とりあえずエロシーンはありません。格好はアレなんですけども。
不満そうな顔をした要が言われた通りに両手首に金属製のベルトを嵌める。しっかりと嵌ったことを見て取ってから透はリモコンのスイッチを入れた。左右の金属の輪がしっかりとくっついて要の手首を固定する。
「これに一体、何の意味がありますの?」
壊れた女性器を修復した後、透は要をベッドに座らせた。しっかりと赤のドレスを身に着けた要の手首の金属製の枷が妙に浮いて見える。
「説明が必要か?」
「だって、これでは……」
困惑した面持ちをして要が周囲を見回す。特殊な機能を満載したベッドについた枷に手首を捕らえられた要は、不自然な格好になっていた。両手を伸ばして身を屈め、軽く腰を浮かせている。手首がしっかりと固定されているために、その体勢になってしまうのだ。
「これでは、何だ?」
「動けませんわ。それに何だか恥ずかしいですし」
困ったような顔で要は言った。その頬は言葉通りに少し赤くなっている。
「あたりまえだ。これはおまえが自由に動けなくするための装着オプションだからな。内部メカの機能も制限されるから、ロケットパンチ撃って逃げようとしても無駄だぞ」
当然の顔で透が言うと要が慌てたように手枷を見る。要が忙しく指を開いたり閉じたりする。だが無駄だ。枷の形をしてはいるが、この装置は要の手首から機体内部に繋がる仕組みになっている。
「ちょっとお待ちなさい! 汚いですわ!」
声を荒らげた要が透を睨みつける。要は恐らく透が優しく抱いてくれるくらいのことを思っていたのだろう。だがこれまでの経験を考えると、要が想定していたのは男を言いなりにさせ、好きに快楽を貪るというやり方だ。透はそんな風に要を抱くつもりはさらさらなかった。
「要、おまえがヒューマノイドになってから、どれくらい経つ? そろそろ一年近くになるだろう?」
要は肘を折り曲げて懸命に枷を外そうとしている。透は淡々とそんな要に訊ねた。身を屈めた要は両足を広げ、ベッドにぺたんと座っている。
「そっ、そうですわねっ。それが何かっ!?」
必死の面持ちで腕を何度も持ち上げようと試みながら要が言う。
「要、ヒューマノイドは人間か?」
「違いますわねっ……もうっ! 何で外れませんの!?」
苛々とした声で言ってから要は透を睨みつけた。
「無力な婦女子をこのように拘束して、恥ずかしくありませんの!?」
よほど苛々しているのか、要が声を荒らげる。
「おまえが人間なら、恥ずべき事なのかもしれないな」
頷きながら透はさりげなく要の足首をつかんだ。え、と目を丸くした要を無視して片手でリモコンを操作する。するとベッドに設えられた小窓が開いて、たちまち要の足首に金属製の輪が嵌った。
「なっ!? ちょっとお待ちなさい! 何故、わたくしがこんな目にあわなければなりませんの!?」
素っ頓狂な声を上げて要が身じろぎをする。ストッキングの上から嵌められた足枷にも要の機体の動きを制限する働きがある。透はのんびりと要を眺めた。肘を折り曲げて背を丸め、足首も捕らえられた要はもう殆ど動くことが出来ない。だが体勢はまだ変えることが出来る。尻を高々と突き上げて上体を屈めれば、性交渉自体は可能だ。
「これまでは、こういう目にあった事はなかったのか?」
透は真面目な顔で質問を投げかけた。すると要が透を睨んで声を張る。
「当り前ですわ! 何故、わたくしが拘束されなければなりませんの!?」
このわたくしが。声を荒らげて言い捨ててから要が懸命に手足を動かそうとする。そんな要を透はまじまじと見つめた。
「要、おまえはヒューマノイドだろう? ヒューマノイドは何だ?」
「最強の決戦兵器ですわ!」
間髪入れずに要が答える。それを聞いた透は何度か瞬きをしてから少しだけ眉を寄せた。
「そうだな、その通りだ」
感動を込めて透は頷いた。そう。要に搭載した機能はどれもこれもが戦うためのものだ。特に巨大ロボットに搭乗する為に設えられた機械仕掛けの女性器などは、透の自信作だ。
「それが何ですの?」
訝りの顔で要が言う。しばし自分の考えに浸っていた透ははたと我に返った。
「兵器とは戦うための道具だ。おまえは人型最強決戦兵器、人の形をした戦うための最強の道具なんだ」
間違ってるか? そう続けて透は要の顔を覗き込んだ。すると少しだけ要の顔が赤くなる。だがすぐに思い直したように要は頷いてみせた。
「間違ってませんわ。ええ、そうですわっ。わたくしは最強ですもの!」
どうも都合よく、他の部分については流してしまったらしい。道具ということは誰かが使うためのものだという意味をこめて言ったつもりだったのだが、要にはこの言い方では通らないのだろうか。
それとこれがどう関係ありますの。不快そうな顔をして言いながら要が腕や足に力をこめる。だが極端に力が落とされているために、腕や足は少し動く程度だ。
「なるほどな、優一郎はそうやって、おまえに真実を理解させることなく、使おうとしたのか」
小さな声で独り言のように透は呟いた。するとそれまで枷を外そうと躍起になっていた要がぴくりと身体を震わせる。
「……どういうことですの?」
やっとまともに話を聞く気になったのか、要がそう言いながら透を見る。
「ヒューマノイドは道具だ。おまえのように兵器、戦うための道具として改造されたモノも存在するし、身の回りの世話を行う道具として改造されたモノも居る」
滑らかな口調で語りながら透は台の縁に腰掛けた。背中を丸めた要がそんな透を不思議そうに見る。
「道具……」
漸く、要の耳に言葉がちゃんと届いたらしい。口の中で呟く要に透は頷いてみせた。
「そう、ヒューマノイドは機械で出来た道具だ。通常、ヒューマノイド化する場合には最初にその事実をきっちり認識させるんだけどな。優一郎の奴、はしょりやがったな」
わざと怒りのこもった声で透は言った。すると要が驚いた顔をする。
「透様って苦労性っていうか」ちなり
「まあ……順様のご子息ですから……」巴
二人は透の女なので、こんな会話が繰り広げられそうです。