とあるセフレたちの週末 〜繋がりっぱなし交尾で貪りあう二泊三日間〜 作:若菜はかり
俺たちが風呂から上がったのは、結局十一時も近くになったころだった。
二人そろってキッチンに立ち、遅めの朝食――というよりは早めの昼食を準備する。
メニューは冷やし中華だ。冷蔵庫にあったチルド麺を真衣が目ざとく見つけ、議論の余地なく即決した。
俺が麺を茹で、フライパンで薄焼き卵を焼く。その間に彼女はハムときゅうりを切った。適当に盛り付けて急ぎ食卓へ運ぶ。そのころには二人とも腹の虫がぐうぐうと鳴り出していたから、俺たちは「いただきます」の後は無言になって一心不乱に麺を啜った。
激しく動いた後だったせいか、醤油ダレの酸味が身体に染みわたっていくようだ。
ほとんど息もつかぬままに平らげ、食器の片付けもそこそこに俺たちは身を横たえる。
食ってすぐ寝るのは身体に悪いとは知ってはいた。けれど、全身を包む穏やかな満足感にはどうにも抗えなかったのだ。
そうして、しばらく気ままにくつろいでいた時のことである。
「……ねぇ。なんか違くない?」
ベッドの上で横になっていた真衣がおもむろに身体を起こしたかと思うと、どこか深刻そうな声音でそんなことを言った。
「違うって、何が」
「わからない? 今この状況そのものが、そうでしょ」
床に座りベッドに背中を預けている俺を、さかさまになった真衣の顔がのぞき込む。
相変わらず呆れるほどに整った顔立ちだ。今は風呂も入ってノーメイクのはずだが、ほとんど印象は変わらない。気を抜くとつい見惚れてしまいそうになるから、俺は気だるげな風を装って目を瞑った。
「はっきりしねぇな。要は何が言いてぇんだ?」
「つまりは、私たちの関係って彼氏彼女じゃなくてセフレじゃん? だったらセックスもせずにダラダラ過ごすのは一緒にいる意味ないんじゃないかなぁ~って」
真衣の声が背後に遠ざかったので、俺は瞼を開けて頭をボリボリとかいた。
ああ、なるほど。つまり彼女はこう言いたいわけだ。
セックスというのは、世間一般の恋人たちにとっては愛情を深め合うための一手段である。それ以外にも例えばデートに出かけたり、一緒に食事をしたり。あるいは今こうしているように相手と二人きり、久々の休日を無為に過ごすのもまた一種の愛の育み方といえなくもないだろう。
だが実際の俺たちの関係は、あくまでもセフレ――すなわち、セックスフレンドである。性交渉という具体的行為を目的とした享楽的な繋がりに過ぎないのだ。
であるならば、二人の間でセックスに費やす以外の行為は極論、時間の無駄となる。
それが食事や入浴、睡眠などの必要最低限を除く雑事であるなら尚更だ。ただでさえ互いにフリーな休日など貴重なのだから、のんべんだらりと時間を浪費することなどあってはならない。
だから結論として、「セックスしよう」と真衣は言っている。
いかにも単純明快、わかりやすいことこの上ない。
……なのだが、ここで俺は素直に「うん」と答えられる気分ではなかった。
「いや、真衣の要望に応えてやりたいのは山々なんだけどさ。風呂入ってメシ食ったら、何だか妙にリラックスしちまって」
「え~、何それ」
このところ連日続いた試験期間の緊張感。そこから解放され、酒盛りにセックス、長寝のちセックス、そして今また落ち着いたブランチときた。
まだ一日は始まったばかりである。それはわかっているのだけれど、人間の三大欲求のことごとくを叶え、一通りの満足を得てしまった感は否めなかった。
ただ今一つ食指が動かないとはいえ、疲れた身体は十分に休まっている。体力的にはいくらでも真衣を抱けるコンディションであることは間違いない。あとは時間の問題であって、そのうち女体が恋しくなってくるだろうという予感はあった。
「う~ん。本当に落ち着いちゃったみたいだね、亮太のおちんちん」
「おい、どこ見て言ってる。……まぁ、もう少し時間が経てばいつもみたくその気になってくるだろうから、しばらく待っててくれよ」
若干の申し訳なさを感じつつも、そう頼みながら振り返る。と、タンクトップにハーフパンツというラフな格好をした真衣は女の子座りでこちらを見下ろしていた。
その面持ちには、しかしどこか違和感がある。
――そうだ。どうして不満そうな顔ではなく、微笑みを浮かべているのだろう?
しかも彼女の笑みには何やら企んでいる気配すらあった。俺は心の内で身構えた。
「……なんだよ」
「ふふっ。そういうことなら、私にいい考えがあるよ」
そう言うが早いか、ひらりとベッドから降りる真衣。
向かった先は、彼女が昨夜持ってきた旅行バッグ。週末泊るだけにしては妙に大荷物だったので気になってはいたのだが、結局聞けずじまいだったものだ。
「あ、あった。これこれ」
ごそごそとバッグを漁ったのち、取り出されたのは黒いポーチだった。真衣がそれを振ると、何か長いものが複数個入っているらしいのがわかった。
訝しげにそのポーチを見つめる。そんな俺に彼女はまた例の微笑みを浮かべるのだった。
***
不敵な笑みに誘われるまま、俺はベッドの上にいた。
枕側に俺、足元側に真衣。互いに向かい合って座り込んでいる。ただ相変わらずのジャージ姿である俺に対し、真衣は服を脱ぎ、下着だけの格好となっていた。
シンプルな意匠にブランドのロゴが大きく入った、グレーのスポーツブラとショーツ。
どうやら最近の流行りらしく、ファッションには不案内な俺でも見た覚えがあった。見せブラ・見せパンとして着用してみた自撮り写真を、割と名の知れた女性タレントや歌手がSNSに上げているのがタイムラインに流れてきたのだ。
その大胆かつあっけらかんとした着こなしには最初面食らったものだ。ますます女性のファッションというものがわからなくなった。だが、実際に真衣が身にまとう現物を目の前にすると、これはこれで健康的な色気があるように思えてくるから不思議だった。
「ごめんね、地味な下着で。好みじゃないだろうけど、部屋にいるときはこれが楽でさ」
「いいや別に。……むしろ、こんなシンプルなのでも真衣が着てるとエロく見えるんだなって、ちょっと驚いた」
「そう? それは流石に見境なさすぎじゃないかな。まぁでも、今は亮太に興奮してもらうのが最優先だし、結果オーライってことにしとくよ」
彼女はくすくすと笑いながらポーチの中に手を入れ、何かを取り出した。
コードで繋がった卵型のカプセルと、ダイヤル式のコントローラー。
それはいわゆるピンクローターというやつだった。
真衣はきっといつもそうしているように、おもちゃの電源を入れた。途端に聞こえてくる、低い振動音。見た目は小さいながらに結構パワフルだ。
こんな無機質なバイブレーションに彼女はこれから責め苛まれるのだ。俺は震え続ける性玩具の行方を視線で追いながら、そんな不埒な想像を膨らませてしまった。
「じゃあ私、今からオナニーするから。興奮したら亮太も我慢せずにシコシコしてくれていいからね」
小首を傾げながら、真衣は俺にそう告げた。
そう。彼女が口にした『いい考え』とは、オナニー鑑賞のことだったのだ。
「……結局、マジでやるのかよ」
セックスと違って直接身体が触れ合うわけではない。なのに妙な背徳感があって、それゆえに少し渋ってみせるのだが、既に乗り気な真衣は意に介してもくれなかった。
「だって仕方ないじゃんか。まだまだこれからって気分なのに、亮太のやる気が出ないんだから。だったら私が先に自分で気持ちよくなっちゃって、その姿で興奮させるってのも一つの手じゃない?」
「だからってオナニーを見せるなんて考えに至るかよ、普通」
「そりゃまぁ、ちょっとアブノーマルなプレイと言えばそうだけどね。でも、たまには多少変わったこともしないとマンネリになっちゃうでしょ」
簡単にそう言ってのける真衣。とはいえ、全く恥ずかしくないわけでもないらしい。
頬を薄桃色に染め、視線は斜め下方向に逸れたまま。落ち着かなさそうに下唇を噛み締める口元にも羞恥の気配が滲んでいた。
それでも一度口にしたことを撤回する気はないと見える。彼女は意を決したように、振動するローターをそっと左乳房の中心へと押し当てた。
「……んっ」
籠った吐息とともにピクンと肩がすくんだ。控えめな上目遣いがちらりと俺を見る。
ほんの束の間の逡巡。けれども一度止まった真衣の手はそれから間もなく動き出した。
どうやら日頃からよほど使い込んでいるのだろう。そうとしか思われないくらいに乳首を捏ねる彼女の手つきは滑らかだ。伏し目がちな瞳もいつしか心地よさそうに緩んでいき、まるで俺の存在など忘れてしまったように自慰に没頭し始めた。
「……はぁ、あっ……んんっ、ふぅ……」
ウズラの卵ほどの小玩具がスポブラに包まれた柔な乳肉に沈んでいく。そのままグリグリと何かを磨り潰すような手の動きが加わると、真衣はいよいよたまらないといった様子で甘い声を漏らした。
「あっ、あぁ……ひっ、くぅ……ん……あっ」
自らを抱きしめるように回された左手の指先が何度も空を掴んでは放す。その動きが彼女の感じている快楽の波を表現しているようで、俺はじっと見入ってしまった。
「……いつも最初はそんな感じなのか?」
ほとんど考えもなしにそんなことを聞いた。
視線を上げ、うっすらと瞼を開いた真衣は少し考えてからこくりと頷く。
「言われてみればそうかも。一人でする時は、こんな感じでブラの上や、ノーブラでもシャツの上から触り始めることが多いと思う」
「下着の上から触るのが好きだったり?」
「う~ん……まぁそうかも。あとは少し焦れったいくらいが興奮できるのもあるかな」
「へぇ。なるほどな」
つまり、真衣は焦らされるのも好き――と。
聞き出すつもりだったわけではないが、これはなかなかに貴重な情報である。何気ないふうに相槌を打ちながら、俺は今度絶対に試してみようと肝に銘じるのだった。
「それにしても……はあっ、んぅっ…………や、やっぱり人に見られてると、いつもより興奮するもんだね……あっ……ん、やっ……」
一方の真衣も照れ隠しなのか、軽い調子を装ってみせる。それでも次第にその声のトーンが高くなっているのは隠せていなかった。
悩ましげにおとがいが上がり、胸を前へと突き出すように背中が反っていく。ローターを摘まむ彼女の手が今度は右の乳房へと移った。つい今しがたまで責め苛んでいた左胸の中心にはぷっくりと乳頭の形が浮かび上がっていて、すかさず左手の爪先がその敏感なポッチを引っ掻きにかかった。
「はぁっ、これ、やばっ……乳首、感じ過ぎて……手、止まんなくなる……っ」
もはや恥じらうこともなく、真衣は己の感じている快楽を率直な言葉にしていた。Gカップの乳鞠がひずむほど強くローターを押し付け、そうしながらもう一方の手で勃起乳首をコリコリと摘まみ潰す。先ほどまでの焦らすような手つきから一変し、見ていると痛くないのだろうかと心配になるほどだったがその必要はなかった。
なぜなら彼女のくびれた腰はうずうずと揺れっぱなしだったからだ。まるでこの程度では物足りないとでも言うように、あるいはもっと直接的な刺激を欲しがって恥部をベッドに擦りつけようとしているように腰を前後に振る。
その姿を見ていると、俺は一刻も早く知りたくてたまらなくなった。
こんなに乳首を弄り回しても不満そうにしている、彼女の貪欲な女の部分。そこが今どんな痴態を呈しているのか、この目で確かめたくなったのだ。
「真衣、脚開け」
ぞんざいにそう指示すると、真衣の濡れた瞳がちらりと俺を見た。けれども何も言わず、素直に言う通り体勢を変えていく。
「そう。両膝を立てて、あそこを突き出すように見せるんだ」
「……こう?」
目の前で長くすらりとした下肢が組み変わり、やがて大胆なM字開脚ポーズを描いた。
流石の真衣も照れ臭そうに笑う。まだショーツは穿いたままとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしいのだろうか。
いや、この場合は少し違う。むしろ下着を身に着けているからこその羞恥があるのだ。
「やっぱりな。もう下着の上からでもわかるくらいに濡れてるじゃないか」
「ええっと…………あは、これはお恥ずかしい」
照れ隠しにわざとらしくおどけてみせる。そんな真衣の股間――剥き出しになったクロッチ部分には、親指大ほどのシミがじわりと浮かび上がっていた。
それは彼女の肢体が淫らな熱を帯びている証だった。
「ねぇ、ここも弄っていい?」
「……あぁ、いいぞ」
すっかり釘付けになってしまった俺をいつものようにからかうでもなく、真衣は静かにそう尋ねてくる。
密やかな焦燥を感じさせるその声に俺は反射的に頷いていた。するとその答えを待ちかねていたかのように、間髪入れず彼女の右手が股間へと伸びた。
「あっ、いぃっ……くふぅ……っ」
黒々とぬらつく滲みに、低く唸るローターがあてがわれる。その途端、真衣は歓喜の喘ぎとともに腰を甘く震わせた。
「んんっ、あはぁ……これ、キクっ……ブルブル震えるの、クリの奥まで響く……っ」
ひとたび愉悦を味わってしまえば後はもうなし崩しも同然だった。もっともっとと欲しがるように、彼女のほっそりとした指が力を込めて性具を秘部へと押し付けていく。
時には肉花弁をこねくり回すように、時にはじっとクリトリスを責め苛むように。
その手つきには段々と熱が籠っていき、比例して愛液のシミがじわじわと広がっていくのが目に見えてわかった。まるで水気をたっぷり含んだスポンジを間近に見ているようだ。いつか唐突に溢れ出してしまうのではないかと気が気ではない。
と、そこで俺はあることに気がつき、しまったと思った。
さりげなく身を捩り、何とか誤魔化そうと試みる。だがそれは悪手だったようで、かえって隠そうとしたことが露見する結果を招いた。
「あっ……亮太、勃起してる」
薄い唇からぽつりとそんな呟きが漏れた。
事実、俺の股間は明らかにそこだけが盛り上がり、ズボンに立派なテントを張っていた。
もはや取り繕いようもない。そこで俺はいっそ開き直ってみることにした。
「なんか悪いかよ。そっちの思惑通りだろ」
「それはそうなんだけどさ。思ってたよりもすぐその気になってくれたなぁって」
「チョロい男だって思ったか?」
「ううん、別に。こっちとしても結構思い切ったことしてるんだし、無反応決め込まれるよりはよっぽどいいよ」
そう言ってあっけらかんと笑うが、きっと少なからず本音だったのだろう。真衣はどこか心配事が晴れたような面持ちを浮かべながら、一方では手淫に耽り続ける。
その不埒な手つきを目で追う俺は、ふと彼女に尋ねてみた。
「……それにしても、これ大丈夫なのか」
「ん? 何が?」
「今夜もどうせウチに泊まるんだろ? その、下着の替えとか足りるのかなって」
「あぁ、そういうこと。大丈夫だよ。ちゃんと多めに持って来てるから。それに……」
そこで真衣は意味深に口角を持ち上げる。
「下着汚しながらすると余計にいけないことしてるみたいで興奮するんだよね、私」
「……なんて言うか、お前って安定して変態だよな」
「ふふっ。そっちだって私がショーツ濡らしてるの見て勃起してるくせに、よく言うよ…………んっ、あぁん」
腰を軽く浮かせながら真衣は自慰快楽によがる。俺がその様子を眺めながらズボンをずらし、勃起した陰茎を取り出すと、彼女も行為を中断して下着の腰紐に手をかけた。
「じゃあ、私もそろそろ脱いじゃおっかな」
そう言って両足を一旦閉じ、すっかり色を濃くした下着を下ろしていく。爪先から抜き取られたそれはベッドサイドにでも放られるのかと思ったが、真衣はちょっと思い直して、それを俺の目の前で広げてみせた。
先ほどまでは見えなかった、ちょうど女性器が当たる部分。そこには白く濁った彼女の膣粘液がたっぷりと付着していた。
「ほら見て、ショーツの内側。まだまだこれからなのに、もうこんなドロドロになっちゃった」
「おおっ、えぐい濡れ方してんな。股のところなんかぐっちゃりまとわりついて、これって本気汁ってやつだろ? すげぇな、改めてみるとこんなに粘ついてるんだ」
「…………うん、だね」
「……正直今、見せたのちょっと後悔しただろ」
「あ、バレた? いやぁ、喜んでくれればと思ったんだけど、冷静に考えたら生々しすぎて普通引いちゃうよねって」
「そんなことねぇよ。めちゃくちゃ興奮してるし、何なら触ってみたいくらいだから。それにほら、ここも」
言い切ったその言葉には毛ほども嘘はない。証拠を見せるように、俺はいきり立った男根を軽く扱いて見せた。それは真衣の生々しい欲情の証に萎えるどころか硬度を増し、天に向かって屹立している。
早くも臨戦態勢な俺の逸物。その猛りようを目撃した真衣は呆れた顔をした。
「……人のことは言えないけど、亮太も大概変態だよね」
「ほっとけよ。それより続き、見せてくれるんだろ?」
俺はそう言って、ベッドの上に転がっているポーチを一瞥した。おそらく真衣愛用の品を収める専用として使われているそれは、まだ何か入っていそうな膨らみを保っている。何が飛び出すのか、期待してもよさそうだ。
そんな俺の視線を催促と受け取ったのだろうか、真衣は再びポーチの中に手を差し入れた。
そうして取り出したのは乳白色のバイブだ。滑らかなシリコンボディは緩く曲線を描き、いかにも女性の膣内にぴったりとはまり込みそうな形をしている。挿入時にはクリトリスを責めるための機構も、ぴょこんと枝分かれするように付いていた。
「真衣もそんなおもちゃ持ってたんだな」
「あれ、意外?」
「いや、全然。むしろイメージ通りで何の驚きもない」
「だよね。知ってた」
学内の知人友人たちならばともかく、既に散々あられもない姿を見せあってきた俺相手では、今更イメージも何もないのだろう。
覆い隠すものがなくなった股間を再度大きく広げ、真衣はベッドの上で仰向けになった。
ピンク色に充血し、濡れそぼった淫花がくぱりと開く。その可憐ながらもいやらしさを醸す肉ビラを、彼女はバイブの先でそろそろとなぞり始めた。
くちゅ、くちゅ、くちゅ……。
息を呑むような静寂の中、その粘着質な水音はあまりにも艶やかに響き渡った。
「あぁ、んっ……ふぅ……ねぇ、見てて。私のあそこ、今からバイブ咥え込んじゃうから」
真衣はそう予告すると愛用玩具を握り直し、その切っ先を自らの膣穴に突き立てた。若干太めに作られている先端部がゆっくりと沈み、陰唇がむにゅりと押し広げられていく。
相変わらず狭そうな入り口ではある。だが、しっかりと濡れているので抵抗はほとんどないようだ。先端部がつぷりと呑み込まれると、残りの部分もスムーズに蜜壺の中へと収まっていった。
「はぁ……全部入ったぁ……」
「……うわ、エッロ」
バイブをすっかり迎え入れた柔肉がヒクヒクと震え、粘っこい蜜をとぷりと吐き出した。
ひとときも目が離せない光景に、思わずそんな感想が漏れてしまう。それほどまでに彼女の媚肉が異物を受け入れていく過程は官能的だった。
やがて、「動かすね」と真衣が言った。
彼女の指が手探りにバイブの柄を触り、スイッチを入れたようだ。
モーターの駆動音がかすかに響く。それと共に、引き締まった美しい女体がぐっと弓なりに反り返った。
「ひぃっ、あっ、はあぁ……っ! あっ、やっ」
口の端から漏れた甲高い嬌声。それは止まりようもなく、次から次へと溢れ出す。
「あっ、あっ、あっ……んく、あ、あぁ……っ」
「すごく蕩けた声してんな。そんなに気持ちいいのか、そのバイブ」
一体、膣内ではどんなに卑猥な蠢きが繰り広げられているのだろう?
直接見えないのが何とももどかしい。だが、きっと真衣の弱いところが的確に責めほぐされているのは間違いなかった。それは彼女が息もつけない様子からよくわかる。
俺に見られているという意識すら肉悦の彼方に遠のきつつあるのか、真衣は浮かせた腰を淫らにくねらせていた。まるでバイブの動きに呼応するかのような媚びた腰遣いだ。
思い出させてやるように問いかけを発すると、やはり彼女ははっと我に返ったように腰の動きを抑えた。
「……うん、気持ちいい。それに普段はこっそりやってるから、こんなに声我慢しないでするのは久しぶりで」
「ああ、そっか。真衣は叔母さん夫婦と一緒に暮らしてるんだもんな」
大学に通う多くの学生たち同様、真衣も進学を機にこの街へ引っ越してきた人間だ。だが俺と違って、一人暮らしではない。たまたま父方の叔母がこちらに嫁いできており、しかもキャンパス近くで喫茶店を営んでいるものだから、これ幸いと下宿させてもらっているのだという。
こんなそれぞれの住まい事情があるので、俺たちの密会は俺のアパートでと当初から決まっていた。恋人同士ならばいざ知らず、ただのセフレでしかない男を親戚の家に連れ込むのはいくら真衣でも気が引けるのだろうし、俺だってそんな蛮勇は持ち合わせていない。
ちなみに真衣は叔母夫婦の喫茶店でアルバイトもしているとも聞いた。器量よしの看板娘として売上にも大いに貢献しているようで、そのおかげもあってか外泊も大目に見てもらっているようだ。
……とはいえ、流石に男の家に泊まるとまでは言っていないだろうが。
「これだってわざわざ静音仕様のを探して買ったんだよね。居候の立場だし、一人暮らしと違って色々と気を使うところもあるってわけ」
「なるほどな。……ちなみに音が静かだと、その分物足りなかったりはしないのか?」
「え? う~ん、どうだろ……」
尋ねてみると、真衣は小首を傾げて少し考えた。
「私もこれ以外は試したことないからなぁ。そのあたりはよくわかんないんだよね」
「だったら今度欲しいやつ見繕って来いよ。あんまり高いのはきついけど、そこそこのだったら一台買ってやるから」
「えっ、いいの? 本気?」
「ああ。その代わり、それでオナってるところ俺にも見せろよ?」
ニヤリと笑ってそう答えると、驚いていた真衣もまた愉快げな笑みをつくる。
「……はは~ん。亮太も結構気に入ったんだ、このプレイ」
「バカ、こんなことでいちいち得意気な顔すんな。それよりもほら、続き続き」
「はいは~い……………んっ、あっ……はぁ……ぅん」
俺がせっつくように言うと、軽い調子で返事をして再び自慰行為に集中し始める。
まずはバイブを膣奥まで沈めたまま、じっと膣内で動きを味わうように。それからおもむろに数センチ引き抜くと、じゅぶり、ちゅぷり、という音を立てながらゆっくりと抜き差しした。
「はあっ……あっ、ん、くはぁ……ヤバ……声我慢しなくていいオナニー、やっぱりすごく気持ちいい……っ」
バイブの往復が幾度か繰り返されるうち、段々と手首の返しが早くなってくる。ぬめりきった膣口がいやらしい水音を奏でるが、それさえ真衣にとっては興奮を誘うらしく、率直な告白を彼女の口から引き出した。
艶めかしい光景に加え、あたりを漂い始めた甘酸い女体の香りが雄性を刺激する。俺は次第にじっとしていられなくなり、気づけばぐっと身を乗り出していた。眼下に男としてはたまらない絶景を望みつつ、そっと真衣の顔元を窺う。
そこには既に焦点を失った瞳でボンヤリと天井を見上げる、美女の乱れた姿があった。
「真衣もすっかり発情モードって感じだな。どんどん手つき激しくなって、すごい音鳴ってるぞ?」
「あっダメ、顔は見ないで……っ」
「どうして? こんなに幸せそうで、いい表情してるのに」
俺はからかい半分に残りは本音を込めて言う。実際、自慰快楽に酔いしれる真衣は普段のセックスの時とは少し違った一面を覗かせてくれていた。
自分を抱く男に甘え、雌を演じる女の顔ではない。もっと明け透けに、もっと独善的に。ただただ肉悦のみに没頭する、油断しきった本性としての雌の顔。
そんな彼女も自分が今どんなにはしたない表情をしているのか自覚はあるようだ。
だから空いた左腕で顔を隠してしまうのだけれど、俺としては無防備な姿を一目拝ませてもらっただけでそれなりの満足感があった。
「にしても、真衣が一人でする時ってこんな感じなんだな……。なぁ。さっきからすごく気になってたんだけど、そのバイブってどんな感じで動いてるんだ? ちょっと俺に説明してみてくれよ」
俺はすっかり調子に乗って、そんなことまで尋ねてみる。
すると真衣もこんな風に視線と言葉に晒されるのは満更嫌でもないのか、ぽつりぽつりと俺の要望に応え始めてくれた。
「……何種類かパターン切り替えられるんだけど、今の何と言うか……そう、心臓が脈打つみたいに、ドッドッ、ドッドッって震えてるって表現すればいいのかな。そんな感じ」
その動き方が好みなのか? と問えば、真衣は控えめに頷く。
「うん、まぁね……あっ、くぅんっ…………こ、このバイブ、先っぽから少し下がったところがコブみたいになっててさ。そこが上手くGスポットに当たると、すごく気持ちよくて……ひぃ、ああぁっ……!」
「へぇ、だからか。さっきから時々奥に入れたままじっとするから、どうしたのかと思ってた」
真衣を見ていると、時折手を休めるように抽挿を止めるのには気づいていた。ピストンの快楽に耐えかねてそうするのかと思っていたが、どうやら真相は全くの逆で、より深い快楽を味わおうとしていたらしい。
彼女は羞恥に濡れた目元を覗かせ、自嘲気味にくすりと笑った。
「ふふ、私のことよく見てるね。ちょうどキミがGスポット責めてくる時みたいで、これ結構好きなんだ……はぁ、あぁっ……うぅ……もっとも、自分でするとつい手加減しちゃうんだけど」
「なら、手伝ってやろうか?」
「……どういうこと?」
当惑気味の真衣を横目に、俺はバイブを掴む彼女の手に自分の手を重ねた。そのまま力を込め、ゆっくりとほぐれ切った膣内を掻き混ぜる。そうすれば予想外の動きにおとがいが浮いて、「ひぃっ」と引きつるような甘い呻きが漏れた。
「とっさに加減できないように、俺がこれをしっかり持っててやる。だから一番気持ちいいところで思い切りイってみろよ」
「あっやっ、亮太、待って…………あぁんっ、あっ、ひっ、あっ、はあぁ……っ!」
バイブを根元まで押し込むと、真衣の膣肉がきゅんと引き締まる感覚が伝わってきた。先端が小さなブラシ状になった分岐部も、陰核を覆いつくして小刻みに震えている。きっとこの状態がバイブの動きを最も感じ取れるはずだった。
とはいえ、ちゃんとGスポットが刺激できているかは外からだとわからない。一応確認しておこうと秘部から視線を上げたのだが、すぐにその必要はないのだと俺は悟った。
「あっ、あっ、ひぃ、あっくぅ……っ。ああ、ダメ……ダメダメダメぇ、これおかしくなる……おまんこ良すぎて頭おかしくなっちゃうからぁ……」
むずがるように髪を振り乱し、もはや取り繕う体裁もなく喘ぎ散らす真衣。その乱れ髪から覗く双眸はうつろに蕩け、唇の端からはだらしなく涎が垂れ落ちていた。
そんなグチャグチャになった彼女の姿が、ひどく可憐で美しい。
俺は血が湧きたつような昂ぶりを生唾とともに飲み下す。理性が急速に減退していく感覚の中、ベッドに転がっていたローターに手を伸ばしたのはほとんど無意識の行動だった。
「ほら、これで一緒に胸も弄ってみろって……ん?」
「……あっ、ぐうぅっ!?」
そうしてピンクのカプセルに左の指先が触れようとした、ちょうどその瞬間だった。
カチリ、と何か歯車を動かしたような手触りを右手に覚える。と同時に、真衣のか細い喉奥から子宮口を抉られたときのような濁った悲鳴が溢れ出た。
「……おい、真衣?」
「や、嘘、本当にダメだって……それ普段使わないやつ……強すぎて我慢できなくなるから、ほとんど使ったことないパターンで……っ」
「なんだ、そんなの隠してたのかよ。どうせなら試してみればよかったのに」
「だ、だって、これ本当にヤバいやつなの……おまんこの深いところ、全部ぐりぐりって掻き混ぜられちゃうから……あっ、やっ……あぁっ、あんっ!」
真衣は息も絶え絶えになりながら、許しを乞うように切なげな声で訴える。
そう言われてみれば確かに、俺の手のひらには先ほどとは違う振動が伝わって来ていた。これまでの動きが心臓の拍動であったとするならば、今はまるで暴れ狂う蛇の胴体を掴んでいるようだ。快感がたまってきたところにこんな刺激は酷だろうと男の俺でもわかる。
現に真衣の腰は快楽にうねるというよりかは、一刻も早くこの責め苦から逃げ出そうとするように大きく跳ねあがっていた。俺はその動きを空いた腕を回して抑え込むと、バイブの挙動が余すところなく膣に伝わるように手首に力を入れた。
「あっあっあっあぁっ……! やだ、許して亮太っ……これ凄すぎるっ、気持ちいいの全然逃せなくて、私っ、私もう……っ」
「いいぞ、このままイけ。俺が見といてやるから、お気に入りバイブでアクメしてみろ」
「待って、だめ、だめぇ……あっ、ああああぁぁ……ッ」
快楽からの逃げ場をなくした真衣の身体は、俺の腕の中で必死にのたうち回っていた。
グチャグチャに乱れた美貌はあられもなく蕩け、ただ口元だけが快感に耐えるように歯を食いしばっている。空いた左手は力いっぱいにベッドのシーツを掴みこんで、ともすれば破いてしまいそうだった。
スポーツブラに包まれた美巨乳も身体の震えに合わせてぶるんぶるんと暴れまくる。その頂点はもう触ってもいないのにはっきりと尖りきっていて、薄い生地にその淫靡な形をくっきりと浮かび上がらせていた。
「はぁっ、イク……亮太に見られながら、バイブでアクメきめちゃうぅ……っ!」
深い絶頂の予感に真衣の下肢が爪先までピンと伸びる。その瞬間、彼女の肌に浮かんだ玉のような汗粒が細かなしぶきとなって宙に散った。
むわりと湿った何とも甘ったるいフェロモンが鼻腔を満たし、俺は真衣の絹肌にすがりついた。そうしてかぐわしい雌の匂いを直に嗅ぎまわらないではいられなくなったのだ。
真衣が達したのは、それから間もなくのことだった。
「あぁっ、はああぁぁ……くぅ……っ!」
深く官能的なため息とともに、真衣の腰がベッドから大きく跳ねあがった。
次いで下腹部を中心としてさざ波のような痙攣が広がり、四肢の隅々までが震えあがる。
あんなに全身で乱れていて、一体全体どこにこんな力が残っていたのだろう?
そう不思議に思えるほどに身体の反応は力強い。あるいはこうやって力を振り絞らねばならないほど、彼女を襲う快楽の津波は大きく激しいのかもしれなかった。
「りょ、亮太……バイブ、止めてぇ……っ」
苦しげに懇願するその声にハッとして、俺は視線をいまだ動作し続けるバイブへと移した。
乳白色の疑似ペニスを咥え込んだ肉花弁が蜜まみれになってヒクヒクと蠢き続けている。
その甘美な誘惑を何とか振り切り、俺はスイッチを探す。すぐに見つかったが今度は操作方法がわからない。そうしてまごついている間にも、オーガズム直後の敏感な膣襞を掻き乱され、真衣が悩ましげな苦悶の喘ぎを漏らすのが聞こえた。
やむなく緊急避難的にバイブを引き抜きにかかる。膣襞が余韻のまま食い締まっていたことを考えると、それは限りなく暴挙に近かったが今は仕方なかった。
「……真衣、ごめん!」
「あ、待って今は……いっ、ひぃんっ!?」
玩具がジュポッと勢い良く抜ける音とともに、真衣が裏返った悲鳴を上げる。ベッドに着いていた背中が再び反り返ったので、軽い絶頂感にも見舞われたようだ。
愛液にぬめったバイブが俺の手を離れ、ベッドの上に転がっていく。
まだスイッチが入ったままのそれはまるで生き物のようにのたくり続けていた。これが真衣の中で暴れていたかと思うと、今更ながらにゾッとしないでもなかった。
しかし、俺はそれ以上に興奮もしていた。
――彼女はまだ何か用意しているのだろう。
仄暗い期待のこもった目で、まだ膨らみを保ったままのポーチを見てしまう。
そんな俺に肩で息をつく真衣も気がついたようだ。気だるげな動きでポーチを引き寄せると、妖艶な笑みとともに中から先ほどのバイブより一回り大きなものを取り出した。
俺は驚きに目を見張った。
それは形といい色といい、一見してはち切れんばかりに勃起したペニスそのものだったからだ。