クリームキスから始まる関係 ~甥っ子の同級生のボーイッシュ少女と過ごす夏休み~ 作:上上上上上上上
今日も朝っぱらからクソ暑い。
行き先はさして遠くもないのに首筋を陽光にジリジリ灼かれながら、俺と侑希は並んで自転車を走らせていた。
大学近くのアーケードもないひなびた商店街からさらに横道に入り込み、住宅街の中にあるノスタルジックな雰囲気の小さな洋食屋にたどり着く。
俺達二人はそれぞれ乗ってきた自転車を店の表の二枠しかない駐車場の端っこの駐輪スペースに停めて、『CLOSED』の札と目隠しカーテンが掛かった入口のガラスドアを預かっていた合鍵で開けた。
「おじゃましま~す」
「はい、いらっしゃいませ」
カランカランとドアベルが鳴って、侑希の挨拶に隣で俺が応える、ささやかな茶番。
「ここがたか兄ぃが将来働きたいお店なんだ」
「まあそうなったらいいなって段階だよ、今は」
「ふぅん、うす暗くってちょっとこわいね……」
キャップを脱いでキョロキョロと店内を見回す侑希。
「ああごめん、すぐ電気点けるよ」
店の奥のスイッチを入れると柔らかい照明が灯り、壁に組み込まれた何十年も昔の型の冷房がゴンゴン鳴って冷風を吐き出し始めた。
「わぁ、こーゆーの昭和レトロっていうんだっけ。大人っぽい感じだぁ」
一本脚チェアが連なったカウンター、壁際に並んだ古びた木製のテーブルに、えんじ色のベルベット調クッションが張られた木製ダイニングチェア、天井に吊るされてオレンジがかった光を灯すシャンデリアといった具合に、温もりを感じる落ち着いた雰囲気の店内。
元ホテルシェフのマスターが作る料理はどれも美味くて、学生食堂ほどではないにせよまあまあのお手軽価格、だというのに量もがっつり、ライス大盛り無料。
今日は定休日だが、そんなわけで平日のランチタイムはいつもこの店の前には学生や近辺の会社員が列を作る。
ここのマスターには俺の趣味である料理について相談に乗ってもらってるうちに、マスターの趣味の釣りやバーベキューに同行させてもらうようになったりなど、プライベートでも親しくさせてもらっていた。
翔斗お気に入りの俺の唐揚げレシピはここのマスターに直伝されたものだ。
子供がいないマスターが、この頃仕事が体力的にキツくなってあと何年店を続けられることやらとボヤいてたのを聞いて、この店の味をなくすのはあまりに惜しいと思った俺は、思わずこの店を継がせてほしいと立候補してしまったんだ。
最初は渋ってたマスターだったが、何度も通ってプレゼン資料交えてお願いする俺に条件を出した。
その条件とは、マスターのホテル時代の信頼できる同僚が今では隣の市の調理師専門学校で講師を務めているというんだが、この店で働きたければまずその学校で二年間勉強してこい、というものだった。
そして今日はマスター夫妻が所用で外出するのを知っていたので、侑希の料理教室の場に貸してもらえるよう話をつけてたというわけだ。
せっかくだから一回くらいは侑希に飲食店の本格的な設備を体験させるのもアリかなって思ったんだよね。
でもその前に。
「念の為言っとくけど、今日はエッチなことは一切なしだからな」
「え~っ、じゃあたか兄ぃに料理教室の〝お礼〟できないじゃん」
「侑希のママからちゃんとお金貰ってるんだから、そーゆーのは元々要らないんだよ」
俺は侑希をまっすぐ見据えながら手近なダイニングチェアに座った。
今日こそは性欲に流されるような事態になる前に、侑希が翔斗の誕パ以来あんな風に俺を誘惑してくる意図を確認しておかなきゃいけない。
「なあ侑希……言い方がアレだけど、何でお前は近頃俺に、その……エッチないたずらを仕掛けてくるんだ?」
侑希はテーブルを挟んで俺の正面に座り、真顔で俺を見つめ返してきた。
しかしそのまま数十秒なかなか口を開かず、だんだん顔が赤らんできた……そして俯いて小さな声で答えを漏らした。
「……だって私、たか兄ぃのことが好きだから」
はぁ!?
「私、たか兄ぃのことが好き」
面食らった俺に、侑希は顔を上げてはっきり聞こえる声で言い直した。
今確かに侑希は俺のことを好きだと言ったよな。
侑希の赤らんだ頬を見るに、その好きはライクじゃなくてラブの方で間違いないよな。
つまりこれは、リアルで小6の
それで俺の気を惹くために誘惑してきたと。
本音を言うと、もしかして侑希は俺に特別な好意を抱いているのでは……と思ったことは確かにある。
その度にそんなのは俺のムシの良い妄想だと理性で即否定してきた。
一連の侑希の誘惑に乗ってまんまと手を出してしまえば、あれは軽い気持ちで俺をからかっただけだったのに、そんなつもりじゃなかったのに、なんて具合に傷つけてしまうに違いないと。
だが、侑希は本気だった。
「いや、だからって、キスしたり、エッチな写真撮らせたり、裸見せてシコらせたりってのは違うんじゃないか?」
「だって大人の人は恋愛する時エッチなことするんでしょ。たか兄ぃに私のこと見てもらうのには、ちゃんとたか兄ぃに私がエッチなことできるって分かってもらいたかったんだもん」
侑希は自分のTシャツの胸をぎゅっと掴んで、不安げに眉を歪めた笑顔で言い返してくる。
けど言ってることはまるで本末転倒だ。
「たか兄ぃ、ロリコンってやつなんでしょ。子どもにエッチなことしたい大人の人のことそう言うんだよね」
うわ、そこを突かれるのはキツい。
「翔斗の誕パのちょっと前に、何かのはずみで翔斗ママがたか兄ぃが彼女にフられたって話してたのをちらっと聞いたの。それで私、自分のこと悪い子だって分かってるけど、ちょっとうれしくなっちゃったの。ロリコンのたか兄ぃに、私のこと見てもらうチャンスだって思ったから」
いやだからフられたんじゃなくて、円満に関係解消しただけだと……おっとそれは今はどうでも良くて。
時として恋愛感情は人を狂わせることがあるってのは本当なんだなぁ、とちょっと感心してしまった。
しかしそうなると、俺も真剣に答えてやらなきゃいけない。
俺は一つ深呼吸した。
「なあ侑希。とにかく、俺のこと好きだって言ってくれて、ありがとうな」
手を伸ばして、侑希の頭を軽く撫でてやった。
今俺は優しい顔を侑希に上手く見せてやれてるだろうか。
「確かに俺はロリコンで、侑希に誘惑されてまんまとエロい気持ちに流されちゃってたよ」
「うん、知ってる。そのつもりでやってたから」
「侑希の気持は良く分かったから。好きになり返してやれるかは分からない。でももう無理にこんなことしなくても、侑希の気持ちをちゃんと考えるから。しばらく時間はかかるけど、それから俺の気持ちを答えるよ」
とたんに侑希の表情がぱぁっと明るくなった。
「じゃあ私、今まで通りたか兄ぃのこと好きでいてもいいの?」
「好きなものを急に諦めろって言われて、すっぱり諦められるやつなんているわけないだろ」
「やっぱりたか兄ぃは優しいよね」
俺のは優しさなんかじゃないと思うが、ここはまあそういうことにしとこう。
それにしても、いつも男子と変わらない振る舞いの侑希がにっと小首を傾げるこの仕草、俺のロリコン的視点を置いといてもこんなに可愛らしく見えるなんて。
侑希は今まで必死で俺に恋愛感情を向けてくれてただけなのに、歪んだ性知識が間違った行動に向かわせてしまったってことなんだろうな。
あれだけやることやっておきながら、何か裏があるんじゃないかなどと今までずっと警戒してきた自分に罪悪感さえ覚えるよ。
しかし道徳的に考えられる回答は、ちゃんと言い聞かせて諦めてもらうこと、ただ一択。
この件は性欲に流されず、大人と子供という建前で誤魔化すのもナシで、どんな言葉で説得するかじっくり時間をかけて真面目に考えなきゃいけない。
ぱんっ、と手を叩いて俺は立ち上がった。
「さっ、そんじゃ気持ちを切り替えて料理を始めようか!……あ、俺がロリコンだってことは誰にも内緒だぞ?」
◇◆◇◆◇
「それにしてもオムライスって自分で作れるなんて思わなかったよ~」
食器を洗い終えて手を拭きながら、嬉しそうに今日の料理の感想を語る侑希。
うん、形は不格好ながらあれは確かにオムライスだった。
俺の言うことをしっかり聞いて、丁寧な仕事をしたもんな侑希は。
「それでさぁ、今日のお礼なんだけど……」
「無理にエッチなことはしなくて良いって言ったよな?」
「無理なんかしてないもん!」
今日も俺の腕にしがみついて見上げてくる侑希……あっやばい、この感触が俺を狂わせる。
「こないだたか兄ぃに私の写真見てちんちんシコシコしてもらったじゃん。それでたか兄ぃ気持ちよくなってハァハァ言って、だんだん顔がふにゃ~ってしてきて、私のこと見てそんな風になってくれるたか兄ぃがかわいいな~って思ったんだよね」
「俺、侑希の目から見てそんなことになってたんだ?」
「それであの日ずっとドキドキが止まらなくって、寝る前にたか兄ぃがあの顔でシコシコしてるのを思い出しながらマスターベーションしたの。そしたら今までで一番気持ち良くなったんだ」
とんでもないカミングアウトが来ちゃったよこれ!
「おま、小学生のくせにマスターベーションって……」
「学校の保健の授業で習ったよ。それで、お礼だけじゃなくってたか兄ぃにもっと私のこと見てもらって気持ちよくなってもらいたいな~って気持ちになったの」
まだまだ小さい胸を俺の腕にぐいぐい押し付けながら、真剣な目でおねだり顔を向けてくる。
口をぱくぱくさせて戸惑う俺に、侑希はなおも続けた。
「私こないだはたか兄ぃのちんちんちょこっとしかさわれなかったけど、今度はちゃんとさわってシコシコしてあげたい!ほら、たか兄ぃもうちんちん大きくなってんじゃん」
今にも触れそうなほどの至近距離でつんつんと俺の股間を指差す侑希。
ヤバい。胸の底に理性で抑え込んでた欲望が、つい先程自分に言い聞かせたことなどお構いなしに、今やパンツの中ではち切れそうに膨れ上がってしまっている。
俺の頭にみるみる血が上って熱くなっていき、激しさを増す心臓の鼓動にいたっては侑希に聞こえるんじゃないかってほどだ。
「たか兄ぃお願~い。もっと私のこと見て。ちんちんシコシコさせてよ~」
わざとらしい甘え声の淫語おねだりに、俺は我慢の限界を感じた。
「いいんだな?後でやめてって言ってももう聞かないぞ」
「そんなの絶対……って、あっ!」
俺は返事を最後まで聞かないまま侑希の小さな肩を抱いて、バックヤードへ強引に引きずり込んだ。