他人になった妹は、俺の裏垢調教志願者でした 作:ドン・ドナシアン
息を吸うことすら、許されていない気がした。
美咲の身体の奥に仕込まれたローターの小さな震えが、絶え間なく神経を叩いてくる。
その細い波に喉の奥から喘ぎ声がこぼれそうになり、必死に噛み殺し続ける。
静寂の中で、自分の鼓動だけが際立って聞こえる。
それが恥ずかしくて、苦しくて、でもどうしようもなく甘かった。
五感が痺れていくような快感の渦の中で、美咲は意識さえも失いそうだ。風の流れも、外の音も遠くなっていく。
どこまでが自分の身体で、どこからが世界なのか、その境さえも溶けていくようだった。
でも、股間の振動が意識を喪失することを許してくれない。
勝手にいくな──。必死に耐えろ──。
美咲を放置して残していったお兄ちゃんの命令……。
それが美咲をこの放置恥辱という現実に留めさせる。
「くっ……うっ……」
噛み殺してる歯から、また声が漏れた。
慌てて、唇を固く結ぶ。
でも、股間の振動がエグいほどに美咲を追い詰めていく。
お兄ちゃん……。
もう、だめ……。
早く帰ってきて──。
腕は背中で縛られ、縄が鴨居に通されて上へ引かれ、肩が持ち上がり、胸の奥が伸びる。
片脚は膝裏で縛られ、もう片方の爪先だけが板の上を探していた。
板のざらつきが足裏を刺し、力を抜くたびに体がふわりと浮く。
そのたびに、縄が鳴り、胸の奥にまで響いていく……。
「ああ……」
吐息とともに声のようなものが漏れた。
だが、隠す手段は奪われ、服は着ているものの、玩具でいたぶられている股間を外に晒されているのだ。全身を濡らす汗が外気の風に冷やされ、誰かに見られるかもしれないという恐怖が美咲を追い詰める。
身体の内側で熱がこもっていく。
股縄とローターが喰い込んでいる下着の奥で、肌にまとわりつく湿りが重く感じられた。
薄い布地が、淫具の微弱な振動に合わせて微かに擦れ、そこに溜まった温度と匂いが自分のものだとは思えなかった。
風が吹くと、その空気が汗の膜を撫で、いっそう身体の奥を疼かせた。
股の間を通して微かに続く震えが、焦らすように深く入り込み、息を止めても波が止まらない。
美咲はそのひとつひとつに、恥ずかしさと甘い苦しさを重ねていった。視界は目隠しで奪われている。
でも、風も匂いも、外のものだった。
恥ずかしさと、言いようのない恐怖が混ざる。
けれど、それをお兄ちゃんが命じたのだと思うと、身体の奥が熱くなる。
「うくっ……うあ……あっ……」
股間で、小さなローターが震え続ける。
股縄の結び目に押しつけられたまま、一定のリズムで細かく揺れているのだ。
その振動が股縄を伝い、身体の奥にゆっくりと広がっていく。
どうしようもなく感じてしまう。
その微弱な刺激が、美咲の神経を絶えず叩きつづけていた。
お兄ちゃんの足音はもう聞こえない。
ほんとうに行ってしまったのだと思う。
風が通り抜けるたびに、縄が小さく鳴る。
その音が、美咲の世界の中心だった。
外の空気は生ぬるくて、頬を撫でるたびに汗が乾く。
草の匂いが少し強くなって、どこかで鳥が鳴く。
目隠しの裏では、世界が揺れているようだった。
美咲はただ、風の音と草の匂いに包まれながら、吊られていた。
「……ああ……お兄ちゃん……」
呼んでも返事はない。
沈黙が、重く、美咲の耳を塞ぐ。
吊られた腕が揺れて、縄が肩に食い込む。
そのたびに、ローターがわずかに位置を変えて、股の奥を擦った。
息が詰まる。
喉の奥で、声が潰れる。
お兄ちゃんに調教されている──そう思うだけで、頭の奥がしびれた。
いないはずなのに、すぐ後ろで見ているような気がする。
その錯覚が、恥ずかしくて、苦しくて、そして甘い。
風が通るたび、汗の粒が首筋を伝って落ちた。
その感触に、美咲の体が勝手に応えてしまう。
ローターの振動が、少しだけ強く感じられた。
気のせいかもしれない。
でも、股の奥が脈を打つたびに、震えが深く入り込んでいく。
お兄ちゃんの顔を思い浮かべた瞬間、快感が一気にこみ上げた。
歯を食いしばる。
息を止めて、堪える。
それでも波は止まらない。
美咲の中で、熱が弾けそうになる。
「……だめ……あたし、いっちゃだめ……」
小さく呟いても、ローターの震えはやまない。
その弱さが、かえって苛立たしく、焦らすように体を追い詰める。
波が収まったと思えば、またじわじわとせり上がってくる。
お兄ちゃんの命令を思い出すたび、理性が揺らぐ。
でも、破れない。
破ったら終わりだ。
だから、歯を食いしばって、息を止めて、また耐える。
風が頬を撫で、縄が軋む。
鳥の声が響き、遠くで車の音が通り過ぎた。
そのすべてが、美咲の羞恥を際立たせる。
外の世界は、美咲を見ていない。
でも、見られている気がした。
その錯覚だけで、身体が震える。
「……お兄ちゃん……あたし……ちゃんと我慢してる……」
必死にお兄ちゃんを呼ぶ。
声が風に混じって消える。
その声を、自分で聞いてさらに顔が熱くなった。
恥ずかしい。
でも、止められない。
ローターの震えに合わせて、美咲の体が微かに揺れる。
そのたびに、胸の奥で熱が膨らみ、喉がひくつく。
「くあっ、ああ……」
また波が来た。
肩の縄が鳴り、腰の奥がきゅっと締まる。
なんとか、唇を噛んで、歯を食いしばって、やりすごす。
耐える。
我慢する……。
必死に……。
息を殺して、震えを押し戻す。
でも、その次の瞬間には、また波が来る。
絶え間のない焦燥が、全身を浸していく。
「……お兄ちゃん……」
囁いた瞬間、体がびくんと跳ねた。
見られていると思うだけで、全身が熱くなる。
羞恥と快感の境目が溶けて、息が乱れた。
縄が軋み、風が吹き抜ける。
それが、まるで返事のように感じられた。
ローターの微弱な震えが、また新しい波を作る。
そのたびに、快感が一気に込みあがり、
美咲は歯を食いしばり、呼吸を止めて、それをやり過ごした。
でも、また次の波が来る。
お兄ちゃんの顔を思い浮かべるだけで、全身がしびれて、何も考えられなくなる。
世界が熱に溶けて、音が遠のく。
草の匂いと風の音だけが、まだ残っていた。
「……お兄ちゃん……あたし、壊れちゃう……」
喉の奥でかすれた声が洩れた。
縁側の板が軋み、風が草を揺らす。
鳥が短く鳴いて、また静かになる。
その静けさの中で、美咲の息だけが現実だった。
縁側の風に晒されながら、
美咲は吊られたまま震えていた。
羞恥と不安と、微かな振動とに支配されながら──。
そのとき──。
不意に、突然にローターの振動が強まった。
「ああ、そんな──」
身体の奥に隠された小さな波が、ひと息ごとに激しさを増していく。
美咲は奥歯をぎりぎりと噛みしめ、喉の奥で声を押し殺した。
だが、次の瞬間、その震えは急に弱まる。
ほっとして、力を抜く。
ところが、静けさが戻ったかと思えば、再び鋭く突き上げるように強くなった。
「ああ、またっ──」
息の調子を合わせる暇もなく、身体の芯が翻弄される。
耐えるほどに、感覚が細かくちぎれて散っていく。
これまでの一本調子の刺激から一転して変化し、強まったり、弱まったりと振動に変化を付けられる。
お兄ちゃんの命令に従わなければと思うのだが、もう自分の意思ではどうにもならなかった。
快感は一気に押しあげられていく。
もう我慢できない──。
「……ああっ、兄ちゃん……」
美咲の唇から、その言葉が零れた。
助けを求めたのか、それとも縋ったのか。
自分でもわからない。
ただ、その名を口にした瞬間、何かが胸の奥で弾けた。
熱が下腹を駆け上がり、視界のない闇の中で、世界が一瞬光を帯びたように感じた。
「くっ、ああ……あああっ……」
吊られた全身が弓なりに張りつめ、指先までが震えに飲まれていく。
どこまでが痛みで、どこからが快楽なのかももうわからなかった。
一瞬、全ての音が消失する。
ついに、快感を極めてしまったのだ。
息を吐くことも忘れて、ただ震えが通り過ぎるのを待った。
やがて、激しすぎた快感が終わり、がくりと身体が脱力していく。
しかし、美咲には絶頂の余韻に耽ることも許されなかった。
玩具の振動は続いているのだ。
二度目の焦点に向かって、すぐに美咲は快感を再び強引に飛翔させられていく。
「ああ……、いやああっ」
さらに振動が強弱を刻みながら繰り返す。
「ああっ、あっ、あっ」
もう我慢なんてできない──。
浅い呼吸の合間に、また細い波が這い上がってきて、美咲の身体の芯を撫でては去り、去っては戻ってくる。
力の抜けた膝が板を探り、爪先がわずかに滑る。吊り上げられた肩がきゅっと鳴り、胸の奥まで微かな音が沁みた。
二度目まではあっという間だった──。
「……は、ぁ……っ、はあ、はあ、はあ……あ、ああっ」
呼吸を整える間もなく、震えが再び高くなる。
弱まったと思えば、すぐに鋭く立ち上がる。規則はない。ただ翻弄だけが続いた。
喉の奥で生まれかけた声を歯の裏で潰し、唇を固く結ぶ。頬を伝う汗が顎で弾け、風がそれをさらっていく。
胸の内側で、なにかがほどけ、世界の輪郭が白く滲んだ。
視えない闇の中で、音だけが遠のき、身体だけが際立つ。
そして、美咲の奥を一筋の光が駆け抜けたように、全身が細く張りつめる。
「……っあ、あああっ……」
板が小さく軋み、吊られた肢体が弓のように反った。
息が途切れ、指先が明滅するみたいに痺れる。
やがて波はすうっと引き、膝から力が抜けはじめる——が、内側の震えは止まっていない。
浅い呼吸ひとつで、また新しい波が立つ。
弱く、強く。間断なく。
耐えるほどに、感覚は細かくちぎれて散り、散った破片が熱を増して戻ってくる。
「……だめえ……」
囁きは風に混じって消えた。
それでも震えは容赦なく重なり、美咲の奥をもういちど押し上げる。
喉がひくつき、胸の内側がぱちぱちと火花を散らすみたいに熱を孕んだ。
ふいに、縁側の下を風が抜け、素足の甲を撫でる。
冷たさと熱が交互に重なって、意識の端が白くなる。
次の瞬間、波は稜線を越えた。
「……あ、あぁ……」
全身がびんと硬くなり、吊り縄がきゅっと鳴った。
息を吐くことも忘れて、ただ震えが通り過ぎるのを待つ。
世界が戻るまでのわずかな時間、美咲の耳には自分の鼓動しかなかった。
力が抜ける。
だが、内側の震えはまた微かに形を変え、底から泡を上げるようにふくらんでいく。
間を与えない。すぐに三度目か、四度目となる崩壊が始まった。
「……や、だ……まって……」
言葉が風にほどける。
震えは細く速く、美咲の呼吸の隙間を狙うみたいに入り込む。
肩の後ろで縄が擦れ、胸の内側に微かな音が落ちた。
それだけで、奥の火がふたたび強まる。
しかし、はっとした。
砂利の上で小さな足音が転がったのだ。
ひと足、またひと足。庭の端から近づいてくる靴底の気配。
美咲の喉がひゅっと細くなった。
風の匂いが急に澄み、草の青さが濃くなる。
晒されているという事実が、音を伴って輪郭を持つ。
「……だれ……? お、お兄ちゃん?」
声は細く途切れ、闇に吸い込まれた。
震えはなお続いて、身体の奥で灯がまた息を吹き返す。
弱く、強く。間断なく──。
足音は縁側の前で止まらない。
近い場所で板が低く鳴り、風向きがわずかに変わった。
美咲の胸の内側で、鼓動だけがやけに大きくなった。
足音は縁側の前で止まらない。板が低く鳴り、気配がすぐ後ろに立った。
美咲の喉が細く鳴り、声が擦れた。
「……お兄ちゃんよね? ねえ──」
返事はない。
次の瞬間、背中の縄がわずかに緩み、吊りの張力が静かに下がった。膝が抜けそうになったところを、後ろの手が支える。結び目が触れ、固い繊維の擦れる音が耳の奥で小さくはぜる。
「……お兄ちゃん……?」
沈黙──。
気配は近い。息の温度が耳の後ろに触れて、肩がびくりと跳ねた。
腰のあたりで結わえられた細い線がほどけ、からだの芯に残っていた律動がふっと消える。世界が急に静まり返り、美咲の鼓動だけが大きくなった。
「……誰……? ねえ、誰──? お兄ちゃんよねえ? お兄ちゃんなんでしょう──?」
問いは風にちぎれた。
息が詰まる。美咲は身じろぎもできない。
中腰になった姿勢で、息がひゅっと漏れる。
背後に立っている誰か──。
その気配は確かにあって、汗のにおいと違う、外の空気を混ぜた香りが鼻をかすめた。
「……お兄ちゃん……? ねえ……」
返事はない。
すると、縄の結び目が触れられる気配がして、細い麻の繊維が擦れる音が微かに響いた。
股間に絡んでいた縄が、するりと引き抜かれていく。
太腿の内側を滑り抜けた繊維が、肌に線を残し、微かに熱を伝えた。
そして──。
股の奥にあった小さな振動が止んだ。
わずかな間を置いて、硬いものが板に当たって転がる音がした。
玩具が落ちたのだと理解した瞬間、喉の奥がひゅっと鳴る。
息を呑む間もなく、布が引かれる感触があった。
下着の端を掴む指の気配。
すぐあとに、金属が擦れるような乾いた音がした。
──鋏だ。
美咲は身を強ばらせる。
細い刃が布地を割く音が、耳の奥でやけに大きく響く。
切断されていく布が、肌から剥がれていくたびに、ひやりとした空気が触れた。
「……ねえ、だれ──?」
かすれた美咲の泣き声が、風に吸い込まれて消えた。
返事は、まだない。
ただ、背後から近づく息の気配だけがあった。
その温もりが、首筋に触れるほど近くまで寄ってきている。
背後の気配が、いきなり迫った。
次の瞬間、身体が強く引き寄せられ、息が詰まる。
背筋に走る衝撃に、思わず声が漏れた。
「──っあ……や、やめ……」
言葉の途中で、空気が喉の奥に押し戻された。
逃げようとした足が板を掻く。
けれど腕はまだ後ろに縛られたまま、肩から引かれて動けない。
重なった影の中で、知らない温もりが全身を覆う。
「……お兄ちゃん……? お兄ちゃん、なの……?」
答えはない。
代わりに、熱い息が耳の後ろをかすめ、腰の横を捕える手がさらに深く押し寄せた。
美咲の目隠しの下で世界がぐらりと揺れる。
背後で衣擦れの音がして、次の瞬間、お尻の下を伝って、一気に股間を貫かれた。
「あああっ、いやああっ」
痛みとも恐怖ともつかない熱が身体の奥を駆け抜ける。
大きい──。
かなりの巨根だ。
それが深々と膣を貫き、子宮を押しあげる
「やだ……やだ……誰……っ? あああっ」
声は涙と一緒に喉で潰れた。
律動が始まる。
美咲は恐怖と快感に狂いそうになった。
そのとき、耳もとに低い声が落ちた。
「……命令したのに、三度も、四度も達したな。お仕置きは覚悟しておけ」
その声音を聞いた瞬間、美咲の全身から力が抜けた。
やっぱり、お兄ちゃんだった──。
息が漏れ、頬を伝う涙が熱い。
もう誰なのかを確かめる必要はなかった。
「……ああ、お兄ちゃん……」
呼んだ途端、胸の奥がほどけていく。
恐怖が安堵に変わり、安堵が快楽に溶ける。
背中の圧が一定のリズムを刻み、呼吸がそれに合わせて乱れていく。
身体の奥で、なにかが弾けた。
身体ががくがくと痙攣し、またしても、美咲は快感を激しく飛翔させた。
これまでと比べものにならないくらいの大きな絶頂に──。
「──あ、あぁ……ああああっ」
頭の中で光が弾け、すべての音が遠のいた。
風の音も、縄の軋みも、鳥の声さえも、もう届かない。
残ったのは、自分の鼓動と、彼の息づかいだけ。
その波が通り過ぎるまで、美咲はただ震えながら、縁側の光の中で、何度も「お兄ちゃん」と呼び続けた。