クールな藍原さんが僕にだけはデレッデレに甘えてくる 作:三越利範
歓声と応援が飛び交う体育館。体育館シューズの靴底が床を擦るキュッキュッという音が甲高く響いている。
今は体育の時間。種目はバスケ。先に男子の試合が行われ、今は女子の試合の最中だ。僕は壁にもたれながら、ついつい藍原さんのことを目で追ってしまっている。
藍原さんは、体育の授業中は長い髪をポニーテールにしていて、それがまためちゃくちゃ似合っている。いつもの制服姿も清楚でとても良いけど、体操服姿の彼女からは健康的な色気がムンムンとにじみ出ていて、いつも以上に魅力的に見える。
「藍原さんっ、パス!」
チームメイトからパスを受け取った藍原さんは、姿勢を低く保ちながらタンタンとボールを弾ませる。彼女を囲むように相手チームが壁を作る。
「――ふっ」
短く息を吐き出すと同時に、彼女はくるりとターンしながら敵チームのマークを振り切ると、きれいなレイアップシュートで一点をもぎ取った。
――ピーッと試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。わっと体育館が沸いた。藍原さんのシュートで試合が決まったのだから当然だろう。
「藍原さん、ナイス!」
「かっこいいよー!」
クラスメイト(主に女子)からの黄色い声援に、彼女はクールに手を挙げて応えた。タオルで汗を拭いながら、ふうと一息。
……やっぱりすごいな、藍原さん。勉強だけじゃなくて運動もできるなんて、本当に完璧じゃないか。
でも、僕は一昨日の夜、そんな藍原さんのオナニーを見たんだよな……。
――そのとき、藍原さんとパチっと視線が合った。けれど、彼女はふいっと目をそらし、チームメイトのもとへと戻っていった。
思わずため息がこぼれてしまう。
僕は、あれから藍原さんに避けられている。LINEも未読状態だし、会って話しかけようにも彼女からは僕に対するあからさまな圧を感じて、どうしても尻込みしてしまう。
早くあのことを謝るべきだとわかっているのだけど、その機会すら与えてもらえないというか。完全に嫌われてしまったんだろうか。
(いや、そりゃ嫌われるだろ……)
僕がやったことは覗きか盗撮か、あるいはその両方か。人として最低のことをしてしまった自覚はある。いっそ罵ってくれたほうが気が楽だ。まさしく針のむしろというやつだった。
休憩時間になる。クラスメイトたちは各々集まっておしゃべりしているが、藍原さんはその輪に加わらず、ひとり体育館から出ていく。
「体が火照ったから風にあたってくるね」
チームメイトにそう伝えているところを偶然耳にした。
チャンスはここしかないと思った。僕は急いで彼女の後を追う。
体育館を出てすぐに、藍原さんの姿を見つけた。
「藍原さんっ!」
思ったより大きな声が出て自分のことなのにびっくりする。藍原さんも驚いたようで、勢いよく振り返り、戸惑いを色を浮かべながらこちらを見ている。
「あ、その……えっと」
僕は言いよどむ。勢いで追いかけてきたけど、なんて謝ればいい?
「ごめんなさい。悪気はなかったんです」?――違うな。
「僕、何も見てないから」?――嘘は良くない。
……だめだ。何も浮かばない。僕、こういう土壇場にほんと弱いんだよな……。
「あの。わたし、そろそろ戻るから」
藍原さんはすげなく言って、立ち尽くす僕の傍を通り過ぎようとする。
僕は反射的に彼女の手を掴んだ。
ぎくりと体を強張らせる彼女に、僕は深々と頭を下げて言った。
「ごめんなさい。嫌いにならないください」
結局口から出てきたのは、そんな情けない言葉だった。すごく格好悪いな、僕。でも、嘘偽りのない本音でもある。僕は藍原さんと他人だった頃に戻りたくはないのだ。遠くから憧れているだけだったあの頃には。
僕は、藍原さんの友達をやめたくない。
――気まずい沈黙が横たわる。それを破ったのは藍原さんだった。
「……許せない」
「――――」
ああ、やっぱり嫌われた。深い闇の底に落ちていくような絶望感。
けれど、藍原さんは「でも」と前置きして、こう言葉を続けた。
「――でも、水瀬くんと話せないほうが辛いの」
おもてを上げると、藍原さんは瞳を潤ませていた。いつもクールな藍原さんが、とても悲しそうな表情をしている。僕がそうさせてしまったんだ。罪悪感で窒息しそうだ。
「ごめん。本当にごめんなさい」
「……水瀬くん」
藍原さんは僕の手をやんわりと振りほどく。次にかけられるのは罵倒か、それとも決別の言葉か。嫌な鼓動を刻む胸をおさえて身構える僕に、彼女は言った。
「ねえ。ひとつお願いを聞いてくれる?」
「お願い……?」
予想もしていなかったワードに頭が真っ白になる。勝手に口が動き出す。
「もちろんっ! 藍原さんのお願いだったら、なんでも聞くよ!」
「そう」
彼女は小さくうなずき、そしてこう言った。
「じゃあ、水瀬くんも見せて」
「見せるって、なにを……?」
「自慰」
彼女は頬を染めながら言った。僕はまた頭が真っ白になった。
「お、オナニーを見せろってこと? なんで……」
「だって、わたしだけ恥ずかしい思いをするなんてフェアじゃないから」
彼女は真っ赤な顔で、つんと唇を尖らせる。
「水瀬くんがおっ、おなにー……見せてくれるなら、許すから」
「――――」
理性は「そんなのだめだろ」って言ってるけど、そもそも僕に選択権などないこともまた事実だった。
僕は顔を真っ赤にして、こくりとうなずいた。
「……わかった」
「そう。じゃあ――」
次の瞬間、藍原さんは僕の手をぎゅっと掴んで、ぐいっと引っ張ってきた。
「これから見せて」
「い、今から?」
「うん」
すごいこと言うな、この子。今、授業中なんだけど。
「こっちにきて」
「わ、わかったから、そんな引っ張らないで……」
藍原さんに手を引かれて、僕は体育館裏にやってきた。
「ここなら誰もこないと思うから」
そう言って、藍原さんは期待に満ちた目で僕を見つめる。
うう、すごく目がキラキラしてる。かえってやりづらい。
「どうしてもここでしなきゃだめなのかな……」
「なんでもするって言ったよね?」
そこを突かれると、もう僕は何も言えないじゃないか……。
観念した僕はハーフパンツに手をかけて、ふうと深呼吸して覚悟を決めてから一気にずり下ろす。ついに僕は、外でパンツ丸出しになってしまった。
「へえ。男の子ってそういうパンツを穿いてるんだね」
「うう……」
僕は激しく赤面した。無意味に視線を泳がせて、本当に誰も見てないか確認する。授業中の体育館裏に来る人なんて誰もいないとわかっているけど、やっぱり落ち着かない。けど、ここでやめたら藍原さんに絶交されてしまうかもしれないし。もう後には引けないよなぁ。
もうどうにでもなれという気持ちでパンツを下ろす。ぼろんとペニスがまろび出る。
途端、涼やかな風が股間を吹き抜けた。なんともいえない開放感に全身がぶるっと震える。
「わ。これがペニス……お、おちんちんなんだ……」
藍原さんは頬を真っ赤に染めて、けれども目はキラキラしている。宝物を見つけた少年の目だ。
「教科書で見たのと違う形。さきっぽは皮を被ってるし」
「そりゃ、まだ大きくなってないからね……」
「どうすれば勃起するの?」
僕は「ええと」と言いよどみながら思考を巡らせる。
藍原さんは興味津々といった感じだし、なんだか無理を通せそうな気がする。
「藍原さんが胸を見せてくれたら、すぐ大きくなるんじゃないかな」
「え……胸?」
「うん……」
言ってから僕は後悔した。さすがに図々し過ぎたよな。お願いを聞いている立場なのにこちらからも要求するなんて図々しすぎるだろ。そう自分を心のなかでなじっていると、藍原さんはなんとこくりとうなずいてみせた。
「それで水瀬くんが喜んでくれるなら……いいよ」
そして彼女は、おもむろに体操シャツをめくり上げた。
「どうかな?」
藍原さんは恥ずかしそうに身をよじりながら、上目遣いに僕を見上げる。
僕は言葉を失っていた。服の上からでも十分自己主張していた彼女の胸は、すごく大きかった。レースのついた水色のブラに包まれた双丘。両手に収まりきらないくらいの圧倒的ボリューム感。視覚の暴力だ。
「あの、下着はつけたままでいさせてね。さすがに恥ずかしいから……」
僕の無遠慮な視線にさらされ、藍原さんの肌は薄ピンクに色づいている。僕は目をひん剥いて彼女の体を凝視した。女性らしい丸みを帯びたカラダ。けど、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。どんなエロ画像よりもそれは鮮烈な興奮を呼び起こす。
――ムクムクムクッ!
「わっ……大きくなった」
藍原さんが目を丸くする。僕のペニスはガチガチに固くなり、ぴーんと上を向いた。さきっぽがお腹にくっつくくらいの完璧な臨戦態勢だ。
「すごい。男の子って、こんなに大きくなるんだね」
「あんまり見ないでほしいな……恥ずかしいから」
「いや。もっと近くで見せて」
彼女はフーフーと荒い鼻息を漏らしながら、こちらににじり寄ってくる。藍原さんの端正な顔と醜悪な肉棒がなんともアンバランスで、インモラルだった。
「びくびくしてる……別の生き物みたい」
「うぅ……」
あの藍原さんにちんこを観察されている。どうしてこうなってしまったのか。緊張と興奮で全身から変な汗が噴き出してくる。
もう、さっさと済ませてしまおう。僕は竿の中腹を握りしめ、ゆっくりと上下に擦った。
「わ、すごい……そんなに激しくして大丈夫なの?」
「うんっ、そのほうが気持ちいいから……!」
「そ、そうなんだ」
藍原さんは真っ赤な顔で瞳を潤ませながら、僕の自慰行為を観察する。僕は藍原さんの豊かなおっぱいをガン見しながらゴシゴシとペニスをしごく。自室でシコるより何倍も気持ちよくて頭がぼーっとしてくる。
「はぁはぁ……これすごい。胸のドキドキが止まらない……!」
藍原さんは興奮気味に言って、体操ズボンの中に手を突っ込んだ。そのままカラダをくねらせながらお股をまさぐり始める。
「あ、藍原さんもオナニーしてるの?」
「んっんっ♡ うん……なんだか我慢できなくて……」
藍原さんはとろんとした目でペニスを凝視しながら、もじもじと太ももを擦り合わせる。衣擦れの音に混じって、くちゅっくちゅっという水音が聞こえてきた。
濡れてるんだ……そう認識した途端、ペニスがどくんと大きく脈打つ。
「ううっ、藍原さん、すごくえっちだよ……!」
「水瀬くん、気持ちよさそう……」
藍原さんはくちゅくちゅとおまんこを擦りながら、ペニスに顔を寄せてくる。
「……汗臭い……。それにおしっこのニオイがする」
「嗅いじゃだめだよっ、汚いから……!」
「うん。でも……」
藍原さんは耳まで真っ赤になって、くんくんとチンポのニオイを嗅ぐ。
そして、はふうと満足げな吐息を漏らした。
「わたし、このニオイ好きかも。もっと嗅がせて……」
「ううっ、藍原さんがちんこ嗅いでるっ」
――ごしごしっ! ごしごしっ!
僕は一心不乱にペニスを擦りまくった。尿道口からは先走り汁がトクトクと溢れている。藍原さんはクンクンとペニスを嗅ぎながら、より激しくおまんこをまさぐる。
「んっんっンッ♡ きもちいい♡ 水瀬くんと一緒に気持ちよくなってる……♡」
「うあっ、藍原さんっ! 藍原さんっ!」
僕たちは完全にオスとメスになっていた。互いに恥ずかしいところを晒して、一緒に性器を刺激する。相互オナニー。こんなプレイ、エロすぎて頭がおかしくなる。
次第にペニスがびくんびくんと大きく脈つようになり、腰がびりびりと痺れだす。金玉がパンパンに張り、根本から熱いマグマがこみ上げてくる――!
「うあっ! ぁああっ!」
――どぴゅっ! びゅるるっ! びゅくっ!
出る、と告げる余裕もなかった。背筋を電気が駆け昇り、頭がスパークした瞬間、ペニスから勢いよく濃いザーメンが飛び出した。むろん、精液は目の前の藍原さんに降り注ぐ。
「んっ♡ あっ♡ 熱い。すごくいっぱい出てる♡」
僕のザーメンシャワーを浴びながら、藍原さんはとろけた表情をする。彼女の怖いくらいに整った顔やさらさらの髪、白い体操シャツも黄色く濁ったザーメンでどろどろに汚れてしまう。
新雪を土足で踏みしめているような背徳感に頭がクラクラした。僕が彼女を汚している。すごくいけないことをしているのに、射精が全然止まらない――!
――どぴゅどぴゅっ! びゅるるっ! びゅぷびゅぷっ!
結局僕は、一滴残らず精液を藍原さんにぶっかけてしまった。
精根尽き果てた僕は、へなへなとその場に崩れ落ちる。
「あぁ♡ くさい。ドロドロしてる♡ これがせーし♡♡」
藍原さんは恍惚とした表情で、顔についた精液を指ですくって伸ばしたりしている。つんと鼻をつく精液のニオイ。目の前にはザーメンまみれの藍原さん。
チャイムが鳴る。授業が終わったらしい。
これはどう後始末しようか。僕は頭を悩ませることになるのだった――。
――その日の放課後。僕はカバンに教科書を詰めて席を立った。そのまま教室を後にしようとすると、背後からいきなり手を握られた。
「水瀬くん」
「藍原さん……っ」
僕たちはしばし見つめ合う。彼女は柔らかな微笑みを浮かべて言った。
「また明日ね、水瀬くん」
「――――」
その一言で、僕たちは仲直りできたんだと実感した。胸がいっぱいになって言葉につまりながらも、僕はどうにか笑い返した。
「またね、藍原さん」
「うん」
そして彼女は僕の耳元でこう囁いた。
「……今日のことは内緒……だからね」
言われるまでもない。あんなこと、誰にも話せるわけがない。
僕と藍原さんだけの秘密が増えた。その事実に、僕は射精したときよりも強い幸福感を覚えたのだった――。