【完結】「ラッキースケベ?いいや、これは運命だった」〜転移してきたユウカと二人暮らし〜 作:春画屋@二次創作R18
[終-前](8)約7000字
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[エピローグ](10)約5000字
「この部屋とも、もうお別れなのね」、帰ってきてすぐに、ユウカがそう言った。一日、ユウカと出かけて居なかっただけで、何だか懐かしい気分だ。ここは、僕とユウカが帰る場所。二人の居場所。兄さんが片付けてくれたのだろう、部屋はユウカが来たばかりの時と同じように綺麗になっていた。
初めてユウカが料理をした時のこと。裸や下着姿をうっかり見てしまっては、怒られたこと。一緒に勉強したり、ごろごろしたり……。何もかも懐かしい。そんな二人の場所とも、明日でお別れだ。ユウカが帰った後は残りの荷物も片付けて、入れ替わりで兄さんが住むか、誰かが使うまで空き部屋だろう。
最後の夜は泊まっていって欲しい、そう頼まれた。それと、寝る前に大事な話があるそうだ。シャワーを浴びた僕は、先に済ませて着替えたユウカの待つ寝室へ向かった。
ぺたん、とベッドの上に女の子座りをしたユウカは、相変わらず可愛かった。お気に入りのパジャマに、洗い立てでふわふわしている綺麗な髪、そういったものももちろん可愛いのだけど、表情が最高だった。
えへへ、と、あどけない表情。「セミナーの会計」でもなく、「シャーレの先生の正妻候補」でもない早瀬ユウカの、僕だけに向けられるこの表情。その笑顔を、帰る前にこうして見ることが出来てよかった。そう思う。
「で、話って前から言ってたやつ?」
「そう。あの時、すぐに帰らなかった本当の理由。……なんて、言わなくても大体分かってると思うけど」
「そりゃ分かるよ。いろいろあったけど、僕も楽しかったもん。ずっと二人で一緒に生活して、食事を作ったり家事をやったり……」
「え? いや、そういうのじゃ……」
「本当は僕だって、ここでの生活を続けたかっ——え? 何? それじゃないの? だって……」
「ち、が、う、わ、よ……!」
押し殺すような低い声だった。こわ……。今までで一番怖い。何かまずいこと言ったか? ユウカは頭を抱えて、あー、もう、全く……とうめいている。
「ほんっっっとう、これだから、ハッキリ言うことにして正解だったのよね。あなたって人は……」
「は、はあ」
「私は、あなたと一緒にいたかったの!」
つまり、僕との生活を続けたかったということだよな?
「やっぱり間違ってないじゃない」
「全然違うわよ。……場所なんか、どこでも良かった。例えばキヴォトスにあなたがいて、私やノアやみんなと一緒にいられるなら、それが一番良かった。でも、あなたの居場所はここでしょ? ここにいなかったら一緒にいられなかった」
「僕と……?」
僕と一緒ならどこでも良かった? 僕がキヴォトスに? そこまで、僕と一緒にいたかった……?
「……あなたが好きなの。離れたくない。これからだって、ずっと一緒にいたい……」
しぼり出すような、悲痛なユウカの声。
「あなたは……どうなの? 私と一緒にいられなくても平気なの? 私が帰ってもつらくないの?」
「…………」
まさか、やっぱり帰りたくないとか? 今だに、そんなことを……? もちろん、表面上はそういう言葉だ。でも、真剣な
僕だから言えることがある。僕にしか言えない言葉がある。ユウカが本当の意味でキヴォトスに帰るためにはその言葉が必要で、僕ならそれを言ってくれると信じている。
——だから言わなきゃいけない。ユウカに
僕は、ユウカをぎゅっと抱きしめた。一緒にいたいというユウカの想いを、全部のみこんでしまおうとするかのように。
「——ミレニアムに君を待っている人たちがいる。君がその人たちのところへ帰りたがっているのを知っている。どれだけ強くそう思っているか、僕が一番知っている。多分、本人の君よりも。それを僕一人のためにないがしろにしたら、僕が許さない」
腕の中で、ユウカが、うん、とうなずいた。
会ったばかりの頃、ミレニアムの話を楽しそうに聞かせてくれた。寝言で、仲のいい誰かの名前を呼んでいるのを聞いた。だから僕は、この子を絶対に自分の居場所に帰してあげようと思ったんだ。
僕だって本当は一緒にいたい——そんなことは二人とも知っている。だから、そんな当たり前のことは言わない。意地でも絶対に言わない。僕は最後まで、ずっと同じことを言い続けなきゃいけないんだ。キヴォトスにあるはずの、ユウカの幸せな生活のために。
「キヴォトスに帰るんだよ? ユウカ」
ユウカはもう一度うなずいた。
「私のことをずっと見てくれて、私を一番に考えてくれる、あなたがそう言ってくれるから、ちゃんとキヴォトスに帰れる。ノアや、みんなのところに。ありがとう……」
ユウカは笑顔のまま、涙をボロボロ流していた。もうユウカを縛り付けるものはない。僕たちはちゃんとお別れできる。二度と会えないと分かっていても。
涙をぬぐってあげて、それから顔をじっと見つめた。明日にはもう見られなくなってしまう、愛しい人の顔を目に焼き付けておこうと。
上目
「ね、キスして」
「うん」
ユウカが唇を押し付けてくる。それを受け止め、唇を合わせたままユウカの小さな身体を抱きしめる。くちゅ……ちゅ……と音がする。
「ん♡ ぁ……」
「はむ……ンっ……」
触れ合うことがただ嬉しくて、何度も相手の唇を吸う。離れ離れになったら、もう出来ないから。最後だから何度も求め合う。
指で身体をなぞる……。薄いパジャマの上からだからだろうか、それとも気持ちが高まった分、敏感になっているのだろうか、ユウカが小さくビクンビクンと震える。我慢しきれずに僕がユウカの身体をまさぐっていて、それだけで快感を感じてしまっている。その手がお尻まで到達すると、ぁ、とユウカが声を上げた。
「……ね、今晩までは恋人でいいわよね? 一度だけ……」
「うん……エッチしようか」
出会ってからここまで長かった。いろんなことがあった。とうとう、僕たちは結ばれる——
ベッドに横たわるユウカの上に馬乗りになり、その顔を見下ろす。照明の光が当たってキラキラと輝く、すみれ色の髪。下ろしたロングヘアは、ふわりと広がっている。
柔らかい前髪をすくってみると、そこには現実離れするほど綺麗な顔。気の強そうな少しつり気味の目、細い眉、芸術品のように整っている。青い
「ん……」
と、恥ずかしそうな顔で
なすがままのユウカのパジャマのボタンを、一つ一つ外していくと、だんだん白い肌が見えてくる。初めて見るわけでもないのに、ドキドキする。そうして、とうとうブラが僕の目に
「ね、ね、どう?」
「あ、これ……」
そこに現れたのは、乳房をふわっと包む、可愛らしいブラジャー。子供っぽいというのではなく、過剰に色気を演出するわけでもなく、ストレートにユウカの魅力を引き出している。……買った時にもそんな風に思って、想像してみたらそれだけで興奮しちゃったんだよなぁ……。
「これって、買い物に行った時、僕が選んだやつだよね」
「そうよ。あなたが可愛いって言ってたから、大事な時につけようと思ってたの。前、するはずだった時もつけてたのよ?」
「あの時も? そういえば、オシャレしたとか言ってたっけ……」
「見せる前に、あなたが途中でやめちゃったけど。……私はあなたにだったら、ちょっとぐらい乱暴にされてもいいと思ってたのに」
口をとがらせてから、「でも、許してあげる」と僕に軽くキスをした。
「下も?」
「そうよ。セットだから」
ユウカがズボンのウエストのところを少し広げると、ブラと同じ、ほとんど白に近い薄いピンクのショーツが見える。ユウカは、「あ、あんまり見ちゃダメよ。恥ずかし……ぃ、から……だ、ダメ……はぅ……」と照れながら、隠してしまった。
「ど、どう? 可愛い?」
「可愛いよ」
「似合う?」
「うん、似合ってる」
「えへへ……やっぱり今日が初エッチで良かったかも。こんな風に、優しくしてもらったり
「うん、そう。外しちゃっていいよね?」
ユウカに確認して、ブラのホックをパチンと外す。すると、締め付ける力を失ってブラが軽く浮く。肩ひももハラリと落ちてしまい、隠すもののない何とも色っぽい背中になる。
こちらを向いたユウカは、もう用をなしていないブラジャーを両腕で抱えるようにして、胸を隠している。でも、むっちりしたボリュームのある乳房は隠しきれず、はみ出てしまっている。見られるのが恥ずかしいのだろう、笑っているような、困っているような顔で、頬を赤く染めている。
「胸、見せて」
と言うと、ユウカは、ん、と思い切って腕を下ろした。隠すもののない、完全に裸のユウカの上半身が現れる。それがあまりに綺麗で、つい見とれてしまった。形の崩れていない美しい胸の膨らみ。その頂点につつましく乗っている、可愛らしい乳首。——と、僕の視線が恥ずかしくて我慢しきれないのか、ユウカがもじもじし始めた。こちらをうかがって、
「え、えっと、触ったりしないの? 触りたい……のよね?」
「う、うん」
僕は、ごくりとのどを鳴らした。軽くぷるぷると震えて僕を誘う、ゴムまりのような膨らみに手をのばす。包み込もうとするが、手のひらにはおさまりそうにない。触れると、その表面はもちもちしていて、手のひらに吸い付くようだ。あまり力を入れずに、ユウカの反応を見ながら表面だけを優しく手で刺激していく。するとユウカは、徐々に甘い声を上げ始める。顔もトロンとしてきたようだ。
乳首をつまむと、ひぅんっ♡ と高い声でユウカが鳴く。そして僕は、肉丘の
「そっ、そんな、赤ちゃんみたいに……エッチの時って、ぁン♡ そういうの、するものなの? はンッッッ♡」
「はむ……。えっと、舐めるから嫌だったら言って。ん、あむ……ちゅる……」
「ふぁっ……♡ い、嫌じゃない。くすぐったいけど、気持ちいい……は、ぁう♡ ンぁ♡ こ、こんなの、初めて……」
「他は初めてじゃないの?」
「ん、最近は、自分で胸を触ってみたりとか……は、んっ♡」
真面目そうなユウカでも、やっぱり
右手でやわやわと乳房を揉みながら、胸元に吸い付き、舌をそこから首筋へと移動させていく。何度も吸い付くと、あっ、ぁっ、と喘ぐ。「マモ……ル、くん……」、僕の名前を呼ぶのに
「何だか、気持ちいいだけじゃなくて、嬉しい。好きな人に優しく触ってもらうって、こんな感じなのね」
「だから恋人同士ってエッチするのかな」
「そうよ。そういう事が出来る相手がいるのに何もしなかったら、もったいないじゃない」
「そんな、分かったようなこと言って」
軽く笑って、僕はユウカのパジャマのズボンをするすると下ろし、ショーツが隠す股間に手を伸ばす。そして、その中に手を差し入れて秘めやかな場所を探る。敏感な場所だから、優しくしないと……。ユウカが身をよじって、少し暴れた。
「あっ、ゃんっ♡ な、中に手、入れちゃ、や……」
「ちゃんと濡れてる……」
「んっ、んっ♡ ら、乱暴にしないでね? んん〜〜〜っ、あぅ、いやらしい音出ちゃってる……恥ずかしい……」
「僕が相手なんだからいいでしょ?」
「ぅん……や、やっぱり、こんなの、あなたじゃなきゃ無理よ。こんな恥ずかしいの、あなただから、大好きなあなただから、大好き、大好き、大好き、ンっ♡ はむ、ぁんっ♡ ちゅっ」
「は、んむっ、んっ、可愛いよ、ユウカ」
「ひぅっ、可愛いだなんて、こんな時に、ぁんっ♡」
首に腕を回し、ユウカがぐいっと僕を引き寄せて、何度も唇を求めてくる。そして、「もっと言って、もっと」と、ねだる。僕は、「可愛い」「大好きだよ」、と何度も言いながら、ユウカの身体のいたるところにキスをする。好きだと口にするたびに、自分がこの子をどれだけ好きだったのか改めて実感する。ユウカ……。
……そろそろ大丈夫だろうか? 下着の中に手を入れて生のお尻を触りながら、ぐいっと下げてしまう。そのまま下着を膝まで下ろすと、女性器と、整えられた陰毛が
「
う、うん、と少しためらいながらユウカが答える。これ以上はやっばり少し抵抗があるんだろうか。何にしても、僕も脱がなければ話にならない。トランクスを下ろし、もうガチガチに硬くなって
「や、やっぱり、大きい。ねえ、これ、本当に私の中に入るの? こんな大きいの……」
「怖い?」
「だって、
僕とユウカなら大丈夫だと思うけど、極端に体格が違うとそういうこともあるらしいから、心配は心配だ。二人とも初めてで上手くできるかも分からないし、痛いのはユウカだ。あんまり怖いなら、やめておく? と聞くと、ユウカは少し迷ってからキッパリと、
「……ううん。私、あなたとちゃんと一つになりたい。本物の恋人になりたい」
そして、「次はないんだものね」、そう小さくつぶやいた。僕も気持ちは同じだった。気持ち良くなりたいとかよりも、ユウカを本気で好きになれたという
「でも痛かったり、怖かったりしたら、すぐやめるから。ちゃんと言ってね?」
「う、うん……」
うなずくユウカは、やはり心細そうな様子だ。しかしガチガチに硬くなった肉棒は、優しくしてあげたいという気持ちとは裏腹に、目の前の女体に今すぐ侵入して暴れようとしている。大事なユウカの柔肌を傷つけてしまう凶器のように思えて、慎重に扱いながら、それを挿入する場所を探る。股間の茂みの……下……? いや、ここか? ここ……こうして……突き入れる!
「〜〜〜〜〜っ!」
やっぱり痛かったらしい。ユウカが声にならない叫びを上げた。あ、あ、とつらそうに口をあけている。
「く、ぁ……」
「痛かった? じゃあ、一度抜いて……」
「大丈夫っ、大丈夫だから……手、繋いで。ね?」
うっすら涙を浮かべていたから心配だったけど、言われた通りに指を
「で、でも、手は離さないでね?」
「うん」
「少し、動いてみて……」
僕はゆっくりと前後に腰を動かし、ユウカの中に何度か肉棒を突き入れた。慎重にそれを繰り返していくと、だんだんスムーズになってきた気がする。最初の内こそユウカも顔をしかめたりしていたけど、慣れてきたようだ。これなら大丈夫だろうか。我慢したり、強がってるんじゃなきゃいいんだけど……
「も、もう少し速くてもいい、かも」
「大丈夫?」
「うん。こすれて、気持ち良くなってきたみたい……」
「本当?」
そんなに簡単に気持ち良くなるものだろうかと心配しながらも、ユウカの両足を抱えて本格的な
「んっ♡ あ、あふ♡ んっ♡」
「ゆ、ユウカ……僕……」
きつかったユウカの中がさらに締まり、肉壁が
「あ、ンっ♡ う、嬉しいっ。やっと、あなたと一つになれた。あなたのを、自分の中に感じられて……私、私……!」
「そうだ、やっと僕たち、一つに。ユウカとっ、ユウカ、ユウカ……!」
僕のモノを——男の性の象徴を、ユウカが包み込んでくれている。くわえこんで、快感を与えて、僕を逃すまいとしている。僕のモノをしぼり上げて、快感を
そう思ったら頭が真っ白になって、もうさらなる刺激を求めることしか考えられなくなった。全身をユウカの小さな身体にぶつけて、荒々しく
「はっ、はっ、はっ……」
「ンぁっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ま、マモルくん」
「ユウカっ」
腰を振り続けながら、いつしか僕たちは抱き合っていた。二人とも生まれたままの姿だ。全裸で肌を合わせて、獣のように息を荒げている。理性なんてもう飛んでしまっていた。それぞれの本能が、男の身体を、女の肉体を求めている。愛する人の全部を欲しがっている。
「ユウカ、ユウカ……っ!」
「マモ……ル、くん……っ、ンっ♡ あっ、あっ、あっ」
「もう、出る……」
「うん……。好き、大好き、マモルくん……っ!」
ひときわ激しく突くと、ユウカは「ぁ〜〜〜〜〜っ♡♡♡」と声を上げて、果ててしまった。そして僕もぐったりと脱力して、精を放出した瞬間の全身を駆け巡る快感の
少し落ち着いて、後片付けをしてから、「朝まで一緒に寝る?」と聞かれた。首を振って、「僕はあっちで寝るよ。ここで「恋人」も終わりにしよう」と答えると、ユウカは「そうね」と言って布団をかぶってしまった。
「お休みなさい」
「お休み」
そう言って部屋を出る前に、「さよなら」とユウカが言ったのが聞こえた。ユウカは、その時泣いていたかも知れない。僕はどうだっただろう。涙を流していただろうか? ——でも、ユウカにそれを見せなかったのは確かだ。そのはずだ。
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次の日、ユウカはキヴォトスへ帰っていった。特別なことは何もなかった。こちらからは兄さんと僕、あちらからは先生とミレニアムの人たち(ヴェリタス、エンジニア部あたりはいるのだろう)が見守る中、何事もなく帰還は行われた。
涙の別れ、感動の別れ、そういったものはなかった。そんなのは、あの夜に全部すませてしまった。二人にあるのはただ、やっとキヴォトスに帰れること、ミレニアムで待つ人たちにまた会えること、それを喜ぶことだけだった。
あまりにあっさりしている僕たち二人を見て、兄さんも流石に何か感じとったようだけど、何も言わなかった。僕たち二人の間のことにわざわざ触れることはないと思ったのだろう。
先生からは、『ありがとう』という言葉をもらった。僕は『こちらこそ、ありがとうございました』とだけ送った。打とうと思えばいくらでも話題はあったけど、それだけで十分だと思った。必要なことはきっと通じるし、余計な言葉はいらない。もし足りなくても、キヴォトスに帰ったユウカを見れば、僕がどれだけやり遂げられたかは分かってもらえるだろう。
全てが終わり、明日からは元の日々が戻ってくる。まだ少し残っている夏休み、それが終われば新学期だ。僕にも、ずっと会っていない同級生たちがいる。元の居場所がある。そして、何も背負うもののない、その代わり恋人も好きな人もいない、自由で平和で、何もない生活が始まる。以前は感じなかった、少しの喪失感と共に……。
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キヴォトス、ミレニアムサイエンススクール内、某所。
——ここ、どこ? 私、今まで何を……確か、キヴォトスに帰るために……先生……マモルくん、お兄さん……。
記憶が
「うわーん! アリス、心配してました!」
「ユウカ! 帰ってこないかと思ったよー!」
「アリスちゃん? それに、モモイ……ユズに、ミドリも?」
ゲーム開発部がいるということは、ここはミレニアム。私は、日本からキヴォトスへ帰ってきたんだ。
「よし、帰還成功。久しぶりだね、ユウカ。これでセミナーに一個貸しかな?」
「……という言い方をした方がユウカには気が楽なのでは? というチーちゃんなりの気づかいなのです。お帰りなさい、ユウカ」
チヒロ先輩、ヒマリ先輩、ヴェリタスのメンバー。それからC&Cに、トキ、エイミ、トレーニング部のスミレもいる。そして神妙な顔をした、ウタハ先輩、コトリ、ヒビキのエンジニア部。
「ユウカ、本当にすまなかった! 今回のことは——」
「構いませんよ。無罪放免、おとがめなし。少なくとも、私はそれでいいです」
「え? でも、それはちょっと……」
「いいんですってば。その話は後にしましょう?」
——無罪放免どころか、お礼を言いたいぐらい……とは流石に言えないわよね。でも、別の世界にいて絶対に会うはずのなかったあの人と出会えたのは、あの事故のおかげなのよね……。
その代わり、今度こんなことをやらかしたら廃部ですよ、と付け加える。それから——
「会長、それにコユキ。仕事の方は大丈夫でした?」
「にはは! ユウカ先輩は、相変わらず仕事のことばっかりですね〜」、「ユウカはそれでいいのよ」と、セミナーの二人。それから……
——ノア。
「お帰りなさい、ユウカちゃん。遅かったですよ?」
「心配かけてごめんなさい、ノア」
涙をにじませたノアを見て、本当に心配してくれたんだと実感する。帰るのを延期したことや、その他にもいくつも謝らないといけない。
「もしかしたら、帰ってくるつもりがないんじゃないか、なんて思っちゃいました。でも、大事な用事があったんですよね? あちらで仕事をする以外にも」
「うん。後で説明するわ。きっとノアなら納得してくれると思う。それぐらい大事な理由があったの」
「私なら納得する……ということは、もしかして私が好きそうなお話が聞ける、ということでしょうか♪」
「え?」
ノアの表情がいたずらっぽく、興味
「いやいやいや、別にノアが好きな小説みたいな話は何もないわよ?」
「あら? 私はそんなこと一言も言っていませんよ? ということは、そういう相手が誰かいた、ということでしょうか? それも、私たちのところに帰ってくるのを遅らせてしまうほど、大事で離れたくないような相手が——」
「ちょっ、ちょっと、まさか何か聞いてるの? 違うわよ? 確かに大事な人はいたけど、お世話になったし、仲もよかったからってだけで……! ——もうっ、後で説明するから。みんなも集まってこないでよ!」
好奇心に満ちた顔のみんなが、話を聞こうと私とノアのところに集まってくる。みんな、おかえりなさい、って空気はどこへやったのよ!
「ユウカ、異世界転移して乙女ゲーでしたか⁉︎ スチルはありますか⁉︎」
「年上の人と同い年の人と、どっちを攻略したの⁉︎」
「ユウカ、どこまでいったんですか? 告白とかは?」
「キス! キスぐらいはしたでしょ! どんな感じだった?」
「あ、あなた達、先生からどこまで聞いてるのよーっ!」
詳しい話はノアにしかするつもりなかったのに、これ、どこまで根掘り葉掘り聞かれちゃうのよ! ま、まさか、キスどころか、その、最後までしちゃったなんて、そんな話出来ないし……。ああっ、でもみんな、何から何まで聞き出そうって顔してる!
私は逃げるようにして、先生のところへ行く。
「先生。早瀬ユウカ、ただいま帰ってきました。いろいろお世話になりました」
「うん。お帰り、ユウカ」
「……で、みんなにどこまで話したんですか? 説明していただけます? せ、ん、せ、い」
「えー? 私は状況を教えただけだよ? すごく献身的で優しい男の子に保護されて、二人で一つ屋根の下、仲良く暮らしてるって。ほら、事実しか言ってない」
「それ、すっごく主観が入ってますよね」
「だってほら、ノアには納得してもらわなきゃいけないじゃない。そんな素敵な男の子がついていてくれるから、安心だよーって」
「ぐっ……確かにそれはそうですが、そこでノアの名前を出しますか……。相変わらず、のらりくらりと……」
ゲームの方の「先生」と比べると、要領がいいというか、抜け目ないというか、何か違うのよね……と、マモルくん達に先生のことを説明した時のことを思い出す。そうしたら、思わず笑ってしまった。いけない、失礼とは分かっているんだけど、つい。それにしても、「おじいちゃんみたいな人」はちょっと言い過ぎだったかしら。
「え? 何?」
「いえ、ブルーアーカイブの「先生」と、私の知る先生はやっぱりだいぶ違うな、と」
「そうなの?」
この先生を、私が好きに……なんて、やっぱりあり得ないと改めて思う。ブルーアーカイブの『早瀬ユウカ』は確かに「先生」にベタ惚れだったけど、あんな感情は私にはない。それに、マモルくんに抱いたような激しい感情を私は他に知らない。
「うん、いい表情をしているね。やり残しや後悔はないみたいだ」
「はい。向こうの皆さんや……マモルくんのおかげです」
「ユウカも頑張ったみたいだね。……ユウカは運命って信じる?」
「運命……ですか?」
「うん。ただの偶然でしかないはずなのに、その後の人生をまるで変えてしまう——そんな運命の出会いってあるんじゃないかって私は思っているんだけど」
「運命の出会い……それ、彼とのことを言ってます? あはは……まあ、そうかも知れませんけど……」
苦笑する。運命の出会い——それにしては衝撃的すぎたというか、気付いた時には胸をわしづかみにされているわ、その後スカートの中も見られちゃうわ……。ああいうのを、マンガなんかでは「ラッキースケベ」とか言うんだったかしら? あんな出会いは恥ずかしくて、ちょっと他人には言えないわね。
「でも、そうですね。あの出会いと、向こうで体験したことが、私を変えてくれましたから。これからの人生も、きっと変わっちゃう——そんな気はします」
「まあ、どう変わるかは人それぞれだけどね。よし、じゃあユウカのおかえり記念パーティーにしようか! みんなも!」
わーい、と歓声が上がる。
——ありがとう、マモルくん。私、帰ってこられたわ。みんながいる、私の居場所に。
呼びかけてから、彼はここにはいないのだと実感する。「良かったね、ユウカ」、そんな優しい声を聞く事はもう出来ない……。寂しそう? 悲しそう? 今、私はどんな表情なのか——そんな姿を見て、先生が声をかけてきた。
「もしこの先の人生で、ユウカが悩んでも悩んでも解決できないようなことが何かあったら、私のところにおいで」
「はあ、悩み……ですか?」
「あればだよ? ただ、務めは果たさないといけないからね。先生として」
「? ……よく分からないけど、そうですね。信頼してますよ、先生!」
——[エピローグ]「この出会いも、きっと運命」に続く
リオが普通に暮らしてたり、特異現象捜査部がないため、そこの関係者の人間関係は原作と少し違ってます。なので出迎えの顔ぶれはこうなりました。
ミレニアムだけで見てもこのぐらい違うので、作中のゲームの設定よりも本人たちを見てあげないと…という話です。
まあ、ユウカが怒った件については半分くらい恋愛がらみの理由なので、本人が言うほど気にしていたわけではないんですが。結構、割り切ってます。