※この作品はR-18です。

まやかしの終わり 二部 光の公女   作:伊駒辰葉

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エピタイ通りです!w
エロシーンはありません。


常磐の趣味って一体。

「こんなに力に溢れていたか? ここは?」

「はあ……。そうなのですか?」

 

 あくまでも執事の顔で和也が相づちを打ってみせる。何も判りませんという顔をしている和也にちらりと目をやってから透は口を噤んだ。

 

 しばらく歩くと玄関が見えてくる。大きな屋敷の玄関は広く作られている。まるで門かと思えるほどに大きな扉を和也が静かに開ける。透は要の肩を抱いたまま、ドアをくぐった。こちらでございます、と和也が手を差し伸べて歩き始める。透は大人しく和也に従って屋敷の中を歩いた。吹き抜けの玄関から伸びた大きな階段をゆっくりと上がる。

 

「要、警戒は怠るな」

 

 透は小声で要に耳打ちをした。要が無言で頷く。先を行く和也が階段を上り切り、廊下を行き始める。二人はその後をついて歩いた。

 

「こちらでございます」

 

 そう言って和也がドアの前で足を止める。その後、和也はドアをノックした。

 

「水輝様。先ほど申したお客様をお連れしました」

「おー。入ってもらえ」

 

 聞き覚えのある声がドア越しに聞こえてくる。透は緊張に身をかたくしてじっとドアを睨むように見た。和也が静かにドアを開き、部屋の中に向かって恭しく礼をする。透は和也に促されて部屋の中を見た。

 

「ああ。待たせて悪かったな」

 

 そう言って水輝が部屋の中から手招きをする。水輝は部屋の奥のベッドに腰掛けていた。ベッドに横たわっているのは佑だ。そしてソファにはラスティの姿もある。透は部屋の中をざっと見て取ってから慎重に足を運んだ。

 

「もう身体はいいのか?」

 

 それではお茶をお持ちいたします。行儀よく言って和也がドアを閉じて去る。それを振り返って見送ってから透は水輝に声をかけた。水輝が苦笑してからベッドに目をやる。

 

「何とか生き返ったってところかな。悪かったな。色々と迷惑をかけて」

 

 そう言って水輝が立ち上がる。まあ座れ、と促されて透はソファに腰掛けた。隣に要を座らせる。そこで向かいに座っていたラスティが仏頂面でごめん、と言った。どうやら透に幻を見せた件を詫びているらしい。

 

「あれは、俺が未熟だっただけだろう? それに殺そうとまではしてなかったからな」

「まあ、跨られるか、空間転移の時にやられるかの二択だったらしいがな」

 

 ペットボトルからお茶を飲みながら水輝がソファに歩み寄る。言われるままに思い出して透はああ、と頷いた。そういえばあの時、ラスティは自分を抱けと迫っていたような気がする。そのことを思い出しながら透はまじまじとラスティを見た。ラスティはよほど居心地が悪いのか、渋い顔でそっぽを向いている。

 

「それで今日の用件なんだが。常磐とかいうオッサンから、これを預かってきた」

 

 透は白衣のポケットから出した巻物をラスティに差し出した。驚いた顔をしたラスティが慌てたように巻物を受け取ってから眉を寄せて首を傾げる。どうやら宛名の部分を解読出来ないらしい。きっと二藍が落書きしたからだ。だがラスティは中を見れば判ると判断したのか、すぐに巻物を解き始めた。

 

「女性ですのね……。わたくし、てっきり透様はやっぱりそちらの気がおありなのかと」

 

 小声で要が透に耳打ちする。それを聞いた透はしかめ面になった。要は何故か嬉しそうな顔をしている。

 

「見りゃわかるだろ?」

「何がですの?」

 

 不思議そうな顔をして要が問う。要はまじまじとラスティを見てから頬に手をあてがって小声で笑った。ラスティは見た目には整った顔立ちをした青年にしか見えない。豊かな胸は今はさらしで押さえられているし、体つきも細く、多少丸みに欠ける。透も最初に迫られた時にはラスティは男だと思ったのだ。

 

 巻物を読んでいたラスティが次第に顔を赤くしてぶるぶると手を震わせ始める。巻物に顔を寄せるラスティの背後に密かに近づいた水輝が面白そうに巻物をのぞき込む。だがその気配にすらラスティは気付いていないらしい。

 

「真実の愛が書かれた崇高な芸術だとか言ってたぞ」

「今日は新しい荒縄を買い求めた。手頃なものを縛ってみたが、今ひとつ納得出来ない。やはり暴れるラスティを押さえつけ、ベッドに縛り付けるのが一番だ。……なんだ、これ」

 

 それまで笑いを堪えていたらしい水輝が、我慢出来なくなったのか音読した後に吹き出す。するとラスティは真っ赤になって慌てたように振り返った。

 

「見るな! ばか!」

「なになに? 折角、似合うと思ってぼんてーじの服を異界から買ってきたのに、試す相手が居ない。って、何してんだ、あいつは」

 

 面白がって水輝が身を乗り出し、更に音読する。

 

「訳わからん文字だったがそんなことが書いてあったのか」

 

 透は笑い混じりに言ってラスティを見た。耳まで真っ赤になったラスティが水輝から巻物を遠ざけようとする。だが水輝は意地悪く笑ってラスティの腕を押さえてしまう。

 

「読むなあ!」

「……ええと? ……特にラスティが焦れったさに耐えかねてねだるあの顔は堪らなくそそる。ベッドに縛り付けて足を開き、あられのない格好で性感を求める様は何ともいえない……試すぞ、こら」

 

 腹を押さえて笑いながら水輝がずらずらと音読する。うわあ、と悲鳴を上げてラスティはばたばたと地団駄を踏んだ。




常磐は愉快な性質というか……。ドSですね。
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