「もう、発たれてしまうのですね」
惜しむように零れた呟きを聞きながら外していた装備を一通り装着し直して踵を返す。
長机の上に身体を乗せていたノーデも慣れた手つきではだけた衣装を整えてすぐに続いた。
愛しき少女を、アリスを探さねば。
「はい、それこそ貴方様の為すべき物語。どうか次こそはアリスにつながるよき手がかりを得られますことを、このノーデも祈っております」
楚々とした仕草で後方を歩く彼女と共に開けた一角で絶えず燃え続けている篝火に近づく。
膨大な数の本が至るところに積まれた図書室の夢にあっても飛び火してそれらを燃やすことも一切ない不思議な炎だ。
「いってらっしゃいま――」
恭しく最敬礼するノーデに見送られながら篝火に手を伸ばし、不意に思い至る。
不思議の国を隅から隅まで探し回っているが愛しき少女は未だに見つからない。
これだけ探してもその足跡しか分からないということは、もしかしたらアリスはかくれんぼをしているのではないだろうか。
嗚呼、アリス。過ぎ去りし夏の日々が記録映像のように蘇る。
その髪、その声、その瞳。その身体のやわらかさに肌の温もり、そしておまんこの気持ちよさ。
僕だけに見せてくれた君のすべてを鮮明に覚えているよ。
残してくれた足跡を辿っている内にこれは追いかけっこなんだと思い込んでしまっていたけれど、やっぱり君を探すかくれんぼだったんだね。
であるならば、いままでの道程はチェスの駒でカード遊びをするがごとき愚行だった。
ルールを違えているのだから捜している相手を見つけられるはずもない。
鳴り響いて止まない歯車の音がいつの間にか異物と噛み合ったような軋んだ異音に変わっていた。
金髪碧眼の少女、紅ずきんはアリスではなかった。
蛇神様は崇め奉るべき存在であり、そもそも肉体の性別が違う。
いや、蛇神様やビルは肉体的には男かもしれないが、女の子を目指して日々努めている。
そんな彼らこそ真に女の子と呼ぶべき存在であり、つまりアリスなのでは?
…………駄目だ!!
肉体的な一線を絶対的に越えられないからこそ男の娘のカラダはあれほど気持ちいいのであって、それはアリスではない。断じて、アリスではない。
アリスは男の娘になったわけではなく、上手に隠れ過ぎてしまったから出てこられないだけだ。
あぁ。聡明なのに恥ずかしがり屋だなんて、愛しき少女はどこまで愛らしいんだ。
そんな子を見つけてあげるのも僕のような大人の務めに違いない。
「……どうか、されましたか?」
我に返って振り返ると頭を下げていたノーデが怪訝そうな表情を浮かべていた。
彼女から見れば篝火に触れようとして突然静止していたのだから心配するのも当然だ。
首を軽く左右に振って答えながら腕をあらためて伸ばすが、脳裏に思い描く行き先は変更する。
あの時の一着は紅ずきんに破り捨てられてしまったが、記憶が確かなら替えが何着かあったはずだ。
*
精神病棟の最奥では今日も精神外科医が隔離部屋に続く階段の中央に陣取り、その前を看護師たちが忙しなく動き回っていた。
無機質な色合いの壁と等間隔で並ぶ鎖で閉ざされた窓を視界の奥に捉えつつ息を潜めて双剣を構える。
床が白一色で塗られた細長い廊下の中ほどには助言が記されている。真っ赤な文字のそれは彼らに気づかれず準備をするのにちょうどいい目印だった。
いま見える全員と連戦しても勝利し続けられる実力を身につけている自負はあるが、地の利はいつだって向こうにあり、彼らは数の暴力に訴えることもできる。
結局のところ出し惜しみをしないことこそが己が身を守る一番確実な術なのだ。
襲いかかってくる看護師たちを切り刻みながら廊下を駆け、隔離部屋とは正反対の壁面にある扉を潜ってすぐに閉じる。
そのまま廊下を左に曲がって進めば、トゥイードルディーが双子部屋への扉の前で待っていた。
「……♡」
右目を眼帯で覆い隠した金髪に碧眼の少女。
灰色の病院服に包まれたその身体はどことなく痩せぎすで病的な印象を受けるが、期待に瞳を潤ませて頬を薄っすらと上気させたその姿は実に少女らしい。
「ねぇねぇ。ダム、寝ちゃってるから……ね?
今のうちに――」
ディーが言い切るよりも早く、荒れ果てた娼館の衣装棚から持って来たそれを差し出す。
青と白のふりふりエプロンドレス。
いつか紅ずきんに破り捨てられてしまったのと同じ衣装だ。
彼女は突然差し出されたエプロンドレスに困惑して目を瞬かせていたが、すぐに意図を察して蕩けた微笑を浮かべる。
「それを着た私とシたいの? 代わり映えのしない景色は嫌気が差してしまうように、同じことの繰り返しばかりじゃ飽きてしまうものね」
ディーがこの場で着替えてくれるというので、紳士として見ないように後ろを振り向いて装備を外し始める。
しゅるしゅると聞こえる衣擦れの音が動く手を自然と止めさせ、股間を熱く膨らませる。
あぁ、衣擦れの音というものは何故こんなにも淫猥に聞こえてならないのか。
難解極まりない問いかけに頭を悩ませていると、背後から着替えが終わったことを伝える愛らしい声が聞こえた。
「着替え終わったわ。どう
アリスだ!何故か右目を眼帯で隠していておませだが、それも愛すべき少女らしさだ。そんなことよりもこのエプロンドレスが似合う金髪碧眼の少女なのだから彼女こそアリスで間違いない!嗚呼、アリス。こんなところに隠れていたんだね。不思議の国中を探し回っても見つからないはずだ。双子を演じて隠れてるなんて想像もできなかったよ。君の聡明さに学寮長も大いに喜ぶだろうけど、長い間独りにして寂しい思いをさせてしまったね。僕も君に会えなくて苦しくて苦しくて胸が張り裂けそうだったよ。それこそ、まったく関係ない女の子をアリスだなんて勘違いしてしまうくらいにね。いま思えばなんて馬鹿なことをしたんだろうと思うよ、君は君以外にいないというのに。でも十分に反省してアリスをきちんと見つけられたのだから、そんな愚行も笑って許してくれるだろう?あぁ、アリス。なんて優しい子なんだ。アリス、アリスアリス。もう我慢できない、いままで会えなかった分を取り戻そう。久しぶりだから不安に思うかもしれないけど何も心配する必要ないよ。君の騎士にいつもみたいに任せてもらえれば、全部上手く――
「っあ、えっ…っうう、んんぅぅっっ!♡」
衣服を脱ぎながらアリスを押し倒し、ほっそりとした両足を抱え上げて挿入する。
濡れた膣穴が肉棒を優しく受け入れ、じゅぷじゅぷと歓喜の声を上げた。
今度こそ間違いない!いつかのように拒まれれば彼女はアリスではなかったかもしれないが、このおまんこは僕を受け入れてくれている。
そんな少女がアリスでなければ誰だというんだ?
ああぁぁあぁ、おまんこ。アリスのおまんこ。ぐちょぐちょにぬれたアリスのおまんこ。
やっぱりぼくはまちがってなんていなかった。
だってだって、こんなにもありすのおまんこはきもちいいいいぃぃぃなあああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁあああああああぁぁぁ。
「んぁ、っぁん…おっ!♡ しゅごぃっ、おちんぽいつもよりずっと硬くておっきくて♡ んんっ…、あっ、あん!♡あっ!♡ そんなガチガチおちんぽで奥を激しくゴンゴンされたらぁ♡ ムリ、ムリぃっ♡ あっ、あぁ!♡ イっちゃう、すぐイっちゃうからぁ!♡」
愛しき少女の身体を押し潰すように上から抱きついて腰をぱんぱんと振る。
精神病棟にはいままで足繁く通って隠姦に励んでいたから、彼女の感じやすいところは熟知している。
繰り返すストロークに合わせて結合部から愛液がぴゅっぴゅっと飛び散って白い床を汚す。
アリスはエプロンドレスに包まれた身体を大きく震わせながら背中に手を回し、両脚を腰に絡めて力強く引き寄せた。
「っあ、んっ…あっ!♡ あっ、あぁっ、んっ、あーっ!♡ すきぃっ、やっぱりこのおちんぽが好き好き大好きなのぉっ!♡ んひぃっ、っあ、んあっ!♡ あぁっ、イく♡イくイっちゃうっっ♡ ねっ、ねっおまんこぎゅーって、ぎゅーってするからいっぱい中に出してぇっっ!♡」
ばちゅんばちゅんといままで以上に強く深く腰を打ちつけながらアリスを抱き締め返す。
ちゅうぅぅと吸いつく子宮口に亀頭を押しつけて腰を固定し、込み上げる精液の勢いに任せて激しいピストンを繰り返す。
「んあぁぁっあああぁア……っっ!!♡♡ ああっ、ああぁ……んううぅっっっ!!!♡♡♡」
アリスが身体をビクビクと跳ねさせ、彼女の膣も肉棒をきゅううぅっと締めつける。
ぶびゅうううっっびゅるぶるっびゅっびゅうううううっっっっ。
いつかを思い起こさせるほどに沢山出るのを感じたが、暗転は起こらなかった。
鳴り響いて止むことのない異音を頭の中で感じながら身体をゆっくりと起こす。
アリスのおまんこから肉棒を引き抜けば、逆流した白濁液が愛液と混ざり合うようしながらごぽりと溢れ出る。
愛しき少女は身体をぴくぴくと小刻みに痙攣させているが起きる気配は感じられなかった。
いままではダムに関係が発覚することを懸念して交尾を終えたら双子部屋の前で別れていたが、彼女はアリスで僕たちは愛し合っている。
つまり何を恐れる必要があるというんだ?
床の上に脱ぎ散らかした衣服と外した装備を整え、白濁に塗れながら気絶している愛しき少女を担いで踵を返す。
あんなにも愛らしかったエプロンドレスはいつの間にか乱れて汚れて台無しだが、ノーデがきっと綺麗に整えてくれるだろう。
扉を潜って隔離部屋の前に出れば、気配に気付いた看護師たちが一斉に襲いかかってくる。
刻み込まれた習性が双剣を取り出させるが、放たれた技は剣を二本とも手にする必要のないくらいに冴え渡っていた。
■リス(ディー)を地下室へ監禁しました。