※この作品はR-18です。

他人になった妹は、俺の裏垢調教志願者でした   作:ドン・ドナシアン

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006 お兄ちゃんにだっこされてるみたい

 ちろ……ちろろっ……。

 

 最後の雫が落ちきるまで、直樹は微動だにせず、妹の放尿を見届けていた。

 美咲は、洗面器を跨いだまま項垂れていた。頬は真っ赤に火照り、肩はこわばり、耳の先まで染まっている。

 畳の縁に、薄く濡れた痕が残っていた。

 いましがた、意地悪をして、洗面器をわずかにずらしてやったせいだ。

 

「……も、もう……最低……」

 

 ようやく絞り出した声は、怒っているというより、顔から火が出そうなほどの羞恥に打ちのめされた音だった。

 俺は洗面器を持ちあげ、底に沈んでいたスマホを確認した。

 カバーはすでに外れ、基板はむき出しだ。さっき、美咲けら取り上げ、俺が放り込んだものだ。ちょっと焦げた匂いもするから、うまい具合にシュートしたと思う。

 画面にも基板部分にも、ついさっきまで美咲が出していた体液が薄く浸っている。

 まあ──大方アウトだろう。

 

「これはもう、合掌だな」

 

 直樹は、そのまま台所に持っていき、蛇口をひねって洗面器に水を注ぎ込んだ。

 じゃばじゃばと冷たい水が注がれ、スマホがぷかりと浮かび上がる。

 水面下では、最後の力を失うように、スマホの基板の隙間から空気が逃げるように、ぷつぷつと小さな泡が弾けた。

 

「これで壊れたろう。実家には手紙でも書いとけ。スマホが壊れたから、買い換えるまで手紙で連絡しろってな。ダミーの住所準備してやるから、それを使え。お前、わかっていると思うけど、ここの住所知らせるなよ」

 

「う、うん……。でも、ダミーって。そんなのあるの、お兄ちゃん?」

 

「ある」

 

「わかった……。でも、ほんとに、壊しちゃったんだ……」

 

 美咲が小さく息を漏らした。

 その声には、溜息のような安堵と、どうしようもない恥ずかしさが溶けていた。

 

「壊されたくて、小便かけたんだろう?」

 

 そう返すと、美咲はそっと頷いた。

 放尿のときには開いていた内腿は、いまはしっかりと閉じていて、美咲は正座の体勢に変わっている。両腕は背中で手枷を嵌められたまま……。

 

「うん……壊してもらえて、よかった……。ありがとう……」

 

「まあ、でも小便は下手くそだったぞ。後ろ見てみろ、まともに、洗面器に小便もできねえのか?」

 

「は……? なにそれ……。そ、それは、お兄ちゃんが──」

 

 美咲が不満そうに、直樹を見上げる。

 

「おっ、なんだ、なにか文句があるのか?」

 

「文句って……」

 

 直樹は膝をついて、美咲の前にしゃがみ、顎を摘まんで顔をあげさせて目線を合わせる。

 美咲がごくりと唾を飲む音が聞こえた。

 

「SMってのはなあ、痛めつける遊びじゃねえ。悦ばせる技術でもねえ。──生き方を壊して、造り直すための作法だ」

 

「……え……?」

 

「羞恥、服従、快感。どれも手段であって、それは目的じゃねえ……。お前みたいな奴は、どうしようもなく感じてしまう自分に戸惑う。その戸惑いごと、壊してやるのが調教だ。わかるか?」

 

「……いや、ごめん……。まったくわかんない……」

 

 美咲が戸惑ったように口を開いた。

 ただ、指の先がかすかに震えて、さっきまで泣きそうだったのに、いまは、呼吸が少しだけ浅くなっている。

 

「羞恥のど真ん中で従わせる……。屈辱の中で快感を与える……。そうして壊れたいって心の奥を、他人の手で開けてやる。だから、お遊びじゃねえ。これは、生き直すためのしつけだ」

 

「生き直すための……しつけ……」

 

「俺は、おまえをただの変態にする気はない。俺の奴隷に育てる。──俺の“M女”として、な」

 

「俺のM女……。うん、お兄ちゃん──。あたし、お兄ちゃんのM女になるよ……。ううん、もうお兄ちゃんのMだよ──」

 

 美咲の顔がさらに真っ赤になって破顔する。

 可愛いやつだ……。

 直樹は、美咲の顎を指で軽く持ち上げたまま、真正面からその瞳をさらに覗き込んだ。

 その目はまだ怯えていたけれど、逃げようとはしていなかった。

 むしろ、捕まえてもらえるのを──どこかで望んでいる。

 

「……俺はお前に、到底受け入れられねえようなことを命令する。お前は、それに本気で逆らおうとする。恥ずかしい、怖い、できない、って思う。──でも、結局は、否応なく、受け入れさせられるんだ」

 

 直樹は、声を少しだけ低くして、語りかけるように言った。

 美咲の喉が、かすかに上下した。

 

「……それを繰り返すうちに、お前の“できない”が“できる”に、“無理”が“もっと”に変わる。自分でも気づかないうちに、“壊されていく”んだ。自分で、従うことが、悦びになってくる」

 

「……」

 

 美咲は黙っていた。

 でも、その沈黙は否定じゃなかった。

 視線が泳いでいる。なにか言葉を探して、でも出せない。

 やがて、小さく頷くように肩が一度だけ揺れる。

 

「……わかった……」

 

「いや、わかってねえ」

 

 意味まで理解できるわけがない……。いや、意味を理解しようとする必要もない。

 壊される悦びなんて、いまのこいつに言葉で説明したって通じるわけがないんだ。

 でも──される側の身体は、もう理解しはじめている。

 

「お前は、わかんなくていい。でも、俺はわかってる……。お前は、ただ、それを受け入れさせられるだけだ」

 

 そう言うと、美咲は、目を逸らしかけた視線を、また直樹のほうへ戻してきた。

 怯えたまま……。でも、逃げてはいない。

 膝を正して、胸を張るでもなく、ただ命令を待つ姿勢に変わっていた。

 その仕草がなによりの答えだった。

 

 直樹はふと、畳の縁に残った濡れ跡へ視線を落とした。

 ちろ……と、いましがたまで滴っていた場所だ。

 

「……で、自分でやったことは、自分で片づけろよ」

 

「えっ?」

 

 美咲がかすかに首を傾ける。少し遅れて直樹が指さした先を振り返って見る。

 畳に染み込んだ自分の小便の痕跡──それに気づいて、表情が固まった。

 

「え、ちょ、待って……。でも……」

 

「ん? 自分で拭けねえのか。そりゃあ、そうか──手、使えねえもんな」

 

 そう言って、美咲の背中で手枷をされている両腕をわざとらしく見る。

 美咲は俯いたまま、小さく身じろぎした。

 

「じゃあ──口で拭け」

 

「……なっ……」

 

 美咲が目を見開く。

 声にはならない拒絶が喉元で揺れていた。

 

「さっき教えたはずだぜ。M女は手は使わねえ。ちょうどそこに、お前が脱ぎ捨てた下着があるじゃねえか。それを使って、口で掃除しろ」

 

 直樹は足元を指さした。

 放尿の直前、美咲が自分で脱ぎ、足首から抜いたまま置いてあるショーツだ。

 

「……っ……そ、それは……」

 

「嫌ならいい。代わりに舐めて拭けって、言うだけだ」

 

 美咲の喉がぴくんと震えた。

 そして、ほんの一拍の沈黙のあと──美咲はゆっくりと、正座のまま腰を浮かせる。

 

 そのまま、膝を少しずつ進める。

 伏せた顔のまま、下着の置かれた場所まで這い寄り、ついには首を傾け、唇でショーツの端を咥えた。

 小さな呼吸音が聞こえる。

 それが震えているのは、息のせいか、それとも感情のせいか──。

 

 やがて、美咲は尻を持ち上げた。

 ミニスカートはたくしあがり、後ろからはっきりとその恥部が露わになる。

 下着を脱いだままの下半身──ぬらりと濡れた秘部と、そこから滴った痕が内腿を伝っていた。

 

 ……ほんとうに、どうしようもないほどMなんだな。

 

 その光景を見ながら、ただ静かに、しかし確信を深めていた。

 羞恥に震えながらも、拒絶ではなく従属を選ぶ──。

 命令されたことを、身体で果たそうとする。

 こいつは、間違いなく、Mだ──。

 

 立ち上がり、美咲の脇を抜けて、彼女のトランクケースを開けた。

 その中から、美咲が通販で買ったという縄束を美咲がまとめているレジ袋の中から取り出す。

 

 ──いや、これはダメだな。

 

 縄はそのままじゃ使えねえんだ。

 麻縄ってのは、買ったばかりの状態だと、繊維が立ってて硬いし、毛羽立ちもある。

 このまま肌に巻いたら、食い込むどころか擦れて火傷みたいになる。

 それを防ぐためには、まず湯通しして、余分な油分や汚れを落とし、乾かしてから丁寧に毛羽を焼いて落とす。さらに手で揉みながら蜜蝋や椿油をすり込んで、柔らかく馴染ませていく──

 一本仕上げるのに一晩はかかるんだ。

 

 こいつは、それをなにもやってねえ。

 レジ袋から出したばかりの、ただの“工業用ロープ”だ。

 こんなもんで美咲の肌を縛ったら、最初の一巻きで傷になる。

 

 ちらと後ろを見やると、まだ美咲は頭を垂れたまま、口にショーツをくわえ、ぬらぬらと濡れた畳の上を拭っている。

 ミニスカートの裾は自然と腰までめくれ上がり、後ろからは尻が丸見えだった。下着を脱いだままの下半身からは、ねっとりと糸を引いた愛液が、内腿を伝ってゆっくりと染みている。

 

 少し観察していると、美咲がショーツの布を口で挟み、そっと前歯を使ってしっかりと咥え直した。

 そして、首を横に振るようにして畳の表面をぬぐう。

 ショーツの端が濡れた畳を撫でるたび、美咲の鼻先から小さな息が漏れている。

 その動作に合わせて、尻が左右に揺れる。羞恥の熱に染まったその身体は、まるで罰を悦びに変えるための儀式でもしているようだった。

 

 口で拭くという行為に、意味なんてない。

 だが──それをさせることに意味がある。

 命令され、従い、それでも“やめろ”と言われないことで、心のどこかを許されている。

 その歪んだ安心を、身体が覚えていく。

 

 直樹はその姿を一瞥してから、静かに踵を返した。

 廊下を抜け、家の奥──自分の部屋へ向かう。

 

 棚の奥、押し入れのなかにある引き出しの中から手入れ済みの縄束を数束取り出す。

 ざらりとした麻縄は、すでに湯通しされ、表面の毛羽は焼かれて落とされ、椿油がじっくりと染みている。手に持つだけで、ほどよいしなやかさと温もりが指に伝わる。

 結び目の一つひとつも癖をつけてあり、すぐに使える状態に仕上げてある。

 束を片手に持ち直し、ふたたび廊下を戻る。

 

 居間では、美咲がまだ黙々と──いや、熱心に畳を拭いていた。

 ショーツの布越しに、畳の目に染み込んだ尿の跡を、何度も何度も丁寧になぞる。

 首を傾げ、肩を揺らしながら、まるで償うように、媚びるように──。

 直樹は黙って彼女の背後にしゃがみこみ、鍵をポケットから出して、そっと手枷の留め金に指をかけた。

 

 ──かちり。

 美咲の両手首から手枷が外れた。

 

「えっ?」

 

 美咲がびくんと肩を震わせた。

 口からショーツが滑り落ち、振り返ろうとする。

 

「ちょ、まっ──なに、外すのよお──。や、やだあ、それは、だって……」

 

 いきなり声が大きくなる。

 

「ねえ、ちゃんとやるからっ、もう一回、ちゃんとするからっ。次はぜえったい、ちゃんと洗面器にするからっ、だから呆れないでよっ、お兄ちゃん──」

 

 直樹の手が止まった。

 縄束を持っていた方の腕が、思わず落ちかける。

 

「……おい、お前……」

 

「ほんとに、ほんとに、さっき、おしっこ、こぼしたのがいけなかったって、わかってるからっ──。だから、見捨てないでよっ」

 

 まくし立てるように言って、美咲は涙ぐんでもいる。

 手錠を外された──。

 そのことが、“捨てられる”ことに思えたのか。

 だが、すでに鍵を外して手錠は外れている。

 

「おい、待て、落ち着けって……」

 

「落ち着いてるもんっ」

 

 なぜか自信たっぷりに言い返してくる。

 ──なにがどうなってんだ、こいつ。

 とにかく、あまりもの勢いにたじろいでしまう。

 縄を持ったまま、美咲の勢いに押されて、言葉が途切れる。

 

「お前……Mだろうが。命令すんなよ──」

 

「命令なんてしてないわよ──。とにかく、あたしの許可なく手錠を外さないで──。嵌めて──。嵌め直して──」

 

「それが命令って、言ってんだろうが──」

 

「ううう……」

 

 ようやく、美咲が押し黙る。

 直樹はやっと力を抜いた。

 

「とにかく、外すんじゃねえよ。その逆だ」

 

 直樹俺、美咲の背中に視線を落としたまま、縄束をひとつ解いた。

 

「……え?」

 

 美咲がさっきの興奮とは一転し、きょとんとした顔になる。

 

「縄掛けしてやるよ……。縄の味、教えてやるから……」

 

 美咲の顔が一瞬でぱっと明るくなった。

 目を輝かせ、口元に笑みすら浮かべて──。

 

「縛ってくれるの? 本当に……?」

 

「ああ……。立って、背中に手を回せ」

 

 そう告げると、美咲は勢いよく立ち上がり、直樹の目の前で胸を張る。

 そして、言った。

 

「あたしを……お兄ちゃんの女にしてくれるのね」

 

 悦びに震える声。しかも、瞳が潤んでいる。

 思わず苦笑した。

 

「……ばーか、浮かれるんじゃねえよ」

 

「えっ?」

 

「もしかして──俺に犯してもらえると思ってんのか?」

 

「……ち、違うの……?」

 

 美咲の顔がかすかに引きつる。

 だが、その中には羞恥と期待と、否定しきれない熱が混じっていた。

 

「いいか、M女にとって──ご主人様とのセックスは、“ご褒美”だ。簡単に与えられると思うなよ」

 

「……うん……わかった……」

 

 美咲はかすかに首をすくめながら、それでも目を逸らさず、背中で両手を組んだ。

 ──いい子だ。

 

「背中をこっちに向けろ」

 

 美咲は、両手を背中に回したまま、大人しく直樹に背を向けた。

 直樹はその肩甲を目で測りながら、解いた縄を握り直す。

 

 まずは、手首──。

 右の手首に縄の中心を当て、内側から外へ、関節を巻き込むように一周、さらにもう一周。

 きっちりと二巻き、食い込みすぎない張力で固定したら、左手首へ渡す。

 ここでも同様に二周をかけ、両手首の中央で縄を交差させる。

 そのまま芯縄を交点から背中方向に引き出し、美咲の手首が、ぐいと自然に引き寄せられて後手の位置で揃う。

 

「つっ……」

 

 小さく吐息が漏れた。

 次は小手の固定。

 手首の交差点から芯縄を斜めに引き出し、片側の上腕──肘のすぐ上──を掠めて背中を渡る。

 反対の上腕へと水平に通したあと、もう一度、交点へと戻す。

 この三角構造で、両腕を上下左右からしっかりと封じる。

 直樹は腰を落として、美咲の背中にぴたりと張り付いた縄の交点を掌で押さえながら、きゅ、と一息で絞めた。

 

「くっ……」

 

 美咲の指先がぴくりと反応する。

 最後に──胸の抑えだ。

 脇の下を通すようにして縄を上へ運び、肩の付け根をかすめて前方へ……。

 そして、胸の上を斜めに横切りながら、乳房の輪郭に沿って引き回す。

 そのまま背中に戻し、さらに逆側も同じように……。

 こうして、上下左右から編まれた縄が、美咲の胴を立体的に包み込んでいく。

 胸郭を持ち上げるような圧が加わると、美咲はふいに小さく呻いた。

 

「あ、ああ……っ」

 

 その声に耳を傾けながら、背面で結び目を整え、緩みのないよう仕上げる。

 シャツの布地の上からでも、縄目がくっきりと浮き上がり、乳房を押し上げるような形になっていた。

 

「息、できてるか?」

 

「う、うん……でも……なんか、変な感じ……」

 

「変な感じって、どういう?」

 

「……こう、締めつけられてるのに、苦しいっていうより……あったかいっていうか……。お、お兄ちゃんにだっこされてるみたい……」

 

「だっこか……。はははっ……もう、酔ってきてるのな。ほんとに、お前、感じやすいんだな」

 

 思わず、笑ってしまった。

 これが“縄酔い”──初めての拘束で身体が感じる、一種の多幸感。

 もちろん、誰にでも起きるわけじゃない。

 むしろ、最初の縛りでここまで酔える人間は、そう多くはない。

 肉体が、縄そのものを“快楽の刺激”として素直に受け入れている証拠だ。

 拒絶よりも早く、従属よりも深く──縄の存在を、肯定してしまっている。

 縄が肌を撫でるたび、微細な震えと快感が神経を伝って全身に広がっていく。

 摩擦、重み、絞まり──そのどれもが、まるで“与えられた許し”のように、美咲の身体に染み込んでいく。

 

 ──これは、間違いない。

 こいつ、素質あるわ。

 

「じゃあ、次は──腰だ」

 

 直樹は新たな縄を抜き取り、美咲の腰骨に沿わせながら水平に巻きつけていく。

 お尻の丸みに沿ってぴたりと固定し、背中側で結び目を作った。

 そして、ゆっくりと──その縄の前側に、三つの瘤をつくる。

 均等な間隔で締められた結び目は、小さな突起のように仕上がる。

 

「……え? なに、それ……?」

 

 美咲が振り返ろうとするが、後手に縛られているためうまく見えない。

 

「いいから、前を向け」

 

 その瘤を指先でそっと押さえ、そのまま──スカートの裾を持ち上げて、中に滑り込ませた。

 縄は、下腹を這うように通り、三つの瘤がちょうど秘部に当たる位置を狙って股間を縦断する。

 鼠蹊部に食い込むように、縄を引き絞る。

 

「ひゃ……んっ……」

 

 美咲が跳ねた。

 そのまま、直樹は股間に渡した縄を、後ろの腰縄に繋ぎ、ぐい、と引いて締め上げた。

 

「──ああっ……あっ、な、なにこれ……お、お兄ちゃんっ……」

 

 突然、美咲の声が上擦る。

 膝がかくんと落ち、縄のテンションで一瞬腰が浮き、スカートの中の瘤がぴたりと秘部を圧迫する。

 

「お、お兄ちゃん……だ、だめ、いま……や、あ、ああっ……」

 

 顔が火のように赤くなった瞬間──美咲の全身がびくびくと跳ねた。

 

「……あっ……だめ……だめ、いま……いま、いっ……ちゃ……っ……あああああっ……」

 

 ぐったりと崩れ落ちるように膝をついた美咲は、肩を震わせ、目を閉じたまま息を荒げたまま……。

 ……なんだ、こいつ。

 思わず目を丸くした。

 たった、これだけで?

 縄、かけただけで──達したのか、こいつ……。

 

「おいおい……ほんとか、お前?」

 

 言葉にならないまま、直樹はただ、美咲の顔を見つめた。

 その表情は、まだ頬を紅潮させたまま、恍惚の余韻に震えていた。

 言葉を失ったまま、直樹はしばらく、美咲の背中を見下ろしていた。

 縄に縛られた両腕、背中を走る縄目、締めつけられた腰──

 そして、スカートの奥、股間に食い込んだ縄の下で、熱く湿った蜜を滴らせたまま、崩れ落ちている。

 ……まさか、ここまでとはな。

 初めての縄で──それも、ただ掛けただけで──達するなんて。

 

「だ、だって……お兄ちゃんに触られたんだと思うと……それだけで……」

 

「まだ、触ってねえだろう。でも、ほんと、お前……とんでもねえな」

 

 直樹はくすりと笑ってしまった。

 そして、腰縄の結び目を指先で軽くなぞる。

 

「ひんっ」

 

 美咲の身体が、ぴくんとまた、小さく跳ねる。

 

 ──これは随分と愉しい玩具だ……。

 直樹は、ほくそ笑んだ。

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