※この作品はR-18です。

【改訂版】異世界で淫魔師ハレム【コミカライズ作品】   作:ドン・ドナシアン

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117 囚われた筆頭巫女

 まもなく、そのときがやって来る。

 

 第三神殿の副神殿長ポーランは、王軍から届いた指示書を前にして、何度目かの溜息をついた。

 

 

 “王軍の一個隊が今日の午後に女を迎えに来る。その隊に、当該の「見習い巫女」の身柄を引き渡すように──”。

 

 

 文面にはそう記されている。

 昨日も同じ趣旨の命令が届いたが、そのときは「まだ神殿内での調べが終わっていない」として退けることができた。

 だが今日の命令は違った。国軍魔道師隊長の名で発せられた正式な引き渡し命令──第三神殿の権威では、もはや抗うことができない。

 

 迎えに来るのは、王軍隊長ロンガン。そう指示書に記されていた。

 ポーランの胸は重かった。

 第三神殿の筆頭巫女スクルズが破廉恥な夜遊びをし、禁忌の淫具を隠し持っていた──そんな醜聞、どうして信じられようか。

 

 スクルズは敬虔で実直な神官であり、魔道の才を誇りながら、少しも驕ることなく、心優しい女性であった。

 破廉恥な恰好で男たちに裸身を晒すなど、とても考えられぬこと。

 ましてや、禁忌の小瘴石を扱う淫具を持つなど……。

 だが、噂は広まった。

 

 “第三神殿の筆頭巫女に似た女が、全裸に近い姿で夜遊びをしている」”と──。

 

 神殿長グランはスクルズを呼び、厳しく問いただした。

 そして、怯えながらも、スクルズはその事実を認めたのだ。

 グランはただちに神殿内に箝口令を敷き、外に向けては「噂とスクルズは無関係」と否定した。

 そのうえでスクルズに謹慎を命じたが、事態はそれで収束しなかった。

 

 彼女の私室から淫具が発見されたのだ。

 しかも、それには禁忌とされる小瘴石が仕込まれていた。

 禁忌の魔道具の所持は死刑に値する。

 スクルズは「自分の物ではない」と否定した。

 だがそれ以外は、夜遊びを認めたとき以降、頑なに沈黙した。

 

 禁忌の小瘴石については直ちに国軍へ報告された。

 ただし「神殿内調査中」という名目で、引き渡しは延期されていた。

 その間にグランは望みを託し、冒険者ギルドへ極秘裏の調査を依頼した。

 しかし、依頼を受けた冒険者が、よりによって第二神殿で騒動を起こしたのだ。

 依頼は取り下げられ、庇う手立ては消えた。

 

 その結果、苦渋の末に、グランは国軍と裏取引を交わした。

 ──第三神殿の筆頭巫女が事件に関与していたことは伏せる。その代わり、スクルズの身柄を国軍へ引き渡す。

 身分の低い見習い巫女として……。

 そして、国軍魔道師隊の調査を神殿内で受け入れる。

 

 つまり、スクルズは「筆頭巫女」ではなく、ただの平民の見習い巫女として扱われる。

 その意味は、容赦のない訊問、辱め、拷問が待っているということに他ならない。

 ポーランは歯噛みした。

 

 ──どうしてこんなことに……。

 

 そのとき、執務室の扉が叩かれた。

 若い神官が顔を出す。

 

「ポーラン尊師……。神殿の玄関にロンガンと名乗る王軍将校が兵を連れて到着しました。檻車も一緒です」

 

「ついに来たか……」

 

 ポーランは立ちあがった。

 刻限より早いが、予定が繰りあがったのだろう。

 彼は見習いに、ロンガンはそのまま入口で待たせるよう告げ、自らはスクルズの部屋へ向かった。

 扉の前には男神官たちが交替で見張りに立っていた。

 声をかけてから、ポーランはひとりで中に入る。

 

「ポーラン尊師……」

 

 机に向かっていたスクルズが立ちあがり、礼をした。

 首には魔道封じの首環が嵌められている。

 部屋には侍女兼任の巫女が三人控えていたが、ポーランは彼女たちについても外へ出した。

 

「……ついに王軍が来ました。あなたは逮捕され、連れて行かれることになります。このままでは守りきれません……。どうか、真実を話してください。必ず力になると約束します……」

 

 ポーランはスクルズの耳元でささやく。

 スクルズは怯えたように震え、唇を開きかけた。

 だが結局は、蒼褪めた顔で小さく首を横に振っただけだった。

 

 ポーランは深く嘆息した。

 

「お願いです、スクルズ……」

 

 必死に声を絞る。

 

「いえ、なにも言えることはありません……」

 

 スクルズは掠れた声を漏らした。

 

「このまま王軍に渡されれば、もう私には止めようがありません。連中はきつい調べをするでしょう。女として耐えられぬ辱めを受けるかもしれない。あなたは、筆頭巫女として扱われません。神殿長がそう裏取引をしたのです。無名の見習い巫女として連れて行かれます……」

 

「えっ?」

 

 ポーランの言葉に、スクルズはわずかに顔を曇らせたが、それだけだ。それ以上は口を開かない。

 

「……必ず辱めを受けることになるでしょう……。あなたには、平民出身の見習い巫女として、手加減のない拷問が待っているんです……。どうか……どうか話してください……」

 

 ポーランの言葉は重ねて、必死に懇願した。

 しかし、スクルズは俯いたまま震え、唇を噛みしめたままだった。

 

「……なにも……言えないのです……」

 

「スクルズ、私にだけでも……。誰かを庇っているのなら、必ず力になります」

 

 ポーランはさらに言った。ほとんど懇願に近かった。

 

「……なにも……言えません……。どうしても……」

 

 しかし、スクルズは、ただただ同じ言葉を繰り返すだけだった。

 ポーランは諦めるしかなかった。

 敬虔な神殿の筆頭巫女という評判の以前のスクルズであれば、あるいは慎みのある扱いを受けられたかもしれない。

 だが、神殿内には箝口令が敷かれているとはいえ、調べをする国軍魔道師隊の尋問官は事情を承知しているはずであり、露出の噂を立てた淫らな女という認識で臨むだろう。

 しかも、裏取引により「筆頭巫女」ではなく平民同然の見習い巫女として扱われる。

 取り扱いは遠慮のないものになる可能性が高い。

 

 ポーランよりも遥かに優秀な魔道遣いでもあるが、若いスクルズのことをポーランは、自分の娘のようにさえ思っていた。

 そんなスクルズが酷い目に遭うということに、ポーランはとても耐えられそうにない。

 

「あ、あのう……。ところで、ウルズとベルズには変わりありませんか……?」

 

 スクルズは不意に口を開いた。

 第一神殿のウルズ、第二神殿のベルズ──いずれも彼女が修行時代を共に過ごした親友である。

 美貌と才を兼ね備えた三人は、姉妹のように仲が良く、揃って王都の三大神殿に仕えることになった。

 いまやベルズとスクルズは筆頭巫女、ウルズも近く第一神殿の筆頭に出世すると見込まれている。

 王都でも「美貌の三巫女」と並び称されるほどの存在だ。

 

「ふたりに変わりはありませんよ」

 

 ポーランは静かに答えた。

 

「……そうですか……。変わりないのですね……」

 

 スクルズは小さく呟くと、わずかに肩の力を抜いたように見えた。まるで、自分がどうなろうと親友たちが無事でいることに救いを見出しているかのように……。

 

 そのとき、部屋の外で大きな喧噪がした。

 扉が開く。

 そこに立っていたのは、王軍隊長のロンガンだ。

 背後にふたりの女兵を連れている。

 

「ポーラン尊師、その見習い巫女を引き渡してもらいます。さあ、女、来るのだ──。両手を背中に回せ」

 

 スクルズの前に立ちはだかっていたポーランを、女兵が押し退けるようにして踏み込み、両側からスクルズの腕を掴んだ。

 その後ろからロンガンが歩み寄る。その手には短い鎖で繋がった手枷が握られていた。

 

「な、なにを──。仮にも彼女は、第三神殿の筆頭巫女なのだぞ。それを卑しい罪人のように拘束して連行しようというのか」

 

 ポーランは思わず声をあげた。

 だがロンガンは冷ややかに応じた。

 

「筆頭巫女? ──いいえ、こちらに届いている命令書には『見習い巫女』とある。いずれにせよ、禁忌の魔族の力に関わった大罪人です。とにかく、引き渡していただきます」

 

 そう言いながら、ロンガンはスクルズの背後に回り、女兵が押さえている両手に手枷を嵌めた。

 がちゃりと金属の音が響いたとき、スクルズの顔に恐怖の色が走ったのがわかった。

 

「どうか、手荒な真似は……」

 

 部屋から連れ出されるために、スクルズがポーランの横を通り過ぎる瞬間、ポーランは堪えきれず言葉を漏らした。

 

「約束できませんね」

 

 ロンガンはにやりと笑い返す。

 

「お、お世話になりました。ポーラン尊師には、なんとお詫びを……」

 

 スクルズが悲しげに声をあげた。

 だがその言葉の続きは、女兵たちに引き立てられて部屋の外へ消えるのと同時に、途切れてしまった。

 

 ポーランは深く溜息をついた。

 そして、重い足取りで自室に戻る。

 しばらくのあいだ、ポーランはただ呆然としていた。

 なぜこんなことになったのか……。

 その思いだけが頭の中を巡り続けた。

 

 そのとき、再びさきほどの神官が駆け込んできた。

 顔色が青く、明らかに動揺している。

 

「な、なんだって──?」

 

 報せを聞いたポーランは驚愕し、部屋を飛び出した。

 一目散に神殿の玄関へ向かう。

 そこには、つい先ほどスクルズを連れて行ったはずのロンガンがいた。

 しかも今度はふたりの女兵ではなく、十数人の兵を率い、罪人輸送用の檻車まで連れている。

 

「ポーラン尊師、お手数ですがスクルズ殿──いえ、命令書にある通り『見習い巫女』をこちらに引き渡して頂きます。それに関する指示書は、すでにお手元に届いているはずです」

 

 ロンガンは、今度は丁寧な口調で告げた。

 ポーランはわけがわからなかった。

 

「……スクルズは、ロンガン殿ご自身が、つい先ほど連れて行かれたはずですが……」

 

 それ以外に言いようがなかった。

 

 


 

 

 スクルズは、後手に手錠を嵌められたまま、王軍将校ロンガンとその部下の女兵に挟まれて神殿の玄関へと連れ出された。

 だが、そこに待っていたのは予想していた罪人用の檻付き護送馬車ではなく、一見して普通の馬車だった。

 馭者台には女兵が座っており、ほかに兵の姿はなかった。

 その簡素な光景は、意外といえば意外だった。

 

「できるだけ目立たぬように、普通の馬車を手配しました。第三神殿の筆頭巫女ほどのお方が、罪人のように檻に入れられ引きまわされるのはお気の毒ですからね……。いや、見習い巫女でした。その代わり──大人しくしていただきます」

 

 ロンガンがそう言った。

 

「はい」

 

 スクルズは項垂れ、掠れる声で応じた。

 恐怖が全身を支配していた。

 処刑や拷問を恐れているわけではない。それはもう覚悟している。

 本当の恐怖は別にあった。

 

 ──自分が王軍の拷問に屈し、ノルズの名を口にしてしまわないか……。

 それが恐ろしい。

 

 ノルズ──かつて修行時代を共に過ごした幼馴染。

 だが、彼女がどんな素性の者なのか、スクルズには最後までわからなかった。

 ただひとつ確かなのは、ノルズが密かに魔瘴石を埋め込んだという事実だ。

 スクルズの体内だけでなく、ウルズとベルズの身にまで、それは仕掛けられていた。

 

 実際、スクルズを弄ぶために仕組んだ「夜遊び」の噂が神殿長の耳に入り、審問が始まったとき、ノルズはベルズのもとに身を移すと言い残して、姿をくらました。

 去り際に告げられたのは恐ろしい脅し──「もし自分の名を漏らせば、ベルズとウルズを魔瘴石ごと爆死させる」。

 だからこそ、ノルズが姿を消したあとも、彼女を訴えることなどできなかった。

 もし拷問の場でその名を口にすれば、報復としてふたりの命が奪われるのは間違いないのだ。

 

 自分はもうどうなってもいい。

 醜聞にまみれた時点で、神官としての道は途絶えている。

 だが、地方神殿で修業をしていた頃から抱いてきた「王都で立派な神官になる」という夢は、ウルズとベルズにはまだ残されている。

 せめて二人だけは守りたい。

 

 その唯一の望みが、ミランダだった。

 神殿長のグランが事件の調査をギルドに依頼したこともあり、事件直後にギルドのミランダと面談する機会を得たのだ。

 そのとき、スクルズは密かに伝言を託した。

 ──どうか、ウルズとベルズを人知れず守って欲しい、と。

 

 冒険者ギルドは王都のどの権威からも独立し、依頼人に不利な秘密を漏らすことは決してない。

 副神殿長ポーランもミランダとは懇意であり、一時的に問題の淫具を彼女に預けたことすらある。

 あのギルドなら、無頼の徒と呼ばれながら一騎当千の冒険者たちを擁し、ノルズの企てを打ち砕くこともできるかもしれない……。

 ひそかに、誰にも知られることなく、二人に埋め込まれた魔瘴石を取り除いてくれるかもしれない。

 それは奇跡に近い望みだった。

 だが、スクルズにはもう、それしか残されていなかったのだ。

 しかし、望みは消えた。

 グラン神殿長は、ギルドへの依頼を取り消し、スクルズを国軍に引き渡すこと決めた。

 一介の見習い巫女として……。

 神殿の醜聞を隠蔽することと引き換えに……。

 

 スクルズは馬車に押し込まれるように乗せられた。

 車内は向かい合わせに席のある四人掛けで、彼女の両側には連行役の女兵がぴったりと座り込む。

 二人掛けの幅に無理やり三人が押し込まれており、逃げ場のない密着状態だ。正面には、移送隊長を名乗ったロンガンが腰掛け、冷ややかな視線を向けていた。

 

 扉が閉ざされる。

 窓には黒いカーテンが垂れ、外から覗き見られる心配はなかった。

 すぐに、車輪がきしみを上げ、馬車は動き出す。

 

「口を開けて……」

 

 少し進んだところで、隣の女兵が不意に命じた。

 スクルズははっとして横を見やる。そのとき、兜の下の相貌が目に映った。エルフ女──。

 王軍の兜に隠れていたので気づかなかったのだ。

 

「んあっ──」

 

 反対側の女兵が小さな球体をスクルズの口に押し込み、革紐で後頭部に結わえた。嵌口具だ。もはや声は自由にならない。

 

 そして、その反対側の女兵の顔を見た瞬間、スクルズは目を瞠った。

 シャングリア──?

 

 王軍の騎士であり、いまは冒険者となったと噂に聞く王都でも有名な女性──。

 なぜここに?

 

  騎士隊が動いている?

 しかし彼女は騎士の装束ではなく、兵の姿をしている……。

 

 驚きはそこで終わらなかった。

 正面に座るロンガンが手首の腕輪を指でなぞる。次の瞬間、彼の顔が揺らぎ、まったく別の黒髪の男の顔がそこに現れた。

 

 はっとした。

 変身具──。

 魔道は、魔道封じにより封印されているが、魔道の発動による空間の揺らぎや、魔道具はわかる。

 彼が手首にしていたのは、魔道具だ。おそらく、変身具。

 つまり、目の前の男は王軍の将校ではない?

 左右の女たちも──?

 スクルズは混乱するしかなかった。

 

「んんんっ?」

 

 動顛して声をあげるが、それは口に押し込められたギャグで阻まれる。両手も背中で拘束されてしまっている。

 スクルズは完全に無視された。

 一方で、三人は一斉に王軍の軍装を脱ぎ捨てはじめ、座席下に押し込みだした。

 スクルズは呆然とした。

 

「ロウ、ここでスクルズを犯すのか?」

 

 シャングリアが口にした言葉に、スクルズの全身が凍りつく。

 ──犯す?

 だが、両脇から女兵に押さえつけられ、首には魔道封じの首環──。抵抗のしようもない。

 

「いや、それは城門を無事に抜け、屋敷に着いてからにしようか……。だが、短いが退屈させてしまっても申し訳ない。少しばかり遊んでもらいましょうか」

 

 黒髪の男がにやりと笑う。

 

「スクルズ様、しばらくのあいだ、これで気を紛らせてくれ」

 

 そう告げると、彼は手を伸ばし、いきなりスクルズの巫女服のスカートを容赦なく捲りあげた。

 

「んんっ……」

 

 身を捩るも、両脇のふたりに身体を押さえ込まれる。

 しかも、男を手伝うようにして、左右からも腰までスカートを押し上げられた。

 羞恥に声をあげても、嵌口具がそれを遠い呻きに変えるだけだ。

 

「んんっ、んんんっ

 

 抗議の意思を示そうと、必死に首を横に振る。

 男の手が露わにされた下着にかかった。

 

 そのまま楕円形の小さな物体を押し込まれる。

 冷たい球体だ

 

 それはが肉の奥に沈み、陰核にぴたりと密着する。

 スクルズは息を詰めた。

 

 男が下着から手を抜く。

 あっという間の出来事だった。

 

「ご主人様、すでに内門は越えてます。そろそろ城門です──」

 

 御者台から声が響き、同時に兵の制服が投げ込まれる。エルフ女が足でそれを座席下に隠した。

 

「少し我慢してくれ」

 

 シャングリアが横でささやき、大きな袋状の布をスクルズに被せる。あっという間に、全身を袋に入れられてしまった。

 さらに、次の瞬間、椅子から引き落とされ、馬車の床に転がされる。

 

「んふううっ──」

 

 袋の闇の中で、スクルズの身体が激しく弓なりに反り返る。

 さきほど挿入された異物が突然に震動を始めたのだ。

 しかも、敏感な肉芽に密着したまま、容赦なく震え続けている。

 

「んんんっ」

 

 あまりの衝撃に、スクルズは袋の中で悶絶し、必死に身をよじった。

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