とあるセフレたちの週末 〜繋がりっぱなし交尾で貪りあう二泊三日間〜 作:若菜はかり
それから数分後のこと。
俺はベッドの上で折り目正しい正座をしていた。
あくまでも自主的に、である。誰かに強制されたわけではない。
とはいえ、下半身丸出しのままは流石にみっともなかったと少なからず後悔はしていた。
「なぁ、ゴメンて。調子に乗ったのは謝るからさ」
「別に~? 怒ってはないよ。ただ『手マン上手になったね』って言っただけじゃん」
「いや、絶対それ嫌味だろ……。いくら俺でも気づくぜ?」
目の前にはタオルケットに身を包んだ真衣がこちらに背中を向けていた。
俺の謝罪に対し、白々しいまでにすっとぼけてみせる。そんな彼女のご機嫌がナナメなのは、まず間違いなく先ほどの俺の行為のせいだろう。
それは十分わかっている。
だが、なかなか埒のあかない展開につい本音がポロリと零れてしまった。
「でも、お前だって実はそんなに嫌がってなかっただろ? 本気で嫌だったら今ごろ、肘打ちの一発や二発食らってなきゃおかしいし」
その言葉にムッとした顔の真衣が振り向いてから後悔する。いわゆる、後の祭りというやつだ。
「は? 何その言い方。それじゃまるで私が、気に入らないことがあればすぐ手が出る暴力女みたいじゃない」
「いやいや。前の部分はともかく、後半は前科あるだろ。あの時の肘打ちを忘れたとは言わせんよ?」
「そ、それはまぁ、忘れたわけじゃないけど……。でも、あれも済んだ話でしょ? いつまでも昔のことをほじくり返して、身体はおっきいくせに器は小さいんだね」
「お、言ったな? 恋愛運ゼロの
「そっちこそ、ついこないだまで童貞だったじゃん。この脳まで筋肉ダルマ!」
勢いのままに互いの悪口を言いつつ、むむむっ……と額を突き合わせる俺たち。
まるで威嚇しあう犬のように、どちらか目を逸らした方が負けの勝負みたいだ。
鍔迫り合いにも似た緊張感が続く。
ところが、この対決は案外あっけない幕切れを迎えた。
「……ぷっ、くくっ……もう、それは反則だってば」
何の前触れもなく吹き出した真衣がプイと顔を横に向けた。手の甲で口元を隠しつつ、しかし伏し目がちにチラチラとこちらを見てくる。
その視線の向かう先は困惑している俺の顔ではない。もっともっと下だ。
すなわち、正座した太ももの間でバキバキにそそり立っている俺のペニスだった。
「いや、これはその……まぁ、仕方ねぇだろ。ついさっき、真衣があんなエッチにイクところ見ちまったんだから」
「でもだからって、正座したままフル勃起の絵面はヤバいって……ふふっ、あぁおかしい」
「笑いすぎだろ。一応反省の姿勢ってやつなのに」
爆笑とまではいかないが、クスクス笑いを抑えきれていない真衣に若干傷つく。
とはいえ、俺の間抜けな姿で場の空気が緩んだのは確かだ。ここは事のついでに、言い過ぎたことを謝っておくのも良いだろう、と俺はそう考えた。
「……悪かったな」
「え、何が?」
「さっき言ったことだよ。男女って。流石に言い過ぎた」
「自覚はあるし、別にいいのに。そういうとこは結構律儀だよね、亮太って」
「そうか? まぁ言いたかないが、親の教育の賜物だろうな」
「ああ、たしか柔道教室の師範さんだっけ。それも結構厳しいタイプの」
「よく覚えてたな。あとはお袋にも言われたんだ、女の子に悪いことしたらちゃんと謝れってな」
そんなことを話していると、場違いにも両親の顔が頭に浮かんでくるので困った。
この夏は帰省するのかと聞かれていたことも思い出す。試験準備にかまけて返事していないので、この週末くらいにはまた催促してくるかもしれない。俺は少し憂鬱になった。
「じゃあ、私も謝るよ。器が小さいっていうの、あれはナシで。……あ、あと、さっきの『脳まで』ってとこも取り消す」
そんな俺の内心の葛藤など知ってか知らずか、やっと笑いが収まった様子の真衣はそう言ってぺこりと頭を下げた。
……だが、待て。肝心なところが抜けている。
「筋肉ダルマは取り消さねえのかよ」
「だって厳然たる事実じゃん」
「おい、コラ」
「そっちだって『恋愛運ゼロ』については何か無いわけ?」
「それこそ無いな。だって事実だし」
そう言い合って、また軽く睨み合う。
だが、今度の対峙はほんの数秒。互いにニヤリと笑みを浮かべて、それで終わった。
「やめよやめよ。時間がもったいないし」
「だな。さっさとすることしねぇと、日付が変わっちまう」
これにてノーサイドを確認しあい、俺たちはそそくさと残りの服を脱ぎ始める。
俺はジャージとシャツ、真衣はニットとショーツ。
全てをベッドの下へ放り出して、二人そろって素っ裸になる。
真衣の身体なんて、もう数えきれないくらいに見てきたはずだった。それでも室内を明々と照らし出す昼白色の光の下、その美しき全貌を現した女体に俺はつい目を奪われた。
「……何? どこか変なところある?」
「いいや。相変わらずエロい身体してるなって思っただけさ」
下手に誤魔化すことなく、俺は素直にそう言った。
何故ならば事実だからだ。
綺麗なお椀型をしたGカップの美巨乳も。
きゅっと健康的にくびれたウエストも。
一転して女性らしくむっちりとした腰回りも。
そして、恥丘を濃いめに覆う逆三角形の茂みだって。
つい先ほどまで衣服に隠されていた肢体が、今は惜しげもなく露わとなっていた。
そこに『がっかり』なんて要素は微塵もない。むしろ、全てが『期待以上』だった。
「それ誉め言葉のつもり? ストレート過ぎない?」
と、真衣ははにかみながら髪の毛を弄った。そんな些細な仕草すら、自らのプロポーションを誇示しているようにも見えて、実にあざとい。
「まぁ、お世辞はそのくらいにしようか。で、どうする? 最初はやっぱり正常位? それともバックとか、他の体位の方が良いかな?」
俺の言葉にはお世辞も何もなかったのだが、彼女には伝わらなかったようだ。
とはいえ、俺も率先して訂正する気にはならない。それよりもまずは、提示された選択肢の中から正解を選び取る方が先決だった。これがなかなか悩ましい。
「……じゃあ、正常位で」
「了解。なら、私が横になるね」
俺の答えを聞くと、真衣はベッドの上に仰向けで横たわった。
枕に頭を乗せ、少し目を伏せつつもこちらを見る。そうしながら彼女は膝裏を持って両脚を開いていく。
濡れそぼった女性器が露わとなった。
ふっくらとした陰唇が割れ、綺麗なピンク色の秘肉が俺を魅了するようにわなないている。
「……来て、亮太」
囁くような誘い文句に背すじがぞわりと粟立った。
俺はベッドサイドテーブルから避妊具を取ると、手早く屹立した陰茎にそれをまとわせた。そうして準備万端整えて、真衣の脚の間に身体を割り込ませる。
俺のペニスはLLサイズのゴムがパンパンになるほどに膨れ上がっていた。
それを見た彼女の白い喉がこくんと唾を飲み込む。
亀頭を真衣の入口にあてがう。覗いた赤貝のような肉ビラが、くちゅり、と音を立てた。
「入れるぞ?」
「うん」
俺が合図をすると、真衣は目を瞑って深呼吸を始める。
いつもの通りだ。どうやら力も抜けている。
それを確認すると、俺は彼女の腰を掴んでゆっくりと挿入を試みた。
ヌラリと濡れた肉厚の大陰唇を割って、膣口に亀頭を沈めていく。
「……んっ、はぁ」
少し狭さを感じるほどの抵抗感。
だが動きを止めずに押し進む。そうすれば、やがて先端部はカリまで柔肉に埋まり、こちらからは見えなくなった。
「今、先っぽまで入ったからな。このまま行っても大丈夫か?」
「……いいよ……最後まで、来て……私なら大丈夫、だから」
真衣の目がうっすらと開く。その瞳は俺を受け入れる煩悶に潤んではいたものの、まだ笑みを浮かべるだけの余裕はあるようだ。
「わかった。一気に最後まで入れるからな」
俺の言葉に真衣が小さく頷く。
その刹那。グッと腰を押し出せば、彼女はおとがいを上げて声にならない声を漏らした。
「……っあ、はぁぁ……っ!」
ドチュリ、と重たく響く音とともに俺の男根が根元まで膣壺の中に収まった。
その強い衝撃を受け止めかねたのだろう。真衣の身体は弓なりとなって、仰向けになっても形の崩れない柔乳がぶるんと弾む。苦しげに乱れる息遣いも、まるで心臓を鷲掴みにされたかように浅く切羽詰まっていた。
本当は今すぐにでも真衣の中で動き出したかったが、意地でもその衝動を抑え込む。
今はともかく彼女が落ち着くのを待った。
「はぁ、はぁ……ごめん。また意識飛びそうになってた……」
一、二分も待つと、だいぶ息の整ってきた真衣が恥ずかしそうにそう呟いた。
挿入の瞬間、強張っていた全身の筋肉も今はすっかり落ち着きを取り戻しているように見える。膝裏を強く掴んでいた手もまた、俺が手を重ねれば柔らかな力で指を絡め返してくれた。
ただ、一箇所。二人が繋がった場所だけは違う。
異物感すら与えているであろう俺の逸物を、彼女の膣はきつめの締め付け加減で抱きしめてくれていた。その心地良さこそ、俺の如何ともしがたい懊悩のもとではあったのだが。
そして、それは真衣にも交わった粘膜を通じて伝わっていたようだ。
「亮太のおちんちん、さっきからすごくビクンビクンってしてる……早く動きたいんでしょ?」
何とも答えづらい質問だ。
黙り込む俺を見て、真衣は小首を傾げクスリと笑った。
「別に遠慮なんてしなくていいのに。たしかに久しぶりだと最初は大変だけど、一旦入れてしまえば馴染んでくるんだから。ほら、心配なら最初はゆっくりでも良いから、ね?」
真衣はそう言って、促すように俺の腰に足を絡めてくる。
これでは一体どちらが気遣っている側なのかわからない。
しかし、俺の我慢も既に限界が近いのは確かだ。真衣もこう言ってくれていることだし、ここはありがたく誘いに乗らせてもらおう。
そう考え、俺は「じゃあ、動くぞ」と彼女に告げた。
「はい、どうぞ…………んっ……んぅっ……あっ……あぁっ……」
俺がゆるやかに腰を使いだすと、真衣の口からは息苦しさを感じさせる呻き声が漏れた。ただ幸いなことに、そこには痛みによる辛さはなさそうだ。新たな潤滑液が彼女の奥から湧き出てくるのも感じとれた。
「はぁ、あぁ……んっ」
最初は欲望を抑え、できるだけ穏やかに腰を動かす。女体に肉棒を馴染ませることを第一に、ただただ当たり障りのない往復運動だけを意識した。
しかし、そんな生温い抽挿でも真衣の膣内はたまらない味わいだった。なにしろ十分な潤いに満ち、動くたびにきゅっきゅっと甘美に締め付けてくるのだ。自分でも気づかぬうちにピストンのペースが速まり、彼女の膣壁を抉るように腰を上ずらせてしまうのはもうどうしようもなかった。
「あっ、やっ、あっ、あっ」
微かにほどけた唇から漏れる吐息が段々と色味を帯びていく。
繋いだ手が健気な力で握ってきた。その繊細な指先は、俺が肉棒を突き込むごとに悶えるような震えを伝えてくれる。
「あっ、いぃっ……亮太の、すごい……おっきい……おっきいよぉ……っ」
両腕に挟まれた豊かな双丘をたぷんたぷんと揺らしながら、真衣が悩ましげに口走った。
それは至って素直な感想だったのだろう。その証拠に、俺の眼下では陰茎が出入りするたびにピンクの肉ビラが目まぐるしく形を変えていた。
あるいは挿入とともに突き込まれ、あるいは裏返りそうなほどに引き伸ばされ。
粗野で極太な肉の塊が、可憐な真衣の秘所を文字通り蹂躙している。
その光景を見ているだけで、俺は精神的絶頂に達してしまいそうだった。
「真衣、辛くないか? 無理してないよな?」
「……うん、大丈夫……んっ、くぅ……あはぁんっ…………ちゃんと気持ちよく、なってるからぁ……」
俺の問いかけに真衣は甘やかな声音で答えてくれる。
たしかにもう大丈夫そうだ。眉尻もすっかり下がりきり、肩に余計な力も入っていない。
いつも通り、性快楽に身を委ねる彼女の姿がそこにはあった。
「もう、我慢しなくていいよ。亮太の好きなように動いて。おっきいおちんちんで、私のおまんこいっぱい犯して?」
「……ああ。もう手加減しないからな」
可愛らしいおねだりに握っていた手を解くと、俺は再び真衣の腰を掴んだ。彼女の手もまた俺の肘辺りを掴んでくる。その期待に満ちた瞳に見つめられながら、大きく反動をつけ、思い切り腰を振り出した。
「……んっ、はぁっ! あっ、あっ、あっ、あぁっ……!」
俺は灼けた鉄の棒のように張り詰めた剛直で、蕩けた肉の濡れ穴を何度も何度も穿った。
そのたびに、ドチュン、ドチュン、という粘ついた水音が響く。真衣の喉もそれに合わせたように甲高い嬌声を絞り出し、俺の部屋は卑猥なリフレインに満たされていった。
「あぁっ、そこ、すごっ……亮太の、奥まで来るっ……ひぃっ、やあんっ……あっあっ」
俺に容赦なく膣奥を突かれると、真衣はひきつった声で喘いだ。
だが、そこに悲痛の色はない。あるのはむしろ男に責め苛まれる悦びだけだ。
俺は身体を前傾させ、悶え乱れる彼女の顔を覗き込みながら叩きつけるように問うた。
「はぁっ、真衣っ。いいのか? 俺のモノがそんなにいいのか?」
「……う、ん……いぃ、いいよっ……すごくいいっ……亮太のおちんちん、気持ちい……」
「どう気持ち良いんだ? なぁ、言ってみろよ」
「はぁ、それは……」
アッシュゴールドの髪を振り乱した真衣は、自らを貫く男根に意識を集中するようにすっと目を伏せた。
「……硬くて、ゴツゴツしてて、それから……んっ、やっ……」
「それから?」
「……か、カリ高で、反り返ってて、とってもエッチな形してる……そんな凶悪おちんちんで、私の中滅茶苦茶にかき回してくれるの………あっ、んんぅっ」
「真衣はこういうのが好き?」
「…………うん。亮太の強いおちんちん、大好き。だから、もっと頂戴?」
そう言いながら真衣は両手を伸ばし、俺の首の後ろに絡めてくる。
求められている、と感じた。それが無性に嬉しかった。
「真衣っ、真衣っ……!」
「あっ、また、激しっ……! あっ、んぅ、あっあっあぁっ……!」
それからの俺たちは意味ある言葉を失い、まるで獣のように身体をぶつけあった。
ほんの数時間前まで大学の講義室で机と向き合い、難しい試験問題に頭を悩ませていたことがまるで夢のようだった。あの文化的な時間は一体何だったのかと思うほどに、俺の(そして、もしかすると真衣の)頭の中は真っピンクな快楽と欲望に染まり切っていた。
俺は自慢の体力任せに無我夢中で腰を振りたくった。
それに対して真衣も、魅力たっぷりの裸体をくねらせて応えてくれる。
彼女のよがり声はもはや絶叫に近かった。このアパートの壁は比較的厚いけれど、もしかすると隣部屋に聞こえてしまっているかもしれない。だが、そんなことも気にならないくらいに俺たちは性行為に没頭していた。
「はぁっ、亮太ぁ……亮太ぁ……っ!」
打ち続くピストンの嵐に、感極まった真衣が甘ったるい声で俺の名を呼ぶ。
と、そのとき。俺はふと彼女の胸元に視線を吸い寄せられた。
大振りなストロークに合わせ、たゆんたゆんと円を描くように揺れる二つのGカップメロン。
もちろん、それまでも目に入らないわけではなかった。なかったのだが、ここにきて急にこの真っ白い乳鞠、その中心に乗った薄桃色の乳首にしゃぶりつきたくてしょうがなくなったのだ。
「……いいよ。今更格好つけなくたって」
あまりにじっと凝視していたせいなのか。それとも乳房に意識を持っていかれ、抽挿が若干疎かになったためなのか。
俺の心中に湧いて出た欲望は真衣にたちまち見抜かれてしまう。
だが、彼女は気分を大して害した様子もなく、むしろ首に回した手にぐっと力を入れ、俺を胸元に引き寄せようとしてくれた。
俺は当然それに抵抗する気にはなれない。そしてそのまま、柔らかな谷間の中に思いきりダイブを決めた。
「……んっ、あは。幸せそうな顔してるね~亮太」
真衣のからかうような声が頭上から降ってくる。けれど俺はそれに反論することもなく、ただただ至福の感触に指を埋め、一心に頬擦りをしていた。
前戯の際、ニット越しに揉みしだいた時でさえ生乳のような触り心地だと思った。
ただ、本当の生乳はやはり格別だった。蕩けるような柔らかさはそのままに、もっちりと吸い付いてくるような肌の質感。これは直に触れなければわからない魅力なのだろう。
「最高だよ、真衣のおっぱい」
思わずそう口にしながら、俺は谷間の中で深く息を吸った。
熱を帯びた肌には玉のような汗が浮かんでいた。しかしそれはただの汗のしずくではなく、俺にとっては蠱惑的なフェロモンの塊だった。
その揮発した香気が鼻を抜け、脳天まで突き刺さり、勃起を高める。
こんな俺は変態なのだろうか?
――いや違う。こんな濃厚な雌の匂いをさせている真衣の方こそ悪いのだ。
そんな一人合点と開き直りを経るうち、俺の唇は無意識にしこり立った乳首を探していた。
「あっ、んんぅ……ふふっ。亮太ったら、さっきまで男らしかったのに、今はまるで赤ちゃんみたい」
「馬鹿言え。こんないやらしい赤ん坊がいてたまるかよ」
「それもそうだ、ね…………んっ……あぁっ、やっ」
ようやく見つけた乳首を口に含むと、何故か安心した気分になった。
そんな俺の頭を、真衣は子どもを可愛がるように撫でてくる。
だが、俺はもちろんガキではない。それを知らしめるように乳首を舌先でころころと転がすと、真衣の手はピクンと震えて止まった。
「はぁっ、乳首、敏感になってるからそんな虐めちゃ……」
俺は生意気なほどに勃起した果実を唇で甘噛みした。
「あ、それだめぇ……私の乳首、食べちゃだめぇ……っ」
ならばと今度は唇を窄めてちゅうちゅう吸い上げる。もちろん母乳など出てきやしないが、かすかに甘いミルク臭が口の中に広がったような錯覚を覚えた。
「やっ、待って……今おちんちんも動かれたら、私、気持ちよくなり過ぎちゃうから……っ」
なおざりになっていた腰も再び動かし出す。
ただ、今度はじっくりと責め立てるようなピストンを意識した。
ペニスの形を感じさせるがため、ギリギリまで引き抜いた後、じっくりと蜜壺に沈めていく。最奥まで到達すれば、そこでさらに子宮口に押し込むように腰を蠢かせた。
「あぁんっ……それ、たまんない……グリグリってするの、奥、キクぅ……っ」
全ての手足を使って力いっぱい俺のことを抱きしめる真衣。そんな彼女が切羽詰まった声で俺を呼んだのは、その直後のことだった。
「ね、ねぇ、亮太……?」
「どうした?」
「……ごめん、私、もうイキそうかも」
胸にばかり夢中になっていたが、そう言われてハッと気づく。
真衣の顔から首、鎖骨の辺りにかけての肌が紅を差したように紅潮していた。
いつもはシミ一つない純白の肌だから、なおさらその異変はわかりやすい。
そしてこれが、彼女がいつもオーガズム直前に見せる一つの前兆だった。
「亮太は……? まだ、時間かかりそう?」
「いや、そんなことはない。でもイクにはもっと速く動きたいかな」
本当はまだ多少の余裕があった。とはいえ、真衣に余計な遠慮をしてもらいたくもなく、俺はそう答える。
その答えを聞き、真衣はにっこりと微笑んだ。
「そっか。じゃあ、激しく動いても良いよ。私がイっても、気にしなくていいから」
「本当にいいのかよ?」
「うん。多分このままゆっくりされてもイキそうだし、だったら少しでも一緒が良い」
「……わかった」
俺は少し身体を上にずらし、真衣と目線を揃えた。
鼻先と鼻先がくっつきそうなほどの距離。目を瞑って唇を軽く突き出した彼女に応え、そっと口づけを落とす。
ちゅ、ちゅく、ちゅ、ちゅう。
啄ばみあうようなキスの後、真衣は「して」と一言囁いた。
「……んぅっ、あんっあんっあんっあんっ……!」
俺は腰を力いっぱいに振り始めた。これでもう最後まで止まらない。
恍惚とした赤ら顔で喘ぐ真衣の口を強引にふさぎ、舌を絡めた。
彼女の上も下も、俺は本能のままに貪った。
「んんっ! んっ、んうっ、んっ、んんぅっ……!」
繋がりあった口腔内で真衣のよがり声が反響する。
ぶつけられる肉悦と薄れゆく酸素の中、彼女の瞳がすうっと虚ろになっていくのを俺は至近距離で見つめていた。
「……ぷっ、はぁっ! はぁ、はぁ、あぁ……亮太ぁ……私、もう……」
「いいぞ。好きな時にイけ。俺が最後まで突いてやるから、思いっきり気持ちよくなれ」
「でも……亮太が……」
「俺ももうすぐだから大丈夫だ。だからそんな悲しそうな顔すんなって」
「違っ、そんな顔してな……あっ、うぅんっ」
真衣の全身に不随意的な強張りが広がっていくのを感じながら、俺は最後の追い込みとばかりに腰を振りたくった。
「はぁ、あぁ、んんっ、ああぁ……もうだめ、これイク、おまんこイク……っ」
既に快楽のことしか考えられなくなった真衣が甘ったるいよがり声を漏らす。赤らんだ顔はとろんと恍惚に濡れ、自分を犯してくれる男だけを情感に満ちた瞳に映していた。
その瞳の中にいられる俺は幸せ者だと思った。
たとえこの関係が身体だけの仲であったとしても、それは変わらない。
だから俺が果たすべき役目はただ一つ。彼女を俺だけが押し上げられる高みへと至らせてやることだけだ。
そして、その時は間もなくやってきた。
「あぁ、はぁ……い、く……イクイクイク……イッ、クぅぅ……ッ」
それまでのあられもない嬌声とは一転し、最後の瞬間はまるで声を潜めるようにして真衣は達した。
スラリとした長身の体躯が、嵐のようなオーガズムから身を守ろうとするように縮こまる。そうして俺の身体に手足をきつく絡めたまま、彼女の身体は幾度も幾度も痙攣した。
内も、外も。俺を力いっぱい抱きしめてくれる。
その歓喜にしばし浸っていたかった、だが、俺の昂りきった身体はそんな悠長なことを決して許してはくれない。
俺は欲動の赴くまま、絶頂にわななく真衣の中でさらに腰を振り続けた。
「だ、だめ……もうイってるっ、イってるのにぃ……っ」
事前に許可はもらっているとはいえ、いまだ快楽の渦の中にいる真衣に追い打ちをかけるのは少々心苦しかった。真衣も真衣で、前言をつい失念してしまうほどに混乱しているのが余計にいたわしい。
その一方で、この状況を喜んでいる俺がいたのも確かだ。
絶頂感にきゅっと引き締まり、官能的に震える彼女の膣内は極上の名器だった。
この最高の状態をあともう少しとはいえ存分に味わうことができる。
俺は一秒一瞬もぬかることなく、粘膜同士の摩擦が奏でる快美感に集中した。
「……っ。出すぞっ、真衣。もうすぐイクからな!」
「わた、しも……また来るっ……イってるのに、またイっちゃうぅ……っ!」
俺たちは視線を絡め合い、互いの絶頂の予感を伝え合った。
自然と唇が引き寄せられ、再び舌同士で交接する。
視界に白い閃光に覆われたのは、それから間もなくのことだった。
「……ぐぅっ!」
「……んぅっ……っクゥ……ッ」
抱きしめ合った俺たちはほぼ同時に絶頂を迎えた。
真衣の中で限界まで膨れ上がった肉棒がビクビクッと跳ね、裏筋を駆け上った熱い塊のような精子を尿道口から解き放った。
ビュルッ、ビュルッ、ビュルルルッ……。
そんな下品な音が聞こえてきそうなくらい、凄まじい勢いの射精。
それに伴う解放感にも似た愉悦は、俺の意識を束の間陶然とさせるほどのものだった。
「あ……はぁ……はぁ……はぁ……んっ」
やがて引き潮のように絶頂感が遠ざかっていく。
と、俺は自分の身体の下から苦しげな息遣いが聞こえるのに気づき、慌てて身体を起こそうとした。
「あっ。……なぁ、真衣。余韻に浸ってるとこ悪いんだが、手と足、解いてくれるか?」
「……え? あっ、うん」
離れゆく俺を引き留めていた手足がなくなり、自由に動けるようになる。
けれども、全く抱きしめる力がなくなった背中に一抹の寂しさも覚えた。
そんなものは射精後の落ち着きを勘違いした気の迷いだというのに。
きっとそうに決まっている。
「んっ、う……」
真衣の身体を貫いていた陰茎がずるりと秘部から抜けると、彼女は何とも言えない表情を浮かべ、目元を腕で覆った。
その姿を見ながら、俺は狭いベッドの上で居場所を見つけて腰を据える。冷房は効いていたが、激しく動いたせいで全身汗だくだ。額の汗をぬぐいながら下半身に目をやれば、避妊具にはたっぷりの白濁液が溜まり、提灯のように半勃ちペニスの先から垂れさがっていた。
「わぁ。二回目なのにいっぱい出たね」
声に顔を上げれば、仰向けのままの真衣が頭だけを起こしてこちらを見ていた。
彼女もまたいい汗をかいている。汗も滴るいい女といったところだ。
そのまま再び休憩モードに入るのかと思ったのだが、どうもそうではないらしい。
気怠そうな身体をのっそりと起こすと、彼女は四つん這いで俺の方へと近づいてきた。
「頑張ってくれたお礼に、私が綺麗にしてあげる」
そう言って、彼女は俺の股間に手を伸ばした。粘液濡れのコンドームをするすると外し、中身が漏れ出さないように口を縛る。そうしておいてから今度は顔を股座に寄せると、精液に汚れた俺のペニスを躊躇いもなく口に含んだ。
「うっ、くぅ……」
真衣の舌先はやわやわとした動きで精液を舐めとっていった。射精後の敏感な陰茎を刺激しすぎないようにという配慮だろうが、それでも十分に気持ちがいい。
それにしてもお掃除フェラまでしてくれるとは思わなかった。こればかりは彼女の機嫌次第なので、さっきのセックスによほど満足してくれたのだろう。ちょっとした達成感とともにくすぐったさが入り混じる肉悦を感じながら、俺は真衣の頭をそっと撫でた。
と、そんなとき。ふっと瞼が重くなり、意識が一瞬遠のきかけた。
「……あれ、どうしたの亮太? もしかして眠い?」
俺の顔を見上げながら口淫を続けていた真衣はその異変にすぐ気がついた。とっさにフェラチオを中断すると、問題ないと手で遮ろうとする俺を半ば無理矢理ベッドに寝かす。
「こんなお疲れなのに付き合ってくれてありがとね。今夜はもう寝よっか」
「大丈夫だって。エナドリでも飲めばすぐに目が覚めるから」
「無理しないの。それに亮太のことだし、明日は一日ゆっくり過ごそうと思って予定空けてたんじゃない?」
「なんでわかるんだよ」
「だって、この前の秋学期がそうだったじゃん。だから今回もって思ったわけ」
それはあまりに正確な推察だった。正しすぎて、ぐうの音も出ない。
「私も明日は一日フリーにしてるんだ。だから、ね? 明日楽しむためにも、今夜はもう休もう?」
真衣はそう言って寝冷えしないようにタオルケットをかけてくれる。使い慣れた寝具の肌触りに性行為を終えた後の気怠さも相まってか、一度勢いづいた眠気は加速度的に強まっていった。
次第に意識が薄れていく。
ぼんやりとした視界の端に、裸の真衣が部屋の電気を消しに行く後ろ姿が映った。
部屋の明かりが落ち、暗闇に紛れて彼女がベッドに帰ってくる。
「おやすみ、亮太」
彼女がすぐ隣に身を寄せる気配がした。
俺は返事もできず、ただその安心する体温を感じながら眠りについた。