※この作品はR-18です。

魔都精兵のライダー   作:SEEDに出会えてよかった

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遅くなってしまい、誠に申し訳ありません!
運転免許の取得に集中しており、全く手をつけられませんでした。
ですが無事に就職関連のことも、運転免許の取得も終わったので、これからは少しずつ執筆しようと思います!





黒き殺戮 冷たい殺意

 

 

翔は現在、七番組の元に招集されていた。

そして、魔防隊本部の広い一室に集められており、そこには大きな一つの扉があった。

そして案内役の隊員 備前 銀奈(びぜん ぎんな)が居た。

 

銀奈「こちらが、桃源郷への入り口です。」

 

翔「東の晩餐の時も似たような場所があった気が…」

 

日万凛「あれと違って、ここの空間は時間の流れも違うって言うから、向こうのとは全然別物なの。」

 

京香「存在は知っていたが、入るの初めてだ。」

 

銀奈「術者に強い負担がかかるので、頻繁には使用できないんです。魔都緊急宣言を発令した時から、恋サマは桃源郷の準備を進められてました。」

 

翔「ずいぶん大変な能力だ…」

 

京香「注意事項の確認を。」

 

銀奈「はい!京サマ!」

 

ちなみに、銀奈は恋や京香などの熱狂的なファンなのだ。

 

銀奈「桃源郷の中では何が行われているか、外からは術者ですら把握できません。連絡もできません。」

 

翔「緊急時は外に出るしかない、と。」

 

銀奈「また、桃源郷に備え付けてある建物なら、破壊されたとしても数時間もあれば復元されます。ですが!出口のドアなどを壊してしまうとしばらく出られないので、激注意です!」

 

寧「ベルさん達は後で来るんですか?」

 

京香「ああ、だが時間が惜しい。先に入る。」

 

銀奈「八番組が入る前に、現在中にいる六番組と九番組に外に出るように伝達してください。」

 

朱々「定員があるんだ。魔防隊全員で入れれば便利なのにね。」

 

銀奈「最終的にそうできるよう、キャパを拡張中よ。」

 

そして、全員が荷物を持ちながら扉に近づく。

 

京香「全員で同時に入るぞ。」

 

銀奈「行ってらっしゃいませ!」

 

扉が開き、その中に足を踏み入れる。

すると暖かな光が溢れる。

光が消え、辺りを見回すと、そこには見渡す限りの花畑が広がっていた。

 

翔「わぁ…!すげぇ…!」

 

寧「綺麗な所です!」

 

朱々「空気も澄んでる〜!」

 

日万凛「温度もちょうどいいわね。」

 

京香「まさしく桃源郷だな。」

 

そして少し歩いていくと、とても大きく立派な建物があった。

 

翔「魔防隊の寮よりデカい…メンテが大変そうだ…」

 

朱々「能力でずっと嫌いなんじゃ無い?」

 

京香「食料や設備も揃っているとのことだ。」

 

日万凛は静かに建物を見つめていた。

 

翔「能力の分析?流石はコピーの使い手。」

 

日万凛「やっぱり、あなたはすぐそう言うのを見抜くのね。」

 

翔「色んな人と出会って来たから、なんとなくね。」

 

日万凛「じゃあ、今何を考えてるか分かる?」

 

翔「多分…修行するためにもパンチの効いたラーメンを食べたい、とか。」

 

一語一句見事に言い当てられ、日万凛は黙り込んでしまう。

 

翔「あっ、さては図星だな?」

 

そんな2人のやり取りを、朱々は少し離れたところで盗み聞きしていた。

 

朱々(なんだかツーカーの相棒感を出してるねぇひまりん。組長といい、翔くんに対するアタックは強い…でもネットで知ったんだ!恋愛にも馬のように客室があるって!私は《差し》!リードされてても、最後はゴボウ抜き!この桃源郷は仕掛け時かな…!)

 

翔は活躍と人柄の良さ、容姿の良さや母性をくすぐる一面などがあるため、魔防隊の中では日々こんなことを考えている者が大勢いるのだ。

 

京香「朱々、中に入るぞ。」

 

5人は中に入って行った。

 

日万凛「中も寮に似てるわね。」

 

寧「広くて過ごしやすそうです!」

 

翔「こっちが台所…か…って!?えぇぇ!?///」

 

翔が妙な声を出した理由、それは…

 

天花「やあ♪」

 

天花が居たから、ではなく、その格好が原因である。

エプロンを着ながら台所にいるだけならまだしも、その下に着ているのは何故か、いわゆるスクール水着の様な物だった。

 

京香「何だその格好は…」

 

天花「今日は私が食事当番だから。他のみんなは裏の湖で鍛錬中。翔くん、味見お願いできる?」

 

そう言って、天花は作った料理を翔の口元に運んでいく。

 

天花「あ〜ん♪」

 

翔「あ、あむ…」

 

天花「どうかな?」

 

翔「美味しいです!」

 

天花「良かった♪」

 

七番組の他のメンバーは、その光景を羨ましそうに見ていた。

 

その後一同は湖に向かった。

そこには、六番組の八千穂と若狭サハラがいた。

 

八千穂「おお!来たか日万凛!」

 

サハラ「水の中、気持ちいいですよ〜」

 

格好はやはり、天花と同じような水着だった。

 

京香「水中鍛錬ができるのはいいな。」

 

麻衣亜「湖の周囲をご案内しますわ。」

 

翔(目のやり場に困る……)

 

少し歩いて行くと、海桐花と風舞希も居た。

もちろん水着だ。

 

翔(こっちはこっちで見ちゃ悪い気がする…!)

 

一息つこうと、翔は風呂場の水道で顔を洗った。

それを陰から見ている者が1人。

 

翔「八雷神…紫黒との戦いで、俺は自分の詰めの甘さを思い知った…人を弄び、その命を踏み躙るヤツらには…もはや慈悲なんて与えない。悪党には、悪党に相応しい末路を味合わせてやる…!」

 

人の死を、命を何とも思わない邪悪に、彼はもはや慈悲など向ける気は微塵も無かった。

 

翔(俺は…強くなるんだ…!)

 

そしてその場を後にしようとした時、翔はとある事に気づく。

 

翔「えっ!?お、俺、何で服着てないんだ!?」

 

いつの間にか、翔は下着以外の服を脱いでいる状態だったのだ。

 

誉「筋書きはこうだ。」

 

物陰で翔を見ていた誉が現れ、翔に近づくと、着ている水着の胸元を下げ、その豊かな胸を曝け出した。

 

翔「ち、ちょっ…!?///」

 

誉「私の水着に興奮したお前が、誘って来たってな…」

 

すると

 

朱々「黙らっしゃい!!」

 

どこからか現れた朱々が見事なタックルを決め、誉を1発でノックアウトしたのだ。

 

翔「た、助かった…」

 

朱々(こう言うトラブルは予測済み!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後、翔は何とか京香達の元に戻った。

 

天花「七番組も入れて実践稽古?」

 

海桐花「八番組がすぐに来るとて、桃源郷では相当の時間差があるじゃろ。焦って昨日では事もない。それより鍛錬!」

 

京香「もちろんだ。是非やろう。」

 

風舞希「では、組長は組長同士で戦いましょう。」

 

京香「翔は私達と鍛錬だ。」

 

翔「はいっ!」

 

天花「準備してね。」

 

翔「はい!」

 

すると翔はひとつのベルトを腰に巻く。

二つのスロットがあり、横にはハンドルがついたベルトだ。

 

『ビルドドライバー!』

 

京香「また見た事のない物だ…どれだけの力を秘めているんだ。」

 

翔は懐から赤と青の2本のボトルを取り出し、シャカシャカと振り始めた。

そしてボトルのキャップ部分を回転させ、ベルトのスロットにセットした。

 

『ラビット!タンク!』

『ベストマッチ!!』

 

ベルトのハンドルをグルグルと回すと、翔の周囲にはプラモデルのランナーの様なものが作られる。

そして前後にそれぞれ赤と青のランナーができると、ベルトからこう問われる。

 

『Are you ready?』(準備はいいか?)

 

翔「もちろんだ。」

 

翔は前後から赤と青のランナーに挟まれる。

すると右肩と左の脇腹辺りから蒸気が噴き出す。

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!!』

 

京香「随分と賑やかなベルトだな。」

 

翔「こればっかりはどうしようも無くて…」

 

風舞希「では、早速始めましょう。」

 

すると4人は口を閉ざす。

5秒、10秒と静寂が続く。

そして

 

ドォンッ!

 

爆発の様な轟音が響くと、4人は同時に動き出す。

 

京香の刀と風舞希の槍がぶつかり合い、天花が作ったワープホールを翔は兎の跳躍力で俊敏に駆け回って避ける。

 

翔「ハァッ!!」

 

天花の腹部に、翔は蹴りを繰り出すが、ワープホールで転移させられる。

すると横から風舞希の槍が伸びてくる。

 

翔「っ!」

 

いち早く危機を察知し、飛び跳ねて避ける。

そして一気に距離を詰め、戦車の様な重い蹴りを風舞希に繰り出す。

だが

 

風舞希「ハッ…!」

 

翔「がっ…!?」

 

槍で薙ぎ払われ、吹き飛ばされてしまう。

 

翔(硬さが足りない…!なら!)

 

ベルトからボトルを抜き、新たにボトルをセットする。

 

『ゴリラ!ダイヤモンド!』

『ベストマッチ!』

 

そして間髪入れずハンドルを回す。

 

翔「ビルドアップ!」

 

『輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェーイ!』

 

翔「まだまだ!」

 

風舞希は再び槍を突き出すが、翔はそれをダイヤの腕で受け止める。

 

風舞希(なんて強度…!)

 

翔「デリャァァ!!」

 

受け止めた槍を、ゴリラの腕で弾き飛ばす。

 

風舞希(パワーも向上した…!)

 

翔(風舞希さんの得物は長物…!距離を詰めれば…!)

 

しかし、突然空間が歪む。

天花の能力による横槍が入ったのだ。

それだけで無く

 

京香「ハァッ!」

 

翔「くっ…!?」

 

京香の剣撃までもが襲いかかる。

 

翔(多勢に無勢か…!地上がダメならコイツだ!)

 

再びボトルを抜いてボトルを装填する。

 

『タカ!ガトリング!』

『ベストマッチ!』

 

翔「ビルドアップ!」

 

『天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!』

 

京香「もらった!!」

 

その隙を逃さず、京香は斬りかかる。

しかし

 

翔「おっと…!」

 

オレンジ色の大きな翼を広げ、翔は空へと飛び上がった。

そして物理法則を無視した様な動きをしながら、ハンドガン程のサイズの武器、ホークガトリンガーで空中から京香を迎撃する。

 

京香(くっ…!なんて臨機応変さだ…!)

 

風舞希(いくら私の武器でも、空中に居られたら当てるのは難しいわね…)

 

天花(早くて私の能力でも捉えづらい…!)

 

翔(このまま畳み掛ける!)

 

しかし

 

翔(あれ…?なんか…気持ち悪く、なって…)

 

なんとこんな肝心な時にこの男は、調子に乗って飛び回ったせいで酔ってしまったのだ。

 

翔(くそ…!立て直さない…!)

 

なんとか体勢を立て直そうとしたが、それも虚しく、そのまま頭から地上に落下した。

 

風舞希「どうやらここまでね。」

 

京香「翔!」

 

天花「大丈夫?」

 

3人はすぐに駆け寄る。

 

翔「イタタ…うぅ…気持ち悪い…」

 

京香「全く…あんな風に飛び回るからだ。」

 

天花「酔い止め欲しい?」

 

翔「はい…」

 

風舞希「あのスピードは、何度か使って体を慣らしていくしかなさそうね。」

 

 

※その後無事吐いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、扉から入ってくる人影が四つ。

 

1人はベル、もう1人は八番組の組長、ワルワラ・ピリペンコ。

もう2人は八番組の組員。

1人は褐色肌に黒い長い髪を持つ女性、プラチ・シェラワット。

もう1人は高身長でサイドテールの髪の女性、ジェナ・ステイプルズ。

 

ベル「出入り口はココだけなんですね。」

 

ジェナ「電波無いからジャンプ最新号読めないのが残念だなぁ。」

 

プラチ「この景色を前にして、もっと感想あるでしょ?」

 

そこへ、寧と翔がやって来た。

 

寧「お待ちしておりました!」

 

するとジェナは寧を高く持ち上げた。

 

ジェナ「やったぜ!寧ちゃんだ!」

 

寧「他の皆さんは寮で鍛錬中です、案内しますね!」

 

プラチ「ありがとう。」

 

一方、肝心のワルワラはというと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワルワラ「スゥゥ〜〜…」

 

翔「えっと…ワルワラお姉ちゃん?」

 

猫を吸う様に翔の髪を吸っていた。

 

翔「何してるの…?」

 

ワルワラ「翔くんを補給してる…」

 

翔「え?どういう、あの…え?」

 

流石の翔もこの困惑である。

 

ワルワラ「はぁ…満足した。」

 

翔「えっと、改めて。久しぶり、ワルワラお姉ちゃん!」

 

ワルワラ「うん、久しぶり。翔くん。」

 

寧「お二人とも〜!行きますよ〜!」

 

翔「うん!今行くよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ジェナやプラチ、ワルワラやベルを参加させて鍛錬を行った。

そしてその夜、翔は気分転換ついでに外を歩いていた。

 

翔「寒くも無いし暑くも無い…ちょうど良くていいな。」

 

歩いていると、一つの岩の上にワルワラが座っていた。

ワルワラは滝を眺めていた。

 

翔「お姉ちゃん?」

 

ワルワラ「翔くん。」

 

翔「寝れないの?」

 

ワルワラ「違うの。月が綺麗だから見てたの。」

 

翔「そっか。俺も隣で見ていい?」

 

ワルワラ「いいよ。」

 

翔はワルワラの隣に座り、一緒に月を眺めた。

 

ワルワラ「ねぇ、翔くん。」

 

翔「何?」

 

ワルワラ「私が翔くんをここまで大事にする理由、分かる?」

 

翔「うーん…俺が強いから、とか?」

 

ワルワラ「違うよ。」

 

翔「じゃあ…なんだろ…?」

 

ワルワラ「正解はね、翔くんに助けてもらったからだよ。」

 

翔「え?」

 

ワルワラ「私はね、元々親が魔都から盗んで、横流しした桃を食べて能力を得たの。」

 

ワルワラは、自分の過去を翔に話し始めた。

 

ワルワラ「それでね、それがバレて、親とも離れ離れになって、一人ぼっちだった私を総組長が魔防隊に引き入れたの。」

 

翔「そんな事が…」

 

ワルワラ「そこで私は、京香様に出会ったの。京香様の花の様な笑顔も、勇ましい戦う姿も、全てが彫刻の様に美しいと思ったの。」

 

翔「お姉ちゃんは京香さんのことも尊敬してるもんね。」

 

ワルワラ「うん。そしてその後しばらくして、翔くんが入って来たの。」

 

翔「初めの頃は、なんか嫌われてた気がする…」

 

ワルワラ「ごめんね。でもあの時は、まだ信用できなかったし、京香様との距離感も近くて嫉妬してたの。」

 

翔「そうなんだ…」

 

ワルワラ「でも、翔くんが少しずつ実績を収めて、魔防隊に貢献して、他の隊員とも打ち解け始めてからは、私が翔くんを見る目も変わったの。それに翔くんは、私にも積極的に話しかけてくれて、いつも楽しそうに話してくれるから。私自身も、すごく嬉しかったの。」

 

翔「そっか…なら、これからもずっと話し相手になるよ!」

 

ワルワラ「翔くん…ありがとう。」

 

ワルワラは翔の頭を優しく撫でる。

 

翔「えへへっ…!」

 

翔は照れ臭くなり、思わず笑った。

 

「……」

 

しかし、そんな2人を物陰から見る者が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、八番組と七番組は、それぞれの隊員で組み手をしていた。

 

プラチの能力は迅鞭阿修羅(ウルーミ)

長い鞭を作り出し、自由自在に操る能力。

 

ジェナの能力は豪剣士(ヒーロー)

剣と盾を装備し、ビキニアーマーを纏うという奇抜なものだ。

 

しかし、どちらも非常に強力であり、そこにさらに2人の実力も上乗せされる。

 

翔「あの2人もかなり強いな…」

 

ベル「勉強になりますぅ。あの、ところで…」

 

ベルは隣に居た京香に声をかけた。

 

ベル「実はピリペンコ組長の能力、ベルよく分かってないんです。」

 

京香「私もそうだ。"自分に有利な空間を作り出す"ぐらいだ。」

 

ベル「お隣の羽前組長もそうなんですね。」

 

京香「ベルの能力を磨く合宿後半で、ワルワラの能力も詳細を教えてもらう予定だ。その時は、ベルの能力と一緒に連携を考えていこう。」

 

ベル「はい!」

 

翔「ベルさん、一緒に頑張りましょう!」

 

ベル「はい!精一杯頑張ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼頃、翔は廊下を軽く拭いていた。

 

翔「いくら綺麗になるって言っても、やっぱり自分の手で拭かなきゃ不安だなぁ。」

 

するとそこへ、ベルがやってくる。

 

ベル「あのぉ…翔さん。」

 

翔「どうかしました?」

 

ベル「実はですね…ええと…」

 

翔「ベルさんは組長なんですから、そんなに畏まらないでくださいよ。」

 

ベル「ベルにそんな度胸ないですよぉ〜…」

 

するとベルは少し歩き出す

 

ベル「ちょっと、ご相談がありまして…」

 

すると、拭いたばかりの床を歩いたため滑って翔に被さってしまった。

しかもその拍子に、2人の唇が触れた。

 

ベル「すっ、すいませんっ!!」

 

翔「い、いえ…!」

 

ベル「その…ここだとあれなので…夜、改めて時間もらえますか…?」

 

翔「夜、ですか?」

 

ベル「皆んなには内緒で、2人きりで…」

 

翔の耳元で、ベルはそう囁いた。

 

翔「わ、わかりました…」

 

ベル「それじゃあ、よろしくお願いしますね。」

 

そう言って立ちあがろうとするが、今度は足が絡まってしまい、翔の顔面に股を押し付けてしまった。

 

翔「うわっ!?」

 

ベル「ふぇぇっ!?何度もすみません!」

 

そして今度こそ、ベルは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜。

 

ワルワラが座っていた岩のそばで、2人は待ち合わせていた。

 

ベル「来ていただいてありがとうございます。」

 

翔「いつだって駆けつけますよ。」

 

ベル「相談というのは…ええとですね…」

 

そう言いながら、ベルは翔にぴたりとくっ付く。

 

ベル「実はベル…翔さんに伝えたいことがあって…」

 

すると翔は口を開く。

 

翔「俺も…あります。だから、俺から伝えさせてください。」

 

ベル「…はい。」

 

翔はベルに背を向けて少し歩いて、深く呼吸をして、再び口を開く。

 

翔「ベルさん…お願いがあるんです。」

 

ベル「はい…」

 

翔は振り向き、こう言った。

 

翔「ベルさん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死んで下さい。」

 

そう言ってマグナムシューター40Xをベルの心臓目掛けて撃つ。

その弾はベルの心臓を射抜き、ベルは倒れる。

 

翔「おい、起きなよ。どうせまだ生きてんだろ?下手くそな芝居は良いから。」

 

翔がそう言うと、なんと心臓を撃ち抜かれたはずのベルが立ち上がった。

 

ベル「なんでバレたのかなぁ?て言うかいつから?」

 

翔「お前がこの桃源郷に来た時から薄っすら勘付いてたさ。最初におかしいと思ったのは、やけに鍛錬について来れた事。ベルさんは確かに体力はついて来てるけど、それにしても疲れなさ過ぎだと思った。そして確信したのは、お前がワルワラお姉ちゃんの能力を京香さんに聞いた時だ。ベルさんはそこまでして誰かの能力を知りたがる様な人じゃ無い。」

 

ベル「あちゃ〜、そんなところまで見てるとは。」

 

すると、それを陰で見ていた京香が現れ、すかさずベルに斬りかかる。

しかし、ベルが腕を鞭の様にしならせると、その攻撃は容易く弾かれる。

 

京香「翔!大丈夫か?」

 

翔「はい。」

 

ベル「最低だね。女の子が一人で来てってお願いしたのに他人に言いふらすなて。」

 

翔「人に成りすましてゴキブリみたいにコソコソ嗅ぎ回るヤツに最低なんて言われる筋合いは無い。それと他人じゃねぇ。京香さんは仲間だ。」

 

ベル「ほんと口悪いね。」

 

翔「お前は顔と性格が悪いな。それと、御託はいいからさっさと名乗れ、正体表せ。」

 

ベル「はぁ…せっかちさんだなぁ。」

 

するとベルの片腕がギロチンの刃の様になる。

 

「八雷神、伏魔。」

 

日万凛「組長!」

 

そこへ他の隊員たちも合流する。

 

伏魔「全員集合か。」

 

すると伏魔は姿を変える。

しかしその姿は、翔達がよく知る人物…山城恋と瓜二つだった。

ただ違う点があるとすれば、肌が褐色で、頭髪ピンク色という点だ。

 

プラチ「総組長…!?」

 

京香「敵だ!八雷神がベルに化けていた!刃を交えたが、そこ知れぬ強さだ!全員用心しろ!」

 

伏魔「潜伏や変装は得意ってだけで、戦闘もできるからね。しかしこんなに早くバレると…腹も立つよ。」

 

そう言って伏魔は、懐から1枚のカードを取り出して頭上に投げる。

そのカードは、現世で空折が醜鬼を召喚する際に使った物だった。

 

京香「醜鬼か!?1匹増えたところで…!」

 

だが、次の瞬間現れたのは、紛れもない怪物だった。

辺りに雷が迸り、カードの中から現れたのは、屈強な体付きをし、背丈は2メートルは超えているであろう人型醜鬼…名を、八雷神 雷煉。

 

雷煉「小賢しい廃れ者どもめ…!我が出て来たら楽には死ねんぞ…!我は八雷神、雷煉。」

 

京香「もう1人の八雷神だと…!?」

 

翔「八雷神が…2人…!」

 

雷煉は伏魔の隣に立ち、翔達と対峙する。

その時、雷煉は天人差し指を向けると、一筋の雷を放った。

それは翔達を捉えるのではなく、桃源郷の出入り口を破壊した。

 

ワルワラ「出入り口を…!」

 

雷煉「これで援軍は呼べぬ。」

 

伏魔「逃げ出すことも出来ないね。じゃあどうやって料理しようかなぁ〜?触手で捕まえて、いじめちゃおうか。」

 

2人はとてつもないプレッシャーを放っていた。

 

しかし、ただ1人は、そのプレッシャーをものともせず、真っ向から敵と対峙していた。

 

翔「ふざけんのも良い加減にしろよ…コソコソするしか脳の無いゴキブリどもが…!!」

 

彼の目には、ベルの容姿を利用され仲間を侮辱された事による、明確で真っ黒な殺意が宿っていた。

 

翔「御託はいいから…早く来いよ。」

 

翔は腰にビルドドライバーを装着し、ボトルをセットする。

 

『ラビット!タンク!』

『ベストマッチ!』

 

ハンドルを回し、準備を整える。

 

『Are you ready?』(準備はいいか?)

 

翔「変身。」

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!!』

 

雷煉「ヤツが紫黒の言う突起戦力か。」

 

伏魔「らしいね。」

 

京香「全員、行くぞ!」

 

こうして、戦いの火蓋が切って落とされた。

誰よりも早く駆け出したのは、当然翔だ。

 

翔「伏魔ァァァ!!」

 

仲間に対する侮辱。それは、翔の逆鱗に触れるには十分過ぎた。

タンクの足で蹴りかかり、防御はされるが伏魔を後方に吹っ飛ばした。

 

伏魔「はっ…!?強っ…!」

 

そしてラビットの足で俊敏に駆け回り、伏魔の刃による攻撃を避けながら、確実に距離を詰めてタンクの足で蹴り飛ばす。

 

雷煉「神罰といくか…!」

 

その時、雷煉が手のひらから火球を放ち、翔に飛ばした。

翔は回避が間に合わず、モロに受ける。

 

京香「翔!」

 

朱々「翔くん!」

 

しかし、煙が晴れると現れたのは

 

『輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェーイ!!』

 

一瞬の判断で防御特化のフォームに変身した翔だった。

翔は一旦後退し、京香達と並ぶ。

 

京香「翔、1人で先走るな!」

 

翔「すいません…けどなんか…イライラするんですよ…!!」

 

翔のあまりのドス黒い怒りに、仲間である京香達でさえ萎縮する。

 

京香「その気持ちは理解できる…だが、お前は怒りで我を失った事を忘れたのか?」

 

そう言われ、翔は現世でプトティラの力を使ってしまった事を思い出す。

 

翔「……そうですね…冷静さが足りませんでした。」

 

京香「分かればいい。行くぞ!」

 

翔「はい。それと、少し戦って分かりました。アイツら、絶対に連携させちゃいけません。能無しの化け物と思ってましたけど、連携が取れてます。」

 

京香「分断する必要があると…」

 

その時、ワルワラが前に出る。

 

ワルワラ「分断なら、お任せを。」

 

京香「一組一殺で行こう。」

 

翔「俺はワルワラお姉ちゃん達につきます。」

 

するとワルワラが能力を行使する。

 

ワルワラ「拝命。」

 

『高遠なる大聖堂』(バンテオン)

 

その時、激しい衝撃波が辺りに放たれ、伏魔と八番組、そして翔は広く立派で、大きな京香の像がある大聖堂にいた。

 

伏魔「雷煉!?」

 

翔「言ったろう。分断するって。」

 

すると伏魔は、突然違和感に苛まれる。

 

伏魔(肌が…焦げる様な…不愉快な感じ…!)

 

ワルワラ「この空間に、お前だけを引き摺り込んだわ。」

 

伏魔「ペンコの能力か…そういえば謎のままだったね。」

 

ワルワラ「詳細を知りたいなら教えてあげる。」

 

ワルワラは、自身の能力を説明し始めた。

 

高遠なる大聖堂(バンテオン)

大聖堂の中に入った者達の京香に対する接し方により、能力が変化する。

 

①賛美

大聖堂内にいる全員が京香を尊敬、または友好的である場合は、京香の像から慈愛の波動を放たれ、聖堂内全員の体力を徐々に回復させる。

 

②説法

大聖堂内に京香を知らない、または懐疑的な者がいた場合は、大聖堂で暴力が禁止され、ワルワラによる京香の良さを述べる1時間の説法が始まる。

 

③聖騎士団

大聖堂内に京香に敵対的な者がいた場合は、その者を屈服させる聖騎士団が創設される。京香を尊敬する者たちの能力は上昇し、ワルワラは敵を咎める奇跡の力を与えられる。

 

④???

③よりもさらに上のフェイズ。口にする事すら恐ろしいもの。

 

ワルワラ「また、聖堂には人数制限があり、『勇敢』『誠実』『優しさ』は美徳とされ、それらを伴う行動は能力が上昇する。」

 

それを聞かされて、伏魔はイライラしていた。

なぜなら

 

伏魔「なに…この…面倒くさい能力!!私の様な潜入型の天敵じゃない!」

 

自分とあまりに相性が悪かったからだ。

 

ワルワラ「誰であろうと京香様を敬っていれば『賛美』になる。今のお前みたいに刃を出して敵対行動に出れば話は別だけど。」

 

翔(ワルワラお姉ちゃん、ここまで能力を明かすのは、『誠実』に該当するからかな。)

 

伏魔「ここに羽前京香が入ればどうなるの?」

 

ワルワラ「京香様は既にそちらに。」

 

ワルワラは伏魔の背後にある京香の像を指差す。

 

伏魔(あの像が代役か。羽前京香本人に依存している能力では無い。)

  「だいたい理解したわ。つまり、あなたを倒せばそれで終わりじゃない。」

 

伏魔は腕を巨大な刃に変化させる。

 

ワルワラ「今の状況は、『聖騎士団結成』。京香様を尊敬する者の能力は上昇し、私には、敵を咎める奇跡の力が与えられる。そしてそれは、翔くんも同様。」

 

翔の手元には、新たなボトルが与えられた。

その見た目は、炭酸飲料の缶だった。

 

翔「ありがとう、ワルワラお姉ちゃん!」

 

翔は缶を振ってプルタブを開ける。

 

シャカシャカシャカシャカ!

プシュー!!

 

そしてベルトにセットする。

 

『ラビットタンクスパークリング!!』

 

ハンドルを回し、ランナーが作られる。

 

『Are you ready?』(準備はいいか?)

 

翔「やってやる。」

 

前後から挟まれてアーマーを纏うと、炭酸が弾け飛んだ。

 

『シュワっと弾ける!!ラビットタンクスパークリング!!イェイイェーイ!!』

 

伏魔「うるさいし…それに、神を前に聖なる力なんて、不遜だよ。」

 

翔「黙れ害虫、雑菌野郎。炭酸で消毒してやるよ…!」

 

翔は足元からシュワシュワと炭酸を弾けさせながら伏魔に向かって歩く。

 

ワルワラ「滅びなさい!」

 

ワルワラが手で払うと、鋭い氷の塊が伏魔に襲いかかる。

 

伏魔(氷…!)

 

両腕を刃に変化させて氷を砕くが、側方からプラチが奇襲を仕掛ける。

それに気づいた伏魔は腕を触手に変化させて伸ばすが、プラチの鞭で止められる。

 

ジェナ「らぁっ!!」

 

そして身動きが取れなくなった所で、ジェナの盾で腹部を殴られる。

 

伏魔「っ…!」

 

プラチ「直撃した!」

 

ジェナ「いや、手応えはイマイチだ。やっぱ神なだけはあるぜ…!」

 

ジェナの盾は僅かに欠けていた。

伏魔は叩きつけられた壁を軽く刃で引っ掻くが、傷がつくだけで破壊はできなかった。

 

伏魔(この壁、壊せない。完全な異空間だ。術者を倒さないと。)

 

その時、ワルワラは鋭い氷の刃を複数放つ。

だが、伏魔はそれを避けず喰らい、体がバラバラになる。

 

ワルワラ「無抵抗…!?」

 

するとバラバラになった体が、体の小さな伏魔に変化し、3体に分裂した。

 

プラチ「分裂した!」

 

分裂した伏魔のうちの一体がワルワラに攻撃を仕掛けるが、ワルワラは避けない。

 

ワルワラ「ここからは、彼に任せる。」

 

そう言った瞬間、伏魔は横から顔面を殴り飛ばされる。

炭酸が弾けるかの如く、勢いよく吹っ飛んだ。

 

翔「雑菌らしく増えたな…消毒のし甲斐があるなぁ!!」

 

3体の伏魔は同時に襲いかかる、一体ずつ顔面を蹴り飛ばされた。

弾け飛ぶ様に、全員が壁に叩きつけられた。

 

伏魔「がはっ…!」

 

そのうち一体の足を掴んで地面に叩きつけ、追い打ちをかける様に顔面を踏みつける。踏みつけた瞬間、足から炭酸が発せられ、弾ける。

その衝撃は、車で追突されたと勘違いするほどだ。

 

伏魔「このぉっ…!!」

 

もう一体も背後から斬りかかるが

 

翔「単調でつまんないんだよ。」

 

カウンターでハイキックを顔に叩き込まれる。

 

伏魔「がっ……!?」

 

最後の一体の伏魔が正面から斬りかかる。

しかし、地面から氷の塊が生え、視界が遮られる。

 

伏魔「こんなもの!!」

 

伏魔は氷を切り裂こうとする。

だが、氷にバキッとヒビが入る。

そして次の瞬間には砕け散る。

 

翔「キンキンに冷えた炭酸、ご馳走してやるよ!!」

 

氷が砕けた瞬間、伏魔の目の前には翔の拳が迫っていた。

その拳が顔面にめり込む。

みるみるうちに伏魔は凍りつき、全身が氷の塊になった。

 

翔「魂まで凍りつけ…!」

 

するとスパークリングの力は時間を迎え、元のラビットタンクに戻る、

 

翔「時間制限があるのか…発現したばかりだから当然か。」

 

その時、氷が砕け、伏魔が翔に斬りかかる。

 

翔「ぐぁっ…!!」

 

伏魔「確かに強かったし痛かったけど、今の私は全力。まだまだ倒せないよ。あっ、ダメ押しを考えたよ。」

 

そう言って、伏魔は姿を変える。

その姿は、翔もワルワラもよく知り、尊敬する人物。

羽前京香、そのものだった。

 

伏魔「こうすると、2人は私を攻撃できない。なんなら、この格好で2人をいじめてあげようか。3Pも悪くないかも。」

 

伏魔は嘲笑う様に言う。

すると聖堂が揺れる。

 

伏魔「何っ…!?コイツ…!」

 

ワルワラ「京香様の姿を勝手に真似て、下卑た発言…!これはもう…聖戦よ!!」

 

④聖戦

京香を侮辱した者がいた場合、その者を滅ぼすための聖戦が勃発する。奇跡の力はさらに向上し、京香の像が敵を討つために動き始める。

 

その時、翔のベルトには変化が起きた。

ベルトの一角に、真っ赤なトリガーが現れた。

 

『ハザードオン!!』

 

『ラビット!タンク!』

『スーパーベストマッチ!!』

 

ハンドルを回す。

 

『ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!』

 

すると前後には、いつものランナーではなく、真っ黒なプレス機の様な物が現れる。

 

『Are you ready?』(準備はいいか?)

 

翔「ぶっ殺す…」

 

前後からプレス機で挟まれる。

 

『チンッ!アンコントロールスイッチ!』

『ブラックハザード!ヤベーイ!』

 

その中から現れたのは、赤と青の複眼以外は真っ黒に染まったビルドだった。

 

伏魔「あはは!賑やかでいいねぇ!聖堂ってよりは遊園地みたい!」

 

しかし、京香の像が刀を抜くと、伏魔の表情が強張る。

 

伏魔(あの刀、危ないな。切られたくない。それに…)

 

翔を一瞥すると、さらに悪寒が走る。

 

伏魔(あっちは…見ただけで分かる。まともに戦っちゃいけない。雷煉と私が連携してトントンくらいだ。)

 

ワルワラ「京香様の刀は、あらゆる悪を切り裂く。」

 

伏魔「その信仰、壊してあげるよ。」

 

伏魔は右腕をドリルに変えて京香の像に向かっていく。

 

伏魔「これからは、八雷神を崇めるんだね!!」

 

意気揚々と攻撃するが、像には傷ひとつつかない。

 

ワルワラ「無駄よ。鍛え上げられた京香様の肉体は、強靭そのもの。」

 

そう言いながら、ワルワラは氷の鳥を作り出し、伏魔に向けて飛ばす。

鳥は伏魔の腹部に直撃し、空中へ上がる。

 

伏魔「このっ…!」

 

氷の鳥を破壊するが、横から京香の像が刀を投げてくる。

しかし伏魔はそれをひらりと避ける。

 

伏魔「残念でーした!」

 

その背後から氷の剣と盾を持ったワルワラが奇襲を仕掛ける。

 

伏魔「その奇襲は読めてるよ。」

 

伏魔は指を鋭い棘に変化させて、背後にいるワルワラに伸ばす。

ワルワラは剣で受け流し、立てて受け止める。

 

伏魔(氷の出力が上がってる。それなら)

 

伏魔は頭上に光の輪を作り出し、雷を放つ。

だが、それを京香像が防ぐ。

 

ワルワラ「京香様は、悪しき者から人々を守る。」

 

伏魔(やれやれ、不得意な飛び道具じゃ倒せないか。)

 

伏魔の頭上の輪がパリパリと音を立てる。

 

伏魔「にしても、羽前京香に入れ込んでるね。私に言わせれば彼女はーー」

 

ワルワラ「邪なる者が京香様を語るなッ!!」

 

すると京香像が刀を振り上げ、伏魔を切る。

 

伏魔(今切ったのはスカスカの分裂体!雷の攻撃時に分離しておいたんだ!)

 

伏魔はワルワラの背後から斬りかかろうとするが、ワルワラは背中から氷の翼を生やす。

そして体を回転させ、鋭い翼で激しく斬りつける。

 

『羽斬氷華』

 

伏魔は勢いよく吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 

伏魔「今のは効いたなぁ。囮がバレてたか。大聖堂内で小細工は無駄だね。」

 

ワルワラ(あの攻撃を受けても…致命傷には至らない…聖戦を発動しても、なお難敵…!)

 

伏魔(ペンコ自体は強くなっても私は倒せない。注意すべきなのはあの像とあっちの黒いの。像の刀には、おそらく概念的な力が宿ってる。そして黒いのは、電源の切れた機械みたいに動かないけど、動き出したら真っ先に注意すべきだ。他の2人は分身がまだ残ってるからそっちで対処できる。けど倒し切れはしない。暗殺しておくべきだったかな。)

 

すると伏魔は懐から1枚のカードを取り出す。

その中に居たのは、傷だらけの本物のベルだった。

 

ワルワラ「月夜野組長…!」

 

すると、翔の手がピクリと動く。

 

伏魔「私はもう味方を所持してない。中身が入ってるカードはこれだけ。カードを壊せば中の体も出てくるよ。」

(向こうが反応した…遠ざかりながら戦うか。)

 

ワルワラ「手札を晒して、『誠実』での能力向上を狙ったわけね。」

 

伏魔「そう…なりふり構わず、倒しに行くって事だよ!!」

 

すると伏魔は外見をワルワラの物に変える。

 

伏魔「外見も、こういうのって気持ち悪くてやりづらいでしょ。」

 

ワルワラは一息つく。

 

ワルワラ「それは1番、乗り越えなくてはいけない相手よ。」

 

伏魔(神の最終極技で終わらせてあげる。)

 

ワルワラ(京香様の目標、一組一殺、何としても成し遂げる。)

 

2人は正面から睨み合う。

 

伏魔・ワルワラ(勝負!!)

 

伏魔は鳥や狐、鹿など動物を作り出し、ワラワラに向けて放つ。

 

伏魔「やっちゃって!」

 

向かってくる動物に向けて、ワルワラは吐息を吐く。

その吐息で、動物は凍りつく。

凍った動物を氷の剣で砕く。

 

ワルワラ「脆い…!時間稼ぎ…!」

 

すると、伏魔はさらに形を変え、一本の巨大な槍になった。

 

伏魔「『神器変化 天沼矛』」

 

その槍を見た瞬間、ワルワラは全身が逆立つ様な感覚に襲われる。

そして槍に変化した伏魔は、ワルワラに向けて高速で飛んでいく。

だが、京香像がなんとか防ぐ。

しかしそのあまりの威力で、京香像にヒビが入る。

 

ワルワラ(恐るべき矛…!でも、京香様は絶対負けない!)

 

京香像は伏魔を掴んで放り投げる。

その時、伏魔は軌道を変え、翔に向かって行った。

 

ワルワラ「っ!翔くん!!」

 

伏魔「危険要素は刈り取らせてもらうよ!!」

 

翔の首元めがけて、一直線で飛んでいく。

だが

 

翔「……!」

 

伏魔「ごはっ…!?」

 

翔に傷をつけることすらできないまま、伏魔は地面に殴りつけられた。

 

伏魔(な、に…?この反応速度は…!?人間のそれじゃない…!)

 

翔は伏魔を見下ろす。

その翔の目は、あまりに黒く、酷く冷たく、恐ろしい程に虚無だった。

ただ1つあるとするなら、それは殺意か、怒りのみ。

伏魔は生まれて初めて感じるほどの恐怖に襲われ、すぐに離れる。

 

伏魔「チッ…!しぶとい像と化け物が!!」

 

伏魔は離れるが、ついに翔が歩み始める。

何も言わず、ただ伏魔を見据えながら歩く。

 

ワルワラ「好機!」

 

ワルワラは伏魔がダメージを受けた隙を逃さず、氷の剣を伸ばして伏魔の腹を貫く。そして壁に叩きつけ、体を凍り付かせることで拘束する。

 

伏魔「忌々しい!!」

 

ワルワラ「これで終わりよ!」

 

伏魔「どこが終わり?大技の後の隙は突かれたけどざ、こんな氷…私の全力なら!!」

 

伏魔は雷で氷を砕こうとするが、砕くことができなかった。

 

伏魔(砕けない!?)

 

ワルワラ(私の全てを出しきる!!京香様、私に力を!!)

 

そう祈ると、すでに限界間近の京香像が立ち上がる。

 

伏魔(チッ!分裂体!すぐ戻れ!)

 

伏魔は思念伝達で分裂体にそう伝える。

 

ジェナ「やべっ…!」

 

プラチ「しまった!」

 

分裂体は道すがら翔を始末しようとする。

 

伏魔(やめろ!そいつにはーー)

 

伏魔が伝え終わる前に、それは起こった。

 

翔「……!!!」

 

真っ黒なオーラを纏った翔の拳が、分裂体に打ち込まれた。

痛みを感じる間もなく、分裂体は気絶する。

しかしそれでは終わらない。

 

翔「…!…!!」

 

2体の分裂体の頭を掴み、何度も地面に打ちつける。

分裂体は、もはや原型を保っていなかった。

気が済むと、翔は分裂体の頭を踏み潰しながらそこから歩き去る。

 

伏魔(ふざけるなふざけるな!!なんだあの強さは…!?あのデタラメな強さは!!紫黒姉から聞いていたのとは天と地の差じゃないか!!)

 

翔の理不尽なまでの強さに、伏魔は怒っていた。

そして全身から鋭い触手を伸ばし、ワルワラはそれを氷で防ごうとするが、氷は砕けてワルワラは攻撃を受ける。

だが、止まらない。決して臆する事はなかった。

 

ワルワラ「一組一殺…それが、私の使命!!」

 

その執念に、伏魔はゾッとする。

 

伏魔「この…!異常者どもがぁぁぁ!!」

 

京香像が刀を振り下ろすが、その刀は伏魔の最後の抵抗で砕けてしまう。

しかし、京香像は刀が無くなると拳で伏魔を地面に叩きつけた。

 

伏魔「がぅっ…!?」

 

そして運悪く、叩きつけられた場所には

 

翔「………」

 

間違いなく、今この世で伏魔を最も憎んで居るであろう翔が居た。

 

翔「…ッ!!!」

 

伏魔「は、離せ…!」

 

翔は伏魔の首を掴み上げる。

ベルトのトリガーのボタンを押し、ハンドルを回す。

 

『マックス!ハザードオン!』

『ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!』

そして黒いオーラを纏わせて拳を握りしめる。

 

伏魔「や、やめーー」

 

もはや今の翔に、言葉など無かった。

翔は拳を振りかぶり、ありとあらゆる感情を乗せて伏魔の顔を殴った。

そして伏魔が後ろに吹き飛ぶと、地面に落ちる前に追い打ちをかけて殴る。それを何度も繰り返し、頭、鳩尾(みぞおち)、脇腹など、急所を的確に殴って蹴った、

地面に拳で叩きつけては蹴り飛ばし、叩きつけては蹴り飛ばしを繰り返す。

 

ワルワラ「翔くん…もう、やめて…!もういいの…!」

 

翔はあまりの残虐さに見ていられずそう止める。

だが、翔はワルワラの言葉にすら聞く耳を持たない。

 

伏魔「あ…が…」

 

伏魔は、もはや言葉を発することもできなかった。

翔は伏魔の髪を掴んで無理やり立ち上がらせ、執拗に腹を殴る。

再びトリガーのボタンを押し、ハンドルを回す。

そして何度も殴ると、頭から青黒い電流を流し、伏魔の動きを封じる。

 

『マックス!ハザードオン!』

『ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!』

 

そして何度も殴ると、頭から青黒い電流を流し、伏魔の動きを封じる。

 

伏魔「がっ…ぐぁ…!」

 

『Ready…GO!!』

『ハザード!フィニッシュ!!』

 

翔は動けない伏魔の首に、正面から蹴りを入れる。

 

伏魔「ごはぁっ…!」

 

それを受け、伏魔は跡形もなく消え去った。

それを見ていたワルワラは、やるせない気持ちが拭えなかった。

翔は足元に落ちたベルが入ったカードを拾い、ワルワラに手渡す。

その際、ワルワラと手が触れると、翔の能力と呼応し、水色のナックル型の武器とボトルが現れた。

 

ワルワラ「翔くん……?」

 

翔「……」

 

しかし、やはり何も言わなかった。

翔は水色のナックル型の武器とボトルを拾い上げる。

翔は壁に近づくと、黒いオーラを拳に纏わせて壁を殴りつけた。

すると、伏魔でさえ壊さなかったワルワラが作り出した空間の壁を破壊した。

翔は壁に開けた穴から、外へと出た。

何も言わず、ひたすら敵を憎みながら。

 

ワルワラ(聖堂の状況が賛美になった…癒しの波動で、私達は徐々に回復する。一組一殺を成し遂げて…生き延びた。月夜野、組長…翔…くん…)

 

ワルワラは、翔が渡したカードを離さぬように握りしめた。

 

 

 

 

 








いやぁ〜…頑張って書きました。
戦闘の結末を別の話まで持ち越すと、読んでる側はモヤモヤと思って1話で一個の戦闘を終わらせました。
ハザードの残虐さは、描いてて楽しかったですね。
あそこまでの残虐さを描く事は無かったので。
とりあえず今回はここまでです。
来月1日から就職なので、書ける時間が少なくなると思いますが、是非とも気長に待っていただきたいです。
今回も読んでくださって、ありがとうございます!


出して欲しいライダー、またはもっと登場させて欲しいライダーは?(平成ライダー編)

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