(人外ですけども)
泡だらけの髪をシャワーで流してから、水輝は身震いした。
「さむー!」
湯船には湯を満たしているし、被っているのは湯のシャワーのはずなのに、まだ身体が温もってくれない。隣で身体を洗う佑も時折、身体を震わせている。
「とっとと洗って風呂に入ることにしよう!」
佑にそう言ってから水輝は慌ただしく身体を洗い始めた。
「うう。身体に埃がつもってる」
泣きそうな顔で身体を洗う佑を横目に見て水輝は呆れた顔で笑った。
「たかが一日や二日くらいでか?」
随分と長い間、三人で代わる代わるに交わっていたような気はするが、実際にはそれほど時間は経っていない。水輝は手早くボディソープを泡立てて身体を擦り始めた。
あれ? そう呟いて水輝は手を止めた。やけに泡立ちが悪い。おかしいな、と呟いてから水輝は指を腕に滑らせてみた。
「うお」
確かに佑の言った通り、身体には埃が積もっていた。どうやら汚れが積もっているために泡立ちも悪いようだ。初めてのことに水輝は目を丸くしていつもより丹念に身体を洗った。
「よし。水輝さん、お先に」
一足早く身体を洗い流して佑が嬉しそうに湯船に寄る。早いなあ、と感心してから水輝は身震いした。佑はさっさと湯に浸かって顔を緩めている。水輝は慌ただしく身体をスポンジで擦った。全身を綺麗に洗ってからシャワーを被る。相変わらずシャワーの水流は水輝を避けようとする。こら、と水流に向かって渋い顔をすると、水輝を避けてうねっていた水流は大人しくなった。
湯で泡を流して急いで湯船に入る。寒い、と文句を言いながら水輝はがたがたと震えて肩まで湯に浸かった。すっかり温もっているのか、佑はのんびりと手足を伸ばしている。
「生き返ったような気分だわ……」
ほんのりと頬を染めて佑が呟く。水輝は顎まで湯に浸かりながら自分の腕を抱きしめた。
「佑の場合は比喩でなく、本当にそうだろ。って、さむー!」
もしかして佑より自分の方が冷えていたのだろうか。そんなことを考えながら水輝は深く息を吸って鼻まで湯に浸かった。ぶくぶくと少しずつ息を吐き出す水輝を見て佑が笑う。
「行儀が悪いわよ」
吉良瀬の屋敷にある風呂はどこも広い。広々とした湯船の中を進んで佑が水輝の額を指でつつく。水輝は眉を寄せて上目遣いに佑を見上げた。だって寒いし、と湯の中で言ってみる。水輝の吐き出した息があぶくになって水面で弾ける。
「これで四度目……」
難しい顔をして呟いてから佑がむう、と唸る。水輝は何度か瞬きをしてから少しだけ力を解放した。そのまま湯船に沈んだ水輝を見て佑が驚きの声を上げる。水輝は湯の中に横たわって大きく伸びをした。久しぶりに水の中で息をする気がする。水輝は揺らぐ水面を見上げて苦笑した。天井に設えられた白い明かりが水を通してみるとゆらゆらと揺れて見える。
『何だ。死にたいのか?』
水を通すと声も独特の響きがある。水輝は佑を見やって湯の中からそう話しかけた。
「ううん。我ながらしぶといなあと思って。もうだめだって思ってしまうんだけど……」
『おれが居てくれって言うだけじゃ不満か?』
そう言いながら水輝は佑の腿を撫でた。やはり佑の方が自分よりは温まっている。水輝は佑を驚かせないよう、指先だけで腿を撫でた。冷たい水輝の指に撫でられた佑が時折、ぴくりと首を竦める。
「今はもう、大丈夫。こうして水輝さんが傍にいてくれるなら、わたし、なんだってできるような気がする」
微笑みを浮かべて言う佑を見上げて水輝は苦笑した。少しずつではあるが、身体に熱が染み込んでいる。よっ、と声をかけて身を起こしてから水輝は頭を振った。濡れた髪の先から水滴が散る。
「可愛いことを言った責任は取れよ」
苦笑して言いながら水輝は佑の手を取って自分の股間に導いた。勃起したペニスを触った佑が頬を染める。佑は頷いて水輝に身をすり寄せた。慣れない手つきでペニスを愛撫し始める。水輝は湯船に寄りかかって佑を片腕に抱き寄せた。
「やたらと女が抱きたいと思うのは何でだろうな」
独り言のように呟いて水輝は佑の唇を奪った。ペニスを撫でていた佑の指がぴくりと震えて動きが止まる。
「それは……」
びくりと震えて佑が言葉を濁す。訝りを覚えて水輝は眉を寄せた。唇を佑の耳許に寄せて水輝は教えろ、と囁いた。ついでに佑の耳朶を優しく歯に挟む。
「水輝さんは、新たに産まれ変わったという、扱いになってるからだと思うの」
怯えるような表情で佑が告げる。水輝は顔を上げてまじまじと佑を見た。
「ふうん。なるほど、だからさかってるのか」
呟くように言ってから水輝は苦笑した。それなら納得出来る。この冷えた身体もやけに欲情しているのも、恐らくそのためだろう。水輝はしばし考えを巡らせてから伏せていた目を上げた。佑の頭を抱き寄せて唇を合わせる。驚いた顔になった佑の唇をこじ開け、水輝は舌を伸ばした。怯えたように引っ込んでいた佑の舌を強引に絡め取る。
「んっ……」
うっとりとした面持ちで佑が微かな声を漏らす。水輝は深く口づけたまま、ペニスを軽く握る佑の手に片手を重ねた。指を絡めてペニスを触らせながら佑の口の中を舐め回す。唾液の音を立てて貪るように口づけてから、水輝はそっと顔を離した。そのまま片手に佑の頭を支えて耳許に舌を這わせる。
「あふっ! 水輝さんっ、わたし……ああんっ」
「ほら、手が留守になってるぞ。気持ちよくしてくれ」
熱のこもった声で囁いてから、水輝は佑の手から手を離した。その手で佑の胸を弄る。首筋に強く吸い付いて白い肌に赤い印を刻んでいく。佑はそのたびに切なそうな声を上げた。
「あっ! だめっ! 気持ち……良すぎてっ! ああぁんっ!」
甘えた声で言って佑がもじもじと腿を擦り合わせる。水輝は佑の胸元に顔を伏せて小さく笑った。
「駄目ってことはないだろ。ほら、もっとしっかり握れ。それじゃくすぐったい」
そう言ってから水輝は佑の胸元に吸い付いた。両手で左右の乳房を優しく握り、指先で乳首を探る。すっかり隆起した乳首を弄り回された佑がしきりに身をくねらせる。
「だって! ぜんぜんちがっ! ああぁんっ! 水輝さんっ! いいっ!」
「何が違うって?」
執拗に佑の乳首を弄りながら水輝は薄く笑った。佑の指は力なくペニスに絡んでいるだけで、動いていない。だがそのぎこちなさにすらやけに昂奮する。水輝は湯に潜って佑の片方の乳首に吸い付いた。そのまま体勢をずらして佑を湯船の端に寄りかからせる。
「感じ……方がっ! どうしてっ! 身体の、奥が、熱いのっ!」
『おれも凄く昂奮してる。触るたびに佑をもっと触りたいって気分になるし』
湯の中で答えてから水輝はもう片方の乳首を口に含んだ。口の中で隆起した乳首を舌で転がしながら、もう片方の乳首を指でつまんで擦る。佑の手はいつの間にかペニスから離れ、水輝の頭を抱えていた。水輝は空いた手を佑の背中に這わせ、撫で始めた。滑らかな肌の触感を十分に味わいながら手をゆっくりとずらす。
「あっ! んふっ! だめっ! もう、いっちゃうっ!」
切羽詰まった声を上げて佑が仰け反る。水輝はその隙に佑の背を撫でていた手をずらして腹を撫でた。全身を緊張させている佑の下腹部を指で伝って淡い翳りをなぞり、足の間にたどり着く。堪らないものを覚えて水輝は胸から佑の腹に舌を這わせた。湯に浸かったままの佑の肌を唇で吸いながらじりじりと頭を下げる。
このシリーズはエロシーンが多い話なんですよねー。
そもそもエロというフォルダに分けていたような……w