触手SFVRゲーム世界に転生したのにレベルが高すぎる 作:NO SKILL NO LIFE
ミランダの調教……〝わからせ〟が終了し、常にツンケンしていたものと同じものとは考えられないほどふにゃふにゃになった口から吐かれた〝情報〟から、アエルノ暗殺を企てた犯人を絞ることができた。
その人物とは──。
「宇宙均衡防衛機構軍第三戦術部隊副隊長、エリアーナ・エリードリフ。第三が秘密裡に推し進める
「ヤだねー権謀術数陰謀策謀。馬鹿馬鹿しいことこの上ない」
「ですが、個人の思想は軍という群体に風穴を開ける槍となります」
ま、明確な背信行為だからな。
まだまだ有用に運用する予定だった第二戦術部隊隊長たるアエルノを、個人の好悪で切り捨てようってんだから。
第三戦術部隊。
アエルノの談によると、第二と第三の違いはそのまま戦術の違いにあるのだそうで。
第二は個々の力の高まりを重視する、基本的にはワンマンチームというか、それぞれがそれぞれに強ければそれは全体も強いねスタイル。
第三は各々の力の結束を重視する、チームで戦いチームで勝って、誰かが弱くても誰かが補えば全体が強くなっていくよねスタイル。
地球で言う王道は第三だけど、この世界はどっちかというとワンマン気質なので、この世界的王道は第二の方。
ちなみに第一は「全員が全員足並み揃えて強い」のだそうで。ただ今回のような内々の小競り合いに出てくることはないらしい。というか多分第一の一部は俺も知ってる面々だからぶつかってもなんとかなりそうではある。
「第三についてはこんなところです。わたくしの見立てではレフォ様の足元にも及ばない実力の者達ばかり。ですから、問題があるとすれば、わたくしたちの同胞の方でしょう」
「シクラメンクラスのがわんさかいる、と」
「それはどうでしょうね。シクラメンさんの実力は、映像を見た限りではレフォ様に匹敵する様子ではありましたが、同時に外部からの何らかの操作を受けている印象もありました。シクラメンさん自体が理性無き獣に近い存在ですから、理性の部分を他者が補うことで、ああも的確かつ驚異的な存在になっていたのではないか、と」
「身体能力がシクラメンクラスなだけで充分脅威だよ。……けど、大体似たような存在のあんたとミランダは……身体能力自体はそこまででもないよな」
「基本的には組み合わせられた
……
身体能力を向上させる
「あなたが今思い浮かべているのは私達の最終形態でしょ。それに至る前なら普通にあり得ると思うけど」
「ああ……そうか、襲撃者としての
「そういうこと」
エロトラップダンジョンだけが
宇宙船にへばりついて中の乗客を全員苗床にするタイプの
その中でもとりわけ力の強いやつなんかをブレンドすれば……ふつーにあり得るか。
「シーブレインス、コラホクラスの
「大体は第二が預かっていますからそこまで多くはいないはずです。ですが、わたくしたちが保護しておらず、且つレフォ様の功績の中で討滅された
「あー……まぁラニフィはこの前倒したばっかだから理解はできるけど、ザノカなんか初期も初期に倒した
「そうなりますね。わたくしの意識が芽生えた時にはもう人工生命体としての命を受けていた、とは聞いておりますが、行方は杳として知れず……」
前者が第四章中盤のストーリーボス、後者が前世で実装されていたストーリーにおける最後のボス。
どちらも当時として考えるとかなり強くつくられていて、且つ責めがレアモンばっかりで……早々に負けて犯されまくったのを覚えている。
「気を付けるべきはまず、【潮騒の笛】の催眠能力ですね。記録によればレフォ様には効かなかったとありましたが……」
「いや、効くには効くよ。ただ俺は……なんつーかな、催眠にかかっている俺を俯瞰して見ることができるから、簡単に破れるっつーか」
動きを強制してくる系統はほとんど効かない。ただ、たとえば「常時発情」とか「感度3000倍」とかのパッシブ催眠は効く。要はエロステータスと同じやつなら効くってこと。
とはいえそれは俺がプレイヤーだからの話。NPCにはかなりの脅威だろう。
「【絶滅の種】の危険性は言うまでもないですね」
「花粉にも似た極小の種子を吸い込んだが最後、それだけでイき死ぬと言われるほどの快楽が全身を駆け巡ったのち、身体の至る所から樹木を生やして苗床化する。対象を自身に取り込むことなく、且つ超超広範囲の苗床化を行えた観測史上初の
「ついでに、その木に生った果実を【絶滅の種】が食べると、【絶滅の種】はレベルアップするわ」
「そりゃ知らんかったな」
「あらそう? ま、
「とーってもどうでもいい話をすると~、わたしはラニフィと原種が同じだったりします~」
レベルアップする云々は知らなかったけど、【絶滅の種】の果実に人格排泄要素があることは知っている。
全身から生える樹木に人格を吸われ、それが果実となって……果実が落ちる時、苗床になったモブのナカミが空っぽになる、というムービーがあるから。
果実を食ってレベルアップするのはそういう高純度エネルギーを吸っているからなのだろうな。
しかし、そういえばそうか。ヨモギモチも苗床を樹木化する。ゲームじゃ触手の種とかほとんど気にしていなかったけど、そういう方面で情報収集をしていくのもいいかもしれない。
──依頼ウィンドウにNewのマークが出る。
同時、通信設備が不明な通信をキャッチした。
「……SOS?」
「そのようですが……おかしいですね。ここは既に宇宙均衡防衛機構軍の支配下領域。そこで救難信号を出したのなら、わたくしたちよりも先に軍が拾うはずです。であるのに救助されていないということは、わたくしたちが接近するのを見計らってから救難信号を出した、としか」
「ま、行くにせよ行かないにせよ、とりあえずオープンするか」
キャッチした信号に許可を出し、通信を行う。
直後、船内スピーカーからホラ貝のような
インベントリから取り出した『
直後、今まさに俺の方へ手を向け、貫通力の高い髪の一刺しを、木の根を思わせる触手での殴打を行おうとしていた二人の意識が落ちた。
「え……」
「【潮騒の笛】だ。あんたは俺の支配下にあるから効かなかっただけ」
「つ、通信機越しでも催眠できるものなの? それ……本来の【潮騒の笛】より強くなってない?」
確かに。
それができるのなら、軍なんかとっくの昔に壊滅していたっておかしくない。
「否定します。流石にそういうことは行えません」
声、は。
眠り落ちている、アエルノの方から。
そのアエルノが……「オ、ゴ……ァ」なんて言って苦しみに喘ぎだす。
「今度は何よ……」
「……クチナシのエロトラップダンジョンに行った時も含めてだけど、アエルノは決して最後の最後までをしようとしなかった。俺はてっきり〝わからせ〟を恐れているのだと思っていたけれど、違ったみたいだ」
「肯定します。母体名〝ロ〟に課せられていた命令はビーコンの設置。ビーコンとは即ち分裂体のこと。我が【潮騒の笛の音】を届けるための自走式バックドア」
して……ぶりゅ、ぐりゅ、りゅ、と。
アエルノの膣から、
目を剥き、泡を吹くアエルノ。そりゃそうだ。膣というのは──この世界の人間の膣はかなり柔らかく伸縮性があるとはいえ──あそこまで大きなものの出入りができる構造になっていない。いや、もしこいつが子宮から出てきたというのなら、子宮口や骨盤のあらゆる部分を押しのけて出てきている可能性がある。
それは快楽を通り越して激痛だっただろう。……萎える事をしてくれるものだ。
……止まらない。ゴキゴキと音を立てて、少女は……その両肩を、アエルノの膣から出そうとしている。
無理がある。絶対に出られない。そう思われた大出産は、少女が伸ばした長い長い舌による〝なんらかの注射〟で無理矢理の成功を掴んだ。伸縮剤か、もっと危険な何かか。
ガバガバもガバガバになったアエルノをゴミのように脱ぎ捨てて、どこに入っていたのかわからない程の大きさの少女がこの世に生まれ落ちた。
「ああ……成程。アエルノが子供を産みたがっていたのは、あんたを隠すためか。そう言っておけば俺もクチナシも子宮への破壊的な責めはしない。そう見越しての」
「肯定します。前提、
「んな知識こっちにゃねーからな。そういう技術に成功したんだと思ってたよ」
「肯定します。そう思わせる言葉操りをするよう催眠をしておきました。成果への称賛に面映ゆい思いです」
怒り……は、別に無い。俺の中でアエルノはそこまで大きな存在じゃないしな。
ただわからないこともある。
「ミランダはアエルノを本気で殺す気だった。そうしていたらどうしていたんだ」
「否定します。件の失敗作は母体名〝ロ〟を殺せません。なぜなら母体名〝ロ〟の頭部は毛髪を見ればわかる通り
お、ご、ぇぁ……なんて言葉を吐き出し目を剥いているアエルノ。
その顔が触手の集合体である……という風には見えないけれど。
「再度否定します。母体名〝ロ〟は人間でありたいという欲求が強いようですね。だからこそ結合が強いのだと思われます。ですが、こうして──」
少女の指がアエルノの耳に触れる。
そしてそのまま──耳を引き千切った。
「!? ──……え、うそ」
「否定します。嘘ではありません。このようにして力の限り剥がせば、私の言葉が嘘偽りではないことがわかるでしょう」
引き千切られたかに思われた耳。
けれどそれは、密集した髪を思わせる裏面を晒しただけ。根元は首のあたりにあって、これがただの擬態であることを知らせてくれる。
……いやそれはわかったけどさ。なんでクチナシは引いてるんだよ。あんたとヨモギモチだって似たようなもんだろーが。
「てかそろそろ自己紹介をくんないか。流石にザノカ=テア=ゲエナってまんまな名前じゃないだろ?」
「肯定します。私の名前は残火。研究員は適当な名前と言っていましたが、私はこれを気に入っています」
「そうかい。で、残火。あんたは何のために出てきたんだ。俺とクチナシが催眠にかかってないのは見て取れただろうに、出てくる意味あったか?」
「肯定します。そも、何か勘違いがあるようですが、私はコレクト44を襲撃しにきたわけではありません。SOSに虚偽はなく、本体である残火を助けてほしいが故の救難信号です」
「にしちゃあ敵対行為が過ぎるだろ。さっきビーコンとか言ってたし」
「肯定します。当初の作戦においては母体名〝ロ〟に仕込んだビーコン……つまり私によって、この船は壊滅状態に陥るはずでした。コレクト44が軍施設へ侵入したのち、脅威である
「裏切って壊滅させる気満々だったけど状況が変わったから助けてほしいってか」
「否定します。裏切るもなにも、私は初めからあなたの敵です。
「別に俺は
淡々とした会話だ。視界の端でクチナシがアエルノの身体を回収し、治療ポッドの方へ運んでいるのが見える。……そういうとこ優しいよなあんた。
「で、なんでそうなった。状況が変わったってのは……あんたも軍に裏切られた、とかか」
「肯定します。驚きの洞察力です。私が本作戦に参加したのは体内にある生殺装置を外すと約束されたからでした。私は命令通り母体名〝ロ〟にビーコンを仕込み、指定の小惑星にてコレクト44を待ち構えていたのです。しかし、その小惑星には小惑星そのものを消し炭にしてしまえるほどの爆薬が仕込まれていて、私が乗ってきた宇宙船も脱出時に墜ちるような仕組みが搭載されていました」
「あんたごと殺そうとした、と」
「肯定します。そのことに気付いた本体たる残火は怒り狂い、軍への復讐を決意します。その時丁度元ターゲットであったコレクト44の宇宙船が飛来し、これ幸いにと残火はSOSを発信。あなたがチャンネルを開いてくれたことで母体名〝ロ〟に仕込まれていたビーコンたる私が覚醒し、何も疑うことなくあの小惑星へ不時着するような催眠をかける……という筋書きでした」
「けど、効かなかったと。だからもう仕方がないから言葉による説得を行おうと出てきた。そんなところか」
「肯定します。このままですとあなたは救難信号を無視し、単なる軍の敵対行動と取って、むしろ全速力で小惑星から離れていってしまいかねませんでした。ですから、母体名〝ロ〟の肉体に充分な弛緩剤を注入することも忘れ、私は急いで出てきた、という次第です」
……う、うーん。
冷静な言葉遣いだけど……つまるところ、とんでもなく行き当たりばったりな行動をしている、ってことでよろしいか?
「えーと……で、あんたは俺達と敵対する気はなくて、そんな爆薬まみれの星から自分を助け出してほしくて、さらに自分の復讐にも付き合ってほしい。そんな認識でいいか」
「肯定します。元より軍を襲撃する予定だったコレクト44はこれを受け入れるでしょう。目的が合致したのならばたとえ敵対組織であろうと仲間として扱い、より強大な敵に立ち向かうのがコレクト44という存在ですから」
「ああ……今までの俺の功績だけを見たら、確かにそんな人物像になるか」
プレイヤーが今までやってきたことは確かにそうだからな。
ストーリーボスの時は大抵「みんなが力を貸してくれる」になるから、一時は敵対していた組織が仲間にくることもザラだったし。
けど。
「アホらし。強大な敵に立ち向かうにあたって仲間が必要になんのは一人でその敵に勝てない時だろ。俺は一人で充分だ。充分な戦力で、宇宙均衡防衛機構軍を潰し切れる。催眠なんて雑魚い攻撃手段しか持たないやつを仲間にする意味はない」
「否定します。催眠は非常に強力な攻撃手段です。人間はもちろん、
「すべてが意のままになるなら自分の中の生殺装置を外せって命令すりゃよかっただろ。……俺にそれが効かないように、軍の一部の人間もまた催眠耐性を持ってるから、そいつらに対しては成す術もない。ちゃんとそう言えよ」
「……肯定します。催眠耐性を前には無力です。中でも第三戦術部隊副隊長エリアーナ・エリードリフには最上位の催眠耐性が備わっているため、私の生殺装置は彼女が握っています」
「あん? ……アエルノの身体にビーコンを仕込めって命令したのは誰だ。そいつか?」
「肯定します。エリアーナ・エリードリフが母体名〝ロ〟にビーコンを仕込むこと、本体の残火に指定惑星でコレクト44を待ち構えることを命令しました」
もし。
もし……ミランダの凶弾で、アエルノが死していたら。
俺は彼女へそこまでの情を持っていないけれど、それでもヒトの倫理観で、どこかの惑星に彼女の死体を埋めに行ったことだろう。
つまり長期間彼女の死体を宇宙船においていた、ということになる。そして、そうなったとしてもビーコンだったこいつは死ななかった。別に栄養を吸ってるとかじゃないっぽいし。
これで……さらにもし、催眠が成功していたら、俺達はアエルノの死体を件の小惑星へ埋めに行っていて……そこで、ドーンか。
目障りな
ふん。
「アピールポイントはそれだけか、残火。人間にも
「肯定します。ですが、それが十二分に強いことは、コレクト44が一番知っているはずです。そして、催眠耐性のある相手に対して無力であるのは催眠行為だけ。たとえば催眠耐性のない者を操り、催眠耐性のある者へ牙を剥かせる……今しがた母体名〝ロ〟と緑の
「それは、今から俺達が爆薬で負う被害と同等の価値を持つ事柄か? 敵に同士討ちが無ければこちらが負っていたであろう被害と同等と言えるか?」
「否定します。確実に残火を擁さぬまま向かった場合の方が被害が大きいです。軍は狡猾であり数がいます。たとえばコレクト44が軍施設内部にいる間、軍は数の暴力でこの宇宙船を襲撃し、
ふむ。そいつはちょっと魅力的だな。
が、足りない。別に宇宙船は自動航行モードにして遠目の宙域を漂わせていればいいし。
「それだけか」
「否定します。コレクト44に軍部を皆殺しにする気が無いというのなら、今後一切コレクト44へ邪な考えを抱かせないような催眠をかけることもできます」
「トップが催眠耐性持ってたら意味ないだろ」
「否定します。現総督はコレクト44に友好的です。また、催眠耐性を持っている場合は苗床にすることでクリアいたします。残火の特徴は確かに催眠ですが、
確かに皆殺しなんてする気はない。というか殺傷武器ないしな。
そういう意味で……可哀想とか激痛とかやられると萎える俺にとっちゃ、催眠は有用、か。
ふーむ。
「残火。あんた、俺に調伏される気はあるか」
「肯定します。残火は生存意欲こそあれど、自由を望んでいるわけではありません。コレクト44のもとで使われる生も肯定することでしょう。コレクト44が軍と同じような悪性に染まらない限りは」
ま、こんなところかね。
「わかった。──んじゃ、俺はこいつを助けにいく。クチナシ、ミニヨモギモチを操られて思うところあるだろうけど、今は飲み込んでくれ」
「……ええ」
「残火を調伏したら、一回あんたに預けるからさ。好きに犯し尽くすといいぞ」
「そうね。……そうする」
クチナシの顔から怒りは消えていないけれど。
まぁ、そういう禍根は本人同士じゃないと解決できないものだ。ミニヨモギモチは「気にしてませんよ~」とか言っちゃいそうだし。
アエルノは……ま、自覚があるかどうか、だろうな。
「船はこの辺りを泳がせておく。残火、出るぞ。案内してくれ」
「肯定します。では──」
さて。
横暴且つ傍迷惑極まりないお姫様を爆薬の星から救い出しに行きますかね。