敏腕エロマッサージ師、ワケアリさんが集まるマンションの管理人になる 作:ベリーナイスメル/靴下香
マッサージで得られる気持ちよさと、性的な快楽と言うものはコインの裏表のようなもの。
「ふ、うぅん……管理人さん、上手、なんですね」
「実はマッサージのバイトをしてたことがありまして。ちょっとしたものでしょう?」
全てはどう認識しているかなのだ。
マッサージでマンコは濡れないが、愛撫だと頭が認識したのなら濡れていく。
「そう、なんです、か?」
「ええ。知ってますか? 大学生はバイトするために大学へ行くんですよ」
「ん、んんぅ……ふふ。何、それ。初めて聞きました」
「熱心にバイトを頑張ったからか、結構お店でも人気だったんです。指名だって、多かったんですよ?」
視線も一つの接触だ、うつ伏せになってよりわかる、大きく張りのあるケツには理性を総動員して目を向けず。
まずは首へ触れないように気を付けて肩を揉む。
「学生さんは勉強が、本分でしょう、に。ん、ぅ……で、も。人気があったのは、わかる気がします」
「あはは。お褒めの言葉、どうも。嬉しいことを言ってくれたお礼に……ちょっと首、触りますよ?」
「ん……わかり、ました。どう、ぞ」
俺が触れやすいように早瀬さんは自分で髪をかきわけうなじを曝け出した。
「あ、そこ……すごく、気持ちいい……」
「でしょ? 肩を触った感じ、絶対ここも気持ちよくなれると思いましたもん」
まさしく、だが。
自分で触れて欲しいと思わせる行為という部分が性行為における愛撫と通じている。
「は、あぁ……じぃんとしちゃいます……」
「この辺りって血流が悪くなりやすいですから。解すと巡りが良くなってそんな感じになるんですよ」
この人に触ってもらえると気持ちがいいという感覚と、この人になら触ってもらっても大丈夫という信頼を培う作業だ。
特別なマッサージ技術なんて必要ない。
ただただひたすらに、俺にもっと触って欲しいという欲求を高めるためだけの行為を積み重ねる。
「少しだけ両手を広げられますか? 肩と脇の境目あたり、ここも結構クセになる気持ちよさがあるんですよ」
「そう、なんですか? じゃあ、うん。ちょっと恥ずかしい、けど」
さっきまで私をどうぞご自由にお楽しみくださいなんて言ってた人とは思えないよね。
当たり前にその羞恥心と言うか、貞操観念こそが本来早瀬さんの持っているものだ。
そう思えばこの程度のことを恥ずかしがる人が、よく私を抱いてなんて言ったものだとも思う。
「う、んぅ……痛い、ような気持ちいいような……ほんと、クセになりそうな、感じ、です」
「痛いって思うのは凝ってるからですね。ちょっと、この辺りを重点的にやりましょうか」
背中側、腋の付け根付近にあるツボを優しく押し込み刺激する。
凝っているのは事実だ、っていうか胸の大きい人は肩が凝りやすいし、となるとこの辺りも当然凝る。
「ん、ふぅ、あ、ぅ……」
同時に、ベッドに押しつぶされたハミ乳の側面にも触れる。
この辺りを触るのなら、多少触れるのも仕方がないと思える……いや、言うまでもなく納得できる程度に。
「あ、ん……は、あぁ……んっ♡」
そうともこれはまだ早瀬さんにとってはマッサージなのだ。
マッサージをしてくれている、変なことも触られていない、だから性的に感じてしまうのはおかしい事なのだ。
「早瀬さん?」
「ふ、ぇ……? あ、はい、なん、ですか?」
「力加減、大丈夫ですか? もしよかったら、痛いとか気持ちいいとか、どのあたりをもっととか。教えてくれると嬉しいです」
「わ、わかり、ました。けど、お任せ、でもすごく気持ちいい、です、から」
まだ少し早いか、それとも十分か。
こんな愛撫なんて間違っても言えないタッチで、腰をピクつかせる早瀬さんだ。
性感帯が発達しているかどうかはもう少し後で確認するとしても、敏感であることは疑えない。
「う、ぁ……そ、そこ」
「ここですか?」
「ん、んんんぅ……は、い。そこ、凄く、いいです、ぅ」
でも早瀬さんはまだ胸への刺激は望んでいない様子。
乳房の側面から離れた位置を望み、気持ちいいと言った。
……こりゃ、旦那の野郎は中々にクソかも知れない。
「は、あぁ……凄い、楽になった、感じがします……」
自覚しているのか、無自覚なのか。
恐らく早瀬さんは愛撫というものに対して恐怖心を抱いている。
もとからか、後天的にかは恐らく後者だろうさっきの様子を見るにだが。
「じゃ、次は腰あたりいきましょうか」
「え? あ、い、いや、でも……」
「ご褒美、いりません?」
「う……ずるい、です」
後天的に身につけさせられた防衛本能とも言える。
性的な刺激は怖いもの、そんな風に身体が勝手に覚えてしまった結果、濡れにくくなってしまったってセンが濃厚かもしれない。
「だって早瀬さんへのマッサージ、凄くやりがいがありますから」
「や、やりがい、ですか?」
「ええ。解してあげなきゃ。そんな風に思っちゃいます、最早使命ですね、使命」
「使命って、もう。大袈裟ですね? でも……はい、それじゃあ、もう少しお願いします」
いや、本当にね、やりがいがあるよ。
これだけ性に対して臆病になってしまった心と身体が、どれだけトロトロになってくれるのか楽しみでさ。
「それじゃ、まずは腰から」
「んっ……んんぅ」
一瞬身体が強張った、そりゃ上半身に比べたのなら性器に近い場所だから当たり前ではあるが、ちょっと反応が強め。
「大丈夫です。変なところは触りません。変じゃなくてもそこはイヤって言われたらすぐに手を離しますし、二度と触りませんから」
「あ……はい、気を使わせてごめんなさいね」
「良いんですよ、早瀬さんにはもっともっと気持ちよくなって欲しいですから」
「あぅ……ちょっと、言い方がやらしいです」
けど、冗談の範疇で受け入れてはくれている、と。
全体的に見れば順調とは言えるだろう、ふとももをぴっちりと閉めてはいるが僅かにメスの匂いが漂っている。
「あはは、すみません。っと、なら足先の方からやりましょうか。それ以上来ないで、とか。それなら言いやすいでしょうし」
「……うん。ありが、とうございます」
ふむ、口調が少し柔らかくというか幼くなってきているかな?
心地よいとは間違いなく思ってくれているだろう、丁寧にやっている甲斐があると言うもんだ。
「どう、ですか? 触った感じは、結構凝ってる感じですけど、痛くないですか?」
「す、ごく……気持ち、いいです、ぅ」
足首から膝裏までにかけて、優しく圧迫しながら擦り上げる。
凝っているというのは嘘。
気持ちいいと思うことがおかしくないと感じられるための言い訳。
ここから、少しずつシフトを変えていくための。
「……やっぱり、早瀬さんは、キレイですね」
「……え?」
「すみません。何でもないです」
そうだ、少しずつ。
手のひら全体を使った圧迫から、指先だけの圧迫へと切り替えていく。
膝裏までで止めていた手を少しずつ太ももへと侵蝕させていく。
心地の良かった空間へ、妖しげな沈黙を混ぜて、少しずつ淫靡な空気を漂わせる。
「ん、んんっ!?」
「あ! す、すみません……ちょっと、行き過ぎました、ね」
「だ、だいじょうぶ、です。え、っと、だから、続けて、貰っても、はい」
「ありがとうございます。気を付けますね」
事故を装って、太ももから指を滑らせて内ももを刺激して、気持ちよさに異物を差し込む。
しかし、続けて貰っても、ねぇ?
中々想像以上、予定以上にこの異常を正常だと思うようになってくれた。
だったら。
「ん、んんぅ……は、ぅぁ……♡」
完全に指先だけ、もちろん多少の圧力はかけているがマッサージというよりは愛撫に近い。
同時に、ぴっちりと閉じていた太ももを違和感なく少しずつ開いていけば。
……あぁ、まぁそうなるよな。
「早瀬さん、早瀬さん」
「あ、ぅ……♡ は、はいぃ♡」
さぁ、どう思う? 気づいていますか?
もう、こんなに濡れていますよ?
「良かったら、ですけど」
「うん、なん、ですか?」
――仰向けでやるマッサージも、しましょうか?
なんて真っ赤になった耳元で囁いてみれば。
「お――ねがい、します♡」
「はい、喜んで」
小さく、けれどもしっかりと頷いてくれた。