※この作品はR-18です。

そんな怪しいのぺっしなさい   作:ぬるぬる

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まだエロくない


幼少編
01


「ぐすっ、ひっぐ……すん……」

 閑静な住宅街にある公園。

 そこで彼女、高町なのはは泣いていた。

 まだ幼稚園にも通っていない様な幼い子供だった。

 

 父親は仕事で怪我を負い、今も生死の境目を彷徨っている。

 母親と姉は、家で経営している喫茶店を切盛りするだけで精一杯だった。

 更に父親の看病にも追われ、追い詰められていた。

 兄は自分の父親の敵を取らんが為、延いては家族の身に危険が迫っても退けられる様に。

 未来を見据えて我武者羅に自らを苛めぬいていた。

 そうして家族がそれぞれ忙しい中、彼女は何も出来なかった。

 父親の看病も、お店の手伝いも、ましてや修行なんて。

 

 幼いながらに考えた結果、家族の邪魔にならないように努めることにした。

 初めは着替えさえ覚束なかった。

 ボタンは上手く留められず、髪はぐちゃぐちゃ。

 頭を洗うにもシャンプーが目に染みた。

 それでも彼女は諦めなかった。

 家族が心配し手を焼こうとするも、大丈夫だと。

 自分で出来ると。

 そう言いながら、着実に努力を積み重ね、遂には身の回りのことは自分で出来る様になった。

 

 これで自分も何か役に立てるかもしれない。

 皆の手伝いが出来れば自分も家族の一員になれるかもしれない。

 そうして大好きな父親が帰ってきたら、おかえり。

 そう、迎えてあげたかった。

 

 しかし、彼女が全部出来る様になったら、家族は離れて行った。

 毎日がタイトなスケジュールで、少しでも空いた時間があれば他のことを優先したかった。

 

 そこで漸く彼女は、自ら家族との触れ合いの機会を絶ってしまったことに気づいた。

 朝の寝癖の付いた髪を直してもらっている際。

 服の袖に上手く手を通せなくてTシャツの中でモゴモゴしているのを見兼ねて、手伝って貰ったり。

 伸ばしている髪の毛を上手く乾かせなくて、ドライヤーを持ちながら櫛を通せないのを代わりにやって貰ったり。

 そうした何気ない所で、彼女と家族達はお互いを確りと認識し、意識して気遣っていたのだった。

 

 しかし、今の彼女はどうだろう。

 朝起こされる前に起床し、身嗜みを整え、朝練に没頭する兄を、朝食に間に合う様に声をかけに行く。

 3人を送り出し、内側から鍵をかけ、洗濯物を洗う種類毎に分け、ゴミ取りローラーとマットで床を掃除し、疲れて一旦眠った。

 起きてから冷蔵庫の作り置きの昼食をレンジで温め、そして食べた後は 食器を自分で洗ってテレビや本で時間を潰すのだ。

 雨か降りそうなら干してあった洗濯物を取り込んだ。

 その内母親が客入りの少ない時間を縫って夕食を作り置き、洗濯物を回し、彼女の手が届かない場所の掃除等を片付け、父親の病院へ行くのだ。

 その後はまた独りで過ごすか、散歩に出かけ、日が暮れたら晩御飯を暖め、風呂の湯を張り、入浴を済ませ、床に就くのだった。

 

 そんな生活、代わり映えの無い毎日を変えたくて、外に繰り出すのだが、精々が近くの公園に出掛ける位だ。

 そこで彼女は静かに泣いた。

 寂しくて、悔しくて、儚んで泣いた。

 幸い人気が無いので、誰かに見られることはなかった。

 しかし、それが一層の孤独感を助長させた。

 

 

 

 そんな毎日を過ごしてもう3歳になろうかという頃。

 彼女の定位置であるベンチに何かが鎮座して居た。

 それは黒っぽい球体だった。

 砲丸投げの球程度の大きさであろうか、鈍く光を反射しながら、その表面には複雑な模様が浮き上がっていた。

 彼女はこの公園を普段から利用しているが、落し物どころかゴミすら見つからない程の人気が無い場所だった。

 

 そんな場所で始めて見つけた異質物。

 興味が無いと言ったら嘘であろう。

 彼女は恐る恐る指先で触ると、水面の油膜の様に様々な色を発生させながら光だした。

 咄嗟に指を離し後ずさるとやがて元の鈍い黒色、よく見ると濃い紫に見える色に戻った。

 しかし、その後何か起こる様子も無いので、更に触れて見ることにした。

 両手で掴み上げると、思ったよりは重くない。

 しかし、ずっしりとした重みはあるので、膝に乗せれる様に謎物質が鎮座していた場所に変わり彼女はベンチに座った。

 そうして暫く眺めていると、段々色が桜色に変わり、何と無く暖かく柔らかくなった様な気がした。

 それと同時に、何と無く倦怠感が彼女を襲った。

 そうして暖かい日差しを受け、瞼が重くなってきた。

 横になり、目を閉じる瞬間に球体を視界に収めようと引き寄せた手は粘着状の桃色物質にまみれていた。

 疑問に思いながらも彼女は睡魔に抗えず瞼を閉じたのであった。

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