バッカニア族っぽい奴隷をよく分からない天竜人から貰って数日が経った頃。やっとあの奴隷の目が覚めたとの報告を受けた。
あれだけボコボコにされてたのだから仕方がないんだけどどんだけ寝るんだよ。いや、仕方ないんだよ? 仕方ないんだけどさ。
部屋で寛いでいる時に目が覚めたとの報告を受けた俺は奴隷が治療されていた場所へと行ってみるとそこには確かに目を覚ました奴隷の姿があった。土下座してたけど。
「…とりあえず、君の主人は僕になったよ」
「…はい」
土下座してるバッカニア族っぽい奴隷に主人が変わったことを伝えると小さい声で返事をしてきた。にしても大きいな。土下座してるのに俺より大きいぞ。
「あー、君の名前は?」
「クリップです」
どうやらこの奴隷の名前はクリップというらしい。クリップって言われると前世のアレを思い出しちゃうな。あの、止めるやつ。
まあそれはいい。
「さて。君は今日から…というか数日前から僕のなんだけど」
「…」
俺の言葉を静かに聞くクリップ君の感情を見聞色で感じ取ってみるとどうやら恐れを感じているみたいだ。まあ、天竜人の主が変わったからといって事態が好転することはまずないからそれも仕方がないけど。
「僕は別に君へ酷いことをする気はないよ」
「…え?」
俺の言葉を聞いたクリップ君はつい、と言った感じで言葉を発してしまったようで慌てて頭をさらに深く下げた。
「言葉通りの意味さ。僕は別に君を突き刺したり銃で撃ったりはしない。もちろん他の天竜人にもさせない。なにせ君は僕のモノだからだ」
「…」
俺の言葉を静かに聞くクリップ君。とりあえず一つだけ、バッカニア族なのかどうかを聞いてみるか。
「そういえばクリップ君。君ってバッカニア族かい?」
「…わかりません」
ほう、わからない。俺が見た感じだとバッカニア族っぽいんだけど…実際自分がバッカニア族かどうかを知る方法なんて親に聞くしかないから知らないこともあるか。バッカニア族って生まれた瞬間から奴隷になるらしいし、親と一緒の場所にいたバーソロミュー・くまが少し幸運だっただけなのかな。…幸運だったのかな?
「そうかい。ああ、別に違うからと言って何かするつもりもないよ、ただ気になっただけだからね」
念のため違うからと言って対応を変えるわけではないことを伝えておく。
「さて、とりあえずこれだけは聞いておこう。君の前には二つの選択肢がある。一つ、下界に帰ること。この選択肢を選んだのならば君を下界に帰してあげよう」
「…!!!」
俺の言葉を聞いたクリップ君は思わず顔を上げて信じられないと言いたげな表情で俺を見てから慌ててもう一度下をみた。なんかこいつかわいいな。
「二つ目。僕の臣下になってほしい。僕のために働くってことだね。もちろん給料は出すよ」
二つ目の選択肢を言うとクリップ君は悩みだした。正直マジかという思いがある。普通天竜人に「臣下になれ」とか言われて悩むことあるか? まあ、俺が治療も命令したことは医師が伝えていることは知っているけどさ。
「…しんかってなにをすればいい…ですか?」
「ふむ。君に何ができるか分からないから色々挙げるが。まず護衛だね。僕が外に出たりするときに守ってほしい。他には身の回りの世話…執事みたいなもんだね。まあ、そこらへんは君が臣下になってからできることをすればいい。できないことは他の人物に任せるし」
俺が臣下に求めるのは色々あるが一番は戦力ってことは言わないでおこう。正直、俺はCP0に命令するのは極力避けたいから自分だけの戦力が欲しいんだ。
護衛をさせつつ情報収集もできる上に俺への忠誠心が高い集団。そんなのが作れればこれから先かなりやりやすくなるだろう。
「…ぼくをたすけてくれたのは…そのためですか?」
「ん? ああ。まあそうだね。別に下界に下りるって選択をしてもいいぞ? その時はしっかり下界に送ってあげるからね。まあ、送ると言ってもシャボンディ諸島までが限界なんだけど」
「…」
一応シャボンディ諸島までしか送れないことを伝えておく。まだ子供の俺が一人で遠出することはさすがに親が許してくれ無さそうだし。
「…しんかに、なります」
「ほう? いいのかい?」
俺が一人で考え事をしている間もクリップ君はずっと悩んでいたようだったがついに結論を出したみたいで、どうやら俺の臣下になってくれるらしい。
「はい。あなた、ぼくをたすけてくれました。だからこんどはぼくがまもります」
念のため本当にいいのか聞いたんだが…マジっぽいな。
「そうかい。じゃあこれからよろしく、クリップ君。僕の名前はポリュノクス。ドンキホーテ・ポリュノクスだ」
「ポリュノクス…さま。たすけてくれてありがとうございます」
臣下になってくれるとのことなので改めて自己紹介をしておくと、クリップ君が俺の名前に様付けしてくれた。そういう知識はどこで得たんだろう? 偉い人には様付けしろとか言われたのかな。
「なに、君を助けたことで君が手に入るならやってよかったさ。改めてこれからよろしく頼むよ、クリップ?」
「はい」
よーしよしよし、俺だけの臣下を手にしたぞ。まあ、クリップ君が一人目ってわけじゃないんだけど嬉しいな。
ただ、クリップ君はなんにも知らなさそうだがそれはこれから教育していけばいい。なにせ俺は天竜人! 知識を持っている者だろうがなんだろうが呼べばいいんだから。
とりあえずは勉強をさせるか。話し方的に勉強とか全然していなさそうだし。
その後は本人にやる気があるのならば戦い方だ。これは俺に教えることはできないから…そうだ! 海軍に入れればいいじゃん! 海軍なら戦闘も訓練も濃いのができるだろうし。そうと決まれば早速海軍に連絡!…の前に勉強だな。それが済んだら海軍に行ってもらって実戦的な訓練をして貰うことにしよう。
あとは…クリップ君の思考をちょっと覗いてみようかな。うんうん、忠誠心が少しだけあるね? あとは恩義かな。まあ、助けたからだろうけど。これからこの数値を少しずつ上昇させていって忠誠心マックスのクリップ君にするとしよう。
俺の計画がどんどん形になって行く。おかしいな? 俺はこの世界で女性キャラにエロイ事をしに来たはずなのにいつの間にか軍隊を造るゲームをしている。
この際だし国でも運営しようかな? 天竜人を王にして今の国王を代理の王にする代わりに政府加盟国に入れてやるって言えばどっかの国がおっけーするんじゃないか? ちょっと五老星に聞きに行くか。
…3歳児だとさすがにアレだからもう少し成長してからにしよう。