緑谷のち〇こでっけぇぇえ!!! 作:ドスケベ世界平和ヴィラン
「こっちは片付けた、そちらの状況はどうだ」
路地裏で力なく横たわる男の傍で僅かに血濡れた薄手の黒手袋を外しながらインカムで呼びかける継宮、彼はまさに公安の仕事の真っ最中であった。自分の正義を貫き通すため裏で暗躍するダークヒーロー、なんてことを言うつもりは毛頭ない。彼は彼自身の手が届く範囲で自らの安寧を脅かしかねない不安材料を取り払っているに過ぎない。例えそれが法に触れるようなやり方であったとしても、公安という立場を使えば揉み消しや隠蔽をすることは容易ではないものの可能だった。
大戦の英雄を犠牲に未来を得ようとしているのだ、不本意ながらもこちらの意向に沿った動きをしてくれている彼に少しでも報いなければならない。
「よし、後処理は任せーー」
「おい」
「ハァ……また後で連絡する」
ため息を吐きながら声のした方向へと振り返る。そこに立っていたのは元公安ヒーロー、レディナガンだった。公安時代の一件からタルタロスに収容され一度はAFOの下についた彼女だったが、その行動理由や状況を鑑みて大戦の後しばらくの再収容を終え出所していた。
「何をしていた」
「ちょっとしたお掃除だよ、てめぇにゃ関係ねぇ」
「っ!それは悲劇しか生まない行動だと何故分からない!?」
社会にとって都合の悪い人間、ヴィラン予備軍を裏で消す。それは彼女の苦い過去を容易く掘り返した。ホークスが公安のトップとなりヒーロー公安もようやく正しい道を歩み始めたというのに、目の前の男はまた同じ邪道を進もうとしている。緑谷という英雄に脳を焼かれた一人である彼女にとって、継宮の行動は看過できないものだった。
「今すぐこんなことやめろ」
「……それは無理な話だ」
「ならば力づくでも……っ!」
しなやかな腕を変形させ、肘の先からライフルを出現させるレディナガン。すると、どこからともなく黒服の男達が現れ彼女に拳銃を向ける。出所したとはいえまだ監視のついている身、様々な秘密や極秘事項を知ってしまった彼女は今後一切本当の自由など与えられないのだろう。それでも関係無かった、自分の命と引き換えに継宮を止められるのならそれでも良いと思っていた。
そんな思考は、黒服に拳銃を下ろすように伝えた継宮の行動によって乱されることになる。
「んな物騒なもんホイホイ人に向けんな、お前もだ筒美」
「……どういうつもりだ」
「どういうつもりも何も俺は仲間と殺り合う趣味は無いもんでね」
「っ!ふざけるな!!」
「っせぇな……あんま叫ぶんじゃねぇよ」
ライフルの銃口を向けられながら継宮は胸ポケットから取り出した煙草に火をつける。ほんの数ミリ、引き金を引けば彼の頭は一瞬で吹き飛ぶ状況にも関わらず彼は一切動揺していないように見える。
「筒美、俺を殺してぇなら殺せ。それでお前の正義を貫けるんなら俺は甘んじて受け入れる」
「何をっ!?」
「それだけの事を俺はやってきたし、これからもするつもりだ。だがこれだけは言っておく」
彼女の元へとゆっくりと歩み寄り、銃口を頭に突きつけられながらも彼は口を開く。
「俺は俺の家族を守るためなら鬼でも悪魔にでもなる。たとえそれが人の道を外れていたとしても、誰にも止めさせやしない」
「っ!」
有無を言わせぬ彼の迫力は幾度の修羅場をくぐってきた彼女でさえも怯ませる程の凄みがあった。
「お前が出久に救われたのも知っている。そんなにアイツが心配なら会ってやれば良い、きっと悦ぶぞ」
「……は?」
「以前お前に話した計画は既に始まってる。初めは彼も拒否していたが今はなし崩し的にだがこちらに協力してくれている」
「貴様……っ!」
あんな馬鹿げた話に彼が協力するとは考えられない、と思いつつ敵にすら情けをかける彼が迫ってくる女性を冷たく突き放せるかと言われると微妙だった。それに私に会って喜ぶなんて、そんなことある訳ーー。
「まぁどうするかはお前さん次第だ、そこは任せるさ」
「っ!待て!何処へ行くつもりだ!?」
「俺も暇じゃないんでね、デスクに戻って溜まってる書類を片付けねぇと。お前らもさっさと持ち場に戻れ」
去り際に継宮は飄々とした態度でそう黒服に告げると彼らはすっと身を引いた。結局引き金を引くことの出来なかった彼女は苦虫を噛み潰したような表情をしながらライフルを下ろす。
「……くそっ」
継宮という男の行動に対して、何も出来なかった自分に対して彼女は様々な感情を巡らせる。そして何より、彼に会いたいと思う気持ちが強くなっていることに対して無性に腹が立った。その感情を悪く思っていない自分が心底嫌になる。彼に救われた自分がまた彼に迷惑をかけるのか、そんな自己嫌悪を抱えつつとぼとぼと下を向いたまま路地裏を後にした。
「もしかしてレディナガン……ですか?」
「……え?」
「やっぱり!お久しぶりです!」
人通りの多い道へ出た途端、久しぶりに聞く声に引き止められ顔を上げる。そこには今の今まで自分の思考の中心にいた彼が笑顔で立っていた。
◇
「今日はお出かけですか?」
「あ、あぁ、そんなとこだ……」
「そう……ですか」
いやそんな死んだ顔で言われても。たまには一人で外出して気分転換でもしようと休日に街に繰り出した矢先、見覚えのある後ろ姿だと思い声を掛けたらこれだ。肩を落としてはいたもののここまで表情が死んでいるとは思っていなかった僕は流石に面食らってしまった。
「とりあえず喫茶店でお茶でもしましょうよ」
「そ、そんな」
「あ、もしかして予定ありました?」
「……いや、特には無いが」
「なら行きましょう!」
沈んだ彼女をそのまま放っておく訳にはいかなかった僕は馴染みの喫茶店へ彼女を誘った。だんだん女性とのやり取りに対する忌避感が無くなってきている事を素直に喜んでいいのか不安になるもこの時ばかりはそれに感謝した。
一方その頃、ビルの屋上から望遠鏡で彼らの様子を観察している男が居た。
「筒美のことは出久に任せときゃあ何とかなるだろ」
この後どうなるかはおおよそ個性の力で把握してはいたものの、心配性の彼は自分の目で見るまで安心することは出来なかったのだ。流れるように喫茶店へと入っていく二人を見ながら、誰が聞いている訳でも無いのに思わず言葉を漏らす。
「……アイツ、俺より女捕まえるの上手くねぇか?」
人あたりの良い笑顔、裏表のない素直な性格、更には大戦の英雄という名の肩書き。ナード臭さが抜けた今の彼はまさに女からしたら完璧な男なのだろうか。何とも言えない感情を抱きつつ、目的は達成できたので彼は今度こそ自分のオフィスに戻るため踵を返した。
◇
「ここのパンケーキとても美味しいんですよ!」
「……そ、そうか」
「何でも二十年修行した末に見つけた完璧な粉の配合らしくて、ふわふわ感が凄いんですよ」
「……それは、凄いな」
「……あ、あはは」
女性とのやり取りに慣れてきたとか言っていた数分前の僕を助走付きで殴り飛ばしたい程会話が弾まない。何とか話題を振り続けるも気まずそうに目を逸らしながら気のない返事をする彼女。いきなり喫茶店に誘うのは強引過ぎただろうか。
「……それに、このトッピングも人気でして!気だるげなネコちゃんの表情が何とも言えない魅力をーー」
「猫ちゃん?」
「は、はい。クッキー生地で作られた猫ちゃんが乗っててそれが可愛いってのも人気の一つでーー」
「頼もう、それ。すぐ頼もう」
ダメ元で言ってみたパンケーキの話題に死ぬほど食いついてきた。さっきの淀んでいたのが嘘のようにキラキラと子供のように目を輝かせながらメニューを凝視していた。
「すみません、このにゃんにゃんふわふわデラックスパンケーキを一つ。それとこっちの猫ちゃんストロベリースムージーも一つ。出久君はどうする?」
「じゃ、じゃあ僕も同じのを」
「今のをどちらも二つずつ下さい。はい、お願いします」
あまりに猫まみれの注文にたじろぎつつ、彼女の嬉しそうな表情に水を差さないように同じものを注文する。
「猫、好きなんですか?」
「……あ、あぁ。すまない恥ずかしい所を見せてしまった」
「良いんですよ。ナガンのこと、もっと知りたいですから」
「……///」
恥ずかしさからかまた無口な彼女に戻ってしまったが、先程の終わっている空気よりは遥かにマシだった。顔を赤くする彼女を微笑ましいと思いつつ待っていると、トレーにパンケーキを載せた店員がやってきた。
「わぁ……可愛い……!」
「良かったですね」
「……うん」
「それじゃあ、いただきましょうか」
それからしばらく二人でパンケーキとスムージーを無言で食べ続けた。だが、時折彼女の口から可愛らしい感嘆の声が漏れるのを聞いているだけで正直お腹がいっぱいになりそうだった。
「……美味しかった」
「それなら良かったです」
「……聞かないのか?」
「話したくないことを無理に聞くつもりは無いですよ」
「……そうか、やっぱり君は優しいんだな」
柔らかな笑みの裏側に隠れている後悔や自責のような感情から、僕はその言葉に対して何と返せば良いのか分からなくなってしまった。逃げるようにストローを口に含むも、ずぞぞという気のない音がグラスが空になったことを知らせていた。
「なら、私から聞いてもいいかな」
「えぇどうぞ」
「継宮から聞いたが、君が何人もの女と性的な関係を持っているという話は本当なのか?」
「ブッ」
突然真顔のレディナガンがとんでもないことをぶっ込んできた。いや確かに事実ではあるのだがこう改めて言葉にするとえげつないことをやっているな僕は。毎日セックスをする事がもはや日常になりつつあるためできるだけ意識しないようにしていたが、実際僕はかなり異常な状況に置かれているのだ。
「えぇっと、その、それは、ですね……」
「……」
「……はい、そうです」
何と返答すれば良いか、彼女の質問の意図がすぐには分からず、吃りながらあたふたと手を動かす。ジトっとした視線から逃れることは出来ず、僕は正直に白状するしか無かった。
「継宮にどんな弱みを握られているか分からないが、私なら何か力になれるかもしれない」
「……え?」
「元公安ということもあってホークスとの繋がりもある、私が直談判すればきっと辞めさせられる。だから、聞かせて欲しい。君の気持ちを」
「……」
何故今の今まで気が付かなかったのだろうか、そうだ、ホークスに相談すれば良かったんだ。インターンに行った常闇くんなら連絡先を知っているだろうし、雄英生は多かれ少なかれ彼との関わりを持っている。ヒーローの在り方を正しい方向に導こうとしている彼ならばきっと助けになってくれるだろう。そうすれば僕の穏やかな日常を取り戻す事が出来るはずだ。
数ヶ月前の僕なら、そんな正常な判断が出来たのかもしれない。
(顔近い近い近いうわめっちゃまつ毛長い、手柔らかっ、えっ、めちゃくちゃすべすべしてる、顔の傷はあんま目立ってないしてか肌艶凄いな、これで三十代とか絶対嘘でしょ、めっちゃいい匂いする、うわおっぱいでっっっか、ノースリーブから覗くムチムチの二の腕エロ過ぎでしょ、待って何そのセキュリティガバガバな首元、鎖骨からおっぱいまでのラインえげつないんだけど)
僕の頭の中は彼女の身体のことでいっぱいになっていた。手を握られずいと顔を近付けられた事で、今まで意識していなかった彼女のメスの部分が浮き彫りになる。
「え、えぇっと、初めは確かに困りました。いきなり話を聞いた時は意味が分からなかったし怒りもしました、ただ、正直今はほんの少しだけ感謝している部分もあるんです」
「……は?」
「ずっとなぁなぁにしていた自分の気持ちに正直になれましたし、その結果好きだった女の子と恋人になることが出来ました。それに……これは後から知った事なんですが、僕の性欲は人よりも少し強いらしいんです。もしも彼女一人だったのなら多分負担をかけ過ぎてしまっていたかもしれません。……ちょっと余計な事を話した気もしますが、つまり僕が言いたいのはーー」
自分の心の内に隠していた気持ちをいざ口にすると、すっと心が軽くなったような気がした。ただ流れに身を任せ複数の女性と関係を持ってしまった僕。それでも、彼女たちの気持ちが暗示によって増幅されているとはいえ、自分に向けられている好意を無下に出来る訳が無い。
「僕は、このままでも良いと思っています」
「……」
僕の返事を聞いて彼女はどう思っただろうか。失望か、侮蔑か、呆れか、それとも諦めだろうか。例えそれがどれだけ僕を嫌う感情だったとしても、真摯に僕のことを心配して話をしてくれた彼女を裏切らないように、僕は彼女の目を見ながらそう言い切った。
「そう、か……そろそろ出ようか」
「は、はい」
「ここは私が持つよ」
「そんな!僕から誘ったのに悪いですよ……」
「気にするな、ここは私のメンツを立たせてくれ」
「……ご馳走様になります」
「あぁ」
顔を伏せた彼女はそのまま立ち上がりレジへと向かう。
きっとこれからもこういう事が起こるだろう。人としての倫理から外れた行動をしている僕のことを、ちゃんとおかしいと思ってくれる人がいる。それを知っただけでなんだか嬉しいような、まだ僕にも常識という物が残っているんだなと実感できる。ナガンには本当に申し訳無いが、僕は僕自身に、そして何より、彼女たちに嘘はつけなかった。彼女たちとのセックスは気持ちいいし想いを伝える一種のコミュニケーションになっていた。それを嫌だった、本当はしたくなかったなどとは口が裂けても言うことは出来ない。
「今日はありがとうございました。また、どこかで会えたら、今度は僕に奢らせてくださいね」
「……」
「……それでは」
もうきっと僕の声も聞きたくないだろう。それもそうだ、勇気を出して差し伸べられた救いの手を拒まれただけでなく噛み付かれたようなものなのだから。できるだけ早く彼女の前から消えよう、そう思った時。
「……ずるい」
「うぉっ……え?」
彼女に背を向け歩き出そうとした矢先、後ろから手を引かれて思わずたたらを踏む。
ボソリと聞こえたずるいの三文字。一体なんの事なのか、僕には皆目見当もつかなかった。
最新話書く度に皆読んでくれて感想もくれてめっちゃ嬉しいわぁ♡頑張って書いてくからこれからもよろしゅうなぁ♡
文化祭編軽く書いたんだけどえっち無いから丸々カットになりそう♡ちなみにみんなは読みたい?♡
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読んでみたい。
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そんなのいいからえっちなの書け。