クリップ君を臣下にしてから一年が経った。あれからも何人かの奴隷をオークションで買ったり他の天竜人から貰ったりしつつ順調に俺だけの軍隊が出来上がりつつある。その中でもかなり有能な人物を紹介しよう。
まずはクリップ君。この子の年齢を聞いてみたんだけどなんと驚きの8歳だった。どうりでなんか幼いわけだ。…俺より年上なんだけどね。
クリップ君だけどあの後勉強をさせてみたら意外と地頭は良かったみたいであっという間に賢くなってしまわれた。あと、本を読むのが趣味になったみたいでよく本を読んでいるのを見かける。
最近じゃ航海術とか造船技術についても勉強しだしていて一体何を目指しているのかが全く分からない。
戦闘能力に関しては生来の腕力の強さでかなり強いと思うが、本人の心根が優しいのであんまり他者に暴力を振るいたくは無いらしい。
ただ、俺への忠誠心はこの一年で既にカンストしているため、俺に敵対する相手には容赦なくぶん殴っているの見た。
あれはシャボンディ諸島での出来事じゃった…わしが飯を食べている近くでどんぱちやりだした海賊がいてのぉ。その海賊が煩いもんでつい「うるさいなあいつら」って言ったらクリップ君が優しい顔で立ち上がって少し席を離すと言ってから外に出て海賊たちをボコボコにしておったのじゃ。
残念ながらわしには見聞色の覇気があって何が起きているのかがわかってのぉ…クリップ君は素の身体能力だけでかなり強いことがわかったのじゃ。
まあ、海軍には入れようと思ってるけど。
クリップ君の話はここで終わりにしてもう一人紹介しよう。そいつの名前はバハルズ。こいつも天竜人のおもちゃにされていたのを譲ってもらって治療して臣下にしたんだけど、どうやらこのバハルズ君は元海賊だったようだ。
しかもしかも! 能力者だったのだ! 初めて見たから思わず興奮しちゃったね。どうやら動物系古代種モデルティラノサウルスの能力者らしい。
ティラノサウルスだぞティラノサウルス! もう興奮したね。別名のT-REXにはトカゲの王の意味もあるほどすごい恐竜だ! とも思ったけど、たしか少し後の時代でハナフダって言う海賊の異名がトカゲの王じゃなかったっけか。
…本来、バハルズは死んでてこのハナフダに能力が移ったんだろうなぁ。
そんなことはどうてもよくて。バハルズは元海賊で懸賞金1億6600万ベリーだったらしい。なんでそんな大物が天竜人の奴隷になっとるねんと思って聞いてみたら、どうやら仲間を逃がすために殿になって戦って勝ったんだけど、そんな疲れ切ってた時に海楼石の網を使われて捕獲されたらしい。
仲間を逃がそうとしたってのは高評価ポイント! それに、懸賞金に関しても政府に事件の犯人にされただけで本人たちは街を襲ったりはしていなかったらしい。
う~ん、政府クソだな。
これが二人目のバハルズ君だ。ちなみに年齢は24歳。バハルズ君は主に身の回りの世話をしてくれているがもちろん戦闘能力も素晴らしい。どうやら覇気を知らなかったようなので教えてみたらこの一年で覚えていた。
以上が特筆すべき俺の臣下だ。他の人物もいい感じなんだけどこの二人にはさすがに劣るね。
さて、そんな俺は暇すぎて編み出した日課の散歩をしていると見たことのある人物が必死に逃げているのを見つけた。あれって未来の41歳じゃね?
確かマリージョアに帰るために父親の生首を手に持って来たけど殺されそうになってるんだっけか。国宝の事に関してはマジでどうでもいいんだけどここで恩を売ることは悪い事ではないか。
そう考えたポリュノクスは逃げる未来の七武海であり一応は親族であるドンキホーテ・ドフラミンゴへと声をかけることにした。
「あんた、ドンキホーテの人?」
「っ!!誰だえ!」
声を掛けられたドフラミンゴは警戒しながらも自分の家名を言ってきたポリュノクスを睨んできたのでポリュノクスは近づかずにその場で語り掛ける。
「ドンキホーテ・ポリュノクス。僕はあなたが下界に下りるのを見ていました」
「っ!じゃあ!おれを天竜人に戻してほしいえ!」
うん、原作通りのドフラミンゴだな、とポリュノクスは再確認する。そしてドフラミンゴの要望だが…残念ながら俺では叶えることはできない。なにせ俺はただの天竜人であり、さらに4歳児。父上にドフラミンゴを養子にして貰うようにお願いすることはできるが恐らく嫌だと言うだろう。
いくら俺にダダ甘と言えど下界に下りた元天竜人を養子にしようと思うほどいい人ではない。
「それは難しいね。僕はただの子供だから」
「っ!!…おまえ、何歳だえ」
「僕?僕は4歳だよ。あなたは?」
「4歳!? …おれは10歳だえ」
ポリュノクスの返事を聞いたドフラミンゴは一瞬怒りが出てきそうになったが堪えてポリュノクスへと年齢を聞いた。なのでポリュノクスは自分の年齢を言うと共にドフラミンゴの年齢も聞き返した。
これで現在の年代が31年前であることはもう疑いようがないな。31年後にはあの41歳になるのか。
「僕にはあなたを天竜人に戻すことはできないけどここから逃がすことはできるよ」
「ほんとうかえ!」
「うん。その傷は恐らく襲われたんでしょう? ついでに服もあげるよ」
「でもっ…下界になんて戻りたくないえ!」
今まで天竜人や下界の人間にボロボロに言われてきたドフラミンゴはポリュノクスの優しい言葉になびきそうになるがその申し出を受けてしまったら天竜人に戻れないことに気が付く。
「でも、ここにいたら殺されちゃうよ?」
「っっ!」
「とりあえず生きなよ。…バハルズ!」
「はっ、ここに」
「!?」
ドフラミンゴへと言葉をかけたポリュノクスは自分の臣下であるバハルズの名前を呼ぶと、先ほどまでいなかったはずのポリュノクスの数歩後ろの位置に巨漢の男…バハルズがいつのまにか現れていた。
「とりあえずそうだな…金と服をカバンに詰めてこの人の行きたいところまで送ってきてくれ」
「畏まりました」
ポリュノクスがバハルズへと用件を言うとバハルズは渋い声で了承の返事を返す。
「お、おい! そいつはなんだえ! 奴隷かえ!」
「奴隷と言えば奴隷だね」
「どうして奴隷にそんな恰好させてるえ!」
バハルズの身に纏う服は奴隷とは思えないほど高価で上質な服だった。それもそうだろう。自分の臣下で自分に忠誠心を抱く自分の物を汚らしく置いておく奴がいるだろうか?
「僕に忠誠を誓ってるからさ」
「忠誠…? なんだえ?それ」
天竜人たるドフラミンゴはそんな言葉を聞いたことがなかったようでポリュノクスへと聞き返す。
「忠誠心。僕のために命を捨ててもいいと思う覚悟かな」
「命を…捨てる…」
「そうさ。僕へ忠誠を捧げる僕の物だ。だから僕は高価な服を与えるし本だって与える。それが僕のためになるからね」
忠誠を知らないドフラミンゴへとポリュノクスは自分なりの忠誠というものを伝える。まあ、本当はもう少し主が間違ったことをした時に諫めることができるのを真の忠臣と言うものだと教えようと思ったがそこまで言う必要はないだろう。
「…じゃあおれも忠誠をささげればいいのかえ?」
「ふむ」
ポリュノクスの言葉を聞いたドフラミンゴがとんでもないことを言ってきた。まあ、ここでドフラミンゴという男を臣下に加えるってのは正直有りだ。なにせドフラミンゴと言えば王下七武海にしてドレスローザの国王もやっていた人物だからだ。
ただなぁ、ドフラミンゴが誰かに忠誠を抱く姿が想像できないと言うか…というか今も忠誠心がなんなのかわかってなさそうだし。
「まあ、君が僕の臣下に…つまり下に付くと言うのならばいいよ」
「っ!じゃあ!」
「でも君、僕に忠誠を捧げれるかい?僕が死ねと言ったら死ねるかい?」
「っ!」
4歳児に難しい事を言われる10歳児という絵面だがポリュノクスとしてはかなり真面目だ。確かにここでドフラミンゴを得るのは嬉しいがドフラミンゴには世界から与えられた役割が存在する。
そして、ドフラミンゴが俺に忠誠心を抱くことはありえないだろう。植え付ければいいんだけどなんかすぐに下がりそうだ。
「それに。君は誰かの下に付くより上に付くべき人間だろう。現に君の下に付きたいって人物がもういるんじゃないのか?」
「っ!…いるえ」
念のためここでも確認だ。既にヴェルゴとかと会っているのかだ。結果としてはドフラミンゴの返答的に会っているだろう。
「じゃあその人の元へ帰って王になるといい。それでもまだ天竜人に戻りたいと言うのならば…協力しようじゃないか」
「本当かえ!」
とりあえずヴェルゴの元へ戻して41歳になって貰おう。天竜人になる方法に関しては良く分からないが原作でもベガパンクの内の一人である
「ああ。僕の方でも天竜人になる方法を探しておこう」
「…わかったえ」
「うん。それじゃあ急いだほうがいい。もう少しでここに君を殺す人たちがやってくるからね」
「っ!!」
とりあえずこっちでも天竜人になる方法を探しておくことをドフラミンゴへ伝えてから周りを見聞色で探ってみると、完全に殺意丸出しの人物たちがこちらへ近づいて来るのに気が付いたのでドフラミンゴへ忠告をしてからバハルズの名前を呼ぶ。
「バハルズ」
「はっ。既に用意はできております」
「そうか。じゃあこの子を連れて行ってくれ。君、僕の臣下に付いていくといい。安全に送り届けてくれるだろう」
バハルズの名前を呼んでみると既に準備が整っていたらしい。さすがに有能だな…こいつ、本当に海賊だったのか? 学んだのは礼儀作法だけだと聞いたんだけど。
「…最後にいいかえ?」
「なんだい?」
バハルズの有能さに疑問符を浮かべているとドフラミンゴが…まだ自己紹介してないからドフラミンゴって知らないんだけど。ドフラミンゴが俺に話しかけてきた。
「天竜人は…人間かえ?」
「君の父親の考えだね。僕の考えとしては…どうでもいいね」
「どうでもいい?」
「うん。だって、人間だろうがなんだろうが僕に忠誠を誓うなら僕の物だからね。それ以外はどうでもいいかな」
これはポリュノクスの本心だ。正直他の天竜人が何しようがどうでもいい。俺は俺のやりたいことをやるためにこの世界に転生してきたのだから。
ちなみに俺はドフラミンゴが下界に下りる時にはいなかった。当然でしょう? だって俺その時二歳だよ? さすがに無理だ。まあ、ここで嘘言ってもバレないだろうから言ってるけど。
「僕に従うならば利益を。従わないならば何もしない。ただ、それだけだよ。人間かどうかなんてどうでもいい」
「従うなら利益を…」
何かを考えこむドフラミンゴ。これは…なんかダメな影響を与えちゃったのだろうか? 原作通りのドフラミンゴになるよね? もしかしてここ一年の間に取った
「さ。そろそろ行かないと本当に殺されちゃうよ」
「わかったえ」
そうしてドフラミンゴはバハルズに連れられて行った。まあこれでドフラミンゴの過去に入ることができたし恩も売ることができた。もしかしたらドフラミンゴの夢が変わるかもしれないけど…その時はその時だ。
ドフラミンゴを見送ったので俺はその場から離れることにする。絶対に面倒なことになるし。
さて、天竜人になる方法でも探すとするか。俺にとってドフラミンゴは好きな悪役なんだ。
♢
リク王の乱心があってから数日後、ドレスローザの一室で一人の男が眠りから覚めた。
「…懐かしい夢だ」
男の名はドンキホーテ・ドフラミンゴ。現七武海にしてリク王の乱心を納めて新たなドレスローザ国王になった海賊だ。
ドフラミンゴは今見た夢を思い出して懐かしいなと感じた。なにせあの夢の出来事があったのは十数年は前のことだったからだ。
あの時出会ったポリュノクスという天竜人の言葉には不思議な魔力があった。言うなれば…カリスマとでもいうべきか。
あの時のドフラミンゴは間違いなく荒んでいたはずなのに冷静に彼の言葉を聞けたのが彼の凄い所だろう。
あの後、彼の臣下というバハルズという男に送り届けられる際に話しかけてみることにしたのも彼の影響だっただろう。その時以前のドフラミンゴが奴隷に話しかけるなんてあり得ないからだ。
その時にバハルズという男から聞いた言葉は…ポリュノクスが語った"忠誠を抱く"ということがどういうことなのかを理解するのには十分なほどだった。
そして、自分ではその忠誠を抱くことはできないだろうと理解した。あそこまでの忠誠心を抱かせるポリュノクスの凄さに驚愕しながらも帰った先でドフラミンゴはトレーボル、ディアマンテ、ピーカ、ヴェルゴの王になることにした。
だが、前までのドフラミンゴではない。四人が驚くほどの変化を遂げたドフラミンゴはポリュノクスの言った言葉を思い出す。
──従うならば利益を。従わないならば何もしない。
この言葉に感銘を受けたドフラミンゴはその通りにした。自分に従った者には最大限の利益を与え、逆に従わなかったものには一切の利益を与えずに隔離した。
するとどうだろう? ドフラミンゴの組織からの利益を一切与えられないことが上層部のせいだとわかった組織がどんどん瓦解していき最終的にはドフラミンゴの組織へと吸収された。
ドフラミンゴ自身は何もしていないのに、勝手に組織に吸収されるのだから笑いが止まらない。
そうして大きくなったドフラミンゴはついにドレスローザという国を乗っ取り、正真正銘の国王となった。
ポリュノクスが言った言葉「王になっても気持ちが変わらないなら天竜人に戻るのを協力する」。
この言葉を思い出しながらドフラミンゴは自分の気持ちが一切変わっていないことを再確認して傍にあった電伝虫へと手を伸ばした。
そうしてかけたのはもちろん…。
「ぷるぷるぷる…ぷるぷるぷる…がちゃ。…誰だ?」
「俺だ…ドフラミンゴ。ドンキホーテ・ドフラミンゴ。久しぶりだな、ポリュノクス」
どふぃは好きな悪役だけど倒されてこそ美しい悪役もいるえ
あと、頭の良さそうな会話を書くのはむずかしいえ。わちきの頭の出来は別によくないえ。だから変な所があったらおしえてほしいえ