※この作品はR-18です。

Muv-Luv SOVIET DECISION   作:@Kaltzaf

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第112親衛戦術機甲師団 ノヴゴロド連隊

日本の北方、北極圏より少し下の東シベリアはかつての純白に覆われた永久凍土など忘却の彼方であり

彼の眼前……正確には機体に備え付けられた各種センサーを通して網膜に映し出されたその光景は、死屍累々の具現化であった

彼の操縦する戦術機、Su-27SMの右手にはA-97突撃砲が保持され、左手には大型のシールドが握られていた

周辺にも装備の差はあれど、同型のジュラーヴリクが何機か存在している

 

「リサ1-2、突撃砲の残弾無し。推進剤も残り僅か」

 

「リサ1-3、1-4も同じく。既に継戦能力は尽きています、同志少佐」

 

「わかっている。任務は既に達成された。中隊はこれより第3271基地に帰還する」

 

彼の足元には、ひしゃげて血溜まりに倒れた緑の肉塊……光線級吶喊(レーザーヤークト)の末に撃破された光線(レーザー)級BETAだったものがあった

気持ち悪いほど肥大化した目に、皺が刻まれた翡翠色の鶏の胴体が生えた様な見た目のそれは、人類の航空優勢を完全に破壊し、喀什でのBETA封じ込めを失敗させた主要因でもあった

だからこそ彼ら、第112親衛戦術機甲師団 ノヴゴロド連隊А大隊はBETA群を100kmも突破して後方の光線級を殲滅し、人類の航空優勢を一時的に奪還したのだ

その影響もあり、前線では新鋭の攻撃ヘリMi-28などを主軸にした航空兵力がBETA群の侵攻を抑えることができていた

 

「噴射地表面滑走(サーフェイシング)で帰還する。撃破された機体から使えそうな武器を拝借しろ」

 

彼はそう言って自身のボロ切れの様なシールドを捨てると、撃破された友軍機……この中隊の半数を構成していたMiG-21Bis バラライカの残骸から、ほぼ無傷のシールドと交換した

彼の中隊は定数12機で構成されたはいたものの、その実半数は第1世代であるMiG-21であり、いまやそれも1機を残すところとなっていた

目の前のMiG-21は要撃(グラップラー)級の打撃を受け、管制ユニットを潰されていた。第1世代の機動性に劣る戦術機にとって、要撃級の攻撃は脅威的だ

彼は残骸を一瞥して方角を確認すると短く「中隊、続け」と言って、戦術機の腰部から伸びる跳躍ユニットを稼働させ、まるでアイススケートの様に地表面を滑走していく

永久凍土の純白とBETAの血痕の織りなすシベリアの地平線は、何処までも変わる事なく続いている

 

「ところで同志少佐。今年中にインド亜大陸でハイブ攻略作戦があるという噂はご存知ですか」

 

「インドとなればボパールハイブか。78年のミンスクと同じ轍は踏みたくない」

 

「同意見です。そう、2度目の人類反抗作戦ということもあって、各国軍から部隊が掻き集められる様で。ニッポンも部隊を抽出するらしく、もしかしたら我々極東ソ連軍にも召集がかかるとか」

 

部下のその言葉に、少佐は少し息を呑む。彼はあの部隊(ヴォールク連隊)が戻って来なかった事を、文章でのみ知っている。27個戦術機小隊が全滅した、あの恐ろしい非人工的な地獄を

彼は自ら死地に飛び入るほど愚かではなく、だが目前の使命から逃げ出すほど腰抜けではなかった。ただやれる事をやり……そして

 

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