そんな怪しいのぺっしなさい 作:ぬるぬる
気が付くともう陽が傾いていた。
何だか不思議な事が起きていた様な気がしたが、辺りを見回しても、手を見ても謎物質は何処にも無かった。
夢だと思い直した彼女は一先ず家に帰ることにした。
家にたどり着いても、やはり誰も居らず、ただいまの声だけが虚しく家の中に吸い込まれていった。
母親は帰ってきていたのであろう。
今日の晩御飯の用意がしてあった。
心配かけただろうか、それとも何も思わなかったのだろうか。
そんな思考がぐるぐるとしたが、異様にお腹が空いていた為、早目の夕食を摂り、部屋に戻る事にした。
そしてスカートが皺になるのも気にせずベッドにダイブした。
そしてまた、睡魔が襲ってきた。
夢現な気分に浸っていると下腹部に違和感を覚えた。
それと同時に胸の奥から何かが吸い出される感覚があった。
何だろうとは思ったが指一本たりとも動かせる気分では無かった。
そのまま身を任せていると股部から何かが入っていく感触がした。
それは未知の感覚であり、恐怖だった。
思わず叫ぼうとしたが、漏れ出る声は微かなものだった。
「あっ…あん…っっ……」
身体が段々暑くなってきた。
それと同時に股がムズムズするのが止まらない。
思わず身を捩ったが胸が衣擦れする感触が嫌に敏感に感じ取り、くすぐったい様な、不思議な感じであった。
相変わらず声が出ず、起き上がることも出来ず。身を捩れば全身がくすぐったく。
それでも股部の異物感とふわふわする感覚は大きくなっていく。
そうしてどんどん身体が火照り、吐息だけが漏れる中、どんどん彼女の思考が白く塗りつぶされていった。
遂には視界に星が散り、息を吸うのもままならず、意識が朦朧とし、そして果てた。
幼い彼女にはわからなかったが、紛れも無くイったのであった。
彼女に解った事は、全身が熱くくすぐったくて、股に何かが入っていくと気持ち良くなり、そして、胸の奥がポカポカして、頭の中が真っ白になると凄く気持ちがいいということだった。
そして彼女は汗も拭かずに、パジャマに着替えることもせず、眠りに着いたのであった。
翌日、朝早く目が覚めた彼女は、着の身着のままで、お風呂にも入っていない事に気づいた。
しかし、寝起きなのに何故か頭の中が冴え渡り、何でも出来そうな充足感に満たされていた。
身体の指先から頭の中まで、何処でも知覚出来る様だった。
ここ最近では感じたことの無かった、やる気溢れる、ポジティブな感情。
足の筋肉が収縮と弛緩し、バネの様にベッドから飛び出せそうな気がする。
いよっし!、とベッドの上からとぉっと飛び出した。
イメージではドアの前に華麗な着地を決めるはずだった。
しかし実際は、布団に躓き頭からカーペットにヘッドスライディングを決めただけだった。
「にゃはは……、中々上手くはいかないの……」
摩擦でヒリヒリするおでこを押さえながら独り言ちた。
彼女は気付かなかった。
本当なら首を捻挫しかね無い、いや、実際捻挫するダメージを受けていたことを。
ヒリヒリするのは今までの経験からそう感じているだけで、実際は傷一つ負って居ないことを。
そして、そのダメージを瞬時に修復する身体になっていたことを。
そして、彼女の身長が1cm程の高くなっていたことを。
着替えを用意して風呂に入ろうと、追い焚きしながら脱衣所で服を脱いでいたところ、異変に気付いた。
彼女のパンツの下に何か履いている事を。
それは昨日の球体と同じ黒いものが、パンツの様に彼女の身体をピッタリと覆っていた。
脱ごうと手をかけるも、接着されたかの様に剥がれる様子が無かった。
内心叫びたかったが、まだ兄が道場に行ったかどうかという時間。
迷惑をかけたく無い一心で声を出すことを踏みとどまり、口を両手で抑えた。
何とか家族を起こさなくて済んだと思ったのも束の間、下腹部をかき回される様な異物感が彼女を襲った。
漏れでる吐息を我慢し、一先ず風呂場に避難したのであった。