※この作品はR-18です。

ふたなり短編集   作:宇佐きりん

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入ることすらままならない

 

 

 エロトラップダンジョン、とはなんともお笑い草な名前ではないか。

 普通のダンジョンにだってトラップは存在するし、一度踏んでしまった日には裂傷で済めば御の字、毒を喰らい火で炙られ、時には石の中にぶち込まれて有機物とすら言えないぐちゃぐちゃの構造物と化すことさえある。

 率直に言って、ダンジョン内で最も死に直結しうる存在とはトラップなのだ。

 

 トラップとは、踏んだら被害を被る罠、ではない。

 そもそも踏むことなどあってはならないものである。

 

 であれば、エロトラップダンジョンなんて名前に一体何の意味があるというのか。

 精々踏んだらおしまいの罠の中身が、死傷を齎すか性感を齎すかで変わった程度。攻略の第一原則が”トラップを踏まない”であることに変わりないのなら、それは畢竟、普通のダンジョンとの間にさしたる差が無いことになる。

 

 それに加えて、"エロ"の接頭語の通り喰らってもただ性的な目に遭うだけで済むトラップとは。

 安い。安すぎる。

 生き地獄のような快感を無理強いさせられるかもしれない、嬲りものにされるかもしれない。

 それでも、普段から死と一歩隣り合わせの迷宮を潜っている身としては、踏んだ代償が命でないなら安いもんだろうと、どうしてもそう思ってしまうのだ。

 

 あたしはミュール。

 ダンジョン攻略のためであれば羞恥心を捨てる覚悟も、尊厳を切り売りする覚悟だってできている。

 だけど、ベテラン冒険者のプライドにかけて、そんなトラップなんぞに引っ掛かってやるつもりはない。

 

 

 

 

 

 

「気付け薬、よし。忘我のランタン、よし。魔祓いのガラス片……よし」

 

 ポーションベルトをまさぐりつつ、突入前の最終チェックを片付けていく。

 エロトラップダンジョンには、触手やスライムといった物理的快感を与えてくる連中とは別に、チャーム、媚毒ガス、混乱、退行、認識改変などなど……精神を蝕む攻撃手段がとにかく多いと聞く。だから、それらへの対策は入念に整えた。

 特に忘我のランタンなんかは、普段から愛用するお気に入りの一品だ。

 使い方は簡単、ランタンを顔のすぐ前に掲げて中の光をじぃーっと覗き込むだけ。

 ガラスケースの中にはぼんやりと発光する黄色い珠があるんだけど、コイツには精神誘引作用がある。だから覗き込んだりなんかすれば、それこそ幻覚でも見ているかヤクでもキめてるかのような感じに意識がぽやっと解け始めるんだけど、その代わりにあらゆる精神攻撃を上書きできる優れモノだ。サキュバスやマインドフレイヤーを相手取る時に重宝するし、同じ理論で今回も役に立ってくれるだろう。ただし長時間の使用は依存を招いて、光を眺めるだけの廃人にもなりかねないので使いすぎには要注意だ。

 トラップを踏んでいるようでは二流……と言えども、ベテラン冒険者たるもの万が一への対策を怠ったりもしないのだ。

 驕れる者久しからず。

 そういう油断が生死を分けるのを、あたしはよぉく知っている。

 

「ベルトの緩み、なし。……さて、こんなもんかなっと」

 

 確認を終えて顔を上げると目当てのエロトラップダンジョンが視界に入った。

 切り立った崖の一番下、無駄に小洒落た紋様の石の扉がその入口である。

 

 そして、扉の周囲には赤い壁。

 まるで吹き出る瘴気を堰き止められなかったとばかりに、それは本来剥き出しの岩肌であるはずの壁を侵食し、血と肉の色をした壁としてぬらぬらと扉の周りに広がっているのであった。

 

「初めてお目にかかったけど……これは確かに、気色悪いと言うか……」

 

 柔肉で構成された壁。

 壁にしては些かグロテスクすぎ、そして異様に艶めかしい、ある種エロトラップダンジョンのシンボリティックな存在でもある肉の壁。無機的に佇む有機物。

 中に入れば右も左もこんな壁が続くのかと思うとおどろおどろしさにげんなりさせられるが、例えば石の扉自身が侵食されていないように、ダンジョン内の全てが肉壁で成り立ってる訳ではないそうだ。フロアや部屋ごとに石壁と肉壁が入り乱れる構造は中々に混沌としているとのこと。

 そしてまた、時に肉壁は菌床のような役割を果たし、大量の触手を蔓延らせることもあるそうだ。それもまた、如何にもエロトラップダンジョンらしいと言えば、らしい。

 

 幸いにして、入口の外に滲み出た肉壁が触手を生むことはないようだ。

 見た目のエグさとは裏腹に、この壁自体には大した危険性は無いと聞いている。酸を吐き出すこともなければ、媚薬成分が滲み出てることもない。見るからに瘴気でも放ってるような存在感を除けば、壁はただの壁だった。

 とは言え、せっかく安全なところで観察できるなら、もう少しその特性を確かめておきたいというのも冒険者の性。知らない情報の一つで足元を救われるなんてことはしょっちゅうある。

 そんな思いから、突入前にまず、あたしは肉の壁の調査に取り掛かることとした。

 

 

 

 

 仄かに甘い匂いがする。

 

「……この肉の匂い?」

 

 媚薬成分は無いと言うが、ダンジョン内という閉じた環境であれば濃密になった甘い匂いは幾らか思考に影響を及ぼすかもしれない。

 鼻をすんすん鳴らしつつ、間近の肉壁を矯めつ眇めつ眺めていく。

 鮮やかなピンクと、黒ずんだ赤の斑模様。凸凹とした突起や襞が錯綜した溝を作り上げ、全体的に粘膜質で覆われていててらてらとした光沢があった。

 生き物でこそないと思うが、脈打つような動きにぐじゅぐじゅとした微細な蠢きは、なにかの生体反応を模してるみたいでいやに生々しさで満ちている。

 

「露出してる生肉……って感じ」

 

 そんな生肉がまあ、人間サイズならともかく、あたしの背丈すら超えてびっしりと広がっているのは悍ましいと言うか、どうにも圧倒されずにはいられなかった。

 

 ナイフをそっと押し当てる。

 腐食の気配は無し。

 ナイフをしまって、次は右手の人差し指で突っついてみる。

 むにむにとした熟れた肉の柔らかさ。

 しっとりと粘液で覆われているせいで一瞬ひんやりした冷感を感じるが、すぐに生暖かさで上塗りされた。

 ピリピリ痛むこともない。少なくとも即効性の毒も無さそうだ。まあ、毒を有してるなら情報として伝わってるだろうけど、こうやって確かめてしまうのは普段のダンジョン攻略の癖だった。

 

 それにしてもやわっこい。

 張りはあるのだけど、内側から押し返すような反発力を感じない。弾性が低いと言うのが適切か。

 押し込めば簡単に変形しそうだなと思い、そのまま指をうずめてみる。

 ぬぷぬぷ。

 

「うわ……変な感触……」

 

 抵抗という抵抗もなく指の根元までが埋没していった。

 この分じゃ、もし壁にもたれ掛かったりでもしたら体まるごと肉壁に丸呑みされていたに違いない。転倒とかにも注意した方が良さそうだ。

 百聞は一見にしかず。

 そういう情報を己の五感で感じ取れただけでも、実践してみた価値があるってものだ。

 

 ……しっかし。

 埋めっぱなしの指に締め付けられる感覚こそ無いものの、肉はみっちりと隙間なく纏わりつき、蠕動運動のような蠢きはひっきりなしに侵入者をぐちゅぐちゅと愛撫しまわすかのよう。

 ぬちゅっとした粘液感。蠢く柔肉。その色合いもそうだし、指をうずめたときに感じた、肉を掻き分けていく挿入感。

 ……否応なしに想像するものがある。

 

「……挿れてる、みたい……」

 

 僅かに目を伏せて、ぼそりと呟く。

 エロトラップダンジョンだなんて名前のせいで、こんな不埒な結びつけをしてしまうのだろうか。それとも、やはりこの甘い匂いのせい? 媚薬ほどとは言わずとも、やはり、そういう気分にさせる力はあるのかもしれない。

 

 薄らと頬を染める。

 突っ込んだまま、動かしてもない指がぬちぬちと絡め取られる。

 手を引き戻せない。

 傍目には何の変化もないまま、その実、肉壁の内部では今なお執拗に指を嬲られ続けている。

 

「……っ、は……はっ……」

 

 指先ってのが繊細な器官であるのも一因だけど、それ以上に、おちんちんと結びつけられた妄想が、想起が、あたしを変な気分にさせるようだった。

 

 指をほんのちょっと曲げる。柔肉が指に絡みつく。

 くちゅっとした粘液の音。

 感触。

 ……具合の良い、女の子の中と同じ。

 

 ドキッと、露骨に下腹部が疼く。

 

 指を突き刺したまま微動だにせず、息が、にわかに乱れはじめる。

 腕から伝わってくるのか、下腹部から湧いてるのかわからない焦れったいゾクゾク。

 股下で、"メス"の存在を取り違えたおちんちんがムクムクと充血していく。

 緩慢な刺激のせいで本気勃起、とまではいかないが、冒険装束のスカートを甘勃起がぬぅっと持ち上げていく。

 どく、どく。

 とろりと眉を下げ、妙に浮ついた気分のままうずめた指をぼんやりと眺め、いつしか指先の感覚を甘勃起に重ねていた。

 

 ぬめついた肉が指をにゅぶにゅぶ滑る。

 

「はぁ……ふ、ぅ……♡」

 

 恍惚のため息。

 甘勃起がひくくっと跳ねて悦ぶ。

 

 ふわふわのお肉が指をもきゅもきゅ貪る。

 

「ぁ……♡ ……っ、はっ、はっ……♡」

 

 一瞬、息が止まる。

 じわっと、尿道から先走りが漏れ出ていく感覚。

 

 肉壁に指をつっぷりと埋め込んだまま数分。

 あたしはすっかりと、ただぼぉっと突っ立ったまま切なそうにちんちんをヒクつかせるだけの変質者と化していた。

 

 指を突っ込んでるだけなのに、恍惚に身を浸し、ぽんやりと溶け出してく思考。

 服の下がじっとりと汗ばみだしてじめじめする。張り付いてちょっと気持ち悪い。身軽で、通気性の良い冒険用の服なのに。

 なんだか、良くない。言いしれない漫然とした危機感で満ちていく。なのに、抗えない。ねっとりと、執拗に指を嬲られ続ける感覚に、なぜだか陶酔しきって、ただ、ただそのまま……

 

 と、そんな折に。

 

「……! いや、まって、まって……ミュール……」

 

 ベテラン冒険者としての知恵と経験が、あたしに天才的なアイデアを授けてくれた。

 

 切っ掛けはともかく、この肉壁はあたしが多少なりともムラムラを持て余してることに気が付かせてくれたのだ。

 そして、トラップに引っかからずともこの手の誘惑はエロトラップダンジョン内にはごまんと存在しているはずだ。そんな場所で消化不良の性欲を残してたら、いざって時に思考が鈍って判断を誤る可能性だってある。

 ということは、だ。

 もしかして、ここで一発抜いておいたほうが良いんじゃない……?

 

 いや、良いに決まってる。

 

 ダンジョン内での射精はトラップや魔物を誘引する可能性もあって危険だが、ここなら安全に射精(だ)すことができるし、何より目の前には使うのにうってつけの肉壁がある。

 そうだそうだ。このムラムラも解消できるし、ダンジョン攻略も有利になる。

 一挙両得。

 全てが噛み合ってて、全てがおあつらえ向きだった。射精(だ)さない理由がない。

 あたしってばひょっとしたら天才かも。

 

「そうと決まれば……!」

 

 周囲を見渡す。辺りには誰もいなかった。丁度いい。

 こんな目立つところで、壁相手に射精するなんて変態もいいところだけど、あたしは恥も捨てると決意したのだから。

 ダンジョン攻略の為なら、これぐらいやってみせる!

 

「っ、はっ……はっ……ふぅーっ……♡」

 

 右手の人差し指を埋めたまま、左手でおちんちんに覆いかぶさったスカートを捲り上げる。

 なまっちろくて、まだふにふにとした弾力を纏った甘勃起があらわになった。

 でろりとしなる長い竿。体こそちびっこいけど、おちんちんの大きさにはこっそり自信がある。

 やると意気込んでからは早いもので、甘勃起だった竿もぐんぐんと仰角を増して、半剥けだった皮もひとりでにつるりと剥けた。

 

「……ぁ♡」

 

 思わず甘い声。

 この、皮が張っておちんちんの中身が勝手につるんと這い出る感じが、あたしはちょっぴり好きだった。一気に勃起が深まったって感じがする。ぬぅって出てくる亀頭のいじらしさも好き。

 そうして数秒。お股からお腹の上までぐっと硬い芯が通り、ガチッとお腹に引き付けられた感触をおぼえ、おちんちんの準備終了合図を受け取った。

 いざ、壁に身を寄せて……

 

「んっ……ふ、ぁ……っ♡」

 

 あ、これっ、すごいかもっ……♡

 ぬちっとした粘膜の感じ、火照った人肌を思い起こさせる生暖かさ、すごく生っぽいっていうか……えっちしてるって錯覚が、湧いてくる。

 まだ亀頭の先っちょしか当たってないのに。

 もっともっとって欲しがって、意識せずとも体が勝手に前のめりになる。

 

「あ、あ、うそっ♡ うそうそうそっ♡」

 

 引け気味だった腰がつぅーっと突き出されていって、亀頭から順に、裏筋、竿の上っかわ、真ん中と、ぺったりと肉壁に触れる面積が増えていく。そのファーストタッチの、なんと優しく、淫らなことか。

 

「んぅ~~っ♡ あっ、あっ、当ててるだけなのにっ、はっ、はっ♡ はぅっ……っ、はぁあっ♡ すごっ、おちんちん溶かされちゃいそぅっ♡」

 

 気付いたらおちんちんの根本までをべったりと壁に押し当てていた。

 ヌメッとしたような、ふかっとしたような、ぬかるんだ粘膜の感触がおちんちんの腹の方をもにゅもにゅ包み込む。

 密着感と、じんわりした暖かさが凄い。壁に押し付けてるだけなのに、おちんちんが勘違いしていく。交尾の真っ最中だって。

 

「く、はぁぁぅぅっ♡ これっ、思ったよりすぐ射精(だ)せちゃう、かもっ……♡ はっ、んっぅぅっ♡」

 

 下腹部の奥、おちんちんの付け根の辺りがきゅぅぅって締まる。本当に気持ちいい時の生理反射。ちょろっと甘さの残ってたおちんちんが、完全勃起を果たしてガチガチに張る。

 

 ただ当ててるだけでもそわそわ射精欲掻き立てられてってるのに、お尻の筋肉が勝手に痙攣しちゃって、突き上げるみたいにカクカクへこへこ腰を揺するのも止まんない。

 

「~~っ、っ、へっ♡ へっ♡ うぅ~~、壁相手にっ、へこへこ、はっ、はふっ♡ これもぉっ、さっさと射精(だ)してっ、ダンジョン攻略しに行くためっ、だからっ♡ がまんっ、がまんするのミュールっ……♡ ぜんぶっ……♡ ぜんぶっ……♡」

 

 壁に向かい合うように立って、あまつさえヘコヘコと腰とちんぽ押し付けてるとか、ちょっと客観的に想像するとみっともないことこの上ないけど……

 しかしここはぐっと堪える。

 決意に殉じるの、ミュール。

 羞恥心は捨てる。射精(だ)す事に集中する。

 恥を忍んでやる。旅の恥はかき捨てとも言う。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、とも。

 あれ、それは別に関係ないっけ? 気持ち良すぎて、だめ、あたま、まわんない。

 

 腰をもっともっと突き出して、おちんちんを押し当てる。

 そしたら、もう肉壁の中にほとんどおちんちん埋まっちゃって、お腹にまでべっちゃりと肉が纏わりついてしまった。

 

「――っっ♡ あ、あ、すごっ♡ にゅくにゅく♡ へこへこするとっ、んはぁっ♡ お腹まで、にゅるにゅる撫でられちゃってるっ♡」

 

 やっぱりこの肉壁、反発力に乏しいのか、押し込めば押し込んだ形に勝手に整形されていくようだった。

 スライムみたいだ。お肉でできたスライム。纏まりのあるお肉。

 押し当ててる部分は、それはもうあたしのおちんちんの形を憶えたオナホかおまんこみたいな状態になってて、擦り付けるだけてにゅぶにゅぶと密着しながら、優しく優しく、ふわとろに嬲りつくしてくる。

 

「はーーっ♡ はーーっ♡ っ、うひぅっ♡ っ、はっ、はひゅっ♡ ふーーっ♡ ふーーっ♡ ふっ、ふっ、ふっ……♡」

 

 それはさながら、巨大な生き物の肉厚芳醇の舌で舐めあげられているかのような。そんな人外の快感が、へこへこの小刻みな一回一回の度に、おちんちんを、お腹の周りをぬりゅぬりゅと広く愛撫していく。

 

「は、ふ、う、うぅぅぅぅっ……♡ っ、んぉっ♡ も、もうちょっとっ、ぉ、おんっ♡」

 

 このまま、あたし専用に整形されたお肉の泥濘におちんぽ寄り添わせてるだけでもイケちゃう……蕩かされるように極上の射精感を味わえると思うけど、でも、でもでも。

 おちんぽのうずうずする焦燥感には抗えない。それじゃ足りないって言ってくる。もっと強く、ぐりぐり腰を押し付けての、とびきり強烈なヤツ(射精)を求めてしまう。

 

 ただ、壁にへばりついた状態で腰を前に突き出す、ってのはちょっと大変だ。

 重心の関係でどうしても上半身が後ろに倒れちゃう。

 気持ちよくイク為には、何かにしがみつくなりして上半身を安定させる必要があるけども……

 

 バランスを保つために、妙ちきりんな姿勢のままヘコヘコとした壁ズリを続ける。

 もっと強いのがほしいのに、物理的にそれが不可能だっていう絶妙な生殺し。

 それでも竿の腹を、カリ首の段差から裏筋、尿道のポコッとした膨らみに幹のゴツゴツの筋張りにまで丁寧に密着してにゅぶにゅぶ舐る肉はとろとろで、あたし専用の搾精器官みたいで。腰の、内臓の、足の方まで全部ぐずぐず溶け落ちてしまいそうなほど、気持ちいい。

 

「ん、おぉっ♡ おっ、おっ、おぉっ♡」

 

 ゾクゾクと背筋が反れる。結果的に腰を突き出す。

 重心が崩れて後ろに倒れそうになるから、渋々腰を引っ込める。

 突き出したいのに姿勢の関係で突き出せない、矛盾した気持ちで腰のカックンカックン、不規則でへんてこな動きが止まらなくなっている。バランスきわきわのところを維持しようと躍起になって、ふくらはぎとか腿が変な力み方するせいで足を攣りそうにしながらも、おちんぽを一途に肉壁の上で滑らせる。

 

「~~~~っ、ふぅぅうぅぅ~~っ♡ っ、っ、あ♡ くるっ……♡ くるっ、くるっ♡ おなかのおくのほぅっ、きゅぅぅっってっ♡ のぼってっ♡ あ♡ ぁ♡」

 

 身体の芯を、ぎゅぅぅっと細めるように圧縮されていくみたいな射精感。

 込み上げる。登り詰める。

 でも、折角なら、もっと、もっと、きょーれつにイキたいっ……♡

 思いっきり腰突き出して、おちんぽ、にぢゅぅって押し潰しながらする、射精、射精……♡

 

「~~――っ♡ ぁ……ぁ、射精(で)るっ♡ で……でっ……――っ」

 

 本当に、前立腺のぐぱぐぱ収縮を感じる寸前で。

 天才のあたしは、半ば衝動的に両腕を肉壁の中へずぼっと突きこんだ。

 

 それで、まるで壁自体を抱きかかえるみたいにして姿勢を安定させて。

 そのお陰で思う存分に腰を仰け反らせられて、おちんぽをぶぢゅぅっと肉壁に向かって沈み込ませてそのまま――

 

「~~~~~――っっ!?♡ ぉっ……ぉお゛ぉぉっ――っ♡」

 

びゅぶるるるるっ♡ ぶっびゅぅぅうぅ~~っ♡ びゅぶるるびゅぶちっ♡

 

「――っ♡ ~~~~――っっ♡ っ、お゛っ、ぉ゛♡ ふひゅっ♡ おっ、ぉ――っっ♡」

 

 圧の掛かった射精に至る。気持ちいいっ♡ すごっ♡

 咄嗟の行動で、期待値を予想遥かに上回った射精感が脳をぺっちゃんこにさせるほど押し寄せてくる。

 それに加えて、成功体験とかそういう報酬系のアドレナリンまで瞬時に上乗せされちゃったせいで、その放出感ったら半端じゃなくって。腹筋が痙攣するみたいにビクビク。下腹部も太腿もキリキリと締め上げながら、体内に埋まってる輸精管の存在すら意識できるぐらいの量の精液をどぱどぱ射精していく。

 おちんちんが肉壁とお腹にみっちり挟まれてるせいで、大量の精液はあっという間に行き場をなくし、お腹と肉の間からぶちゅぶちゅ音を立てて溢れ出していった。

 ぶるぶる、お尻どころか、全身震わすようなぞくぞく。堪んなくって、無意識のまま射精真っ最中のおちんぽをへこへこ小刻みに肉壁へ擦り付けていた。精液でぬめって増々にゅぶにゅぶに撫で回される。おひねりみたいに追加が射精(で)る。

 

ぶびっ♡ ぶびゅるるっ♡ どぐっ♡ どぷぷっ♡

 

「――っ♡ っ……ふっ、ふっ……ふぅぅーーっっ♡ っは、はぁっ……はっ……はっ……きもち、よかっ……たぁ……♡」

 

 未だ余韻のぱちぱちが残る中、腰を肉壁から引き剥がす。

 骨盤の出っ張りまで壁に埋没してたから、離そうとしても肉が吸い付いてくるみたいな、お腹丸ごと引っ張られちゃう吸着感があった。ぬぢゅぅってしたすっごい卑猥な音を出しながら腰を離すと、肉壁にはあたしの型を取ったみたいな、おちんちんと腰周りの形をした痕がくっきりと残っていた。しかも、でろでろの白濁まみれで。

 うわ、これ、なんかすごいえっちい……

 萎えつつあったおちんちんが、ぶぴっと、あたしの痕跡に向かって残滓を吐き捨てた。

 

 

 

「はぁーーっ……お腹ん中、すっごいスッキリした気がする……!」

 

 すんごい満足感。射精寸前の咄嗟の行動が功を奏したのは間違いない。

 さすがミュール、やっぱあたしってば天才だ。

 

 これだけ出せば火照ってた頭も落ち着くというものだ。

 性欲もすっからかんになるまで解消して、エロトラップダンジョン攻略の準備も万全。

 

「じゃあね、肉壁さん。結構悪くなかったよ……♡」

 

 そんな冗談を残しつつ、いざ入口へ向かおうとしたところ。

 

 ぐっと腕を引き戻される感覚に横槍を入れられた。

 

「ん、あれ……?」

 

 突っ込んだ両腕が肉壁の中から全く引き抜けなくなっていたのだ。

 困ったな、これじゃこっから動けないや。

 

 未だ射精後のとろぉっとした恍惚に浸ったままの頭がフル回転して解決法を模索する。

 ああ、わかった。

 この姿勢じゃ踏ん張りが利かないから引っこ抜けないのだ。

 だったら、壁を蹴ってその反動を使ってやれば抜けるはず。

 

 例えば、転んだ時に勝手に足が出るように、物を落としたら咄嗟に体動いてしまうように。

 あたしは、腕を引き抜くためとても自然に、脊髄反射的に右足を壁に押し当てて思いっきり蹴り抜いて、上半身を引き離そうと――

 

 ずぼぼっ。

 

「は?」

 

 思いもよらぬ右足のめり込みに、完全に体のバランスを崩しすっ転ける。

 左足が滑り、肉壁に突っ込む。

 ずぶずぶと沈む。

 

「……へ?」

 

 気付いたら、あたしの四肢は完全に肉壁に捕まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばかっ、ばかばかばかっ、ばかミュール!!!」

 

 なじる。

 あたしの浅はかさを思いっきりなじりまくる。

 何が天才だっ、ばかっ、あたしのばかっ!

 

 普段だったらぜっっっったいにこんなミスはしない。

 なのに、なのに、愚かにも両腕を埋めるなんて選択をし、しかもその解決として、明らかに結果の見えている愚かなフォローまでして右足を無駄にした!

 

 知らなかった。

 そりゃ、だって、おちんちん勃たせながらダンジョン攻略なんてする訳ないんだから。

 こんな……こんな……っ

 

 射精する直前って、こんなIQ3のおバカになっちゃうの!?

 

 本当に、何も考えてなかった。

 ただ、頭の中がおちんちんのことでいっぱいになって、一直線で、それしか眼中にない程ぐるぐるで、"こうすればもっと気持ちよく射精できる"って閃いた瞬間にはもう本当に天啓が降ってきたぐらいに感じられて、それがどんな結末を招くかとか気にする余地も……いや、気にするべきだなんて最低限の危機感すら頭からすっ飛んでて。おちんちん気持ちよくできるんなら、するよね? ぐらいのストレートさで両腕をぶっ刺していた。

 ほんとのほんとに、あの一瞬のあたしは、射精しか考えてない、この世でもっとも愚かなお猿さんだった。

 

 そもそも、こんな見通しの良い屋外で、壁に向かってちんちん露出して擦り付けようなんて魂胆を通した時点でどうかしていたんだ。

 その後、壁を蹴ろうとしたときだって、ほんのちょっとでも理性が残ってりゃその浅はかさを笑えただろうに……

 

 ともかく、おちんちんがムラムラしてる時ってのは相当思考にデバフが掛かるらしい。あたしはようやくその危険性に気がついた。

 一発射精(だ)したとは言え、まだその悪影響は残ってるはず。

 過ちて改めざる、これを過ちという。

 まずは落ち着いて、いつもの明晰な頭脳を取り戻すとこから始めよう。そうすれば、こんな窮地だって……

 

 あれ……あたしの用意した対抗策、気付け薬もランタンもガラス片も、両手塞がってたら全部使えないんじゃ……

 

 じっとりと、射精の影響とは違う種類の嫌な汗が伝う。

 頭の中には明確な二文字が浮かび始めていた。

 "詰み"……

 

 

 

 

 

 

「ふ、んっ、ぎぎぎっ!! っ、はっ、はーーっ……ダメだ、びくともしないっ……」

 

 思いっきり背筋使って仰け反るけど、まるで手応えを感じない。なんなら、脚の方がちょっと深く埋まった気さえした。

 一瞬、トラップの存在が頭を過るが恐らく違う。コイツは正真正銘ただの肉壁で、多分、密着感が強すぎるから腕とか足とか突っ込むと接着面が多すぎて抜けなくなっちゃうんだと思う。こんな、にゅるにゅるふわふわの感覚の癖して、抜こうとするとむぎゅっと、絶対手放さないとばかりに吸い付かれる。

 それは最早、天然のトラップみたいなもんじゃない? って思うけど、そんな情報は聞いたこともなかった。

 ……壁におちんちん擦り付けて、腕まで突っ込むような間抜けが他に、いるわけもないから。

 

「ふっ、ぐ、ぐぅぅぅぅうっ……っ、はっ、だめっ、っ、ふぅぅんっ♡」

 

 そして、四肢が拘束されているのと同じぐらい困ったことがもう一つ。

 腕は二の腕半ばまで埋没してるし、脚は膝辺りまで埋まってる。

 そんな状態で壁に向かい合って拘束されているってことは。

 

「ひゃわっ♡ はっ、は、はふぅっ♡ あ、や、やだぁっ♡ おちんちん、にゅるにゅる当たってっ……っ♡ ひぉぉっ♡」

 

 おちんちんが、ずーっと肉壁に当たりっぱなしになるのだ。

 拘束を抜けようと身動ぎすれば、自然とおちんちんがべったりと肉壁に押し付けられて、極上のふわとろ組織が竿を苛む。射精したてのおちんちんにとっては、溶かしほぐすような緩慢な刺激も致命的で、ひと撫でされただけで「はふぅっ♡」と息を漏らしすっかり骨抜きにされてしまう。脱出のための力を込めようにも、すぐに脱力させられる悪循環。

 更に悪いことに、身動ぎしなくたっておちんちんは肉壁に当たりっぱなしだった。動かなきゃ動かないで、もにゅもにゅと蠢く肉壁は僅かばかりの接触部分を貪るようににゅぶにゅぶにゅるにゅる……

 

「ほっ、お゛ぉぉおっ?♡」

 

 一番敏感なところを緩い刺激で嬲られ続ける。

 ほんの一瞬ですら止むことなく、執拗に、にゅぶにゅぶとやわっこい刺激が亀頭を責め続ける。

 これっ、これダメだっ……おかしくなる、またイッちゃう……っ♡

 おちんちんの底の方から尾てい骨までに深いぞくぞくが走る。再びガチゴチに芯が入りきって、おちんちんが馬鹿みたいに真っ直ぐ上を向く。

 

「ひっ、うぅぅ゛ぅぅっ……――っ♡」

 

 脚を捕らえられたまま、腿を閉じるみたいにぎゅぅぅっとよじる。おちんちんの圧が高まって気持ちよくなる。

 

「う、はぁぁぁあ゛ぁっ♡」

 

 眉をへなへなにして、今度は股を開くみたいにぎゅぅぅぅっとよじる。それも結局、おちんちんの圧が高まって気持ちよくなる。

 

 壁に捕まって、胴体が宙ぶらりんになったまま、おちんちんの先っちょだけをにゅりにゅりされる快楽拷問から逃げられない。

 下腹部に宿り始める、無視できない程のどろどろの射精欲。

 だめ、だめ、このままじゃ、またおちんちんで頭いっぱいになって射精すること以外なにも考えられなくなる……

 それだけは、それだけは防がないと。

 

「はーーっ♡ はーーっ♡ はひゅっ、はっ、は、はっ……はっ……♡」

 

 背中を丸め、ぐぅーっと腰を引いて、なんとかおちんちんを肉壁から遠ざける。

 本当にギリギリ、間に布切れ一枚挟まるかぐらいの距離しかないけども、離すには離した。手足が捕まった状態じゃ、この距離が限界。

 

 この、掠めるか掠めないかぐらいのギリギリの距離感と言ったら、絶妙な焦らしプレイの時のそれと一緒で、すっごいソワソワする。あんなに快感から逃げたかったはずなのに、亀頭のすぐ目の前に餌をぶら下げられたあたしのおちんぽは、浅ましくも肉壁の事を想い、今か今かと期待を募らせていくのだ。

 

「はーーっ……♡ はーーっ……♡ はーーっ……♡」

 

 全神経が、肉壁すれすれの亀頭に集中していくような気分。

 刻一刻と感度を高められていってるんじゃないかとすら錯覚する。尿道がじゅくっと熱を帯びる。じわじわ滲んでいく先走り。

 

「はっ、はっ、はっ……♡ は、ふっ♡ ……ふーーっ♡ ……ふぅぅーーっ……♡」

 

 息が、次第に深まる。

 逆になにか、致命的な弱点を自ずと作り上げてるんじゃないかって疑念すら湧く。

 それでも、肉壁に急所を絡め取られるよりはマシな……はず。

 多少なりとも落ち着くには、こうするしかない。断続的な刺激さえなければ思考は纏まるし、ともすれば勃起が萎えてくれることもあるかもしれない。

 

 こんな姿勢のまま、外でじっと待ってなきゃいけないなんて恥ずかしすぎるけど、でも、背に腹は代えられなっ――

 

 ピコッ、と。

 おちんちんが跳ねた。

 

「んひゃぅぅうっ!?♡」

 

 べちっ、て、裏筋の辺りが肉壁を叩く。

 

 おちんちんの脈打ちによる僅かな動きが、おちんちんと肉壁の間のほんのちょっとの距離をゼロにした。

 ほんの一瞬、生暖かくってぬるぬるした粘膜の感触におちんちんが包まれ、すぐ離れる。

 ぞくぞくぞくっ。

 

 それで気持ちよくなって調子付いたおちんぽが、もっとビグビグと脈打ち始める。

 

「んはぁあぁっ♡ あっ、それっ、だめっ♡ 止まってぇっ♡ ふあぁっ♡ 止まってったらぁっ♡」

 

 べちっ、べちっ、べちっ。

 

「やっ、らめっ、それっ♡ とまっ――っ♡ あっ、んぁっ♡ あ♡ あ♡ あっ♡」

 

 喘ぐ、喘ぐ。飛び上がるように喘ぐ。

 一気に発汗して、目を見開く。髪までぶわぁっと毛の逆立つかのような、快感。

 

 感度を高められた後の、肉壁との接触は毒のようだった。

 当たるのを嫌い体を離そうとしても、もう1ミリも動かす余地はない。

 だから、おちんぽが脈打ってしまう限りには、裏筋がぺちぺち肉壁と当たってしまうのを避ける術は――ない。

 

「んぁっ♡ あっ♡ やっ♡ やだぁっ♡ やだっ、こんなっ♡ やぁぁっ♡ あっ♡ あっ♡」

 

 おちんぽが痙攣するリズムに連動して、喘がされる。

 ほんのわずか、親指の腹ぐらいちっぽけな、たったそれだけの面積の接触にも関わらず、堪えようのないほど喘がされている。

 必死で腰を遠ざけようとしたって無駄なのだ。

 ひとたび肉粘膜の味を知ってしまえば、お腹の奥の方の、あたしの体の癖に制御不能な部分が勝手にビクビク痙攣し、おちんぽを引き締めて脈動させる。

 

 先っちょが、べちっと肉壁を打ち付ける。

 裏筋周りの僅かな部分だけがぬちゃりとした甘い快感に受け止められる。

 それが呼び水になって、おちんぽとお腹をゾクゾク震わせ、跳ねる。当たる。

 跳ねる。

 当たる。

 

 べちっ、べちっ、べちっ。

 

「ぁ♡ ぁ♡ ぁ♡ っ、あ゛ぁぁあっ♡ あ゛っ♡ やぁ゛っ♡ とめっ♡ あ゛ーーっ♡」

 

 おちんぽを必死こいて痙攣させた時だけ気持ちよくなる。快感による報酬ですっかりそんなルールを覚え込まされたおちんぽは、もはやそれが定常であるかのようにぴこぴこぴこぴこ跳ね続ける。

 

 まだ壁ズリの方がマシだった。

 そう断言できるほど、この上なく浅ましく、この上なく無様な快感の貪り方を、あたしはしていた。

 

 不意に、後ろの方から、くすくすと笑う声。

 

「ちょっ……ねぇ、見てよあの子。あんなカッコで……え、ちょっと、あっは。すごーっ、おちんぽびっこんびっこん跳ねさせるだけであんな喘いでんの? 上級者すぎーっ♡」

「~~――っっ!♡ やぁっ♡ みなっ、見ないでっ♡ んぁっ♡ やらぁぁっ♡ っ、――っ!?♡」

 

 ううう、うそ、うそっ、見られてる、笑い者にされている……っ

 他の冒険者が来ちゃったんだ。

 そりゃ、こんな奴見たら笑うに決まってる。あたしだって笑っただろう。

 こんな……こんな、壁にへばりついて、跳ねついたおちんぽがべちべち壁に当たる度によがり狂ってる奴がいたら。

 

 べちっ、べちっ、べちっ。

 

「んぉ゛っ♡ お♡ お♡ っ~~♡ っお゛ぉっ♡ っ♡ ふひゅっ♡ おぉ゛ぉっ♡」

「うわ、すっごい声。あんなべちべち当ててるだけで気持ちよくなれる、普通?」

 

 また別の人の声。

 他にも、あたしを嘲笑う声がいくつも聞こえる。

 人だかりができる程度には、ずっと、長い事ここで無様を晒してたってことでも……ある。

 

 お腹の底にぐずぐず溜まっていくような被虐感。

 そんな、そんな嗜好はないはずなのに、どろどろの倒錯感のせいで変な高まり方をしちゃって、お腹もお尻もきゅぅっと締め上がり、増々おちんぽがビクビクする。

 喘ぐリズムすら、呼吸すら、体の動きの全てを、おちんぽのほんの僅かちっぽけな面積に支配されて、おちんぽに掌握されている。

 

 べちっ、べちっ、べちっ。

 

「んぉ゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛ひっ♡ っ♡ ぉ゛っ♡ おぉ゛ぉ~~っ♡」

 

 恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい……

 

 う、う゛ぅ、でも、でも、でもでもでもっ!

 

 あたしはっ。

 あたしは、ミュール。

 ベテラン冒険者っ。

 エロトラップダンジョン攻略のためなら、例え尊厳を捨て、恥をかこうが、耐えてみせると、そう誓って……

 

「ねー、ヤバイよね。ここ、エロトラの外なのにね」

 

 あ。

 ああ。

 それ、は。

 

 その言葉は、あたしが意図して意識しないようにしていたことだった。

 

 ここはエロトラップダンジョンの中じゃない。

 この肉壁も、別にダンジョンの敵性存在ですらないただの壁。

 ダンジョン攻略の為ならどんな恥辱にだって耐えてみせると心に誓ったけども、あたしはダンジョンの中へすら入れていないのだ。

 トラップに掛かったわけでもない、誘惑に引っ掛かったわけでもない。

 ああ、そうだ。そうなんだ。

 あたしがこうやって無様を晒しているのは、全部全部、ダンジョンともトラップとも何一つ関係ない外で起こった……

 

 ――ただの、自爆。

 

「んお゛ぉぉお゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ♡ お゛っ、ほぉおお゛ぉっ!?♡」

「え、なになに、急にすんごい声出し始めたけど……」

 

 あたしのプライドを繋ぎ止めていた何かが粉々に砕け散った気がした。

 

 逃避していた現実を突きつけられ、ぶしゅぅっと茹だるほど赤面する。熱すぎるぐらい顔が熱い。

 涙がだくだく溢れ出ていく。気持ちいいからなのか、恥ずかしいからなのかわからない。よだれと一緒になって、ぐしゃぐしゃ。顎からぼたぼた落ちていく。

 ぶわぁっと一気に発汗して、体が水に覆われてるみたいになる。後ろに突き出したお尻から、ぼたっ、ぼたっ、って大粒の汗が滴っていくのがわかる。恥ずかしい。でも、今更恥ずかしいって、なに? もうどうでもいいのに。

 

 べちべちべちべち。

 

「んぉ゛っ♡ ぉ゛~~っ♡ お゛ぅ゛っ♡ ぉ゛っ♡ おん゛っ♡ ぉ゛~~――っ!?♡」

 

 認めてしまえば、恥辱は、捨てた尊厳は全部薄暗い快感になって返ってきた。

 晒し者になっていることを意識すればするほど、脊髄を恐ろしいほどのゾクゾクが駆け上がっていく。

 おちんぽが肉壁を叩きつける強さと頻度がいっとう激しくなる。

 最早おちんぽを擦り付けて、快楽の限りを貪ってしまえば良いものを、あたしはあいも変わらず腰を遠ざけることに固執していた。

 

 こっちのほうが、より、惨めったらしくて、おちんぽをぞくぞくさせてくれるから。

 

「ふぉ゛ぉっ♡ ぉ゛っ♡ ぉ゛♡ ……――っっ♡!! ぐるっ♡ すごいのっ♡ お゛っ♡ んおぉぉお゛っ♡ くるくるくるっ♡ お゛っ……――っ♡」

「うっそ、イッちゃうの? おちんぽべちべち叩きつけてるだけで? あは、とんだ変質者じゃん」

 

 べちべちべちべち。

 

 恥も外聞もなく、吠えるみたいに口を開いて喘ぎ声も躊躇なく出す。

 それは言外のおねだりだった。あたしがみっともない姿を見せれば見せるほど、ギャラリーはなじるような野次を飛ばしてくれる。

 もっと、そうしてほしかった。

 その方が気持ちよくなれるし、なにより、頭の中を惨めさでいっぱいに埋め尽くしてくれれば、他に何も考えずに済むから。あたしの愚かさも、浅はかさも、プライドも。

 最早、おちんぽがぬかるみみたいな肉を叩いてる事で気持ちよくなってるのか、なじられて惨めな気分になることで気持ちよくなってるのかすら、あたしには判別が付けられない。

 

 もう、いい。

 もう捨てるもんなんて無いから。

 気持ちよくさせて。

 

 今まで経験したこと無い、重くって昏い絶頂感が腹に込み上げる。

 ゴリッゴリに太く硬く、おちんぽが屈強な勃起を見せる。見惚れるほどエグい勃起はメスを堕とす雄々しい竿のようでありながら、実態は負けてしまったかのようにビコビコ暴れ散らして終わるだけのおちんぽだった。

 取り返しのつかない破滅の予感。

 でも、抵抗できることなんて一つもない。四肢が埋まった時点で……いや指を突っ込んだ時点、なんならエロトラップダンジョンに挑もうだなんて思った時点で、既に破滅は予期されていたのだ。

 

「お゛ぉっ――っ♡ お゛っ♡ ぉ゛ぉおぉ゛ぉ~~――っ!?♡♡」

 

 びぃーんとおちんぽが一直線に伸び切る感覚。

 下腹部がぶち壊れそうなぐらい強張って、反面、輸精管と尿道が完全に開ききって射精前の開通を済ます。

 そして、堰き止められない洪水のような射精感が、膨れ、膨れ、全身をひしゃげるみたいにぱんぱんに圧迫して――

 

 べちんっ。

 

「~~~~~~――っ!?♡ ~~――お゛ぉおぉっ??♡♡ ――っ♡」

 

ぶびゅぐるるるるっ♡ ぶびゅぶるる~~~っ♡ どぶるるるっ♡ びゅぅ~~~~~~っ♡

 

 ――あたしの冒険者生命が、完全に終わりを告げた。

 

「~~~~――っっ♡♡!! んおぉ゛ぉぉぉっ♡ 射精(で)るのっ、とまんにゃっ――っ♡ ――っ♡ べちべちしながら射精(だ)すのっ♡ とまん゛な、あ゛ぁっ♡ やぁ゛あぁぁっ♡ ん゛っ、んぅ゛~~~――っっ♡♡」

 

 べちべちべちべち。

 

 射精にあわせた小刻みな脈打ちの一回一回が、べちべちと肉壁を叩く。ドラムロールの、振動するスティックみたいにべちべち叩きまくる。射精(だ)しっぱなしのまま、べちべちべちべち。

 それすらもが気持ちいい。腹筋が凝固するみたく固まっちゃって、肺の中の空気が一気に出ていく。

 凄まじい射精圧が腰と脳を灼き切りながら、尿道を濃ゆい精液が駆け上がっていく感触すらをも感じられた。

 背中に観衆の視線を沢山感じる。抜けない腕を、肉壁を絞め殺してしまうんじゃないかというほどにぎゅぅぅぅっと強張らせる。埋没した脚を爪先の一片までピンっと伸ばし切る。射精圧が強まる。射精(で)る。射精(で)る。

 

「ん゛んぅぅぅ~~~っ♡♡ んっ、ふぅ゛っ♡ ふぅ゛~~っっ♡ ふぅ゛~~――っっ♡」

 

 いよいよ腰を引っ込め続けるのも我慢できなくなって、今まで溜めに溜めた反動みたいに、ずぱんと腰を突き上げた。

 ずぼっと勢いよく埋められるおちんぽ。締まりは無いけど、にゅくにゅくとやらしく竿を包み込む。

 それが、とっても優しくって、気持ちよくって、また射精した。

 

「ふぅ゛~~~っ♡♡ ふっ♡ ふっ♡ ん゛っ……おぉ゛ぉ~~っ♡♡」

 

びゅぐるるるるっ♡ びゅぅ~~~っ♡ びゅるるるるっ♡

 

 多分、もう、腕や脚と一緒で、おちんぽを引き抜くことさえできないんだろう。

 その辺の野生動物の交尾ですらお目にかかれないぐらい、小刻みで、素早く、惨めったらしい動きで腰をへこへこカクカク痙攣させ続ける。

 思いっきり仰け反る。仰け反って、きりきり腰を突き出して射精(だ)す。そのままの姿勢でへこへこを加速させる。泣きながら、しこたま射精(だ)す。

 

 もうその頃には、射精感で頭ぐらぐらでガヤの声も気にならなくなっていた。

 無意識に肉壁を貪るために腰をへこへこ。

 おちんぽさえ挿れてしまえば、もう後はない。これ以上落ちる底は無いのだ。その事実がいっそ不思議なぐらいの安堵感で心を満たしてくれる。

 おちんぽを肉壁に優しくあやしてもらいながらまた射精する。

 

「ぉ゛っ……♡ ん゛、おっ……♡ お゛ぉ~~っ……♡ っ……♡ ぉ……っ♡ ぉ゛……♡」

 

 止まんない射精に、ついに意識が落ち始める。

 顔が埋まったら本当に死んじゃうから、それだけは本能で避けてきたけど、意識なくなったらどうなっちゃうんだろう。

 流石に、トんじゃったら、誰か助けてくれるかな……

 

 そんな淡い期待を抱きながら、あたしは噴き出る精液と一緒に、意識までをも手放した。

 

ぶびるっ♡ ぶびゅるるるるっ♡ ぶびゅぅ~~~っ♡ ぶびゅぶっ♡

 

 

 

 

 あたしはミュール。

 トラップに相まみえることすらできなかった勇み足の冒険者。

 尊厳もプライドも砕け果て、今や壁に張り付いて無様な射精をすることしかできずにいる。

 

 

 

 

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