敏腕エロマッサージ師、ワケアリさんが集まるマンションの管理人になる 作:ベリーナイスメル/靴下香
最後の業務
「こんばんは。ご指名、ありがとうございます」
「こんばんは、ダイ君。今日も、よろしくね」
部屋に漂うアロマの香りをいい匂いだと思わなくなったのはいつだったか。
やってきたお客さんは一週間に一度のペースでやってきてくれる、俺がこの店に勤め始めた頃から俺を気に入ってくれていた40手前のお姉さん。
「聞いたよ? 今日で最後なんだって?」
「そうなんです。大学卒業をキリに」
「勿体ないなぁ……ううん、寂しいな。このお店では初めてのお気に入り君だったのに」
「あはは、すみません。でも、嬉しいです」
この業界から考えれば、三年も自分にハマらせているのはそこそこ凄いことだなんて店長は言っていたっけ。
特別他の人から受けられないような施術をしているつもりはないし、正直なところ凄いんだという自覚は薄かったりする。
「それじゃ、最後にいっぱい気持ちよくしてね♡」
最後のお勤めだからか、久しぶりの人含めて本日は大盛況。
おかげで身体はクタクタだけれども、このお姉さんで最後だもうひと踏ん張り。
「お任せあれ、ですよ」
まずはオイルを自分の手に馴染ませながら、見慣れたお姉さんの状態を観察する。
アラフォーにしては肌のきめ細かさも張りも良い。
身体つきにしてもだらしないと感じるものではなく、まだまだ三十路に入りたてと言っても過言ではないだろう。
腐っても、ってのはアレだが素人のオイルマッサージであってもそれなりに効果はあるらしい。
「それじゃあ、まずは背中から」
「あ、ん……♡」
指先でくすぐるくらいの加減で触れれば、それだけで甘さが混じった声が漏れた。
「力加減は、大丈夫ですか?」
「う、んぅ♡ ええ、いい感じ、よぉ♡ これがもう今日で最後なんて♡ やっぱり切ない、な、ぁんっ♡」
慣れているだけあるよな。最初からこれをマッサージではなく性的な快楽と捉えられていて、手を動かすたびに腰がへこへこと小さく動いている。
まぁ、ソレ目的だってわかってるから良いけどさ。
「ん、ふ……ぅ♡ やっぱり、じょう、ずぅ♡」
「ありがとうございます」
背中へのタッチングで僅かに残っていただろう緊張感を解し、身体の弛緩を感じながら腋のラインへと手を伸ばす。
「んあぁっ♡」
期待しているだろう場所に近い位置だからか、伏せていた頭が上がってひと際強い反応を示してくれた。
わかってますよ。
このオイルでぬるぬるの手で、そのまま後ろから胸を揉みしだいて欲しいんでしょう? 好きですもんね、それ。
けど、いっぱい気持ちよくしてって言うのはあなたのオーダーですから。
「ふ、ぁ……♡ ん、んんぅ♡ や、やだ、焦らさ、ないでぇ♡」
「焦らすって。俺は普通の場所を普通にマッサージしているだけですよ」
「いぢ、わるぅ♡ ひあ♡」
ベッドとの間で窮屈そうにしているハミ胸を撫でる。
背中へのタッチングの強さとは裏腹に、胸を触る時だけ触れるか触れないか程度の力で。
「ん、んんっ♡ ん、ふ、ぅ♡ も、ぅ♡ 初めて来たときのこと、思い出しちゃうわ♡」
「あはは。あの頃に比べたら多少は上手くなったつもりなんですけど」
「もう、嫌ね。そういう意味で言ったんじゃないわよ」
触れるたびにぴくぴくと反応してくれる身体は、最初の頃には確かに見られなかった。
けど、自分で言っておいてなんだが上手くなったのはマッサージよりも別の事だと思う。
「ね、ねぇ♡ そろそろ♡」
ちらりと下半身に視線を動かせばいつの間にやら足を広げていて、触りやすいようにしてくれていた。
露骨に次はここを触ってと腰を一層へこへこと動かしているけれど。
「別のとこ、ですね? もちろんです」
「そう♡ 次は私のおまん――んっ♡ い、けずぅ♡」
折角の180分コースじゃないですか、もっと楽しんで下さいよと期待を裏切らせてもらおうか。
触れたのは太ももの付け根、お尻との境目を、ケツたぶに沿って撫で上げる。
「ほん、と♡ すっかり慣れちゃったんだから、ぁ♡ おねえさん、悲しいわ♡」
「慣れたのはどっちですか。ここ最近はリクエストにお応えしてばかりでしたし、最後くらいたっぷり味わって下さいよ」
お姉さんに限らず、ではあるが。
この店に、あるいは俺に慣れたら慣れるほど本命の場所を早く触れたがる。
こういうのは、前段階があってこそだと自分でもわかっているだろうに。
「んあ♡ ふ、ぅぅうぅ♡ や、だ♡ そんな、くぱくぱしちゃ♡ だめよぅ♡」
「そんなこと言う割に、さっきから腰ヘコ止まってませんよ?」
「やだ、やだぁ♡ わかってる、から♡ 口にしたら、いやだってぇ♡」
尻を手のひらで握りながら、親指を使ってお姉さんの秘所を広げたり閉じたり。
開くたびにむわりとアロマの香りへ淫臭が混ざって独特な香りになる。
広げた膣の入り口は早くもくぱくぱと誘っていて、中からはトロトロと愛液が流れてきていた。
まったく、念のために言っておこうか。
「ただのマッサージで、こんなにしちゃうんですね」
「ひうぅ♡ だ、からぁ♡ 言わないで、ってぇ♡」
ここは風俗店じゃ、ないんですよっと。
だって言うのに、今日はいつも以上にお姉さんもノリノリだ。
やっぱり最後の日ってスパイスは強いらしい、言葉責めはそこまで好きなタイプじゃないはずなのにね。
「はー……♡ あ、んんぅ♡ はー……♡」
ふくらはぎから太ももの付け根辺りまでを大きくスライドさせながら揉み上げる動きに変えて、付け根までいけばお尻を解しながらおまんこくぱくぱさせてと繰り返していれば。
「お、ねがい、よぅ♡ もう、いぢわるしないでぇ♡」
ギブアップですと、情けない淫靡な瞳が向けられた。
「仕方ないですね」
「は、早く、はやくぅ♡ も、もう十分、とろとろに濡れちゃってる、からぁ♡」
頃合いと言えばそうだろう。
太ももから尻に手を這わせるタイミングでぴゅっぴゅと小さく潮を吹いていたことを考えても。
だから、仕方ない。
「んいぃっ♡♡♡」
「ご満足、頂けました?」
「ちがっ――♡ それっ♡ おちんぽじゃないよぉっ♡」
次のステップに、行くとしよう。
うつ伏せになった体勢のまま、ひたすらに手マンを続けどれくらい経ったか。
「んお゛っ♡ ら、らめらめらめっ♡ イってる♡ もうさっきからずっとイ゛――♡♡♡」
感覚では一時間は経っていないくらいの今、すっかり腰を持ち上げては俺の指に合わせて腰をくねらせ完全に出来上がってしまった。
「――か、は♡ イ゛ってりゅ♡ からぁっ♡ ゆびっ♡ ゆびほじほじするのもう――ひぐぅっ♡♡♡」
ずぼずぼと同じペース、同じ力加減でお姉さんのイイ所を刺激し続ける。
変化を出すのは左手でだけ、時折クリトリスをこすったり、お腹へと手を回して外からポルチオを圧迫する程度。
「お゛ほっ♡♡♡ むりっ♡ むりむりむりっ♡ 今日のサービスすごすぎっ♡ ダイくんっ♡ だいくんっ♡ 許してっ♡ ゆるひてぇ♡ これ以上イけないっ♡」
女のイきそうって言葉を紐解くのなら、その力加減、そのペースでそこを刺激してくれたらイきそうって感じになる。
このポイントを押さえていればなんということは無い、刺激に飽きさせないような工夫を少し入れるだけでここまで快楽に狂わせることはできるもんだ。
「じゃあ、ここで終わります?」
「やらっ♡ やらやらぁっ♡ まだおちんぽもらってないからっ♡ だいくんのぶっといちんぽっ♡ ちんぽほしいっ♡」
もちろん、ある意味で才能って言うのは必要かもしれない。誰もかれもが連続イキ出来るわけではないから。
ただ元々この店に来た時から旦那か別の店の誰かか、パートナーに仕込まれていた身体だ。
俺がしたことなんてちょっと開発したくらいってなもんだが、それでもこんな感じになるまで苦労はしたことない。
「お姉さん、ここ風俗店じゃないですって」
「知ってるっ♡ しってるぅっ♡ でもっ♡ おちんぽマッサージでしょっ♡ いっつもしてくれてるマッサージっ♡ 早くして欲しいのっ♡ もう我慢できないのっ♡ はやくっ♡ おねがいよぉっ♡」
もうちょっと、とは思うけれども。
残り120分なら、まぁどうとでもなるか。
「仕方ない、お姉さんですね」
「そうなのっ♡ 仕方ないのっ♡ ダイ君が上手すぎるからっ♡ 私が我慢できないからっ♡ 全部、じぇんぶしかたないのぉっ♡ ――んあぁあぁあっ♡ きたっ♡ だいくんのおまんこまっさーじ棒っ♡ きたああぁぁっ♡♡♡」
手早くゴムを着けてお姉さんの膣へと挿入してみれば、思っていた以上にデキあがってしまっていたらしい。
ちんこを全部入れきる前に降りきっていた子宮口の感触がさきっぽに伝わってきた。
「お゛ぅっ♡♡♡」
そのまま軽くこりこりと子宮を揺らすように擦り上げてみれば、いっそ笑えるくらいに背中をしならせながらイキ潮がぷしゃりと噴きあがる。
「こりすぎじゃないですか。毎週やってるのに、どうしてこんなにこっちゃうんです?」
「あえへぇっ♡ こ、こりやすいかりゃっ♡ こうして毎週きてるのよぉっ♡」
「なるほど道理ってやつですね。じゃ、がっつりヤりましょうか」
「がっつりって――あっひゅ♡♡♡ んおぉおっ♡♡♡ おまんこごりごりっ♡ どちゅどちゅらめっ♡」
どちゅどちゅと言うほど激しくなんてしていない。必要もない。
あくまでもゆっくりと丁寧に、指で擦っていたお姉さんのイイ所を擦り上げつつ子宮口へと向かう。
それだけで。
「イ――♡ イグっ♡ またイグっ♡ イクイクイク――お゛ぁ゛っ゛♡♡♡」
呆気なくお姉さんはイキまくる。
舌を突き出して、ハメ潮巻き散らかして、女の人があげるには汚い喘ぎ声を響かせながら。
「あ――う゛……は、ぁ……♡ しゅ、ご――い゛っ!? ま゛っ♡ ってぇ♡ 今凄いのキてるか、りゃぁあぁあっ♡♡♡」
イキ過ぎてバグったかのように締め付けてくる膣を更に耕す。
別に自分がまだイってないからとか考えているわけじゃない、このお姉さんはまだまだイけるからってだけ。
「ほぉ゛おぉおぉっ♡♡♡ しゅごいっ♡ ダイくんしゅごいっ♡ おまんこずぼずぼっ♡ じょうじゅっ♡ しゅごいよぉっ♡ もっと、もっとおぉぉおっ♡」
ご覧の通り。
まるで上半身と下半身が別の生き物か、脳に繋がっているかのよう。
イヤイヤと激しく首を横に振りまくりながらも、腰は俺のピストンに合わせて貪欲に快楽を貪ろうと……あぁ、いや。
「どすけべお姉さん? 何処に射精して欲しいです?」
「ひぐっ♡♡♡ わ、わかってりゅっ♡ くせにぃいいっ♡」
もちろんわかっている。
エチケット的に膣出しは論外としても、このお姉さんは口にぶちまけられるの大好きだから。
でも、この仕事の基本は仕方ないという理由を作る事だから。
「俺が聞きたいんですよ、お姉さんの口から。だから、お願いしますよ……」
「んあっ♡ もうっ♡ しかた、ないんだからぁっ♡」
息を合わせて、後背位から側位、そのまま正常位へと体位を変えて。
「ここっ♡ ここに出してっ♡ 私のおくちっ♡ だいくんのお射精便器にしてっ♡ んぶっ♡♡♡」
言い終わると同時に両指で端をもって開き、舌を突き出していた口の中にちんぽをぶち込んで射精した。
「――ほんとに今日でやめるのかい?」
「惜しんでくれるのは嬉しいですけども、はい。今までお世話になりました」
お世話になった店長に頭を下げる。
「ふぅ……いや、こちらこそな。キミのおかげで儲けさせてもらったよ」
「よく言いますよ」
「日本人らしいやり取りをしたつもりはないんだけどね。まぁいいよ、いつでも戻って来てくれていいからね」
「ありがとうございます」
もう一度頭を下げて、店から出る。
呆気ないなと思う。初めてのバイトだったしこういうもんなのかもしれないけれど。
「初めて、っていえば。こんなもん貰ったのも初めてだったや」
かばんから一枚の名刺を取り出して、改めてしげしげと見てしまう。
――寂しいし、惜しいって思うのはほんとよ? だから、もし何か困ったことがあればここに連絡していいからね?
ご法度というか、お互いにキスはしないって何となくあったルールは簡単に破られて。
唇が離れればあのお姉さんはそんなことを言いながらコレを渡してきた。
こんなところで個人情報を渡していいのか、なんて思ったりもしたけれど無粋というものなんだろう。
――できれば、そうね。次に会えたのなら、ちゃんとキミも気持ちがいいセックスが出来たらいいな。
気を使ってくれたんだろうそんな風にも言われたけれど。
そんな言葉を言わせてしまう程度には、やっぱり俺はこの世界で生きていく適性が無いということで。
「……帰るか」
名刺をサイフの中に入れて、明日から始まるだろう真面目な世界で自分に合う仕事が見つかればいいなと思いを馳せた。