【完結】「ラッキースケベ?いいや、これは運命だった」〜転移してきたユウカと二人暮らし〜 作:春画屋@二次創作R18
夕飯が終わり、僕とユウカはブルーアーカイブというゲームとキヴォトスの関係を調べていた。たいした収穫はなかったんだけど……
「そうね。やっぱりあなたに見せてもらった映画とか特撮に似てるみたい。「東京」や「日本」に、巨大な怪獣、宇宙人のヒーロー、改造人間のヒーロー、そういう非現実的な存在が「いたとして」描かれる物語や創作。「ブルーアーカイブ」もそれと同じ、「キヴォトス」にゲマトリアとか無名の司祭……だったかしら? そういうものが「いたとして」成立する
「荒唐無稽って、そんなに?」
「治安が悪いとは言っても、キヴォトスは基本的に平和だもの。ヘイローが破壊されるような物騒な話は聞いたこともないし、ある意味この世界より平和かも」
「ゲームみたいに、連邦生徒会長が失踪したとしても?」
「そっちは、いくらか現実的かも知れないわね。でも、トリニティとゲヘナの友好条約なんて無茶なもの自体、聞いたこともないし、話にもあがらないのが実際のところだと思うのよね……」
要するに、宇宙人が攻めてくるのと同じように、日本でいきなりクーデターが起きるとか、そのレベルにあり得ない話らしい。
「ゲームのスピンオフって形だけど、キヴォトスを描いた話は他にもいくつかあるし、そっちに近いのかな」
アニメ版ブルーアーカイブに、タイトルは何だったか、コミカライズ版なんかもあったはずだ。別の世界線……みたいなものなのだろうか? そういう世界の一つとして存在する平和なキヴォトスが、ユウカのいた世界なのかも知れない。
「とりあえず、今日はこんなところかな。先生が話題にも出さなかった以上、ユウカとはあまり関係なさそうだし」
「でも、調べておくに越したことはないわ。先生ばかり当てにするわけにはいかないもの。自分が登場する創作を見るっていうのも変な感じだけど」
昔のアニメだったか、戦争で活躍したパイロット達がその戦争の劇中劇である映画を見て、「俺ってあんなか?」「脚色しすぎー」なんて言っていたけど、ユウカにとってはその程度のものらしい。
ちなみに、ユウカのメモリアルロビーを見せた時の感想。感想というか。
「何だか、私って感じがしないのよね……。ゲーム開発部が勝手に私のデータをスキャンして作ったモデルに、私の言いそうなセリフをしゃべらせて、悪ノリしてるみたいな……」
「ちょっと待って。勝手にスキャンしてデータを作ってって、その子たちは何してんの」
「あの子たちはまだマシな方よ。ヴェリタスなんて、あの人たちのせいで私の体重が100kgだなんてデマが流れて、いまだに信じてる人が……。あー、もう、あのことを思い出すだけで……」
「キヴォトスって、そんな人しかいないの?」
うっかり失礼なことを言ってしまったけど、ユウカによると、「少なくともミレニアムはそんな感じよ」だそうだ。ミレニアムってどんな学校なの。
「大体、アビドス、トリニティ、ゲヘナ、他のどの学園でもなく、ミレニアムの私がここに転移してきたことを考えると、かなりスケールの小さな理由だった気がするのよね……。キヴォトスの存亡とか、そういうのとは全く無関係な……」
ユウカが、眉間を押さえてぶつぶつ言っている。何か心当たりがあるんだろうか。あるんだろうなあ。ミレニアムは問題児ばかりだとは言っていたけど、この子、苦労してそう……。
「でも、先生の落ち着き具合を考えても、意外とすぐ帰れるのかも知れないわね。良かった」
「え? ……あ、ああ、そうだね。うん、そうだ」
少し仲良くなっただけだけど、すぐ帰ってしまうのも寂しいな……なんて不謹慎なことを考えていた。ユウカが早く帰れるとしたら、それは間違いなくいいことなんだから、こんなことを考えるのは良くない。嬉しそうにしているユウカを見ていると、早く彼女の居場所へ帰してあげないと……そう思う。
と、ユウカの表情が真剣なものに変わった。僕の方を振り向き——
「い、言っておくけど、体重が100kgとか本当にデマだからね⁉︎ 信じないでよ⁉︎」
「そんなに気になるの?」
とりあえず、体重の話はしないようにしよう。
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——さて。
自分の荷物だけまとめて、僕はそろそろ家に帰ることにする。ユウカには、夜はこうして家に帰り、毎朝ここに来て、そのまま一緒にいるなり、僕が外で用事を済ませるなり、という形にすると言ってある。
親に報告しなきゃいけないこともあるし、相談すること、許可をもらわなきゃいけないこともある。それに、使えるものは家から持ってこないと。ユウカを一人残して帰るのは少し心配だけど、しょうがない——ん?
「はぁ、やっとシャワーを浴びられるわ……」
「シャワー? なら、帰ってきてすぐ浴びれば良かったのに」
「うーん、そうさせてもらおうかな、とは思ったんだけど……あ! も、もしかして……少し、におった?」
「汗とか? いや、別に……」
「ほ、本当に⁉︎」
「僕の分かる範囲では、別に……って、聞いてる? 問題なかったと思うよ?」
どうも気になり始めたら、ユウカの中ではにおったのが確定してしまったらしく、いつものように手で顔をおおって、あーもう、最悪……だとか、ブツブツ言っている。まあ、僕が気付かなかっただけで、多少におったかもしれないけど。
「汗のにおいなんか、そこまで気になるもんなの? 女子って」
……と、あきれ顔で聞こうとしてしまったのだけど、「気になるに決まっているでしょう⁉︎」と怒られそうなので心の中にとどめておいた。こういうのを気にする子、結構いるんだろうけど(そんな気がしてきた)、どんな話題が地雷なのか分かってきた気がする。
それはそうと、これからシャワーを浴びるなら、一応、僕はまだいた方がいいかも知れない。こんな時間に宅配が届いたり、誰か来たりすることもないだろうけど、帰るタイミングを逃してしまったし。
「……と、そういうわけだから、まだいた方がいいよね?」
「うん、そうね。そうしてくれると安心する」
一応聞いてみたが、シャワーの使い方やなんかは既に説明してあるし、基本的にはキヴォトスで使ったことがあるのと同じらしいので、大丈夫だろうとのこと。
「のぞかないでよ⁉︎」……なんて定番のセリフを言うかと思ったら、特にそんなことはなかった。言われなかったからって、のぞかないけど。僕が泊まっていかないのだって、一番は僕とユウカが二人きりで一晩過ごすのはまずいだろうって話なんだから。女の子との
それに、もし何かあった場合——例えば、シャワーを浴びているユウカと何かあった場合、僕に一切非がなかったとしても、何を言われることやら。ユウカは何でもかんでもいちいち恥ずかしがるし、どうやら本来はキツい性格なのも分かってきた。あれじゃ、反論しても無意味だろうしな……
——などと、ぼーっと考える。……暇だな。ブルーアーカイブのストーリーでも読もうか。それとも、キヴォトスについての考察ページでも探そうか。まあ、そういう小難しいのは今日はもういいか。あとは、秋葉原で買おうと思っていたものを通販サイトで見るとか……。まあ、しばらく買わないだろうし、いいか。……やることがなくて暇だな……。
…………。
…………。
……ダメだ、自分を
耳をすませば、
——まあ、でも、聞こえようが聞こえまいが、あの扉の向こうでユウカが服を脱いでいるのは間違いないんだよな。
うっかり、そんなことを考えてしまった。そう、僕の妄想はただの妄想でしかないが、すぐそこには今まさに全裸になろうとしている女の子が現実に……まあ、もうシャワーを浴び始めているかも知れないけど——って、
「きゃーっ!」
「——何だっ⁉︎」
突然のユウカの悲鳴。つい中に踏み込みそうになって……踏み止まった。落ち着け。いきなり入ったらどうなる? これ以上、僕なんかがユウカの恥ずかしい姿を見てしまうわけには——
「ちょっ、来て! 来て!」
呼ばれてるし! ……ええい、ままよ!
思い切って中へ踏み込むと、お湯の勢いが強すぎるせいで、シャワーヘッドが暴れまくっていた。こりゃ酷い。
「止まらなくなっちゃって……」
「これは……こう!」
苦労しつつも、ボタンを押してお湯を止める。自分もびしょびしょになってしまったけど、それは大した問題じゃない。うん、他にものすごく大きな問題があるよな?
「ありがとう。あせったら、分からなくなっちゃって」
「うん、それはいいんだけど」
見ないようにしたけど、やっぱり無理だった。一瞬、目に入っただけなのに、焼きついてしまったユウカの綺麗な裸。シミひとつない白い肌。それでいて、嫌でも性的なものを呼び起こすような、抱き心地のよさそうな身体。
肉付きのよい、むっちりしたお尻。弾力のありそうな二つのふくらみ。その頂点にちょこんと乗った、可愛らしい薄いピンクの肉の突起。僕の中では勝手に女の子には不似合いだと思っていた、股間の黒々とした
ごめん、ユウカ。僕は今、君の裸を思い出しながら、めっちゃエロいことを考えています。ていうか、一瞬しか見てないのに本当によく覚えているな、僕は! せめて、これ以上は見ないように……
「? どうしたの?」
「どうしたのも何も」
見ちゃまずいと思ってそっちを向かないようにしてるのに、気づいてないのか、この子。
「とにかく、あなたが来てくれて、助か——きゃあああっ! わ、私、今——」
「気付くのが遅いよっ!」
と、ついツッコミを入れてしまい……振り向いてしまった。——って、だから振り向いちゃダメなんだってば! 何やってんだ、僕は! 心の中で叫んだが、遅かった。
「なっ、何でこっち向くのよ!」
「ごめんなさい!」
ここ、謝らなきゃいけないところ? と、かすかに思ったが、間違ってはいないかも。何しろ、またバッチリ見てしまった。腕で隠そうとしても、どうしてもはみ出てしまう乳房。一番恥ずかしいところを隠そうにも隠せていない、ガードの甘い下半身。健康的なお尻や太もも。
さっきみたいに、見られてしまっているのに気付きもしなかったのと違い、恥ずかしさで顔を真っ赤にして、両腕で自分を抱きしめるように必死に隠そうとする全裸のユウカ。それを見てしまったことで、こっちも恥ずかしくなったり、申し訳なくなったり、背徳感が増したり。そのせいで、さらに興奮してしまった。ごめんなさい、こんなことばっかり考えていて。
「出てって!」
「ハイっ!」
でも、呼ばれたから助けに来たのに、それでこの仕打ちは酷いような気がする。こんなことになると思って、気をつけていたのになあ……。
外で待つこと数分、ガラッと脱衣所の扉を開けてユウカが出てきた。バスタオル一枚で、腕込みをして仁王立ちしている。迫力あるなあ……怖い。
でも、何でバスタオル一枚なんだ。時間はあるんだから、ちゃんと服を着てから出てくればいいのに。あれ、下着ぐらいはちゃんと履いてるんだろうか? これ以上自爆されても(嬉しいことは嬉しいのは否定出来ないけど)困る。
それでこれは……何だろう? 取り調べか何かだろうか。
「どこまで見たの? 全部?」
「えー……ほとんど全部」
「そ、それって、ち、ちく、えーっと……み、見た?」
「……乳首まで見えたし、毛も見えた」
「全部じゃない!」
言いづらかったけど、ぶっちゃけその通り。ユウカは、うぅ……、とうめきながら、しゃがみ込んでしまった。だから、そういうところが無防備というか……
「もうお嫁に行けないかも知れない……」
「えぇ……」
行く側ともらう側とどっちの問題なのか知らないけど、そんな理由で結婚してくれないのは心が狭くないか?
……とは言えないので、代わりに今困っていることを伝えることにした。
「そういうのを気にするんだったら、もうちょっと、それも気にしてもらえないかなぁ……こっちも困る」
「? 何が? それ、って何……? ちょっと、どこ見てるのよ!」
「どこと言われても」
あれだけはっきりと、二回も、生のおっぱいを見てしまった以上、今さら胸の谷間ぐらい見えてるからって、別に……と思ったが、だからって、ずっと見ているのはまずいか。巻いたバスタオルから、乳房がはみ出しそうになってるし。結構大きいんだよなあ。ていうか、ユウカがしゃがんだままだから見下ろす形になって、どうしても目に入ってしまうんだけど。
「そっち向いて!」
「はいはい」
「「はい」は、一度でいいのよ?」
「分かりました」
「あーもう、ほんっっっとうに、お嫁に行けなかったら責任取ってもらうからね!」
「えっ、結婚しろってこと⁉︎ 嫌だ!」
「何ですって!」
「だって君、キヴォトスに帰るんでしょ⁉︎」
勢いで言ってるだけなのは分かっているけど、仮の話でもこんな理不尽でキツい奥さんは嫌だよ!
後から、「わ、わざとじゃないのは分かってるのよ? だから、そんなに怒ってるわけじゃ……ないから」とフォローしてきたあたり、悪い子じゃないのは間違いないんだけど。
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ぐったり。
結局、今日会ったばかりだというのに、パンチラ→下着(のみ)→全裸と、ひと通り全部見てしまった。もう怒られようにも、これ以上ユウカの何を見るんだって話だ。いや、胸とかお尻とか見ちゃったら、それはそれでまた怒られるんだけど。何にしたって、見えちゃうかも……なんて、いろんな意味でドキドキするような話はもう残ってない。とにかく今度こそ帰ろう。
「あ、あの、もう家に帰っちゃう……のよね?」
「うん、帰るよ?」
パジャマ姿のユウカが優しく声をかけてきたので、ちょっと元気が出た。ふわふわした感じのパジャマがよく似合っている。こうやって見てしまうと、やっぱり可愛い。性格だって、今みたいに優しく声をかけてきてくれれば……いや、よく見ると、不安そうな——会ってすぐの時みたいな、遠慮がちな表情だ。何だろう。
ユウカは、もじもじと何か言いにくそうにして、これから告白でもしようかという雰囲気だ。もちろん、そんなわけはないけど——
「あの……その、泊まっていってくれたりは……」
「ダメだよ?」
即答してしまった。僕に泊まってくれって? 何言ってんの、この子。
「いや、ダメだよ?」
何も言われてないのに、二度言ってしまった。そこは遠慮したままにして帰らせてくれ。さっきのだって……いや、言い訳は良くない。思いっきり裸を見ちゃった僕が悪いんだしな、はぁ。よし、帰ろう。帰ります。
「というわけで帰るよ?」
「……そうよね。ごめんなさい」
「…………」
素直になったらなったで帰りにくい。いっそ、「そのぐらいいいじゃない!」とでも怒鳴ってくれれば……まあ、しょうがない。帰るにしても、納得してもらってからにしよう。
「さっきも言ったけど、うちはすぐ近くだしさ、何かあったら電話してくれればすぐ来るから。何なら一晩中起きてるから。でも泊まるのはね? やっぱり僕も男だから」
「そこは、その……信用してるつもりだし」
僕は全然自分の理性が信用出来ないわけだが。……仕方ない。
「じゃあ、親に聞いてみるよ。ダメだって言われるだろうけど、どっちにしても、泊まるなら許可はもらわなきゃいけないし。それでいい?」
少し間が空いた後、ユウカが小さくうなずいた。まあ、一人が不安なのは分かるんだけど、ユウカのためでもある。流石にうちの親だって簡単に許可なんかおろさないだろうし、ちょっと卑怯な気もするけど、それで納得してもらおう。
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「いいわよ?」
「ダメだろう⁉︎」
うちの母親の適当……もとい放任っぷりは、僕の予想を超えていた。そんな、あっさりと……。
「エッチなことでもするつもりなの?」「そんなわけないだろ」「じゃあ、いいじゃない」「良くないだろ」と、まともな会話にすらならない。何がいいんだ。いいわけないだろ。
ダメもとで父親に聞いてもらったところ、「女の子の頼みを断っちゃいかんだろ」とのこと。男だからとか女だからとか前時代的なことを気にするなら、違うところを気にかけてくれないものか。
確かに、「向こうからそんなに頼んでくるなら、よっぽどなんだろう」と言われると、その通りではある。そもそも、両親がこれだけちゃらんぽらん(暴言)なおかげで助かっているんだから、あまり強くも言えない。もう観念するしかない。
「許可、出ちゃ……出ました」
「ほ、本当?」
「……? うん」
少しぐらい強がるかと思ったのに、あっさり喜んだので、ちょっと拍子抜けだ。何をそんなに怖がっているのか知らないけど、残って正解なのかも知れない。でも、それにしても……
「?」
ユウカをじっと見る。まずい、まずいよ。確かに、僕が耐え切ればそもそも何も問題がない話だ。でも、安心したのか、えへへ……とはにかむユウカはすさまじく可愛い。そこが問題なのだ。その上、年頃の女子のパジャマ姿って思った以上に破壊力がある。一晩、耐え切れるんだろうか……。
で、とにかく僕はユウカに寝室を明け渡し、別の部屋に布団をしいて寝ることにしたのだが。
「ダメだよ! それはダメ! 絶対にダメ!」
「添い寝してほしい」だそうだ。
「そんなこと頼まれても、僕も困るし」
「い、いいじゃない。そのくらい」
ここで開き直るんだ……。とうとう、いい加減にしてくれ、と言いそうになって、こらえた。今さらになって、女の子を一人預かるなんて軽々しく引き受けてしまったのを後悔する。異世界がどうとか、ヘイローを隠してどうとか、そんなのよりよっぽど現実的で身近な問題が山ほどある。それも、女の子というだけで、想定もしていなかったことばかり。
それにしても、ユウカってここまで我がままを言う子だったか? ブルーアーカイブでもこんな感じだっただろうか。ユウカの登場するストーリーを全部読んだわけじゃないけど。
まあ、それはいいとして、
「分かったよ。泊まるって言った時点で、覚悟しなきゃいけなかったんだし」
「本当⁉︎」
「そんなに嬉しいの?」
「え? や、やだ、私そんなに嬉しそう?」
「……そりゃもう」
気が強くて、うるさいことばかり言っているかと思えば、本当は優しかったり、弱かったりする一面を見せる。そういう、ギャップが激しいところがユウカにはある……と思う。きっと僕は、そういうところに弱いんだろう。顔をほころばせて喜ぶユウカの姿を見ると、まあ、このぐらいいいか……と思ってしまう。
しかし、添い寝とは……。もう、僕が我慢していようと何だろうと、何かしら間違いがあってもおかしくないんだから、一応聞いておこう。
「で、もし万が一、僕が理性を保てなくてユウカの胸ぐらい触っちゃったりはしても、多少はしょうがないの——」
「は⁉︎ ダ、ダメに決まってるでしょ、そんなの! そんなことしたら、すぐ追い出すわよ⁉︎」
「そういうこと言うと思った」
いっそ、思いっきり触るふりをしてそのまま追い出されるのが一番楽なんじゃないの? なんて思ってしまった。
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「じゃ、じゃあ、電気消すわね」
「はーい」
添い寝と言っても、一応同じ布団で寝てくれればいいと言うので、極力はじっこの方へ。寝返りをうっても、ちょっとやそっとじゃ触ってしまわないよう距離を取る。
「どう? 安心する? ……もう寝ちゃったの?」
よほど疲れていたのか、ずっと気を張っていたのか、その両方か? ユウカはあっさり寝息を立てて寝てしまった。いくらなんだって、会ったばかりの僕にそこまで心を許しているはずはないのに、何を考えているんだか……
「——……ノア……」
「え?」
かすかなつぶやき。でも、聞こえてしまった。それは、ユウカと同じセミナーの子の名前。
「——た、また会え……、……かった。みん、な……」
「………」
モモイ、ユズ、それに……。他の子の名前は聞き取れなかった。でも、聞こえなくたって分かる。きっと、僕がブルーアーカイブをちゃんとやっていれば、よく知っている名前ばかりに違いない。——キヴォトスの、ミレニアムの子たちの名前のはずだ。そこがユウカの居場所なんだから。
——僕はバカだ。
ここは住みなれたキヴォトスじゃない。ユウカにとっては異世界だ。いくら東京が平和な街だからといって、銃も持たずに放り出されて、不安にならないわけがない。だからって、ここまで……そう思っていた。実際、それもあるんだろう。
でも、不安なのが問題なんじゃない。ここではユウカは
それを僕ときたら、変なところを触ってしまうんじゃないかとか、また何か言われるんじゃないかとか、自分のことばかり。彼女のことを思うなら、まずその寂しい気持ちに気付いてあげなきゃいけなかったのに。
——結局、一番冷静なつもりで、僕だけが分かってなかったんだろうか。父さんや母さんはちゃんと分かっていた? うちが特殊なのか、それとも大人ならみんな分かるものなのか? 例えば、兄さんや、先生も……。
きりがないから、僕は考えるのをやめた。それより、明日謝ろう。
ふとユウカを見ると、くーくーと寝息を立て、安心しきった顔で眠っている。バレたらこれも怒られるんだろうか、そう思いながら、そっと髪に触れてみる。ん……と小さく声が漏れたけど、目をさます様子はなかった。僕は、そのまま少しだけユウカの寝顔を見つめていた。
しばらくして……。
——これだけよく寝ているなら、もうお役御免ってことでいいよな?
やっぱり、どこか触ったが最後、理性のたがが外れてしまいそうなので、僕は布団を抜け出すことにした。起きた時にすぐそばにいてあげればいいだろう……——うっ。
「んぎゅ」
「ぅ、う〜ん」
少しだけ判断が遅かったらしい。ユウカが僕の首に腕を巻きつけて、抱き寄せようとする。寝ぼけてるんだろうけど、何の夢を見てるんだ? 逃げられそうにない——ああっ、くそっ。流石に抱きしめられたりしたら終わりだぞ! 絶対、誘惑に負けていろんなところを触っちゃうぞ! 胸とかお尻とか、その他いろいろ!
必死にもがくけど逃がしてもらえない。それに女の子の腕って、
抵抗むなしく、ぐいっと引き寄せられて、僕の体はユウカのすぐ近くへ……
「って、近っ、近い! まずいよ、これ! 触るどころじゃないぞ! もっとまずいって!」
ユウカの顔が、目の前——超至近距離にある。女の子はもちろん、こんな距離まで誰かの顔が近づいたことはない。長いまつ毛、ぷにぷにと柔らかそうなほっぺた。ユウカの顔のパーツの何もかもが魅力的なのが改めて分かる。いや、この状況でそんなこと分かっちゃまずいんだって。
もう少し顔を近づければ……自分からしなくても、さらに近づいたら、間違いなくキスしてしまう。だけど、ユウカがしたことあるとは思えないし、間違いなくファーストキスなのに、奪ってしまうわけにはいかない。どうする? どうする? 唇じゃなければ許されるか? 何とか避けて、ほっぺたにするとか……いや、もっと根本的なところならどうにかしないと。
「ん、ぁ……」
唇から漏れる吐息が、どうやっても色っぽく変換されて聞こえてしまう。本格的にまずい。仕方ない、体を押し返すためなら、少しぐらいおっぱ……じゃなくて胸を触ってもいいか? キスしてしまうよりマシだろうし、胸……胸というか、
「ぉうふ」
——視線を落としたところで後悔した。はだけた
そこには、手をちょっともぐり込ませるだけで触れてしまう、女の子の肉体がある。パジャマを押し上げる、ラインがはっきり分かってしまう、魅惑のふくらみ。あの可憐な二つのふくらみにもし触ってしまったら……こんなに薄いパジャマの上からじゃ、感触はほぼ生おっぱいと同じだ。間違いない。ていうか、パジャマの中に手を差し入れてしまえば、本当に生のおっぱいを触ることだって……いや、しないよ! そんなことは!
「ぁ、んっ……」
ユウカの口から吐息がもれる。この子、起きていてわざとやってるんじゃないだろうな⁉︎ 小さく愛らしいその唇は、今すぐ味わってしまえとばかりに僕の唇を待っている——
「ええい、そんなわけあるかっ! 好きでもない男とこれ以上はダメっ!」
——ユウカを守るんだ! 暴走したらユウカをあれやこれや、滅茶苦茶にしてしまいそうな僕から! 自分でも何を言ってるのかよく分からないけど、そんな覚悟で、ありったけの力で自分が持ってきた枕を——ユウカとの間に詰め込む!
「ん、んん……」
「よし!」
枕を身代わりにして、ようやくユウカの腕から抜け出す。見ると、ようやく捕まえたとばかりに、ユウカがぎゅうぎゅうと枕を抱きしめている。何だか知らないけど、えへへ……と、だらしなく笑いながら頬ずりしている。本当に何の夢を見てるんだよ。
それにしても、危なかった。一歩間違えれば、僕があの枕のようになっていた。あんな風に頬ずりされて、密着して……胸がぐにゅぐにゅと当たってるところまで想像してみたら、惜しいことをしたと思ってしまった。僕は枕になりたい。
次の日。
「ご、ごめんなさい。やっぱり……つらかったわよね? あはは……」
「それはもう」
「ごめんなさい」
つらかったです。なので、正直に言っておいた。やたらと低姿勢だけど、昨日寝ぼけて抱きついてきたのは、ある程度は覚えているんだろうか。起きた後も枕を抱いてるし、何かしらは気付いているんだろうけど。
「でもまあ、昨日は僕もイライラして結構感じ悪かったでしょ? それを反省して、僕の方からも謝ろうかと……え? 何?」
「ぁ……ありがとう」
ユウカが、抱きしめたままの枕で顔を隠し、上目遣いで僕を見て、消え入りそうな声でそれだけ言った。まだ何か言おうとしているようだけど、恥ずかしくて言葉が出ないようだ。それでも、チラチラこちらを見ている。その目は、言葉にするよりよほど感謝の念を伝えていた。
「……お礼を言われるようなことじゃないよ。気にしないで、今後も頼って」
平静を装ってそう言ったが、内心では
「…………っ」
無言のまま耳まで真っ赤にして、ぽふっと枕に顔を
「一度家に戻って……またこっちに来るまでに、何か買ってこようか? 暑いし、アイスとか」
「本当⁉︎ じゃあ、私、ソーダ味かミントチョコか……なっ、何、笑ってるのよ!」
「いやいや。じゃあ、買ってくるから後で二人で食べよう」
安請け合いしちゃったかも、なんて関係ないな。目の前に僕を必要としてくれる人がいる。なら、一つ一つそれに応えていくだけだ。それを、この子と二人なら、きっと最後までやり遂げられる。そんな気がした。
まあ、間違いなくユウカが読んだら面白いのは「ゲーム開発部だいぼうけんっ」なわけですが。ヌッ、ヌッ。
100kgエピソードはヴェリタスのグループストーリーですが、実際にユウカのいたキヴォトスでもほぼ同じことが起きてます。