※この作品はR-18です。

他人になった妹は、俺の裏垢調教志願者でした   作:ドン・ドナシアン

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008 息を吸うことすら、許されていない気が

 息を吸うことすら、許されていない気がした。

 

 美咲の身体の奥に仕込まれたローターの小さな震えが、絶え間なく神経を叩いてくる。

 その細い波に喉の奥から喘ぎ声がこぼれそうになり、必死に噛み殺し続ける。

 静寂の中で、自分の鼓動だけが際立って聞こえる。

 それが恥ずかしくて、苦しくて、でもどうしようもなく甘かった。

 

 五感が痺れていくような快感の渦の中で、美咲は意識さえも失いそうだ。風の流れも、外の音も遠くなっていく。

 どこまでが自分の身体で、どこからが世界なのか、その境さえも溶けていくようだった。

 でも、股間の振動が意識を喪失することを許してくれない。

 

 勝手にいくな──。必死に耐えろ──。

 

 美咲を放置して残していったお兄ちゃんの命令……。

 それが美咲をこの放置恥辱という現実に留めさせる。

 

「くっ……うっ……」

 

 噛み殺してる歯から、また声が漏れた。

 慌てて、唇を固く結ぶ。

 でも、股間の振動がエグいほどに美咲を追い詰めていく。

 

 お兄ちゃん……。

 もう、だめ……。

 早く帰ってきて──。

 

 腕は背中で縛られ、縄が鴨居に通されて上へ引かれ、肩が持ち上がり、胸の奥が伸びる。

 片脚は膝裏で縛られ、もう片方の爪先だけが板の上を探していた。

 板のざらつきが足裏を刺し、力を抜くたびに体がふわりと浮く。

 そのたびに、縄が鳴り、胸の奥にまで響いていく……。

 

「ああ……」

 

 吐息とともに声のようなものが漏れた。

 だが、隠す手段は奪われ、服は着ているものの、玩具でいたぶられている股間を外に晒されているのだ。全身を濡らす汗が外気の風に冷やされ、誰かに見られるかもしれないという恐怖が美咲を追い詰める。

 

 身体の内側で熱がこもっていく。

 股縄とローターが喰い込んでいる下着の奥で、肌にまとわりつく湿りが重く感じられた。

 薄い布地が、淫具の微弱な振動に合わせて微かに擦れ、そこに溜まった温度と匂いが自分のものだとは思えなかった。

 

 風が吹くと、その空気が汗の膜を撫で、いっそう身体の奥を疼かせた。

 股の間を通して微かに続く震えが、焦らすように深く入り込み、息を止めても波が止まらない。

 

 美咲はそのひとつひとつに、恥ずかしさと甘い苦しさを重ねていった。視界は目隠しで奪われている。

 でも、風も匂いも、外のものだった。

 恥ずかしさと、言いようのない恐怖が混ざる。

 けれど、それをお兄ちゃんが命じたのだと思うと、身体の奥が熱くなる。

 

「うくっ……うあ……あっ……」

 

 股間で、小さなローターが震え続ける。

 股縄の結び目に押しつけられたまま、一定のリズムで細かく揺れているのだ。

 

 その振動が股縄を伝い、身体の奥にゆっくりと広がっていく。

 どうしようもなく感じてしまう。

 その微弱な刺激が、美咲の神経を絶えず叩きつづけていた。

 

 お兄ちゃんの足音はもう聞こえない。

 ほんとうに行ってしまったのだと思う。

 風が通り抜けるたびに、縄が小さく鳴る。

 その音が、美咲の世界の中心だった。

 

 外の空気は生ぬるくて、頬を撫でるたびに汗が乾く。

 草の匂いが少し強くなって、どこかで鳥が鳴く。

 目隠しの裏では、世界が揺れているようだった。

 美咲はただ、風の音と草の匂いに包まれながら、吊られていた。

 

「……ああ……お兄ちゃん……」

 

 呼んでも返事はない。

 沈黙が、重く、美咲の耳を塞ぐ。

 吊られた腕が揺れて、縄が肩に食い込む。

 そのたびに、ローターがわずかに位置を変えて、股の奥を擦った。

 息が詰まる。

 喉の奥で、声が潰れる。

 

 お兄ちゃんに調教されている──そう思うだけで、頭の奥がしびれた。

 いないはずなのに、すぐ後ろで見ているような気がする。

 その錯覚が、恥ずかしくて、苦しくて、そして甘い。

 風が通るたび、汗の粒が首筋を伝って落ちた。

 その感触に、美咲の体が勝手に応えてしまう。

 

 ローターの振動が、少しだけ強く感じられた。

 気のせいかもしれない。

 でも、股の奥が脈を打つたびに、震えが深く入り込んでいく。

 お兄ちゃんの顔を思い浮かべた瞬間、快感が一気にこみ上げた。

 

 歯を食いしばる。

 息を止めて、堪える。

 

 それでも波は止まらない。

 美咲の中で、熱が弾けそうになる。

 

「……だめ……あたし、いっちゃだめ……」

 

 小さく呟いても、ローターの震えはやまない。

 その弱さが、かえって苛立たしく、焦らすように体を追い詰める。

 

 波が収まったと思えば、またじわじわとせり上がってくる。

 お兄ちゃんの命令を思い出すたび、理性が揺らぐ。

 でも、破れない。

 破ったら終わりだ。

 

 だから、歯を食いしばって、息を止めて、また耐える。

 

 風が頬を撫で、縄が軋む。

 鳥の声が響き、遠くで車の音が通り過ぎた。

 そのすべてが、美咲の羞恥を際立たせる。

 

 外の世界は、美咲を見ていない。

 でも、見られている気がした。

 その錯覚だけで、身体が震える。

 

「……お兄ちゃん……あたし……ちゃんと我慢してる……」

 

 必死にお兄ちゃんを呼ぶ。

 声が風に混じって消える。

 その声を、自分で聞いてさらに顔が熱くなった。

 

 恥ずかしい。

 でも、止められない。

 

 ローターの震えに合わせて、美咲の体が微かに揺れる。

 そのたびに、胸の奥で熱が膨らみ、喉がひくつく。

 

「くあっ、ああ……」

 

 また波が来た。

 肩の縄が鳴り、腰の奥がきゅっと締まる。

 

 なんとか、唇を噛んで、歯を食いしばって、やりすごす。

 耐える。

 我慢する……。

 必死に……。

 

 息を殺して、震えを押し戻す。

 でも、その次の瞬間には、また波が来る。

 絶え間のない焦燥が、全身を浸していく。

 

「……お兄ちゃん……」

 

 囁いた瞬間、体がびくんと跳ねた。

 見られていると思うだけで、全身が熱くなる。

 

 羞恥と快感の境目が溶けて、息が乱れた。

 縄が軋み、風が吹き抜ける。

 それが、まるで返事のように感じられた。

 ローターの微弱な震えが、また新しい波を作る。

 

 そのたびに、快感が一気に込みあがり、

 美咲は歯を食いしばり、呼吸を止めて、それをやり過ごした。

 でも、また次の波が来る。

 

 お兄ちゃんの顔を思い浮かべるだけで、全身がしびれて、何も考えられなくなる。

 世界が熱に溶けて、音が遠のく。

 草の匂いと風の音だけが、まだ残っていた。

 

「……お兄ちゃん……あたし、壊れちゃう……」

 

 喉の奥でかすれた声が洩れた。

 縁側の板が軋み、風が草を揺らす。

 

 鳥が短く鳴いて、また静かになる。

 その静けさの中で、美咲の息だけが現実だった。

 

 縁側の風に晒されながら、

 美咲は吊られたまま震えていた。

 羞恥と不安と、微かな振動とに支配されながら──。

 

 そのとき──。

 不意に、突然にローターの振動が強まった。

 

「ああ、そんな──」

 

 身体の奥に隠された小さな波が、ひと息ごとに激しさを増していく。

 美咲は奥歯をぎりぎりと噛みしめ、喉の奥で声を押し殺した。

 

 だが、次の瞬間、その震えは急に弱まる。

 ほっとして、力を抜く。

 ところが、静けさが戻ったかと思えば、再び鋭く突き上げるように強くなった。

 

「ああ、またっ──」

 

 息の調子を合わせる暇もなく、身体の芯が翻弄される。

 耐えるほどに、感覚が細かくちぎれて散っていく。

 これまでの一本調子の刺激から一転して変化し、強まったり、弱まったりと振動に変化を付けられる。

 

 お兄ちゃんの命令に従わなければと思うのだが、もう自分の意思ではどうにもならなかった。

 快感は一気に押しあげられていく。

 もう我慢できない──。

 

「……ああっ、兄ちゃん……」

 

 美咲の唇から、その言葉が零れた。

 助けを求めたのか、それとも縋ったのか。

 自分でもわからない。

 ただ、その名を口にした瞬間、何かが胸の奥で弾けた。

 熱が下腹を駆け上がり、視界のない闇の中で、世界が一瞬光を帯びたように感じた。

 

「くっ、ああ……あああっ……」

 

 吊られた全身が弓なりに張りつめ、指先までが震えに飲まれていく。

 どこまでが痛みで、どこからが快楽なのかももうわからなかった。

 一瞬、全ての音が消失する。

 

 ついに、快感を極めてしまったのだ。

 息を吐くことも忘れて、ただ震えが通り過ぎるのを待った。

 

 やがて、激しすぎた快感が終わり、がくりと身体が脱力していく。

 しかし、美咲には絶頂の余韻に耽ることも許されなかった。

 

 玩具の振動は続いているのだ。

 二度目の焦点に向かって、すぐに美咲は快感を再び強引に飛翔させられていく。

 

「ああ……、いやああっ」

 

 さらに振動が強弱を刻みながら繰り返す。

 

「ああっ、あっ、あっ」

 

 もう我慢なんてできない──。

 浅い呼吸の合間に、また細い波が這い上がってきて、美咲の身体の芯を撫でては去り、去っては戻ってくる。

 力の抜けた膝が板を探り、爪先がわずかに滑る。吊り上げられた肩がきゅっと鳴り、胸の奥まで微かな音が沁みた。

 二度目まではあっという間だった──。

 

「……は、ぁ……っ、はあ、はあ、はあ……あ、ああっ」

 

 呼吸を整える間もなく、震えが再び高くなる。

 弱まったと思えば、すぐに鋭く立ち上がる。規則はない。ただ翻弄だけが続いた。

 喉の奥で生まれかけた声を歯の裏で潰し、唇を固く結ぶ。頬を伝う汗が顎で弾け、風がそれをさらっていく。

 

 胸の内側で、なにかがほどけ、世界の輪郭が白く滲んだ。

 視えない闇の中で、音だけが遠のき、身体だけが際立つ。

 そして、美咲の奥を一筋の光が駆け抜けたように、全身が細く張りつめる。

 

「……っあ、あああっ……」

 

 板が小さく軋み、吊られた肢体が弓のように反った。

 息が途切れ、指先が明滅するみたいに痺れる。

 やがて波はすうっと引き、膝から力が抜けはじめる——が、内側の震えは止まっていない。

 

 浅い呼吸ひとつで、また新しい波が立つ。

 弱く、強く。間断なく。

 耐えるほどに、感覚は細かくちぎれて散り、散った破片が熱を増して戻ってくる。

 

「……だめえ……」

 

 囁きは風に混じって消えた。

 それでも震えは容赦なく重なり、美咲の奥をもういちど押し上げる。

 喉がひくつき、胸の内側がぱちぱちと火花を散らすみたいに熱を孕んだ。

 

 ふいに、縁側の下を風が抜け、素足の甲を撫でる。

 冷たさと熱が交互に重なって、意識の端が白くなる。

 次の瞬間、波は稜線を越えた。

 

「……あ、あぁ……」

 

 全身がびんと硬くなり、吊り縄がきゅっと鳴った。

 息を吐くことも忘れて、ただ震えが通り過ぎるのを待つ。

 世界が戻るまでのわずかな時間、美咲の耳には自分の鼓動しかなかった。

 

 力が抜ける。

 だが、内側の震えはまた微かに形を変え、底から泡を上げるようにふくらんでいく。

 間を与えない。すぐに三度目か、四度目となる崩壊が始まった。

 

「……や、だ……まって……」

 

 言葉が風にほどける。

 震えは細く速く、美咲の呼吸の隙間を狙うみたいに入り込む。

 肩の後ろで縄が擦れ、胸の内側に微かな音が落ちた。

 それだけで、奥の火がふたたび強まる。

 

 しかし、はっとした。

 

 砂利の上で小さな足音が転がったのだ。

 ひと足、またひと足。庭の端から近づいてくる靴底の気配。

 

 美咲の喉がひゅっと細くなった。

 風の匂いが急に澄み、草の青さが濃くなる。

 晒されているという事実が、音を伴って輪郭を持つ。

 

「……だれ……? お、お兄ちゃん?」

 

 声は細く途切れ、闇に吸い込まれた。

 震えはなお続いて、身体の奥で灯がまた息を吹き返す。

 弱く、強く。間断なく──。

 

 足音は縁側の前で止まらない。

 近い場所で板が低く鳴り、風向きがわずかに変わった。

 美咲の胸の内側で、鼓動だけがやけに大きくなった。

 

 足音は縁側の前で止まらない。板が低く鳴り、気配がすぐ後ろに立った。

 美咲の喉が細く鳴り、声が擦れた。

 

「……お兄ちゃんよね? ねえ──」

 

 返事はない。

 次の瞬間、背中の縄がわずかに緩み、吊りの張力が静かに下がった。膝が抜けそうになったところを、後ろの手が支える。結び目が触れ、固い繊維の擦れる音が耳の奥で小さくはぜる。

 

「……お兄ちゃん……?」

 

 沈黙──。

 気配は近い。息の温度が耳の後ろに触れて、肩がびくりと跳ねた。

 腰のあたりで結わえられた細い線がほどけ、からだの芯に残っていた律動がふっと消える。世界が急に静まり返り、美咲の鼓動だけが大きくなった。

 

「……誰……? ねえ、誰──? お兄ちゃんよねえ? お兄ちゃんなんでしょう──?」

 

 問いは風にちぎれた。

 息が詰まる。美咲は身じろぎもできない。

 中腰になった姿勢で、息がひゅっと漏れる。

 

 背後に立っている誰か──。

 その気配は確かにあって、汗のにおいと違う、外の空気を混ぜた香りが鼻をかすめた。

 

「……お兄ちゃん……? ねえ……」

 

 返事はない。

 すると、縄の結び目が触れられる気配がして、細い麻の繊維が擦れる音が微かに響いた。

 股間に絡んでいた縄が、するりと引き抜かれていく。

 太腿の内側を滑り抜けた繊維が、肌に線を残し、微かに熱を伝えた。

 

 そして──。

 股の奥にあった小さな振動が止んだ。

 わずかな間を置いて、硬いものが板に当たって転がる音がした。

 玩具が落ちたのだと理解した瞬間、喉の奥がひゅっと鳴る。

 

 息を呑む間もなく、布が引かれる感触があった。

 下着の端を掴む指の気配。

 すぐあとに、金属が擦れるような乾いた音がした。

 

 ──鋏だ。

 

 美咲は身を強ばらせる。

 細い刃が布地を割く音が、耳の奥でやけに大きく響く。

 切断されていく布が、肌から剥がれていくたびに、ひやりとした空気が触れた。

 

「……ねえ、だれ──?」

 

 かすれた美咲の泣き声が、風に吸い込まれて消えた。

 返事は、まだない。

 ただ、背後から近づく息の気配だけがあった。

 その温もりが、首筋に触れるほど近くまで寄ってきている。

 

 背後の気配が、いきなり迫った。

 次の瞬間、身体が強く引き寄せられ、息が詰まる。

 背筋に走る衝撃に、思わず声が漏れた。

 

「──っあ……や、やめ……」

 

 言葉の途中で、空気が喉の奥に押し戻された。

 逃げようとした足が板を掻く。

 けれど腕はまだ後ろに縛られたまま、肩から引かれて動けない。

 重なった影の中で、知らない温もりが全身を覆う。

 

「……お兄ちゃん……? お兄ちゃん、なの……?」

 

 答えはない。

 代わりに、熱い息が耳の後ろをかすめ、腰の横を捕える手がさらに深く押し寄せた。

 美咲の目隠しの下で世界がぐらりと揺れる。

 背後で衣擦れの音がして、次の瞬間、お尻の下を伝って、一気に股間を貫かれた。

 

「あああっ、いやああっ」

 

 痛みとも恐怖ともつかない熱が身体の奥を駆け抜ける。

 大きい──。

 かなりの巨根だ。

 それが深々と膣を貫き、子宮を押しあげる

 

「やだ……やだ……誰……っ? あああっ」

 

 声は涙と一緒に喉で潰れた。

 律動が始まる。

 美咲は恐怖と快感に狂いそうになった。

 そのとき、耳もとに低い声が落ちた。

 

「……命令したのに、三度も、四度も達したな。お仕置きは覚悟しておけ」

 

 その声音を聞いた瞬間、美咲の全身から力が抜けた。

 やっぱり、お兄ちゃんだった──。

 息が漏れ、頬を伝う涙が熱い。

 もう誰なのかを確かめる必要はなかった。

 

「……ああ、お兄ちゃん……」

 

 呼んだ途端、胸の奥がほどけていく。

 恐怖が安堵に変わり、安堵が快楽に溶ける。

 背中の圧が一定のリズムを刻み、呼吸がそれに合わせて乱れていく。

 身体の奥で、なにかが弾けた。

 身体ががくがくと痙攣し、またしても、美咲は快感を激しく飛翔させた。

 これまでと比べものにならないくらいの大きな絶頂に──。

 

「──あ、あぁ……ああああっ」

 

 頭の中で光が弾け、すべての音が遠のいた。

 風の音も、縄の軋みも、鳥の声さえも、もう届かない。

 残ったのは、自分の鼓動と、彼の息づかいだけ。

 

 その波が通り過ぎるまで、美咲はただ震えながら、縁側の光の中で、何度も「お兄ちゃん」と呼び続けた。

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