精神を病んで無職になった30代男が、ある日貞操逆転して爆乳爆尻美女とエロい目に遭うお話 作:じしんえる
私は少し考え込みました。女性が苦手、というには何らかの原因があるはず。しかし、その原因は彼自身、自分に自信がないためとのこと。自信がないというには、こちらも何らかの原因があるはずです。
しかし、自信がなくなるような、そんな容姿をしているとは思えませんでした。彼の身だしなみは整っています。髪はある程度の長さで切り揃えられている。服装も清潔で、年齢相応の組み合わせ。肌も同様に、洗顔なり入浴なりしている。髭も剃られている。臭いもない。
精神的に病を抱え、余裕がない状態だと、外見が荒れてしまうのはよくある話です。そこまで気をつける余力がないためです。ただ、彼のうつ病自体は治癒が進んでいました。事実、これだけ身だしなみに気を回す余裕ができています。
振る舞いもそうです。目を合わせて会話する。落ち着いていて、相手の注意を引くような動作はしない。一方的な会話を避け、話す量を自制する。それでいて、必要な回答をちゃんと含ませている。言葉遣いも丁寧。誰しも面談の最中、普段してしまっている癖が確実に出てきます。この短い時間でも、コミュニケーション能力に問題がある患者はすぐに気づけます。ですが、やはり彼はこの点でも健全でした。
恋愛対象として見られるには、十分過ぎるほど十分です。これだけ健康的で、魅力も彼にはある。にもかかわらず、自信はない。
ただ、患者自身では問題に気づけなかったり、意図せず本題を回避してしまうのもよくある話です。面談を続けるうち、隠れた問題が明らかになるかもしれません。彼自身、この質問はかなり嫌がっているようでした。まだ信頼関係が成り立っていない今は、あまり無理に掘り下げるべきでないと私は判断しました。
「なるほど、Sさんはそのようにお考えなんですね。それでは別の質問です。K医師からお伺いしたのですが、複数の女性と肉体関係を持つのに忌避感があると。それも、女性への苦手意識から?」
「すみません。ええと、個人的には女の人って、嫌がると思うんですよ。そういう、男が複数の女性と関係を持っているのは」
やはり、苦笑いしつつ彼はそう答えました。
それを聞いて、私は非常に驚きました。前時代的な考えだったためです。一夫一婦制から切り替わって、すでに久しい世の中。幼少期から、殆どの男性は女性に囲まれて生活します。小中高、大学も含みまずが、各学校で多くの女子と関わる。性教育実習で、女子たちとのセックスも数えきれないほど経験する。公私ともに、性体験は充実するはずです。男も女も、複数のパートナーを持って当たり前です。と言っても男女比の点で、男性が重婚したり妾を持つ場合が殆どですが。
彼の経歴には気になる点はありませんでした。しかし、家庭の要請で性教育などを敢えて辞退していた、という場合があります。そのようなことは記載する必要はありません。家庭環境の方に原因があったのかもしれない、と私は疑いました。
「……そういう認識を抱くきっかけはありましたか?」
もう少し、彼の考えや過去の経験を確かめてみました。
「ええ……。まあ、ニュースとか、ドラマとか。不倫や浮気だとかで大騒ぎって、よくあるでしょう」
彼は目を伏せながら、そう答えました。
くどいようですが、またも私は面食らいました。『不倫』『浮気』という一種の死語を、真面目に使う場面に出くわしたからです。
「そうなんですね。……ただ、私が記憶する限り。不倫も、浮気も、ほとんど耳にしたことがないわね。ごめんなさい、あなたを責めてるわけじゃないんです。あなたは、不倫や浮気をするのはいけないという価値観で育ってきたんですね」
彼は頷きました。もちろん、当然だという強い意志が感じられました。
「……そうか、ここじゃ不倫も浮気もないのか……」
彼はぼそりとそう呟きました。まるで初めて知った、というような反応でした。
それからも彼の価値観について、色々と質問してみました。すると、現代では普通の一夫多妻制、多子化政策などについて一切知らないようでした。
彼の禁欲主義には、行き過ぎたものがあると私は感じました。しかし、性欲……つまり本能を抑えることは、人間には出来ません。異性とのセックスを禁じているなら、何らかの代替行為で彼は補っているはずです。ある程度察しはつきました。現在でも、男性向けポルノは販売されています。
ただ、彼が本当に異性に興味があるのかどうか。性欲があるのかを私は確かめることにしました。K医師との肉体関係があるので、問題はないはずです。しかし、彼のこの特殊性を目の当たりにして、どうしてもこの目で確かめたいと思ったのです。
「私の胸が気になったりしない?」
私は自分の胸を持ち上げました。人より大きめで、性欲に訴えるくらいには魅力があるのではと思っていたためです。ただ、私はもう若くはないので、そこまで興味は持たれないと思いましたが。
彼は目を丸くしました。
「そりゃあ……しますよ。こんなに大きいし」
彼は分かりやすく動揺していました。思いの外初心な反応だったので、年甲斐もなく私は喜びました。
「よかった。あなたに褒められて、嬉しいわ。じゃあ、お尻は? そっちからじゃよく見えない?」
立ち上がり、私は尻を彼に向けて突き出しました。
「気になりますって! こっちも十分大きくて、魅力的です!」
またも彼は、ひどく動揺しました。
『異性からの性的アピール行為に、激しく反応しがち』───。そうK医師から伝えられていた通りでした。患者に対して失礼かもしれませんが、私を女として見てくれることに、私は嬉しさを覚えてしまいました。
「あら、こっちも褒めてくれるのね。普通、私みたいなおばさんは、相手にされないから。喜んじゃうわね」
私はつい笑ってしまいました。彼の担当をしたK医師の気持ちが分かりました。
「おばさんって……とってもお綺麗だし、エロ……相当魅力的じゃないですか」
こともなげに、彼はそう言ってのけました。
私も動揺してしまいました。あれだけ不慣れな反応を見せておいて、いきなり女慣れしていそうなお世辞を彼は言ってのけたのですから。しかも、嫌味な感じは一切ありませんでした。言った彼自身、いかにも正直そうな顔をしています。
不思議な人だな、と私は思いました。まだ確かめ足りなかったため、もう少し踏み込んでみました。
「胸、見たい?」
そう言って私は、上着を脱ぎました。下はブラジャーのみ。少々強引ですが、これでより確かめることができます。
彼は私の胸を凝視しました。嘘や誤魔化しには到底思えない、性欲を強く感じる視線でした。さらにブラジャーを脱いでみると、彼の視線は、私の胸に固定されました。この反応から、異性に対する性欲がしっかり備わっていると判断できました。
「すっごく性欲に素直じゃない! いいことよ。どうして隠していたの?」
私は彼を褒めました。性欲があることを確かめられた喜びもあってです。
「だって……失礼でしょ……」
彼はここでハッとしたように、視線を私の胸から外しました。彼のもつ忌避感・罪悪感のためでしょう。しかし、本能にはやはり逆らえないようです。その視線は、何度も私の目と胸を行ったりきたりしていました。
「そんなことないわよ。あなたを喜ばせることができて、私も嬉しいわ。K医師があなたのことを褒め称えていたけど、私も同意見ね」
そう私は言いました。彼はさっきから話に集中できていないようでした。ずっと、目線を胸からそらすことに必死でした。