

 雑貨屋にハーブ茶を届けに行ったオーウェンは、そこの女店主に自分の娘を嫁にどうかと持ち掛けられて歪んだ笑顔で断ってきたところだった。代金は受け取ったので箒に飛び乗り、庵への道を飛んで帰る。ゲロゲロやっていたザジのことも心配だった。

 

(もう妻がいるから、みたいなのも本人がいないと強がりみたいに見えちまって格好悪いからな……)

 

 森に入って庭に差し掛かる。洗濯を頼んで出かけたが特に干されたりしていることもなく、鶏や山羊、畑も手付かずなので具合は良くなっていないのだろう。まあ具合が良くなるまで寝ていればいい。オーウェンは庭でしなければいけない仕事を一通り済ませてから庵に上がった。

 

「アンタ、おい、ザジ? まだゲロゲロやってんのかい……」

 

 見えるところにザジがいなかったため、オーウェンは彼女を探して、ザジに割り当てた部屋を覗き込む。ザジは荒い息をしながらベッドの上で丸まっていた。

 

「大丈夫かい? もっと早く帰ってくればよかったね、どれ、見せてみな……」

 

 丸まったザジの肩に手をかけ、ごろんとあおむけにさせたオーウェンは、彼女の体を見て息を呑んだ。

 

「アンタ……これ……奴隷紋が……っ?」

 

 ザジのヘソ下でいかがわしく踊っていた奴隷紋はその面積を拡げ、上は胸元、下は膝のあたりまで、彼女のやさしい色の肌を猥雑に侵していた。

 

「はあ……はあ……お、おかえりなさいませ、オーウェン様……ごめんなさい……お洗濯できてません……」

「馬鹿! そんなのいいッ!! こんな!! どうして!?」

 

 ザジが苦しそうに息を荒げながらどうでもいいことを詫びるので、オーウェンは思わず叫んでしまう。

 

「……奴隷紋は……主人から離れるとこうなるって……そう聞かされていました……そんなことあるわけないと思ったので……奴隷を縛るための嘘だと思ってたんですけど……本当だったんですね……」

 

 そんなこと聞いてない……と言いかけて、オーウェンは違和感に気が付く。ザジを買った時の記憶があまりにおぼろげすぎるのだ。彼はそれをのぼせ上った頭で聞いていたせいだと決めつけていたが、今にして思うとあまりにも覚えてなさすぎておかしいと思った。母に人の話をよく聞いて、自分で考えろと言い聞かせられ、それを信条のようにしてきた自分がこんな重大なことを聞いていないということがあるだろうか。

 

「オーウェン様……対処法はザジが覚えてます……お買い上げいただく時に横で聞いてました……はあ……はあ……。主人の血か精液を口から取ると収まるそうです……口淫してもいいですか……」

「っ!! 馬鹿か!! こんな状態のアンタにそんなことさせられるかっ!! 血だな!? 待ってろ!!」

 

 オーウェンは自分の部屋に行くと、小さなナイフで掌の一部を軽く突く。ほどなくぶくりと赤い血の珠が膨らんで来たので、それをザジの唇に数滴落とした。そのまましばらく様子を見ていると、荒い息は段々静かになり、やがて奴隷紋ももとの大きさに戻っていった。

 

「はあ……良かった……」

 

 がっくりと力を抜くオーウェンの足元に小さな紙片が落ちている。それには女の字で『オーウェン。わたしの可愛い弟』と書かれていたが、今の彼にそんなものに意識を向けている余裕はなかった。

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