今のところはノーマル……あ! 近親警報です!
いつからそうなったのかよく覚えていない。気がつくと家から両親の姿はなくなっていた。最初は当たり前に勉強をしに行っていた学校でも、いつの間にかまともに授業を受けることもなくなった。クラスメイトと一緒に席に着いていても、人の目が周囲にあるスリル感を利用して自慰に耽ることの方が多くなった。
陰部はいつも愛液が溢れていて、いつどこで急に抱かれても痛みを感じることはなかった。酷い蔑みの言葉は適度な味付けになり、それで一層快感は深くなる。最近のお気に入りは肛門を陵辱されながら抱かれることだ。特に精液を注がれたすぐ後で後ろに栓をされるとたまらない快感があるのだ。
玩具のように扱われていることに渚は不快感を覚えることなどなかった。それどころかもっと嬲って欲しいとさえ思うようになった。水輝はそんな渚の心の内を知り尽くしているかのように、侮蔑の言葉を吐きながらいつも渚を乱暴に抱く。時にはだらしなく快楽を求める様を見せ物にされることすらある。それでも渚は反抗することなく、されるがままに水輝に抱かれていた。
身体の中に水輝が居ることがとても幸せに感じられた。いつまでもこのまま、水輝に抱かれていたいといつも思う。だが実際には触れ合っている時間の方が離れている時間より短い。水輝は抱く時以外は何故か不思議と渚に触ろうとしない。いつも水輝が一緒にいるのは妹の莢花の方で、そのことを渚は少し寂しく感じていた。
莢花は渚が何をしているのかを知っているのか、いつも冷めた目で渚を見る。その視線を感じると渚は言いようのない快感を覚えた。冷ややかな視線を受ける度に莢花に本当のことを知られたくないような知られたいような、そんな不思議な感覚に晒されるのだ。
ぼんやりと莢花のことを思い出していた渚は快感が途切れたことに気付き、ゆらりと振り返った。誰もいない生物室の壁に手をついて背後から犯されていたために、渚のスカートは腰までまくれ上がっている。今日は機嫌がいいのか、背後に立つ水輝は鼻歌を歌いながら渚の股間に触れた。
「今日は何人だ?」
嘲笑を浮かべて水輝が渚の陰唇を指で左右に開く。恥部を間近に覗き込まれる快感と、敏感な部分を無遠慮に開かれる感覚に渚はぶるりと身震いした。
「さ、三人」
消え入りそうな小さな声で渚は申告した。へえ、と笑って水輝が唐突に渚の膣に指を突っ込む。途切れていた快感を呼び起こされ、渚は欲望のままに腰をくねらせた。鼻にかかる甘い声を漏らした渚を嘲笑い、水輝が軽く曲げた指を膣内に出し入れする。慣れた手つきで弄られると鎮まりかけていた熱が蘇る。渚は壁にすがりつき、笑い始めた膝に何とか力を入れようとした。だがそれを見澄ましたタイミングで二本目の指を膣に突っ込まれ、渚は掠れた声を漏らして床に膝をついた。
「ほら、だらしないな。ちゃんと立てよ」
意地の悪いことを言いながら水輝が指を根元まで膣内に突き入れる。膣に入れた指と手のひらで股間を押し上げられ、渚は弱々しく首を振った。肛門に挿し込まれた専用のプラグを同時に押され、自然と膣に力がこもる。
近頃の渚は水輝の言いつけ通り、苛めて貰う道具は自分で買いに行っている。肛門に挿された柔らかな素材で出来たプラグも渚が自分で買い求めたものだ。大人の玩具と呼ばれるグッズを売る専門店に一人で行くと、店員を始め、客たちは好奇の目で渚を見る。中には積極的に誘う者もあり、渚はその度に相手をしてきた。そして言いつけ通りに用品を買って戻った渚を水輝が抱くのだ。
「ああ、何だ。これがいいのか」
渚の膣壁が締まったことを指で感じ取ったのだろう。水輝が笑いながらそう呟き、プラグをぐいぐいと押し込む。渚は学校内ということも忘れ、甘えた声を上げて尻を振った。
いつもの通りに何度も抱かれ、後始末を渚が一人で済ませたところで水輝がふと話しかけてきた。
「そろそろいいと思わないか」
急にそんなことを言われて渚は不思議に思って顔を上げた。床を拭いたぞうきんをばけつにかけて立ち上がる。何のこと、と訊ねると水輝は呆れた顔をした。
「聞いてなかったのか。莢花だよ、莢花」
実験台に腰掛け、煙草をくゆらせていた水輝が投げやりに言う。莢花の名前を聞いた渚の心臓は驚きに跳ね上がった。水輝は灰皿代わりの空き缶に吸い殻を押し込み、新しい煙草を胸ポケットから抜いた。唇に挟んだところで何かを思い出したのか、喉の奥で笑い出す。渚はぼんやりとそんな水輝を見つめた。
「どういう意味?」
震える声で問い掛けた渚を嫌そうな顔で睨んでから水輝はため息を吐いた。どうやら水輝はその前にも話をしていたらしいのだが、掃除をしながら考え事をしていた渚の耳には届かなかったようだ。そのことに気付き、慌てて詫びた渚を睨んで水輝はおもむろに煙草に火を点けた。
「だから莢花を躾けるんだよ」
やけにあっさりと言われ、渚は仰天して目をむいた。水輝は大したことは言ったつもりがないのか、いつもと変わらない様子で煙草を吸っている。渚はぎくしゃくした動きで窓に寄り、そっとカーテンを避けて窓を一つだけ開けた。
空調に暖められた生物室の空気が窓から抜け、かわりに冷たい空気が入ってくる。渚は少しの間、窓辺で熱を帯びた身体を冷ましてから水輝のところに戻った。
「馬鹿なことを言わないで。あなた、莢花が好きなんでしょう?」
水輝はいつも莢花の傍に居る。渚に対するのとは違い、水輝は莢花をとても大切に扱っているのだ。それはきっと好きだからなのだろう。そう思っていた渚は少し強い口調で告げた。
唇から煙草を剥がした水輝が小さな声を漏らして顔をしかめる。痛いな、と呟いた水輝は唇を指で拭い、憮然とした態度で言った。
「馬鹿?」
そう訊ねられて渚はしまったと口許を押さえた。水輝が鋭い目で渚を睨み、深々とため息を吐く。煙草のフィルターで傷ついてしまったのだろう。水輝の唇には血が滲んでいた。
「誰に言ってるんだ? まさかと思うがおれにか?」
「ご、ごめんなさい」
水輝は嫌そうな顔で渚をしばらく睨んでから唇を舐めた。血の味が気に入らなかったのか、そこでまた顔をしかめる。だがいつものように罵声が飛んでこない。構えて身を竦めていた渚は恐る恐る水輝の様子をうかがった。
ある意味では渚の夢というか。
現実では今のところは意識は取り戻していません。