※この作品はR-18です。

とあるセフレたちの週末 〜繋がりっぱなし交尾で貪りあう二泊三日間〜   作:若菜はかり

15 / 17
【20:03】本気でキミを…… ※

「ぜぇ、はぁ、はぁ……っ」

 

 真衣がいくらスタイル抜群で、対する俺も人並み以上に鍛えているとはいっても、人一人を抱え上げたまま全力で腰を動かすなんて芸当は長く続かない。

 それは元よりわかっているつもりだった。だが、興奮のままに突っ走った反動は思いのほか大きく、気づけば俺は激しく消耗し、足元も少しふらつくようになっていた。

 体力の限界が近いのは真衣も同じらしい。いまだ絶頂の余韻に震えながらも、

 

「ねぇ、もう落ちちゃうよ……手に力が入んない……」

 

 と、弱々しい声。

 ――無茶もそろそろ潮時かな。

 そう考え、踵を返してベッドへと向かう。これ以上怖がらせないようにゆっくりと腰を落とし、最初に彼女の臀部を穏やかに着地させるつもりだった。

 しかし、そのころには俺の膝はもう笑い始めていた。そんな状態で勢いを殺しきることなど叶わず、ランディングは想定よりも若干ハードになる。

 

「ひぃん……っ!?」

 

 つい今しがた達したばかりの真衣にとっては、そのちょっとした衝撃でさえ劇薬であったことだろう。哀れにも裏返った声で啼き、電気が走ったように身体を跳ねさせる。その拍子に、俺の逸物も膣内からズルリと抜けた。

 

「あっ、んぅ……」

「お、おい。大丈夫か?」

 

 今さら白々しいとは思いつつも頬をペチペチと叩いて尋ねてみる。すると真衣は意識が半ば朦朧としているのか、「あぁ、抜けちゃった」と答えにもなっていない返事をした。

 そのとき会話を遮るように、ブチュチュッと生々しい破裂音がした。

 思わず目を見合わす。すぐに音の正体には思い至ったが、恥ずかしそうに身をすくめるでもなく、彼女はむしろ俺に見せつけるように股を広げた。

 

「うわ、こんなえぐい量出たんだ。さっきほとんど出ちゃったと思ったのに、まだ次から次に溢れてくるよ」

 

 そう言って朗らかな笑みを見せたりもする。

 視線を落とせばたしかに、二本の指が割り開いた秘裂からホイップクリームのように泡立った精液が逆流していた。先ほどの激しい抽挿のせいでもあるのだろうが、時折放屁にも似た下品な音色も混じる。

 しかし、俺はその光景にすっかり見入ってしまった。自分の子種が真衣の子宮に注がれたのだという感動、ないしは高揚感とも言えようか。ゾクゾクとした感覚が腰骨から背中を駆け上り、髪の毛さえ逆立つのではないかと思えるほどだった。

 ……いや。少なくとも俺の下半身について言えば、確実にそうなっていたのだ。

 

「んふふっ。亮太の勃起おちんぽ、さっきから触ってもないのにビクビクってしてるね。……どうしたの? 自分のザー汁で汚れたおまんこ見るの、そんなに興奮する?」

 

 淫液濡れの黒々とした愚息が息巻くように脈動を繰り返す。そんな姿を目敏く見つけるなり、真衣は揶揄するような口調でニヤリと笑った。

 優美な曲線を誇る柳腰が妖しくくねり、卑穴からはまたトプリと精液が吐き出される。その白い流れが尻肉伝いにシーツへと至るが、それすら俺を誘惑しているようで、もう一度この女体の中に潜り込みたくてたまらなくなった。

 俺は余計な一言を発することさえも惜しみ、ごくりと唾を飲み込んだ。そのまま真衣の片脚を抱え上げ、もう一方の脚に跨りながらぐいと腰を進める。

 彼女もまた何も言わなかった。ただ後ろ手に枕を掴み、やがて訪れる感覚に備えているようだ。

 

「――んっ、ああぁ……っ!」

 

 そうして俺たちは再び繋がる。俗に言う『松葉崩し』という体位で、より深く、腰と腰とがぴったりとくっつくほどに交わり合った。

 

「はぁ、はぁ……ねぇ、亮太。これ、もう全部入った?」

「いいや。実はあともう一センチくらい押し込める。それで最後だ」

「……やっぱり。そんな予感がしたんだよね」

 

 薄く口角を上げながら真衣はおちゃらけた調子で言う。だが実際のところ、余裕はまったくなさそうだ。目尻に浮かんだ涙も、びくびくとした震えが止まらない肩も、それを明白に示している。あるいは肉棒を咥え込んだ膣のわななきこそ何よりもって雄弁だったのかもしれない。

 けれども、余裕がないという点では俺だって負けず劣らずだった。頭が茹だるほどの肉悦に早く残りの隙間を埋めたくて、腰回りをずっとウズウズさせている。そのどうしようもない情動に駆られ、俺の身体は前へ前へとじりじり動いていった。当然、子宮膣部は亀頭によって圧し潰され、彼女の唇からあられもないよがり声を紡ぎ出させる。

 

「あ゛っ、くっ……ふぅ……おっ、ほぉ……っ!?」

 

 そうして真衣の最奥をあらん限りまで押し込んだとき、抱え込んだ脚がビクビクッと痙攣した。膣壁もそれに追従するように震え、肉筒を強い包容力でもみくちゃにする。

 一番奥まで挿入された。敏感な彼女の肢体はただそれだけで達してしまったのだろう。

 痺れるような絶頂感にうねる蜜肉の中で、俺は欲望に突き動かされるまま動き出した。自分勝手に腰を振り、ひたすら射精の愉悦めがけて邁進する。いつにも増して窮屈に思える膣壺はとても具合がよく、こんな苛烈なセックスにも幸せそうに感じてくれた。

 

「あんっ、あっ、あっ、ひっ……亮太っ、亮太ぁ……っ!」

「ヤバいよ、これっ……子宮揺らされると、キミの精液もっと欲しくなる……っ」

「あっ、だめ、イクぅ……っ。イク、イクイクっ。あっ、はぁ……!」

「や、待って、またイキそう……ねぇ、もしかして亮太も? 亮太もイキそう? じゃあいいよ、一緒にイこ……私の中に、ドピュドピュって出し、て……んぅ、ひぃっ! しゃ、射精ちんぽっ、またおっきくなってすごい、気持ちい……あっ、ああぁっ!」

 

 二度目の中出し射精を勢いのままに終える。俺はもちろん、途中からイキっぱなしになっていた真衣もぐったりとしていた。それでも女性器から抜いたペニスを口元まで持っていけば、面倒くさがりもせず素直に咥えてくれる。

 

「ちゅぷ……はぁ、亮太のザーメンと私のが混ざってすごい味。でも、続けて出したのにまだこんなに固いんだね。一晩中っていうのも、まんざら嘘でもなさそう」

 

 立て続けの大量射精を経てもなお、俺の逸物は臨戦態勢を保ったままだ。その威容に魅入られたようにうっとりとした目線を寄越しつつ、真衣は期待と畏怖がないまぜになった表情で反り立つ男根を仰ぎ見る。

 俺が口に出して次を求めるまでもなく、彼女はのっそりと起き上がると後ろを向いて四つん這いになった。臀部を俺に捧げるように高く掲げ、両手を回して尻肉を左右に広げてみせる。ドロリとした白濁を滴らせる秘所は依然俺の形のまま口を開いていて、その空隙を埋めてくれる存在の再訪を今か今かと待ち望んでいるように見えた。

 

「んんっ……焦らさないでよぉ」

 

 竿先で塗り広げるように二人分のエキスを掻き混ぜる。真衣は身体をよじりながら懇願の声を上げ、臀裂の底で密やかに咲く菊花をヒクつかせた。

 ただ、俺の頭は二度の放精を経ていくらか落ち着いていた。いまだ冷めやらぬ興奮の只中にあるとはいえど、奇妙な冷静さがある。

 だからこそ今一度、真衣の柔肉をじっくり味わってみようと、俺はひどく緩慢な動作で肉棒を押し沈めていった。

 

「……うっ、あぁ」

「はぁ、うん……っ」

 

 互いの粘膜がゆっくりと擦れ合いながら繋がっていく。その焦れったくも甘美な快感に、思わず漏れ出た吐息が重なった。

 もはや言うまでもないが、真衣の中は最高だった。

 蕩けるように温かく、どこまでもねっとりとしていて、ひどく窮屈だ。

 まさに至福の心地。ここで男としての本懐を遂げられたのなら死んでもいいと思える。

 けれども、それは時期尚早であることを俺は知っていた。何故ならば彼女の秘窟はここからが真骨頂。俺が動くたび、彼女が感じるたびに雄を悦ばせようと千変万化するのだ。

 俺は肉厚な臀部をがしりと鷲掴みにすると、真衣の後頭部を見下ろした。

 涼やかなウルフカットはすっかり乱れ、その下からは朱に染まったうなじが覗いている。白く滑らかな背中に汗のしずくを浮かべているのが生唾を呑むほどに艶めかしかった。

 

「亮太ぁ……」

 

 じっと力をためる俺を急かすように、半分振り返った真衣は甘えた声で啼いた。

 ――なんだよ、これじゃ本当にメス犬みたいだ。

 彼女の頭にピンと立った三角耳が見えた気がして、つい口元が緩む。

 

「わかったわかった。そんなに焦んなって。夜はまだ長いんだから、さっ!」

「あっ、くぅ……ッ!」

 

 あやすように言いながら軽く反動をつけ、俺はねじ込むように腰を打ちつけた。そのたった一突きで真衣は仰け反り、上体を支えられなくなってベッドに突っ伏した。

 あとは俺に追い打ちをかけられるがまま、シーツをぎゅっと握ってピストンを受け止める。暗い天井に木霊したくぐもり声は素直な驚きと歓喜に濡れていった。

 

「んっぐ、あっ、いっ、あっ、あっ、んんっ……! う、嘘……おちんちん、全然収まんない……それどころか、さっきよりももっとバキバキになって、る……っ」

 

 痛いくらいに腫れあがった亀頭が真衣の秘奥を押し上げ、開いた傘のようなカリ首がトロトロの肉壺を生命のスープごと掻き回した。その情熱的な往復ごとに彼女は苦しそうに囀るけれど、それでいて更に激しくとせがむように腰を押しつけてくる。

 搗き立ての餅のような尻肉は打ちすえられるたびに大きく歪んでいた。結合部も繰り返される離合の中で粘っこい糸を引くが、今やそれがどちらの体液なのか判別することもできない。俺たちはそれほどまでに混じり合い、深く溶け合っていた。

 だからこそ――というのもあったのかもしれない。

 一心不乱に腰を遣っていた俺は、真衣がふと口にした一言に常になく動揺してしまった。

 

「はぁ、やっぱ好きぃ……亮太の強いおちんぽ、私大好き……」

「……っ!」

 

 その刹那、わずかにストロークが乱れる。すぐに何事もなかったかのように取り繕ったつもりだったが、一分の隙もなく繋がり合った相手には隠しおおせるはずもない。

 

「……ん? どうしたの、亮太?」

「い、いや。何でも」

 

 おまけに返事にまで詰まった。できればこちらを見ないでほしいと願ったが、その祈りもむなしく、彼女は肩越しにこちらを振り返った。

 

「そんなに慌てちゃって。それに顔も真っ赤だよ?」

「ち、違うって。これは単に興奮してて。どもったのも頭が回らなかっただけっていうか」

 

 もはや自分で何を言っているのかわからない。言い訳も言い訳になっていなかった。

 そして案の定、察しの良い真衣は何かに気づいた顔をする。

 

「はは~ん。さては勘違いしたんだ? 私が今、『好き』って言ったの――んひゃ!?」

「ま、真衣っ!」

 

 揶揄うような表情で推理する彼女に、俺は食い気味で叫ぶ。

 これ以上は何も言わせられない。腰を遣い、実力行使で黙らせにかかる。

 

「あぁっ、あんっ、やっ、ひぃ……っ!」

 

 思惑通り、再びベッドに顔を埋めた真衣は二の句を継げなくなった。ただ籠った喘ぎ声を垂れ流すだけになり、ようやく俺も人心地つく。

 ――だが。

 

「あんっ、好きっ、亮太好きだよ……っ! 亮太のおちんぽ、あぁ……固くておっきくて、今までの男の人で一番気持ちよくしてくれる……っ」

 

 歯の根も浮くような甘い吐息の合間を縫って、諦めの悪い真衣は企みを続行する。

 その効果はテキメンだった。俺の心臓はドクンと跳ね上がり、送り出された血液は股間より一層強張らせたのだ。

 確証など元よりないが、俺の鼓動は間違いなく胎内にまで伝わっていただろう。後ろ姿しか見えないはずなのに、彼女がニヤリと笑みを浮かべた気配がしてならなかった。

 

「んっ……あは、どうしたの亮太。おちんちんの様子、さっきからおかしいよ? やっぱり、私に好き好きって言われて嬉しくなっちゃった……?」

「……うるせえ。黙ってろ」

 

 乱暴にそれしか言えず、俺はひたすら腰を振り続けた。

 もう一度、肉体言語で言うことを聞かせる。

 そのはずだったのに、心のどこかではもっと言って欲しいと思う自分がいた。

 

「はぁんっ、くふぅ……っ!? だ、だめ……これまたイッちゃう……メスまんこ、大好きな亮太のちんぽに負けちゃう……!」

 

 真衣はそんな胸の内さえ見透かしているだろうか。俺をなお煽り立てるかのように、たっぷりの蜂蜜で浸したような声で絶頂を告げた。直後、彼女の鍛え上げられたしなやかなくびれが折れんばかりに反り返り、肩甲骨のラインは深い谷間をつくった。

 もう何度目かも知れないアクメに彼女の全身が躍った。そうして俺を快美な堕落へと誘うように、ぷりぷりに詰まった膣肉で陰茎を締めあげる。

 その天国を思わせる愉悦に俺は惚けた。言うまいと固く唇を噛んでいたはずなのに、気づけば舌先が動き、その言葉を紡いでしまっていた。

 

「くっ……本当のこと言えば、俺も好きだぜ……真衣の身体」

「……へ?」

 

 最後にギリギリ残っていた薬匙一杯分の理性と忍耐で、辛うじて二言目を付け足す。さもなければ俺は失禁のような射精とともに情けない告白をしていただろう。それにしたって「身体が好き」とは、我ながら最低すぎる言い方になってしまったけれど。

 ただちょうどそのとき、真衣の膣内が性的絶頂に伴うものとは違ううねりを見せた。好色にきつく締めつけるのではなく、きゅんと疼かせるような可愛らしい蠢き。

 俺はその感触が妙に気に入って、大して考えることもなく身体を倒した。顔を彼女の耳元まで持っていき、もう一度繰り返すようにそっと囁く。

 

「だからさ、俺も真衣とのセックスが一番気持ちいいってこと。頭も身体も溶けそうなくらい具合が良くて、いつまでも繋がっていたくなる……そういう意味で、真衣のことが好きなんだ」

 

 俺は思い切って大きく一歩踏み込んだ。それでいて、実は半歩も進んではいない。

 結局のところ、真衣の挑発に乗っかっただけに過ぎないのだ。彼女が俺のペニスが好きと言ったから、俺も負けじと彼女の抱き心地を気に入っていると返した。

 ただそれだけ。

 なのに、どうしてだろうか。

 心臓が高鳴って収まらない。手のひらや腋から変な汗も出ている。

 まるで緊張しているようだ。告白の返事を待っているわけでもないというのに。

 

「……そっか、亮太も私と同じなんだね」

 

 振り返りながら真衣が言うまでに、たっぷり数秒の間があった。

 ――一体、何を思ったのだろうか?

 安易に口に出せない問いが脳裏に浮かぶ。

 その答えなど見つからないうちに、身を捩った彼女が口を開いた。

 

「ねえ。もう一回、向き合ってしよ。今度はキスしながら、ね?」

 

 俺は頷き、真衣が体勢を変えられるように腰を引いた。

 離れた肌の隙間からは湯気が出そうなほどの熱気が立ち昇る。それからムッとするほどに濃厚な性臭も。汗の匂いもしたはずだが、嗅覚が鈍麻して気にも留まらなかった。

 俺たちはその熱が冷める寸刻の間さえ惜しむように肌を寄せた。

 今度は互いに抱きしめ合う形で繋がる。相手の瞳に自分が映っているとわかるほどの距離で視線を交わすと、そのまま引き寄せられるように唇を重ねた。

 

「あのさ、真衣」

「うん?」

「もっと強く抱きしめてもいいか?」

「……ふふっ、今さらだね。いいよ」

 

 真衣はそう答え、俺のすべてを受け入れてくれるかのように背中へ手足を回してきた。

 滑らかな絹肌の密着度が高まり、女性特有の甘い体臭が鼻腔を満たす。いつもは落ち着き払った声音も今は飴玉を転がしたように溶けていて、耳まで幸せな気分だった。

 だというのに、何だか切ない。無性に彼女が欲しくて我慢できなくなる。

 その想いはたちまち胸の内で膨れ上がり、俺は息苦しさすら覚え始めていた。

 

「あぁ、真衣……真衣……っ」

 

 喘ぐように彼女の名前を呼ぶ。どこまでも柔らかな肢体を掻き抱けば、より濃厚さを増す香りに脳髄が痺れた。しかし、それがまた心地よくてたまらない。

 

「はぁ……亮太ぁ……」

 

 腕の中で苦しげな吐息をこぼす真衣。それでいて、表情はどこか満ち足りて見えた。

 その陶然とした面持ちが俺の野性を刺激し、今が生殖行為の真っ最中であることを思い起こさせる。俺は目の前で官能に震える唇を塞ぐと、腰をゆっくりと動かし始めた。

 

「ちゅぷ……んっ……れろ……」

「あっ、ふう……じゅ、ちゅる……っ」

 

 互いに至近距離で見つめ合い、舌を絡ませる。唾液を交換してはこくりと嚥下し、そのたびに腹の底から込み上げるじんわりとした熱を味わった。

 こめかみを大粒の汗が伝い落ちていく。

 そのしずくが顎先に至り、ぽたぽたと落ちるごとに下半身の回転が速まっていった。

 両脚が腰に絡まっていることもあり、ストローク自体は決して大きくはなかった。代わりに肉棒が根元まで突き刺さったまま、子宮をぐいぐいと揺さぶるような腰遣いになる。

 先ほどまでの激しく穿つようなそれを思えば、まるで大違いだ。

 だが、あるいはそれで良かったのかもしれなかった。

 このときの俺は、単なる性快楽の追及以上の欲求に駆られていたからだ。

 つまりは、そう。

 ――この愛らしいメスを俺の種で孕ませたい。

 ――心も身体も俺の虜にさせて、ずっと独り占めにしていたい。

 そんな身勝手で、どうしようもなく野卑な欲求に。

 

「んっ、んむぅ……っ」

 

 そのまま上も下も、真衣を食らい尽くそうとしてふと我に返った。

 彼女の眉間に皺が寄っている。気づけば知らぬ間に鼻同士を押し付け合っていて、ひどく息苦しそうだ。

 

「ぷ、はぁっ……っ」

「わりい。つい夢中になった」

 

 慌ててキスを中断する。塞がれていた口を解放され、真衣は大きく息継ぎをした。

 よっぽど難儀したのだろう。俺の問いかけにもすぐには答えられない。肩を何度も上下させ、朦朧とした目つきで俺を見上げるが、ただそれだけだ。

 それでも辛抱強く待っていると、やがて呼吸が落ち着いてきた。

 唇を湿らすゆとりも出てきて、その次には揶揄うような笑みさえ浮かぶ。

 

「今のキス、本当ヤバかった……苦しかったのに気持ちよくて……はぁ、ん……もうちょっとで新しい性癖に目覚めちゃうかと思ったよ……」

「なんだ。苦しそうにしてたわりには全然余裕だな。もしかして途中でやめない方が良かった、とか?」

「ば~か、そんなわけないでしょ。こっちは酸欠で落ちそうだったんだからね、真面目に」 

 

 軽口を叩いた俺に彼女は唇を尖らせる。その姿にはやはり茶目っ気があった。とはいえ、まだ肩で息をしていたのも確かで、口づけの続きをするのは自重しておいた。

 代わりに俺の視線は下へと向かう。物寂しさを覚える唇を抱え、無意識のうちに何か柔らかくて触れ甲斐がある物を探してしまうのはどうしようもない男の性だ。

 そして目的のものはつい目と鼻の先に見つかった。

 中性的な風貌である真衣の、とても女性的な魅力に溢れた部分。

 すなわち、Gカップのボリュームを誇る豊満な乳房だ。

 その頂点でぷっくり膨らんだ若芽を、俺は舌先でちろりとくすぐった。

 

「あんっ、んぅ……こら、亮太」

 

 真衣の非難がましい声が頭上から降ってきた。しかし、それは子どもの悪戯を窘めるように穏やかで、むしろ誘いをかけているようにも聞こえる。

 もちろん俺は調子に乗って、今度は唇で乳頭を咥えた。軽く吸い立てつつ、敏感な先端部を時折ねっとりと舐り上げる。すると真衣は小刻みに肩を震わせて、

 

「あぁ、だめ……乳首、気持ちいい……」

 

 と、切なそうに喘いだ。

 その声音と舌先に感じた塩気が頭の奥を痺れさせた。再び理性の光が鈍くなり、俺は没入するようにコリコリとした果実を舐めしゃぶった。

 

「んんっ、はぁ……あぁっ!」

 

 舌先で熱心に転がし、唇で押し潰して、張り詰めた頃合いに音を立てて吸う。ふやけて味がなくなるまで唾液まみれにして、もう一方の頂きへ。飽きることなく繰り返す。

 そうしながら、俺は真衣の最奥へ押しつけるように腰を前後させた。肉と肉とを擦れ合わせる快楽に脳内を支配され、段々と独りよがりに性器を扱くようになっていく。

 気持ちいい。気持ち良すぎて、頭が沸騰してしまいそうだ。

 それでも、俺は最後の瞬間まで秘めたる決意を忘れない。

 ――たとえほんの束の間でもいい。真衣を俺のモノにするんだ。

 ぐちゅぐちゅと混じり合った淫液が空気を孕む音がする。濃密な性臭が立ち込める室内に、真衣の甲高い声が響いた。切羽詰まり、今にも達してしまいそうな気配すらある。

 そんな官能の兆しとともに、きっと彼女の子宮自体も下りてきているのだろう。いつもは俺の男根をいくらだって受け止めてくれる胎内が、今はひどく窮屈に思えた。

 

「くっ……真衣、もうイキそうなのか?」

「う、うん……ダメ……私、もう……そっち、は……?」

「ああ、俺も同じだ。だから一緒にイこう。このまま二人で一緒に……えっ?」

 

 淫らに波立つ媚肉に竿肌を蕩かされ、俺もそろそろ限界が近かった。最後にもう一度、正面から真衣の顔を見たくなって目線を上げる。

 すると彼女は、俺の顔を挟み込むように両手を頬に添えてきた。くったりと快楽に酔いしれた面持ちで、うわ言のようでありながらもはっきりとした言葉を俺に向ける。

 

「大丈、夫……いつでもいいよ……私の子宮、多分キミのザーメン注がれるだけでイッちゃうから……でも、このままだとちょっと寂しい……だから、ね?」

 

 消え入るような小声で囁き、真衣は目を瞑りながら唇を突き出す。その可憐なキス待ち顔に胸をかき乱されて、俺は無意識のうちに本心を口にしてしまった。

 

「真衣……好き、だぞ」

「えっ? ちゅ、むっ……んっ、んんぅ……っ!」

 

 やっとのことで思いを告げたくせに、どこまでも臆病な俺は返事も待たずに唇を重ねた。無心で舌を深く交え、彼女が喉奥から絞り出そうとした声さえ掻き消そうとする。

 くちゅくちゅと戯れるような水音が耳孔を満たしていく。

 そのまま数秒が経つうち、俺たちはすっかり口づけに没頭するようになっていた。

 薄目を開けて互いを見つめ、その陶酔した表情に高揚する。情欲の赴くままに性器を律動させれば、高まりきった熱に二人の繋がった部分が溶けていくようにすら感じた。

 もういつ達してもおかしくはない。

 そんな思いをきっと二人そろって抱えながら、俺たちは無我夢中になって求めあう。

 そして、至福のときはまもなく訪れた。

 

「ぐっ、出る……!」

「んっ、くひぃ……っ!?」

 

 頭に抱きすがってくる彼女の腕に応え、俺はぐっと腰を押し込むと全身を硬直させた。熱い粘濁液が陰嚢から狭い尿道を辿って昇りつめてくる、その感覚を味わう。ついには蜜肉に包まれた肉棒がドクンと脈を打ち、口を絞ったホースのような勢いで熱情が迸った。

 噛み締めた歯の隙間から漏れだす獣じみた唸り声。

 絡み合う二人分の体重を支えてくれるベッドの軋み。

 そこに感極まった真衣の嬌声が重なり、俺たちは一つになったまま官能を極めた。

 

「あぁ、イク、イクっ……どろどろの精液で、メスまんこイッちゃう……っ」

 

 今までよりもずっと深いアクメに肉壺が甘く震えあがる。その渦中でとめどなく吐き出された雄汁は白い濁流となって膣奥に殺到し、汗だくの真衣は腕の中で跳ね狂った。

 その姿といったら、まるで水揚げされたばかりの新鮮な魚のよう。背中を壊れそうになるまで反り、かと思えばぎゅっと身を縮こまらせようとする。逃げ場のない肉悦に踊り続ける彼女は天女のように美しく、それでいてひどくいじらしい。

 しかし、それでもなお欲の絶えない俺は腰を遣うことをやめなかった。今しがた撃ち出した生殖液を一滴でも多く子宮の中へ送り込もうと、擦り棒のように先端で捏ねる。そのたびに真衣は鼻にかかった喘ぎを漏らし、俺の腰に絡めた脚に一層力を込めた。

 

「はぁ、気持ちいい……気持ちいい、気持ちいいよぉ……。亮太の先っぽ、私の奥にずっとキスしながら射精してくれる……こんな本気セックスしたら、冗談抜きにキミの赤ちゃんできちゃうかも……」

 

 見果てぬ夢のような呟きに、とうに底を尽いたと思われた精液がドクリと溢れ出た。それもまた子宮口に塗り込みつつ、俺は気軽な調子で笑う。

 

「はは、そいつはちょっと困るな。お前の親父さんにぶん殴られないといけなくなる」

「あれ、逃げたりはしないんだ?」

「当たり前だろ。俺はお前の元カレどもとは違うんだからな」

 

 そもそもこいつの恋人でもないのに、俺は何を言っているのだろう?

 そんな冷静な声が脳裏に響いたが、所詮は行為後の雰囲気に乗せられた世迷言だ。今の言葉に嘘はなかったけれど、かといって真衣の言ったことも本気だとは思っていない。

 

「そっか。じゃあ、さっきのも本気なんだ」

「さっきのって?」

「……いや、そこは誤魔化さないでよ」

 

 真衣が呆れたような目つきで俺を見上げる。その視線を躱すように彼女の胸元に顔を埋めると、頭がくらりとするような甘酸っぱい体臭が胸を満たした。

 そのままなし崩し的に女体の抱き心地を堪能した。真衣もまた途中で諦めたようで、俺の背中をポンポンと手のひらで叩いてくれる。その力加減がちょうどよくて、思わず眠気を誘われそうになった。だが、一晩中と言ったからには俺は約束を守る男だ。

 

「どうする? このへんで一回シャワーでも浴びるか?」

「いいね。でも、もうちょっとこのままがいいかな」

「やっぱり疲れたか?」

「うん、流石にね。……でも、それだけじゃないよ」

 

 こちらの提案をやんわりと断った彼女は、少し言い淀むように無言になる。先ほどまできつく俺のことを抱きしめていた手足の力を抜き、ポソリと何気なく、

 

「せっかくなんだもの。少しは余韻を味わいたいじゃん」

 

 と、囁いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。