翌日。運命は真新しい制服に着替えると、そのまま入学式として体育館へと向かった。そこでそこはかとなく長い校長の話を聞いた。何を食べたらあんなに長く話す事が出来るのか、不思議に思いつつ入学式を終えた彼はそのまま自分のクラスへと向かった。
事前にクラス分けの紙と簡易地図を受け取っていたので、迷わずに彼は教室へと入る事ができた。そこは一年丑組、これから一年間を過ごす場所だ。女子が少し多いクラスらしい。
「あ、やっぱり同じクラスなんだね。よろしく運命」
「そうみたいだ、よろしく新太郎」
隣席になった新太郎と挨拶を交わしつつ、彼は周りを観察した。
ほー、女子の顔が結構良い。スタイルはよりけりだが少なくとも全員整っているな。それに比べて男子の容姿はバラバラだ。ふくよかな者もいれば、骨が浮き出てそうな者までいる。女子に対しては容姿選考でもしてるのか、随分不思議な学校だ。
「結構女子の顔良いよね。運命はもう目星を付けた?」
「?いや、特には付けていない」
「そうなの?目星を付けるなら早めにした方がいいよ。じゃないと取られちゃうからね」
「取られる…?」
新太郎は何を言っているんだろう?まるで女子の事を物みたいに発言している。
そんな事を運命が考えていたらここの担任教師がやってきた。
「はい皆さん、おはようございます。一年丑組担任の佳奈です。今日から一年間貴方達をお世話しますので、顔を覚えておく様に」
「塚系だ」
「塚系だね」
「でも胸が凄い」
「でっかいね」
思わず口にして運命と新太郎は頷きあった。先程の疑問なんて記憶の彼方に飛んでいってしまっていた。そんな、疑問を飛ばした彼女、佳奈はオリエンテーションガイダンスとして一般科目と専門科目を説明していた。
「当学園では先ず、一般科目と専門科目があります。一般科目は説明しなくても分かると思うので割愛しますが、専門科目は違います。専門科目では主に身体強化訓練、サバイバル基本、迷宮概論、測図学や探索術、格闘術など多岐に渡っています。これらを履修して貰います」
「???」
彼女の言っている言葉に運命はさっぱりわからなかった。まるで急にファンタジー世界に来てしまった様な錯覚に陥っていた。例えるならそう、現代ダンジョン物に突然迷い込んだ転生者である。
いつの間に俺はこんなファンタジックな世界に迷い込んでしまったんだろうか?校長の話が長過ぎたからか?それとも学生街でファンタジーを感じたからか?まさかここの推薦状を貰った時からか?
そんな風に運命は途方に暮れたのだった。
ーーー
キンコーン
録音ではなく本物の鐘の音が校内に響くと同時に彼は意識を現実へと戻した。今の今まで脳内では与党と野党が侃侃諤諤と鍔迫り合いをしていたが、堂々巡りになっていた為一時閉廷解散させて思考をクリアにした。後で不信任決議案を提出されそうだが無視して置こう。
「ね、運命。目星付いた?」
「ん?あー…彼女達とか?」
実は特に目星なんて付けてないなんて事を隠す為に運命は適当に女子二人組を指差した。ものの見事に2人とも顔が整っていて胸も大きい良物件なのだが、果たしてこの行為に意味はあるのだろうかと運命は考えた。
「おー、最初から2人とか結構運命も良い趣味してるね。じゃあ僕はあの子かなぁ」
「新太郎、このー「私達をお呼びかな?えっと…運命くん?」
行為に意味はあるのかと言おうとした運命の言葉を遮って話しかけた声に振り返れば、そこには先程適当に目星としていた2人の女子が立っていた。どちらも顔が整っており、いわゆるオッパイのついたイケメンという顔付きだ。
「あー…えっと…新太郎」
「なに?ああ2人とも来てくれたんだね。新太郎です、これからよろしく」
「千早だよ。これからよろしく運命君、新太郎君」
「千草だぜ。これからよろしく運命、新太郎」
「…運命です。これからよろしく千早、千草」
そうしてなし崩し的に挨拶が終わった所へ、新太郎が目を付けていた女子も運命達の所へとやってきていた。随分と元気な子なのか駆け寄って来ていた。
「呼ばれて飛び出でジャジャジャジャーン!優だよ!よろしくね!」
「や、よろしく優ちゃん」
「なんか軽いなぁ!でもいっか!新太郎君よろしくね!!運命君も!!」
「あぁ、よろしく優さん」
見た目と変わらず元気印な女子だった。