「ア、ンナ、さんっ……」
「はい、リーナ」
「抱っこされてるだけなのにっ……♡あついですっ……♡」
「ふふ……。前戯も始まっていませんよ」
暗い寝室に光るアンナさんの瞳は、水月のようだった。
でも、決定的に違うところがある。水月は手に取れないけれど、アンナさんには触れられる――触れてくれる。
寝室のベッドに横たわって、私の上にアンナさんがいる。
指先で、肌が愛撫されていく。痺れるような快感がぞくぞくと全身を襲ってくる。
「んっ……♡」
声が漏れる。我慢する必要もない。
アンナさんが私を見つめてきていた。それだけで全身が歓喜に震える。気持ちいい。見られているだけなのに、興奮はひどくなっていく。
彼女が私に覆いかぶさってきた。荒っぽく太ももを撫でられて、時折、敏感なところに触れられる。
「あッ――」
快感に身を委ねて声を出すと、私の声を塞ぐようにキスをされた。
ついばむような、フレンチキス。恋人になって初めてのキス。
それはすぐに次のステップへ向かう――
「ちゅるっ……♡ぷはっ♡えへ、キス、うれしい……」
「舌を出してください」
アンナさんの命令するような口調を受けると、腹の奥が熱くなる。
逆らえない。
「はい……んへぇ……♡」
ベロを口の中から淫らに差し出すと、そっとアンナさんの舌と触れた。
舌先が舐められて、段々奥の方へと向かって、そして、私の舌が咥えられる。
ぱくり♡と食べられるように口内に迎えられると、私の舌は蹂躙された。
表、裏、先っぽ、奥――全部きもちいい。こんなところ、性感帯なはずがないのに、何をされても気持ちいい。
「っ……! ほれ、だめえすっ♡すご、あんなさんの、あついっ♡」
アンナさんも興奮していた。
火照って昂った私よりももっと熱かった。
「……っふう、気持ちいいですか?」
「興奮……してます♡もう、わけわかんないくらいっ……」
アンナさんの細い指が寝間着のショートパンツの中に入って、私の内腿を撫でる。
段々とその指は秘部へと近付いていく――
「そこッ、あっ、うそっ」
――けど、あと少しで触れるというところで、突然刺激は無くなってしまった。
腰が少し揺れる。欲しいのに、くれない。
「ふふ……。まだ、だめですよ」
「いじわる、しないでくださ――ンぅッ♡♡」
頬を膨らませてアンナさんに抗議すると、私の胸に指が這って来た。
そして、ゆっくりと下着が脱がされる。
邪魔なものを取り払うと、肌着の上からさするように撫でられて、先端は指先でいじめられる。
「おっぱいカリカリしないでくださいっ♡♡きもちっ♡」
「普段するときも、ここを使うんですか? 敏感ですね」
「あんま、しないからっ♡こんなの、アンナさんにされてるからきもちんですっ♡♡」
手の甲で口を抑えて、精一杯快楽を我慢した。
一方的にやられるのは悔しいから。
「ッ……!♡そんなっ♡かんたんにぃ……♡イったりしませんからっ!♡……ふッ♡」
体中疼いて仕方ない。だけど、すぐに堕ちるのもイヤだ。
私の精一杯の抵抗を受けて、アンナさんは責め方を変えてきた。
「リーナ……」
「へっ……?」
首を舐めたり、耳元で囁いたりしていたアンナさんの綺麗な顔が、私の目の前にやってくる。
そして、両手で耳を塞いできた。
「なに――うあっ……!!♡♡」
――そのままキスをされる。
口内を蹂躙されて、音が脳内に響く。
ぐちゅり、くちゅ。
「あたま……♡犯されてるみたいですっ♡」
想定外の快感に私の身体が悲鳴を上げた。
お腹の奥から熱が湧いてきて、がくがくと脚が震え始める。
むり、我慢できないッ――
「あっ、むり、だめ、これだけでイク、イきますっ♡アンナさん、イきます、イく――ふえっ?♡」
快楽の波を解き放とうとする瞬間を機敏に察せられて、アンナさんはそっと私から離れた。
熱が燻っている――絶頂寸前で、求めた快楽はお預けにされた。
「まだまだ……。もっと愉しませてください」
真っ赤な舌をぺろりと出して、捕食する前の肉食獣のように、アンナさんは瞳を細めた。
ぞくり……。身体が期待と恐怖で震える。
「やだ、イかせてくださいっ!♡」
言葉を聞き入れないで、彼女は愛撫を再開する。
わざと私が気持ちよくなるところを触らないで、その周辺だけ。
胸、先端には触らないで、その周りだけ。鼠径部に指を這わせたり、お腹をぐりぐり押したり――
熱と快楽が無限に溜まっていく。昂って昂って、我慢なんてできなくなっていく――
「浅ましく腰を動かして……そんなに触って欲しいんですか?」
「はいッ――♡さわって、はやく……♡私のこときもちよくしてくださいっ♡」
腰がふるふる揺れる。
触って、犯して――そんな風に、目の前の相手に媚びている。
もう、イきたい。イかせてほしい。アンナさんのその指で、いや、足でもいい。
アンナさんにイカせてほしかった。
「ああ、なんてかわいいのでしょう……私の婚約者は」
「婚約、者……えへへ――あぐッ♡おっ♡だめ、急に♡イっ――♡」
嬉しい言葉を言われて心が緩むと、彼女は急に責めを強くしてきた。
太ももの内側、そこを手のひらでぐちゅぐちゅと犯して、熱い舌は寝巻き越しに胸の先端の膨らみを好き勝手にねぶってくる。
やっと来る。わたしがほしかった瞬間。アンナさんに責められてイく――♡
「リーナ、あなたは『絶頂できません』」
頭の中が快感で埋め尽くされようとした瞬間、魔法が唱えられた――!
イきそうなのに、イけない。ずっと寸止め、強引にとめられている。
「なに……うそっ!♡イけるのに、イきそうなのに――♡なにこれっ♡やっ、だめっ、キスだめイく♡♡」
アンナさんは苦しむ私を見て、嗜虐的に微笑んでやさしくキスをしてくれた。
だけど、今の私にはそれも至上の快楽。それだけでイきそうだったのに――♡
だめだった。イけない……♡
「たまってきます……♡きもちいのずっとたまってますアンナさんっ♡♡はやくイかせてくださいっ♡♡」
アンナさんにマーキングするように、太ももに股間をつけてゆっくりと揺らした。
気持ちいい……♡
「あっ――ンぅ……♡きもちッ、ふっ……♡」
「こら。だめ、ですよ。まだ服も脱いでないんですから……ほら、脱がせてあげます」
いくら媚びても懇願しても、アンナさんはわたしののぞみを叶えてくれない。
いじわるいじわる――!
「やっ♡自分で脱ぎますから……んうぅッ――♡♡」
「敏感……。かわいいですね」
「囁かないでだめっ、耳っ……だめ……♡」
私に囁きながら、服が剥ぎ取られていく。
火照った肌に外気は冷たくて、感覚は鋭敏に研ぎ澄まされる。
ぴん♡と張った期待がわかってしまう胸を見られて、恥ずかしくて腕で隠した。
だけど、上を脱がされたら次は当然――
「あら……酷い粗相をしてしまっているようで……」
「見ないで……くださいっ♡アンナさんのせいなんですからぁっ♡」
ショートパンツを脱いで、足を上げてショーツも脱がされた。
長い責めと興奮で、ソコは糸を引いていた。
情けないけど、見られるだけでちょっとイきそうになっちゃった……♡
「アンナ、さんのっ♡肌も、みせてくださいっ♡」
生まれたままの姿になった私は、アンナさんに抱きついて、上目遣いで哀願した。
「くっつきたいんです♡もっと、ぴったり、体温を感じたいんですっ」
私だけなんてずるい――だけど、それよりも、この邪魔な布を取り払って、ずっとそばで一緒になりたい。
「わかりました……ようく、見ていてくださいね。あなたを狂わせる女の肌ですよ」
くすり、と笑ったアンナさんは、私に見せつけるように一枚一枚服を脱いでいった。
シャツを脱ぐと――下着と、隠された胸があらわになる。
大きくて、形が整っていて、きれいだった。
はあ――♡あついため息が出た。
そして、次はゆっくりとパンツを脱いだ。
長い脚――無駄な肉がなくて、すらっとしていて、真っ白な綺麗な脚。
全身が下着姿になったアンナさん――
「き、れい……♡すごい……♡」
興奮もそうだけど、感動もあった。だって、すごく――美しいから。
私の愛する人は、全部が完璧だった。
熱い視線で見つめていると、更にアンナさんは、最後に下着を脱いだ。
ごくり。
大きな音を立てて、唾を飲み込んだ。
性欲が、心臓の奥から湧いて出てくる。熱で脳が溶けそうになって、目の前のモノを味わってみたくて、身体が疼く。
「私も……さわっていいですか?♡」
「……ふふ、どうぞ、よろしくお願いします」
今度は上下が逆になった。
アンナさんの膝の辺りに腰を落として、その上に覆いかぶさる。
「ちゅ……♡んッ……♡」
舐めたり、触ったり、ゆっくりと味わう。
快楽を与えるように、時々いやらしく動かしてみたり――私のモノだと誇示するように、跡を付けてみたり。
「あっ……」
「えへ、アンナさん、気持ちいいですか?♡」
「ええ……♡ふ、うッ――♡」
アンナさんの秘部に触れると、私と変わらないくらいに濡れていた。
私を責めて、私の痴態を見て、アンナさんもすごく興奮してくれている。……嬉しい♡
拙いながらも精一杯に彼女を気持ちよくしていると、急に雰囲気が変わった。
「ですが――」
「あんっ♡」
「やはり私は、責めるほうが好きなようです」
膝で気持ち良いところをぐり♡と押されるだけで、形勢は逆転してしまう。
認めるしかない――私はアンナさんに責められると、すごく弱くなってしまうみたいだった。
押し倒されたと思ったら、私の股間の辺りに顔を動かして、ふう――♡と息を吹きかけてくる。
「ンン……♡ちょっ……そこ……汚いですよっ♡」
「リーナに汚いところなんてありませんよ」
きゅん♡と心を揺り動かされるようなセリフを言うと、アンナさんはぱくり♡と一番気持ち良いところを咥えた。
そして、舌で徹底的に、私を堕とすように快楽ばかりを与えてくる。
「んッ――すごっ♡なめられ――♡あイくッ♡♡イ、けなっ♡」
堕とすようにじゃない――堕とそうとしてるッ……♡
私がアンナさんに逆らえなくなるように、無様で淫らな性奴隷にでもするように――♡
一方的に快楽を与え続けられると、息も絶え絶えになって、意識は朦朧としてくる。
「わた、しも、アン――うッ♡あんな、さんのことぉっ……♡♡あっ、はっ♡やめッ――やめて喋れないッ――♡♡」
「私の事は気にしないでください。リーナがたくさん好くなってくれれば、それで十分ですから」
声にならない喘ぎ声が沢山でた。
汚い声も混ざってきていた。
「ですから――」
酸素を吸おうと口を開く度に、アンナさんが口を重ねてくる。
身体の中に入ってくるのはアンナさんの吐息だけだ。ぜんぶが、変わっていく。私の身体は私だけのものじゃない。大好きな、愛している、目の前の魔法使いの――アンナさんのものとぐずぐずに溶け合って、混ざっていく。
「もっと、もっと――『私に堕ちてください』。リーナ」
ぐぅん、と意識が揺れる。
最高の状態での魔法――もうだめだった。
ほんとうに、アンナさんのことしか考えられなくなった。
「あっ――♡やばっ、なにこれ♡アンナさん――アンナさんッ!♡♡」
もっと、もっと、してほしい……♡足りなくなった。
「もっとして♡もっと、もっとくださいっ……♡アンナさんのこと、あ……う♡♡」
興奮であたまがおかしくなりそうだった。
ちがう、おかしくなっている。アンナさんから与えられる快楽以外の情報が遮断される。
「んうッ――♡は、はあっ――♡き、ぎもぢ♡きもち、です♡♡イき――」
「イけない、でしょう?」
「はいぃ――♡あっ、やめっ、おまんこいじらないでッ――♡」
「……誰にも渡しませんよ、リーナ。あなたは私のモノです。……絶対に、手放さないから」
脳髄にまで、アンナさんの声が響く♡
私に夢中になってくれているのがわかってうれしい。少し低くなった声が、お腹の奥にも響いて、疼きが増していく。
「子供を作りましょう、リーナ」
たくさんいじめられて、上も下も前も後ろもわからなくなった私に、アンナさんは言ってきた。
「はい♡」って即答しそうになったけど、理性が働いた。
「え……ンっ♡むりですよっ♡……お゛っ、お、んな同士ですから♡」
「魔法は……現象を起こすのですよ」
「ひうッ♡だめっ♡きゅうにつよくしないで♡イっちゃいま……♡」
私の答えに満足しなかったアンナさんは、更に強く快楽を与えようとしてくる。
だけど、わたしの身体はもう限界だった。再現なく気持ちよくされ続けているのに、解放されない。
「イ、かせて……♡も、くるしの♡」
「私との子を孕む、そう約束してくれればイかせてあげますよ」
「だめです♡まだ……だめっ♡」
アンナさんとの赤ちゃん……♡
考えるだけで、幸せになって甘イキしてしまう。
だけど、まだだめ。まだ……。
「まだ?」
「あッ♡イグっ♡ふ、ッ――!♡や、責めな……でっ!♡おへんじ、できな――いです♡♡」
口答えする悪い私をお仕置きするように、私のナカがぐちゃぐちゃにかき乱される。
浅いところ、奥、クリ、全部きもちよくされて、考えていたことがすぐに弾け飛ぶ。頭の中は真っ白だった。
「いつになったら、孕んでくれますか?」
「約束しますっ♡結婚したらぁ♡♡アンナさんと、結婚したら――ンぐっ♡♡その日に子供作ります赤ちゃんはらみます♡♡」
「わかりました。楽しみにしていますね」
痺れる身体と朦朧になる意識を精一杯正気に保ちながらなんとか言うと、アンナさんは満足げに微笑んでくれた。
激しい責めを止めて、慈しむように頭を撫でると、私の耳元でそっと囁く。
「それでは、リーナ。……『イきなさい』♡」
再び――魔法が私を襲う。
「あ、や、なにっ……♡」
決壊した。
ずっと止められていた快楽が襲いかかってきた。
「ひうッ――!!♡♡やばいこれやばいですっ♡♡♡あたまチカチカして……んンンッ――♡♡」
ほんの少しの刺激で、私は狂っているように絶頂した。
縋るようにアンナさんに抱きついても、腰をとん♡と押されるだけで身体が震える。
「イって、ますッ♡♡イってますとまんないよっ♡♡♡だめ、アンナさん、たすけて、意識、とぶ♡♡」
口が閉まらない。喘ぎ声が収まらない。
快楽で苦しいのに、アンナさんに与えられているものって思っちゃうと、幸せでたまらない。
「たくさん望んだのですから……」
脚を持たれて、強引に開かれた。
男女が交わるみたいに、アンナさんと私の濡れそぼった秘部が触れ合いそうになる。
「たっぷり、イかせてあげますね……♡」
「あっ……♡」
ぴたり、とゼロ距離に近付いた。
とろとろで熱かった。
私のことを見つめながら、アンナさんがゆっくりと腰を動かし始めた。
大好きな人に犯されているせいで、身体は馬鹿みたいな勘違いをしてしまう。
種が欲しくて、欲しくて、子宮が疼く。
「んっ……ふっ……」
「ひっ♡きもちっ……♡クリこすれ――あイくッ――♡」
私を愛おしむようでありがながら、快楽を貪るような腰使いは心を熱くさせた。
もっともっと――ほしいけど――
「またイきますッ♡はっ、あっ……♡」
顎を上げて、舌も垂れるくらいに何度もイった。
薄らいでいく視界の中で、アンナさんの瞳は一際明るく輝いていた。
綺麗だった。
私だけを見ている、一番綺麗な青い瞳――♡
「あ、あ、あ、だめ、だめ、ほんとにだめッ――♡♡♡」
ぷつん。
意識が、とぎれる。
「約束……ですよ」
糸が切れたような私の身体を抱き寄せて、最後に囁かれたのはその言葉だった。