仮面ライダーカブト〜2人の特殊な少女たち〜 作:ワーム大好きマン
窃盗犯を警察へ引き渡した天華とひあらは、公園のベンチで座りながら天華の周りを飛ぶカブトゼクターについて話し合う。
「お前はカブトゼクターって言うのね。てか、ZECTって警備会社ですよね?こんな物を作ってるんだ」
「私も詳しくは知らない。警備を任されていたから、捜索も任されたらしい」
ZECTがワームと戦っている事実を隠すべく、ひあらの話には嘘が混じる。警備会社の性質が、先進技術の警備を任されたと言う嘘に信憑性を上書きした。
「それで話を纏めると、カブトゼクターとやらが逃げ出して私の所に来て、それを貴女が回収しに来たって事で良いの?」
「その通りだ。カブトゼクターが迷惑をかけましたね。これはこっちが引き取ります───のっで!」
ひあらはカブトゼクターを回収すべく手を伸ばすも、当のカブトゼクターは軽々と逃げる。ひあらはムキになったのか、両手とジャンプを使って捕まえようとするが、三次元を軽々と動けるカブトゼクターはちょこまかと逃げ回る。
「カブトゼクター。逃げないで彼女と一緒に元の居場所に帰りな」
ポロシャツの乳袋を派手に揺らしながら、カブトゼクターを追いかけるひあらをベンチから眺める天華が声をかけると、逃げ続けていたカブトゼクターは彼女の元へ一目散に向かう。
「完全に懐いちゃってる───こりゃあ本当にベルトを使わないと───っ?」
天華が話しかけると直ぐに駆けつけるカブトゼクターの姿は、最終手段として持たされたライダーベルトの機構を使わせる決断をひあらにさせた。
ベンチに置いていたアタッシュケースを開けるべく、手を伸ばそうした瞬間、ポロシャツの上に羽織るコートのポケットに入れていたスマホが振動する。
「ちょっと待ってください───岬田さん、何かありました?」
『ひあらちゃん。昨日擬態された2人が貴女の近くにいるらしいの。カブトゼクターのついでに探してくれる?』
「っ!?カブトゼクターに関しては解決したので、捜索に───いえ、たった今見つけました」
岬田の発言に驚くひあらだったが、遠目に2人の女性を見つけると冷静に視線を向ける。服装こそ警備員の制服からズボンとミニスカートの私服に変わっているが、長い黒髪と短い金髪が特徴的な2人は、昨日仕留め損ねた成虫体が擬態した女子大生であった。
「すいませんが、別の任務が入りました。名前と連絡先を教えて頂いても良いですか?」
「総部天華です。別の任務ってあの2人ですか?信じてくれないかもしれないですが、あの2人は人間じゃ無いです。気を付けてください」
「なっ········あの2人がワームだと分かるのか!?」
天華の名前を聞いたひあらは、あの2人を視認だけでワームの擬態だと見抜いた彼女に大きく動揺する。思わず大声を出してしまった為か、彼女の声は2人にも聞こえ、振り返った2人は逃げるべく駆け出した。
「あっ!!待て!!」
「あ、ちょ·······カブトゼクター?お前も行くの!?」
逃げる2人を追いかけて、ひあらはアタッシュケースを持ちながら走り出す。その姿をベンチに座りながら見送った天華だったが、カブトゼクターは金色の角で天華にも追いかける様に促す。天華の問いにカブトゼクターは飛んでいく事で答え、天華もカブトゼクターに連れられて追いかけざる終えなかった。
4人の美女は服を盛り上げる胸の巨乳を揺らして、住宅地を走る。一番先頭で追いかけられていた2人は、使われなくなった廃工場へ逃げ込んだ。何年も使われてないのか、廃工場のありとあらゆる場所には赤銅色の錆が見え、所定の箇所から外れた部品が地面へ落ちていた。
工場の入り口についたひあらは、岬田らに連絡してゼクトルーパーの増援を呼ぶべくスマホを取り出すが、飛んできたカブトゼクターが隣にやってくる。
「カブトゼクター!?貴女もなんでここに来たの!?」
「だって、この子が·······」
ワームと無関係と言えないが、一般市民の天華が追いかけてきた事に、ひあらは驚きながらも責める。カブトゼクターに導かれる様に無我夢中でやってきた天華は、ひあらへの言い訳を手繰り寄せようとしたが、それが口から出る前に2人の頭上から甲高い音が聞こえる。
天華とひあらが揃って顔を上げると、工場で活躍していたであろう錆びた鉄パイプが頭めがけて落ちてくる。
「やばっ!!」
ひあらは咄嗟に天華を抱えて横へ飛ぶ。入れ替わる様にして鉄パイプは、轟音を立てて地面に落ちる。舞い上がった砂煙が晴れると、落ちてきた錆びた鉄パイプはバラバラに砕け散っていた。これが頭を直撃したと想像した天華の顔は青ざめる。
「あ〜あ、外しちゃった」
鉄パイプが起きてきた頭上から女の声が聞こえてくる。顔を上げた2人の視線には黒い長髪を持った美女が立っていた。黒い長袖のセーターは細い腕と引き締まった腹部、盛り上がった胸と先端の乳首に張り付いて強調し、青いジーンズは華奢な美脚を見せつける。
彼女の視線は人の姿ながら人を見下す侮蔑が混じる。服に張り付いて浮き上がった巨乳と、ズボンの筋からは隠しきれない性欲が見え隠れした。
「一ノ瀬──愛菜·······」
「名前までバレちゃってたか〜じゃあやるしかない」
ひあらが名前を零すと、それを人外故の聴覚で聞き取った愛菜は、黒いセーターの裾を両手で持ち、捲し上げる。引き締まった腰に続けて、セーターに張り付いて乳袋を作り出したGカップのおっぱいが上下に激しく揺れながら現れる。
ブラジャーをつけてないにも関わらず、セーターが軽々と載る程に大きな乳房は垂れずに丸々とした形を保つ。愛菜の顔程に大きく、男を魅了する巨乳に緑色の模様が浮かび上がった。
愛菜がおっぱいを露出し、それに緑色の模様が浮かぶ光景を見た天華は、明らかに人ではない光景に目を見開いて驚いたまま固まる。ひあらはコートのポケットから取り出したボールペンとライターを組み合わて、護身用の小型銃 ZECTガンを完成させるとその銃口を愛菜へ向ける。
ZECTが開発した銃を向けられた愛菜だったが、彼女は動じないどころか、可愛らしい笑みを浮かべると全身が白い光に包まれた。彼女の中から解き放たれた光に覆われ彼女は、男を振り向かせる巨乳美女の姿を変えていく。
細く引き締まった身体は醜く傍聴し、赤い線が入った青紫へ変化する。肩からは蜘蛛の脚を思わせる触手が生え、腕にも半円型の物体が浮き上がる。陽射しで黒光りしていた長い黒髪も蜘蛛の脚に似た装飾へ変わり、彼女の小顔は化け物じみた姿へ変わり果てる。
白い光が収まると、巨乳美女 一ノ瀬愛菜は姿を消し、アラクネアワーム ルボアがそこに現れた。蜘蛛を思わせるその姿と色合いは見た者に不気味さを与え、美女の面影は何処にもなかった。歩く度に揺れていたおっぱいは姿を消し、それがあった胸元には赤いドクロが忌々しく刻まれていた。
「緑色じゃない!?」
「奴らは脱皮して姿を変える!芋虫が蝶やカブトムシになるようにね!」
成虫体を初めて見た天華に、ひあらが説明している間にアラクネアワームは口から糸を放った。ひあらは天華を掴んで回避し、さっきまで2人がいた箇所に放たれた糸が届く。糸によって錆びついた鉄鋼を凹ませ、アレが当たっていたらと思わされた天華は再び青ざめる。
天華を連れたひあらは組み上げたZECTガンの引き金を引く。ボールペンに似せた細い銃口から放たれた弾丸はアラクネアワームに連続して命中するが、アラクネアワームがダメージを負っている様には見えなかった。
しかし、銃弾を受けたアラクネアワームは不機嫌になったのか、奇怪で不快な鳴き声を上げて、工場の足場から飛び立つ。10m以上の高さから飛び、何食わぬ顔で着地する姿はワームが人外の存在だと改めて認識させた。
ひあらは降り立ったアラクネアワームにZECTガンを連射するも、同じ高さになっても有効打を与えていなかった。豆鉄砲の連射に苛立ったアラクネアワームは、再び口から糸を放つ。その糸は2人を捕らえられなかったが、背後の壁を軽々と突き刺して、壊す。
「ひっ···········」
人の恐怖を刺激する見た目と、人では敵わない能力を持っているワームを目にして天華の恐怖心は極限まで達する。ひあらが持つZECTガンの弾丸も切れ、戦う手段を失った彼女も顔が青ざめる。
戦う術を失った2人に一歩ずつ向かっていくアラクネアワームだったが、突如として脇からカブトゼクターに妨害される。掌に乗る程に小さなカブトゼクターを認識出来ず、アラクネアワームは両腕を振り回すしかなかった。無我夢中で振り回された腕は錆びたパイプを破壊し、アラクネアワームへ降り注ぐ。
「カブトゼクター、ありがとっ!?」
アラクネアワームに一打を与えたカブトゼクターは天華の元へ向かう。天華が感謝を伝え終わる前に、カブトゼクターはひあらが持つアタッシュケースを取り上げ、天華へ投げる。
「まさかと思うけど、私に戦えって言うのか?」
いきなりアタッシュケースを渡された天華の言葉に、カブトゼクターは角を上下して答える。
「無茶だよ!あなたが力を与えてくれると言うの!?」
「出来るさ。こうなったらやるしかない········」
天華は恐怖心からか反論するも、ひあらは何かを決断してい
た。ひあらはアタッシュケースを開け、中に入っていたライダーベルトを取り出す。
「これはカブトゼクターを使ってワームを倒す為に使うベルトだ。素人に使わせるのはあれだが───今はこうするしかない!」
ひあらは天華の返事を聞かない内に、天華の腰へライダーベルトを巻く。ワンショルダーセーターとジーンズの境目にライダーベルトが巻かれ、ライダーベルトコネクターで固定される。
天華にライダーベルトが巻かれたのを確認したカブトゼクターは、彼女の周りを数周回ってからベルト正面のコグニッションアラートに従い、セットアップレールに導かれて自らセットされた。
電子音声が響くと、両脇のスラップスイッチ裏にあるアポーツからハニカム型の物体が広がる。銀色に輝くハニカム型は天華の全身を包んでいく。黒いスーツが貼り付き、銀色と赤い装甲に形成される。ハニカムはベージュ髪のポニーテールが垂れる天華は頭部も包み、雌のカブトムシを思わせる姿へ変わっていく。
銀色のハニカムが全身を包み終えると、全身から衝撃波が放たれる。それは崩れた鉄パイプから脱出したアラクネアワームにも届き、さっきまではいなかった銀ピカの存在に警戒心を抱かせた。
〔あっ?──えっ?──なにこれ?どゆこと?〕
「変身出来ちゃった·········」
カブトゼクターが腰についてから起きた現象に戸惑っていた天華は、今の姿を改めて確認するとより困惑した。
全身は黒いサインスーツに包まれ、上半身には所々に赤が入れられた銀色の装甲が覆っていた。眼前は水色のコンパウンドアイが囲み、そこには認識できない程の情報が羅列されていた。
マスクドライダーカブト マスクドフォームに変身した天華が、現状を把握出来ずに困惑している間に、アラクネアワームは鳴き声を上げて飛びかかる。
〔えっ、ぎゃあっ!────痛っ·····くない?〕
アラクネアワームの突撃に対応できなかったカブトは吹き飛ばされ、廃工場の鉄骨に当たる。中の天華は強い衝撃を受けたにも関わらず、一切痛みを負っていない事に驚いていた。
超金属 ヒヒイロカネの堅固さと、ファンデルワールスカによる耐衝撃性で、ダメージを負っていないカブトは難なく立ち上がる。それを目の前で見せられたアラクネアワームは一瞬驚いた仕草を見せるも、再び襲いかかってくる。
成虫体の攻撃を難なく防いだ装甲を認識した故か、平常心を取り戻した天華はアラクネアワームの振り下ろされた腕を装甲で防ぐ。
左腕のマニピュレーターアームで防いだカブトは反射的に右腕をアラクネアワームへ突き出す。拳を腹部へ食らったアラクネアワームは先ほどのカブトの様に吹き飛び、廃工場のパイプ群を薙ぎ倒す。
〔マジで···········〕
拳でアラクネアワームを軽々と吹き飛ばせた事実に天華は呆然とする。人外の化け物と対等に戦える力に唖然としていた天華だったが、唐突に何かが彼女の手元に生成される。
〔銃?斧?〕
それはカブトゼクターと同じくカブトムシに似た外見で、銃を思わせるパーツと斧を思わせるパーツが混じり、これだと特定できない代物だった。
カブト専用の可変武器 カブトクナイガンに戸惑っていたカブトだったが、先ほど吹き飛ばしたアラクネアワームの鳴き声に反応する。アラクネアワームは口から糸を放ち、それが齎す効果を理解していたカブトは咄嗟にクナイガンのグリップアダプタを握った。
引き金を引く度に、小型サイクロトロン粒子加速器 スナッピングバレルで収束された高エネルギービームが、ガンマズルを通して発射される。イオン光弾はアラクネアワームの糸を切り、アラクネアワーム自体にもダメージを与える。一部の外れた弾は錆びれた鉄骨を軽々射抜き、その威力を天華へ知らしめた。
〔嘘でしょ······〕
天華はまたしてもライダーシステムの力に唖然する。その間に体制を立て直したアラクネアワームは、カブトの存在を危険だと認識し、成虫体が持つ最大の切り札の使用を決断させた。
〔消えぇ──ぎゃあ!?〕
目の前にいたアラクネアワームが消えたのに驚いた直後、カブトは視覚外からの攻撃に吹き飛ばされる。叩き落されたカブトは攻撃された方へ振り返るも、ワームの姿は見えない。それどころかまたしても見えない攻撃を食らった。
〔なんで!?どういうこと!?〕
成虫体のワームが消え、見えない攻撃を受けるカブトは対応出来ずに困惑し続ける。一定時間の高速移動 クロックアップはマスクドフォームの視界でも捉えられず、カブトはただただ高速で飛び回る蜘蛛の攻撃を受けるしか無かった。
しかし、カブトとアラクネアワームの戦闘を遠くから見ていたひあらは、超高速で動き回る蜘蛛の姿を
「左後ろだ!!」
アラクネアワームが一瞬だけ立ち止まり、攻撃の溜めに入った瞬間、ひあらは大声で叫ぶ。その声を小さな角に似たカブトレシーバーで聞き取った天華は、その方向へカブトクナイガンを向けて引き金を引く。
放たれたイオン光弾はクロックアップ中だったアラクネアワームへ直撃し、クロックアップから強制的に引き下ろした。
〔当たった!?〕
カブトですらも視認出来なかったクロックアップ中のワームを、ひあらが認識出来た事に天華はマスクの中で驚きを隠せない。
アラクネアワームもクロックアップ中に攻撃を当てられた事に困惑するも、再びクロックアップへ突入する。
〔があぁ!〕
「右から来るぞ!!」
アラクネアワームは高速で移動しながらカブトへ攻撃し、その衝撃でカブトクナイガンを落とす。カブトの死角へ移動したアラクネアワームは、その爪を振り下ろして攻撃すべく飛び上がった瞬間、再びひあらが大声を上げる。
それを聞いた天華は勢いよく振り返り、その最中にカブトクナイガンを拾う。咄嗟に掴んだからか、スナッピングバレルを持ってしまったが、それが功を奏してガンモードからアックスモードへ切り替わる。
上から降りてきたアラクネアワームと、カブトクナイガンが接する。グリップアダプタ先のバヨネットアックスは、エネルギー電子を伝送する事で超高温になり、赤色が混じった青紫の肌に無視出来ない傷を負わせる。
アックスモードでダメージを与えている事に気づいたカブトは、勢いよくカブトクナイガンを右へ動かして、アラクネアワームに横一閃の傷を与える。
腹部に大きな傷を負ったアラクネアワームはクロックアップ状態が解け、負ったダメージが大きすぎた為かフラフラとしながら放れると、奇怪で不快な甲高い鳴き声を上げた。
それは自らの鎮魂曲だったのか、アラクネアワームは緑色の爆発を起こした。
〔うわぁぁ!〕
アラクネアワームがいきなり爆発した事に天華は驚くが、緑色の爆炎が収まると危険色とも言える体色の怪物は消え去っていた。その光景はカブトに変身した天華が、ワームを倒した事実を示していた。
〔倒した·········私が怪物を·······〕
天華はマスクドフォームの腕を見ながら呆然とする。いつの間にか懐いたカブトゼクターは、人間に紛れ込むワームを倒す力を与えた。
信じ難い事実にマスクドフォーム姿の天華は、廃工場の中で佇むしかなかった。