激務&激務。今の貴方は非常に疲れていた。突然の繁忙期に体はボロボロ。疲れからかあんまり結華へと返信を送れていない。返信が疎らになっても結華は怒りはしないが、申し訳なさは募る。
『利生斗さん、明日って大丈夫ですか?』
『大丈夫だけどどうしたの?』
『明日時間があるなら朝から家にお邪魔したいなーって』
週に一度は結華と必ず会う。しかし今週は忙しさから断りの返信が多くなった。貴方としても結華には会いたい気持ちはある。明日ならば休日。結華に会える時間と暇はある。
『やった!じゃあお邪魔しますね!』
結華も会えなくてフラストレーションが溜まっていたのだろう。返信は即時に帰り。明日は何が食べたいやらとトークが続く。
とは言えあまりトークも出来ない。疲れからか眠気が限界だ。風呂に飯を終わらせると一気に何もする気が起きなくなる。
『お疲れ様でした。明日はいっぱいご奉仕します!』
それは家事もあるがあちらの方もか。なんて親父臭い事を考えつつ、貴方は睡魔に負けた。
「すぅ…すぅ…」
『ん?何だろうこれ…穴…?』
貴方が眠り、部屋の中にはバチリバチリと音を鳴らしながら巨大な穴が出来る。本来ならば使おうとしなければ開かない穴。しかし気力が限界の貴方には今、上手くこの穴を制御出来なくなっていた。
一度は繋がった場所。その世界に再びゲートが開く。一度繋がった影響か時刻は同じくらい。
しかし運が悪かった。偶々帰りに一服をとその場に立ち寄った女性は、興味の赴くままにその穴へと近付いてしまう。
『なっ!?』
突如大きくなった穴に吸い込まれ、女性はこの世界から姿を消す。人1人を吸い込んだ穴はそのままぐるぐると渦を巻き、その場には何も残らなかった。
(…ん?)
夜。寝返りをうった貴方の手に柔らかな感触がある。ふにゅんと音がしそうな揉み心地。それに何だか温かい。目を開いて何を触っているのかを確認する。
「!?」
「んぅ…すぅ…」
「……誰?」
長く青い髪。服装は薄めの布で出来た物。胸元のガードは甘く、身動きをすれば直ぐに中身が見えそうだ。
凄いおっぱいの大きさだなと一瞬視線が其処に集中するが、慌てて意識を切り替える。
「…服装からして異世界の人か?」
ふと部屋を見ると近くに開いた穴がある。途端貴方の顔が青褪めた。まさか誤ってこの人を呼んでしまったのは自分か?だとしたら不味いと眠気は吹き飛び思考を回す。
「起きてるかな…」
休日にとんだ爆弾が来た。1人ではと相談出来る相手として結華を頼る。朝は近いがまだ起きてないだろうなと送ったメッセージだったが直ぐに既読がつく。
送ったメッセージの内容を見て、寧ろ此方よりも動揺している結華。自分よりも動揺している人間を見ると落ち着く。貴方もそれに漏れず、少し落ち着いた頭で明日はなるべく早く早く来てくれないかと相談する。
「利生斗さん、異世界人の方は?」
「まだ寝てる。来るまで起きないでくれて助かったよ」
その後昨日の予定よりも早い時間に来た結衣を迎え入れ。
扉の向こうにいる女性の前で話し合う。女性、服装はと情報を共有していく中、結華は取り敢えず顔を見たいと部屋の扉を開けた。
(…服装からして娼婦の人かな?)
電気は点けられない。方針を決める前に起きられては困るからだ。先ずは服装から確認したが、前に自分が着ていた服に似ている。わざと体の各箇所を見せるデザインもそれっぽい。
(うーん…どうしよう。異世界に返す事って出来るのかな…)
ジロジロと眠る女性を見つつ結華は考える。一番手堅いのはこのまま女性を帰還させる事。しかし貴方の力は帰還専門。一方通行故に試しても穴は開くが異世界には行けない。
(……えっ)
「レ、レオラ姉さん…?」
「!もしかして知り合い?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいね!」
顔の方へと結華の視線が向くと、ピタリと結華の動きが止まる。信じられないといった様子で、貴方に声を掛けた後は眠っている女性に近寄る。
「胸のほくろ…それに此処にも!」
「んぅ…?」
結華は容赦無く服を脱がすと体のあちこちを見る。同性だと戸惑いがないのか。流石に今の状態を見る訳にはいかずに、貴方は目を逸らす。
「…な!あ、貴方何して…」
「レオラ姉さん!私、ユイカだよ姉さん!」
「…え?ユイカ?…嘘」
あまりにも戸惑いのない触り方に、流石に眠りの深かったレオラという女性も目を覚ました。衣服が開けて近くに誰かの気配がする。見知らぬ相手だと警戒した声で彼女は威嚇しようとするが、結華の声と顔を見ると驚いた顔で硬まる。
「いや、でもユイはこんな子供じゃないし…」
「レオラ姉さんは初めてが張り型だったんだよね?」
「うっ…!?そ、それを知ってるって事は本当に…?」
その後、2人しか知らない情報が共有されていく。お互いに相手が良く知る人物だと分かると一旦の落ち着きを見せた。
「私の先輩でお世話になった人でレオラって言います」
「へー…違う世界のねぇ…」
かつて結華から他の世界から来た事は聞いたのか。此処が元の世界とは違い、結華の故郷だと聞くと早めの順応を見せた。
名前はレオラ。結華が娼婦として働き始めてから何かと面倒を見てくれた姉貴分。異世界で心から信頼出来た人の1人だと結華は語った。
「…ごめんね。私挨拶もしないでレオラ姉さんの前から…」
「まあ仕方ないでしょ。帰れるチャンスがあったんだから。…まあちょっと寂しかったけど」
「うっ…ごめんなさい…」
あの日貴方と出会った結華はレオラと話せず異世界を後にした。つい先日大口のお客様と他の街へ向かったばかりのレオラ。その日には帰るつもりだった貴方の都合も考えて結華はレオラを待たずに伝言だけを残して異世界から帰還した。
後でそれを聞いたレオラは、男と一緒に居たという証言からいつの間にか男を作って居たのかと驚いたという。
娼婦が客と関係を結び恋仲になるのはまま聞く話し。まさかユイが…と話してくれなかった事には落ち込んだが。真実を聞くと成程と納得した。
「…親御さんには会えたの?」
「うん…。2人とも元気だった…」
「そう。なら良かったじゃない」
「レオラ姉さん…!」
2人の関係は深くは知らないが、節々に互いを想う気持ちは感じる。小さくなった結華をレオラは大きな胸に抱き寄せつつ、その抱擁を受けて結華も嬉しそうだった。
「…で、あの旦那様はユイの良い人なの?」
「い、いや!その…それはまだ違うって言うか…恩人…です」
「へぇ…成程成程」
少し入り辛かったが、いい加減気になったレオラが貴方について結華に尋ねる。結華の初々しい反応から大体は察したレオラ。ニヤニヤと笑みを作りながら照れる結華を見つめる。
「全く、ちんまりとして可愛くなっちゃって…うりうり…」
「ね、姉さん…苦しい…」
その後も暫しの交友を温める時間が続いてから、漸く解放された結華。運良く友好的な接触は出来たが、これからの事はしっかりと話し合わねばならない。
「レオラ姉さんの事匿って貰えないでしょうか…?」
「あー、やっぱりそうなる感じ?」
レオラも此方の世界のアレコレを聞くと自分の立場についても理解した様子。働くのも難しい。住居も…。となると自然誰かを頼るしかない。そうなると今回の元凶でもある貴方が適任だ。結華は両親と暮らしている。面倒を見たくても今の立場では無理なのだ。
「…とは言え良いの?ユイの良い人なんでしょ?」
「…いや、だからそうじゃなくて!…姉さんの為だもん。そんな事言ってられないでしょ」
「…そっか」
レオラ自身が気にしたのは妹分の恋人(レオラはそう認識している)と2人で生活をする事。こうなった原因は目の前の貴方にあるらしいが、迂闊に近付いた自分にも責はある。住居、食事に衣服まで出してもらえるならば申し訳ないくらいだ。それに上記の理由もあると流石に尻込みする。
しかし結華の自分を想う気持ちを理解したレオラは、妹分と貴方の厚意に甘える事を選んだ。
「だけど日中はあまり動かない様にしてもらいたいな」
「ああ…バレると説明がですもんね…」
引き受けはしたがバレない様に協力はして欲しい。一時的に滞在するならまだしも、何週間も居座るのはアウトだろう。これからはどう生活音を出さないで過ごすかを考える事に…
「それならこれじゃ駄目なの?」
そうしてレオラが口を動かすとレオラがパクパクと口を動かすだけで何も聞こえなくなった。結華は思い出したのかそれがあったと納得した様子。
消音魔法。前に魔術師の客から教わったという魔法の一つ。レオラは生活魔法にその他便利な魔法をある程度覚えているとか。
後程検証したが範囲は充分。遮音性も物を落としても範囲外ならば聞こえないのでこれでいく事にした。
「え、また大きくなったの!?」
「そうなのよ~、だから肩が凝って凝って…」
(い、居づらい…)
今は服を揃える為にとサイズを測っているらしい。男女比が片方に寄ると此処まで居心地が悪くなるのか。偶に聞こえるこの声も、余計な妄想を想像してしまう種。
「行ってきまーす!」
「転ぶんじゃないわよー」
「子供じゃないってば…」
必要な物は同性で知り合いの結華に任せるしかない。大の大人が女性用ショップに行くとあらぬ疑いを掛けられてしまう。結華が生活用品から服を買い揃えるお金は出したが、足りればいいが…。
「ありがとうね、旦那様」
「?」
「ユイを助けてくれて。あの子があんなに無邪気に笑うのなんて初めて見たよ。それに私まで養ってくれるみたいだしね」
先程の茶目っ気のある様子から、しっとりと落ち着いた雰囲気に。レオラから見て今の結華はとても幸せそうでよく笑う。前は時折寂しそうな遠い目をしていた。しかし今はそれもない。故郷に帰れた事、それが結華にとってはどれだけ有難い事か。レオラは理解していた。
「妹の良い人だし体でのお礼は出来ないけど、その分学んだらお返しするよ」
「いや…元は自分のせいですし…そんな」
「ハハッ、またユイに会えたしトントンだよ」
それからもポツポツとレオラと貴方は話しつつ、結華の帰りを待った。結華が帰ってきた後は今の服は仕舞い、買ってきた服へと袖を通す。
豊満な胸はしっかりとブラで支えられ、露出の多かった服装はシンプルなブラウスとデニムで抑えられる。…それでも胸の主張は凄いが。
「…胸元キツイからもっと緩いのない?」
「後で探しておくね」
「頼んだ」
「うわっ!?……火が出た」
「此処を回して調節します」
「説明通り魔法使わないんだ」
魔道具の様な物と告げれば理解はしてくれる。しかし実際に魔力を使わず魔法も使わない機械があると驚きはする。
少し暑いからとクーラーをかければ冷えた風が来ると目を輝かせ。洗濯機を教えれば便利〜と感心した顔。
「え、美味しいわこの料理!もしかして料理人なの?」
「冷凍なんでレオラさんにも作れますよ」
「レンジ?を使えば良いんだっけ?」
未知の物が沢山ある。結華が居る前ではあまり気にした風でも無かったが。それは見栄だったのか。結華が帰ってからは興味津々であちこちを見ては質問を投げて来る。
「旦那様、お背中流しますー?」
「い、いや大丈夫」
「ふふ、そうよね。ユイに怒られちゃうか」
消音魔法を使っているが普通に同居人として接させると変な気分。これで周囲には一人暮らしだと思われているのかと魔法の凄さを再確認した。とは言え今は魔法よりも自身の力の確認をせねば、しっかりとON/OFFは出来るようにしたい。
「ん…?これが『あ』?それとも『お』?」
言葉は通じるが文字になるとあやふやだ。調べ物をするにも文字の学習はしなければいけない。貴方もネットで教え方を調べつつ文字を教えていく。
おやすみとスペースが無い為同じ部屋で寝る。結華からのメッセージには伝えられたレオラの言葉も送りつつ、それが終わると布団の中へ。
(…こんな感じなんだ)
眠る前にレオラは思う。今頃は今夜の旦那様と閨を共にしている時間。それが今日は無く、明日明後日も無くなった。
体を使わなくても来る明日。どんなものかなと思いはしたが、実際に体験する日が来ようとは。
(ユイも想われてるな)
ユイの恋人であるが求められれば断るつもりは無かった。
立場では自分が下。貴方の一存でレオラの生活は決まる。
しかしふと視線は感じても誘われる事はなく、レオラはそれを結華が居るからと認識した。付き合った男達は大体浮気してきたから少し妹分の恋人が羨ましくも思った。自分にもこんな一途な恋人が欲しかったと。
レオラという同居人が来て1日目は、こうして過ぎていく。
「本当だ。作れる」
休日が終わると1日の大半はレオラ1人で過ごす事になる。
消音魔法をかけてからは文字の練習、暇つぶしにテレビとやらを見る。お腹が空けば何とか読めるメモ帳に従いレンジで作れるご飯を食べる。
火回りを使うのはまだ許可されていない。包丁はナイフと同じ感覚で使えるから野菜は問題無く食べられる。
「本当に魔法使わないんだ」
娯楽は今の所テレビくらい。耳から入る言葉は何となく理解は出来る。そうして情報源としてテレビを使うと、魔法という単語は少しも出て来ない。偶に出て来ても絵物語の延長アニメとやらのお話の中だけだ。
「……ああ、辞め辞め、考えても仕方ないから!」
自由な時間がこれまで以上にいきなり増えた。何をするにも自由。これをしなければ生きていけないという切羽詰まったものは今はない。だがしかし、そうなると余計な事まで考えてしまう事もある。
「洗濯は…中に干すんだったら大丈夫だったけ」
外には出れない。やる事もこれと言っては。気分転換に教わった方法で洗濯をこなす。何かをしてないと考える癖がつきそうだ。
「!おかえりなさい旦那様!」
「不便はなかった?」
「大丈夫、それより洗濯しておいたから!」
「ありがとう」
ガチャッと音がして人の気配がする。その音を聞くとレオラは飛び起きた。1人で居ると嫌な気分だが、貴方が帰ってくると明るい気持ちになる。疲れた雰囲気を漂わせる貴方の傍に行き、荷物を預かると許された範囲で作った料理の下へ。
「…結構干してくれたね。最近は溜まってたから助かるよ」
「これくらいなんてことないよ。寧ろやって欲しい事があったら何でも言って!」
「じゃあアイロンについても教えるよ」
文字の練習よりもこうして家事をするのが性に合っている。やる事が増えると1日の仕事も増えてやる気が出る。
何気無い言葉だがお礼を言われるのと良い気分だ。あんなにも人と関わっていたのに、こっちではまだ貴方と結華としか関わっていない。だからこそこうして人との繋がりに飢えるのだろうか。
「…成程」
文字の練習で少しは知識がついてくると調べ物をする時間が出来た。しかし望むような情報は何処にもない。自分の力で生きていく。かくもこの世界はそれが難しいのが分かるだけだった。
学べば学ぶほど、今自分が出来る事の少なさを実感する毎日。慣れるのが早かった故にその悩みにもレオラは早々に到達した。
「はぁ…」
最近は溜息を吐く事も多い。自分自身こんなにもネガティブだったかと思うくらいに考える事もマイナスだ。
唯一心がプラスになるのは貴方が居る時の時間。出会ってそんなにも経ってないのに随分と身近に貴方を感じるようになった。
シャワーという器具にも慣れて、何時もの様に頭からお湯を被る。体を洗うと湯船に浸かり、少しぼーっとした後に浴槽から上がる。
「ごめん、シャンプー切れたから替えある?」
「!あ、ああ、あるけど…」
(ん?…この格好だからか)
タオル1枚を着けただけの姿。あからさまに動揺しているなと疑問に思ったが、今の姿を顧みるとその反応も普通かと納得する。
(…そうだ、私にはコレがあるんだ)
役に立っているという実感が持てない今のレオラは、貴方の反応から久し振りに自分の体の価値を思い出した。金銭でやり取りされた体。其処には確かに価値があるとレオラは確信する。
「ごめんユイ…私…」
不安に押し潰されそうな自分に何か明確な物が欲しいとレオラは思っている。此処に住まわされ、生活を送る対価。建前はこんな所か。始めはそんな事はしないと決めていたのに、思ったよりも弱かった自分に情けなさを感じた。
「これで良いかな?」
眠りに就く前、鏡で着替えた自分自身を見る。あの日着ていた服。手洗いをして干した後は閉まってあった。それを引っ張り出し、娼婦としての自分を思い出しながら部屋へと向かう。
「ちょ、ちょっ…!」
「どう?私の体…」
何時もとは違う雰囲気に貴方は戸惑う。そんな貴方に近寄り、膝をつくと四つん這いで横になっていた貴方に迫った。
結華とはあれ以来出来ていない。家にはレオラが居るからとお互いに遠慮した形だ。そうなると貴方も処理は家で出来なくなり、かなり溜まっているのが現状だ。
「興奮してくれてるの?」
「…き、綺麗だし…」
「…嬉しい事言ってくれるのね」
そのまま2人の唇が触れそうになる瞬間、貴方はレオラの肩を持って引き剥がした。拒絶された。レオラの残った自信が音を立てて崩れていく。涙が出そうなレオラに違うと慌てて貴方は弁明した。
「…分かった」
レオラに語ったのは貴方がこれからする事を結華に伝えるという事。黙ってこのままレオラとするのは違うと貴方は思ったのだ。レオラも妹分の恋人を誘惑した手前、断れはしなかった。
『……やっぱりですか…』
「ごめん、でもこのままだと…レオラさんが」
『分かってます。…何となくこうなるかなとは思ってたので』
意外にも結華は動揺しなかった。寧ろこの時が来たかという雰囲気。結華自身あの日レオラを住まわせる選択をしてから、常にこの懸念は頭にあった。男女2人同じ屋根の下。しかも片方が完全にもう片方に依存した生活となれば何れはと思ってはいた。
しかしいざ来ると胸が苦しいのも事実。例え姉と慕った相手でも、大好きな人が自分以外を抱くのは心が苦しくなって当然。
『……抱いてください。そうすれば姉さんも落ち着く筈です』
「……ごめん」
『…その代わり、次は気がおかしくなるくらい、いっぱいいっぱい愛してください…!』
「約束する」
プツリと途切れた音が部屋に響く。貴方はスマホをポケットに入れると、レオラが居る部屋へと戻ろうとした。
しかし振り返るとレオラは直ぐ後ろに居る。目を合わせず、下を向きながらレオラは話した。
「ユイ、何て言ってた?」
不安そうに自らの腕を掴む。貴方が伝えられた事を噛み砕いて話すと、レオラはホッとしながらもそんなふと出た仕草を戒める様な素振りをした。
「あ…」
「…これからすれば、その不安は消える?」
「…多分」
何処か躊躇を見せるレオラに、貴方はゆっくりと近付きその体を抱き寄せた。久しぶりに感じる男の肌。意識すると自然と胸が高鳴った。
貴方の問い掛けに答えた時には、胸にある迷いはもうなかった。
「じゅるる…!じゅる…!ひもひいい…?」
「気持ち良いよ」
「ちゅぽん…じゃあもっとしてあげる…♡」
硬くなった肉棒をズボンから取り出すと、立った貴方の前にしゃがみ込み、口でパクンとその剛直を飲み込んだ。
熱くも硬い男根。体が喜びながらそれを受け入れているのが分かる。体から発生する熱に身を任せ、根元まで咥え込んでは、舌でベロベロと舐め上げて快楽を与えていく。
「ん〜〜〜っ!!?」
──ビュルルル!!
(この味…忘れた…)
ビクンと反応した瞬間から勢い良く吸い上げる。すると先端から青臭いドロドロとした液体が放出される。喉に直に感じる濃厚な汁。雄の味を思い出したレオラは、口角を上げて笑みを作った。
「どう?私のおっぱい気持ち良いでしょ?」
「あ…くぅ…!」
(出して、出して…!)
椅子に座った貴方。其処からまだ伸びる肉棒に今度は豊満過ぎるバストを使う。肉棒が埋もれて見えなくなるくらい。初めての乳圧に貴方は声が出てしまう。そんな貴方の声に子宮をキュンキュンとさせながら、レオラはザーメンが欲しいと急速に貴方の射精欲を満たしていった。
「ああ…良い…」
乱暴に暴れ狂った肉棒から白濁液が放出される。顔にも胸にも、至る所にマーキング液を撒き散らしながら、肉棒は快楽の証を発射したのだ。それを受けたレオラは恍惚の表情。
特殊な環境だったが想った相手にこうして液を掛けられるのは至福の一言。今までの経験とはまた違った悦びをレオラは噛み締めた。
「ああ…!来たぁ…!!」
「くっ…絡みついて…」
レオラが壁に手を付き、お尻を突き出すと我慢出来ないと貴方は襲い掛かった。未だ硬いのは意図せぬ禁欲のお陰か、レオラが喜ぶ硬さと熱さを維持した肉棒は、奥に届くまで強く突き付けられると、レオラの全身に快感を与えた。
(はぁ…はぁ…!すきっ…貴方とのセックスすきっ…!)
「レオラ、レオラ…!」
「利生斗…利生斗…!」
旦那様ではなく利生斗。貴方の名前を呼ぶと応えるように貴方がレオラの名前を呼ぶ。力に任せて突かれる。お互いの存在を刻みつけるような交尾。こんなにも幸福感と快感に包まれるセックスをレオラは知らない。
「出して…!利生斗…!!」
「出るっ…!」
──ビュルルル!!
「あっ、あああ…!!!凄いぃぃ…!!」
夜。お互いを求め合う男と女の交尾は続いた。男に抱かれ、その胸で眠る女にはこれまでの不安が嘘のように、幸せそうな笑みがあったという。
難産だったけど完成。レオラさんとの1回目に行くまでです。