※この作品はR-18です。

男を知らない姫騎士が【聖母体質】になり変態メイドと強欲貴族に快楽堕ちさせられる話   作:月見ハク

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第一話 聖母体質になった姫騎士

 市街を見渡せる王城の、低階層にある一室。

 

 大きな姿見の前で、姫騎士アリシアは戸惑い顔を浮かべていた。

 

「やっぱり、少し大きくなってる……」

 

 美麗さよりも機能性を重視したシンプルなブラジャー越しに、そっと乳房を持ち上げてみる。

 

「なんだか張ってる気がするし……それに、これって……んっ」

 

 ささいな力で乳肌に触れただけなのに、肩が震え、口からは発したことのない甘い声が漏れてしまう。

 

 見慣れきったはずの体だ。

 

 王家の血を引く者特有の、透き通るような金色の髪。

 夏の葉のように濃い、緑色の瞳。

 いくら陽射しを浴びようとも焼けることのない、白い肌。

 

 国王の娘——王女にふさわしい整った顔立ち。

 姫と呼ばれるのにふさわしい華奢な体躯。

 

 その実、騎士に混ざり鍛錬を重ねてきたおかげで、腕も尻もよく引き締まっている。

 一切の無駄なく、最小限の力で剣を振ることに特化した体。

 

 唯一、機能性の邪魔をするものがあるとすれば、細い肢体には似つかわしくない豊満な乳房だ。

 

 剣を振る際には重心がぶれ、男たちからは劣情のこもった視線を向けられる胸を、アリシアはうっとうしく思っていた。

 

 だから騎士としての任務に赴くときや、嫌々ながら社交の場に参加するときは、さらしや胸潰しの下着で目立たないようにしている。それでもチラチラと視線を寄越されるほどに実ったおっぱいが——。

 

「成長期……じゃない、よね」

 

 わずかだが、見て分かるほどに大きくなっていた。

 

 それに——。

 

「んッ……」

 

(どうしてっ……胸が、こそばゆい)

 

 ブラジャーの布がこすれるだけで、我慢できず声が漏れてしまう。敏感になった乳房がジンと痺れ、全身に甘い電流となって広がる。

 

 こんな感覚は、今までの人生で味わったことがなかった。だがそれが女に備わった根源的な性感なのだと、本能的にわかってしまう。

 

 アリシアは処女だ。

 

 真面目で堅物、少々潔癖すぎるほどに正義感が強い。

 そのまっすぐすぎる気質のせいで、一国の姫ながら騎士としての鍛錬を積み、今や騎士団長にまでなってしまった。

 

 もちろん色恋など経験がなく、男女の接触すらほとんどない。

 鍛錬の際に騎士たちと体術の組手をすることはあるが、その華麗な身のこなしで自身の肌に触れさせることなく、相手を地に伏せてしまう。

 

 一応、隣国の王子との間に婚約関係はあるが、形の上だけだ。

 アリシアとしてはまだまだ騎士として国に貢献し、民のためにならず者を駆逐したいと考えていた。

 

 特に、身勝手な欲望のままに女や子どもを食い物にするような野盗や奴隷商人の類いには、強い嫌悪感を抱いている。

 

 そういう意味でも、アリシアは潔癖だった。

 

 だからこそ、自分の体に訪れた淫らな変化に戸惑いを隠せない。

 

 だが、変わったのは体つきと感度だけではなかった。

 

「えっ……うそ、これって……」

 

 胸の奥にツーンとした刺激が走り、先端から何かが染み出ていく感覚。

 

 それは紛(まぎ)れもなく母乳と呼ばれる液体だった。

 

 ブラジャーがジワリと湿っていく感触に、戸惑い以上の恥ずかしさがこみ上げてくる。

 

 もちろん身ごもってなどいない。夜這いをされた記憶もない。姫である自分に不埒な行いをする者などそういないし、いたとしても返り討ちにしているだろう。

 

 むしろ普段から男との接触を避けている。そんな自分が、なぜ母乳を分泌しているのか。

 

 下着姿のまま呆然としていると、不意に背後から声を掛けられた。

 

「それは聖母体質です、アリシア様」

 

「ティクリーヌ……!」

 

 顔だけ振り返ると、そこにはメイド服を着た専属従者——ティクリーヌが立っていた。

 

 紫がかった黒髪と紫色の瞳が涼やかな印象を与える美女。

 貴族の血をひく彼女は、メイドでありながら仕草や佇まいに気品をまとっている。

 

 いつものように無表情で主人の背後に忍び寄ったというのに、アリシアは警戒することも、無礼だと咎めることもしない。

 

 ティクリーヌが専属メイドになって七年。彼女が自分に対してあつい忠誠と親愛を抱いていることを、アリシアは肌で感じていた。

 

 だからこそアリシアも、ティクリーヌに全幅の信頼を寄せている。

 

「聖母、体質……?」

 

 アリシアは姉に助けを求めるように、または妹に相談するように、ティクリーヌを見つめた。どうやら彼女はこの不可思議な変化に心当たりがあるようだ。

 

「聖母体質とは、聖女の素質がある者に現れる症状です。乳房が発達し母乳を分泌するのだと、古い文献で見たことがあります」

 

 アリシアはいよいよ困り果てた少女のように、戸惑いをティクリーヌにぶつけた。

 

「母乳……そんな、どうしよう」

 

「ご安心ください。数カ月で症状は治まるみたいですよ」

 

「そ、そうなんだ……よかった」

 

 ティクリーヌの穏やかな笑みに、アリシアは緊張の糸が切れたようにため息を漏らす。

 

 治る症状なら、安心だ。

 この一週間の不安な日々を思うと、もっと早くティクリーヌに相談しておけばよかった。

 

 アリシアが胸を撫で下ろしていると、ティクリーヌが背後にそっと近づいてきた。

 柔らかい体をアリシアの背中に密着させ、乳房に触れてくる。

 

「んっ」

 

(またっ……どうして、こんなに)

 

 ティクリーヌは胸の症状を確かめようとしてくれているのだろう。いわば触診のようなものだ。

 

 それなのにアリシアの体は否応なく震え、全身に微弱な性感が広がってしまう。そんな自分が恥ずかしい。

 

 アリシアの白い頬はみるみる染まり、ついには耳まで朱くなってしまった。

 

 そんなアリシアの耳もとで、ティクリーヌがささやく。

 

「症状が出ている間は、人前に出ないほうがいいでしょうね。いろいろと人目に付きやすいですし……。そうだ、私の実家の別荘で静養なさってはいかがですか」

 

「いいの?」

 

 アリシアは思わず聞き返した。彼女にとっては渡りに船の提案だったからだ。

 

 どうせこの体では騎士としての任務も務まらないし、鍛錬もままならない。社交に出るわけにもいかないから、引きこもるしかなかった。

 

 だがそれではあらぬ噂が立ちかねないし、城内や民を不安にさせてしまう。

 

 その点、静養のためにティクリーヌの実家に行くということであれば、数カ月引きこもっていても、そこまで騒ぎにはならないだろう。

 

「ぜひ、我が別荘にいらっしゃってください。我が家は古くから医術に精通した貴族家ですから、アリシア様のお力になれるかもしれません」

 

「そうだったわね。ありがとう……助かるわ、ティクリーヌ」

 

 アリシアが安堵のため息をつく。

 

「いえ、アリシア様なら大歓迎です」

 

 その落ち着いた声色の中に、いつもとは違う熱がこもっていることを、アリシアは知る由もなかった。

 




2万字ほどの中編予定です。
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