エンゼル・フォールン ~少女たちは歪んだ教義の犠牲になる~ 作:水上些事
「あー、腰痛ぁ……はーもう、こんな無駄なことさせられるなんて」
手の中にある雑草を悪態とともに放り投げて、リズは立ち上がった。
体を伸ばして凝り固まった筋肉をほぐし、額に張り付いた金髪をかきあげ、修道服の胸元をつまんでぱたぱたと中に空気を送り込む。
教会の敷地の奥まった一角。ものものしい石造りの高い壁で囲われた裏庭は風通しが悪く、一度汗をかくと中々ひかない。張り付いた服の上からは、外見年齢と背丈に見合わない大きめの胸が目立っている。
修道服のくせにスリットが入った衣装に今だけは感謝し、少女は裾を掴んで仰いだ。この様子も誰かに監視されているだろうが、知ったことではない。
「ふう……あたしに余計なことさせたくないからって、こんな泥臭いこと」
自分の命を拾ってくれたシア様のために出来ることをしたい――そんな上っ面を取り繕って、シアの相手をする傍ら情報収集をちまちま進めていた矢先にこれだ。
唯一外に出るための正門からも一切出してもらえないことといい、よほど今の自分は手に余る存在らしい。
(ふん。まさか実家と似たようなことを、他にもやってるところがあるなんてね)
リズのその目線の先には『別館』がある。
恐らく、いやほぼ確実に、あの中では今も誰かが男たちの相手をさせられているのだ。始末が悪いのは、それが春をひさぐ行為だと本人たちは知らないこと。
忌々しい思い出が、リズの脳裏に去来した。
元いた家の誇らしい家名、それを維持するために行われていた表に出せない稼業の一つ。末子であることを理由に半ば下女として汚らわしい作業もさせられて、それを嫌って出奔してきたというのに。
ここでもまた、下賤な欲望を満たしたい者たちが、自分を苦しめる。
「……はあ、なんかやる気なくなってきたわ。シアちゃんとこ行こ」
そう呟くと、リズは足元の土汚れを払ってから日の当たる方へ歩き出した。許可されていない場所への侵入は厳に咎められるが、単に作業が遅れる分には何も言われない。
くすんだ金髪と肩先の三つ編みが、陽光を鈍く照り返す。こんな場所でも日差しの暖かさは変わらないんだなあ、と少女はのんきに思考した。
こんこん、こんこん。
少し行った先にある、聖堂からの離れにある建物の窓を叩く。
太陽が空の真上に来たことを知らせる鐘が、少し前に鳴っていた。午後の礼拝にはまだ時間があるだろう――そう当たりを付けていたリズの予想通り、中からぱたぱたと走るような足音が聞こえた。そのまま優しく外開きの窓が開かれ、あどけない美を体現する銀髪の少女が顔を出す。
「あっ、リズさん! お疲れ様です」
「お疲れ様、シアちゃん。ちょっと疲れたから暇つぶしに寄っちゃった」
そうなんですか、と朗らかに笑うシア。
つられてリズも顔をほころばせかけたが、シアの後ろから薄く漂ってきた匂い――腐る寸前の果実のような、重たく甘い香りを察知して表情を硬くした。
「あー、もしかして食事中だった?」
「いえ、もういただきました。口もゆすいで来たんですが、なにか臭ってますでしょうか」
「そんなことないよ、大丈夫大丈夫。別に変な臭いじゃないからね」
適当なおべんちゃらを真に受けたシアが安堵する。
嗅ぐだけで胃が痙攣しそうな濃厚さ……そりゃパメラも音を上げるわけだ、とリズは得心した。実物を見たわけではないが、こんな臭いのものを毎日三食なんてとても耐えられる気がしない。
少なくとも、食事の直後らしいシアの笑顔に陰りはない。それが良いことなのか悪いことなのか、リズにはよく分からなかった。
「リズさんは今日も草むしりですか?」
「そうそう。朝からずっと屈んでたから、もー体が痛くって」
「大変ですね……ちゃんと休憩しながらじゃないとダメですよ?」
「今まさにその休憩のついでよ。ほら見て、手が草の汁まみれ」
うわわ、と目を丸くしたシアの頭が、部屋の中に一度ひっこんだ。
しばらくしてひょこりと出てきた顔と一緒に、濡れタオルを持った手が差し出される。
「これで手を拭いてください。よかったら一緒に汗も」
「わ、ありがと! すごく助かる」
「いえいえ。わたしにはこれくらいしか出来ませんから」
好意をありがたく頂戴し、リズは首元を拭いながら会話に興じた。
これに限らず普段から、こんな腐った環境の中であり得ないほど良い子だ。シアに限らず他のシスターも今いる環境を悲観するような色は無く、基本的に誰もが人当たりよく接してくれる。
例外なのは、パメラだけ。
「そう言えばアイツ……パメラは? 姿を見た覚えがないけど」
「あ、パメラさんは今日、朝早く出かけて行かれました。懇意にしてくださっている貴族の方の家に用事があると」
「あー……そうなんだ。なんだか、アイツも色々大変そうね」
「はい。わたしのために、色んな方に苦労をかけてしまっています。パメラさんも、もちろんリズさんも」
シアは何も知らない。
その貴族とやらの家で行われているだろうことを知ったら、どんな顔をするのか――リズは当然、口にせず黙っている。
行き倒れて死にかけていたところを救ってもらった恩もあるが、リズは短期間の滞在の間に、目の前の少女に意外なほど愛着を持ってしまっている。
「あんまり気にしない方がいいよ。シアちゃんのためなら皆、なんだってするだろうから」
「うーん……そうだとしても、わたしが甘えてばかりでいい理由にはならないと思います。いえ、わたしは何も出来ないからこそ、一日でも早く皆の期待に応えないといけないんです」
「……うん」
「立派な聖女として、神に身を捧げるために。……ふふ。リズさんももしよかったら、応援してくれると嬉しいです」
迷いなく言いきるその瞳には、一点の曇りもない。
窓から身を乗り出して微笑むその姿は、まるで切り取られた絵画のようだとリズは思った――窓枠の下にまで伸びるほどの、ほつれ一つない美しい長髪。女である自分すら一瞬呼吸を忘れるほどの、精緻かつ愛らしさを伴った顔立ち。それでいて人としての在り方すら、非の付け所がない……。
「あ、リズさん。ちょっと礼拝の前に司教様の教えを受けに行かないといけなくて、わたしそろそろ」
「…………」
「リズさん?」
「あっ、うん。分かったわ」
「パメラさんもそろそろ戻って来られる頃だと聞いてますから、他の方にもことづけますが、もし見かけたらそう伝えてください」
「うん。
「? はい。ありがとうございます」
それでは、と少女が顔をひっこめた。静かに窓が閉じられ、足音が遠ざかっていく。
――貴方の処遇については、またいずれ。
司祭だという男が悪辣な笑みを浮かべて言った言葉が脳裏に浮かび、リズは顔をしかめた。
行き倒れていたところをたまたま隣国から帰ってきたシア達の一団に救われ滞在して、初めは皆が優しい良い場所だと思っていたのに。
聖女になるための修練の内容は秘されていると皆が言うから、そんなものかとしか思っていなかったのに。
実家の稼業によって得た経験が、それを敏感に感じ取ってしまった。
……『別館』から男とともに出てきた少女がわずかに漂わせていた、忌まわしい体液の臭い。
元きた方向に目線をやる。
遠い建物の角の近くに男が立って、まっすぐにこちらを見ているのが分かる。
ただ、かろうじて表情が見て取れるという程度には距離がある。
何を喋っているか、話しているかなど、きっと分からないに違いない。
だから男に向かって、リズはひそやかに呟いた。
――くたばれ、クズ共。
◆ ◆
「……あぁ……あっ、は、ぁ……」
「いいですよシア。そうやって素直に声を出しなさい。神もその素直な態度を望んでおられます」
「は、い、司教さまぁ…………あん、ぁ、あは、あ……♡」
――ぬぽ、ちゅぽちゅぽ、じゅぽじゅぽじゅぽっ……
壮年の男に促されるまま、少女が蕩けるような熱い吐息を漏らす。
小さく控えめな体つきをした女体は、男の指によって奏でられる楽器となって、上と下、双方の口から情欲を誘う音を発する。
いつものように目隠しで視界を閉じられ、ソファの上に腰かけて両脚を広げたシアは、今まさにその淡色の肛門で司教の"筆"を受け入れていた。
真っ白な肌とは対比的な黒々とした太い指は、もはや肉棒の抽送とほとんど変わらない速さでぐちゃぐちゃと少女のアナルをかき混ぜている。その手つきはもはやセックスの前戯と変わらない遠慮のなさで、まっすぐに伸ばした指の先端で腸液まみれの内壁を繰り返しこすりあげる。
「シアっ、貴方のここは大分、"筆"や"釘"の処置に馴染んできたようですね……っ」
男の声が興奮に弾む。
目元を隠されてなお美しい……むしろ神秘的な要素を増した少女が自分の手で快楽に喘いでいる様子を見て、指の速度がさらに上がる。
「はぁ、いっ……、パメラさんの"筆"も、寝る前の"釘"もっ、今はそんなに、苦しく無くなってぇっ」
「良いことですよシア、貴方の信仰心がことさら優れている証ですっ」
「嬉しいっ、ですっ……あ、あんっ、あっあっ、あぁっ……♡」
"釘"の処置が始まってまだ六日目。儀式の日まではまだ二十日以上もある。
にもかかわらずシアの体は、今すぐにでも肛門性交が可能なほどに熱く火照り、当初あった苦痛の念など存在しなかったかのように指の感触を味わっている。
「ひぁ"っ、あっ、あああぁぁっっ♡」
挿入に、抵抗も引っ掛かりもない。
潤滑液すらほとんど必要ない。
引き抜くたびに体液が溢れ、肛肉が指を締め付けて引き留める。
何をしても喘ぐおもちゃ。
男は、完全に勃起しきった肉棒で修道服の前を膨らませながら、前のめりになり"筆"を突き入れる。
――ぬぽ、ちゅぽ、じゅぽじゅぽ、じゅぽじゅぽじゅぽっ!
だらしなく開かれ舌を出した口から、はしたなく唾が飛ぶ。
発汗して赤く染まった頬、首筋。
少女の両手はもはや祈りの形にすらなっていない。交差させた両腕の先にある小さな
体から甘い匂いが立つ。
いつも食べさせているもの由来の香り。
それが少女と、男の意識に膜をかける。
指を抜いて。
根元まで挿れる。
指を抜いて。
根元まで挿れる。
腹の側に向かって指を押し上げると、露骨に体を跳ねさせて涎を垂らす。
今すぐセックスできる、絶世の美少女。
肛門のすぐ上、
それをまたアナルに押し込む。
抜く。
激しく音を立てる抜き差しで、泡が立つ。
ぬるぬるだ。
もっと太いものでも、簡単に入るだろう。
今すぐにでもアナルセックスができる。
シア。
絶世の美少女。
今すぐ、セックス――
「ひっ、あんっ!!」
司教は勢いよく指を抜くと、乱雑な手つきで服の前をはだけて肉棒を晒した。
自身の腹を打ちそうなほど垂直に反り返った肉棒に、男自身が驚く。パメラを日々犯している司祭の男にすら負けないほどの長さ、太さ、強靭さ。
これまで数多くの少女を犯し壊してきた、黒々と鈍く輝く凶器の先端をシアの肛門に触れされる。それまでとは違う未知の物体を蕾に押し当てられた少女は、ほんの少し体を引いた。
「……えっ? こ、これ、"釘"ですか? 司教、さま」
「ふー…………ふー…………」
「で、でも……いつものよりずっと大きくて、硬……ひゃんっ!?」
男が、突き付けた先端をシアの肌に沿ってずりゅんと上に押し上げた。勢いのままアナルの皺だけでなく、閉じた陰唇の中央とクリトリスを擦り上げられて甲高い悲鳴が上がる。
戸惑う少女を無視して、男はソファの背に手を突き、亀頭を強く上下にこすりつける行為を繰り返した。まるで、そのうちに偶然少女の中に自らの分身が勢いよく埋没してしまうのを期待しているかのように。
「あっ、あの、司教様、わたしこのあと礼拝で、お話をしないと、いけなくてっ」
「ふー、ふぅー……だから、なんだと言うのですか」
「だから、あのっ……んぅっ♡ いっ、今"釘"は……っ」
「かみっ、神の意志が、神の言うことに逆らうというのですか、シアっ!!」
「やあぁっ♡ だめ、だめですっ、そんな、わたし、わたしっ……♡」
――ずりゅ、ぬりゅん、ぬりゅ、ずりゅっ!!
男の愛撫の勢いが増す。
薄い皮をかぶった上からのクリトリスの刺激にも、シアは淫らな声を上げる。
このまま挿れたい、挿れたい、挿れたい――
そう熱望する裏で、男の内心の冷静な部分が、自らの肉槍で肛門を押し広げようとするのをすんでのところで押し留めていた。
――まだ儀式の日まではかなりある。
今この場で先走って、極上の快楽を得るのは簡単だ。
だが事が露見すれば……いや、もしもはない。確実に発覚する。
そうすれば身の破滅どころではない、死ぬよりも苦しい目に合わされる。
地下の儀式上。集まる貴族たち。王族。王。
神。
頭が破裂しそうなほどに荒れ狂う、生の欲求と死の恐怖の濁流。
その勢いに翻弄させられ、正常な思考を無くした脳はやがて一つの希望を見出した。
大事なのは清純な体。未通の穴二つ。
――口は?
「……シア。たった今、神の啓示が下りました。床に膝立ちになって、口を開けなさい」
やっとの思いで衝動を抑えた男は少女からいったん体を放し、つとめて抑えた声で言い放った。
少女は性器を擦られ続ける刺激に負け、
「はあ、はあ……えっと、口、ですか?」
「はい。その……今から特別製の"釘"を貴方の喉奥に収め、そこから聖水を送り込みます」
「えっ、の、喉の奥に?」
「神から賜った聖水は本来、神界の泉に沸く……ええと、極めて純度の高いものなのです。我々下界の空気に触れるとたちまち汚染されて身を清める効力を無くしてしまうので、そのための処置なのですよ」
「わ、分かりました……今すぐにですか?」
「いいから早くしなさい。早くしないと……早く、しないとっ……」
男は話す間も、ペニスをびくびくと震わせている。単に射精欲がはち切れそうだというだけの切羽詰まった情けない声色。
しかし少女はそれを別の意味で解釈した――自身の身に何か不測の事態が起きているのかと勘違いし、すぐさま身を起こして言うとおりにする。
「こ、これでいいですか、司教様」
ソファから降りて膝を付き、シアがまっすぐ背筋を伸ばす……真っ白な額に剛直の先端があたり、その刺激にペニスが跳ねた。
少女は頬を赤らめていた先ほどまでとは違い、少々の不安に苛まれた表情をしている。それもまた愛おしい顔つきだったが、男にとって問題だったのは少女の下腹部……不浄の粘液で汚れるのを嫌ったのか、改めて胸元で組んだ両手の中に白い修道服の前面部が握りこまれて、その
びくん、びくんとペニスが何度も反応した。
口でいい。マンコやアナルはまた今度でいい。ここでも、いい。
「シア、そんな口の開き方では"釘"が入りません。もっとしっかり開けなさい」
「あぐ……、ほ、おうえうあ……」
本人としてはしっかり口を開けているようだが、それですら男のペニスサイズでは入れるのにやっとというほど。
その様子にますます陰茎を昂らせた男は、早々に先端を押し付けた。"釘"の先端が歯にあたり、少女が慌てたようにさらに大きく口を開く。
「"釘"は神から賜った器具です。決して、歯を当てて傷をつけないように」
「あう」
「それではいきますよ。今から入れます。念のため、頭を固定しますので」
「あ、い」
男はシアの後頭部に手を当て、ぐっと掴んだ。
一歩近づき、真上から見下ろす体制になって、ペニスを少しずつ推し進める。
液体塗れのままの亀頭が唇に触れ、少しずつ、少しずつ、口内の中に埋没していく。
――ぬる、りゅ、る、る、る……
「あ、っぐ、う」
「シア、身じろぎしないように。身を正して、神聖な器具を受け入れなさい」
「っあ"、い」
「さあ、もっと進めますよ……」
――ずる、るるる、るる……
(お、お、お……これは、なんと……)
発汗して温まった少女の体温。
口の小ささに比例して狭い口内の唾液は湯のように温まって、侵入したばかりの肉棒を包む。
腸と比べて粘性の足りない唾の代わりに、ざらざらとぬめ付いた舌が肉槍の先端にべったりと張り付いて、男はびくりと身を震わせた。
普段は皆に優しく笑い、物を食べ、声を発し、小さい体でいやらしく喘ぐ部位。その部位に自らの欲望の象徴をねじこむ優越感、支配感、征服感。
「しっ、シア、舌を、あなたの舌を"釘"に絡めなさい、"釘"を舐めまわしなさいっ」
「んぶ、んっ……!?」
「ほぐすのですっ、貴方の舌で"釘"を温めて、せい……聖水を出やすくするのです!」
叫ぶようにしながら男は腰を進める。
少女は一瞬戸惑ったように眉根を寄せたが、すぐに言うとおりにした。既に口内を限界まで肉棒で押し広げられた状態で、やっとの思いで舌を動かして、表面をぺろぺろとペニスの腹や側面に沿わせる。
――じゅろっ、ずずっ、ずじゅる、ぶぷ……
「おおっ、おっ、おおおぉぉぉぉっ」
長い舌が生き物のように巻き付く感触と、口の端から漏れ出る淫猥な水音に、男がもはや配慮もなにもない歓喜の声を上げた。
衝動的に全体の半分以上を勢いよく押し込んでしまい、喉奥を突かれたシアが痩身を震わせてえづく。
「ごぶっ!! ぶっ!?」
「シア! 苦しいかもしれませんが、絶対に吐いては駄目ですよ。もし貴方が吐いて"釘"を汚染するようなことがあれば、その時は厳しい罰を与えます」
「っぶ、う……!」
口内が狭く締まり、舌がぎゅっと押し付けられる。
ぎゅるぎゅると喉が波打つ感触に、ペニスが喜ぶ。
騙されている少女がこくこくと頷いたのをいいことに、男は心中のギアを上げた。
何を指示しても唯々諾々と従う肉壺。極上の雌。
だったら好きなように使ってやらなければ、損だ。
「シア。貴方の体を慣らすために、今から"釘"を抜き差しします。喉奥まで迎え入れるための心の準備をしなさい」
返事を待たず、男は隆々とした陰茎を引き抜いた。
口内に収まっていた部分の境目に唾液のリングができ、てらてらと濡れ光った黒色の一物が真上に持ち上がり、空気中に露出していく。
べったりと巻き付き、張り付いていた舌の表面がざりざりとペニスを包むようになぞり上げ、男に溜息を吐かせた。
――ず、りゅりゅりゅりゅ……ぬぽん。
赤黒い亀頭が露出するのと同時、熱されたシアの吐息が湧き水のように溢れて先端をくすぐった。
せき込み交じりに少女が酸素を補給する。目隠しが湿っていく様子を見た男が、優しい声で言い聞かせる。
「シア。貴方がとても優秀な娘だからこそ、予定を前倒ししてこうしています。これを乗り越えれば貴方はいち早く……いえ、誰よりも尊い神への捧げものとなれるのです」
「けほっ、こほ……はい、しきょう、さま」
「ならば、耐えられますね? 貴方の信仰心を、この私に見せてください」
「はい……おねがい、します……」
くぱ、とシアが口を開ける。
唇の周りは唾液でべたべたになり、いやらしく濡れ光っている。
先ほどよりも赤く色づいた唇に心臓を高鳴らせた男は、すぐさまイラマチオを再開させた。
先ほどと同じ位置まで肉をかき分けて押し込み、引き抜く。
時おり角度を変えては、舌の上や口内の横、上……あらゆる場所を肉でかき分け、異なる快感を得られるよう無心した。
――じゅろろぉっ、ぶちゅんっ! ずろろろっ、ごちゅん!
「うえ"っ、うぶっ、えっ、え”っ……!!」
「ああ、シア、シアっ! 素晴らしい、貴方は素晴らしいです……!」
「うっ、ぐ、う……」
男が、少女の顔の真上から勢いよく腰を上下させる。
嗚咽しながらも健気に絡められる舌肉が全面に唾を付着させ、引き抜かれるたびにしぶいて顔や男の股間を汚す。
片手でがっちりと頭を握り、小さな口を好きなように使う。ちゅぼっ、ちゅぼっ、と卑猥な空気の震えが鼓膜を打ち、より男を興奮させる。
「はっ、はぁっ、いいです、いいですよシア。唇でもっ、舌と同じように、唇でも刺激しなさい」
言われた少女は一瞬迷ったようにして、 歯を動かさないよう唇をすぼめた。
男が先ほど、アナルをほじくった際に得た感触……肛輪の締まりに似た刺激がペニスに加わり、思わず突き込みの速度を速める。
その腰遣いはもはやセックスに近い。ごりゅ、どちゅ、と腰を顔面におしつける寸前まで動かして、精いっぱい快楽を貪る。
初めての口腔奉仕のつたない感触、にもかかわらず熟練の娼婦のように熱っぽく肉幹に絡み付く口内、そしてそれを神の化身のごとき少女に行わせているという事実が、加速度的に射精欲を高めていく。
「ああ、いいですよシア、聖水が出そうになっています、もう少し、頑張ってください……!」
ずろろろ、と引き抜かれるたびに、唾液のラインが陰茎の根元に近づいていく。
唇と剛直の隙間に挟まって引き出された赤い舌の先端。腰を下に動かすと、口の中にまた押し込められていく。
どちゅん、と突きこまれるたびに、喉の狭い箇所が少しずつ押し開かれる。
男は陰茎のすべてをねじ込みたい欲と必死に戦っていた。もしそうすると陰毛が少女の顔に接する。浮ついた頭では、そうなってしまったときの上手い言い訳が浮かばない。
だからやむなくその手前までで、男は必死に腰を使った。
気持ちいい。
一足先に自分が、少女の体を貪っている。
――ぶちゅっ! ごりゅ、ぐちゅっ! ぶちゅんっ!
少女の体が、少しずつ、開発されていく。
「ああっ、シア、出ますよ、せいっ、聖水が貴方の中にっ!」
「うぐ、う」
「出ますっ! すべて飲み込みなさいシアっ、あっ、ああっっ!!」
腰の動きを速めた男は、最後に強く喉の行き止まりに押し込んだ。
そのまま何の遠慮もなく、シアの口の中に精を解放する。
――びゅる、びゅるるるるるっ! どぴゅ、どく、どくっ……
「うっぐっ!? ごぼっ、ぶふっ、ぶっ!!」
「っは、飲みなさいシア、飲め! 飲め……っ」
「ふぐ…………うっ、う、う……っ」
突然、精液を放たれたシアは目を白黒させた。
本能は反射的に異物を吐き出そうとする。しかし男の命令と、聖水の性質が頭によぎったシアは意思の力で体の震えをやっとの思いで抑え込み、喉を動かして粘つく液体をやっとの思いで嚥下する。
ごく、ごきゅっ……生臭い感触と臭いに嘔吐感が沸くも、少女は必死の思いでそれを抑え込んだ。
――どぷっ、どぴゅ、どくっ、どく……。
その間にも次々と流れ込んで来る白濁を、鼻で息をしながら喉を動かす。
期待に応えるために。
より尊い存在になるために。
男は陰茎のほとんどを口の中に入れたまま、放精の快感に震えながら、少女が胃の奥に自分の精液を飲み込んでいく様子を見ていた。
ぐしょぐしょに湿った目隠し。
異物を追い出したい反射からくる、口内の蠕動。
熱。
性器代わりの口。
いっときの射精が収まる。
まだ萎えない、肉棒。
一通り、少女が精液を飲み下したようだと判断した男はゆっくりと陰茎を解放した。
ようやく呼吸の自由を得たシアが、疲労した喉を必死に使って呼吸する。
「っは、ひゅ……はー、はー、はぁー……」
真上を剥いた少女の口内は、太陽の光を受け入れて唾液を鈍く光らせている。
ぬらぬらと濡れるその光景を目にした男は、もう一度ペニスを突き入れたい衝動を堪えて、手で勢いよく肉棒をしごいた。
「シア、聖水の残りが出ます、そのまま飲みなさい」
「……あ、え、でも」
「すぐに飲み込めば問題ありません。出たらすぐに飲み下すこと。いいですね」
「は、い……」
「口を開けて。零れないように、両手を口の傍に添えなさい。舌も出して」
戸惑いながらも少女は言うとおりにした。
両手をほどき、水を救い上げるような形にした状態で唇のそばに寄せ、舌を突き出す。
宝石のように赤く輝く舌の先端に向かって、男は尿道に残っていた精液を発射した。
びゅく、びゅる……と流し込まれたそれに身を竦ませながらも、少女は唇を閉じた。くちゅくちゅ、と口内で粘液をまとめたあと、ごくりと一息に飲み下す。
「……お疲れさまでした、シア。よく耐えましたね。やはり貴方は素晴らしい娘です」
「はあ、はあ……ありがとうございます、司教さま」
「今後も毎日、この処置を行います。ああ、パメラ……他の者にはこの事は黙っていなさい。本来よりも大分前倒しの処置ですので、余計な心配をかけないためです」
「わかりました……尊い試練をくださったこと、神に感謝します……」
祈りの句を呟く少女の頭を撫でた後、清掃をするよう伝えて男は部屋を立ち去った――精液が少し残っていた口元だけを軽く拭って。
後に残されたシアは震える手で目隠しを取り、床に置いた。
大聖堂の奥まった場所にある『貴賓室』。広い部屋の中央に置かれた豪奢なベッドが、主に何のために使われるものなのかを少女は知らない。
この後は午後の礼拝がある。早く片付けないといけない――頭ではそう分かっていながら、シアは膝立ちの状態からぺたりと床に座り込んだ。
……体が熱い。
体の奥が熱い。
『聖水』を飲み込んだ胃の中が、熱を発している気がする。
荒く息をつく。
下腹部が熱を持つ。
クリトリスのすぐ上あたり……少女の知らない部位が、じくじくと疼いている。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
少女は自慰を知らない。
その情動を、手っ取り早く発散させる方法を知らない。
だから、その疼く部位の上にある皮膚を、指の腹でさすった。
「ふっ、ふぅ」
すりすりと、肌をする音が響く。
回転させるように、ぐるぐる、ぐりぐり。
そんなことでは、熱は、収まらない。
「……なに、これ。なにっ、これぇ……」
シアはしばらくの間、そうしていた。
やるべきこと、大事なこと、すべてを忘れてそうしていた。
◆ ◆
「――シア! まだここにいたの。もうすぐ礼拝が始まるわ」
「ごめんなさい、パメラさん。片付けるのにちょっと時間かかっちゃった」
慌ただしく走ってきた従者に向かって、シアは何事もないように笑みを返した。
少女が司教の男とこの時間、何をしているか――"
「シア。貴方は本当に頑張りやだけど、辛いことがあったらすぐ言ってね」
「ありがとう。わたしは大丈夫よ、心配いらないわ」
「それじゃ、早く行きましょう。皆の前で話す内容、また忘れていたりしないわね」
「もう、そんな前のこと! これでも何回も練習したんだから」
気心知れた二人が並んで、白く清廉な廊下を歩いていく。
一見何も変わらない少女の様子を、パメラはそれ以上いぶかしむことは無かった。残り少ない日常のありがたみを噛み締めたいという意識が、それ以上の配慮をする意識を曇らせている。
見た目は何の変わりもない。従者にとっていつもの、愛らしく庇護したい少女。
――ぽた、ぽた、ぽた……。
少女が通り過ぎた廊下の床に、小さな水滴が落ちている。
歩いていくにつれ、その間隔は少しずつ少しずつ狭くなっていく。
シアの股間を覆う、蜜でびちょびちょになった下着。
透けてあらわになった秘部から、じくじくと体液が滲む。
体内から、泉のように、愛液が湧き出る。
――じゅく、じゅく。ぬる、くちゅ……。