清く正しい射命丸 文ちゃんが中年キモオタ不潔読者のお宅に訪問してちん嗅ぎしちゃうお話です。

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第1話

 

降り続いていた雪がようやく止み、灰色のくすみを洗い落とされた寒暁の空に、漆黒の翼を羽ばたかせる少女の姿があった。

 

「うー、寒い寒い」

 

雪の結晶で装飾された濡羽色の髪が、朝日を受けてキラキラと煌めいている。透き通るように白い頬が、ほんのりと赤らんでいた。

 

「配達前に止んでくれればよかったものを、終わり間際になってから晴れるなんて、ツイてないわ」

 

通りのよい鼻をひと啜り。口元へ寄せた両掌へ熱い吐息をふぅと吹きかける。新聞のインクで黒ずんだ指先の指紋が、しっとりと潤っていく。

 

「今日の配達は、こちらのお宅で終了ですね」

 

綿帽子をかぶった庭木が茂る一軒家へ、すうっと音もなく降下する。頭襟から連なった白い梵天が角度を失い、側頭部にもたれ掛かった。艶々とした真紅の一本下駄が、新雪を踏みしめた。

 

「この家、庭木が邪魔で玄関に直接アクセスできない上に、雪かきもしないので、歩いて投函しないといけないのが面倒なんですよね……」

 

家主はよっぽどの出不精なのだろう。雪かきは勿論、玄関から庭にかけて足跡ひとつない。ここ数日の間、家から一歩も出ずに閉じこもっていたということだ。

 

「こっちは取材に執筆、編集と日々忙しく働いて、風雪にさらされながら配達業務までこなしているのに、いいご身分だこと」

 

ぶつぶつと文句を口にしながら、配達カバンから新聞を取り出す。庇によって雪除けされた玄関床で、カランと下駄を踏み鳴らして、付着した雪を振り落とした。

 

「あやや……足袋が濡れちゃいましたか」

 

これまで配達してきた読者宅は、庭から玄関まで除雪されており、歯の高い下駄であれば足袋を濡らすことなく新聞を投函できていた。

 

だが、この読者の家ときたら、庭に鬱蒼と生い茂った木々が雪の重みで大きくしなり、玄関への降下を阻んでいた。ゆえに庭から投函口まで雪を踏み締めて歩かねばならず、文はそれが不満だった。

 

三つ折りにした新聞を、ぐいと投函口に押し込む。バネ仕掛けの蓋が開き、紙束を呑み込んでいく。

 

「ん……?」

 

手元に伝わる違和感。縦向きに挿入した新聞が、三分の一ほどを残して途中でつっかえていた。 しゃがみ込み、指で投函口を開いて覗きこむ。

 

「うわ、くっさ……」

 

澄み切った冷気に慣らされた鼻腔へ、むわりと澱んだ生暖かい臭気が流れ込んでくる。とても人間の家庭の生活臭とは思えない。鶏舎のアンモニア臭と醤油蔵の発酵臭を足して二で割ったような独特の臭みに、思わず眉を顰めてしまう。

 

「んしょ……取れた」

 

本日付けの新聞を狭い開口部から引きずり出すと、奥にもう一部の新聞が挟まっていた。

 

「文々。新聞x月x日号……昨日、配達した新聞ですね。部屋から漂う悪臭に、放置されたままの新聞……ふむ、これは……」

 

文の脳裏に、「孤独死」の三文字がよぎる。

 

外の世界と同じく、幻想郷でも新聞配達人が孤独死の第一発見者となることは珍しくない。その多くは独居老人だが、この家に住む読者はたしか、三十代半ばの独身中年だったはずだ。

 

先月、勧誘に訪れた際の記憶を呼び起こす。でっぷりとした肥満体型。髪の毛は何年も切っていないのか、伸び放題のボサボサ頭。昼間から酒臭く、肝臓を悪くしているのか頬が黒ずみ、不健康な社会不適合者という風貌をしていた。

 

セールス中も、タイトなスカートから覗く太ももや、豊かな膨らみの胸の谷間へ、ねっとりとした視線を向けていた。文が丹精込めて書いた新聞記事には、まるで興味がないようだった。

 

読者獲得のための苦肉の策。文の自撮りカラーグラビアが週一で掲載されていることを伝えると、目の色を変えて契約を結んでくれた。このことからも、真っ当な新聞の購読者ではなく、自分を性的な目で見ていることは明らかだった。

 

正直、孤独死していた場合の対応を考えると、面倒だった。でろでろに腐敗した遺体など目に入れたくないし、人間の死体を発見したのが妖怪とあれば、真っ先に殺害を疑われる。

 

博麗の巫女による取り調べで時間を奪われれば、明日の新聞発行の大きな妨げになってしまう。だが、読者の孤独死に気づくことなく配達を続けていたと知れれば、今後の拡張や購読者数の維持に良くない影響を及ぼすだろう。

 

「はあぁぁぁ……」

 

寒い中での配達で、身体は冷えきり疲れていた。今すぐにでもあたたかな食事と風呂で自分を労い、ぐっすりと眠ろうと思っていただけに、前述の面倒事まで処理せねばならぬと思うと、深いため息を漏らさずにはいられなかった。

 

「おはようございまーす。清く正しい文々。新聞でーす」

 

玄関先で大きな声で挨拶してみるが、返事はない。扉を強めにノックする。反応なし。耳を澄ませてみるが、物音といえば屋根から雪が滑り落ちる音と、小鳥の囀りくらいのものだ。

 

「あー、もう面倒ですね」

 

苛立ちながら、玄関から一番近い窓へ回り込んだ。木製の蔀戸は締め切られていたが、今は緊急事態だ。少し乱暴に、力をこめて開け放つ。

 

「すみませーん。いらっしゃいませんか?文々。新聞です」

 

壊れた窓から顔を覗かせ、声かけをする。やはり反応はなかった。おまけに顔を突っ込んだことで、部屋に充満する獣臭の発酵したような悪臭が、ぷうんと漂ってきた。

 

「これはいよいよ……」

 

最悪の事態を口にしようとした瞬間、部屋の中に朝日が差し込んだ。明るく照らされた室内。文の表情が曇っていく。視線の先に、仰向けで横たわる全裸の男が居た。

 

「あ〜」

 

やはりそうだったか。悪い予感が的中し、なんともいえない感情が湧き上がってくる。悲しいとか、可哀想とか、同情や故人を悼むなどという気持ちは、文の中にはない。

自分をいやらしい目で見てくるような、たかが人間の中年男の生死など、天狗である文にとってはどうでもいいことだ。

 

気にかけているのは、せっかく増やした新聞の購読者が減ってしまったことと、死体の処理だ。以前にも、孤独死した読者を発見したことがあったが、あれは酷かった。今回は腐乱することなく原型を保っているだけ、まだマシだった。

 

「やれやれ、とりあえず仏さんに『取材』を敢行してみましょうか」

 

窓枠に手を掛け、慣れた様子で室内へ不法侵入する。古びた畳を、下駄歯が踏み締める。痛んで腐っているのだろう。ぐにゅりと柔らかな感触が不快だ。

 

「うわっ、くっさ……お酒臭いですねー」

 

部屋には、悪臭に加えてアルコールの匂いが充満していた。暖房の類は一切、見当たらないのに妙に暖かい。まるで部屋全体が発酵しているのではないかと錯覚してしまうような、ぬったりと澱んだ空気に満ちている。

 

「これは……ゴミ袋が土嚢のように積み上がっていますね」

 

室内は、足の踏み場もないほどゴミが散乱していた。結び閉じられてパンパンに膨らんだ袋土嚢が山のように積み上げられている。

 

伸び放題の庭木を見て分かる通り、家主は相当なものぐさだ。決められた時間帯に収集場までゴミ出しに行くということができない人種だったのだろう。

 

「下駄を履いてきたのは正解だったわ」

 

濡れた足袋のまま、このゴミ屋敷を散策していたなら、いまごろ足裏は真っ黒に汚れていただろう。もっとも文は泥に塗れたブーツを履いていたとしても、 土足で上がり込んで畳を踏みつけていただろうが。

 

「これは……先月の文々。新聞で、その危険性を指摘する記事を掲載した外来のお酒ですか……」

 

透明なゴミ袋に詰め込まれ、あるいは溢れ出して転がっている空き缶は、ストロング系チューハイと呼ばれるアルコール飲料だ。低価格で度数が強く、 一本で酔えるとあって、アルコール中毒者や低所得者層を中心に、近ごろ人気を博している。

 

より度数が高いものとしては日本酒やワイン、ウィスキーがある。それらが風味や香りをじっくりと堪能しながら味わうものに対し、このストロング系はフルーツ系の味付けがされており、ジュースと変わらぬ感覚と値段でごくごく飲めてしまう点が厄介だった。一本でも肝臓に負担をかけるアルコールを、二本三本と飲み続けることで、健康を害してしまうのだ。

 

「外の世界でメーカーが販売停止したことで、幻想郷にも流通するようになったみたいですが……」

 

こんなものを浴びるほど飲んでいたとは。不健康な肌艶の理由にも察しがつくというものだ。男の亡骸を見下ろしながら、カバンから取り出したカメラを向ける。

 

肥満体の中年男性が、全裸でゴミに埋もれている。絵面が汚すぎて、流石に新聞に掲載することは出来ないが、参考資料として撮影はしておきたかった。

 

「なんか既視感あると思ったら、アレですね。新聞の中刷りでよく目にする、『勝ちまくりモテまくり』って札束風呂で美女を左右に侍らせてる広告に似てるんだ……ふふっ」

 

口元をニヤけさせながら、シャッターを切る。日ごろ取材で使っているカメラと違い、外来の安物だが、防水仕様で、暗所でも撮影が可能なフラッシュ機能に録画・再生機能までついている。

 

ズームしたレンズが、ゴミに埋もれた下半身を捉える。分類としては空き缶がほとんどで、白いティッシュの塊が所々、散らばっている。汗と酸化した汗で黒ずんだ茶色い毛布が足元に寄せられ、左の爪先がゴミ袋へ突き刺さっていた。

 

断末魔の苦しみに耐えかね、足元のゴミ袋を蹴ったことで、中身が雪崩打って下半身を埋めつくしてしまったのだろうか。その姿は哀れでもあり、滑稽でもあった。

 

「やっぱり新聞に載せちゃいましょうか、これ」

 

注釈を添えて、ストゼロ飲料の危険性を啓蒙する記事で読者を煽るには、もってこいのベストショットだ。外の世界のコンプライアンスに照らし合わせれば、炎上待ったなしのネタだ。幸いなことに、報道倫理などという面倒なものは、幻想郷にはない。

 

「ごッ!!ごお“お“お“ぅッ!!!ごがッ!!!」

 

「ええっ!?」

 

地響きのような呼吸音が、澱んだ部屋の空気を震わせる。さしもの文も仰天し、カメラを手放した。音がした方向へ視線を向ける。でっぷりと脂肪をたくわえた白い腹が、怒った河豚みたいに膨らんでいく。

 

「ごお“お“ッ!!!ぐっ………………ごぉ“ッ!」

 

耳をつんざく轟音に、両掌で耳を塞いでしまう。

 

「は、はぁ……びっくりした。なんだ、生きてるじゃないですか」

 

驚きは示しつつ、男の生死に対しては、なんの感慨もない口調でつぶやいた。

 

つまりこれは「睡眠時無呼吸症候群」というやつだ。肥満によって首の周りに脂肪がつき、口や鼻から肺へと続く空気の通り道が狭くなることで、眠っている間に呼吸が止まる状態が繰り返される。

 

文は病とは無縁の健康体だが、新聞でこの病気について特集を組んだことがあるだけに、一般人より知識はずっと豊富だった。

 

「おーい、xxさん。起きてください。そんな格好で寝てたら風邪引きますよ」

 

薄暗がりの中でも分かるほどに血色の悪い頬を、平手でぺちりと叩いて起床を促す。乾燥しきった冬空の下、配達によってカサついた指紋が、ぬらぬらとテカる表皮から酸化脂を拭った。

 

「うわ……っ、脂で手がべっとり汚れて……うぅ、ぬるぬるします……」

側に転がっていたティッシュで、脂に塗れた指を拭いとる。指先に付着していた新聞のインク汚れが、脂に溶けて繊維が黒ずんでいく。

 

「ぐッ!がごごッ!ごッ!ぐぅ…………ごお“お“ぉ“ッ!!」

 

火山の噴火のような咆哮。肝臓で処理しきれなかったアルコールを含んだ呼気が、唾液の飛沫とともに噴出する。泥酔したまま、風呂にも入らず寝ていたのだろう。身体中から酸っぱい汗臭が混じった、脂ギッシュな体臭が漂っている。

 

「うぅ〜、鼻が曲がりそう……」

 

高い鼻梁が上向き、小さく穿たれた二つの孔がヒクつく。濡れ艶めく漆黒の睫毛がしぱしぱと瞬き、柘榴石の輝きを放つ瞳が、不快の色に沈んでいく。

 

「ごッ!ッぐごッ!お“お“お“ぉ“ッ!!」

 

「ばっちいですね〜。唾液が服に染みついちゃいますよ」

 

間近で鼓膜が破れそうなほどの騒音と、唾液の飛沫を浴びせられる文はたまったものではない。読者の生存確認と紙面のネタになりそうな写真も撮影できたことだし、さっさと退散することにしよう。

 

「無断で侵入した痕跡を消す必要は……ないですね」

 

清掃や整理整頓を怠らない家主ならば、ほんのわずかな室内の変化にも気づき、不審を感じるだろう。だが、このゴミ屋敷の主では、文が下駄で踏みつけにして凹ませた古畳の痛みや、窓の蝶番のガタつきに気づくことはないだろう。

 

「ああ……今日もよく働いた。帰って熱いお風呂に浸かって、ぐっすり寝ましょう。そうしましょう」

 

そう口にした瞬間。開け放っていた窓から、びゅうと粉雪を引き連れた木枯らしが吹き込んできた。ビニール袋から溢れ出していたティッシュやら、積み上げられた古新聞が宙へ舞い上がり、文の足元ではらりと落ちる。

 

「……ん?これは私の……」

 

差し込む朝日に照らされた足元に、見慣れた顔があった。見開き2ページのフルカラーで印刷されたグラビア水着写真。二日前に配達した文々。新聞だ。

 

白と黒が交差するタイトな競泳水着。ほっそりとした首の左右、斜めに走る胸鎖乳突筋が、愛嬌あふれる笑みを湛えた美貌を引き立て、支えている。

 

鎖骨から肩に連なる、細くなだらかな稜線。男ならば誰もが抱き寄せ、唇を這わせて痕跡を刻んでやりたいと願ってやまない魅力を秘めている。

 

むっちりと豊かな三角型のバスト。寒さによって固く尖った乳首は、本人の気質を表すようにツンと上向いた輪郭を覗かせている。重く張りのある南半球の影がかかったウェストは、コルセットを装着していることを疑わせるほどにキュっと引き締まっている。穿たれた臍穴に張りついた化学繊維の被膜が、アーモンドに似た縦長のシルエットを浮かび上がらせていた。

 

魅惑の肢体でもっとも目を惹くのは、やはり臀部だ。余計な脂肪を削ぎ落とした胴から、裾野をゆったりと広げた骨盤。体重を支え、発情した雄が繰り出す力強い打ち込みに耐え、子を成すのに最適化された尻。羞恥でほんのり鴇色に染まった左右の尻たぶに食い込んだ競泳水着を、白くほっそりとした指がぐいと押し広げる仕草がフェティッシュで、実に扇情的だった。

 

「……うぁ……なんですか、これは」

 

文の口から、引き攣ったうめきが漏れた。改めて目にする水着姿の際どさや、性的な解釈を招く仕草のグラビアを発信している己の浅ましさを自覚し、 羞恥や後悔を抱いているのか。そうではない。

 

インクが彩る鮮やかな肌色に、ザラついた繊維のモノクロ紙面に、黄ばみがかったゲル状の粘体がぶりぶりと絡みついていた。

 

文は当初、これが喫煙者が不快な喘鳴とともに吐き捨てている痰ではないかと推察した。しかし、隣で寝ている男は非喫煙者であり、痰にしてはその量はあまりにも多すぎた。

 

記者としての性分だろう。不快極まりないが、正体を突き止めないことには、帰ることなどできない。眉間に皺を寄せながら、鼻を粘体へと近づけた。

 

「すんっ、すっ、すぅ……んぅ、ほんの少しだけ生臭いような気がしますが、ほぼ無臭といっていい……感触は、半乾燥した液体が被膜に変化して、ぬめりの無くなった生湯葉のような……あ、カマキリの卵嚢……!?」

 

カマキリは十月頃に、泡状の卵嚢を木の枝などに産卵する。この粘体が、寒さや外敵から卵を守る役目を果たす。冬を越すと、翌年の四〜五月頃に孵化する。ある研究では、カマキリが産卵する場所の高さによって、その年の積雪量を予測できると言われている。

 

「確かに、この新聞紙が積み上げられていた高さと現在の積雪には、相関関係が認められますね……まさかこんなところで取材ネタが手に入るとは……しかも卵を産みつけたのが私のグラビアとは、これはキテますね!」

 

この家に足を踏み入れてから味わう、初めての喜び。顔を綻ばせながらゲル塊をツンツンと指先で弄ぶ。

 

ぷぢゅ、ぶぢゅるるぅ、ぷびゅっ

 

「……え?」

 

丸く整えられた桜貝色の爪に、化膿した皮膚から破裂した粉瘤の如きものが、べっちゃりと絡みつく。新聞紙のザラつきを捉えていた指紋が、水っ気たっぷりのぬめりに感触を更新されていく。

 

服の繊維に染み付くような、澱んだ部屋の臭気を漂白する鮮烈な青臭さが、鼻腔の奥で炸裂した。つうんとした痛みが走り、涙点から分泌された液体が角膜を覆う。

 

「〜〜〜ッ!!!」

 

文は、この感触と臭いを知っていた。下駄の緒を挟んだ母趾と示趾がキュッと内向き、踵が浮き上がる。ふくらはぎから太ももにかけてつるりと滑らかな肌が粟立つ。尻から脊髄を伝って、ぞわぞわとした怖気が駆け上って全身をぶるりと震わせた。

 

これは『精液』だ。

 

読者である家主が、自分の水着姿をオカズに勃起した男根を刺激し、脳内で犯すだけでは飽き足らず、グラビア紙面に向かって精液をぶち撒けたのだ。

 

「う、うわぁ……お尻が標的にされちゃってますね……黄ばんだ精液がドーム状に盛り上がって、たっぷり汚されちゃってます……」

 

ザラついた紙面の感触を、濡れた競泳水着の生地の質感に見立てて擦りつけたのだろうか?もしくは食い込みを直すために差し入れられた指の隙間からペニスを挿入し、腰をパンパンと打ち付け、中出しする妄想で絶頂に至ったのかもしれない。

 

鬱屈した生活を送る独身中年のことだ、女の自分が想像だにしえない、えげつないことを考えながら精を放ったに違いない。

 

「なるほど。グラビアの掲載は週に一度。投函口に昨日の新聞が残されていたのは、私の写真が掲載されていないからですか」

 

風に吹かれる前、手にしたグラビア紙面が置かれていた場所を漁る。推察通り、ガビガビに乾いて黄ばんだ精液痕の残る文のグラビアが三枚と、読まれた形跡のない古新聞が1ヶ月分、積み上げられていた。

 

「性的な興奮をもたらすネタとして新聞を購読していただけで、取材した記事には興味がないってワケ?」

 

「ごご、ごごぅッ!ぐごぉッ!ぐぶうッ!」

 

呆れを含んだ文の問いかけに応えるように、男のいびきが轟く。寝返りを打つと、下半身を覆い尽くしていたアルミ缶がガラガラと崩れる音が響いた。

 

「あ……」

 

薄暗がりで眠りこける男の肥満体。その股間が朝日に照らされ、隆々たる男根が鎮座していた。

 

20㎝をゆうに超える長尺。太さに至っては、文の指を四本揃えても余るほどだ。鍛え抜かれたボディビルダーを思わせる艶やかな赤銅色の皮膚には、指で摘めそうなほどに分厚い血管が、蔦のように張り巡らされている。

 

健康的な肉幹とは対極の、鮮やかなカドミウムレッドの亀頭。グッと張り出したカリ首は、目測で平均サイズの倍はあるだろう。エラに沿って小さな白いブツブツ、フォアダイスと呼ばれる脂肪の塊が並び、毒キノコの傘を想起させた。

 

吹き込む風によって舞い上がった埃が、角膜に張りつく。カメラのシャッターを連写するみたいに、毛先をピンと跳ねさせた黒い睫毛がしぱしぱと瞬いた。紅い瞳が濡れ、網膜に男根の姿形が焼きついた。

 

「……っ」

 

ほっそりとした喉から、ごくりと生唾を呑む音が鳴る。

 

「あの毒茸みたいなペニスから、これが発射されたんですよね……」

 

眼前に差す陽光へ、小刻みに震える指を翳す。

 

色素の薄い皮膚が明るく照らされ、血色の良い艶やかな爪が薄桃に色づいている。日々の執筆で長時間、筆を握っているにも関わらず、角質は柔らかで表皮滑らか。ハンドモデル顔負けの繊手である。

 

ハイポニキウム。または爪下皮とも呼ばれる爪と指を繋ぎ止める境目。汚れや細菌の侵入を防ぐ役割を担うシールドとなる隙間に、濁粘液がべっちょりと絡みついている。

 

水虫の原因となる白癬菌は、この爪下皮で水分と蛋白質を栄養にして繁殖する。精液は八割が水分で蛋白質を多く含んでいる。顕微鏡で確認出来る白癬菌と精子も、その大きさに大差はない。

 

精液は、体外に排出されて長くて数十分で乾燥し、死に至る。膣内射精された場合、受精可能な時間は七十二時間で多くは四十八時間も経つと、繊毛の動きが低下してしまうという。

 

遅くとも二日前の早朝にグラビアへ向けて放たれた精液。常人のものならば、乾燥して全滅していただろう。だが、己の指に付着したそれは、同志の死骸が形成した被膜によって乾燥を免れ、潤いを保ったまま鮮烈な精臭を漂わせている。

 

死骸に埋め尽くされた精漿の海を、生き残りの精子たちが繊毛を蠢かせ、ふやけた爪下皮へ頭部をめり込ませながら群がるビジョンが脳内に浮かび上がる。ぞわぞわと肌が粟立っていく。付着した精液を、新聞紙で慌てて拭いとる。

 

「はは……何考えてるんでしょう私……そんな馬鹿なことあり得ないのに」

 

新聞に掲載する記事のために資料を漁り、有識者に取材したことで身についた確かな知識。それが性的なものに触れたショックで揺らぎ、ありえない妄想で認識を誤らせてしまう。

 

全ては、おぞましい精液と、雄々しい男根を目の当たりにしたせいだ。事実が感情に支配されるなど、報道に携わる者として、そんなことはあってはならない。混乱を招くものは、徹底的にその理由を暴かねば。

 

新聞紙で精液を拭うと、くしゃくしゃに丸めて畳の上へ放り投げた。堅い下駄の歯が、劣化と湿気によって柔らかく波打つ畳に下足痕を刻み込む。

 

眠っている男の枕元まで歩み寄ると、ドンッと勢いよく下駄を踏み下した。人ならざる鴉天狗の脚力によって踏みつけにされた古畳が荒板から跳ね、埃が舞い上がるが、男は一向に目を覚ます気配がない。

 

「仕事をしてる様子もなく、雪かきのために身体を動かしてもいない。疲労が溜まるようなことを一切していないのに、よくここまで熟睡できますね……」

 

怒りを通り越して呆れの表情で、眠りこけている男を見下ろす。顔は端正だとか、愛嬌がどうとか、そういうポジティブな要素が一つもなかった。矯正されることなく乱れ生えた歯列から、酒臭がぷんぷんと漂う唾液の飛沫と騒音を撒き散らしている。

 

体重は三桁近くあるのだろう。脂肪で肥大化した太鼓腹が呼吸に合わせて膨張と収縮を繰り返している。身長は文よりほんの少し高く、ボサボサの頭皮は瓶付け油でも塗りたくったように、べっとりとテカリを帯びて毛髪が固まってしまっていた。

 

「髪の毛ギットギトで、手櫛で梳いたら指の間にラードみたいな脂がべったり付着しそうで汚いですねえ。おじさん特有の酸化した頭皮臭が不快すぎて……」

 

左右の脚を開き、腕組みしたまま眉根を寄せる。文は中年男が放つ加齢臭は、そこまで嫌いではない。むしろ好ましいと思っているが、それは清潔で身なりの良い中年が漂わせるダンディな香りに限ってのことだ。眼前で眠りこける不潔な中年など、唾を吐きかけてやりたくなるほどに嫌悪していた。

 

「お腹もだらしなく膨らんで、乳首なんか黒ずんで腐った干し葡萄みたいになっちゃってますよ。短い手足はぶっとくて毛がもじゃもじゃと生えてて、汚らしいったらありゃしない」

 

眼前の男が、並大抵のことでは目を覚さないと確信を得たことで、心無い罵倒を浴びせかける。他者とのやり取りでは、回りくどい言い回しでネチネチと相手をやり込めるだけに、ストレートな悪口を遠慮なく吐き捨てるのは、妙な爽快感があった。

 

「ぐぉッ!ごぉぉぉッ!ぐぐぎぃッ!ご、ごぐぅッ!」

 

どのような夢を見ているのだろうか。男が漏らすイビキは、まるで文の悪口によって精神的ダメージを負い、嘆き悲しんでいるようにも聞こえた。

 

「こんな暗くて汚い部屋で、一人寂しく自慰行為してたんですか?サイズだけはご立派ですけど、女の子との経験はあるのでしょうか?印刷された私の写真でコーフンして、『射精すよ文ちゃんッ❤️オナホマンコで受け止めてッ❤️ううぅ〜ッ❤️❤️』なんて情けない妄想しながらドピュドピュぶっかけていたんですよねえ?」

 

左手の人差し指と中指で形作った指輪っかを、口元で前後させる。潤いを増して真っ赤に艶めいた薄い口唇から、健康的なピンク色の舌を突き出す。れろ、れろぉ……と蠢かせる。エア手コキとエアフェラチオのジェスチャーだ。

 

水着姿で食い込みを直している文のグラビア一枚で大量に射精するような男である。射精欲を大いに煽るこの仕草は、向こう一年戦えるだけの極上オカズになるだろう。

 

「ぐうぅ、ぐごおおお……」

 

瞼を閉じているため何も見えず、眠っているため意識もない。だが、文の台詞だけは耳から聴こえているのだろう。それまでの苦しげだった寝息が、やや穏やかなものへと変化した。

 

「おやぁ、寝息が急に穏やかに……?」

 

川のせせらぎや松明の燃える自然音、クラシック音楽などを耳にすることで副交感神経がリラックスし、睡眠の改善に繋がるという。この男の場合は、先ほど囁いた煽り口調が影響を及ぼしたようだ。

 

効果は寝息だけでなく、生殖器にも現れていた。ぴぃんと直立していた朝勃ちペニスが、でっぷりと突き出した腹により掛かるように男根のそり返りを強くしている。無呼吸のタイミングで収縮を止めた横隔膜に代わって、植物の葉脈のごとく肉幹へ張り巡らせた血管が、びくびくと力強く脈打っていた。

 

「ふむ。寝ている相手にも、性的なアピールは影響を及ぼすようですね。実に興味深い」

 

一人納得したように頷き、鉛筆でメモ帳になにやら書き込んでいく。新たなネタを発見したことに興奮しているのか、盛んに白い息を吐いている。不法侵入した際に、窓を開け放ったままにしていたので室温が下がりつつあった。

 

この様子では、凍死するような寒さでも、男は起きないだろう。文も、締め切った部屋の中では臭気にあてられておかしくなってしまいそうだったので、そのままにしている。

「五感のうち、『聴覚』への刺激によって就寝状態が変化するのは確認できました。手淫と口淫の真似事による『視覚』の効果がハッキリしませんね……。改めて試してみましょう」

 

文の口端が吊り上がる。仰向けに寝ている男の頭を下肢が跨ぎ、スカートを摘み上げた指が持ち上がっていく。むっちりと肉づきの良い太ももに挟まれた、黒いショーツ。乙女の秘裂をレース生地が覆い、通気性を確保するために、股布以外の生地はメッシュ形成されている。

 

「見えますか……?貴方が印刷物相手に本気欲情していたお股が、目と鼻の先にあるんですよ……❤️」

 

細くて長い脚が膝から折れて、腰が徐々に降りてくる。ショーツ生地を食い込ませた縦のスリットと、丸く尖った肉の芽の膨らみ。磁石のS極とN極みたいにぴったりとくっついていた左右のヒップが二つに割れ、網目越しにうっすら香色の窄まりが覗く。

 

股間に男根を持つ者なら、誰もが血走った眼で凝視し、網膜に焼き付け、海綿体を限界まで膨張させずにはいられない射命丸文の性的アピール。

 

「ごおっ、ぐう、んごぉお……っ!」

 

瞳を閉じ、意識を彼方へ飛ばしたままの男には、やはり視覚単体への刺激は効果が乏しいないようだ。やや大人しくなったものの、相変わらずいびきをかいている。

 

「むぅ……。ならば次は……『嗅覚』による反応を見ていきましょうか」

 

さらなる検証を重ねるため、M字開脚で深く腰を沈めた。黒いスカートが、テントみたいに男の頭をすっぽりと覆い隠す。鼻が低いこともあって密着こそしていないが、側から見れば顔面騎乗をしているように映るだろう。

 

「っごッ!」

 

気付け薬のアンモニアを嗅がされたみたいに、全身がびくりと跳ね、喉の奥からカエルの鳴き声じみた呼吸音が響いた。

 

「ちょっと、そんな反応じゃ私のアソコから刺激臭が漂ってるみたいじゃないですか、もうっ!」

 

文が頬を赤く染め、腹立ちまぎれに男の太鼓腹を平手でパンと叩いた。たっぷりと脂肪を蓄えた腹が、石を投げ込まれた湖面みたいに肉の波紋を広げていく。

 

これまで長いこと、己の体臭と精臭が合わさった澱みで生活してきた男にとって、二桁年ぶりに嗅ぐ女の匂いは、まさに刺激臭だ。それも幻想郷でも指折りの美少女、射命丸 文のものとなれば、心身に現れる変化は劇的だった。

 

「ふっ、ふぅ、ふんっ、すうぅ、すふっ、ふう」

 

これまで酸素の取り込み・排気を、開きっぱなしの口に頼っていた呼吸が、鼻からの吸引へと変化していく。文の鼓膜を震わせていた、いびきの轟音。それが今や、熱く湿った荒い鼻息となって、股布の繊維を滅多突きにしている。

 

「あやや……❤️一生懸命にくんくん……❤️しちゃって効果抜群じゃないですか。よいリアクションですよぉ……❤️」

 

検証結果に気を良くしたのか、舌舐めずりの表情で、乙女の芳香を閉じ込めていたスカートの縁を摘み上げる。

 

「んふっ、ふぅっ、すぅ、すうぅ……っ」

 

脂ギッシュな毛髪や、見苦しい顔の造形は相変わらず。鼻を盛んにひくつかせて懸命にスメル吸引を行う呼吸音は、生まれたばかりで目も開かぬ雛鳥が、側に寄り添う母のあたたかな匂いを覚えようとしているような、いじらしさを感じさせる。

 

「んれろっ、んふぅ、すうん、れろ、れろぉ……」

 

唇からは餌をねだるように、 べっとりと厚い舌苔を纏わせた舌を、チロチロと蠢かせていた。

 

「ぷっ、ふふ……」

 

これが見目麗しい少年の仕草ならば、文も母性をくすぐられ、慈しみの言葉とともに口づけを交わしていたかもしれない。だが股座の下に寝そべっているのは、豚のような中年男だ。限度を越した気味悪さに、笑いがこみ上げてくるのを堪えながら、カメラを構える。

 

「ぐぅ……んうぅっ、すうっ、すうぅ……ちゅっ」

 

パシャリ。シャッター音が響き、リップ音混じりの寝息を立てる男の顔にフラッシュが浴びせられる。誌面掲載するならば『睡眠時無呼吸症候群を改善する鍵は、美少女鴉天狗のパンツにあり!』というキャプションをつけたくなる一枚だ。

 

「可哀想だから黒目線くらいは入れておいてあげましょうかね」

 

角度を変え、たるんだ顎下の無精髭から分厚い唇、低いにんにく鼻。その直上に迫る己の黒ショーツをレンズで捉えながら呟く。文のこれまでの行いは、現代刑法に照らし合わせれば、不法侵入に加えて性的姿態等撮影罪が適用される犯罪行為だが、真実を報道する文々。新聞にタブーはない。

 

「それにしても……」

 

パシャリパシャリとけたたましいシャッター音を響かせるカメラ。その下からノの字にせり出した鼻が、すんっと小さく鳴った。

 

「くさい、ですね……」

 

吸引した酸素を、不快な感情を含んだ言葉とともに吐き出す。構えたカメラレンズの先に、小山のように盛り上がった腹と、臍まで反り返った巨大な毒茸が映り込んでいる。

 

眉を顰めるほどの悪臭。発生源はもちろん、ペニスだ。一般的に性フェロモンは空気より重いとされている。高い一本下駄での立位では感知できなかった臭気が、M字開脚によって鼻腔の高度が下がったことで、揮発した男根臭の澱みへ潜り込んでしまったのだ。

 

「んぅ……」

 

鼻の奥から、色を含んだ溜め息が漏れる。下駄の歯がわずかに傾き、どっしりと実った桃尻が前後に揺れる。低い鼻の上を、股布から香色の窄まりにかけてのデリケートゾーンが、ゆっくりと往復した。男の顔にかかる陰が濃くなり、黒々とした鼻の穴が大きく広がっていく。

 

「あ、ふうぅ……んうぅ……」

 

口から甘い吐息。肘がくの字に曲がり、肩甲骨をゆっくり解す動作を繰り返しながら、両手首が肩の高さまで持ち上がっていく。着衣の下で緩やかなカーブを描いていたヴィーナスラインが、ぐうっと反り返りを強めた。

 

「はっ、あぁあ……」

 

吐息とともに窄めた肩が、すとんと落ちた。強い疲労や眠気を感じた際に行われる、あくびに似た仕草。顔面騎乗によって男のいびきに変化が訪れたように、男根から溢れる濃厚なるスメルが、文の不随意運動を誘発したのだ。

 

「ぁ……」

 

脱力した文の細い指から、カメラがスッと滑り落ちた。精密機械の塊であり、レンズなどは衝撃に極めて弱い。1メートルに満たない高さとはいえ、打ちどころが悪ければ何らかの不具合が起きる可能性もある。

 

幻想郷最速を自称する文の反射神経をもってすれば、重力に引かれて落下するカメラを拾い上げることなど、造作もない。だが今に限ってその反応は、亀の歩みのごとく重鈍であった。

 

「あぁ、カメラが……っ!」

 

前のめりに手を伸ばしたことで、姿勢が大きく崩れ、 下駄の歯がシーツから浮かび上がる。布団で仰向けに眠る男の側頭部へ、文の両膝がどすん、と鈍い音を立てて着地した。

 

「あうっ」

 

上半身が倒れ込み、白いシャツ生地の下、黒い花柄のブラジャーを透けさせた双球がばるんと弾んで男の分厚い胸板へ、むにゅり……柔らかく衝突した。

 

「お、落ち……!」

 

男の胸へもたれ掛かり、伸ばした指の先で、カメラの角が太鼓腹へ突き刺さる。たっぷりと蓄えた脂肪が衝撃を柔らかく受け止め、トランポリンのごとく宙へ跳ねあげた。太ももに当たってバウンドすると、股の間へすっぽり収まる様子を目にして、ホッと安堵の息を吐いた。

 

「はっ、はぁ……良かったぁ……」

 

獣道や木々の間を遊び場として育つ鴉天狗は、人間とは比較にならない卓越した脚力とバランス感覚を有している。たかが数分、蹲踞で撮影をしただけで、慌てて手を伸ばした程度で、身体が不安定にグラつくなど、本来はあり得ない事態だ。

 

先ほどから身体に悪影響を与えている原因は、この男の体臭以外には考えられなかった。紅白巫女や、白黒魔法使いと真っ向切っての対決ならともかく、就寝中の中年男を相手に膝を突くなど、鴉天狗としてのプライドが許さなかった。

 

「あの山の向こう側へ、墜落したカメラを探索がてら調査といきましょうか」

 

布団で眠る男の周辺には、大量のゴミが堆積している。カメラが落下したのは、文が膝立ちになっている位置から1mちょっとの距離ではあるが、徒歩でたどり着くのは困難だ。丸い空き缶に足を取られて転んでしまう危険性もある。

 

「こういう時、空を飛べるのは便利だわ」

 

漆黒の翼を広げ、羽ばたかせる。身体がふわりと浮かび上がる。じっとりと澱んだ部屋の空気を掃き清めるような、フローラルな香りとともに清風が吹き、古新聞や使用済みティッシュが宙を舞う。

 

「んぅ、ぐぅ……っ!うぅ……っ!」

 

羽ばたきによって舞い上がった埃で咽せたのか、堪能していた文の膣スメル供給が失われたことが耐え難いのか、大人しくなっていた男の寝息が、赤児のぐずり声じみたものへと変化する。

 

だが文の関心はすでに男から、カメラへと移っていた。部屋の宙を、床から1mほとの高さで低空ホバリングしながら、眼下に広がる醜い肢体に己の美しいシルエットを重ねていく。

 

「くふっ、けほっ、ぐぅぅ……こ、これは強烈ですね……!」

 

男の股間の上空を顔が通り過ぎるタイミングで、鼻腔が悪臭に襲われ、咳き込んでしまう。活火山の噴火を上空から報道するヘリのごとく、安全圏まで高度を上げていく。

 

天井付近で腕組みをし、部屋を俯瞰する。室内の床はその大半が、空き缶と白いティッシュゴミに埋め尽くされている。暖房の類が見当たらないのに室内が仄暖かいのは、この使用済みティッシュの中身が発酵して熱を放っているからだろう。

 

とてつもない量と散らかり方で、まさにゴミ屋敷としか言いようがない。幸い、落ちた位置を把握しているから良いものの、この空き缶とティッシュの山から、己のカメラを探し出す羽目になっていたら、癇癪を起こして団扇で建物ごと吹き飛ばしていただろう。

 

「さて、カメラの回収ですが……うわっ、あんなところに……うぅっ」

 

真紅の瞳がすうっと細まり、切れ長の眉が上向く。薄い唇が、への字に曲がっていく。文が嫌悪感を剥き出しにするのも無理はない。落下したカメラは、よりによって寝ている男の股座、黒々とした玉袋に寄りかかっていた。

 

「雄の睾丸は痛みに極端に弱いと聞きますが……平気な顔して眠ってますね?ひょっとして人並外れて玉袋が分厚いのかも……」

 

先ほどまでの嫌悪の表情はどこへやら、好奇心を刺激されたらしく、親指と人差し指で顎を掴む仕草で、うんうんと頷き、下降していく。

「空き缶や屑紙に触れるのは遠慮したいところですが……」

 

布団の上で、それらのゴミ類が散乱しておらず、文が着陸出来そうなスペースは、男が菱形に広げた脚の間くらいのものだ。そこへ、すらりとした右脚が降り立った。

 

翼を広げたまま脚一本で布団の上に立つ文の姿は、南国の鳥、紅鶴に似ていた。頬が、フラミンゴピンクに染まっていく。羞恥や怒りによるものではない。アンモニアとフェロモンをたっぷりと含んだ男根臭の影響であることは、間違いなかった。

 

「頭に跨ってた時は、脂ぎった酸っぱい臭いやアルコール臭が凄まじかったですが、排泄のための器官が備わっている股間となると……っ」

 

耐え難い体臭に、掌で口元を覆い隠し、黙りこくってしまう。横隔膜が競り上がり、喉の奥に苦いものがこみ上げてくる。逃れようと羽根に力が篭るが、羽ばたきによって更なる臭気が巻き上げられでもしたら、堪ったものではない。

 

「くぅ……想像以上の臭いですね。呼吸を止めて素早くカメラを回収したら、窓の外へ一直線しちゃいましょう」

 

右脚は直立不動のまま、お辞儀をするように頭を深く沈めていく。腰が曲がるのに合わせて、真っ直ぐに伸びた左脚が持ち上がり、ピタリとバランスを保ちながら水平になった。スカートから露わになった太ももが、窓からの旭光に照らされて、しっとり汗ばんだ絹肌を煌めかせていた。

 

閉じた唇の真ん中から鼻頭へかけて、左の人差し指が添えられている。口や鼻呼吸によって臭気を取り込まぬよう、自分を戒める為の仕草だが、大きく広げられた濡羽色の翼と相まって愛嬌と美しさを感じさせる。

 

カメラへ伸ばされた右の指先が、革製のストラップに絡む。文の愛用品で、長い年月を経てタンニンが紫外線や手脂によって経年変化し、なんとも言えない飴色の艶を醸し出している。幸い、こちらは男の玉袋に接触せずに済んだようだ。

 

引っ掛けた指を折り曲げ、グッと牽引する。ねっとり絡みついたスライムを引き剥がすような粘着感が、ストラップを通して指先へ伝わってくる。

 

「うわっ!きったな……」

 

自らに課した戒めを破り、思わず口を開き、僅かだが鼻から臭気を取り込んでしまう。愛用のカメラ筐体に、ぶりぶりとした睾丸の膨らみを主張する玉袋が、べったりとへばりついていた。

 

汗と垢にまみれ、高温多湿の環境で発酵した玉袋の表層。栄養をたっぷり含んだ皮の大地に繁る縮毛から、鮮烈な男性フェロモンが、むわりむわりと揮発していた。

 

どっちゃりと垂れ下がった玉袋が、重力に引かれてカメラ筐体から引き剥がされていく。手榴弾の信管に繋がる安全ピンを引き抜くように、ストラップを強引に引っ張り上げて剥離させる。

 

無機質のカメラ筐体から、菌糸みたいなねっとりとした体液が糸を引く。あと数時間、引き剥がすのが遅れていれば癒着していたのではないかと思わせるほどの粘着力だった。

 

ふらり……。

 

目眩でも起こしたように、泥酔したかのように、身体が揺れる。膝が震えて、片脚だけでは立っていられなくなる。左脚の先端、高下駄の一本歯をアンカーのごとく布団の上へ勢いよく踏み下ろした。万全の状態であれば、布団どころか古畳の下に敷かれた荒床まで到達する一撃だが、下駄の歯は布団に敷かれたシーツを破るに留まっている。

 

「あやや……。これはかなり、ヤバそうですね。力が入りません」

 

両膝を内股気味に揃え、口元を押さえていた掌で太ももの震えを抑え込む。当然、口から鼻から牝天狗を大いに弱らせる臭気が、呼吸に合わせて体内に入り込んでくる。

 

まるで一酸化炭素中毒にでもなったように、急激に体調が悪化していく。頭がうなだれ、背筋が曲がり、肩の関節が外されたように、だらりと力が抜けていく。膝へ固定した両腕を支えにしていなければ、今すぐにでも男の股座へ崩れ落ちてしまいそうだ。

 

「んんぅ……ぷは、はっ、はぁ……けほっ、げほっ」

 

濃厚極まるフェロモン臭に身体が拒絶反応を起こし、激しく咳き込んでしまう。鼻の奥がずうんと痛くなり、閉じた瞼の内側で涙が滲む。咳に続いて苦いものが喉奥に迫るのを、ぐっと堪えて飲み込んだ。

 

「ぐぅ……くっ、ふうっ、あぁ……っ!」

 

もう立ってはいられなかった。布団の上で片膝をつき、肩が上下する。ぜえぜえと荒い息を吐いたぶんだけ、失われた酸素を求めて肺が収縮し、男根フレーバーで汚染された気体が、血流に乗って全身へ巡っていく。

 

たかが男の体臭ごときが毒ガスめいた症状を引き起こすとは、何かがおかしい。 霞かかっていく脳のデータベースから、現状で考えうる原因を探っていく。

 

「ああ、最近ご無沙汰だったので忘れていました。ちょうど発情の時期……でしたか」

 

下腹を掌でさする。あるはずのない心臓が、そこで脈打っているのかと錯覚するほどに、指の先からどくんどくんと力強い疼きが伝わってくる。

「そ、それにしたって筋骨隆々とした逞しい益荒男や、見目麗しい少年の匂いで発情するならともかく、こ、こんな……はぁ……うぅ……っ❤️」

 

ガニ股で眠る男の脚の間に、両膝立ちになってしまう。肩がだらんと力なく垂れ下がって、黄ばんだシーツ生地に爪を立てていた指先が放射状に広がっていく。

 

「あぁ、うぁ……❤️」

 

下腹からの疼きは、全身に回っていた。人よりはるかに強く賢い鴉天狗だが、発情という生理現象にはめっぽう弱かった。元来、天狗は多淫であり、妖怪の山にはそれらを解消するコミュニティも存在する。

 

文はそういった集まりを好まない。 天狗というのは傲慢で支配欲が強く、性行為で絶頂させた牝天狗を自分の女であるかのように扱う者が少なくない。たかが性欲の解消のための乱交会で、自分より弱い雄や格下の白狼天狗にマウントを取られるのが鬱陶しく、一度参加したきり顔を出していなかった。

 

閨を共にするのは、里で見かけたり取材などで知り合った純情そうな少年・青年が主だった。初々しい、懸命な抽送を腹の奥で熱い滾りとともに受け止め、相手を抱きしめながら行為の出来を褒めてやり、淫らな囁きで次なる交わりへ誘い精を貪る。そういった解消の仕方を好んだ。

 

そういった情事も、近ごろ途絶えて久しい。新聞制作にのめり込み、性欲を解消するよりも知的好奇心を満たすことを優先していたためだ。だからこそ心血を注いだ文々。新聞を、性欲で穢した中年男の体臭にあてられて発情してしまった己が、恨めしかった。

 

もはや立ち上がるどころか、膝立ちを保持していることすら困難だった。両脛をぺたんと開き、重量感たっぷりの汗蒸れた尻が、散乱していた空き缶をプレスしつつ、シーツに不時着した。

 

「あぁ……はっ、ううんっ❤️あっ、はぁ……❤️」

 

割座で尻を左右にゆったりと振る。尻圧によってアルコール飲料の空き缶がベコベコと音を立てて潰れ、凹凸が形成される。昂って湿り気を帯びた黒ショーツのレースが、アルミの表層をさすさすと撫でた。

 

「んっ、ふぅっ❤️あうぅっ、あ、空き缶なんかで……気持ちよく、なってえ……❤️」

 

ふっくらと膨らみを帯びた陰核が、アルミのエッジで鋭く撫で上げられる。ソリッドな刺激に、腰から延髄にかけてゾクゾクと快楽信号が駆け上る。十本の指がシーツをギュっと掴み、足の指が爪を巻き込むように丸まった。

 

「んぅ、ふううぅっ❤️んぁっ、ふぁぁっ❤️」

 

アルミ缶の凹みに沿って、食い込ませた秘裂を前後させる。表層に印刷された檸檬が、愛液にぬめるレースに拭かれて果肉の断面をぬらぬらと結露させた。

 

「あぅ、声でちゃ……むふっ、ううぅっ❤️ふうっ、あぁ……❤️」

 

金属缶の軋みに発情鴉の嬌声。足元で奏でられる艶やかな二重奏が、男の側頭葉を刺激する。膨らんだ腹肉へもたれ掛かっていた肉棒に芯が入り、キノコの傘みたいに張り出したエラがググッと凶悪に反り返る。

 

「……っ!?」

 

そのあまりの威容と強まる臭みに、文も息を呑む。特に臭気は鮮烈だった。据えた臭いが漂ってくる。などというレベルではない。アンモニアとフェロモンの混合液が滴る脱脂綿を、鼻腔の奥深くへ突っ込まれたような衝撃。

 

「ぇ、あ……うぁ……」

 

臭気は、原因物質が酸素と結合することで発生する。科学知識と、牝としての本能が、この場所での呼吸は危険だと警告を発する。だが生物である以上、酸素を取り込み二酸化炭素を排出しないことには、生命活動を維持できない。

 

今の文は、鳥黐に絡め取られた鴉だ。逃げ出そうにも足腰は立たず、留まっていれば流れ込むスメルによってもがき苦しむ。酸欠によって意識は薄れていき、保持力を失った腰がより深く沈み込んでいく。

 

ベゴ、グボ、メキュメキュ、ガボ。

 

コピー用紙ほどの薄さの金属筒が、異音を立てて潰れていく。変形によって隆起した鋭いエッジが、レースの向こうで張り詰めた陰核を押し上げる。

 

「ひぃ!?ん、ぐぅっ❤️ぁ、あううぅっ❤️」

 

発情しつつある身体の、最も敏感な箇所への一撃。不意の強快感に悲鳴じみた嬌声が漏れ、我慢していた酸素をたっぷりと吸引してしまう。

 

「あっ!?はぁっ、ああぁ、うぅああっ❤️」

 

陰核から脳天へ突き抜ける快楽信号と、呼吸器から血流に乗って体内を駆け巡る発情誘発フェロモン。 単体でも人体に過大な影響を及ぼす二つの要素が、文の中で相乗効果を生み出し、作用する。

 

「んぅっ、うぅ……うぁ、あふっ❤️ふううぅっ❤️」

 

鼻口を交差させた両掌で覆うが、もう遅い。ぷしゅぷしゅと熱い液体が股布を貫き、金属缶の凹みに打ち付けられた水音を増幅させる。長い年月、持ち主である男由来の臭気に満たされていた部屋の中に、牝の生々しい香りが満ち満ちていく。

 

「んぶぅっ、うぅ、うぇ、おぇ……」

 

横隔膜が競り上がり、胃が収縮する。口元を覆った指の間から、粘度の高い液体が垂れていた。危険なスメルに対する脳からの拒絶反応だが、発情スイッチが入った牝芯ははしたなく涎を垂らして更なる快感とフェロモン吸引を要求してくる。

 

頭では駄目だと分かっているのに、身体が勝手に動いてしまう。背筋が角度を描き、ツンと上向いた高い鼻が下降する。淡雪のごとき白くきめ細やかな頬に、毒々しいフォアダイスをびっしりと実らせた亀頭が衝突した。

 

「……っ!」

 

ぬるりと、脂肪分をたっぷりと含んだ不快なぬめりが頬を拭った。冬空の下での配達によって冷えきった肌が、ナイフで切りつけられたように、ジンジンと熱く疼いた。鼻筋がわずかに震え、至近距離で危険なスメルをスゥッと啜り上げる。

 

「あ……う、あぁ❤️」

 

小さく穿たれた鼻孔へ、どっしりと重みのあるフェロモン臭が潜り込んでくる。鼻の奥から目頭にかけて、拳を叩きこまれたような衝撃。閉じた瞼の内側で、無数の星が飛び交っている。まるで気つけ薬みたいに粘膜へ強烈に作用し、脳が揺さぶられる。

 

「んぅ、すぅ……❤️はあ、ぁ……っ❤️」

 

吊り気味だった眉毛が八の字を描き、好奇心に爛々と輝いていた紅い瞳から、ハイライトが消え失せる。ばるんと揺れる胸の先端、肉のぽっちが花柄のレースを押し上げ、白いシャツの生地に存在を主張する。

 

「はぁ❤️はうぅ……っ❤️んうぅ、すうぅっ❤️はふ、はぁ……❤️」

 

甘い吐息を漏らし、鼻から吸えるだけの男根臭を目いっぱい吸引していく。鼻腔から咽頭、肺にかけてメントールじみた爽快感が駆け巡る。瞳がぐるんと上向き、脳がぐつぐつ煮立っていくような感覚に襲われる。

 

鼻の先に、逞しくそそり立った肉棒。うねうねと指で摘めそうなほどに太い血管が這い回り、むわりとした臭気と熱気を放っている。窓の外に降り積もった雪を押し当てれば、即座に溶けて黒ずんだ生臭い溶液が、玉袋の皺を流れ落ちるだろう。

 

「うっ、うぅ……こほ、けほっ、あ、あぁ……❤️」

 

あまりにも危険なスメルの吸引。涙を滲ませ横隔膜を激しく収縮させて咽せながら、うっとりと瞳を蕩かせる。

 

「あ、熱うい……❤️んぅ、あぁ……❤️」

 

高い鼻の先端を、肉棒に密着させる。うねうねと阿弥陀籤みたいに張り巡らされた血管に沿って、鼻頭がひくひくと蠢く。

 

「すぅ、はあぁ……❤️くさ、くさいぃ……❤️は、はな……曲がっちゃいそぉ……❤️」

 

よほど代謝が良いのか、それとも長いこと洗浄していないのか、赤銅色の血管を文の鼻先が擦るそばから、ポロポロと白い滓が肉幹から剥がれ落ちてくる。

 

「あ、やぁ❤️このおちんちん、ぜんっぜん……あっ❤️洗ってないじゃないですかぁ……❤️こ、こんなの……こんなの女の子に嗅がせたら、ダメ、絶対駄目ですよ……❤️駄目になっちゃう……❤️」

 

人差し指の爪先で赤銅色の肉棒表層を、すうっと刮ぐ。爪と指の隙間に、白い滓がみっちりと詰まっている。親指の腹を擦り付け、練り出す。

 

「な、なんですかコレ……❤️練り香水みたいに垢がペースト状に熟成して、うあぁ……❤️こ、こんなの嗅いじゃったら……❤️」

 

人体の中で男性器は、最もバクテリアが繁殖するのに適した場所だ。精子製造工場である陰嚢からの排熱。下着を着用していることで汗をかきやすく、垢が溜まりやすい。ときおり流れ落ちてくる小水や精液といった汚れは、アンモニアと蛋白質を多く含み、彼らのご馳走だ。

 

微生物分解によって発酵し、熟成を重ねた汚れ。震える文の指の上で練り上げられたゴマ粒大の垢玉は、繁殖期を迎えた牝にとって、発情をブーストさせるダイナマイトに他ならない。

 

鼻梁の麓に位置する窪み。人中と呼ばれる箇所へ、それを擦りつけた。

 

「ふぅっ、はっ、はあぁぁ……❤️」

 

腹腔を凹ませ、肺の中から酸素を目いっぱい、吐き出す。息苦しさと、期待と、破滅の予感に、心臓がバクバクと脈打つ。 人中に押しつけられた垢玉を、人差し指と中指がこねくり回す。指紋の凹凸をみっちりと埋め尽くしたペーストが、摩擦熱に蒸されていく。

 

「おかし、おかしくなっちゃう……❤️こ、こんなの嗅いだらぁ……狂っちゃうから……駄目、ダメぇ……❤️」

 

呼吸困難で頭がくらくらする。肺が酸素を求めて、じくじくと痛む。心臓が今にも破裂しそうなほどに脈打ち、アルミ缶に押しつけられた陰核がぐにぐにと押しつぶされて、ぷしゅぷしゅと潮を噴く。

 

「はっ、あふぅうっ、、、ふうっ、はぁ、はあ……はっ、ははは、はぁあっ❤️」

 

顔面を、そそり立つ男根へ押しつける。もっとも臭気が強いと思われるカリ裏へ、鼻先が捩じ込まれる。男根と恥垢の混合臭を、粉末状の薬物をスニッフするように、鋭い吸引でスメルを体内に取り込んでいく。

 

「ふっ❤️すぅっ❤️はっ、ああっ❤️くさっ❤️くさいぃ……❤️さい、さいってえ❤️こんな臭いの、馬鹿になるっ❤️くる、きちゃううぅっ❤️」

 

鼻筋が、亀頭の先端からカリ裏、肉幹の根本まで往復する。それぞれ異なる悪臭のグラデーションを楽しみ、鼻腔の中で撹拌された濃厚フェロモン臭が文の脳髄を蕩かせた。

 

「げほっ、ごほっ、あっ、あぁ……❤️うえぇっ、げほっ❤️」

 

少女にあるまじき品のない嘔吐音。薄い紅唇の端に白いものが付着し、泡を含んだ粘度の高い唾液がつぅっと糸を引く。ぱちぱちと瞬いた瞳から、刺激臭によって分泌された涙の粒が弾けて、くるんと上向いた漆黒の睫毛を艶めかせる。

 

完璧な造形を誇っていた射命丸 文の美貌と品位が、たかが人間の体臭によって台無しにされようとしていた。

 

「はぁ……はぁ……❤️あぁ……❤️」

 

文の熱く湿った鼻息によって、潤いを得た股間のキノコが、喜びを表すように、ぴくぴくと痙攣する。鈴口からは白く濁った粘液が、とろとろと溢れ出す。精液ではない。

 

だが、カウパーにしては色と粘度が異様だった。カリ首に生えたフォアダイス。強烈な悪臭。何らかの性病を患っているのかもしれない。

 

「うぇっ、えっ、おぉ……ぐうっ」

 

鮮烈なカドミウムレッドの亀頭に、膿のごとく白濁した先走り。練乳をたっぷりとまぶした苺を彷彿とさせるバイカラー。そこから漂うのは、唾液が溢れるような酸味と濃厚なバニラのハーモニーではない。海鮮物を常温放置したような、強烈な悪臭だ。

 

せり上がってくる胃液を抑えきれない。高熱を出した時みたいに、頬も額も熱く火照っていた。頭がくらくらして、今にも倒れてしまいそうだ。強靭な天狗の肉体と精神をここまで蝕む男根スメルへから逃れるように、くるくるとカールした陰毛のジャングルへ鼻先が墜落した。

 

生まれてこの方、カットされたことがないであろう縮毛。見た目通りのゴワゴワとした髪質が、文の清らかな絹肌へ、有刺鉄線のごとく絡みつく。

 

鼻腔と言わず唇と言わず、僅かな隙間から毛の先端が潜り込んで、べっとりとした脂分を塗りたくってくる。

 

蛋白質の汚れをたっぷり染みこませた縮毛が、整った歯列のエナメル質を撫でる。甘い唾液の泉に、こってりとした脂分の臭みが、でろでろと溶け出していく。

 

「んぅ、ぶぶぶぅっ、ぇお……」

 

食物ではない異物が口内に入り込んだだけで、人は強い不快感を覚える。 それが汚れと臭気を含んだものならば、なおさらだ。即座に吐き出して口をゆすぐべきなのに、次から次へと唾液が口内粘膜から滲み出してくる。

 

「んぁ、これじゃ……私が、ぉぁ、ぶぅっ、じゅるっ❤️あふぅ、ふぐりを口に含んで、美味しいと感じてるみたいじゃないですか。」

 

誰に聞かせる言い訳なのだろうか。文が陰毛の茂みへ、真っ赤な舌を潜り込ませていく。舌苔などいっさい見えない健康的な舌。日ごろは人を食ったような言葉を紡ぐ饒舌な舌が、今は渦を描いた縮毛に媚びるように絡みついている。

 

「んふっ、すぅ……うぅっ❤️んっ、ふぅっ、ふうぅっ❤️おぇ、んぁあ、くさ、くさぁ……❤️」

 

鼻先がなまあたたかく、どっちゃりと湿った陰嚢へと突き刺さる。剛毛の毛束が鼻腔に潜りこみ、短く手入れされた文の鼻の毛を、蔦植物みたいに覆っていく。

 

「っお……❤️ふうっ、はっ❤️い、一瞬ですけど、意識真っ白に飛んじゃったじゃないですかぁ……❤️はぁ、ぁあ……臭すぎるんですよこの玉袋……❤️ぜんっぜん洗ってないから陰毛のキューティクルが酸化した玉脂で覆われて、んちゅっ❤️ちゅるっ❤️んちゅぶっ❤️げほっ、ぶふっ、は、はぁ……吐きそ……❤️あ、味もこってりしてて、舐めてるだけで脳味噌びりびり痺れて……❤️」

 

瞳をとろんと蕩かせ、鼻先を柔らかなふぐりへ、ぐりぐりと押しつける。摩擦と圧迫によって分厚い玉袋の毛穴から汗と脂がじわじわと染み出し、ただでさえ臭みの強い箇所から、特濃のフェロモンが弾けて拡散していく。

 

「んぅっ、はぁっ、ふううんっ❤️はつじょっ、発情しちゃうっ❤️こんな、こんな臭いのむわむわ濃いの嗅がされたら、牝になっちゃいます……❤️ふんっ、すぅっ❤️すーっ❤️はああぁっ❤️」

 

ゴペ、ぬちゃ❤️ボグ、ずろぉっ❤️メキャ、ぷしゅっ❤️メキャ、ぐちゅぬちゅ❤️ボガ、ぐりっ❤️ぐぎゅりっ❤️

 

股と布団の間で、空き缶が押し潰される金属音と濡れそぼった粘膜がこねくり回される淫なハーモニーが奏でられる。

 

「うぇ、ぇえっ❤️おぇ、へぇ……❤️べろっ❤️あ、脂すごぉ……玉脂で舌馬鹿になっちゃう……しょっぱいの、癖になっちゃう……❤️」

 

舌先が陰嚢本体に接触する。冷えた豚肉料理に浮かび上がる白い脂分を思わせる塩分とねっとりとした食感が、交尾に飢えた牝の本能に火をつける。

 

「あーん……❤️あんぶっ❤️んぼっ❤️ぶぶうっ❤️れろっ、れろれおぉ……❤️おぇっ、おえぇ……❤️」

 

唾液で濡れ湿らせた薄い紅唇が大きく開かれ、ぼってりと分厚い玉袋を口内に導いていく。柔らかくぬめる軟体生物のごとき陰嚢に、睾丸がごろりと滴り落ちて、確かな重量感と圧倒的な熱量で牝天狗の舌と脳、子宮を狂わせる。

 

「あっ、むぅ……❤️ちゅぅっ❤️ちゅる、ちゅうっ❤️んちゅぅる……❤️んばっ、あっ、ふぁ……❤️」

 

睾丸を深く飲み込んでいく。艶やかな唇で吸いつき、びっしりと生えた陰毛をこそぎ落とすように歯を這わせる。整った歯列に入り込んだ玉を、舌で持ち上げては落とし、唾液に溶けるフェロモン脂を口内粘膜で味わっていく。

 

「ふぅ、ふうんっ❤️うんっ、ううぅ❤️ぶえっ❤️はっ、はぁ……❤️」

 

まだまだ味の染み込んだ無洗キンタマを吐き出す。脂分たっぷりの陰毛と玉袋に拭かれて、唇に薄く塗ったルージュが溶け落ちて、キスマーキングが施されていた。頬にはアスファルトの熱に焼かれて干上がったミミズみたいな縮毛が張りつき、吐き出す吐息は男のフェロモン臭に満ちていた。

 

「はあぁ……❤️片玉だけでお腹いっぱいになっちゃいます……❤️よゆ、余裕のある、うちに……おちんちんも味見しないと……❤️」

 

玉舐めに夢中になっている間に、文の姿勢は蹲踞からうつ伏せで寝そべる体勢になっていた。鼻頭を逞しい肉幹の裏筋へ押しつけると、背筋を逸らしてスメルを吸引していく。

 

「すうぅっ❤️ずぅっ❤️ふっ、すうぅ……❤️」

 

発情しきった状態で直嗅ぎする男根臭は、牝の本能を刺激する。生地の水分保湿量を突破したショーツは、スプーンで掬った巣蜜のごとく生々しい牝の蜜を滴らせ、黄ばんだシーツの上に淫らな小池を作り出している。

 

「れろっ❤️んぶっ❤️べえ……❤️れろおぉ……❤️ぢゅる❤️」

 

鼻筋が肉幹を通過すれば、摩擦によって垢がこそげて、消しゴムをかけたノート用紙みたいに白い滓が浮き上がる。鼻からのスメル吸引とともにそれらは鼻孔に導かれ、這わされる熱くぬめる舌によって捕食されていく。

 

「ずうっ、すっ❤️んっ、ぁあ……❤️んれろっ、ちゃぁ❤️ちゅっ❤️」

 

灼熱棒と形容して差し支えない肉幹に、たっぷりと唾液に潤う舌が這い、味蕾がこってりと粘っこいフェロモン垢を舐め取っていく。味わいは均一ではなく、部位によって香りも異なる。

 

「んぶっ❤️んむぅっ❤️ぢゅばっ❤️れろっ、れろんっ❤️んふぅ……❤️」

 

玉袋と肉幹の境目などは、特に臭みと味わいが強い。嗅ぎ舐める度に、鼻腔の奥から目頭にかけて鮮烈な刺激がこみ上げ、舌先の味覚が麻痺してしまうのではないかと思うほどの濃厚な脂っこさだ。

 

「はうっ、ああぅ……❤️おちんちん……❤️持ち主は眠ったままなのに、びくびく跳ねて……すごぉ……❤️」

 

グッと太くなった肉幹の中央部分。もはや文が親指と人差し指で形作った指の輪では収まりきらないほどの直径を誇り、爪の先で摘み上げることが出来るほど高く浮き上がった血管からの脈動で、火傷してしまいそうだ。

 

「れろぉ……ふふっ❤️んぁ、べっ❤️べろっ❤️ちゅっ、ちゅぅっ❤️んぶっ、ぶあぁ……れろっ❤️」

 

ペニスの中央に走るぶっとい直線。隆起した裏筋へ舌を密着させると、根本から亀頭の手前までゆっくりと舐め上げていく。ネトネトとした脂分たっぷりのゾーンから、ワイルドな雄臭で牝の子宮をメロつかせる中ほど、ぢゅくぢゅくと化膿したようなカウパーが滴る、水っ気と塩分キツめな亀頭付近の味わいの変化が堪らない。

 

「あぶっ、べぶっ❤️ふうっ❤️れろれろっ❤️ひたぁ、したおかしくなるぅ……❤️ずうっ❤️」

 

あまりの刺激の強さに、横隔膜が痙攣する。蕩けた瞳から涙が滴り、鼻からは透明な粘液が垂れて、紅唇がホエー液みたいな透明感ある白濁液でぬらぬらと生臭くコーティングされている。

 

「すんっ、ふっ、ずうっ❤️は、はぁ……はぁ……すぅ……おっえぇ、へぇ、はっ、ああ……」

 

鼻水を啜り上げると、鼻頭を亀頭に押しつけ、媚びるように笑った。いつの間にか股布は横へずらされ、人差し指と中指がぐちゅりぐちゅりと発情粘膜穴をかき混ぜていた。

「あはっ❤️おちんちんの臭いをオカズに、おまんこ穿っちゃってます……❤️クリトリスも破裂しそうなくらい勃起して、ああぁ……❤️愛液、お尻の穴まで濡れ滴って、パンツ台無しになっちゃいました……❤️」

 

あなたのせいですよと責めるように、舌が亀頭の表層をひと舐めする。螺旋を描くような舌使いで膿と見間違えるような白濁カウパーを舐め取り、亀頭にこってりと層を成す恥垢脂の層を剥いでいく。

 

「んぶっ❤️ぢゅぶっ❤️れぢゅぅ……❤️ちゅぶっ、ぐちゅっ❤️」

 

ゲップが出そうな濃厚すぎる味わいに、文の口淫もヒートアップする。唇を窄め、舌先をドリルみたいに旋回させて尿道口を穿り返す。ぴっちりとくっついていた尿道の入り口がこじ開けられ、溢れるカウパーを蹴散らしながら舐めしゃぶる。

 

「ちゅぱ❤️ちゅぅ❤️ぢゅるるっ❤️んぢゅぅ❤️あむっ❤️んぷっ、ぶうっ❤️」

 

亀頭の形状に沿って吸いつかせた唇の内側に、フォアダイスが引っかかる。ふやけた恥垢にまみれた唇の表面が凹凸のディティールに引っ掻かれる感触。犯しているのはこちらなのに、唇に食い込んで抵抗してくるのをいじらしく感じてしまう。

 

「はっ、膿みたいなカウパー垂れ流しの尿道口といい、このカリ首のぶつぶつといい、こんなおちんちん舐めてたらビョーキになっちゃいます……❤️」

 

膣穴に潜り込ませた中指の関節が曲がり、心地よいスポットをぐぢゅりぐぢゅりと引っ掻く。夏の夕立で出来上がった泥のぬかるみを手づかみしているような、熱いぬめりが生々しい香りと淫音とともに文の性感を昂らせていく。

 

「うはぁ、んぁっ❤️お“ぉ“っ❤️」

 

野太い嬌声が腹の底から飛び出し、練った水飴みたいなとろみが指の間から糸を引く。脳が甘く痺れ、理性がどんどん薄れていくのが、たまらなく心地よい。まるで麻薬中毒者のごとく、男の不潔なペニスの味と臭いに魅了されていた。

 

「んぇあ……あ〜ん❤️」

 

紅色の唇を、めいっぱい開く。瞳はうっとりと蕩けきり、鼻先にはねっとりとした恥垢が掠れた白い痕跡が刻まれている。整った白い歯列から、健康的なピンク色の舌がれろれろと蠢き、ぬらりぬらりと煌めく唾液が口端から垂れ流しになっている。

 

「あんむっ……❤️ぶっ、ぶふっ❤️んぅ〜〜っ❤️」

 

傘を開いた毒のキノコを、口の中に迎え入れる。途端に、激しくむせた。これまで行っていた「舐め」主体のフェラチオでは、亀頭が露出していたために、立ち上る臭気は大半が空気中に揮発していた。

 

それが「咥え」のフェラチオに変化すると、ペニス由来のフェロモン・アンモニア・恥垢といった単体でも強烈な刺激のスメルを混合されたものが100%の濃度で口内から鼻腔にかけて叩き込まれてしまう。

 

スメルダイナマイトと呼んで差し支えない臭気の爆発が、文の口内で炸裂し、呼吸器へ変化をもたらしたのだ。

 

「んぶぅっ❤️ぶぶっ、お“ぶっ❤️ぶぶぅ“っ❤️」

 

拒絶反応を起こして痙攣する呼吸器を、子宮から突き上げる疼きで押さえつける。無呼吸のまま、顔を前後にスライドさせて、窄めた唇で肉棒を扱く。

 

これまで相手にしてきたどんなペニスにも無かったのが、この大きく開いた亀頭のエラだ。弓矢の鏃みたいに深いカリ首は、唇で口内に迎え入れれば、容易に吐き出すことが出来ないほどにグッと張り出している。

 

こんなモノで膣穴を穿られでもしたら、穴はめためたに捲り返され、肉襞は全てこそぎ落とされ、平されてしまうだろう。己が口内でビクビクと脈打つペニスの恐ろしさに、全身がぞくりと震えた。

 

高温多湿の環境でキノコ等の菌類が活動を活発化させるように、ペニスも女の口内粘膜に迎え入れられたことでしきりにカウパーを分泌し、顎が外れそうなほど大きく開いた文の口内、整った歯列が囲いみたいになって形成された唾液のプールに、生臭い腐れカウパーがぽたりぽたりと滴っていく。

 

「あぶっ❤️ぢゅぅっ❤️んぢゅぶっ❤️れろ、れぉ……❤️」

 

無洗ペニスに付着したあらゆる汚れを、舌の味蕾がブラッシングして剥ぎ落としていく。あたたかくぬめる唾液のプールに、先走りと恥垢が溶け出して、意識を失いそうなほどに強烈な臭みが鼻腔へ突き抜ける。汚染された唾液をぐちゅぐちゅと撹拌しながら、嚥下する。

 

「んくっ❤️こくっ❤️れぶっ❤️……んううっ❤️ふっ、ふぁぁあっ❤️❤️」

 

汚液漬けにされていた口蓋垂がジンジンと熱くなり、同時に子宮もキュウキュウと痛いほどに疼いた。人外である鴉天狗といえど、牝である以上、濃縮された男性フェロモンを取り込んで正気でいられるはずもない。

 

「お“っ❤️お“ぉ“〜っ❤️ほじほじするの……❤️とまんなぁ、いぃぃっ❤️❤️」

 

狭い膣穴には揃えた指を三本、クリ側の浅いところを擦りあげながら素早く抽送する。岩の窪みに溜まった雨水を掻き出すような、ピチャピチャと水っ気たっぷりの淫音が響く。

 

「んぢゅるっ❤️はふっ、うぐぅっ❤️れろっ❤️ぢゅぶる❤️ぶぶっ、ぶはっ❤️お“っ❤️」

 

たびかさなる男根臭の吸引によって麻痺していた鼻腔に、発情汁の牝臭がむわりと香る。自覚しにくい筈の自身の分泌臭に驚きつつ、口内でさらに反り返りを強くするペニスを舐めしゃぶる。

 

「ッご!う、おっ、おぉ……!」

 

おしゃぶりとマンズリに夢中で気づいていなかったが、先ほどから男のいびきは止み、戸惑うような呻き声へと変化していた。睡眠からの覚醒が近いのだろう。合わせて、文の口内でみぢみぢと海綿体が膨れ上がり、痙攣を始めた。

 

「あぁ……起きてしまいます……❤️は、はやく、はやく……ぢゅっ❤️ぢゅぅっ❤️ぶぢゅううっ❤️」

 

男が起きた時の面倒ごとを考えれば、今すぐ口内のペニスを吐き出し、開きっぱなしの窓から退散して何もなかったことにするのが一番賢い選択だった。だが今の文にその様な判断は困難だ。

 

「れぶるっ❤️ぢゅるっ、んぶぅ❤️ぐ、うぁ……❤️ん“ッ❤️うううっ❤️」

それまで摩擦メインだった指マンが、爪先から指の根本までどちゅん!どちゅん!と杭打ち機みたいに奥深くまで穿つ動きへ変化する。どろりと蕩けた粘膜穴を指が押し広げ、撚りを加えた抽送が子宮の手前まで疼く肉襞を蹴散らしていく。ぷしゅりぷしゅりと噴き出す潮が空き缶に叩きつけられ、男の不潔臭に文の牝臭が混然となっていく。

 

「ぐぅっ!お“っ、おおおお……ッ!」

 

いびきとも呻き声ともつかない野太い声が、男の喉奥から漏れ出る。脂肪に埋もれて確認できないが、腹筋がびくびくと痙攣しているのだろう。目前に広がる肉の海原がうねうねと波打ち、口内を埋め尽くす肉棒が精子混じりのねっとり濃ゆいカウパーを溢れさせる。

 

「んうぅっ❤️ぢゅうるぅ……っ❤️らひてぇ……ぶっ濃いザー汁、文のお口にぃ……❤️れろれろっ❤️あむっ❤️んぢゅぶぅ❤️」

 

ディープスロートと指マンのストロークがリンクする。股座で粘膜と愛液をシェイクする音と、口内で亀頭を舐めしゃぶり、カウパーを啜り上げるミックスサウンドが脳を揺らす。

 

「う“う“ぅっ!!ぐおおおぉっ!」

 

だらしなく開きっぱなしだった男の両脚が、ピィンと真っ直ぐに伸びきる。爪先の親指がキュッと内側に折れ曲がり、ビクビクと跳ねる。股間へ血流が集中し、口内射精へのカウントダウンを刻んでいる。

 

「ふうぅぅうっ❤️ぢゅぶるっ❤️ぢゅぞっ❤️んぢゅぶぶぶっ❤️れろっ、れえろぉおおっ❤️ぢゅぐ、んぶりゅっ❤️」

 

火傷しそうなほどに熱くなった肉棒と、破裂するのではないかと思うほどに脈動する血管を、キツく窄めた唇で締めあげる。日ごろからよく動く舌が唾液をたっぷりと纏わせ、尿道口を穿り、カリ首に巻きついては性感を昂らせていく。並の男なら、10秒持たずに射精に至る本気の搾精ディープスロートに、鈴口が噴火した。

 

ぶびゅっ❤️びゅぶるるるるっ❤️どびゅるぶびゅっ❤️ぼっびゅぅ❤️

 

亀頭が破裂してしまったのではないかと勘違いするほどの、ドロドロとした粉瘤じみたザーメンが口内に溢れ出す。あまりの濃さと青臭さに、舌の感覚が麻痺しそうだ。

 

「んぶっ!?ぶうぅっ❤️んぐぶうぅっ❤️うぶっ❤️あお……ッ❤️」

 

精液の噴火が、喉奥に垂れ下がった口蓋垂まで到達する。だらりと垂れた真っ赤な粘膜玉に、濃厚なとろみと臭みを帯びた白濁がべちゃりべちゃりと浴びせられ、絡みつく。

 

「ごぶっ❤️ぶぶっ❤️ぐぶぅっ❤️おっぶ……げぼっ❤️」

 

白い歯列が、血色の良い桜色の歯茎が、真っ赤な舌が、白濁の奔流に飲み込まれていく。あまりの粘度の高さに嚥下もままならず、嘔吐感と性的興奮だけが急上昇する。喉の奥から苦いものがこみ上げてくるのを無理矢理に抑え込みつつ、愛液を垂れ流す発情穴を三本指でぐぢゅりぐぢゅりとシェイクする。

 

「お“ッ、お“ぉ“ッ!!ぬごおぉ、うおぉっ!」

 

野太い呻きとともに、腰がびくんと跳ね上がる。肛門の皺がキュウっと締まり、毛むくじゃらの太ももが瘧のようにぶるりぶるりと震えて、金玉の奥から一滴残らず子種汁を文の口便器へ、ひり射精していく。

 

「ごぉ“ッ❤️お“ぐぅッ❤️げぶぅッ❤️」

 

下ろし金みたいなフォアダイスがびっちり生えた亀頭が、喉奥をゴリゴリと突き上げて、口蓋垂を押し潰す。その間も射精は止まらない。呼吸は困難で、わずかに気道へ流れる酸素は不潔ペニスと精液のフレーバーで汚染されており、呼吸器が拒絶反応を起こして激しく咽せてしまう。

 

(死ぬ……っ❤️死んじゃいます……っ❤️いっぐ、逝くうぅっ❤️)

 

男の太ももをタップするが、一向に起きる気配はない。逆に叩けば叩くほどに精液の量と勢いは増していき、口内に収まりきらない種汁が鼻から噴き出して、嗅覚が完全に破壊される。

 

「んぶぐぅっ❤️ぐぶ、ぶふ、お“っぶ❤️」

 

鼻の奥の痛みとともに、視界が真っ白に染まっていく。酸欠と味覚嗅覚への強烈な刺激によって、意識が彼方へ遠のいていく。脳のシナプスがぷちぷちと焼き切れる感覚。なのに性感は恐ろしいほど鋭敏になって、まるで自身が巨大な女性器になってしまったような錯覚を懐かせる。

 

「げぇっ、ごげぇえっ❤️い“っ、あ“ぁ❤️う“、ぅっ❤️ん、んん、ぅっ❤️あ“あ“ぁあああっ❤️❤️」

 

暴れ狂うペニスが口から飛び出す。甘える犬の尻尾みたいに、ぶるんぶるんと左右に激しく震える男根から、スプリンクラーじみた精液が噴き出して、文の顔面を汚していく。

 

「ごふっ❤️うえぇ……っ❤️かひゅっ❤️んひいいっ❤️あー、ひうぅぁ❤️んお“っ、お“ぉ“っ❤️」

 

堰き止められていた呼吸を再開したしたタイミングで、大気中に拡散した濃厚な精液臭を嗅がされ、脳と子宮が完全に牝へと堕ちた。三本指がぐじゅぐぢゅぬぢゅぶちゅと媚肉を掻き回し、親指がぷりぷりに勃起したクリトリスを右へ左へグニグニと押し潰す。

 

びゅるっ❤️ぶびゅっ❤️ぼびゅっ❤️

 

アクメに蕩ける牝天狗の美貌を、熱く新鮮な精液がどろどろに汚していく。雪の結晶を纏って宝石のごとく煌めいていた黒髪が、黄ばみかかった汚液でトリートメントされる。

 

「ぐさっ❤️くあっ、くさぁ……❤️おかしく、なぁ❤️なる……っ❤️臭いのぶっかけられてぇ……❤️おまんこ穿るの止まんなくなっちゃいますぅっ❤️」

 

頭のてっぺんの頭襟から連なる、ふわふわとした愛らしい梵天たちも黄濁ザーメンをぶち撒けられて、床に転がるオナティッシュ同様に、どっちゃりと湿った生臭い汚物へと貶められる。

 

読者へ大切な新聞を届けるための、配達カバン。長年使い込まれた指馴染んだ革の表面に、びちゃりびちゃりとペースト状の精液が絡みつく。

 

「あうぁ……❤️はぁんっ❤️わ、わたひの、ぜんぶぅ……❤️せえぇき、汚され……ぅ、ぁ……❤️」

 

菌糸が周囲の有機物を取り込み、分解吸収して成長と分岐を繰り返すように、毒茸じみたペニスから放たれる精液によって理性が分解されていく。

 

性感を満たすことしか考えられなくなり、文の知的好奇心に輝いていた瞳はいまや、蕩けきった牝の発情顔へと変化して、射精を続ける男根の上に跨っていた。

 

「ん“ぉ“っ❤️あつ、あつうぃ❤️絶頂おまんこにアツアツねばとろザーメンびゅくびゅく❤️ぶっかけるのダメぇ……❤️はぁ、はぁあああっ❤️お、おなにー、マンズリとまらなぁ……❤️」

 

ガニ股で両手を使って陰唇を割り開き、泡立った白い本気汁を滴らせる膣口をぐうっと拡げる。噴水みたいに熱い粘りが股間を叩き、陰核から膣内まで真っ白に染め上げていく。

 

ぬちゅり。ぐちゅり、ぎゅぶっ、めちゅぬちゅ。

 

ゲル精液を絡めた親指が、真っ赤に腫れ上がったクリトリスを撫で回す。ぐぱりと開いたシェルピンクの粘膜穴にみっちりと造形された肉ひだに、精液をずりずりと擦り込むように抽送を繰り返す。

 

「はぁ、ああぁ……❤️こ、こーびぃ❤️交尾したぁ……いぃ❤️びょーきおちんちんで文の発情まんこ、抉ってぇ……❤️穿ってくださいぃ……❤️」

 

腰を落とし、蕩けきった膣口で亀頭を咥え込む。勢いは収まりつつあるとはいえ、いまだに射精を続けているペニスを迎え入れることは、確率としては低いものの妊娠の可能性もある。おまけに性病の疑いもある不潔な生殖器だ。正しい性知識と衛生観念のある者ならば、決して選択しない行為。

 

「あぁ……❤️こんなえっぐいカリのチンポ挿入するの、はじめてぇ……❤️お“ぉ“〜❤️亀頭に浮き上がったブツブツで、ぞり、ぞりぞりゅ……っ❤️擦り潰されるぅうっ❤️」

 

これまで味わってきた、ガチガチに固い巨根から繰り出されるハードピストンや、歪に曲がって女の弱いところを執拗に穿るテクニックの長時間セックスよりずっと、この毒キノコじみた不潔ペニスがもたらしてくれる快感が、たまらなく気持ちいい。

 

「んぉ“っ❤️ひいんっ❤️あ、はぁ……❤️ひゃ、は、はいったぁ……❤️入っちゃったぁ……❤️カリまで全部……っ❤️」

 

腰を左右にぐり、ぐり……❤️回転させながら、巨大な亀頭部分を膣穴に馴染ませ、体重をかけて押し込んでいく。ずぽん……❤️と肉と粘膜が結合する粘着音が響き、文の全身がびくびくと痙攣する。

 

「お“ぉ“う“❤️う“う“んっ❤️」

 

蛇が獲物を呑み込むように、白いウェストがうねうねと波打つ。ぽっこりと浮き上がった亀頭のシルエットが、臍の下から上にゆっくりと抜けていく。

 

「う“ぅ“っ❤️ひ、ひぃぃ……❤️こ、こわれっ❤️おまんこ壊れるぅっ❤️お腹の中、ごりゅごりゅの凄いの突き抜けて、くぅっ❤️」

 

M字開脚の姿勢から挿入に合わせて腰が落ち、膝立ち騎乗位でペニスを根本まで呑み込んでいく。ギチギチに押し広げられた性感帯を、フォアダイスの柔らかなブツブツが引っ掻き、絶頂潮がぷしぷしと腹肉に打ち付けられて、飛沫が互いの身体を濡らしていく。

 

「あっ❤️ご、ごめんなぁ、さあいぃっ❤️牝天狗まんこの発情汁で読者さんのお腹汚して、ごめんなさいいっ❤️ぎぐうっ❤️このチンポ、おかしくなるぅっ❤️」

 

この家に侵入してから初めて口にする謝罪の言葉。これまで散々に見下し、嘲笑ってきた口からの嬌声と屈服淫語に、無反応を貫いていた男も反応する。

 

「ぉ……?んぅ……ああ……」

 

「お、起きて……っ!?んぁあっ❤️お、おもっ❤️潰れちゃ……❤️」

 

男が、寝ぼけ眼でむくりと上半身を起き上がらせる。体勢を崩した文は、騎乗位結合したまま布団に押し倒された。体位変更に伴って、肉棒が膣内のあらぬポイントに潜り込み、擦りあげ、圧迫して官能の大波がドッと押し寄せる。

 

「あ“っ❤️イッく……❤️イクイクいぐうぅ“ッ❤️」

 

「おぉ……!?んっ、うおおおぉっ!!」

 

意識が覚醒していない状態で味わう、極上の膣穴締め付けの快感。劣情を大いに誘う文の嬌声に、視点の定まらない濁った瞳が揺れる。股座からこみ上げる絶頂感。淫夢を見ていると脳が勘違いを起こして、男の身体が無意識下で腰を打ち付け始めた。

 

「んにゃぁああっ❤️だ、めえぇっ❤️こんな状態で突かれたら、死んじゃうっ❤️からあっ❤️ひぃっ、ひいいいっ❤️お“お“っ❤️ゆるし、てぇ……っ❤️」

 

「ふっ、ふーっ❤️んううううっ!!!ふんっ❤️ふうんっ❤️」

 

逃れようとする文の腰を、芋虫みたいに太く短い指が押さえ込む。上半身の体重が骨盤を軋ませ、汗と脂でねとねとと粘つく布団シーツへ釘付けにした。

 

……どちゅんっ❤️ど、っちゅんっ❤️ぬちゅっ❤️ぶちゅんっ❤️❤️❤️

 

「あ“ぁ“ぁッ❤️ひぎぃッ❤️」

 

「うっ、うぉ……で、でるぅ……❤️」

 

食いしばった歯の隙間から、生臭い息とともに膣内射精を告げる言葉が紡ぎ出される。

 

「やっ、やぁああっ❤️中出しダメェ❤️こ、こんな本気ピストンで、子宮口突かれながら射精されちゃったら、妊娠しちゃうからぁッ❤️ひいいいいっ❤️❤️❤️」

 

文の口内に、唾液が溢れる。先ほど口内で散々に味あわされた臭くて粘つく精液を、女の聖域とも呼べる場所に流し込まれることを想像して、おぞましさと興奮が心を支配する。

 

「許してっ❤️射精さないでぇっ❤️ああっ、お腹の中でビクビク震えてぇ……❤️射精ちゃうっ❤️だめだめだめぇっ❤️」

 

「お“ぉ“……ッ❤️射精すぅ❤️たっぷりオナホまんこに射精するぅっ❤️」

 

腰を浮き上がらせた男が、三桁台の体重をかけた種付けピストンで文の膣内を滅多突きに突き崩す。膣穴の締めつけだとか、絡みつく肉襞などは、その圧倒的な性暴力に太刀打ちできない。あっさりとカリ高チンポに蹴散らされ、最終防衛ラインである子宮口に、亀頭の先端がずぶりと突き刺さる。

 

「孕めッ❤️孕めぇッ❤️❤️❤️」

 

怨嗟の声とともに繰り出される痙攣まじりのピストン。太い肉棒が膣粘膜を押し広げて子宮口を突き、 鏃のように高いカリが柔らかく肉ヒダを捲りながら入り口まで白く濁ったカウパーを塗りこめて性処理穴マーキングを施していく。

 

「んうぅぅっ❤️あふぅっ❤️だめ、いくっ❤️ほんとにじゅせっ❤️にん、しんっ❤️しちゃううっ❤️」

 

手足をばたつかせて抵抗するが、身体の中心を錨のようなペニスで貫かれ、自分の3倍はあろうかという体重で押し潰されては、いかな鴉天狗といえど逃れる術はなかった。膣内でぐ、ぐ……と膨張と痙攣を繰り返すペニスの存在感に、膣内射精の恐怖が迫る。

 

「お“うぅッ❤️い、ぐううううううッ!!!」

 

これまでのイビキとは比較にならないほどの怒声が部屋中に響きわたり、澱んだ空気と文の子宮をビリビリと揺らす。ペニスのカリがエリマキトカゲみたいにグウっと広がりきり、どろどろに蕩けた膣粘膜を、めちゃくちゃに火っ掻き回していく。子宮口にディープキスした尿道口が決壊し、劣悪な遺伝子をたっぷり含んだ白濁が、どぷりどぷりと注がれていく。

 

「あぁーーーーッ❤️❤️❤️」

 

パスタ一本分ほどの子宮口を、溶けたラードみたいな臭くて熱い精液が勢いよく打ち込まれていく。便器に浴びせられる小便のような、遠慮のない膣内射精。愛も浪漫もない、ただ性欲を解消するための排泄行為に、己の大切な子宮が穢される。

 

「いっくうううううっ❤️❤️❤️」

 

射精中もピストンは止まらない。精液のヴェールを纏ったぬめる亀頭が、絶頂真っ只中の文の膣を無慈悲に掘り返す。一突きごとに、ぶしゅぶしゅと潮噴き、子宮が精液を啜り上げて絶頂が止まらない。このまま、男が意識を取り戻すまで種付け交尾は続くのだろうか?いや、意識を取り戻した男が、文ほどの極上牝をこの巣から逃すわけがなかった。これから気が遠くなるほどの時間、自分は犯され精を注がれ続けるのだ。逃れられない絶望と、股座からこみ上げる熱い滾りを前に、文はただ嬌声をあげるより他に術を知らない。

 


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