ギルティサークルでなら、ギルティなNTRしても問題ない 作:黒海苔編集規制緩和大臣
クズ対クズの熱い戦い!
事件は、ヤってるフリの練習を終えた後の夜の出来事から始まった。
その日は、テレフォンNTRと楓のアナル開発ができて大満足の一日だった。
けれど、ラブホを出て、後はイキすぎてフラフラになった楓を家まで送るだけ……と思っていた矢先。
「荷物……?」
事件の始まりを告げるように、楓の部屋の前に梱包された箱と置き手紙が置かれていた。
そして、手紙には……
——『田中千鶴』は生きている。
そう記されていた。
「何これ……!! 何なの!?」
探している姉の生存を匂わせる手紙を読んで動揺する楓。
とりあえず俺は、楓を落ち着かせて家に入れ、手紙と箱について詳しく調べることにした。
翌日。
楓の姉、田中千鶴の手がかりである手紙と箱から出てきたとある物について話し合うため、楓に協力するメンバーで集まることになった。
「星見さん……と世都……」
まず一人目、原作主人公の沢屋。
何故か目の下に凄いクマができていた。
「星見さんの持ち物が届いたって本当!?」
二人目、ヤリサーで起きた事件を調べている漫研所属の大学二年生早川沙織。
「沙織っ! 世都にはあまり近づくな!」
三人目、ゴリラ武田……武田!?
「な、なんで武田先輩が!?」
「俺は沙織の付き添いだ。どっかのいけ好かねえチャラ男が、沙織に手を出さないか心配だからな……っ!!」
何故かいる武田が早川の肩を引き寄せ、鋭い視線でこちらを睨みつけてくる。
まさか武田……もう早川をゴン突きして完全純愛堕ちしたのか!? 早い……あまりにも早すぎるっ!!
ちょっと好感度操作しただけで、まさかここまで早川との関係を進めるなんて……
『お、おお……なんと醜い姿か……』
純愛堕ちして変わり果てた武田の姿に、ジジイが深く嘆き始めた。
『武田も……梶原も……皆儂の期待を裏切りおって……っ!!』
と思ったら今度はジジイ激オコモードに突入だ。
最近、何か嫌なことがあったらしい。
ジジイは酷く情緒が不安定だ。
「ち、千鶴が生きてるって……!?」
四人目、川谷。
こいつは俺の洗脳下だから特に語ることはない。
この四人に俺と楓を加えたメンバーで、楓の部屋の前に置かれていた手紙と箱の中身——楓の姉、田中千鶴のイヤリングについて話し合うことに。
そして話し合いでは、手紙とイヤリングの贈り主候補として、二人の人物の名前が話題に出た。
サークルナンバーワンビッチ、秦美和子。
そして、サークルOBの梶原。
『梶原ぁ……よくも儂の中出しNTRへの期待を裏切りおったなぁ!!』
梶原の名前には、何故かジジイが激しく反応していた。
歯軋りが酷く煩かった。
おかしい……俺は楓に手を出す可能性があるから嫌いだが、脳破壊神ジジイ的にはNTR竿役として梶原というキャラの好感度が高いはず。
俺が知らない間に、梶原が何かジジイの好感度を著しく下げるようなことをしたのだろうか?
ちなみに俺が覚えている原作では、梶原について集まったメンバーは誰一人として良く知らなかったはずだ。川谷は少し怪しかったが。
しかし、今回はフライング純愛堕ちした武田がいた。
早川に促されると、武田はあっさりと梶原について詳細に語ってくれた。
こうして、原作より早く梶原の情報は手に入ったが……結局、贈り主を特定することはできなかった。
とりあえず、怪しい秦美和子から話を聞き出すことを目標にして、その日の集まりは解散になった。
解散後。楓が謎のストーカーに襲われた。
が、楓を家まで送るために一緒にいた俺が軽く殺気を送ってやると、ストーカーはあっさりと退散した。
その後、ストーカーから楓を守るため、彼女には暫く俺が住んでいるマンションに移ってもらうことになった。
俺が今一人暮らしをしているマンションは、アイドルを枕営業に呼ぶ上級国民のおっさんが所有してそうな部屋や、親の会社の業績が傾いた社長令嬢を脅して手込めにしようとする社長の所有してそうな部屋があるような所だ。セキュリティも万全だ。
ありがとう、ストーカー!
おかげで事件の間、家に招いた楓をじっくりとさらにエロく開発できそうだぜ!
ちなみに、俺は原作知識で手紙の荷物の贈り主とストーカーの正体は知っている。
手紙と荷物の贈り主は……今俺たちが所属しているヤリサーの幹事、白石亮太。
そして、ストーカーの正体は……白石の元カノの中山栞という女だ。
白石が楓に一目惚れし、彼女と結婚するために変態覚醒して元カノを振ったことで、この一連の事件は発生した。
だが、今は俺の脳内にある原作知識以外に二人が犯人である証拠がない。なので当然、警察も本気で動かない。
……俺が上級国民竿役チートを使って親父か祖父に猫撫で声で頼んで、上から圧をかけてしまえば流石に動くかもしれないが、今回はやめておこう。
俺が楓の心を堕としきるために、白石には派手に暴れた後当て馬になってもらわないと困るからだ。
『警察の介入など許さん! 奴らはNTRの邪魔でしかないっ!!』
……ジジイも何故か警察に動かれるの嫌がってるし。
『武田もダメ……梶原も儂を失望させた……白石など論外……もはや頼りはお前だけじゃ……儂にNTRを……』
ジジイは今回の俺のNTRの完遂にかなり期待しているようだ。
安心しろよジジイ。楓のNTRだけは俺も本気でヤるから。
他のNTR? 知らん。今は何の興味もない。
♡♡♡♡♡
「ありがとうございます、白石先輩」
「アハハ……そんな…大したことしてないけどね」
俺は今、楓に手紙と千鶴さんのイヤリングを送りつけた男……サークル幹事の白石の車の後部座席に乗っている。左腕には簡易の包帯。まだじんわりとしたナイフで刺された傷の痛みが残っている。
「あの、白石先輩……病院、まだ着かないんですか?」
ちなみに俺の付き添いで楓も助手席に乗っている。
「ああ、昔から世話になってるところなんだけどさ……ちょっと遠くにあるんだよね」
では何故、片腕を怪我して事件の犯人の一人である白石の車に楓と一緒に乗ることになったのか語らねばなるまい。
話は少し前に遡る。
まず、楓がストーカーに襲われかけた日。
ストーカーの件を警察に相談しに行くも、案の定まともに取り合ってもらえず、警察署を後にしようとしたところ……俺と楓は荒木戸という刑事に出会い、とある事件の捜査協力を頼まれた。
事件は去年の八月、遺体となって発見された女子大生について。
その女子大生が今俺たちの所属しているヤリサーに入っていたこと。彼女のスマホの連絡先に武田と梶原、そして白石の連絡先が入っていたことを荒木戸は語った。
武田は、どうせ惚れてる早川の前でならペラペラしゃべるだろう。
だから、情報を引き出す相手として白石が選ばれた。
ちょうど、サークルでクラブを貸し切るイベントがもうすぐ行われる予定だっから、クラブで楓が接触し、白石から過去の話を聞き出すことになった。
そしてイベント当日。
楓はドレスを着て、白石に接近。俺は陰からその様子を見守っていた。
ちなみに沢屋は鼻の下を伸ばして秦美和子と一緒にVIPルームへと行ってしまった。
そして、白石が楓に告白したタイミングで——ストーカーが再度襲来。
俺は反射的に飛び出して、楓をかばった。
結果、俺は左手を負傷。
ストーカーは逃走し、VIPルームから慌てて飛び出て来た沢屋が後を追っていったのは確認できた。
その後、事件の渦中にいた白石が、「たまたま酒を飲んでいなかったから」という理由で、俺を病院まで送る役目を買って出た。
そして、白石の強い希望で、楓が俺の付き添いとして同乗することになった。
これが、俺が今白石の車に乗っている理由だ。
「病院までも少しかかるから……一旦パーキングに寄ろうか」
白石が何気ない口調でそう言うと、途中にあったパーキングエリアに向けて車を向かわせた。
「俺、ここで飲み物でも買って待ってるから……世都くんと、星見ちゃんも行きたかったらトイレ行っておいで」
パーキングに着くと、白石がにこやかに笑いながら気遣うように言った。
ただ、目には明らかに普通じゃない欲望の色が宿っている。
間違いなく、野郎は俺をこのパーキングで排除して、楓を誘拐する気満々だ。誘拐先は、ずっと目をつけていた教会。そこで、全裸で二人だけの結婚式を挙げてから、誓いのセックスという名のレイプをする予定なのだろう。
……やるんだな、白石……今、ここでっ!
「あ、じゃあ俺トイレ行って来ます」
「わ、私も……」
俺は車を降りてトイレに向かった。
白石を当て馬にして、楓の心を完全に堕とすために。
おそらく、俺が男子トイレに入った辺りで白石が何か仕掛けてくるはずだ。
そこでわざと一旦やられて気絶したフリでもしておく予定だ。
そうすれば、俺を排除した白石は意気揚々と楓を誘拐しに行くはずだ。
あとは、ピンチになった楓を助け出すだけだ。
原作では、誘拐された楓を沢屋が救出。その後彼女を守るためにドリル武装した白石に挑んだことが、二人が結ばれる大きなきっかけになった。
つまり、俺が沢屋の代わりにピンチになった楓を守り、目の前で白石の野郎を粉砕してやれば……
沢屋に向かうはずだった好感度は、全て俺のものになるというわけだ。
よって、勝負は今……ここで決めるっ!!
白石……お前には原作のように無理矢理楓にクンニする時間も与えない。変態全裸結婚式を挙げるために教会にも行かせはしない。
俺が楓を完全NTRするための当て馬として……すぐにボロ雑巾のように使い潰してやるよ。
といった感じの白石当て馬NTR作戦を俺が考えていると、
「ねえ、リンくん……」
車から降りた楓から声をかけられた。
「白石先輩のことだけど……」
彼女が小声で言った。
表情も明らかに強張っている。口元がわずかに震え、目が落ち着かず周囲を伺っている。
どうやら楓も、白石の様子に楓を違和感を抱いていたようだ。
「ああ、なんか妙だ」
だがここは高速道路のど真ん中のパーキングエリア。
白石から逃げようにも、徒歩での脱出は不可能だ。
「……念のため、パーキングにいる他の人に声をかけておこう。俺もトイレ行きながら、それとなく誰かに話してみる」
「そうね……私も、お願いしてみるわ」
俺の案に楓は頷いたものの、その目はまだ不安げだった。
……仕方ない。気休めでもいいから、何か言ってやらないとな。
「大丈夫だ、楓。もし何かあっても、俺が守ってやる。どんなことがあっても必ずな」
そう言うと、楓はほんの少しだけ表情を緩めて、俺の腕にそっと体を寄せてきた。
「ありがとう……リンくん」
楓の温もりを感じる。そして、彼女の身体は……少しだけ震えている。
こんな華奢で弱っている彼女を、わざと白石に拘束させて危機的状況に陥れることに罪悪感が湧いてくる。
でも、今回は楓の心を堕とせるまたとないチャンスだ。心を鬼にするしかない。
俺は心を痛めながら、楓を安心させるため、彼女の頭を優しく撫でてやった。
暫くそうやって彼女を落ち着かせてから、俺はトイレへと向かった。
万が一白石をボコリすぎた時に備えて、スマホのボイスレコーダーアプリも起動しておく。正当防衛の証拠になるはずだ。
「やあ、待っていたよ……世都くん」
トイレには、俺の予想通り——飲み物を買いに行ったはずの白石がいた。
手には……スタンガンが握られている。
「君さあ……僕の星見ちゃんと……一体どんな関係なんだい!?」
俺が一歩身を引く前に、白石がぐっと踏み込んできた。
普通に対処可能だが、ここはあえて直撃を受けておく。
「これから……星見ちゃんは、この僕と結婚するんだっ! だから……近づくな間男っ!!」
バチン!という火花の音と共に、一瞬身体が硬直する。
白石のスタンガンが俺の腹に直撃した。
ちなみにスタンガンは俺に効かない。ジジイに魔改造された時にしっかり耐性が付与されている。
女の子が防犯用に使ってくるかもしれないスタンガンに負けるようなレベルの竿役に、ジジイが満足するはずがないのだ。
だからスタンガンの電気ショックをくらっても特に何ともないが、ここはあえて膝から崩れ落ちる演技をして、そのままトイレの床に倒れ込む。
「はあ……はあ……やった……これで、僕たちの邪魔者はいなくなった……っ!! 待っててねっ! 星見ちゃんっ!!」
白石は気色悪い笑い声を上げながら、そのまま楓のいる女子トイレの方へ走り去った。
俺は、すぐさまむくりと起き上がり、気配を遮断して後を追う。
「いやあっ!! 助けっ……むぐっ……!!」
女子トイレの中から、楓の叫び声と、それを塞ぐような荒い息遣いが聞こえてきた。
「んぐっ……!! んむっ……っ!!」
「ふう……よかった〜僕が趣味のDIY道具を持ってきてなかったら……台無しになるところだったよ」
中の様子を伺うと、白石が楓の背後から口を塞いでいる。
野郎はそのまま鞄の中から器用に結束バンドとガムテープを取り出すと、慣れた手つきで楓の手首と足首を固定し、口にはテープを貼りつけていく。その動きに、まるで躊躇いがなかった。
「ふふ……可愛いなぁ……やっぱり、星見ちゃんは僕の最高のお嫁さんになれるよ……」
それから、白石は恍惚とした表情で語り始めた。
自分が手紙と楓の姉田中千鶴から盗んだイヤリングを贈ったこと。
千鶴に一目惚れしていたこと。
愛した人の妹をまた愛してしまうのは運命だと。
楓を襲おうとしたストーカーは、自分に振られて逆恨みしている元カノだと。
「ああ……!! 星見ちゃん……!!」
そして、一通り語り終えた白石は、
「もう我慢できないよ……!!」
性欲を暴走させ、服を脱ぎ捨て全裸になると、無理矢理楓の股をこじ開けた。
「間男も始末した……もう誰にも邪魔されない……なら、少しぐらい味わってもいいよねっ!!」
楓の股に顔を埋めようとする白石。
「君の芳しい……花園をっ!!」
……よし、ご苦労だったな白石。
これでもうお前は用済みだ。
俺は白石を始末するため、女子トイレへと足を踏み入れる。
そして、白石を死なない程度にぶち殺すため、無言で拳を振りかぶった。
勘違いするなよ白石。
楓はお前の嫁なんかじゃない。
俺の女だ。
俺が放った拳の一撃は、たぶん音を置き去りにした。
♡♡♡♡♡
その男が、本当に白石先輩なのか。
目の前にいるこの男が、本当にあの一見穏やかで優しそうだった人なのか——わからなかった。
私は突然、白石先輩に背後から口をテープで塞がれ、手首と足首を結束バンドで拘束されてしまった。
その時の白石先輩の目は血走り、口元は醜く吊り上がっていた。
今も口から涎を垂らし、獣のような呼吸を吐きながら、私の身体をじっと見下ろしている。
そこにいたのは……性欲に支配された、ただの“獣”だった。
「んっ……んぐっ……!!」
必死に身体を捩る。けれど、拘束された腕はびくともしない。
その状態で成人男性の力で押さえ込まれてしまえば、抵抗なんてできるはずがない。
そして——ついに股を、無理やりこじ開けられた。
私はもう……限界だった。
込み上げてきたのは、声じゃなかった。
涙だった。
じわりと、熱い雫がこぼれ落ちる。
こんなときでも涙って出るんだ、と他人事のように思いながら、私は震えていた。
まさにその時だった。
彼が、助けに来てくれたのは。
「悪い。遅くなった」
声に反応して振り返った白石先輩の顔に、重たい拳が叩き込まれた。
まるで、時間が一瞬だけ止まったようだった。
殴られた瞬間の表情も、そのあとの衝撃も、すべてがスローモーションのように脳裏に焼きついた。
白石先輩は吹っ飛び、トイレの奥の壁に背中から叩きつけられた。
鞄も一緒に宙を舞い、工具のようなものがガチャガチャと音を立てて床に散らばる。
「もう大丈夫だ楓……俺が、来たっ!!」
助けに来てくれたリンくんがそう言った瞬間、瞳から涙が溢れてきた。
白石先輩を殴り飛ばしたのは、彼の拳だった。
そのまま彼が、私の拘束を解いてくれた。
「リン……くん……」
涙を手で拭う。
それでも涙がこぼれ落ちてくる。
さっきまで流していた恐怖の涙ではない、救われた喜びの涙が。
安堵と感謝と、言葉にならない温かさが胸いっぱいに広がっていく。
涙腺を制御できなくなって、私は戸惑いながら何度も目をこすった。
「な、何でお前……確かにスタンガンで……」
壁に叩きつけられた白石先輩が血まみれの顔で呻く。
明らかに重症だ。
なのに、先輩はまた立ち上がろうとしている。
その恐ろしい執念と性欲に、私は思わず息を呑んだ。
「電気ショック、効かない体質だから、俺」
「ふ、ふざけるなぁあっ!!」
白石先輩が叫びながら、散らばった工具の中から電動ドリルをつかみ取った。
ウィィィン……と、機械音が唸り始める。
先輩の手のひらの中で、人を殺せる凶器が震えていた。
「夫婦の時間を邪魔しやがって……ぶっ殺してやるぅ!!」
白石先輩が発狂しながらリンくんに襲いかかる。
その目には明らかな殺意が宿っていた。
「死ね……この、間男があっ!!」
先輩は本気でリンくんのことを殺そうとしていた。
手に握られているドリルの先端が、リンくんの命を刈り取るために激しく回っている。
「大丈夫だ楓」
でも、リンくんは、殺意に満ちた白石先輩を前にして、まったく動じていなかった。
「覚えておけ、白石……」
ドリルを持って迫りくる狂人を前に、リンくんは拳をゆっくりと握る。そして……
「筋肉は、全てを凌駕する」
拳の一撃で白石先輩を粉砕した。
まるで見えなかった。
いつの間にかリンくんの拳が白石先輩の腹に突き刺さっていた。その衝撃でドリルも白石先輩の手からすっぽ抜ける。
「ッぐ……あ、ぁっ……!!」
拳を叩き込まれた先輩は嘔吐と同時に吐血し、きりもみ回転しながら宙を舞い、再び壁に叩きつけられた。
そして、今度こそ白目を向いて完全に意識を失った。
「ごめんな……怖い思いさせちまって……」
リンくんが私の方へと振り向いた。
私は、泣きながら彼に抱きついた。
守ってくれた人の温もりに触れて、さらに涙が止まらなくなってしまう。
「……っ!! リンくんっ! 腕がっ!!」
彼の左腕に巻かれた包帯に、血が滲んでいるのに気づく。
真っ赤で、痛々しい傷——私を庇って受けた傷が、また開いてしまったみたい。
「……私の、せいで……」
「楓を守れたなら安いもんだ……腕の一本ぐらい」
しゃくり上げる私に、彼は、微笑みながら言った。
それから、逞しい腕で優しく抱きしめてくれた。
「俺のことは気にしなくていい。好きなだけ泣いておけ」
「……うん」
結局、涙が枯れ果てるまでずっと……私は彼の腕の中から離れなかった。
それから……
暫くして沙織さんと沢屋くんがバイクで駆けつけてくれた。
念の為に入れていたストーカー対策用の位置共有GPSアプリのおかげで私の居た場所がわかったみたい。
白石先輩の処遇については、迷った末——警察ではなく、元カノの中山栞さんに引き渡すことにした。
今、警察に騒がれると、サークル内にある姉さんの手がかりを探し辛くなりそうだから。何より、姉さんの捜索をまともにしてくれなかった警察は、今も信用できないしあまり頼りにできない。
中山さんは先輩の車に付けていた発信機と盗聴機を利用してここまで追ってきていた。
彼女は私にストーカー行為をしたことを謝り、「責任を持って連れて帰る」と言って、白石先輩を連れ去っていった。
こうして、一連のストーカー事件にようやくケリがついた。
私は、リンくんと一緒にタクシーで家に帰った。
ストーカーに襲われる心配がなくなったから、私は自分の部屋にようやく戻れた。
暫く泊まらせてもらったリンくんのマンションも凄く広くて快適だったけど、やっぱり住み慣れた部屋に戻れるのは嬉しい。
「ありがとう……リンくん」
「約束したからな。俺が守ってやる、どんなことがあっても必ず……てな」
「……うん」
家まで送ってくれたリンくんの顔を見た時……私は改めて確信した。
今日が、ずっと守ってきた大事なものを……そして私の全てを好きな人に捧げる日だと。
「入って、リンくん」
私は自分の部屋に彼を招き入れた。
私を助けてくれた愛しい彼に、せめてものお礼をするために……
次回、星見楓NTR
沢屋に捧げられるはずだった星見の処女が……ついに奪われる!