私がルーアンの地下牢から異世界転移して早くも一週間が経ちました。ジーク君が暮らすこの村は、私にとって心休まる穏やかな場所となっています。畑仕事は元々村娘だったので苦ではありませんし、ジーク君を含めた村の方たちが使える魔術のお陰で結構楽できています。村の他の人たちも、私を快く迎え入れてくれている優しい方ばかり。村の男の人が声をかけて来た時には身体が震えてしまったけれども、その時はジーク君が間に入ってくれるお陰で何とかなりました。そんな私の目下の問題は……、
「はぁ、はぁ……」
──昨夜から我が身を苛む様に、身体が熱を帯びて疼く事です。原因は分かっています。遺憾ながら、ルーアンの地下牢での兵士たちによる陵辱の日々は私の身体を歪めてしまったようです。
ジーク君の家に居候している身でありながら、私は寝室のベッドの上で性的な快楽を求める身体の疼きに耐え悶えながら横たわっています。
「ん、んうぅ……ぁ」
──月光が窓の隙間から差し込み、薄暗い寝室を青白く照らす中、私の呼吸は浅く、乱れているのが分かります。寝間着の胸元がはだけ、胸が月光に晒され、冷たい空気に触れて硬く尖った乳首が布を突き上げるその姿は、仮にルーアンの地下牢の兵士たちがいたならば嘲笑しながら私を再び弄んでいたことでしょう。私が処されるはずだった火刑は身体を焼き尽くすものでしたが、今は身体の奥から湧き上がる熱が、私の理性を焼き尽くそうとしています。
ジャンヌ・ダルクが異世界転移する以前、15世紀のヨーロッパにおける宗教観、キリスト教カトリック教会において、子を成す目的以外での性行為、特に自慰行為は厳しく非難されていた。当然、彼女もそれに基づいた宗教観・倫理観が備わっている。
それでも、身体の疼きが静まるわけではなく、ジャンヌの太ももがシーツの上で擦れ合い、わずかな摩擦が刺激となって新たな疼きの火種を呼び起こす。
「主よ、神よ。どうか……んぁ♡」
──私は両手を胸の前で組み、祈りを捧げて身体の疼きを堪えようとしました。しかし、私の手が無意識に寝間着の胸元に触れ、硬く尖った乳首に当たった瞬間、身体の中を何かが走り抜けるような感覚に襲われてビクリと震えてしまいました。慌てて両手を胸から引き離しますが、身体の熱はますます激しくなるばかりで、私の意志を嘲笑うかのように、指は再び胸へと戻ってしまいます。
「ん、ぁ……♡ぁん♡だ、め……」
寝間着越しに乳首を指先が捏ねる感触に、ジャンヌの唇からは甘い吐息が漏れ、すぐにそれを悔いて手を離すが、少しすると再び胸へと戻ってしまう。
「こんなこと。いけない、のにぃ……」
──
ジャンヌの指が胸から腹部へと滑り、寝間着の裾をたくし上げる。露わになった太ももが月光に輝き、彼女の性器に触れた瞬間、濡れた感触に身体が熱く震えた。だが、あくまでその快楽は一瞬。身体の疼きを鎮めるには至らないばかりか、信仰を裏切っているような罪悪感がジャンヌを苛む。
それでも、彼女の身体の疼きは止まらないだけでなく更なる快楽を求めてジャンヌにより激しい自慰を急かす。かつての地下牢での陰惨な陵辱の記憶が、彼女の意識を混乱させ汚濁させていく。
イングランドの兵士たちの荒々しい手がジャンヌの豊満な乳房を揉みしだき、乳首を執拗に抓み、しゃぶりつく。彼らの硬く勃起した男根が、ジャンヌの膣を、口を、尻穴を容赦なく貫いては激しく前後して、彼女の身体の内外を白く穢していった。あの屈辱と恐怖の記憶が、ジャンヌのトラウマを刺激しながら身体の疼きを鎮める事を妨害している。
「
悲痛なか細い泣き声に近い言葉を、ジャンヌは漏らす。それでも身体の疼きは静まる事はなく、イングランドの兵士たちに弄ばれた
そんな中、意識が朦朧とし始めたジャンヌの思考の中に、イングランドの兵士達ではない別の人物の姿がよぎる。
「ジーク、君。ん、んぁ♡ぁあん♡」
──空想上のイングランドの兵士を私の空想から遮ってくれたのは、空想の中のジーク君でした。彼の優しい眼差しが、抱擁するように優しく触れる手が、私の心に温かな光を投げかけてくれました。私の心を苛む罪悪感と恐怖が薄れていきます。ジーク君にだったら、イングランドの兵士たちと同じことをされても怖くない。そう思えるくらいに、暖かな気持ちになっていきます。
ジャンヌは、この家の家主であり自らを居候させてくれているジークに愛撫される空想を抱くことで、罪悪感と恐怖から逃れようとした。彼女の指は、ジークの手指であると想像しながら、自らの性器を再び愛撫し始める。
「ジーク君、ジーク君♡」
ジャンヌの声は、切なげな高揚感に満ちていた。
彼女の空想の中で、ジークは優しく彼女の乳房を包み込み、乳首を愛しむように指先で撫でた。それだけで彼女の心臓がドキドキと高鳴り、罪悪感が薄れ、代わりに温かな快楽が身体を満たしていく。彼女の指は、濡れた膣口をなぞり、クリトリスを擦った。肉付きの良い太ももが震え、丸みを帯びた尻がシーツの上で揺れた。そしてジークに愛撫される空想の自慰に耽るうちに、寝間着は完全にたくし上げられ、彼女の白いお腹とくびれた腰が月光に艶めかしく晒されていた。
「神よ……どうか、御許しを。……ジーク君、もっと私を♡」
祈りと喘ぎが入り混じったジャンヌの声が寝室内に響き、腰がベッドの上で弓なりに反って跳ねる。
「ジーク君♡ジーク君♡んあぁあぁ~っ♡♡♡」
ジャンヌの身体が大きく震えて潮を吹き、膣内が収縮して指をキュウキュウと締め付け、絶頂の波が彼女の思考を飲み込む。彼女はジークの名を何度も呼びながら、深い安堵と高揚感に浸った。
月光が、汗に濡れた彼女の肌を輝かせ、ジャンヌの滑らかな曲線美を浮かび上がらせる。
──私は、なんとはしたない事をしてしまったのでしょうか。身体の疼きは鎮まりましたが、そのために恩人であるジーク君で自慰に耽るなど。それにあんなあられもない声を上げて
ジャンヌは絶頂の余韻に耽りながら、信仰に由来する倫理観とは別の罪悪感を抱く。そして幾分か冷静になった思考が、ある事実を突き立てる。
──ひょっとして、先程までの私の声……ジーク君に丸聞こえだったりしません?
その事実に思い至った時、ジャンヌの血の気が一気に引いた。木造建築の家屋に、防音性を求めるなど無謀も良いところだ。下手をしなくても、同じ屋根の下で暮らすジークに聞こえていただろう。
──ジーク君に嫌われちゃう、幻滅されちゃう。嫌、そんなの嫌だよぉ……。謝らないと。許してもらえるかわからないけど、誠心誠意、ジーク君に謝らないといけません。
ジークへの感情の出所が何かに未だ気が付かないまま、ジャンヌは涙目になりながらベッドから降りて部屋を出る。
絶頂したばかりで足取りはおぼつかず、汗に濡れた肌や開けた寝間着、股からは愛液が滴って木の床を穢している事にも気が付かないまま、壁伝いにジークの寝室へと向かう。
この時のジャンヌはパニックに陥っていた。自身の感情を制御できず、自慰による嬌声に対してジークが部屋に来なかった理由に思い至らないまま、謝らなければならないという自責の念からジークの寝室へと向かっていた。そのため、ノックして確認する余裕もない彼女はいきなりジークの寝室への扉を開け……、
「ジーク君、ごめんなさい! 私、貴方で……」
「──。ジャンヌ、ジャンヌ……」
ジークが寝室で、押し殺すような小さな声でジャンヌの名を何度も呼びながら男根を扱いて自慰している様子を、彼女は目の当たりにしたのであった。