【完結】「ラッキースケベ?いいや、これは運命だった」〜転移してきたユウカと二人暮らし〜 作:春画屋@二次創作R18
[終-前](8)約7000字
[終-後](9)約11000字
[エピローグ](10)約5000字 ←ここ
あれから一ヶ月ほど経っただろうか。
「
「うーん……ごめん」
ユウカが帰ってしまい、夏休みが終わり、新学期になって僕を待っていたのは、いわゆるモテ期だった。
実際に告白してきたのが二人、しようと思ったけどやめたというのが一人。同じグループ内で「篠原くん、いいよね」で盛り上がった結果、何人かが実行に移した、ということらしい。大人っぽくなった、余裕がある、というのが主な理由だという。でもそれは、僕がというよりは、彼女持ち、あるいは彼女がいたことがある奴、全般が言われていたことらしいので、モテると言ってもそのレベルの話なんだろう。
何にしても、いかにも学校生活の延長として彼氏が欲しい、といった感じの彼女たちと話が合うとは思えなかった。自分も相手も傷だらけにしてしまう——そう思っていても止められなかった、僕とユウカの激しい恋愛と比較してはいけないんだろうけど。案の定というか、僕に断られても「やっぱりダメだったー」ぐらいのノリだったそうだから、正解なんだろう。
それでも、高校を卒業するまでには一人と付き合った。隣のクラスの子で、一緒に受験勉強をするようになったのがきっかけだった。でもそれも、別々の大学に進学するのを理由に卒業と同時に別れてしまった。お互い、それは分かった上で付き合っていたようなところもあったので、あっさりしたものだった。
で、大学の入学式を終えて、このキャンパスにいる。
「チラシはたくさんもらったけど、サークルっていうのもなあ。就職に備えてスキルも身につけたいし、バイトか、出来ればインターン……」
大学では、神話学や民俗学をやろうと思っている。キヴォトスが実在するのは知っているし、どんな場所なのかも何となく知っている。その知識を
でも一番知りたいのは、結局キヴォトスのことなのかも知れない。普通の人間が行くことは不可能だとしても、そうすることでユウカのいる場所に少しは近づけるかも知れない——無意識の内にそう思っている気がする。
……いや、もうユウカへの激しい想いは消えてしまった。恋人としてのユウカは、もう忘れてしまったはずだ。あるのは、キヴォトスから転移してきた女の子と、その子と過ごした日常……それだけだ……。
——何だか、自分に言い聞かせて
「篠原くん?」
不意に、自分の名前を呼ばれて振り向いた。入学したばかりで、僕を知っている人なんていないはずなのに、誰なのか疑問に思った。そこには……
「——ユウカ⁉︎」
「マモルくん!」
そこにいたのは、まぎれもなく二年前にキヴォトスに帰ったはずのユウカだった。その横に、すらっとした長髪の美人がもう一人。ユウカはあどけなさが消え、大人っぽくなっていた。落ち着いた雰囲気や服装は、二人ともいかにも女子大生といった感じだ。
「ユウカ、また、こっちに来ちゃったの⁉︎」
「今度はあなたに迷惑かけたりしないわよ。アルバイトをしてお金を稼いで自活して、ノアと二人で暮らすんだから」
「ノア?」
ユウカの隣にいた女性が、すっと前に出てお辞儀する。
「
「生塩ノアさん……って、セミナーの?」
「はい。キヴォトスでは、ミレニアムサイエンススクールのセミナーで書記をやらせて頂いてました」
そうだ。誰かに似ていると思ったら、ブルーアーカイブに出てくる『生塩ノア』にそっくりなんだ。そっくり……というのは、ぱっと見は普通の日本人にしか見えず、ブルーアーカイブのキャラと同じには見えないからだ。髪の色も銀ではなく自然な色だし、頭上のヘイローもない。
「実は、キヴォトスに帰ってきてから、ユウカちゃんがずっと沈んだままで。みんなには見せないようにしてたんですが、いつも
「ちょ、ちょっとノア! その話はしないって!」
「マモルさんにならいいじゃないですか♪ ……あらあら。そんなに恥ずかしいんですか? では、それは置いておきましょう。とにかく、何とかしてあなたにまた会いたいと。それを先生に相談したところ、「私がいた時と同じ形で良ければ日本に行けるよ」、と」
「同じ形でって……」
それは、先生がこちらの世界——おそらく日本——にいた時と同じ姿ということだろうか。キヴォトスではなく、こちらの世界の物理法則にしたがった姿だとすれば、つまりユウカたちは——
「今度はずっといられるってこと? 前みたいに、いつか帰らなきゃいけない、とかじゃなくて……」
「そうよ。ほら、ヘイローも隠しているわけじゃないのよ?」
「基本的には、一般的な日本人と同じ体ですね。先生は、あなたには「転移じゃなく転生だよ」と言えば分かると言っていましたが」
「あ、ああ。もちろんです。でも、戸籍とかは?」
「その辺も、先生がこちらにあるご実家の方に頼んでくださって」
「そ、そうなんですか」
転移じゃなく転生? 先生の実家? どうやっているのか全く分からないけど、確かに可能なんだろう。でも……。これは夢か? 現実か? 信じられない。こんなことが……。またユウカに会えるなんて……。
「言っておくけど、ちゃんとミレニアムは卒業してから来たのよ? あなたと同じこの大学に合格して、ノアは文学部、私は経済学部」
「じゃあ、本当にこっちで生活するつもりで?」
「そうよ。あなたに会いたいってだけで来たんじゃないんだから。先生にもそう言われてるわ。これ、キヴォトスには戻れない一方通行なの。だから行く以上は、何があってもあなたには迷惑をかけないよう、自立しなさいってね。ちゃんとこっちで就職して、結婚して、家庭を持つつもりなの。あっ、でもこの大学を受けたのはあなたに会うためよ? そ、それぐらい、いいわよね? だって……その、私は、あなたの……ね? それに、け、結婚とかも……」
「…………」
僕があっけに取られていると、それで何か勘違いしたのだろうか、えへへ、と照れたように笑っていたユウカがハッとして、
「も、もしかして、マモルくん、彼女とかいる……?」
「え?」
いやいやいや、ちょっと待って。何でそこで、「今気付きました」みたいな顔するの。何で「思いつきもしなかったんだけど、どうしよう」みたいな顔をするの。相変わらず、大事なところでポンコツか。彼女なんて今はいないから、問題ないんだけど?
とは言え、つい最近まではいましたとは言いづらい。ユウカの場合、安心するのと同時に、「以前はいた」ってだけで十分凹む。絶対凹むんだから、この子。しかもどう見ても凹んでるのに、「べっ、別に気にしてないわよ!」とか言うんだから。ああっ、もう、完全に言うタイミングを逃した!
「そ、そうよね。私があんなに、私が帰った後はちゃんと彼女を作りなさいよって言ったんだから。わ、私は私でいい相手を見つけて、邪魔はしないからっ」
「いや、ユウカ。勝手に話を進めないで……」
「ふふっ。マモルさんが返答に困っているのは、「今の時点では」いない、ということでしょうか? 先のことは分からない、と」
「えっ? あっ、そうです。
生塩さんが聞いてきたので、これ幸いと乗っかることにした。「今はいない」ってことは、「これから」彼女が出来るかも知れないし、「過去には」いてもおかしくないもんな。もちろん過去の話なんてしないけど、嘘は言ってない——
「つまり、「これから」マモルさんと仲良くなったら、将来的には、私がマモルさんとお付き合いする可能性もあり、ということですね?」
「は⁉︎」
「会ってみたら、ユウカちゃんに聞いていた以上に素敵な方ですし♪」
いやいやいやいや、お付き合いなんて、しませんよ⁉︎ 助け舟かと思いきや、生塩さんは生塩さんで、とんでもない話をぶっ込んできた。僕と誰が付き合うって? ダメだ、早く話をまとめないと!
「ちょ、ちょっと、ノア! ダメよ、絶対ダメ! マモルくんは私の……も、ものではないけど、えーと……」
「でもユウカ、他にいい人見つけるんでしょ? さっき、そう言ってたじゃない」
「そ、それは、あなたにもう彼女がいるなら、しょうがない……」
「いるなんて言ってないでしょ? だから、いいよね? 僕と付き合って。ユウカ」
「え、え、あ、えっと」
ぷしゅーと音がしそうな雰囲気で、ユウカは顔を真っ赤にした。こういうところも変わらないなぁ。
「よ、よろしくお願いしま……す……」
「こちらこそ」
二人になってから、生塩さん(いきなりノアと呼び捨てにするのは、やっぱり抵抗がある)が耳打ちするようにこっそりと話しかけてきた。
「もしかして、「過去には」彼女、いました? 私と先生から、ユウカちゃんにはその辺の可能性は言っておいたんですが、あなたと再会できて舞い上がっちゃったみたいで……」
「ああ、それで。今いないんだから、言っちゃってもいいかとは思ったんですけど、あの様子じゃねえ。生塩さんの話だって、本気なわけないのに……いや、あれは僕もビックリしましたが」
「あら? 何のことでしょう? もしかして、私とあなたが付き合うかも……というお話のことでしょうか?」
「いや、付き合うかもって」
「あれは本気ですよ? もしユウカちゃんとうまくいかなかった場合……まだ、私にもチャンスあり、ということですよね?」
「は⁉︎ いやいやいや、そんなことは……」
「ふふっ、冗談です♪」
「で、ですよね……」
こ、この人、どこまで本気なんだ……。
「今後、ユウカちゃんともども、よろしくお願いします。何だか楽しくなってきました♪」
「僕は、一気に不安になってきました……」
この振り回される感じ、どこか
でも、ユウカはちゃんと分かってるんだろうか。キヴォトスから転移してきて、いつか帰るのが決まっていたあの時とは別の困難があるのに。ユウカがただの日本人になったということは、僕たちには他の相手を選ぶという選択肢がある。あの時の、ある程度閉ざされた二人だけの世界とは違う。それに、僕たちはもう子供じゃない。
と、ユウカが戻ってきた。
「それじゃあ二人とも、お昼にしましょう。この辺の美味しいお店、チェックしてあるのよ。ここと、ここと……な、何? いきなり頭をなでて!」
「いや、またユウカに会えたんだなって、改めて実感して」
——関係ないな。本人を目の前にすれば分かる。また会えて、これからはずっと一緒にいられる。それがこんなにも嬉しい。
一緒にいる限り、この気持ちは変わらないだろう。僕がユウカ以外の子に目を向けるなんて、あり得ない。その代わり、もう離れない。ずっとそばにいる。
突然、強い風が吹いた。ユウカと生塩さんは二人ともとっさにスカートを押さえ……たけど、今回も見えてしまった。ふわりとスカートが浮いて、ユウカの生の太ももと、黒いタイツに包まれた生塩さんのすらっとした足が目に飛び込んでくる。そして、もちろんそれだけじゃなく……。これ、あの時と同じだなぁ。
「み、見た⁉︎」
「見ちゃった。ユウカは薄いピンクの可愛いやつ。今度こそ、目立たない色にしておけば良かったのに」
「私のはどうでした? タイツ越しでは、分かりにくかったかも知れませんが」
「薄い紫かな。レースの上品なやつ」
「正解です♪」
ユウカが鬼の形相(我ながら的確な表現だと思う)で近づいてきた。
「……えっと、どこに怒ってる?」
「私のだけじゃなく、しっかりノアの下着まで見てるところよっ!」
「あ、そっちか。ユウカのを見ちゃったからじゃなく」
「そっちか、じゃないわよ! もう、私が彼女なんだからね!」
「あらあら。ユウカちゃん、早速ヤキモチなんて、やっぱり可愛いですね♪」
そうだ、そうだった。僕がどんなに一途だろうと、確実に直面する困難があった。これからは、ユウカが遠慮なく周りの子に
ふと、生塩さんと目が合った。ニコニコ笑っている。ものすごく楽しそうにしている。ああ、あれは、からかう気満々だな。僕とユウカと、どっちをからかう気なのか知らないけど(やっぱり両方か?)。これは苦労しそうだ。のんきなことは言ってられないかも……?
「お昼を食べたら、科目登録よ! 一般教養の科目の情報も
「流石ユウカ、頼りになる!」
「ふふっ、もっと褒めてもいいのよ?」
「あらあら、ユウカちゃん。マモルさんにいいところを見せようとして張り切っちゃって、可愛いですね〜♪」
「そっ、そんなんじゃない……わよ? ま、まあ、少しは……それも、なくはない……かも、だけど」
「どっちだよ!」
他人が聞いたら笑っちゃいそうな、エッチな再会、そして出会い。新しく一人を加えてにぎやかになって、僕たちの新しい生活が始まる。今度は、終わりなんて決まっていない生活が——
—— 完 ——
これにて完結です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また、高評価、多数のお気に入り登録をいただき、感謝しております。
かなり、やりたいようにやってしまったので、いろいろ読んでる方にストレスかけたり、誤解させたりしてないか心配したんですが(4〜6話の展開とか、伏線の多さとか、その他も)、最後までついてきてくれた方に感謝です。その上で、作者がやりたかった事と好みが重なってる方が少しでもいたら嬉しいです。
その内、活動報告を書くと思いますので、興味ある方はどうぞ。
今後の参考にしますので、読了報告も兼ねて、アンケートをどれか押していただけるとありがたいです。
それでは。
この連載を読み始めたきっかけは何ですか? 迷ったらその他で。
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とにかくR18だから
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ブルアカ二次小説だから
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キャラ(ユウカ)が好きだから
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設定に興味があったから
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ラブコメが好きだから
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作者の他作品を知っているから
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ランキング等で見かけたから
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上記から複数(2〜4)
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上記から複数(5〜7)
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その他