他人になった妹は、俺の裏垢調教志願者でした 作:ドン・ドナシアン
「ひどいよ、お兄ちゃん──。あたし、あれで口の使い方練習してきたんだよ──」
「練習って……」
「なに言ってんのよ。あたしがどれだけ練習してきたと思ってるのよ──。あれがお兄ちゃんと同じだと思って、毎日……毎日……口の使い方を必死で……ネットの動画で研究して……」
直樹の股間の前にうずくまり、いままさに露出させている男根に顔を埋めかけていた妹──美咲が顔をあげて、直樹を涙目で睨んでいる。この顔は本気で怒っている顔だ。あんな時期もあったが、美咲の感情の顔だけは昔からよく知っている。
いずれにしても、それで我に返った。
流されるところだったが、自制心が戻る。
「そうか。じゃあ、お互いにちょっと落ち着こうか……。まずは、話を……」
とりあえず、露出している性器をズボンの中にしまおうとした。
「うわあああっ、ごめんなさい──。ごめんなさい、お兄ちゃん──。ちゃんとします──。ちゃんとするから、捨てないで、お兄ちゃん──」
すると、妹が悲鳴をあげて、直樹の両手にしがみついて阻止してきた。
次いで、小さな口を必死に開けて、直樹の男根を咥えようとする。
その勢いがすごくて、思わず腰を引いて避けてしまった。
「なんで逃げるの、お兄ちゃん──。謝ったじゃないのよ──。酷いよ──。もう、あたしを捨てるの──。だったら、お兄ちゃんのパソコン、侵入させたウイルス使って、データもプログラムもぐちゃぐちゃしてやるから──。本当よ、嘘じゃないよ──」
美咲が直樹の腰にそのまましがみついてきて泣き叫ぶ。
その必死の力で押し倒されそうになるのを、なんとかこらえた。
「落ち着けって。捨てるもなにもないだろう。びっくりしただけだ。だいたい、あんな勢いで咥えようとするな。……噛み千切られるかと思ったわ」
「お兄ちゃんのものを千切るわけないでしょう──。なに言ってんのよ──」
「いいから、落ち着け。教えるから」
気がつくと、そう言っていた。
美咲が「えっ」と声をあげて、顔をさらに上げて直樹の顔を見てくる。
次いで、腰を掴んでいた手を緩めて、身体を引いた。
その顔が一瞬して笑顔に変わっている。心から安堵した表情だ。
「ご、ごめん、お兄ちゃん……。あたし、ちゃんとできないから、捨てられると思って……。うん、教えてください、ご主人様……」
美咲の顔が溶けたように崩れる。
狂気のような反応が収まったようでほっとしたが、また流されたという自己嫌悪にもちょっと陥る。
まあ、いいか……。
こうなってしまったら、ここでやめるというのも、美咲にとっては酷なのかもしれない。
まだ十分には理解できていないが──それでも、美咲が相当の覚悟でここにいることだけは、痛いほどわかってしまった。
いずれにしても、一旦落ち着いたら、自室のパソコンにウイルスチェックをしまくろうと心に決めた。
「じゃあ、改めて……ご主人様、よろしくお願いします……。ふふふ、ご主人様って……いいね。ずっとそう呼んでいい、お兄ちゃん?」
「だめだ。まあいい……。じゃあ、本格的にフェラを教えてやるから、さっきの手錠を持ってこい。奴隷は手を使わないんだ、口だけで奉仕するんだぞ」
「わかった──。ちょっと待ってね。すぐに持ってくる──。それ、しまったらだめだよ。もしも、しまったら、ウイルスだからね──」
「しまわねえよ」
嘆息とともに言った。
美咲はがばりと身体を起こすと、もうすごい素早さで部屋の隅に置いていた自分のトランクケースへとすっ飛んでいった。
直樹は再び溜息をついてしまった。
……本当に、なにをやってるんだ。
だけど、ここでやめることのほうが──いまのこいつにはきっと残酷だ。どうやら、直樹は妹だという認識のないまま、《WARASHIBE17》のこいつを依存させてしまったのだろう。
もう止まれない場所まで、こいつを連れてきてしまったのだろう。
ならば──せめて、最後まで導いてやらなきゃ、嘘になるか……。
「お兄ちゃん、持ってきたよ」
美咲が満面の笑みを浮かべながら、両手で手錠を差し出してくる。
通販のページでよく見る、可愛らしいつくりの革製の拘束具だった。
黒い合皮に赤い縁取り、内側には低反発素材が柔らかく縫い込まれ、パチンと金具でとめるだけの簡易仕様──。鍵は、すでに金具の差し込み口に差されたままになっている。
左右の輪は開かれていた。
美咲はにこにこと微笑んでいる。
拘束されることを、全身で待っている表情だ。
直樹はとりあえず、手錠を受け取る。
「……やるからには、本格的にするぞ。後悔しねえな?」
目を細めて尋ねると、美咲は嬉しそうに胸を張った。
「もちろんよ。あたし、お兄ちゃんに調教してもらうのを──夢にまで見てたんだから」
それを聞いて、直樹はふっと小さく息を吐いた。美咲の心にぶれはない。少なくとも、直樹に「調教」を受けるために、わざわざやってきたというのは確かなのだろう。
だったら、それでいいか……。
どうしてここに来て、これからどうするつもりで、故郷に残っている親たちとの関係をどうするのかというようなことは、余事だ。
直樹もそれなりに覚悟を決めることにした。
まずは、鍵を静かに抜き、手錠ごと部屋の隅へと放り投げる。
からからと軽い衝突音が畳の上に響いた。
「えっ?」
美咲が目をぱちくりさせて、呆気にとられる。
「さっき、言っただろ。奴隷は手は使わねえよ……。口で持ってこい」
そう言って、直樹は美咲の頬に、ほんの……、本当にほんの少しだけ力を込めて、手の甲で触れるように叩いた。
空気を叩くような、軽い音がしただけだった。
だが──。
一瞬、ぽかんとした表情を浮かべた美咲の眼が、蕩けたように細くなる。
そして、口元が緩み、肩がすうっと落ちて、腰が沈んだ。
まるで、身体全体が“命令”に従う回路に切り替わったみたいに。
「う、うん、お兄ちゃん……」
甘く掠れた声とともに、美咲は自発的に四つん這いになった。ミニスカートで四つん這いになれば、完全に下着は露出する。
美咲はなにも言わず、なにも聞かず──ただ命令を実現させるためだけに、じわりじわりと、手錠が投げられた方向に這っていく。ただ、すでに息が荒い。
直樹はくすりと笑ってしまった。
畳を押す両手、背筋を伝う緊張の波、そして──。
後ろからでもわかった。
ローライズの白いショーツのクロッチ部分が、うっすらと色を変えていた。
尻の丸みに沿って貼りついた布越しに、湿り気が透けている。
四つん這いになった拍子に、わずかに尻が跳ねて、その濡れが視界に飛び込んできた。
ああ……。
こいつは、本当に“ドM”なんだな……。
改めてそう確信した。
「んん、んんんっ」
美咲が手錠を口に咥えて、四つん這いで戻る。
手錠を受け取り、美咲の後頭部をがっしりと掴んで、いまだに露出している直樹の股間に押しつけた。わざと気持ち乱暴にしてやる。
「んああっ、あんっ」
美咲が甘い響きの混じった呻き声をあげた。
そのまま強引に腕を捻り、背中で両手首に手錠をかけてしまう。
かりりと軽い音がして、手錠が小さく締まった。
わずかに食い込む感触を確かめるように、美咲の指先がきゅっと震える。
「んあっ」
その瞬間だった──。美咲の肩が、ぴくりと跳ねた。
息を呑んだ音……。
唇を噛みしめる音……。
そして──太ももが、ほんのわずかに、内側に寄った。
直樹にはわかった。
こいつは──手首を拘束されただけで、また濡れたのだ。
呼吸のリズムが明らかに変わった。
腹の奥で熱を吸い込み、抑え込もうとしてる。
手首が塞がれたことで、“逃げられない”、“抗えない”、“委ねるしかない”、という実感が美咲の中のスイッチを完全に押したのだろう。
「濡れたか、美咲?」
直樹は意地悪く訊ねた。
ちょっと躊躇したあと、美咲は直樹に後頭部を押さえつけられたまま小さく頷く。
「う、うん……、ちょっと……」
美咲が立て膝で渦でお尻を高くあげた格好のまま内腿をぴったりと寄せたまま頷く。
やっぱり、すでに情欲に酔っているような感じだ。
ごくりと喉が鳴った──直樹自身が、こいつに呑まれはじめていることに、気づいてしまった。
「じゃあ、まずは口づけだ。先っぽに口づけしろ。男のちんぽは初めてか?」
「う、ううん……。お兄ちゃん2号で……」
「それは、のぞけ」
「じゃ、じゃあ、初めて……」
「男は小便しても拭かねえからな。臭せえだろう?」
「ううん……いい匂い……。くらくらする。お兄ちゃんの匂いだし……」
美咲が時間がたって萎えかけている直樹の性器に口づけをする。
「最初から強くするな。まずは舌先でくすぐるようにだ」
声を掛ける。
「……あ、あたし、頑張るから……。お兄ちゃんの性奴隷になれるように……」
甘ったるく囁いてから、美咲の唇が、そっと先端に触れる。
小さく吸い上げるようにして、ぬるりと舌先が這った。
すぐに、おずおずと触れさせていただけだった美咲の舌が直樹の性器の先端を舐め始める。
気持ちがいい。
技巧などないが、言われていること、覚えたことを一生懸命に実行しようとしている気持ちが伝わってくる舐め方だ。
「その調子だ……。だんだん先っぽだけでなく、全体を咥えたら、アイスでもなめるように舐めまくっていけ。俺の股間の反応でわかるはずだ。気持ちいい場所。気持ちのいい舐め方。それを探りながらやれ。なにをしてもいい。とにかく、気持ちよくさせるんだ」
「んんっ」
美咲が直樹の股間を咥えて、そのまま大きく頷く。
「おっ」
大きく揺すられて、その刺激で直樹の股間が最大限に膨らんだ。
「んんんっ」
反応したのが嬉しかったのか、美咲が嬉しそうに直樹の男根を咥えながら声をあげた、
「わかった、わかった。振るのはもういい。それよりも、舌先から根元にかけて擦っていけ」
美咲は言われるがまま、後ろ手の身体を揺さぶるようにして、顔全体を動かすようにする。
素直な美咲の態度に、直樹は愛おしく感じ始めるのを抑えられなかった。
視線はそらさず、舌を直樹の股間に這わせながら真っ直ぐに、直樹のものを見つめている。
その眼差しに、緊張と熱が同居していた。
「……いいか、美咲。まずは口の中で包め。歯は絶対に当てるな。唇の内側で、ぐっと抑えるようにして……」
「……ん、んん……」
美咲は言われた通りに、唇を巻き込みながら咥えこもうとしたが、慣れない動きに舌の位置を迷っているのがわかる。
「奥に入れなくていい。いまは先っぽだけ……そう、舌の裏で撫でろ。中心から先端に……ゆっくり。力を抜け」
言葉に従うたびに、ぎこちなく動いていた舌が、次第に滑らかさを増していく。
──それでも、ときおり歯がかすかに当たる。
そのたびに、わざと短く、低い声で叱った。
「……美咲。痛い」
「ご、ごめんなさい……。力が入っちゃって……」
慌てて、口から直樹の性器を離した美咲が泣きそうな表情で謝る。
「怖くても咥えるんだ。じゃなきゃ、奉仕じゃないだろ」
「う、うん……。ごめん……」
そう告げると、美咲は涙を浮かべながらも、唇をきゅっと結び、再び口を開いた。
その根性だけは、本物だった。
「……舌の裏で、幹の側面を撫でながら吸え。途中で止まるな。喘ぐな。鼻で息しろ……」
「んっ、ふ……っ、んん……っ」
頬が少しずつ赤らんでいく。
「……そうだ。いい感じだ……。喉の奥まで押し込められるか?」
喉の奥で小さくくぐもった音を立てながら、美咲は喉を押し開けるように深く咥えこもうとする。
──だが。
「ぐっ……ぅぶ……っ」
急に咳き込み、涙と唾液を飛び散らせながら、美咲が顔を離した。
「……無理、喉が……っ、ごほっ……ごめんなさい、お兄ちゃん……」
唇の端から涎を垂らしながら、泣きそうな顔で見上げてくる。
それでも、直樹は冷たく告げた。
「吐くほどでも、口を離すな。いいか、そうやって止めたら、意味がない。快感は、途切れると冷める」
「う、うん……。わかった、もう一回、やる……。ちゃんとする……。ああ……、でも、動画でも見たのに……上手くできない……」
必死に頷いて、もう一度顔を下げる。
濡れた唇が、また先端に触れた。
「……ネットで勉強しただけでうまくできるかよ……。とにかく、最初は浅くてもいい。コツを覚えるまでは、形を舌で覚えろ。先端、幹、裏筋……。どこを舐めたら反応するか、感じながらやれ。俺の反応を見て、覚えろ」
「……んっ、んん……。ここ……? ……ここが好きなの、お兄ちゃん……?」
言葉とともに、細い舌先が幹の根本を這う。
直樹の呼吸が一瞬だけ乱れたのを、美咲は見逃さなかった。
「ん……ふふ、いま、震えた……。ここ、だ……」
にやりと笑った顔が、まるで快感の正体を見抜いて悦ぶ、小悪魔そのものだった。
だが──それが堪らなかった。
そして、再び、美咲が口全体で性器を呑み込む。
美咲の舌先が、裏筋の根元から先端に向かってゆっくりと這い上がる。
それは震えるような微細な動きで、吸い付きと、舐める動作の間を器用に滑らせている。
──こいつ、本当に練習してきたんだな。
愛撫するたび、咥えるたび、唾液の絡む音が生々しく響く。
ときおり、美咲が喉の奥で空気を震わせるような声を洩らす。
「んん……んっ、んちゅ、んっ……ふぁ……」
粘膜同士の濡れた音が、部屋に満ちていく。
両手を背中に回されたまま、顔だけを一心に直樹の股間へ向けているその姿──。
美咲の腰がわずかに揺れていた。
下半身にまとわりついたショーツが、濡れた粘り気を帯びて、太腿に張りついている。
喉の奥が熱くなってくる。
「……もうすぐ出す。口の中に全部出すから、喉を閉めるな。逃げるなよ」
そう告げると、美咲が一瞬、びくりと肩を震わせた。
けれど──すぐに頷いた。
涙を滲ませたその瞳が、真剣だった。
もう、演技ではない。
媚びでもなく、情欲に酔いながらも、どこか信仰のような熱で、直樹を見つめている。
「口開けろ、美咲」
「……んっ」
ごくん、と喉が鳴った音がした瞬間──。
「っ……」
直樹の奥から、熱が噴き上がる。
瞬間、美咲が口内をいっぱいに満たされたことに気づき、身体をこわばらせた。
けれど──逃げない。
瞼をぎゅっと閉じ、口の中を丸ごと包みこむように舌をすくわせる。
喉の奥が、絞るように動いた。
「んっ……ん、く……ぅんん……っ、んっ……ん……」
甘く、粘るような音とともに、美咲は全部──一滴残らず、喉へと流し込んだ。
そして──。
「……んっ、ごく……っ、ごく……っ……」
静かに、最後の一滴まで飲み込んだあと、美咲は唇をそっと外した。
少しだけ白濁が唇の端に残るが、それも舌先でぺろりとすくって、自分で口の中に戻してしまう。
「……ちゃんと、飲めたよ、お兄ちゃん……」
潤んだ瞳のまま、唇を震わせながら見上げてくる。
さっきまで直樹の性器を咥えていたその唇が、小さく微笑んでいる。
「どうだった。不味かったろう?」
「うん……。すごく……濃かった……。でも……美味しかった……。変かな、こんなこと言って……」
「……馬鹿。変なのは最初からだ」
小さく呟くと、美咲が嬉しそうに笑った。
「──でも、嬉しい。ちゃんとお兄ちゃんの中身、もらえたから……」
その言葉が、どこか命を捧げる巫女のように聞こえた。
フェラでも、奉仕でもない。
いまの美咲の行為は、“受け入れること”そのものだった。
たしかに──そう思った。
部屋の中には、静かな呼吸の音だけが漂っていた。
美咲はまだ、直樹の股間の前に正座のままうずくまり、肩を上下させながら余韻に浸っている。
口元に残るわずかな熱を、舌先で探るようにぺろりと舐め取っていた。
直樹は、抜けたようにその姿を見下ろしていた。
息がゆっくりと整っていく。
射精したあと特有の沈静が、心の奥まで沁みていく。
「……それにしても、全部、飲んだんだな」
思わず呟くと、美咲がこくんと頷いた。
「うん……。出されたの、ひとつも、こぼしてないよ……。お兄ちゃんの、いっぱい……んんっ」
口に含んだ記憶がまだ鮮明なのか、言葉を濁しながら頬を染めてうつむいた。
「最初、喉が閉じそうになったけど……“逃げたら、いままでが無駄になる”って……思った……。だから、最後まで──」
ぽつりとこぼしたその声には、焦がすような真実味があった。
「お前……あんなに震えてたのに、よくやったな」
「だって……お兄ちゃんに褒められたかったから……」
そう言って、美咲が直樹の手の甲にそっと頬を寄せた。
まるで犬みたいに、少し湿った瞳で。
……もう、“妹”という言葉は意味を失っていた。
こいつは直樹に服従したいと願い、そのために身体も心も晒してきた。
最初は単なる倒錯だと思っていた。歪んだ執着だと、都合よく切り離そうとしていた。
でも──。
ここまでの本気を見せられては、無視できないな……。
直樹は覚悟を決めた。
「……美咲」
「なあに、お兄ちゃん?」
「……わかった。ここで暮らしていい。お前を調教してやるよ」
直樹は言った。
美咲が小さく目を見開いて、ほんの数秒呆けたあと──ふわっと笑った。
そのときだった。
不意に聞き慣れない着信音が鳴り響いた。
「わっ」
美咲が小さな声をあげた。
ちょっとびっくりしたのだろう。
音は、美咲が放り捨てたようになっているトートバッグの中からだ。だが、美咲の両手には背中で手錠がかかっている。
手を伸ばして、そのトートバッグから美咲のスマホを取り出す。
「電話みたいだな」
画面を美咲に見せる。着信者は“岸谷謙一”とある。画面ブロックはかかってない。
すると、眼が大きく見開かれた。
──だが、それは一瞬だけだった。
すぐに、別人のように瞳が細くなる。
理性で押し潰すように、感情を切り替えた顔だ。
「……出なくていいよ。放っておいて。ごめん、電源切ってなかった」
「誰だ?」
直樹の問いに、美咲は、ほんのわずかだけ、眉を震わせた。
そして、淡々と告げた。
「……婚約者」
「はあああっ」
思わず、声をあげていた。