もう引き返せない。ここまで来たら最後まで聞くしかない。
「ああ……ん…」
母さんの吐息が壁越しに伝わってくる。男の低い声がそれに重なる。
「もっと腰を上げて……そう……」
何が起きているかは想像に難くなかった。
でも見えない分だけ想像は膨らみ、現実よりも生々しい映像が脳裏に浮かぶ。
あの優しかった母さんが、見知らぬ男に抱かれている姿を。
「うっ……ん…」
声が大きくなった。母さんの体が震えているのが感じられるようだった。男の荒い息遣いが聞こえる。
「玲子さん……もう我慢できない……」
「うん……きて……」
(布団が擦れる音)
これから始まる行為を想像するだけで全身が熱くなる。
「挿れるよ……」
「うん……ゆっくりね……」
(母さんの喘ぎ声)
「あぁ……」
ついに母さんが男に貫かれた。
僕が見知っている母さんが、今、誰かのものになっている。
怒りと興奮が入り混じる複雑な感情に、僕はただ震えるばかりだった。
「締め付けがすごい……気持ちいい……」
「んっ……私も……感じてる……」
(激しくなる動き)
(布団が擦れる音)
(母さんの喘ぎ声が高まる)
母さんの声が段々と高くなっていく。
僕はその声を聞きながら、自分のものをしごいていた。
禁忌の快楽に身を委ねる背徳感は、今までにない快感を生み出していた。
(激しい呼吸音と布団が擦れる音)
「ああっ……そこ……もっと強く……」
「こうかな?」
(更に激しい動き)
「そう……それ……ダメ……イっちゃう……」
母の声が切迫していく。男の動きも速くなっているのだろう。部屋全体が揺れているような錯覚さえ覚えた。
「僕も限界……一緒にイこう……」
「うん……一緒に……」
(更に激しさを増す音)
「あっ……あっ……もうダメ……イク……イク……」
「僕も……出すよ……」
二人同時に果てたようだ。
二人の呼吸音が聞こえる。
現実の世界では僕の荒い息遣いだけが響いている。
股間から溢れ出た精液が、床を汚していた。
しばらくして二人が声を交わす
「はぁ……はぁ……ありがとう……すごく良かったわ……」
「こちらこそ……玲子さんて思った以上に……」
「言わないでください・・・恥ずかしいから……」
「ごめんごめん。でも本当に素敵だったよ」
しばらく静かな時間が流れた後、二人はゆっくりと動き出した。
母さんが布団から起き上がる気配がする。
「シャワー浴びてくるわね」
「うん、待ってるよ」
(足音とドアを開ける音)
母さんがシャワーを浴びている間に、男はベッドに座り直したようだ。布団の擦れる音がする。
「(独り言のように)最高だったな……」
そこからは二人のバタバタとした帰り支度の音、最後にキスの音が入っていた。
僕はスイッチを切り呆然としている。
頭の中は母さんの痴態。
僕がいつも見ているあの体。たまに下着姿を見ることもあるけど
全身くまなくなんて見たことがないし、そもそも見るなんて発想がなかった。
でも、今は。
そして、どこの誰かもわからない男のものになったあの瞬間。あの声。あの音。
思い返しているといつの間にか股間をしごいている。
ちくしょう!僕は自分の手なのにあの男は母さんのを!
怒りなのか嫉妬なのかそれとも他の感情なのか
その夜は眠れず何度も何度もしてしまった。