※この作品はR-18です。

エンゼル・フォールン ~少女たちは歪んだ教義の犠牲になる~   作:水上些事

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01. 扉を開く(シア:アナル指入れ+かき回し)

 

 パメラはこの夜、目の前の娘が自分とは異なる存在であることを、心の底から理解した。

 

 ――夜陰にはっきりと浮かび上がる、血の気の薄い白肌。

 胸の前で腕を組んだその様は、神に祈りを捧げる敬虔な信徒そのもの。

 しかしながらその本質は、人を惑わせる魔性の存在に他ならない。

 匂いで、感触で、痴態で、嬌声で、接するものすべてを狂わせる。

 

 ああ、この子こそが、私を――

 

 

 

 

 

「ふっ、ふっ、ふっ……ふうぅ……」

「まだ慣れていないの、シア。もう何度も司教様や私から”聖筆”の処置を受けているというのに」

「だ、だって、パメラさんの使うお筆は冷たくて、細長くて……ひっ!?」

 

 ぐりゅ、と腸壁を指先で押し上げると、か細い悲鳴とともに肉付きの薄い尻が跳ねた。

 従者であるパメラの"筆"――右の中指を半ばまで飲み込んだシアの下腹部はじっとりと汗に濡れ、ベッドシーツを汚している。

 ぎゅっと狭く閉じたアナルを、ちゅぽちゅぽと褐色の筆が少しずつ出入りするたびに、少女が仰向けの状態で立てた両脚ががくがくと震えた。

 

 "釘"を埋め込むための準備を始めて今日で七日、未だにその声からは苦痛の色が消えない。処置の際は常に目隠しをされるため、その意識は否応なく体内へ向かう。まるで虫のようにうごめく"筆"の感触だけが、今の彼女の世界のすべてであった。

 

「ふっ、ふっ……んぃ"っ」

 

 少女の股のあいだに膝をついたパメラが、体内に入れた指を上下にこじった。子宮の裏側を押された少女が、潰れた蛙のようなあえぎを残す。

 薄い月明かりが差し込む部屋のベッドの上、ランプの明かりを受けて輝く銀色の長髪。纏(まと)っている絹の服にも劣らないほどに真っ白な肌は今、羞恥でほのかに赤らんでいる。

 

 これまで性経験どころか知識すらなかったというのに、ある日突然、文字通り腹の中を探られる身になったシア。

 世の中の誰もが心を奪われるほどの美と愛らしさを持つ少女が、みだらに腰をくねらせるさまを見た従者は、空いた手をそっと太腿に伸ばした。

 

「やっ……!? パ、パメラさんっ!?」

 

 おもむろに無関係の場所に触れられ、上ずった悲鳴が漏れる。

 処置を始めた初日に比べれば、抵抗感は薄まったほうだろうか――無表情を取り繕うパメラは、眼下の相手が身をよじらせるのも構わず細い脚の愛撫を続ける。

 

「少し、貴方の緊張をほぐしてあげたいだけなの。許して、シア」

「だから……んぅっ!? だからってっ……」

 

 反駁(はんばく)のために腹に力を入れようとしたシアは、"筆"で肛内を持ち上げられて背筋を反らした。

 柔肌の、さらに産毛だけをなぞるようなフェザータッチ。もどかしく敏感に引き立てられた性感に、アナルの指の抜き差しという直接的な刺激を加えられ、シアは痙攣するように何度も全身を震わせている。

 

 ――ぐ、ちゅ、にゅるるるる……。

  

 収めた指を、第一関節まで引き抜く。

 暖かい腸液にまみれたそれを、手首に力を入れて押し戻す。

 にゅぽ、にゅぽっ、と淫猥な音を立でるその行為を、黙々と繰り返す。

 パメラは、自分の手のひらに生えた肉の棒が少女の股に出入りしているのを、唾を飲みそうになりながら見ている。

 

 指先で捉える、シアの媚肉の感触――差し込んだ指をぎゅうぎゅうと締め付ける淡いピンク色の肛輪。乱れた息遣いに合わせてにゅるにゅると蠕動する、熱くぬめついた媚道。

 迎え入れた突端をさらに奥まで導くかのように蠢く、小柄な体躯に反したひどく蠱惑的な触感。

 

 ――はー、はー、はぁー、はぁー……。

  

 少女の未発達な乳房を包んだ衣服が、荒く上下する。

『聖女』という肩書を持ちながら朗らかで明るく、普段は無邪気に甘えてくる少女。そんな彼女にすらある二つの淫らな穴、その一つを自らの手で汚す倒錯的な感情。

 ふだん触れている手や頬などの柔らかさとは違う、奥地から伝わる熱さ、ぬめり、締まり、うねり。

 従者は、自身の心に生まれた高揚感や支配感に近い感情が、日ごとに強く自分の思考を侵食しようとしているのをあえて意識しないようにしていた。

 

「……このあと埋め込む"釘"は、今入っている筆よりさらに太くて長いのよ? このままだと、シアのここ、壊れてしまうわ」

 

 内心をごまかすように、パメラは何度か指を軽く引くような動作をした。その都度、桃色の肛門がぷくりと内側から盛り上がり"筆"の抜去に抵抗する。

 ここから逃がさない――そう訴えかけるかのように、少女の肉輪は従者の指に絡み付く。女が手の力を抜くと、露出した肛肉がにゅるにゅると内部に巻き戻っていこうとし、つられて指が自然とアナルの中に飲み込まれていく。

 無垢な少女に備わった、淫猥な器官。

 ――やがて入る男の太くて長いそれでも、同じようになるのだろうか。

 

「こ、このお筆より大きいなんて、無理だわ。パメラさん、せめて、せめてあともう数日……」

「気持ちは分かるわ、シア。けど、今日が司教様との約束の日だったでしょう?」

「う……で、でもっ……」

 

 従者の指先を通して、少女の細かな体の震えが伝わってきた。壊れる、という言葉を使ってしまったのがまずかったらしい。

 気の毒な話なのは承知だ。普段は目に入れても痛くないほど少女を可愛がっているからなおのこと。

 けれど、命令に逆らうことはできない。

 

「観念しなさい。あなたが真に聖女として成る日を、皆が待ち望んでいるの……よっ」

「ねえ、お願い、待っ……あぁっ!?」

 

 にゅるるるっ……と、指が一気に引き抜かれた。事前に塗布した潤滑液と腸液に塗れた、パメラのすらっとした突端が爪の先まであらわになる。

 性感帯でもないだろうに、部屋中に響くような切ない声を上げる少女。よこしまな者たちの理性を瞬時に焼き切るだろう、悲痛に満ちた嬌声。

 

「はっ、はっ、はぁっ、はぁっ」

 

 シアの腹部が緊張に引きつっている。乱れた呼吸が体内の蠕動を誘発し、ますます侵入者を『刺激』する態勢が整っていく。

 パメラは自らの内に沸いた悪心を、黒いショートカットを振り乱して否定し、再度挿入を試みた。七日に及ぶ肛虐を受けてもなお、未だきゅっと窄まり侵入を拒んでいる菊門。その受入口を無理やりこじ開けようとすると、自然と指に力が入る。

 やがて、圧力に負けた小さな蕾がわずかに花開いた瞬間、そのままの勢いでぞりゅっと肉を擦りながら、肉の半分が蜜肉の中に埋没した。

 

「ぐぅっ……」

 

 押し出されたような吐息が漏れる。反射的に肉色のリングがさらに強く、体内の異物を締め付けた。

 しかし、それ以上の拒否反応はない。二日前に同じようになったときは違和感のあまり悲鳴を上げていたのに、今のシアは唇を噛みながらも行為そのものは受け入れている。

 股の間から、従者は少女の全身を見た。

 汗を吸って地肌が透けた服。信仰を示す首元のアクセサリー。両手を固く組み、黒い目隠しを涙で湿らせながらも、馬鹿げた……素晴らしい教義のために身を捧げようとする尊い精神性。

 

(……ああ、可愛いわ、シア……)

 

 そう思考した自覚すらないまま、パメラは再度、自身の腕を鍵のようにぐるりと捻った。少女の体が震えたが、根元を咥える力は変わらない。どうやら、一度の開錠動作では扉は開いてくれないらしい。

 

 今までは、強くするのはたまにだけ。

 基本的には少女の息が整い、力が緩むのを見計らってゆっくりと抜き差しをする程度だったが、少し先のステップに進む。

 潤滑液と腸液の混合物で潤んだ入り口は、抜き差しには反応できても、回転の動きには抵抗できない。

 パメラは"筆"を奥まで差し込み、不規則に腕をよじって肛筋を刺激しながら、その先端で奥部の各所をかりかりと刺激する。

 

 ――ぬりゅんっ、ぬちゅ、かりかり。 ぐりゅっ! かり、かり……

 

「んぃっ、ぐ……うっ、う」

 

 これも全てはシアのため。どの部分を刺激すれば体の力が緩むのかを分かっていれば、彼女だって"釘"を楽に受け入れられるようになる――心中で弁解をするも、その手つきが次第に熱を持ち始めるのを止められない。

 

 脊髄に近い肛壁を押すように撫でる。シアは身をよじらせたが、快感が伴った動作には見えない。

 指の半回転を繰り返して、ぬりゅぬりゅと肛穴を摩擦する。刺激はあるようだが、門の開口までは至らない。

 だったら腹側だ。手のひらを上に、届く範囲の腸壁――『鍵穴』を探してあちこちで先端を揺り動かす。

 

 右奥、右手前。左奥、左手前。

 引いて、押して、触って、掻いて。

 

「ふっ、ぐ、ん、ん、んっ」

 

 まんなか。

 

「――あっ!?」

 

 ……今までとは明らかにオクターブが異なる、その声に含まれたものの意味を従者は直感的に感じ取った。

 その瞬間、根元の締め付けが緩くなる。意思よりも先に体が動いた。

 まるで内臓を引き抜くかのように、反応のあった部分を押して爪で引っかきながら、指を後ろに引き抜く。

 付け根から、爪先まで、一気に。

 

 ぬるるるるるぶちゅぽっ!

 

「はっぁんっ!!?」

 

 これまでで一番の、甲高い嬌声。

 抜き放たれたパメラの指と秘穴の間に一瞬、湯気の立つほどに熱い体液の糸が伸びた。

 シアは自身の体が制御できないかのように、全身をがくがくと跳ねさせている。少女の体に未知の感覚が走ったのだろうことは、誰が見ても明らかだった。

 

「ひっ、はぁっ、はっ、はっ……!?」

 

 自分の体に起こった変化を処理できない様子のシア。丸みの残る全身をぴんと突っ張らせ、両手はシーツを握り締めて、困惑したように口をぱくぱくとさせている。

 

 従者は、予想をはるかに上回る反応に驚いていた。

 今のは明らかに、これまでとは違う『目覚め』に近い何かを感じている。

 未経験の処女が、たかが七日程度のアナルの愛撫で、そうなるに至ったのか。

 少女自身がこの行為の意味を理解していない、何をされているかすら分かっていない、こんな状況で。

 

 

 ――三十五日後、あなたは偉大な主にその身を委ねる。

 来たる日に向け、汝の体を極めて清浄な状態に保たねばなりません。本日からの"聖筆"、そして七日後からの"釘"、これらの処置はそのための神聖なる儀式と心得なさい。

 これらの処置は、神の許しを得た我らが代行して執り行う。汝はそれを目の当たりにすることは決して許されない――

 

 

 哀れな少女が命ぜられた約定。それを臆面もなく言い放った司教の、シアを見る目が好色に染まっていたのを、傍らにいた従者は今でも鮮明に思い出せる。

 馬鹿馬鹿しい。要は腐った豚どもが都合のいいようにシアを、何も知らない少女の体を弄ぶための方便なのだ。かつての自分がそうされたように。

 

 パメラは頭ではそう理解していた。幼気(いたいけ)な少女の体を搾取しようとする者どもへの憤りの気持ちが、心に湧き上がっているつもりだった。

 しかしそれとは裏腹に……ぴっちりと閉じた未開通の縦筋、その下部にある小さく真っ赤なくぼみ。そこからわずかに垂れる透明な蜜が、ひくひくと蠢く肛門に色を添える様子を、パメラは熱っぽい視線で見つめていた。

 

(……何か、変。顔が熱くて、頭がぼうっとする……)

 

 ぐらぐらとふらつくパメラの頭部。その不調は決して、単なる欲情によるものだけではない。

 それは、室内に漂い始めた香気がそうさせている――鼻や皮膚から染み込んで体の奥に溜まるような、重たく甘ったるい匂い。

 女はこれをどこかで嗅いだことがあるような気がした。だが、それらしいものは何もないし、持ち込んでもいない……。

 

 ふと、パメラは自身の体に燃えるような熱を感じた。つい今しがたまで、少女の深部の体温を直に味わっていた箇所だ。

 まるでそこに二つ目の心臓が生まれたかのごとく、滾るような血が右の中指からどくどくと全身に伝播していくような感覚がある。

 女はそれを目の前に持ち上げた。何の変哲もない褐色の右手だ。しかしその部位だけは明らかに体温よりも熱く、だが不思議と体になじんで、夜気の中に燐光を発しているようにすら感じられてくる。

 

「……はぁ、はぁ……あ、あの、パメラさん。お筆はもう、終わった……?」

 

 いつの間にか気を取り戻していたらしい少女が、息も絶え絶えに目隠しの向こうの女に問いかけてくる。

 もうこれ以上はないと思っているのか、弱々しい中に安堵感が滲んだその声――パメラはそれを聞いて、なぜだか分からないが、むしょうに『頭に血が上った』。

 

 ……終わり? 何を言っているのだこのバカな子は。そんなわけがない。むしろ、まだ何も始まってすらいない。

 激高さ(・)せ(・)ら(・)れ(・)た(・)女は衝動的に立ち上がると、ベッドの側面、シアの右手側に回り込んだ。そのままベッドに乗り上げると、少女の腹の上に自身の乳房を押し付けるようにのしかかる。

 

「えっ!? なっ、何!? 何かがわたしの上に……!」

「まだ、処置は終わっていないわ」

「…………え?」

 

 先ほどより近くから声が聞こえて、シアは自分の上に乗しかかっているのがパメラだと察した。

 しかし、その意図が分からない――次の瞬間、従者は左腕で、少女の上半身を思いきりベッドに抑えつける。

 

「痛っ、痛いわ……! パメラさん! やめてっ……」

「貴方が何かにつけて身じろぎをするから、処置がまったく進まないの。あるがままを受け入れると司教様に誓ったのを忘れたの?」

「……ご、ごめんなさい。でも、でも、こんな乱暴な……」

「悪いのは貴方よ、シア。貴方が、悪いの」

 

 苦痛の声を上げる少女を無視して、女はそっと右腕を伸ばした。すらっとした長腕を各関節で内側に折り曲げる。

 その突端にある指の行きつく先は――

 

 かり。

 

「ひゃっ!?」

 

 不意に、肛門の皺を爪で引っかかれたシアが悲鳴を上げた。

 パメラは肛虐を再開するつもりだった。あれごときで終わったなどと戯言を言った生意気な少女を躾けるため。

 今度は徹底的に、体に教え込む。

 容赦しない。泣いてもやめない。分からせる。この子のすべてをえぐり出す。

 徹底的に。

 徹底的に。

 徹底的に。

 

「……パ、パメラさん……おねがい、やめて…………」

 

 獣のような深い呼吸を始めた従者の異様な気を感じ取り、怯えたようにシアが懇願する。しかし女は一切の躊躇なく、肛門に垂直に指を突き立てた。

 そこは本来、何かを受け入れるべきところではない。

 ましてや、誰かに快楽を提供するような器官でもない。

 だがこれから、今から、そうなる。

 

「……ひっ」

 

 ぬぷ……。

 

「やっ、やめて……やだ! やだっ!!」

 

 処置を初めて――いや、シアとパメラが出会ってから初めて、少女は明確な拒絶の言葉を発した。

 必死に体を揺らして抵抗するが、力も体格も差がありすぎて女の体はびくともしない。

 しかし、足腰の部分が暴れてしまうのまでは中々止められない。厄介だ。穴の位置が動いてはスムーズな教育が行えない。

 ならどうすればいい? 少女の動きを封じる最善の方法は?

 

 簡単だ。

 栓をすればいい。

 

 

 ――ぐっぢゅうっ!

 

「あっぎぃぃぃっ!」

 

 一瞬で、根元まで楔を打ち込んだ。

 シアの体の負担を全く考慮しない一撃。

 傍から見れば、パメラの握りこぶしが少女の股間にぴったりと密着している光景。

 しかしその拳には肛門を掘削するための長い肉の錐がついており、そしてそれは、狙い過たず少女の肛腔を奥深くまで貫いた。

 

「…………かっは…………っ……かっ……」

 

 あまりの衝撃に息が詰まったシアが、空気を求めて体をのけぞらせようとする。しかし狂気の念を発露さ(・)せ(・)ら(・)れ(・)た(・)女の重さにより、それもままならない。

 未熟な体に危機をもたらした肉の凶器に対し、パニックを起こしたかのように肉壁がにゅるにゅると活動する。遅れて滲みだした腸液が、まるで媚を売るかのようにパメラの指にまとわりついた。

 

 本来、ここまでされればどんなに世間知らずの娘でも聖筆などという欺瞞に気付くだろう。しかし生来の温厚で人を疑うことを知らない気質、そしてパメラという従者に抱いている信頼感が、そうした疑念を持つ機会を奪っていた。

 細い喉を限界まで引き延ばして喘ぐシアの様子を、女は全く意に介さない。その視線はじぃっと、力み過ぎて震えている少女の太腿に向いている。

 

 ああ、いきんでいる。つまりまだ、抵抗する余力が残っているということ。

 それは問題だ。この子は私に逆らう気がある。教育しなければ。

 だからこうする。

 

  

 ――ずりゅるるる……ぶぢゅんっ!

 

「いあ"ぁっ……!」

 

 栓を差し直す。何度でも。

 勢いがあるほどいい。抵抗の意思を奪えるだろうから。

 これは躾だ。身の程を知らない少女への躾。

 教育が足りない。

 足りない。足りない。足りない――

 

 ――にゅぽっ! ぶぢゅっ! にゅぽっ! ぶぢゅん!

 

「ぎっ、うぁ…………やぇ、て…………」

 

 女の全力で、何度も淫穴を穿たれるシアはもはや呂律も回らなくなってきている。目からだらだらと流れる涙を掬い取り続ける目隠しが、どんどん濡れて重さを増していく。

 そもそもパメラが何を考えて筆の抜き差しを激しくしたのか、全く分からない少女は今の状況に翻弄されることしかできない。今まさに行われている荒淫を耐えるための体の力みが、ますます女の心情を激噴させる。

 

「……まだ、言う事を聞く気がないのね……」

「……ぱぇら、さん……なんぇ、こんな」

 

 パメラはおもむろにベッドの端に手を伸ばし、潤滑液の入った容器を手に取ると、中身を丸ごとシーツの上にぶちまけた。

 気が触れたかのように右手をべちゃべちゃと叩きつけて粘度を確保すると、そのまま再度挿入を試みる。

 

「……や、だ。やだ。やだぁ……」

 

 聞く気がない。

 

 

 ――ぶぢゅぅぅっ!

 

「あ"うぅっ……」

 

 ああ、やっぱりこうした方がずっと滑りがいい。

 それはつまり、より厳しい躾けをしてあげられるということ……。

 

「……? ぁえ? なんで、おふでが、にほん……?」

 

 突きこまれた中指と、人差し指。

 内心の欲望を何倍にも増幅させられているパメラの思考は、もはや元々の目的や建前すら忘却している。

 パメラの右腕が操り人形のように持ち上がる。さらなる苛烈な攻めを行うための準備を整える。

 

「まぁ、まって……にほんなんて、む」

 

 ――ぐぢゅりっ!

 

「いぎぃ……や、め」

 

 ――ぬぽっ、ぐじゅ、ぬぽん、ぐぢゅん!

 

「ぐっぁ、ぁ、あぁぁ」

 

 ――ぬぽ、ぐちゅ、ぐじゅぐじゅぐちゅぐちゅぐちゅっ!

 

「いあ"ぅ、ああ"ぁ、ああ"あ"ぁぁ……っ!」

 

 がらがらに枯れた喉から、喘鳴じみた吐息が漏れ出る。

 呼吸すらままならない中でのそれは、まぎれもなく少女の生存本能が発した絶叫。しかしそれも、シア自身の媚肉が奏でる粘着質な音に空しくかき消されていく。

 

 パメラの肩から先だけが機械のように激しく前後する。

 まだたった指が二本だ。これしきのことで音を上げていたら今後はどうなる?

 これは慈悲だ。私からの慈悲。

 まだこの後は三本、四本、まだまだまだまだ。

 足りない、足りない、足りない、足りない、足りない――

 

 

 ――ぐちゅぐちゅぐちゅぶちゅ、ぶちゅぶちゅぐちゅぐじゅ!

 

「あ"うぁ、いあ"っ、いあ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ」

 

 ――ぐちゅぐじゅぐじゅぐじゅ、ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃっ!

 

「あ"ああああぁぁぁぁ、あ"あ"ーーーーーーーーーーーーーっっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ぶしっ。じょろろろろろろ…………

 

 

「…………え?」

 

 パメラはふと、右手首を誰かに掴まれるような感覚を覚えた。

 だが違った。少女が失禁し、その暖かい水の放射が肌を打った感触を、それと誤認したのだ。

 ぱたたた、としぶく小水の流れを、女は気が抜けたように呆然と眺めていた。腕や手のひらだけでそれらを受け止めきれる筈もなく、瞬く間に零れてシーツをぐっしょりと濡らしていく。

 

 遅れて、顔から嘘のように狂相が抜け落ちた従者は、今ある状況をゆっくりと認識し始めた。

 なぜか自分がシアの上に覆いかぶさり、体を押さえつけて、二本の指を今まさに、愛しい少女の後ろの穴に突き立てている――

 

「…………さい……」

 

 ばっ、とパメラの顔が逆側に向いた。

 虫の息のようなシアの声。全くの偶然により正気を取り戻したパメラの目の前で、少女が両腕を目の上に覆いかぶせて静かに慟哭(どうこく)している。

 

「…………ごめ、ひっぐ、ごめんなさい。わ、わたし、がまん、できなくて……」

 

 体力を消耗しきったその声は、まるで息絶える寸前の病人のように掠れている。

 しかしパメラはその声が、一言一句漏らさずよく聞こえた。いや、感覚を集中させて聞き漏らさないようにした。

 

「……ベッド、ひぐ、汚してしまって……ごめんなさい。迷惑、かけて、ごめんなさい……」

 

 その涙混じりの謝罪は、つい先ほどまで自分の体を酷く追い詰めていた女に対して向けられている。

 ――普段の二人は、仲が良かった。かつて精神的に荒みきっていた女の心を、自然体の気遣いと優しさで癒したシア。その態度に絆され、心から彼女を支える存在へと変わったパメラ。

 それゆえ少女は、今この時も思っていた。自分が慕うこの人の行動には必ず何か意味があって、それに耐えられなかった自分が悪いのだと。

 

「…………ごめんなさい……」

 

 嗚咽と共に吐き出されたその声色は、自責の念と、自分自身への嫌悪感に満ちている。

 

「あ……」

 

 ぎぎ、と油が切れた人形のように、従者の顔が少女の股間に向いた。

 ゆっくりと、その場に立ち上がる。ぬぽっ、と場違いな音を立てて指が抜けた。過度な抜き差しの勢いで飛散した腸液や潤滑液が、手のひらや股間の周辺を濡らしている。

 くしゃくしゃのシーツ、まき散らされた粘液、死体のように力の抜けた少女の下半身、甘く漂う香り――

 

 

  私、今、何をやってる?

 

 

 ぞわっ、と心臓を凍った手で掴まれたかのような悪寒が体を包んだ。

 背骨が上から下まで冷却され、そこから流れた氷の血が一瞬であらゆる管を満たしていくような感覚。

 何をしたのかは記憶にない。でもこの状況に、右腕の疲労感。

 何をしてしまったのかは容易に察せる。

 

「――シアっ!!!」

 

 全身を満たす絶望感を振り払うかのようにパメラは叫び、シアの顔に近寄って頬に左手を添えた。

 少女は一瞬びくっと体を竦ませたが、すぐにそれも嗚咽の震えに飲み込まれる。

 

「っぐ、パ、パメラさん……ごめんなさい。ごっ、ごめん、なさい……」

「謝らなくていいわシア! 貴方は何も悪くない。悪いのは全部私のほうよ」

「ちが、わ、わたしが、がまん、できなかったから……」

「いいえ、貴方の体調を慮れなかった私のせいよ。貴方は何も悪くない。悪くないわ。だから泣き止んで、シア……」

 

 パメラは頬に当てたままの手で、そっと肌を撫でた。

 その感触にシアは一瞬放心したあと、やがて唐突に込み上げてきたものを抑えられないかのように、再度すすり泣きを始めた。

 

「う、うう、うううぅぅぅ……」

 

 涙を吸いきれなくなった目の布から、じわりと水分が滲みだす。

 女は何も言わず、ただその涙を指で拭い続けた。少女の嗚咽が鼓膜を通じて心を苛むのを、唇を噛んで耐え続けていた。

 

 

 

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