【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】 作:ドン・ドナシアン
「まずは、自慰をしろ。自慰をしながら、服を脱いでいけ……」
ガリオンは命令した。
エリカの瞳が驚いたように大きく見開かれるが、逡巡したのは一瞬だけだ。
すでに下着は床に落ちており、短いスカートはお腹の前までたくし上げられていたが、エリカはスカートを片手に持ち直すと、ゆっくりと右手を股間におろしていく。
しかし、その手が秘部に触れる直前で止まった。
「どうした。できないのか? 俺を愛しているならできるはずだ。それとも、愛していないのか? だったら、どこでも出ていくがいいさ。俺は俺を愛してもいない女などいらん」
ガリオンはわざと嘲るように笑った。
「で、できます……。スカートをたくし上げたまま、自慰をしながら服を脱いでいきます……」
エリカの手が再び動き出す。
そして、下腹部の奥に指が這いだす。
「ああ……」
エリカが悲鳴のような高い声をあげて、がくりと腰を落としかけた。
スカートの裾が腰骨の上で左手で留められたまま、エリカの右手の指が股間の上を動き続けている。
肩が細かく震え、亀裂に沿って動く指に合わせて、喉の奥で短い声がほどけ、呼気が熱を帯びる。
ガリオンはエリカを前に立ちつくしたまま、息を浅くした。
見えるのは膝の寄り、腰の沈み、肩先の跳ね、汗の粒、なによりも右手の指先にまとわりついて床に落ちていく潤沢な愛液──それだけで十分すぎた。
「んあっ……」
左手が胸元へ上がり、小さな留め具に触れる。スカートから手が離れたが、自慰を続ける右腕にかかって、秘部は露出したままだ。
上衣の留め具はひとつずつ外れていく。
開いていく上衣に合わせて、隙間から白い乳房が覗き、鎖骨の上で汗が生まれては谷間へ吸い込まれていく。
「あぁ……」
エリカが袖を片側だけ抜く。
露わになった肩が空気に触れ、肌が粟立つ。胸の先は呼吸に合わせてわずかに起き、腹の起伏は浅く速い。
ガリオンは握る指に力をこめ、喉の渇きをやり過ごした。触れれば砕けると本能が告げるほどの敏感さだった。
声を掛けるのも、近づくのも忘れて、目の前のエルフ美女の本気の自慰に見入っていた。
「ふわ……」
残る留め具が外れ、布が肩からこぼれる。
片袖をすべり落とし、次の動きで反対側も解く。布が足元に落ちる音が小さく響き、床板の上に淡い皺が広がる。裾の陰の動きは速さをわずかに変え、腰の沈みが深くなった。
「んん……」
彼女は髪を片腕で持ち上げ、うなじをさらす。耳飾りが鳴り、音が合図のように全身の律動へ混じる。
かなりの汗が喉元に落ち、胸の先をかすめて脇へ逸れ、腹の曲線をぬらして消えた。
布地が背で小さく鳴り、細い指が留め金を探る気配がある。
「あっ……」
乳房の前の紐が解け、柔らかな布が胸から離れていく。
白くて豊かな乳房が露わになり、呼吸の上下に合わせて大きく波打つ。
解き放たれた重みが揺れを増し、先端が震え、汗の光が強くなった。床には、さきほど外れた薄布がやわらかい影を作る。
その胸をエリカの手がつまみ上げ、指を喰い込ませるように揉みまわし始めた。
「はあ……ああぁ……」
自慰をしていたがいちど緩み、次いで、その指先が腰へ回り、スカートの留め具に触れる。
金具が外れ、布が腰から床に滑る。
エリカはわずかに腰を浮かせ、片足を抜き、もう片方の足首も布の輪から解き放つ。落ちたスカートは円形の皿のように床へ広がった。
「ん……あ……」
彼女は視線を伏せ、つま先で靴を外す。
かかとが床に触れる音がふたつ。もうエリカが身にまとっているものはない。完全な全裸だ。
エリカは胸を喘がせ、絶えず荒い呼吸を噴き出しながら、乳房を揉み、指を股間に這わせる。
彼女の全身の肌から、さらに汗が噴き出してきた。
エリカは指を一気に溢れる股間の中に滑り込ませた。
ガリオンは息を止め、動かなかった。動けなかった。
「ああ……あああぁ……」
エリカは大きくのけ反ったかと思うと、その場に両膝をつき、股間を突き出すようにして指を滑らかに抽送させはじめた。
エリカの全身の反応は、もうかなり激しいものになっている。
膝が寄り、腰が沈み、肩が砕けるように震え、胸が一拍遅れて跳ね返す。
指の拍動は細かく、速く、正確に。汗の軌跡が数を増し、股間から溢れる蜜に当たる光がひときわ強く肌を照らした。
「……んあああ」
エリカは指で乳首を弾くように弄びながら、張り詰めた膨らみを揉みあげる。
また下腹は指の動きに合わせて前後に振り立てる。
唇が浅く開く。
呼吸が荒く、次いで長く吐き出された。
やがて、全身の線がぴんと張り、白い肢体が弓のように伸び、震えが細い波となって肌一面へ広がっていった。
「ああっ、ああ……っ、あううっ、はううっ」
しばらくのあいだ、エリカは跪いたまま全身を硬直したように動かさなかった。
静けさが戻る。
エリカの呼吸はまだ荒く、喉の奥で熱を保ちながら揺れている。彼女が快感の絶頂に達したことは明らかだった。
床には、エリカが脱いだものが幾重にも散らばっている。
「あっ」
はっとした。
ガリオンは慌てて、エリカに洗脳術をもう一度刻み込む。
「……エリカ、お前は俺の恋人……。お前は俺に恋い焦がれている。どんなことでも従うくらいに」
余韻に呼吸の整わない彼女の耳元で囁くと、焦点の合わない瞳がわずかに揺れた。
今度こそ、うまくいった。
ガリオンは、やっと確かな手応えを感じることができた。
すると、額に汗で前髪を張り付かせているエリカが満面の笑みを浮かべた。
「はい、わたしは、ガリオン様に恋い焦がれています。どんなことでも従います」
エリカが嬉しそうに微笑んだ。
なんと、美しく、そして、官能的な笑顔だろう。
ガリオンは、身体の底から、この女への欲望が込みあがるのを感じた。
「じっとしてろ……」
ガリオンはズボンを緩めながら、跪いたままのエリカに飛び掛かった。
自分の膝を床につけ、両手でエリカの二の腕を痛いほどに掴み、ぐいと引き寄せてエリカの唇に自分の唇を重ねようとした。
エリカは微笑んだまま、ガリオンに顔を向ける。
抵抗はなかった。
しかし、次の瞬間、顔をそむけて、エリカが身を捩った。
かっとなる。
この期に及んで、まだ洗脳術がかかりきってないのか──。
「エリカ、逆らうな──」
怒りのまま声を荒げる。
「違います──。外に──」
エリカがガリオンの身体を振りほどくように離れた。
唖然とするガリオンだったが、エリカは構わずに、素早く床に外して置いた自分の剣を手に取ると、ガリオンの前に全裸のまま立ちはだかった。
次の瞬間、入口の扉が蹴り破られて、男がひとり入ってきた。
「あっ」
ガリオンは思わず声をあげた。
入口に立つ男は、いまにも倒れそうな息で胸を上下させながら、真っ直ぐこちらを見据えていた。
致命傷を与えたはずのロウだ。
汗が額から顎へと絶えず落ち、外套は走り抜けてきた砂埃で白く曇っている。
その背後には大斧を肩に担いだミランダが、無言で控えていた。
面識があるわけじゃないが、ミランダと言えば、冒険者ギルドの実質的な責任者で、元伝説のシーラランクだ。
まずい──。
また、ロウの右手に、見慣れない武器──のようなものがある。
黒い金属口が揺れずにガリオンの胸をとらえたまま、真っ直ぐにガリオンを向いている。
「俺に剣を教えようとした女がいたんだがな……。俺には向いていないそうだ……。だから王軍の騎兵が使う短銃を持ってきてもらった」
「短銃……それが……?」
ガリオンは短銃と呼ばれるそれを実物で見るのははじめてだった。
ハロンドール王国では火薬も銃も禁制で、所持を許されるのは王軍だけだと知っている。
噂では鉄の具足さえ打ち抜く衝撃があるというが、弾込めに時間がかかり、一度撃てばまた装填からやり直し──その使い勝手の悪さゆえ、禁制であること以上に冒険者が持つ利は少ない。
だが、いまロウの握る短銃は違う。二連式らしい銃身は黒く光り、撃鉄が起こされ、引き金にかかる指がわずかに張っている。装填は済み、狙いは定まっている──撃つ準備は、とっくに終わっている気配だった。
「まだ始めたばかりだが、この距離なら外しようがない。剣はだめだが、銃については意外に才能があったみたいでね」
ロウが言った。
声は掠れているし、息も乱しているのに、射抜くような硬さがある。
喉の奥で荒い息が擦れ、言葉の切れ目ごとに汗がしたたり落ちた。
「……ロウ様、撃たないでください……。そのまま、帰って……。お願いです」
そのとき、ガリオンとロウのあいだに剣を持って立っているエリカが静かに言った。
エリカは全裸のまま、ガリオンを守るように剣を握ったままロウに身体を向けている。剣は抜いてない。
「……俺のことはわかるんだな、エリカ……?」
ロウが銃口を真っ直ぐガリオンへ向けたまま言った。
ただ、その狙いの線上にはエリカの身体がある。ただ、エリカの細い身体だけでは、男のガリオンを隠しきってないと思う。
しかし、仮にも仲間のはずの、エリカ越しにガリオンを撃つか? ロウの持つ銃口は微動だにしてないが……。
「わ、わかります……。この人を撃たないで……」
エリカはロウをじっと見返している。
この状況でも、ほんの僅かな隙も見逃すまいとするように、ロウの仕草を観察しているのがガリオンにもわかった。
機会があれば飛びかかるつもりなのだ。いまの彼女は、ガリオンを大切な恋人のように思い込み、ロウを敵とみなしている。操りの結果だ。
「ガリオン。半歩でも動けば、脳天を撃ち抜く。エリカを盾にしようともだ」
ロウは言った。
だが、なぜ……。
警戒具だって仕掛けてあった。
「ガリオン様……。ロウ様は銃の名手です。一緒に訓練をしましたが、かなりの腕前です……。それと、あの短銃は二連発です」
エリカが小声で短く告げる。
二連発……。つまりは、一発目をエリカが防げても、二発目は避けるものがないということになるのか……。
洗脳術に頼るガリオンには、自分で身を守る手段は持ってない。
ガリオンの武器は、洗脳術だけなのだ。
ならば、ロウの後ろにいるミランダを……。
この場でミランダを操って、背後からロウを攻撃させる……。
いや、だめだ。
ガリオンの操りは、完璧だがひとり限定だ。
若い女でもありそうなミランダは操れるが、それが成功した瞬間、エリカの洗脳術が解け、怒り狂ったエリカがガリオンをその場で殺すことは、想像して余りある。
なら、どうするか……。
ガリオンは背に冷たいものを感じた。
「……ほう、お前って、洗脳術に関しては能力が図抜けているが、ひとり限定なんだな? つまりは、誰かを新たに操ったら、それまで掛けていた洗脳が解けてしまうということか?」
すると、突然にロウが言った。
唖然とした。
どうして、ガリオンの能力の秘密を、会ったこともなかったロウがすぐ見抜くんだ……?
そもそも、どうして、こんなにも早く隠れ処が発覚するなんて……。この廃家には、警戒具だって設置してあったのに、それが反応した気配もなかった……。
「……ところで、助かったよ。お前が間抜けで」
「間抜け?」
「男連れの美人のエルフがどこへ向かったか──知っている者を探すのに、全然苦労しなかったぞ」
ロウが笑った。
「……ロウ様……戻ってください。さっきのことは謝ります。でも、ロウ様には、ユグドラの癒やしがありますもの……。多分、殺せないと思ってました……」
そのときだった。
ガリオンの前にいるエリカが会話に割り込んできた。
「なるほど、だから、俺が死なないと思って刺したのか?」
ロウがエリカに意識を向けたのがわかった。さっきから
「いえ、可能性があったと思っただけです。五分五分かと……」
「五分五分か……。それにしても、さっきから操られているとはいえ、記憶はあるんだな?」
「……記憶はあります……」
「そうか……?」
「そうです……。だから、ロウ様がわたしを撃てないことも知ってます……」
次の瞬間、燭台の炎が巨大な火となった。
ガリオンはびくりと肩を震わせたが、すぐさま部屋じゅうが凄まじい光で包まれ、なにも見えなくなった。
ロウとミランダの声も迸ったが、ガリオンはまだ眼がくらんでいてなにも見えない。
いまのは、このエリカの魔道なのか──?
「ガリオン様──」
エリカの腕が手首を掴んだ。
背後の壁が轟音とともに吹っ飛び、砕けた砂と木片の風が背に叩きつけられる。視界が白のまま、足が浮き、エリカに引かれて破壊された穴から外気へはじき出された。
「走って──」
耳元でエリカの声が叫んだ。