無表情天才美少女魔術師がメチャクチャギタギタに快楽を押し付けられる話。 作:ふぁふわ
「……私が戦う。巻き込んだのは悪いけど、死にたくなかったら下がってて」
少女の静かな声が酒場に響き、田中は慌てて机の陰に隠れようとした。木の机が軋む音が耳に残り、心臓の鼓動が喉元まで上がってくる。
「セリスちゃん。援護するよ」
リリアが弓を構えるとセリスは無表情に頷いた。弓弦のきしむ音が、緊張した空気をさらに煽る。
その瞬間、酒場のドアが蹴破られた。木片が飛び散り、黒ローブの男たちがなだれ込んでくる。埃と汗の臭いが部屋に広がり、剣の金属音が耳を刺す中、待ち構えていたセリスが一歩前に出て、杖を軽く振った。
「……《
》……」
業火が影の使徒の一人を瞬時に焼き尽くし、骨まで消し炭にした。残りの男たちが驚愕の声を上げ、焦げた肉の臭いが鼻を突く。いとも容易く行われた焼殺に、田中も驚きの声を上げた。
「セリスだ! 本物だぞ!」
「ひぃぃ! 死んだ!?」
「魔法を奪え! 殺すな、生け捕りにしろ!」
男たちの叫びが響く中、リリアが矢を放つ。一本がローブの男の眉間に突き刺さり、即死した。血しぶきが床に飛び散り、湿った音を立てる。
「ヒェッ!? 物騒過ぎるぞこの世界!?」
だが敵の数は多く、次々と殺到してくる。セリスの魔術は強力だが、一度に全員を相手にするのは難しそうだった。田中は机の陰で震えていたが、こんな状況で黙って見ているのは彼にとって我慢ならなかった。汗が背中を伝い、田中の息が荒くなる。
「ちくしょう! 俺だって……俺だって何かできるはずだろ! 異世界に来たんだからさ!」
田中が叫びながら立ち上がった瞬間、彼の手が奇妙に光り始めた。青白い輝きが部屋を照らし、肌にチリチリとした熱が伝わる。
「なに!? 何だこの光!?」
セリスは無表情ながら少し目を見開いて田中を見た。杖の光が一瞬揺らぎ、魔力がざわつく。
「……その力……」
その時、炎の鎖を突破した影の使徒の一人が部屋に飛び込んできた。剣を振り上げリリアに襲いかかる。田中は反射的に動いた。空気を切り裂く剣の風圧が顔をかすめる。
「うおおおおお!」
田中の手が一際強く輝く。影の使徒が気を取られる中、酒場の主人が後ろからフライパンで使徒を殴った。頭蓋骨の響く衝撃音が部屋にこだまし、使徒は鈍い音と共に倒れ込んだ。
「え、俺、やった?」
息を切らしながら見下ろす田中に、リリアが驚きながら笑いかける。
「やるじゃない、田中さん!」
セリスは杖を下ろし、静かに呟いた。額の汗が一筋流れ、瞳の蒼い光がわずかに強まる。
「……やっぱり、
外では残りの影の使徒が混乱し始めていた。
「三人やられたぞ! 臆するな、囲め!」
セリスの魔術とリリアの弓、そして田中の突然の覚醒に押され、影の使徒が次第に数を減らしていく。田中は光る右手を握り直し、震える足を抑えて叫んだ。
「俺だってやれるんだよ! 見とけよ、お前ら!」
その言葉にリリアがニコリと笑い、セリスが小さく頷いた。部屋の空気はまだ熱く、戦いの余韻が肌に残る。
戦いはまだ終わらないが、田中の覚醒で形勢は逆転しつつあった。冴えないオッサンが、異世界で初めて輝く瞬間だった。
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初めての戦闘で田中の息は上がり、心臓はバクバクしていたが、なぜか体が動く。アドレナリンが彼の冴えないオッサン人生を塗り替えているようだった。汗が額を伝い、右手の熱が脈打つ。
「うおおお! くらえっ!」
田中が右手を光らせると、影の使徒の一人が気を取られ、リリアに射殺された。右手に浮かぶ青い紋様が光を放ち、ただの右手とは思えない力を見せつける。空気を震わせる眩い輝きが部屋を青く染めた。
リリアがその隙に矢を放ち、もう一人を仕留めた。間隙を縫い、セリスが杖を軽く振って新たな魔術を放つ。
「……《風刃の舞》」
彼女の詠唱と共に部屋に鋭い風の刃が渦巻き、影の使徒たちの首が飛んだ。青いショートカットの髪が風に揺れ、無表情ながらもその瞳に戦いの意志が宿る。風の余波がセリスの肌を撫でる中、使徒たちの血飛沫が床に散った。
だが敵の数はまだ多く、足音が途絶えない。セリスの魔術は強力だが、連続で使うには限界があった。彼女の額に汗が浮かび、魔術の勢いが徐々に落ちていく。
リリアも矢筒の矢が残りわずかになり、目に見えて焦りの色が濃くなった。弓弦の緊張が手に伝わり、暗雲が立ち込める。
「おい、セリス! まだやれるか?」
「……限界が近い。でも、やるしかない」
セリスが静かに答えると、田中は歯を食いしばった。右手の光が脈打ち、熱が体を駆け巡る。
「俺だって……何かできるだろ! この右手だけじゃねぇはずだ!」
(頼む、もっと何か出てくれ! 俺だって役に立ちたいんだよ!)
その瞬間、右手の血管が再び脈打ち、骨の奥に熱が灯る。次の瞬間、田中の掌が青白く発光した。飛び込んできた影の使徒の一人が黒い霧のような魔術を放とうとした瞬間、田中が右手をかかげると、男が混乱した声を上げた。
「何!? 手が光っている!?」
そうしている間に使徒の魔術は成功した。黒い霧が床を這い、灯火が鈍い緑色に染まる。空気ごと魔力が吸われ、セリスの魔力がみるみる抜けていく。霧の冷たい湿気が肌を這い、息苦しさが広がっていった。
「……あれ、魔術が、使えない?」
セリスが絶望の表情で小さく呟いた。杖の光が弱まり、瞳の蒼が曇る。次々と使徒達が乱入し、形勢が一気に傾いた。
リリアは使徒の一人に後ろから首を絞められ、失禁して昏倒した。田中は使徒の一人から窒息魔術を至近距離で受け、酸欠で気絶した。
「……まだ、諦めない」
セリスは震える手で杖を持ち直し、残り少ない魔力を練り直す。しかし一人の使徒が接近し、セリスは強い力で腕ごと抱きかかえられた。男の息が耳元で熱く通り過ぎ、セリスが顔を歪める。
「へへ、セリスを捕まえたぞ!」
「……っ!」
田中とリリアは昏倒。セリスは魔力を封じられて使徒に捕らえられ、風前の灯だった。使徒のリーダーがセリスの胸元を掴み強引に顔を引き上げた。
「小娘、よくも仲間達をやってくれたな。お前の魔法を根こそぎ奪ってやるぜ」
「……私は、負けない」
セリスが小さく呟くと、リーダーが不敵に笑った。
「その負けん気、どこまで持つかな?」
リーダーが顎をしゃくると、部下の使徒達が三人を馬車に積み込んだ。作業の最中、荷台に乗せられ動かない田中を見て、使徒の一人がぼそりと漏らす。
「あの光……まさか、伝承の……」
馬の蹄の音が遠ざかり、酒場に静寂が訪れた。