だからイム、お前も変態にならないか?
あ、上裸だからもう変態か。ごめん。
「ありがとう。本当にありがとう」
「ありがとう、ポリュノクスさん」
ポリュノクスの目の前で、美しい白髪と艶やかな黒髪がさらりと肩から流しながら二人が頭を下げていた。
「気にするな」
ポリュノクスは膨らみそうになる股間を気合で押しとどめ、優しく見えるように微笑む。
するとロビンはほんのりと頬を赤く染めながらポリュノクスの顔を見つめ、オルビアにバレないくらい小さく股をもじもじさせ始めた。
オルビアも頬を赤くしながら見ていたが、すぐに視線を逸らしてキリっとした表情へと戻る。
「さて、しばらく母娘二人で話をしたいだろう? 衣食住に関しては俺が見るから、この屋敷で気の済むまで話しておくといい」
「……そうね、色々と、話したいことがあるわ」
「私も!」
母の笑みを浮かべるオルビアだが、顔にほんの少しだけ影がかかっている。
まあどういう理由かは分かるが、それはまた後で良いだろう。
「そんじゃ、俺は用事があるからしばらく二人で留守番していてくれ」
「えっ、どこかに行くの?」
ポリュノクスが背中を向けて歩き出そうとすると、寂しそうな声でロビンが話しかけてきた。
「すぐに帰る。だから二人で待っててくれ」
ポリュノクスが振り向かずに言うと、ロビンが小さく「うん」と呟くのが聞こえた。どこに向かうのかも聞きたいのだろうが、賢いロビンのことだ。何かを察して「いってらっしゃい」と小さく手を振った。
「お母さん。話したいことがいっぱいあるの」
「ええ。聞かせて欲しいわ」
背後から聞こえる母娘の声を聞きながら、ポリュノクスは自身の船へと向かっていく。
二人の姿が遠くなったころに、オルビアの「えぇ!?」という驚きの声が聞こえてきたが、一体何を伝えたのやら。
クールそうなオルビアでもこんな声を出すんだな、と思いながら歩いていると、いつのまにか船へと到着していた。
ポリュノクスはすぐに出航の命令を下し、命令を聞いた臣下たちはてきぱきと動き始める。
部屋で寛いでいると船が出航し始め、あっという間に島の気配を感じなくなっていった。
****
聖地マリージョア。神と称される世界の嫌われ者"天竜人"の住まいにある"パンゲア城"に、ポリュノクスの姿はあった。
「それで、聞かせてもらおうか」
ポリュノクスの目の前に座るのは"世界最高権力"の持ち主、"五老星"の面々。
「便利だからだよ。じいさん達も便利な駒は使いたいでしょ?」
「それはそうだが……」
「お前の首輪嫌いは知っているが、だからといって魚人まで首輪を外すのは……」
「とても問題だ。何度も何度も、お前の奴隷を欲しがった天竜人によって諍いが起こっている」
五老星によると、ポリュノクスの
「別に問題ないじゃん」
「諍いを止めるこちらの身にもなれ」
「何度お前の奴隷を処刑しようとする天竜人を止めたと思っている」
「せめてお前の奴隷だとわかるような目印を身に着けさせろ。全員にだ」
五老星たちは全員、否定してくれるなよという雰囲気を醸し出している。
まあ受け入れても何の問題もないので頷くと、五老星たちはあからさまにホッと一息吐いた。
「目印を決めたら我らに伝えろ」
「目印は必ず見える場所に着けさせろ」
「わかったな?」
なんかそういう訓練でもしているのだろうか? それぞれで言葉を繋げてくるので、話の内容よりそちらが気になってくる。
ただそんなことを聞いたら「何言ってんだお前は」みたいな反応を、言葉を繋げて言ってくることだけは予想できた。
「分かった」
「よし、用件はこれだけだ。帰っていいぞ」
一応は目上なので丁寧に一礼してから部屋を出て行る。
目印っつてもなぁ、何にするか。
ポリュノクスが部屋から去り、パンゲア城からも気配が遠のいていった後。五老星たちは神妙な面持ちで会話をし始めた。
「……本当に10代か?」
「既に調べただろう」
「だが他者へ礼をし、首輪を嫌う天竜人なんて見たことがないぞ」
「いや、前にもいただろう? ほら、同じドンキホーテの」
「ああ、下界へ降りた者か」
「……ドンキホーテには変なのしか生まれないのか」
****
「にしても印かぁ。どうするかね」
パンゲア城から離れた場所。天竜人の住宅が並ぶ道を歩きながら、ポリュノクスは印をどうするか考えていた。
まず首輪はNGだ。可愛い女の子に首輪が付いているのはプレイとしてはいいが、ずっと付けていると首に痕が残ってしまいそうだ。それにとても良くない。
となると身に着けられる装飾品だろうが、これも誰かに奪われれば面倒なことになる。
白ひげを見習ってタトゥーも有りかと思ったが、男はともかく女の子の身体に刺青は入れたくない。
いや、入っている女の子も好きだが。
「うーん……やっぱ装飾品しかないか。デザインとかは追々考えよう」
なるべく真似されづらく、一目でポリュノクスのモノだと分かる装飾品。
取られるのは、まあ仕方ない。能力を使えばどうとでもできるが、配る装飾品一つ一つを加工するのは面倒すぎる。
(デザインはテゾーロに任せるか。そういうの得意そうだし)
そうと決まれば早速、と国へ戻るために船へと向かう。
「バハルズ、テゾーロに繋いでくれ」
「ハッ、こちらに」
船へ着くとバハルズがいたので命令すると、懐からスッと電伝虫を差し出してきた。
こいつ、見聞色で未来予知でもしているのか?
「……ポリュノクスさん? どうしましたか?」
「……さすがだな」
電伝虫からはテゾーロの声が聞こえてきた。思わずバハルズのことを褒めると「恐縮です」と頭を下げた。
「テゾーロ、君に頼みがある」
「……はは、あなたの頼みならば喜んで受けますよ。なにをすればいいので?」
ステラの愛情値を上昇させて寝取ることはしない。ただしテゾーロの忠誠値は上げる。そのおかげか、こうしていつでも頼みを受けてくれる便利なテゾーロの完成だ。元々ステラを救ったという恩義もあったおかげか、あんまり弄らなくても勝手に上がってくれていたので助かった。
「なに、爺達から奴隷に分かりやすい目印を付けろと言われてな。そのデザインを頼みたい」
「分かりました。幾つかの案を出しておきます」
「ああ、そっちに戻ったら決めさせてもらう」
これで戻るころにはいくつものデザイン案が並べられている事だろう。
どうせならステューシーやロビンにも何か贈るか。
……でも二人ともそういうのに興味なさそうなんだよな。
「それではさっそく纏めてきますので、これで失礼します」
「ああ、頼んだぞ」
「はい、お任せください」
頼もしいテゾーロに満足しながら電伝虫を切る。ガチャリ、と独特の音を出しながら切れた電伝虫をバハルズに任せ、ポリュノクスは自分の部屋へと向かっていく。
(さて、帰ったらデザインを決めて、オルビアを頂くか)
早くあの肢体を楽しんで、ロビンとの親娘丼を頂きたい。
人妻とヤるのは趣味じゃなかったが、原作キャラだとこうも燃えるとは。
やはり神の作ったキャラはすごいな。
(オルビアの次は……時期的に和の国に行かなきゃならんか)
もう少しでおでんとカイドウが戦い、ヤマトがおでんに憧れを抱くころだ。できればおでんに憧れを抱く前に止めたいが、止めてしまうと僕っ子の自称おでんが誕生しない問題がある。
(あれはあくまで憧れであって、初恋ではないってことに賭けるしかないか)
ヤマトは自身を男だと思っているからこそ、温泉で男湯に入ったり、もものすけを服の中に隠しても恥ずかしさを覚えることはない。それにおでんを自称するヤマトじゃなかったら、それはヤマトとは呼べないだろう。
「ま、なんとかなるか」
もしもおでんを恋愛的な意味で好きならば、その感情よりもさらに上へと操作すればいいだけだ。
やはりこのチート能力は凄まじいな。
ポリュノクスは心の中で神に感謝を伝えながら、自室の扉を開けて中へと入っていった。
****
「ねえ、ロビン。あの人とはどういう関係なの?」
ポリュノクスが去った後、オルビアは娘であるロビンへと質問した。
娘が彼を信頼していることはよく分かっている。
だがなんとなく、娘が彼を見る目には信頼だけではない感情が含まれている気がしていた。
「えっ、えっと、あのね」
オルビアの考えは頬を赤く染めながらじもじとしだした娘で確信へと近づいていき、次の言葉で驚愕に染まった。
「お、お嫁さん、なの」
「……え?」
思わず自身の耳を疑ってしまう。
お嫁さん、とはどういう意味か。今一度脳内で何度も考えるが、答えは1つしか見つけられない。
つまり、娘とポリュノクスは夫婦だということを。
「え、えぇ!?」
オルビアは手を口元へ添えるのも忘れて目を見開く。
自分が生きていることが分かった時を上回る、人生一の驚愕が身を染めた。
(ふ、夫婦? ち、小さい娘が好きっ、てこと?)
オルビアはすぐに自分の身体を見下ろす。
つま先が見えないほどの大きな胸、娘よりも高い身長、引き締まったウエストにくびれた腰。
娘とは違う大人の身体がそこにはあった。
「? お母さん、どうしたの?」
あまりのも呆然とし過ぎていたのか、ロビンが首をかしげてそう言った。
すぐに気を取り直し、何事も無かったかのように口を開く。
「っ、……お嫁さんになったのよね?」
「そうだよ!」
ほんの少し会話したポリュノクスは、かなりまともに見えていた。
だが彼は
マトモに見えたからといって、8歳の娘を嫁にするのはしっかりとした天竜人だ。
もしかしたら何かと引き換えに。例えば自身の安全や自分……母親の命で脅されて、無理やり婚姻した可能性もあった。
だが彼の話をする娘の顔は無理やり妻にされたようには見えず、オハラで出会った時よりも幸せに満ち溢れていた。
(無理やりじゃ、ない。……本当に好きなのね。あの人のこと)
胸にちくりとした痛みが走る。
「……ロビン」
「なぁに?」
「今、幸せ?」
「うんっ!」
ロビンはオルビアの顔を見上げながら、輝くような笑みを浮かべた。
(……今更母親として娘の選択を止める権利はないわ、ね)
過去、真実を追い求めるために海へ出たのを間違っていたとは思いたくない。
だが、娘を置いていったことは間違いだった。
オハラでロビンと出会ったあの日、そう思ってしまった。
オハラの意思を、失わせるわけにはいかない。必ず歴史の真実を知り、皆に伝えなければ。
それでも今だけは、ロビンと共に生きてみたい。
ポリュノクスによって与えられた第二の人生。今度は学者ではなく、母親として。
「ロビン、あの人のこと、もっと教えてくれる?」
「いいよ! あのね、最初はね」
娘の口から語られる悲しい現実。
ポリュノクスとの出会い。
恋心を自覚するまで。
ステューシーという第一夫人と出会い、背中を押されて妻になるまで。
全てを聞き終えたオルビアの胸中に、ある1つの想いが湧き上がり始めた。
それは本の中に閉じ込めて、棚に仕舞おうと思っていた想い。
脳裏に思い浮かぶ彼の隣で、ロビンと共に立つ自分の姿。
(……私も、なれるかしら?)
難産でした。
オルビアは安産型っぽい。