「ファ…クチュン!」
「おやナギサ、風邪かい?」
トリニティにて政務の傍らバルコニーでお茶会をするティーパーティーの2人は、可愛いくしゃみをするナギサ様を、からかうように笑うセイア。
「すいません…少々身体を冷やしまして」
「養生したまえ。君が身体を壊すと先生がすっ飛んでくるじゃないか」
前回の睦み合いでは、積極的になったものの風邪を引き掛けるという失態を犯してしまった。
まぁあのあと先生とお風呂で暖まりましたが、ある程度体調を崩したかもしれない。
しかし忙しい身ですし、早々政務に穴を空けるわけにも行きません。
「んんっ…大丈夫です。政務に支障をきたすことはありません」
「ふふっ…すこし位頼ってくれても構わないんだよ」
口元を袖で隠しながら笑うセイアは紅茶を味わい、クッキーを齧る。
一息着いてナギサ様も紅茶を嗜む。
「ところで…ナギサ」
はてなを浮かべ顔を上げるナギサ様。 可愛い
クッキーを呑み込み、続きを促すとセイアは両手でテーブルに頬杖を着いて語りだす。
「気付いているかい?」
はて?なんの事だろうか。特段おかしい所は無いはず…と首を傾げる。
いつぞやの時と同じニヤニヤ顔をこちらに向けて、返答を待っているようだ。
「セイアさん?私何処か変わりましたか?」
「ふむ…」
徐に立ち上がり、カツカツと音を立てて歩き始め、ナギサ様の前に立つ。
むふっとどや顔のセイアはナギサ様の椅子に手を掛け、ナギサ様の顎に指を沿える。
互いの顔が近くなり、少々気恥ずかしい。
順に上から下に舐めるように観察し、満足したのか指を離す。
「あ…あの…セイアさ…ふみゅ!?」
両手で顔を挟まれた。ムニムニと頬を揉み込まれ、眼を合わせ口を開く。
「先生との戯れは楽しかったかい?」
「─────ひゅ」
声がでない。
背中に冷たいものが走り、顔が蒼白となる。
流石に不味いと思い、言葉を出そうとするも何を喋ればいいかわからない。
「おっと…すまない。脅すつもりじゃないんだ」
耳元に口を持って喋り始めるセイア。
とりあえず落ち着かせるためか、頭を撫でられる。
…すこし落ち着いてようで、ポツポツ喋り出すナギサ様。
「セイアさん…どうして先生との…その…秘事をしたと気付いたんです?」
「そうだねぇ…まずはナギサが全体的に綺麗になった事が一つ。先生と会った次の日とかは特にね」
そんな馬鹿なと言いたいが、感のいいセイアからしてみれば一目瞭然のようだった。
そういえばミカさんは気付いていたのだろうか。
先日の膝枕の際に脚が痺れかけ、ミカさんにヘルプコール送ろうと思いましたがすこし動かして難を逃れたものの、先生が予定よりも早く起こしてしまいました。
「薄々感づいているかもと思っているなら大丈夫。ミカなら気付いてないよ」
気付いてなかったようだ。
しかし、綺麗になったと言われても実感がない。確かに先生との睦み合いを経験してから、お化粧等お手入れに関しては見直しましたが、劇的に変わるようなことでもないですし?
「それになによりも、女性らしさが増したね。端的に言えば妖艶だ」
「そ…そんなに色気のある感じですか?」
頬に当てていた手を離し、自信の顎に手を当て思案するセイア。そのままなんと椅子に膝を掛けて、ナギサ様の前に座り、計らずも対面座位となる。
ナギサ様は固まり、どうにも動けなくなる。
手櫛でさらりとした髪を撫でられ、片手は胸に添えられる。揉み込むわけでなく、添えられた手は置かれたまま、喋り始める。
「この間のお風呂でも思ったが、随分育てられたね」
「ちょっと…セイア…さん…!」
胸から腰に指を這わせ、淡い痺れを味合わせる。
暫く弄ばれ、頬が紅く染まる頃、不意に唇を奪われる。舌を入れるような官能的なものではない。
只重なるだけの、子供のような口づけだ。
数秒で口を離し舌を出して笑うセイア。
「そのような色香を振り撒くと、悪い狼に食べられてしまうよ」
「…………セイアさんは狐でしょうに」
お互い顔を紅く染めて、恥ずかしそうに笑う。
そろそろミカが日課となった草むしりを終えて、こちらに来るだろう。
そんなことを思っているとバルコニーの下から声が聞こえる。
「やっほ~ナギちゃ~んセイアちゃ~ん☆」
「ミカが着いたよう…おや?先生も一緒かい?」
先生はお邪魔するよと声をかけ、手を振る。
上に上がってきた2人に席とお茶を用意し、再度お茶会を始めることにした。